JPH1016799A - 動力舵取装置 - Google Patents

動力舵取装置

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JPH1016799A
JPH1016799A JP4544397A JP4544397A JPH1016799A JP H1016799 A JPH1016799 A JP H1016799A JP 4544397 A JP4544397 A JP 4544397A JP 4544397 A JP4544397 A JP 4544397A JP H1016799 A JPH1016799 A JP H1016799A
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Japan
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steering
steering shaft
housing
shaft
motor
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Application number
JP4544397A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Murakami
哲也 村上
Osamu Sano
修 佐野
Masayuki Watanabe
正幸 渡辺
Tadahide Nakamura
匡秀 中村
Manabu Takaoka
学 高岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Koyo Seiko Co Ltd
Original Assignee
Koyo Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 操舵補助用のモータの回転を舵取り軸の軸長
方向の摺動に確実に変換することができ、舵取り軸の加
工を不要とし、組み立てに伴う調整作業を簡略化して、
伝動系を含めた操舵補助用のモータの配設スペースの削
減要求に応え得る動力舵取装置を提供する。 【解決手段】 操舵補助用のモータ5の伝動により軸回
りに回転する回転筒6を舵取り軸1のハウジング2内に
配し、回転筒6の一端面に、これの軸心に対して周方向
同向きに等角度傾斜した夫々の枢軸回りに回転自在に複
数の送りローラ7,7,7を取り付け、これらの送りロ
ーラ7,7,7を舵取り軸1の外周面に転接させた構成
とする。更には、舵取り軸1の周面に送りローラ7,
7,7と係合する案内溝を設けてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、操舵補助力の発生
源として電動モータを用いてなる電動式の動力舵取装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】動力舵取装置(パワーステアリング装
置)は、舵取りのための舵輪(ステアリングホィール)
の操作に要する労力負担を軽減して快適な操舵感覚を得
るべく、多くの自動車に装備されている。更に近年にお
いては、操舵補助のためのアクチュエータとして、従来
広く用いられている油圧アクチュエータに代えて、ステ
アリング操作に応じて駆動される電動モータを利用した
電動式の動力舵取装置が実用化されている。
【0003】このような電動式の動力舵取装置は、操舵
補助用のモータの駆動制御により、車速の高低、舵角の
大小等、運転状態に応じた補助力特性の変更に柔軟に対
応し得るという利点を有することから、その適用範囲の
拡大が切望されているが、電動式の動力舵取装置の実現
に際しては、操舵補助用のモータの回転を舵取り機構に
伝える伝動系が不可欠であり、また、十分な大きさの操
舵補助力が得られる小型のモータが得難いという問題が
ある。
【0004】操舵補助用のモータは、舵輪に連設され、
該舵輪の操作に伴って回転するステアリングコラムの中
途、又は、操向車輪(一般的には左右の前輪)に両端を
連結され、軸長方向に摺動して舵取りを行わせるための
舵取り軸(例えば、ラック・ピニオン式舵取り機構にお
けるラック軸)の中途に配設される。前者は、操舵補助
用のモータの回転を回転部材たるステアリングコラムに
伝えればよく、前記伝動系を一般的な歯車減速機等によ
り簡素に構成し得る利点を有する反面、ステアリングコ
ラムの周辺に、前記伝動系を含めたモータの配設位置を
確保することが難しく、適用範囲が限られるという不都
合がある。
【0005】これに対し後者は、操舵補助用のモータの
回転を舵取り軸の摺動に変換する伝動系の構成が複雑と
なる反面、車両前部に横架された前記舵取り軸の周辺に
おける前記モータの配設位置の確保が比較的容易であ
り、広範囲の車種への採用が可能であるという利点を有
している。但し、この構成においても、舵取り軸への伝
動系を含めた前記モータの配設スペースを削減すること
が重要な課題となっており、従来から、例えば、特開昭
61−191468号公報に開示されている如く、前記伝動系に
ボールねじ機構を用いることにより、配設スペースの削
減を図った動力舵取装置が提案されている。
【0006】この動力舵取装置は、舵取り軸の一部を、
その外周にボールねじの軌条が形成された雄ねじ部とな
し、この雄ねじ部の外側に多数のボールを介して螺合す
るナット部材を、前記舵取り軸を支持するハウジング内
に軸方向の移動を拘束して配し、該ナット部材に操舵補
助用のモータの回転力を伝えて回転させ、この回転に伴
うボールねじの螺進を利用して前記舵取り軸を軸方向に
摺動させる構成となっており、前記ハウジングの内部に
大なる減速比が得られる伝動機構をコンパクトに構成で
き、小型化されたモータを舵取り軸のハウジングに近接
して取り付けることにより、前述した配設スペースの削
減要求に応え得るものとしてある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、以上の如き
従来の構成においては、舵取り軸の外周及びナット部材
の内周におけるボールねじ軌条の形成に高い精度が要求
され、多大の加工工数を要する上、前記ボールねじ軌条
が形成された舵取り軸とナット部材との間での多数のボ
ールを介した螺合状態の調整に多大の手間を要し、組み
立て工数の増加を招来するという問題があった。
【0008】また、ボールねじ軌条の形成部分における
曲げ強度の低下を補うために、舵取り軸、及びこれのハ
ウジングの一部又は全部を大径化する必要が生じ、前述
した配設スペースの削減要求に応え得ないという問題が
あった。
【0009】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、ボールねじ機構に代わる簡素な構成の伝動系に
より、操舵補助用のモータの回転を舵取り軸の軸長方向
の摺動に確実に変換することができ、舵取り軸の加工を
不要とし、組み立てに伴う調整作業を簡略化して、前記
伝動系を含めた操舵補助用のモータの配設スペースの削
減要求に応え得る動力舵取装置を提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る動力舵取装
置は、ステアリング操作に応じて駆動されるモータの回
転力を、筒形のハウジング内に支持された舵取り軸に伝
え、該舵取り軸を軸長方向に摺動させて舵取りを補助す
る構成とした電動式の動力舵取装置において、前記ハウ
ジングの内部に軸長方向の移動を拘束して支持され、前
記モータからの伝動により前記舵取り軸と同軸上にて回
転する回転筒と、該回転筒の一部に、これの軸心に対し
て周方向同向きに等角度傾斜した各別の軸回りに回転自
在に枢支され、前記舵取り軸の外周面に転接する複数の
送りローラとを具備することを特徴とする。
【0011】更に加えて、前記舵取り軸の外周面に前記
送りローラと同向きに傾斜する螺旋状をなして形成さ
れ、前記送りローラの転接面と係合する案内溝を備える
こと、また前記モータは、前記回転筒と略平行をなす軸
心を有して前記ハウジングの外側に取付けてあり、該ハ
ウジングの内部に至る伝動機構を介して前記回転筒と伝
動構成してあるか、又は前記回転筒に連設されたロータ
と、該ロータの外側を囲む態様にて前記ハウジングの内
周に周設されたステータとを備えることを夫々特徴とす
る。
【0012】本発明においては、操舵補助用のモータか
らの伝動により舵取り軸と同軸上に配した回転筒が、舵
取り軸の支持ハウジング内にて回転する。該回転筒は、
軸心に対して周方向同向きに等角度傾斜した夫々の枢軸
回りに回転する複数の送りローラを備え、舵取り軸の外
周面に転接させてあり、回転筒が回転した場合、これら
の送りローラの夫々が舵取り軸の外周面上を、各別の枢
軸と直交する軌道に沿って転動することとなり、舵取り
軸は、各送りローラとの間の摩擦力の軸方向分力により
押圧されて軸長方向に摺動する。舵取り軸の外周面は、
送りローラの転接が可能な面であればよく、軌条、その
他の外周面加工を必要とせず、また組み立てに際して
は、各送りローラの確実な転接状態を実現するのみでよ
い。
【0013】また舵取り軸の外周面に送りローラの転接
面と係合する螺旋状の案内溝を形成し、この案内溝の案
内作用により送りローラの転動を軸長方向の滑りを伴う
ことなく生ぜしめ、回転筒の回転を舵取り軸の摺動に効
率良く変換する。この場合、前記案内溝の形成のための
舵取り軸の外周面加工が必要となるが、この案内溝には
ボールねじの軌条と同等の高い精度は不要であり、組み
立てに際しての送りローラの係合は容易に行える。
【0014】操舵補助用のモータは、ハウジングの外側
に、舵取り軸と略平行な軸心を有して取り付け、該モー
タから回転筒への伝動は、ハウジングの内部に至る伝動
機構を介して実現する。この伝動機構は、例えば、モー
タの出力端に取り付けたピニオンと、回転筒の外周に一
体的に周設された平歯車とを、直接的に、又は適宜の平
歯車を介しての間接的に噛合させた単純な平歯車伝動機
構により構成でき、前記モータを舵取り軸のハウジング
に近接配置して伝動系を含めた操舵補助用のモータの配
設スペースの削減を図ることができる。
【0015】また、舵取り軸のハウジングの内周にステ
ータを周設し、これの内部に配された回転筒をロータと
して利用して、前記ハウジングの内部に操舵補助用のモ
ータを一体的に構成する。これにより前記モータ及び舵
取り軸への伝動系を、ハウジングの周辺スペースを殆ど
利用することなく実現することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下本発明をその実施の形態を示
す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る動力
舵取装置の要部の構成を示す一部破断正面図、図2は、
その一部の拡大断面図である。
【0017】舵取り軸(ラック軸)1は、図示しない車
体の左右方向に延設された筒形をなすハウジング2の内
部に軸長方向への摺動自在に支承してあり、該ハウジン
グ2の両側に夫々突出する舵取り軸1の両端は、各別の
タイロッド10,10(片側のみ図示)を介して図示しない
左右の操向輪に連結され、ハウジング2内での舵取り軸
1の摺動が、前記タイロッド10,10を介して左右の操向
輪に伝達され、これらが転舵されるようになしてある。
【0018】ハウジング2の中途部には、これと軸心を
交叉させた態様にピニオンハウジング3が連設されてい
る。ピニオンハウジング3の内部には、その軸心回りで
の回転自在にピニオン軸4が支承されている。図1にお
いてピニオン軸4は、ピニオンハウジング3の上部への
突出端のみが示してあり、該突出端を介して図示しない
舵輪(ステアリングホィール)に連結され、舵取りのた
めの舵輪の操作に応じて軸回りに回転するようになして
ある。
【0019】ピニオンハウジング3の内部に延設された
ピニオン軸4の下部には、図示しないピニオンが一体的
に形成してある。また、ハウジング2内に支承された舵
取り軸1には、ピニオンハウジング3との交叉位置を含
めた適長に亘って、図示しないラック歯が形成され、ピ
ニオン軸4の下部の前記ピニオンに噛合させてあり、舵
輪の操作に伴うピニオン軸4の回転が、ピニオン及びラ
ック歯の噛合により舵取り軸1の軸長方向の摺動に変換
され、該舵取り軸1の両端に連結された左右の操向輪が
舵輪の操作に応じて操舵されるラック・ピニオン式の舵
取り機構を構成している。
【0020】本発明に係る動力舵取装置は、以上の如く
行われる操舵を電動モータの回転力により補助する構成
となっている。図1及び図2に示す実施の形態におい
て、操舵補助用のモータ5は、ハウジング2の外側に取
り付けてある。ハウジング2には、ピニオンハウジング
3の連設部位から適長離隔した位置に、周方向の一か所
に外向きに張り出す態様にモータ座50が突設されてお
り、操舵補助用のモータ5は、その軸心をハウジング2
及びこれの内部の舵取り軸1と略平行に保って前記モー
タ座50にフランジ固定されている。
【0021】図1及び図2に示す如く、モータ座50の内
部は、ハウジング2の内部と連通する空洞部となってお
り、該空洞部内に進入する前記モータ5の出力端には、
駆動ピニオン51が固設され、該駆動ピニオン51は、モー
タ座50の内部に回転自在に枢支された平歯車52に噛合さ
せてある。
【0022】一方、ハウジング2の内部には、モータ座
50の連設部位に対応させて回転筒6が収納されている。
該回転筒6は、その一側に一体形成された4点接触玉軸
受60により、ハウジング2の内側に、これと同軸上での
回転のみを許容して支持された円筒形の部材であり、ハ
ウジング2の内部に挿通された前記舵取り軸1は、回転
筒6の内側に挿通されている。
【0023】このように支持された回転筒6の外側に
は、前記モータ座50の連設部位と軸長方向に対応する位
置に平歯車61が一体形成され、モータ座50の側から同位
置に進入する前記平歯車52に噛合させてある。而して前
記回転筒6は、ピニオン51、平歯車52及び平歯車61を介
して伝達される前記モータ5の回転により、4点接触玉
軸受60による拘束位置を保ち、ハウジング2の内部にお
いて舵取り軸1と同軸上にて回転することになる。
【0024】回転筒6の他端面、即ち、4点接触玉軸受
60による支持位置と反対側の端面には、3個の送りロー
ラ7,7,7が取り付けてあり、これらは、同側に突出
する舵取り軸1の外周面に転接させてある。図1,図2
には、2個の送りローラ7,7のみが示されている。図
3は図2の III−III 線による横断面図であり、本図に
明らかな如く、3個の送りローラ7,7,7は、回転筒
6の他端面の同一円周上の周方向に略等配をなす位置
に、該回転筒6の軸心に対して周方向同向きに互いに等
しい角度だけ傾斜した各別の軸回りに回転自在に枢支さ
れている。
【0025】送りローラ7としては、小径のボールベア
リングを用いることができ、これの固定は、前記回転筒
6の端面に軸心に対して所定の傾斜角を有して形成され
たねじ孔に止めねじ70を螺合し、前記端面との間に内輪
を締め付け固定することにより容易に実現される。図3
には、送りローラ7,7,7の軸心線と、これら夫々の
止めねじ70,70,70の先端部の軸心線とが、一点鎖線に
より示してあり、送りローラ7,7,7の等配関係、及
び枢軸となる止めねじ70,70,70の傾斜は、これらの軸
心線の偏倚により明らかである。
【0026】ボールベアリングを用いた送りローラ7
は、汎用品の利用による製造コストの削減を図るもので
あり、また送りローラ7の前述した固定構造は、組み付
けの簡素化を図るものであって、送りローラ7の構成及
び固定構造は、これらに限るものではない。送りローラ
7の個数は、舵取り軸1の周面に対する転接状態を維持
するために複数である必要があり、また送りローラ7の
個数を2個とした場合、これらの転接位置を結ぶ方向と
異なる方向から舵取り軸1に加わる外力により転接状態
が良好に保てなくなる虞れがあることから、前述した3
個、又はそれ以上の送りローラ7を備えるのが望まし
い。
【0027】回転筒6には、送りローラ7,7,7の取
り付け側の端面から軸長方向に適宜の長さに亘り、割り
溝62が形成してある。図3に示す如くこの割り溝62は、
1個の送りローラ7の取り付け位置をその中央に含む小
半部6aと、他の2個の送りローラ7,7の取り付け位置
を含む大半部6bとに、前記回転筒6を分割する態様に設
けてある。また回転筒6には、図1及び図2に示す如
く、前記割り溝62の長さ範囲の中途部に、該割り溝62を
横切る方向に一対の締め付けボルト63,63が配してあ
り、これらが締め付けられた場合、前記割り溝62の幅の
減少により、小半部6aと大半部6bとが接近せしめられ、
舵取り軸1の外周面への送りローラ7,7,7の押し付
けが強化されるようになしてある。
【0028】以上の構成により、前記モータ5からの伝
動により回転筒6が回転した場合、該回転筒6に取り付
けられた送りローラ7,7,7の外輪が、舵取り軸1の
外周面との転接状態を保って回転する。図4は、この転
動状態の説明図である。
【0029】送りローラ7は、回転筒6の軸心に対して
前述の如く傾斜した枢軸を有しており、舵取り軸1の外
周面上での転動は、図中に2点鎖線により示す如く、前
記枢軸と直交する向きに生じ、回転筒6が白抜矢符にて
示す向きに回転するとき、舵取り軸1には、送りローラ
7の転接部において転接軌道に沿って摩擦力Fが作用す
る。舵取り軸1は、前記ピニオン軸4との噛合により、
軸回りの回転が拘束された状態にあり、これの周面上に
前記摩擦力Fが作用した場合、これの軸長方向分力F1
により押圧されて軸長方向に摺動する。
【0030】このように本発明に係る動力舵取装置にお
いては、操舵補助用のモータ5の回転により、ハウジン
グ2の内部において回転筒6が回転し、この回転に伴っ
て、他側に取り付けた送りローラ7,7,7が舵取り軸
1の外周面上にて転動することにより舵取り軸1が摺動
し、この摺動に応じて前述の如く行われる舵取りが補助
される。送りローラ7,7,7は、舵取り軸1の外周面
上にて転動するのみであり、何らの外周面加工も必要と
せず、加工工数の削減が可能となると共に、舵取り軸1
の強度低下を招来する虞れもない。
【0031】なお以上の構成においては、送りローラ
7,7,7の転動が舵取り軸1の摺動に変換されると
き、両者の転接面における若干の滑りを伴い、この滑り
の存在により、操舵補助用のモータ5の回転量と舵取り
軸1の摺動量とが厳密には対応しないという問題があ
る。前記モータ5の駆動は、舵輪に加わる操舵トルクの
検出結果に基づいて行われ、モータ5の回転量と舵取り
軸1の摺動量との対応ずれが操舵補助に及ぼす影響は小
さいが、前記滑りの低減を図ることは重要である。
【0032】前記滑りは、回転筒6に備えられた一対の
締め付けボルト63,63の締め付け量の調節により、舵取
り軸1の外周面への送りローラ7,7,7の転接圧を適
正に保つことにより低減することができ、また、送りロ
ーラ7,7,7として、その外周にゴム材等の滑り止め
部材を被着してなる高摩擦ローラを用いる等の構造上の
工夫により低減することができる。
【0033】更に、前記滑りを低減する対策として、舵
取り軸1と送りローラ7,7,7との転接面にトラクシ
ョングリースを塗布することが有効である。トラクショ
ングリースは、多環縮合飽和炭化水素を主成分とする合
成潤滑油であり、圧力の作用下においてせん断抵抗の大
きい油膜(ガラス状固体膜)を生成する特性を有してお
り、摩擦伝動式の変速装置において、接触面の摩擦抵抗
を高めて伝動効率を向上させると共に、直接接触による
摩耗を低減すべく用いられている。
【0034】このようなトラクショングリースの塗布
は、舵取り軸1の外周面に、送りローラ7,7,7と転
接する可能性がある領域の全体に亘って行えばよく、こ
のように塗布されたトラクショングリースの作用によ
り、前記滑りの発生を有効に低減することができる。
【0035】操舵補助用のモータ5は、舵取りのために
舵輪に加えられる操舵トルクの検出結果に基づいて駆動
される。操舵トルクは、前記ピニオンハウジング3の内
部に構成されたトルクセンサ8(図1参照)により検出
される。ピニオンハウジング3の内部においてピニオン
軸4は、舵輪に連結される上部への突出端を含む上軸
と、前記ピニオンを含む下軸とに分割され、図示しない
トーションバーにより同軸上に連結されており、前記ト
ルクセンサ8は、舵取りのために舵輪に加えられる操舵
トルクを、前記トーションバーの捩れを伴って前記上軸
と前記下軸との間に生じる相対角変位を媒介として検出
する公知のセンサであり、図1には、トルクセンサ8へ
の給電、及び出力取り出しのための端子箱が図示されて
いるのみである。
【0036】図5は、本発明の他の実施の形態を示す要
部拡大断面図である。本図において操舵補助用のモータ
5、回転筒6及び両者間の伝動系の構成は、図1及び図
2に示す実施の形態と同様であり、同一の参照符号を付
して説明を省略する。回転筒6の一側端部には、3個の
送りローラ7a,7a,7a(2つのみ図示)が、回転筒6の
軸心に対して周方向に同向きに互いに等しい角度だけ傾
斜した各別の止めねじ70,70,70により、これらを枢軸
とする回転自在に枢支されている。
【0037】3個の送りローラ7a,7a,7aとしては、図
1及び図2に示す実施の形態と同様な小径のボールベア
リングを用いることができるが、本実施形態では更に、
夫々の外輪の外周面の幅方向の略中央に全周に亘って周
設された凸条71,71,71を備えており、また舵取り軸1
の外周面には、回転筒6における送りローラ7a,7a,7a
の傾斜の向きと同向きに、これらと等しい角度を有して
傾斜する螺旋状の案内溝11が形成してあり、前記凸条7
1,71,71の夫々は、この案内溝11に係合させてある。
【0038】回転筒6の端部における送りローラ7a,7
a,7aの枢支位置は、これらを共通の案内溝11へ係合さ
せるために軸長方向にずらして設定してある。図6は、
回転筒6の端部を周方向に直線展開して示す図であり、
本図に示す如く、回転筒6の端部には、送りローラ7a,
7a,7aの取り付けのための3か所の取り付け座6c,6c,
6cが、舵取り軸1の外周面における前記案内溝11の傾斜
角度と等しい角度の座面を有し、周方向に略等配をなし
て設けてあり、送りローラ7a,7a,7aは、各別の取り付
け座6c,6c,6cの座面と略平行をなす態様に前記止めね
じ70,70,70により、夫々の内輪を回転筒6の端面に固
定して枢支されている。
【0039】また前記取り付け座6c,6c,6cは、図示の
如く、回転筒6の端面の外側に張り出す突出部、又は内
側に切れ込む切欠き部として設け、図示の如く、夫々の
座面及びこれらに枢支された送りローラ7a,7a,7aが、
周方向に同一直線上に並ぶようにしてある。舵取り軸1
外周面の案内溝11は、送りローラ7a,7a,7aの並び線と
略一致する傾斜角度を有して形成してあり、このような
案内溝11の形成、及び送りローラ7a,7a,7aの取り付け
により、両者の一括した係合が可能となっている。
【0040】以上の構成においては、図1及び図2に示
す構成におけると同様に、操舵補助用のモータ5からの
伝動により回転筒6が回転し、該回転筒6に取り付けら
れた送りローラ7a,7a,7aが舵取り軸1の外周面上にて
転動し、この転動に伴って発生する軸方向分力の作用に
より前記舵取り軸1が軸長方向に押圧されて摺動し、こ
の摺動に応じて舵取りが補助されるが、このとき送りロ
ーラ7a,7a,7aは、舵取り軸1の外周面に形成された案
内溝11と係合する夫々の凸条71,71,71の作用により軸
長方向の移動を拘束された状態にあり、前記転動に際
し、舵取り軸1との間に軸長方向の滑りを伴う虞れはな
く、回転筒6の回転が舵取り軸1の摺動に効率良く変換
され、舵取り軸1の摺動量と操舵補助用のモータ5の回
転量とが正確に対応した確実な舵取り補助動作が行われ
る。
【0041】一方、図5に示す構成においては、前記案
内溝11を形成するために舵取り軸1の外周面加工が必要
であるが、この案内溝11は送りローラ7a,7a,7aに周設
された凸条71,71,71と係合し得るものであればよく、
ボールねじの軌条と同等の高い加工精度は不要であり、
また前述の如く、3個の送りローラ7a,7a,7aが係合す
る案内溝11を共通とすることにより、舵取り軸1の外周
面に一条の案内溝11を形成すればよく、前記外周面加工
は容易に行える。
【0042】送りローラ7a,7a,7aは、夫々の外輪に周
設された凸条71,71,71を介して案内溝11と係合させて
あるが、送りローラ7a,7a,7aの外輪を全幅に亘って案
内溝11に係合する構成としてもよく、また案内溝11を共
通とせず、夫々の送りローラ7a,7a,7aが係合する案内
溝11を各別に設けてもよい。更にこの構成においても、
送りローラ7a,7a,7aと転接する案内溝11にトラクショ
ングリースを塗布することにより、伝動効率の向上と接
触面の摩耗の低減を図ることが可能である。
【0043】図7は、本発明の更に他の実施の形態を示
す要部拡大断面図である。本図において回転筒6は、そ
の略中央部を4点接触玉軸受60により支持されてハウジ
ング2内に収納されており、この支持部の一側に一体形
成された平歯車61を、平歯車52を介してモータ5の出力
端のピニオン51に噛合させた構成となっている。この噛
合部、及び前記支持部の両側への延長端に枢支された各
3個の送りローラ7,7,7の夫々の外輪を舵取り軸1
の外周面に転接せしめてある。
【0044】この構成によれば、舵取り軸1の外周面
に、軸長方向の2か所にて各3個の送りローラ7,7,
7が転接することから、モータ5の回転に伴う舵取り軸
1の軸長方向への摺動の変換が確実になされ、この際に
おける各送りローラ7の負荷を小さく保つことができ、
前述した滑りの少ない安定した動作が可能となる。なお
送りローラ7,7,7の軸長方向の並設数は3対以上と
することができ、また、転接面へのトラクショングリー
スの塗布、及び/又は舵取り軸1の外周面の図5と同様
な係合溝11の形成を併せて実施することも可能である。
【0045】なお、以上の実施の形態において、操舵補
助用のモータ5は、舵取り軸1のハウジング2の外側
に、これと近接して配置することができ、また前述した
如く、舵取り軸1の強度低下を招来せず、舵取り軸1及
びハウジング2の強度確保のための大径化が不要である
ことから、ハウジング2の周辺の必要スペースを削減す
ることができ、コンパクトな配置が可能となる。
【0046】図8は、本発明の更に他の実施の形態を示
す要部拡大断面図である。本図において回転筒6は、ハ
ウジング2への支持のための4点接触玉軸受60の側に延
長されており、他側を玉軸受64により支持された回転筒
6の延長部65の外側にロータ5aを一体的に周設し、該ロ
ータ5aの周設部位の外側を囲繞するハウジング2の内周
面にステータ5bを周設して、これらにより操舵補助用の
モータ5が構成されている。
【0047】この構成において、回転筒6は、前記延長
部65に直接的に加えられる前記モータ5の回転力により
回転する。回転筒6の一側端部には、前述した実施の形
態と同様、3個の送りローラ7,7,7が枢支され、夫
々の外輪を舵取り軸1の外周面に転接させてあり、回転
筒6の回転は、送りローラ7,7,7を介して舵取り軸
1の軸長方向の摺動に変換される。
【0048】この構成によれば、ハウジング2の内側に
操舵補助用のモータ5が、舵取り軸1と同軸上に構成さ
れるから、ハウジング2の外側には、ロータ5a及びステ
ータ5bの周設のために必要な大径部が生じるのみであ
り、ハウジング2の周辺の必要スペースを更に削減する
ことができ、一層コンパクトな配置が可能となる。なお
この構成においても、転接面へのトラクショングリース
の塗布、及び/又は舵取り軸1の外周面の図5と同様な
係合溝11の形成を併せて実施することも可能である。
【0049】なお以上の実施の形態においては、舵取り
軸1がラック・ピニオン式の舵取り機構におけるラック
軸である場合について述べたが、舵取り軸1は、その軸
長方向の摺動に応じて操向輪を操舵する軸であればよ
く、前記ラック軸に限らない。例えば、一部の動力舵取
装置において、ラック軸と別体に操舵補助専用の摺動軸
を配し、この摺動軸とラック軸とを夫々の一部において
連結し、操舵補助用のモータの回転を摺動軸を介してラ
ック軸に伝える構成としたものがあるが、このような摺
動軸もまた、本発明における舵取り軸に含まれる。更
に、本発明の適用範囲は、前述したラック・ピニオン式
の舵取り機構に限らず、他の形式の舵取り機構への適用
も可能であることは言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明に係る動力舵取
装置においては、操舵補助用のモータからの伝動により
舵取り軸と同軸上に配した回転筒が回転し、該回転筒に
取り付けた複数の送りローラが舵取り軸の外周面に転接
して舵取り軸に軸長方向の摺動力を加えるから、舵取り
軸の外周面は、送りローラの転接が可能な面であればよ
く、外周面加工を必要とせず、また、組み立てに際して
は、各送りローラの確実な転接状態を実現するのみでよ
く、簡素な構成にて操舵補助用のモータの回転を舵取り
軸の軸長方向の摺動に確実に変換することができる。
【0051】また、前記送りローラの転接面と係合する
螺旋状の案内溝を舵取り軸の外周面に形成したから、こ
の案内溝の作用により、舵取り軸の外周面上での送りロ
ーラの転動を軸長方向の滑りを伴うことなく生ぜしめる
ことができ、操舵補助用のモータの回転が舵取り軸の摺
動に効率良く、しかも正確に変換され、確実な操舵補助
が可能となると共に、前記案内溝の形成のための舵取り
軸の外周面加工には、ボールねじの軌条と同等の高い精
度は不要であり、構成の簡素化が達成される。
【0052】更に操舵補助用のモータは、回転筒への回
転伝動のための伝動機構を介してハウジングの外側に近
接配置でき、更に、舵取り軸のハウジングの内周にステ
ータを周設し、これの内部に配された回転筒をロータと
して利用して、ハウジングの内部にモータを一体的に構
成できるから、伝動系を含めた操舵補助用のモータの配
設スペースを大幅に削減することができ、舵取り軸のハ
ウジングの周辺にわずかな配設スペースを占めてコンパ
クトに構成できる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る動力舵取装置の要部の構成を示す
一部破断正面図である。
【図2】図1の一部の拡大断面図である。
【図3】図2の III− III線により横断面図である。
【図4】本発明に係る動力舵取装置の動作説明図であ
る。
【図5】本発明に係る動力舵取装置の他の実施の形態を
示す要部拡大断面図である。
【図6】回転筒の端部を周方向に直線展開して示す送り
ローラの取り付け態様の説明図である。
【図7】本発明に係る動力舵取装置の他の実施の形態を
示す要部拡大断面図である。
【図8】本発明に係る動力舵取装置の他の実施の形態を
示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 舵取り軸 2 ハウジング 5 モータ 6 回転筒 7 送りローラ 7a 送りローラ 11 係合溝 71 凸条
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 匡秀 大阪府大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋精工株式会社内 (72)発明者 高岡 学 大阪府大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋精工株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリング操作に応じて駆動されるモ
    ータの回転力を、筒形のハウジング内に支持された舵取
    り軸に伝え、該舵取り軸を軸長方向に摺動させて舵取り
    を補助する構成とした電動式の動力舵取装置において、
    前記ハウジングの内部に軸長方向の移動を拘束して支持
    され、前記モータからの伝動により前記舵取り軸と同軸
    上にて回転する回転筒と、該回転筒の一部に、これの軸
    心に対して周方向同向きに等角度傾斜した各別の軸回り
    に回転自在に枢支され、前記舵取り軸の外周面に転接す
    る複数の送りローラとを具備することを特徴とする動力
    舵取装置。
  2. 【請求項2】 前記舵取り軸の外周面に前記送りローラ
    と同向きに傾斜する螺旋状をなして形成され、前記送り
    ローラの転接面と係合する案内溝を備える請求項1記載
    の動力舵取装置。
  3. 【請求項3】 前記モータは、前記回転筒と略平行をな
    す軸心を有して前記ハウジングの外側に取付けてあり、
    該ハウジングの内部に至る伝動機構を介して前記回転筒
    と伝動構成してある請求項1又は請求項2記載の動力舵
    取装置。
  4. 【請求項4】 前記モータは、前記回転筒に連設された
    ロータと、該ロータの外側を囲む態様にて前記ハウジン
    グの内周に周設されたステータとを備える請求項1又は
    請求項2記載の動力舵取装置。
JP4544397A 1996-04-30 1997-02-28 動力舵取装置 Pending JPH1016799A (ja)

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JP4544397A JPH1016799A (ja) 1996-04-30 1997-02-28 動力舵取装置

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Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10921196 1996-04-30
JP8-109211 1996-04-30
JP4544397A JPH1016799A (ja) 1996-04-30 1997-02-28 動力舵取装置

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100764233B1 (ko) 2002-12-30 2007-10-05 주식회사 만도 전동식 파워 스티어링 장치의 전동모터 설치구조
US7284634B2 (en) 2001-04-13 2007-10-23 Nsk, Ltd. Electric power steering apparatus
CN110455132A (zh) * 2019-08-30 2019-11-15 贵州航天控制技术有限公司 一种小型整体式组合控制机构

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7284634B2 (en) 2001-04-13 2007-10-23 Nsk, Ltd. Electric power steering apparatus
KR100764233B1 (ko) 2002-12-30 2007-10-05 주식회사 만도 전동식 파워 스티어링 장치의 전동모터 설치구조
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