JPH1016740A - 車両運動制御装置 - Google Patents

車両運動制御装置

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JPH1016740A
JPH1016740A JP17397796A JP17397796A JPH1016740A JP H1016740 A JPH1016740 A JP H1016740A JP 17397796 A JP17397796 A JP 17397796A JP 17397796 A JP17397796 A JP 17397796A JP H1016740 A JPH1016740 A JP H1016740A
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JP
Japan
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control
vehicle
slip
hydraulic pressure
brake
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JP17397796A
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English (en)
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Masamichi Imamura
政道 今村
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
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Unisia Jecs Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 横Gの誤検出による誤作動の発生、および運
転者の意志に反する制御の実行を防止すること。 【解決手段】 ブレーキ配管cに接続されてホイルシリ
ンダbの液圧を上昇させることのできる制御用液圧源d
と、車両挙動検出手段aで検出する車両状態に応じて車
両のヨーモーメントを抑える方向あるいはヨーモーメン
トを発生させる方向に制動力を生じさせるべくブレーキ
配管cへの液圧供給および制御バルブeの作動を制御す
る運動制御を実行する制動制御手段fとを備えた車両運
動制御装置において、前記制動制御手段fは、車両挙動
検出手段aから得られる舵角絶対値により制御量算出時
のスリップ角ゲインあるいは横方向加速度ゲインの少な
くとも1つを変化させるよう構成されていることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 この発明は、車両運動制御
装置に関し、特に、車両の姿勢に応じてブレーキ制動力
を制御して姿勢を安定させるようにした車両運動制御装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】 従来、車両の姿勢に応じてブレーキ制
動力を制御する車両運動制御装置としては、例えば、特
開平6−247269号公報に記載のものが公知であ
る。この従来技術は、車両のヨー速度、舵角等により車
両の姿勢角を判断し、あるしきい値を越えた時、運動制
御開始と判断して油圧装置によりブレーキ装置のホイル
シリンダ圧を変化させることにより姿勢角を増大しある
いは旋回時における姿勢角の発生不能を回避するように
したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 上述のような運動制
御を行うにあたり、車両の挙動が運動制御が必要な状態
(通常、オーバステア状態あるいはアンダステア状態)
であるか否かを判断する必要があるが、その判断とし
て、ヨーレイト・横方向加速度(以下、横Gという)・
スリップ角の少なくとも1つを基にして判断することが
できる。このような判断において、特に横Gセンサを用
いて車両姿勢を検出する構成にあっては、例えば、図1
3に示すような「うねり路」を走行する場合、左右輪の
高さに違いが生じて車体が横方向にα度傾いた時に、横
Gセンサが重力の垂直成分の分力ygを受けて、実際に
は直進しているのに横Gを検出することがある。このよ
うな場合、この横Gセンサの検出値を基に算出する車体
スリップ角に誤差を生じ、車両は直進しているにもかか
わらず運動制御を行う誤作動を誘発するおそれがあっ
た。さらに、サーキットあるいはラリーなどにおける走
行、いわゆるスポーツ走行時などにおいては、運転者が
舵を当てずに斜行を許容したい場合、すなわち、図14
において実線で示すように舵を切らずヨーレイトも発生
していない状態で斜行させたい場合があるが、従来装置
では、このような場合にも運動制御を実行してしまい、
運転者の意志に反して同図想像線で示すように車両が勝
手に回頭してしまうという印象を運転者に与えてしま
う。本発明は、このような従来の問題点に着目してなさ
れたもので、横Gなどの誤検出による誤作動の発生を防
止して装置の信頼性の向上を図るとともに、運転者の意
志に反することなく運転者の感覚に合った車両挙動が得
られるようにすることを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】 この発明は、舵角ある
いはヨーレイトの絶対値に基づいて制御量を算出する時
のゲインを変化させるようにして上記目的を達成するこ
ととした。すなわち、請求項1記載の発明にあっては、
図1のクレーム対応図に示すように、車両の挙動を検出
する車両挙動検出手段aと、ブレーキ配管cに接続され
てブレーキ操作とは独立してホイルシリンダbの液圧を
上昇させることのできる制御用液圧源dと、各ホイルシ
リンダbへの供給液圧を独立に制御可能な制御バルブe
と、前記車両挙動検出手段aからの入力に基づいて制御
用液圧源dからブレーキ配管cへの液圧供給および前記
制御バルブeの作動を制御する制動制御手段fとを備
え、前記制動制御手段fは、車両挙動検出手段aで検出
車両状態に応じて制御量を算出し、この制御量に見合っ
た量だけ車両のヨーモーメントを抑える方向あるいはヨ
ーモーメントを発生させる方向に制動力を生じさせて車
両の運動状態を制御する運動制御を実行するよう構成さ
れた車両運動制御装置において、前記制動制御手段f
は、車両挙動検出手段aから得られる舵角絶対値により
制御量算出時のスリップ角ゲインあるいは横方向加速度
ゲインの少なくとも1つを変化させるよう構成されてい
ることを特徴とする。請求項2記載の発明では、請求項
1記載の制動制御手段fを、舵角絶対値が小さいほど制
御量を小さくする方向にゲインを変化させるようにし
た。請求項3記載の発明では、車両の挙動を検出する車
両挙動検出手段aと、ブレーキ配管cに接続されてブレ
ーキ操作とは独立してホイルシリンダbの液圧を上昇さ
せることのできる制御用液圧源dと、各ホイルシリンダ
bへの供給液圧を独立に制御可能な制御バルブeと、前
記車両挙動検出手段aからの入力に基づいて制御用液圧
源dからブレーキ配管cへの液圧供給および前記制御バ
ルブeの作動を制御する制動制御手段fとを備え、前記
制動制御手段fは、車両挙動検出手段aで検出車両状態
に応じて制御量を算出し、この制御量に見合った量だけ
車両のヨーモーメントを抑える方向あるいはヨーモーメ
ントを発生させる方向に制動力を生じさせて車両の運動
状態を制御する運動制御を実行するよう構成された車両
運動制御装置において、前記制動制御手段fは、ヨーレ
イト絶対値により制御量算出時のスリップ角ゲインある
いは横方向加速度ゲインの少なくとも1つを変化させる
よう構成されていることを特徴とする。請求項4記載の
発明では、請求項3記載の制動制御手段fを、ヨーレイ
ト絶対値が小さいほど制御量を小さくする方向にゲイン
を変化させることとした。請求項5記載の発明では、請
求項1ないし4に記載の車両運動制御装置において、前
記ゲインが車速に依存した特性を有することとした。
【0005】
【作用】 請求項1記載の発明では、制動制御手段f
は、車両挙動検出手段aから得られる舵角絶対値により
制御量算出時のスリップ角ゲインあるいは横方向加速度
ゲインの少なくとも1つを変化させる。したがって、こ
のゲインの変化分だけ制御量が変化し、これに応じてヨ
ーモーメントを抑えたり発生させる方向に制動力を生じ
させる運動制御の実行量が変化する。具体的には、請求
項2記載のように、舵角絶対値が小さいほど制御量が小
さくなり、その結果、運動制御の実行頻度が少なくなる
もので、すなわち、舵角の絶対値が小さい場合には、運
転者に舵を切る意志がないとして、車両の向きを変える
ような運動制御を実行し難くする。これにより、運転者
の意志に反する制御がなされ難くなるとともに、「うね
り路」走行時などに車体が傾くことで横Gセンサが横G
を検出したとしても運動制御が実行され難く、横Gの誤
検出による誤作動が発生する可能性が低くなる。また、
請求項3記載の発明にあっては、制動制御手段fは、車
両挙動検出手段aから得られるヨーレイト絶対値により
制御量算出時のスリップ角ゲインあるいは横方向加速度
ゲインの少なくとも1つを変化させる。したがって、こ
のゲインの変化分だけ制御量が変化し、これに応じてヨ
ーモーメントを抑えたり発生させる方向に制動力を生じ
させる運動制御の実行量が変化する。すなわち、請求項
4記載のように、ヨーレイト絶対値が小さいほど制御量
を小さくして、運動制御の実行頻度を少なくできるもの
で、この場合、「うねり路」走行時などに車体が傾くこ
とで横Gセンサが横Gを検出したとしても運動制御が実
行され難く、横Gの誤検出による誤作動が発生する可能
性が低くなり、また、スポーツ走行などで斜行している
時に、運動制御が実行されて運転者の意志に反して回頭
されるということがない。しかも、請求項1記載の発明
では、小刻みな舵角検出による運動制御の誤実行の可能
性があるものの、請求項3記載の発明では、ヨーレイト
絶対値により車両挙動の判断を行っているから、これを
有利に解決できる。請求項5記載の発明では、前記ゲイ
ンが車速に依存して変化する。よって、ゲインを高車速
であるほど制御量を増加させる方向に変化させて制御応
答性を高くさせることができる。逆に言うと、一般に車
両が低速にて「うねり路」を走行している時は、車両の
傾きが大きくなる特性から、低車速ほど制御実行しきい
値を大きく設定して運動制御の実行開始を鈍くするとも
言え、このような低速走行の場合、運動制御の実行が鈍
くても運動制御の実行開始応答性が不利になることはな
い。
【0006】
【発明の実施の形態】 本発明の実施例を図面に基づい
て説明する。まず、図2は本発明の一実施例を示す全体
図である。1〜4は車輪の回転速度を検出する車輪速セ
ンサ(車両挙動検出手段)であり、それぞれ、例えばピ
ックアップコイル等を使用し車輪の回転速度に応じた周
波数信号を出力する。5はハンドルの転舵角を検出する
舵角センサ(車両挙動検出手段)であり、例えば、フォ
トトランジスタ等により舵角速度に応じた周波数信号を
出力しこれを積分処理することで舵角の検出を行う。6
はヨー速度センサ(車両挙動検出手段)で、例えば、音
叉型のひずみゲージなどにコリオリ力を受けヨー速度の
検出を行う。7は横加速度(以下、横Gという)センサ
(車両挙動検出手段)で、例えば、片持ちはり型のひず
みゲージなどにて横力を受け横加速度の検出を行う。8
は車両挙動制御装置(制動制御手段)であり、各センサ
1〜7からの信号に基づいて車両挙動状態を読み取っ
て、ブレーキ油圧制御アクチュエータ13の各バルブ1
3a〜hの作動を制御することで、各車輪のホイルシリ
ンダ20への後述する油圧供給源の切り替え、ならびに
各ホイルシリンダ20へ供給されるブレーキ液圧の制御
を行い、各輪の制動力を制御している。また、同様に各
センサ1〜7からの各信号に基づいて要求エンジントル
クを算出し、エンジン制御装置9に要求エンジントルク
を送信している。
【0007】前記ブレーキ油圧制御アクチュエータ13
は、各輪のホイルシリンダ20に対してブレーキ液圧の
供給およびブレーキ液圧の制御を行うもので、ブレーキ
配管21,22,23の途中に設けられている。すなわ
ち、前記ブレーキ配管21〜23は、右前輪と左後輪の
ホイルシリンダ20,20を接続したブレーキ配管21
と、左前輪と右後輪のホイルシリンダ20,20を接続
したブレーキ配管22と、運転者のペダル操作に対応し
てブレーキ操作液圧を発生させるマスタシリンダ14と
各配管21,22とを結ぶブレーキ配管23とを有して
いる。そして、前記ブレーキ油圧制御アクチュエータ1
3は、前記ブレーキ配管21,22の途中に設けられ
て、各ホイルシリンダ20へ供給されるブレーキ液圧を
制御する油圧制御バルブ(制御バルブ)13a〜13d
と、車両挙動制御装置8の信号に応じて任意に圧力を上
昇できる制御用油圧源13iと、前記ブレーキ配管23
の途中に設けられて、各ブレーキ配管21に対する供給
液圧を、マスタシリンダ14で発生したブレーキ操作液
圧と制御用油圧源13iの液圧とのいずれにするかを切
り替える遮断バルブ13eおよび遮断バルブ13gと、
前記ブレーキ配管22に対して同様の切り替えを行う遮
断バルブ13fおよび遮断バルブ13hとにより構成さ
れ、車両挙動制御装置8の信号に応じて、片系統づつ単
独にホイルシンダ20に対する圧力供給源を切り替える
制御、ならびに各ホイルシリンダ20のブレーキ液圧の
制御を行う。なお、各遮断バルブ13e,13f,13
g,13hは、通常時は、マスタシリンダ14で発生し
たブレーキ操作液圧が各ブレーキ配管21,22に伝達
されるようにマスタシリンダ14側の遮断バルブ13
g,13hは開かれ、油圧供給ポンプ13i側の遮断バ
ルブ13e,13fは閉じられている。
【0008】15はエンジンの回転速度を検出するエン
ジン回転数センサ(車両挙動検出手段)であり、例え
ば、車輪速センサ1〜4と同様ピックアップコイルなど
により周波数信号を検出する。16はスロットル開度セ
ンサ(車両挙動検出手段)であり、例えば、ポテンショ
メータなどによりスロットル開度を電圧値に変換し、ア
ナログ信号として検出を行う。これらのセンサ15,1
6の信号と車両挙動制御装置8より送信される要求エン
ジントルクはエンジン制御装置9に入力され、要求エン
ジントルクを要求スロットル開度に変換し、スロットル
制御装置10へ送信する。スロットル制御装置10で
は、要求スロットル開度に見合ったモータ駆動電流をエ
ンジン12に取り付けられたスロットルアクチュエータ
11へ供給することによりエンジントルクの制御を行
う。以上説明した構成により、各種センサ1〜7,1
5,16により車両の挙動を検出し、各輪の駆動力およ
び各ホイルシリンダ20のブレーキ液圧を変化させ全車
輪のトルクを制御するトルク制御手段を構成している。
【0009】次に、図3〜11のフローチャートに基づ
いて車両運動制御装置8の制御動作を説明する。図3に
示す部分は、各種センサにより検出した車両挙動を示す
信号を処理する部分であり、まず、ステップ201で
は、各車輪速センサ1〜4からの入力に基づいて各車輪
の車輪速Vwを算出する。ステップ202〜203で
は、ヨー速度センサ6および横Gセンサ7からの入力に
基づいてヨー速度YAWおよび横GYG の算出を行う。
ちなみに、本実施例ではヨー速度YAWは、右旋回時に
正の値を示すよう構成されている。次に、ステップ20
4では、車体スリップ角BETAを演算する。この演算
にあたり、本形態では、 BETA=∫(1/Vi・YG +YAW) の式を用いて算出する。次に、ステップ205では、ス
テップ201において算出した各車輪速Vwから算出値
より車体速Viの算出を行う。ステップ206では、下
記の式(1)に基づいて各輪ごとにスリップ率SLIP
FR,SLIPFL,SLIPRR,SLIPRLを求める。
【0010】 SLIPxx=(Vwxx−Vixx)/Vixx ……(1) なお、式(1)のxxは各輪FR・FL・RR・RL を指す。次に、
ステップ207では、舵角センサ5からの入力に基づい
て舵角の算出を行う。ステップ208では、舵角および
車体速Viに基づいて、予め車両運動制御装置8に記憶
されているヨー速度目標値YAWSおよび車体スリップ
角目標値BETASの参照を行う。
【0011】ステップ209a,b,cは、ヨー速度目
標値YAWSとステップ202で算出したヨー速度YA
Wとの差、および、車体スリップ角目標値BETASと
ステップ204で算出した車体スリップ角BETAとの
差に、予め定めた重み定数K1 ,K2 ,K3 を加算し
て、車両運動を補正する指標(制御量)KFTとして算出
する流れである。すなわち、ステップ209aでは、ス
テップ207で算出した舵角絶対値に応じ、図15
(a)に示す予め設定されている定数特性に基づいて定
数K2 を設定するもので、この定数K2 は、舵角絶対値
の所定値までは舵角絶対値が大きいほど大きな値とな
る。また、ステップ209bでは、ステップ205で算
出した車体速Viに応じ、図15(b)に示す予め設定
されている定数特性に基づいて定数K3 を設定するもの
で、この定数K3 は、車体速Viの絶対値が大きくなる
につれて大きな値となる。ステップ209cでは、下記
の式に基づいて指標KFTを算出する。 KFT=K1 (YAWS−YAW)+K2 ×K3 (BET
AS−BETA) 上述のステップ209a,b,cは、舵角の絶対値およ
び車体速Viに応じ、これらの値が小さいほど、スリッ
プ角に乗ずる定数K2 ,K3 を小さくして、指標(制御
量)KFTが小さくなるようにしている。そして、この指
標(制御量)KFTが小さくなると、後述する前輪のスリ
ップ率目標値SLIPCTF の値が小さくなる。本実施の
形態では、前輪に制御圧をかけるのは、車両にヨーモー
メントを発生させる(つまり車両の回頭性を強める)場
合であり、このように前輪のスリップ率目標値SLIP
CTF を小さくする傾向に指標(制御量)KFTを制御する
ことで前輪に制動力を発生させない傾向が強くなる。ま
た、指標(制御量)KFTを小さな値にすると後述の後輪
のスリップ率目標値SLIPCTR が大きな値になる傾向
にあり、本実施の形態では後輪に制御圧をかけるのは、
車両のヨーモーメントを抑える場合であり、この場合、
アンダステア傾向が強くなる。以上のとおりであるの
で、舵角の絶対値が小さい時、すなわち運転者が舵を切
っていない時ほど、運転者の操舵意志を尊重して回頭性
を高める制御を実行し難くアンダステア傾向を強くし、
一方、舵角の絶対値が高くなるほど、回頭性を高める制
御を実行する傾向を高くすることになる。また、車体速
Viに関しては、車体速Viが高くなるほど、横Gの発
生時に即座に運動制御を実行する必要があるとともに、
高速走行時では、「うねり路」のような悪路において、
路面突起の乗り上げ周期が短くなって車両の慣性モーメ
ントにより横方向変動がちいさくなることから、回頭性
を高める制御を実行する傾向が強くなるようにしてい
る。
【0012】次に、図4に示すフローチャートは、右旋
回時における後述の前輪のスリップ率目標値SLIP
CTF や前後輪のスリップ率限界値SLIPCGR ,SLI
CGFを決定する部分であり、まず、ステップ210で
は、ヨー速度あるいは舵角などに基づいて右旋回か左旋
回かを判定し、右旋回と判断した時にはステップ211
に進み、左旋回と判断した時には図7のステップ222
に進む。ステップ211では、マスタシリンダ14を供
給源とするブレーキ配管系統として右前輪・左後輪の系
統であるブレーキ配管21を選択し、このブレーキ配管
21側のスリップ率をそれぞれ SLIPCnF =SLIPFR SLIPCnR =SLIPRL と設定する。そして、ステップ212では、左旋回オー
バステア状態フラグFOSRLおよび左旋回アンダステ
ア状態フラグFUSRLの両者をクリアする。次に、ス
テップ213では、現在の車両運動状態が右旋回オーバ
ステア状態であるか否か判定する。本実施の形態では右
旋回でのヨー速度を正としており、このステップ213
では、YAWS−YAW<−YWOBS、すなわち、ヨ
ー速度目標値YAWSからヨー速(絶対値)YAWを差
し引いた値が、オーバステア設定値−YWOBSよりも
小さいか否かを判定し、YESの場合、オーバステア状
態と判定してステップ214に進み、NOの場合、オー
バステア状態でないとしてステップ216に進む。本実
施の形態では、右旋回においてヨー速度絶対値が発生=
オーバステア状態と判断している。
【0013】ステップ214では、スリップ率目標値の
設定など行う処理Aを行う。すなわち、この処理Aで
は、供給油圧源を油圧供給ポンプ13iとする系統(以
下、この系統を制御系統という)であるブレーキ配管2
2の前輪のスリップ率目標値SLIPCTF 、および供給
油圧源をマスタシリンダ14とする系統(以下、これを
マスタシリンダ系統という)であるブレーキ配管21の
前後輪のスリップ率限界値SLIPCGF ・SLIPCGR
を下記式により算出している。
【0014】SLIPCTF =SLIPCnF −KFM×SL
IPCnR +(Slim /KFI)×KFT SLIPCGF =SLIPCGR =(KFI×SLIPMX−Slim ×KFT)/KFI−KRI ここで、KFM,KFI,KRI,Slim ,SLIPMXは車両
諸元から予め定めて特性値であり、 KFM:車両前後重量配分特性定数 KFI:車両前輪荷重・慣性特性定数 KRI:車両後輪荷重・慣性特性定数 Slim :スリップ率と制動力の関係が線形である最大ス
リップ率 SLIPMX:制御最大スリップ率 を意味している。次に、ステップ215では、現在の車
両状態を記憶するため、右旋回オーバステア状態フラグ
FOSRRのセットを行う。
【0015】一方、ステップ213で右旋回オーバステ
ア状態でないと判断された場合に進むステップ216で
は、現在の車両運動状態が右旋回アンダステア状態であ
るか否か判定する。すなわち、ステップ213とは逆
に、右旋回において、ヨー速度目標値YAWSからヨー
速度(絶対値)YAWを差し引いた値が、アンダステア
設定値YWUBSよりも大きくなった時、操舵している
にもかかわらずヨー速度YAWが発生しないアンダステ
ア状態と判断する。このステップ216の状態を満足し
たら右旋回アンダステア状態と判断してステップ217
に進み、それ以外では、アンダステア状態でないとして
ステップ222aに進む。
【0016】ステップ217では、制御系統であるブレ
ーキ配管22側の前輪のスリップ率目標値SLIPCTF
を決定する。このスリップ率目標値SLIPCTF の決定
は、|YAWS−YAW|あるいは|BETAS−BE
TA|値により予め定められた値を参照し決定する。こ
れは|目標値−検出値|が大きいほどコーナのトレース
性が悪化するため制動力を上げトレース性の向上を図る
ためである。ステップ218〜219では、ステップ2
17で算出したスリップ率目標値SLIPCTF にリミッ
タを設ける。これは後述のステップ220における制御
系統であるブレーキ配管22側の後輪のスリップ率目標
値SLIPCTR の算出では、前輪側のスリップ率目標値
SLIPCTF による制動力でのヨーモーメント減少を打
ち消し、かつ指標KFTによるヨーモーメントを発生させ
る制動力を出すためのスリップ率を算出するため、前輪
のスリップ率目標値SLIPCTF が大きすぎると、後輪
のスリップ率目標値SLIPCTR は極度に大きくなりタ
イヤ制動力の非線形域を使用することになってしまうこ
とを防止するためである。この処理では指標KFTに依存
して前輪のスリップ率目標値SLIPCTF を減少させる
よう下式により制限値を算出している。 SLIPCTF =KFI×SLIPMX+(Slim /KFI)×
FT
【0017】次に、ステップ220では、制御系統であ
るブレーキ配管22側の後輪のスリップ率目標値SLI
CTR およびマスタシリンダ系統であるブレーキ配管2
1側の前後輪のスリップ率限界値SLIPCGF ,SLI
CGR を次式により算出する処理Bを実行する。 SLIPCTR =SLIPCnR −KFM(SLIPCnF −S
LIPCTF )−(Slim /KFI)×KFT SLIPCGF =SLIPCGR =(KFI×SLIPCTF −KRI×SLIPMX−Slim ×
FT)/(KFI−KRI) これによりヨー速度偏差あるいはスリップ角偏差が大き
いほど制御系統の後輪のスリップ率SLIPCTR を大き
くして制動力が強くかかるよう作用させ、マスタシリン
ダ系統の前後輪のスリップ率SLIPCGF ,SLIP
CGR は制御系統の車輪による運動制御のバランスをくず
さないよう制動力の制限を行っている。次に、ステップ
221では、現在の車両状態を記憶するため、右旋回ア
ンダステアフラグFUSRRのセットを行う。なお、ス
テップ213およびステップ216の両条件を満足しな
い時は、右旋回ニュートラル状態と判断し、ステップ2
22aにおいて右旋回オーバステア状態フラグFOSR
Rおよび右旋回アンダステア状態フラグFUSRRのク
リアを行う。
【0018】図5は、図4のステップ210において左
旋回時と判断された時に進んで処理を行う部分であり、
図4で説明した右旋回時の制御と各種信号の正負の違い
はあるが、その処理の内容は同様であるので詳細な説明
は省略する。ちなみに、左旋回の場合、ブレーキ配管2
1が制御系統となりブレーキ配管22がマスタシリンダ
系統となる。
【0019】図6に示すフローチャートは、2系統のブ
レーキ配管21,22に対する供給油圧源を油圧供給ポ
ンプ13iとするかマスタシリンダ14とするかを切り
替える制御を行う部分であり、まず、ステップ234〜
235において、前述のステップで処理を行った右旋回
オーバステア状態フラグFOSRRおよび右旋回アンダ
ステア状態フラグFUSRRのチェックを行い、FOS
RR=1の時に左前輪に制動力をかけオーバステアモー
メントをキャンセルし、また、FUSRR=1の時に右
後輪に制動力をかけオーバステアモーメントを発生させ
るために、左前輪・右後輪系統のブレーキ配管22の供
給油圧源を油圧供給ポンプ13iとすべくステップ23
7に進んで、図2に示す遮断バルブ13fを開き、同系
統の遮断バルブ13hを閉じる。また、ステップ234
〜235において各フラグFOSRR,FUSRRがク
リアでNOと判定された時には、ステップ236に進ん
で、右旋回方向制御要求がないためブレーキ配管22の
油圧供給源をマスタシリンダ14とすべく遮断バルブ1
3fを閉じ、同系統の遮断バルブ13hを開ける。
【0020】次に、ステップ238〜239において、
右旋回時と同様にして左旋回オーバステア状態フラグF
OSRLおよび左旋回アンダステア状態フラグFUSR
Lのチェックを行い、いずれかのフラグがセットされて
いる時には、ステップ241に進んで右前輪・左後輪の
系統のブレーキ配管21の油圧供給源を油圧供給ポンプ
13iとすべく、遮断バルブ13eを開き、同系統の遮
断バルブ13gを閉じる。また、ステップ238〜23
9において、フラグクリアの時には、ブレーキ配管21
の油圧供給源をマスタシリンダ14とすべく、ステップ
240に進んで遮断バルブ13eを閉じ、遮断バルブ1
3gを開ける。以上説明したステップ234〜241の
制御によりヨーモーメント制御(車両運動制御)の実行
時は、2系統のブレーキ配管21,22のうちで一方の
系統の配管の油圧供給源は油圧供給ポンプ13iとな
り、他方の系統の配管の油圧供給源はマスタシリンダ1
4となる。したがって、運転者がブレーキ操作を行った
時には、ブレーキ配管21,22のうち少なくとも一方
の系統の配管にはマスタシリンダ14で発生したブレー
キ操作液圧が、その系統のホイルシリンダ20に供給さ
れる技術的手段を実現している。
【0021】図7はオーバステア状態と判断した時にお
ける前記制御系統のブレーキ液圧制御について示してい
る。まず、ステップ242〜243において、右旋回オ
ーバステア状態および左旋回オーバステア状態の判断を
行い、右旋回オーバステア状態フラグが1である時ステ
ップ244に進み、右後輪減圧制御および左前輪油圧制
御量算出ルーチンへ移る。まず、ステップ244では、
右旋回オーバステア状態フラグFOSRRの前回値を参
照し、本演算周期において初めて右旋回オーバステア状
態の判断が行われたか否の判断を行う。本演算周期にて
初めて判断された場合(YESの場合)、ステップ24
5に進んで減圧カウンタTOSRVをセットする。初め
て判断されたのではない場合(NOの場合)、ステップ
246に進んで減圧カウンタTOSRVを減算処理す
る。次に、ステップ247では、減圧カウンタTOSR
Vが零を上回るか否かを判定し、YESすなわち零を上
回る場合にはステップ248に進んで右後輪側の油圧制
御バルブ13dに減圧信号を与え、一方、ステップ24
7においてNOすなわち減圧カウンタTOSRVが零以
下の場合にはステップ249に進んで油圧制御バルブ1
3dに保持信号を与える。以上説明したように、ステッ
プ244〜248では、ブレーキ配管22の油圧供給源
を油圧供給ポンプ13i側に切り替えた際に、右後輪の
ホイルシリンダ20の油圧を所定時間COSRVだけ減
圧して十分抜いた後(すなわち、油圧を零にした後)、
その油圧(零)に保持する。
【0022】次に、ステップ250に進み、ステップ2
14において算出した現在の左前輪のスリップ率目標値
SLIPCTF と、ステップ206において算出した現在
の左前輪のスリップ率SLIPFLとの差に、予め定めら
れた制御ゲインKGCTF を乗じ、前輪の制御油圧要求値
PCTFを求める。
【0023】ステップ251〜257は、ステップ24
3において左旋回オーバステア状態であるとの判断を行
った時の制御であり、ステップ244〜250と同様の
制御(左右の違いのみ)を行うことで、左後輪のホイル
シリンダ20の油圧を零にして保持するとともに、前輪
の制御油圧要求値PPCTFを右前輪のスリップ率目標値S
LIPCTF ならびにスリップ率SLIPFLに基づいて算
出する流れを示している。
【0024】ステップ258〜269は、ステップ25
0あるいは257において算出した前輪の制御油圧要求
値PPCTFに基づいて各油圧制御バルブ13a,13bの
駆動を行う手順を示しており、まず、ステップ258で
は、制御油圧要求値PPCTFが予め定めた増圧しきい値P
ZCTFを下回るか否かの判断を行い、YESすなわち
下回ると判断した時には、前輪のスリップ率目標値SL
IPCTF がスリップ率SLIPFLあるいはSLIPFR
りも小さく更に制動をかける要求がある場合であると判
断して、ステップ259に進んで増圧インターバルカウ
ンタTZCTF を加算する一方、減圧インターバルカウン
タTGCTF をリセットする。ステップ260では、増圧
インターバルカウンタTZCTF が予め定められたインタ
ーバル時間TINTを上回るか否かを判定し、YESす
なわち上回る時にはステップ261に進み、NOすなわ
ちインターバル時間TINT以下ではステップ269に
進む。ステップ261では、制御油圧要求値PPCTFにパ
ルス変換係数PGAINを乗じて増圧出力パルスを算出
するとともに、増圧インターバルカウンタTZCTF をク
リアし、その後、ステップ262に進んで、右旋回オー
バステア状態の時(FOSRR=1の時)左前輪の油圧
制御バルブ13aを増圧出力パルス分だけ増圧駆動し、
左旋回オーバステア状態の時(FOSRL=1の時)右
前輪の油圧制御バルブ13bを同様に駆動する。ステッ
プ260においてNOと判断された場合、まだ増圧要求
ではないとしてステップ269に進んでホイルシリンダ
20の油圧を保持するよう油圧制御バルブ13aあるい
は13bを油圧保持動作させる。
【0025】一方、ステップ263〜267は、減圧側
の動作であり、すなわち、前輪のスリップ率目標値SL
IPCTF がスリップ率SLIPFLあるいはSLIPFR
りも大きい場合、制動力を減少する要求があると判断し
て、減圧インターバル時間TGCTF 毎に減圧出力を行う
手順を示している。また、ステップ258,263にお
いていずれの条件にも当てはまらない時には、スリップ
率SLIPFLあるいはSLIPFRがスリップ率目標値S
LIPCTFの近傍にあり増減圧要求がないとして、ステ
ップ268に進んで増圧インターバルカウンタTZCTF
ならびに減圧インターバルカウンタTGCTF をクリア
し、ステップ269に進んで保持出力を行う。以上ステ
ップ242〜269の制御によりオーバステア状態であ
ると判断した時には、ブレーキ配管21,22のうち制
御系統の配管の後輪側のホイルシリンダ20の油圧を零
とし、この制御系統の前輪側のホイルシリンダ20の油
圧を、その前輪のスリップ率がスリップ率目標値SLI
CTF に収束する制御することを実現している。これに
よりオーバステア状態の時には、前輪の制動力によって
オーバステアモーメントを減じ、後輪にあってはホイル
シリンダ20の油圧が零のため、車体速と車輪速の一致
性が高くなり、精度の高い車体速の推定が可能となって
いる。
【0026】図8および図9はアンダステア状態判断時
におけるマスタシリンダ系統(油圧供給源をマスタシリ
ンダ14とした系統)のブレーキ油圧制御について示し
ている。ステップ270〜271では、右旋回アンダス
テア状態あるいは左旋回アンダステア状態であるか否か
の判断を行い、右旋回アンダステア状態と判断された時
には、ステップ272に進み、制御系統の前輪のスリッ
プ率目標値SLIPCTFと左前輪のスリップ率SLIP
FLとの差に制御ゲインKGCTF を乗じて前輪の制御油圧
要求値PPCTFを求め、かつ、後輪のスリップ率目標値S
LIPCTR と右後輪のスリップ率SLIPRRとの差に制
御ゲインKGCTR を乗じて後輪の制御油圧要求値PPCTR
を求める。また、ステップ271において左旋回アンダ
ステア状態と判断された時には、ステップ273に進ん
で、ステップ272と同様に前後のスリップ率目標値S
LIPCTF ,SLIPCTR と右前輪のスリップ率SLI
FR,左後輪のスリップ率SLIPRLおよび制御ゲイン
KGCTF ,KGCTR を用いて前後輪の制御油圧要求値P
PCTF,PPCTRを算出する。
【0027】ステップ274〜297は、前後輪の制御
油圧要求値PPCTF,PPCTRに基づいて各油圧制御バルブ
13a〜13dの駆動制御を行う手順を示したものであ
り、既に図7のフローチャートのステップ258〜26
9により説明したのと同様の手順によって各輪のホイル
シリンダ20の油圧の制御を行うものである。これによ
り、アンダステア状態と判断した時には、前輪の制動力
によって車速を落とし、カーブのトレース性を向上さ
せ、さらに、後輪の制動力によってオーバステアモーメ
ントを発生させ、カーブでの車両の回頭性を向上してい
る。
【0028】図10は、ブレーキ配管21,22のうち
の一方をマスタシリンダ系統とした場合のブレーキ油圧
の制御について示している。まず、ステップ299にお
いて、ステップ214,220,225,231の処理
A,Bにより決定されたマスタシリンダ系統の前輪のス
リップ率限界値SLIPCGF とステップ211,222
により決定された前輪のスリップ率SLIPCnF とを比
較し、スリップ率SLIPCnF がスリップ率限界値SL
IPCGF を下回った時には、運転者がブレーキを操作を
行ってホイルシリンダ20へ供給されたブレーキ操作油
圧がスリップ率限界値以上を保てる圧力よりも大きくな
って制動力を減少する必要がある状況であると判断し、
それに続くステップ300においてブレーキ減圧制御実
行カウンタTABSCnF に予め定められた所定値TAB
Sをセットし、さらにステップ301において減圧制御
フラグFABSCnF をセットする。
【0029】一方、ステップ299においてスリップ率
SLIPCnF がスリップ率限界値SLIPCGF 以上と判
断した時は、ステップ302に進み、ブレーキ減圧制御
実行カウンタTABSCnF の減算を行う。次に、ステッ
プ303に進み、ブレーキ減圧制御実行カウンタTAB
CnF が零以下の時、すなわち、前輪のスリップ率SL
IPCnF が前輪のスリップ率限界値SLIPCGF を上回
り、後段のステップ309〜312による増圧を所定時
間行ってもスリップ率SLIPCnF がスリップ率限界値
SLIPCGF を下回らない時には、運転者がブレーキを
解除しマスタシリンダ14によるブレーキ操作油圧が下
がったと判断し、ステップ304において減圧制御フラ
グFABSCnF をクリアする。ブレーキ減圧制御実行カ
ウンタTABSCnF が零の時は、まだ、後記ステップ3
09〜312による増圧が不充分であり、マスタシリン
ダ14におけるブレーキ操作油圧が下がっているか不確
定のため制御を続行する。以上ステップ299〜304
の操作により、減圧制御フラグFABSCnF のセットあ
るいはクリアを行う。
【0030】続くステップ305では、油圧制御実行判
断を行う。すなわち、減圧制御フラグFABSCnF がク
リアの時は、マスタシリンダ14におけるブレーキ操作
油圧が直接ホイルシリンダ20にかかってもスリップ率
SLIPCnF がスリップ率限界値SLIPCGF 以内に納
まるため、ステップ306においてスリップ率SLIP
CnF にあたる油圧制御バルブ13aあるいは13bを増
圧出力、すなわち通常のブレーキ状態とする。
【0031】一方、減圧制御フラグFABSCnF がセッ
トされている時は、減圧制御を実行するとしてステップ
307に進み、スリップ率限界値SLIPCGF とスリッ
プ率SLIPCnF との差に制御ゲインKGCnF を乗じて
前輪の制御液圧要求値PPOnFを求め、以降ステップ30
8〜319の制御により、スリップ率SLIPCnF がス
リップ率限界値SLIPCGF を上回らないよう前輪のホ
イルシリンダ20の油圧を制御する。以上説明したステ
ップ299〜319の制御により、オーバステア状態、
あるいはアンダステア状態に対応した制御中に運転者が
ブレーキ操作を行って、スリップ率SLIPCnF がスリ
ップ率限界値SLIPCGF を下回った場合、制動力を減
少させてヨーモーメントを制御している。なお、本実施
の形態ではマスタシリンダ系統の制御について前輪の制
御例を説明したが、後輪についてもスリップ率限界値S
LIPCGR とスリップ率SLIPCnR を用いて前輪と同
様の減圧制御を実行する。以上説明した図10のフロー
チャートに示す制御により、前述の制御系の制動制御に
よる制御バランスを崩さないようにしながら、運転者の
ブレーキ操作によりマスタシリンダ14で発生したブレ
ーキ操作油圧によるマスタシリンダ系統の制動制御が行
える。
【0032】上述のように構成した実施の形態では、車
両がオーバステア状態あるいはアンダステア状態となる
と、前者の場合ヨーモーメントを抑え、後者の場合ヨー
モーメントを発生させるだけの制動力が得られるよう、
図11(a)に示すように、車両の挙動に応じた分だ
け、すなわち、前記指標KFTに応じた分だけ増圧するよ
うにスリップ率目標値SLIPCTF を決定して、これに
見合った油圧を、制御系統のブレーキ配管21または2
2の一方にのみ油圧供給ポンプ13iから供給する。具
体的には、例えば、左旋回時にオーバステア状態となっ
た時には、図12(a)に示すように右前輪FRの制動
力によりヨーモーメントを抑える。一方、左旋回時にア
ンダステア状態となった時には、図12(b)に示すよ
うに、左後輪RLの制動力によりヨーモーメントを発生
させる。次に、このような車両姿勢の制御途中におい
て、運転者がブレーキ操作を行った場合、それが緩いブ
レーキ操作、すなわち前輪のスリップ率SLIPCnF
スリップ率限界値SLIPCGF よりも小さな操作を行っ
た場合には、図11(b)に示すように、マスタシリン
ダ系統のブレーキ配管21または22の一方には、ブレ
ーキ操作に応じてマスタシリンダ圧をそのまま伝達させ
るとともに、制御系統のブレーキ配管22または21に
は、車両挙動による増圧分である指標KFTに応じた圧力
に、マスタ系統のスリップ率SLIPCnF の分だけ上乗
せしてスリップ率目標値SLIPCTF を決定する。この
場合、ブレーキ操作中と非ブレーキ操作中とで車両姿勢
制御中の両系統のブレーキ配管21,22におけるスリ
ップ率目標値CnF,CTFの差、すなわち車両に発生させ
るヨーモーメントのバランスが変化することがないか
ら、車両姿勢が乱れない。また、上記制御中に運転者が
急ブレーキ操作を行った場合、すなわち前輪のスリップ
率SLIPCnF がスリップ率限界値SLIPCGF よりも
大きな操作を行った場合、マスタシリンダ系統の車輪が
スリップしないようにするために、図11(c)に示す
ようにスリップ率SLIPCnF がスリップ率限界値SL
IPCGF を越えないよう制御バルブ13a,13dまた
は13b,13cを制御し、また、制御系統では、その
分だけ液圧を上乗せしてバランスをとるが、この時、ス
リップ率目標値SLIPCTF が制御最大スリップ率SL
IPMXを越えることのないように制御することで、ヨー
モーメントを最適に制御する。ちなみに、図12におい
てマスタシリンダ系統(図においては左前輪FL,右後
輪RR)の制動力を点線で示している。一般的には、車
輪のスリップ率が所定値を越えるとサイドフォースの変
化が小さくなって所望の旋回モーメントを発生させるこ
とができなくなるが、本実施の形態では、上述のよう
に、スリップ率に制限を設けている結果、このように所
望の旋回モーメントが得られなくなる不具合が生じるこ
とがなく、また、車輪ロックが生じることもない。
【0033】さらに、本実施の形態では、運転者が舵を
切っていなければ(舵角が小さいほど)、あるいは、車
体速Viが低いほど、指標KFTの値が小さくなって、オ
ーバステア回避制御を実行し難くなる。その結果、図1
3の「うねり路」走行状態において、車両の傾きにより
重力成分の分力により横Gセンサ7が横Gを検出したと
しても、各回避制御(運動制御)が実行され難いととも
に、スポーツ走行時に図14に示すような斜行を行って
いても運転者の意志に反して各回避制御による回頭がな
され難い。一方、舵角の絶対値が大きいか、あるいは車
体速度Viが高い場合には、上記とは逆に、指標KFT
値が大きくなって、制御応答性が高くなる。
【0034】以上実施の形態について説明したが、本発
明はこの実施の形態に限定されるものではない。例え
ば、実施の形態では、2系統のブレーキ配管をX状に設
けて、各回避制御(運動制御)を実行する際には、その
ブレーキ配管の1系統のみを制御系統として他の系統は
マスタシリンダ液圧を供給できるマスタシリンダ系統と
する形態を示したが、従来技術のように2系統とも制御
液圧を供給するようにしたものにもちろん本発明を適用
することができる。また、実施の形態では、舵角絶対値
によりスリップ角ゲインを変化させるようにした形態を
示したが、横Gゲインのみあるいは両方のゲインを変化
させるようにしてもよいし、あるいは、各ゲインの少な
くとも一方を請求項3に記載しているようにヨーレイト
絶対値に応じて変化させるようにしてもよい。
【0035】
【発明の効果】 以上説明してきたように、請求項1に
記載の発明では、制動制御手段は、車両挙動検出手段か
ら得られる舵角絶対値により制御量算出時のスリップ角
ゲインあるいは横方向加速度ゲインの少なくとも1つを
変化させるように構成したため、このゲインの変化分だ
け制御量が変化し、これに応じてヨーモーメントを抑え
たり発生させる方向に制動力を生じさせる運動制御の実
行量が変化するもので、舵角の絶対値の小さな直進走行
時あるいはスポーツ走行による斜行時に制御量を小さく
して、横Gの誤検出による誤作動の発生を防止したり、
運転者の意志に反した制御がなされるのを防止すること
ができるという効果が得られる。請求項2記載の発明で
は、舵角絶対値が小さいほど制御量が小さくなる方向に
ゲインを変化させるように構成したため、舵角の絶対値
が小さい場合には、運転者に舵を切る意志がないとし
て、車両の向きを変えるような運動制御を実行し難く
し、これにより、運転者の意志に反する制御がなされ難
くなるとともに、「うねり路」走行時などに車体が傾く
ことで横Gセンサが横Gを検出したとしても運動制御が
実行され難く、横Gの誤検出による誤作動が発生する可
能性が低くなるという効果が得られる。また、請求項3
記載の発明にあっては、制動制御手段は、車両挙動検出
手段から得られるヨーレイト絶対値により制御量算出時
のスリップ角ゲインあるいは横方向加速度ゲインの少な
くとも1つを変化させるよう構成したため、このゲイン
の変化分だけ制御量が変化し、これに応じてヨーモーメ
ントを抑えたり発生させる方向に制動力を生じさせる運
動制御の実行量が変化するもので、ヨーレイトの絶対値
の小さな直進走行時あるいはスポーツ走行による斜行時
に制御量を小さくして、横Gの誤検出による誤作動の発
生を防止したり、運転者の意志に反した制御がなされる
のを防止することができるという効果が得られる。請求
項4記載の発明では、ヨーレイト絶対値が小さいほど制
御量を小さくする方向にゲインを変化させるように構成
したため、「うねり路」走行時などに車体が傾くことで
横Gセンサが横Gを検出したとしても運動制御が実行さ
れ難く、横Gの誤検出による誤作動が発生する可能性が
低くなり、また、スポーツ走行などで斜行している時
に、運動制御が実行されて運転者の意志に反して回頭さ
れるということがない。請求項5記載の発明では、ゲイ
ンが車速に依存して変化するように構成したため、ゲイ
ンを高車速であるほど制御量を増加させる方向に変化さ
せて制御応答性を高くさせることができるという効果が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を示すクレーム対応図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す全体図である。
【図3】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図4】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図5】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図6】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図7】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図8】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図9】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図10】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図11】実施の形態の動作を示す説明図である。
【図12】実施の形態の動作を示す説明図である。
【図13】実施の形態の動作を示す説明図である。
【図14】車両の動作を示す説明図である。
【図15】定数特性図である。
【符号の説明】
a 車両挙動検出手段 b ホイルシリンダ c ブレーキ配管 d 制御用液圧源 e 制御バルブ f 制動制御手段 1〜4 車輪速センサ 5 舵角センサ 6 ヨー速度センサ 7 横加速度センサ 8 車両挙動制御装置 9 エンジン制御装置 10 スロットルバルブ制御装置 11 スロットルアクチュエータ 12 エンジン 13 エンジン油圧制御アクチュエータ 13a〜d 油圧制御バルブ 13e〜h 遮断バルブ 13i 油圧供給ポンプ 14 マスタシリンダ 15 エンジン回転数センサ 16 スロットル開度センサ 20 ホイルシリンダ 21 ブレーキ配管 22 ブレーキ配管

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の挙動を検出する車両挙動検出手段
    と、 ブレーキ配管に接続されてブレーキ操作とは独立してホ
    イルシリンダの液圧を上昇させることのできる制御用液
    圧源と、 各ホイルシリンダへの供給液圧を独立に制御可能な制御
    バルブと、 前記車両挙動検出手段からの入力に基づいて制御用液圧
    源からブレーキ配管への液圧供給および前記制御バルブ
    の作動を制御する制動制御手段とを備え、 前記制動制御手段は、車両挙動検出手段で検出車両状態
    に応じて制御量を算出し、この制御量に見合った量だけ
    車両のヨーモーメントを抑える方向あるいはヨーモーメ
    ントを発生させる方向に制動力を生じさせて車両の運動
    状態を制御する運動制御を実行するよう構成された車両
    運動制御装置において、 前記制動制御手段は、車両挙動検出手段から得られる舵
    角絶対値により制御量算出時のスリップ角ゲインあるい
    は横方向加速度ゲインの少なくとも1つを変化させるよ
    う構成されていることを特徴とする車両運動制御装置。
  2. 【請求項2】 前記制動制御手段は、舵角絶対値が小さ
    いほど制御量を小さくする方向にゲインを変化させるこ
    とを特徴とする請求項1記載の車両運動制御装置。
  3. 【請求項3】 車両の挙動を検出する車両挙動検出手段
    と、 ブレーキ配管に接続されて前記ブレーキ操作とは独立し
    てホイルシリンダの液圧を上昇させることのできる制御
    用液圧源と、 各ホイルシリンダへの供給液圧を独立に制御可能な制御
    バルブと、 前記車両挙動検出手段からの入力に基づいて制御用液圧
    源からブレーキ配管への液圧供給および前記制御バルブ
    の作動を制御する制動制御手段とを備え、 前記制動制御手段は、車両挙動検出手段で検出車両状態
    に応じて制御量を算出し、この制御量に見合った量だけ
    車両のヨーモーメントを抑える方向あるいはヨーモーメ
    ントを発生させる方向に制動力を生じさせて車両の運動
    状態を制御する運動制御を実行するよう構成された車両
    運動制御装置において、 前記制動制御手段は、ヨーレイト絶対値により制御量算
    出時のスリップ角ゲインあるいは横方向加速度ゲインの
    少なくとも1つを変化させるよう構成されていることを
    特徴とする車両運動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記制動制御手段は、ヨーレイト絶対値
    が小さいほど制御量を小さくする方向にゲインを変化さ
    せることを特徴とする請求項3記載の車両運動制御装
    置。
  5. 【請求項5】 前記ゲインが車速に依存した特性を有す
    ることを特徴とする請求項1ないし4記載の車両運動制
    御装置。
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