JPH10166565A - 画像記録物形成方法及び画像記録物 - Google Patents

画像記録物形成方法及び画像記録物

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JPH10166565A
JPH10166565A JP35181996A JP35181996A JPH10166565A JP H10166565 A JPH10166565 A JP H10166565A JP 35181996 A JP35181996 A JP 35181996A JP 35181996 A JP35181996 A JP 35181996A JP H10166565 A JPH10166565 A JP H10166565A
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water
resin
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JP35181996A
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English (en)
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Tadaki Inamoto
忠喜 稲本
Shinichi Tochihara
伸一 栃原
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノズル詰まりを生じることなく、マイグレー
ション現象を抑制して良好な画像品位を保ち、且つ画像
形成後のインク受容層の表面に樹脂被覆層を設けた場合
にも被覆層の膨れや剥離、濁り等を生じることのない、
得られる画像記録物の、耐水性、耐光性、耐擦傷性等の
耐久性等の諸特性をバランスよく同時に満足し得る画像
記録物形成方法を提供すること。 【解決手段】 色材として顔料を含有する液状インクを
所定の情報に応じた液滴にして吐出させて被記録媒体上
に画像を形成した後、該被記録媒体の少なくとも一部に
実質的に透明な樹脂を被覆して樹脂被覆層を形成して画
像記録物を得る画像記録物形成方法において、画像形成
後に被記録媒体を水洗することを特徴とする画像記録物
形成方法及び該方法により得られた画像記録物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットに
よる画像記録物形成方法及び画像記録物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェット記録に用いられる
被記録媒体としては、良好な画像品位を得るために、表
面にインク受容層を設けたものが多数知られている。し
かし、インク受容層が設けられている被記録媒体では、
インク受容層の性質としてインク吸収性を要するため、
水性インクを用いるインクジェット記録方法で画像を形
成すると、どうしても形成された画像の耐水性が劣ると
いう問題がある。
【0003】この問題を解決するため、種々の提案がな
されている。インク受容層自体に耐水性を付与したもの
としては、例えば、特開昭63−221077号公報、
特開平5−221112号公報、特開平5−26202
8号公報、特開平7−1828号公報等に記載されてい
るような、アセタール変性ポリビニルアルコールからな
るインク受容層を設けた記録シートや、特開昭57−1
02391号公報に記載されているような、ポリビニル
アルコールとポリビニルブチラールからなる記録シート
がある。更に、特開昭58−89391号公報に記載さ
れている水溶性樹脂を架橋したことを特徴とした記録シ
ート、特開平2−67177号公報に記載されている架
橋したポリビニルアルコールを受容層に設けた記録シー
ト、或いは、特開平7−40649号公報に記載されて
いるラジカル重合性二重結合を有するモノマーの硬化物
や、特開平8−18455号公報に記載されている光重
合性二重結合を有するカチオン系合成樹脂等を含む樹脂
組成物の硬化物を利用すること等が知られている。
【0004】又、得られる画像記録物の、耐水性、耐光
性及び耐擦傷性等の画像耐久性の向上を目的としたもの
としては、画像形成後の被記録材表面に保護層を設るこ
とが開示されている。例えば、画像記録物の上に各種プ
ラスチックフィルムをラミネートする方法が、特開昭6
2−56184号公報、特開昭62−59076号公
報、特開昭62−60683号公報、特開昭62−20
2794号公報、特開昭62−273889号公報、特
開昭62−273890号公報、特開昭62−2800
85号公報、特開昭62−280086号公報等に開示
されている。
【0005】又、特開昭53−50744号公報、特開
昭59−196285号公報、及び特開昭59−201
891号公報には、インク受容層中に熱可塑性有機高分
子微粒子を含有させておき、インク吸収性を保った状態
で印字を行った後、上記微粒子を熱や溶剤により溶融、
溶解して樹脂皮膜を表面に形成して保護皮膜とする方法
が記載されており、又、特開平1−141782号公
報、特開平2−194958号公報には、印字後にポリ
イソシアネート系化合物やアクリルウレタン系樹脂を塗
布して保護層を設けることが記載されている。その後、
フィルムで覆うことも開示されている。更に、被記録材
への記録手段としてインクジェット記録方法を用いたも
のとしては、特開平7−72325号公報に、カラーフ
ィルターの製造方法において、インクジェット記録後の
被記録媒体上に透明保護膜を設け耐久性を上げることが
開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】インクジェット記録方
式は騒音が少なく、高速で多色印字且つ大面積の画像が
得られることから、近年急速に普及している。そこで用
いられるインクは、安全性、臭気、印刷特性の問題から
水系のものが広く使用されている。又、その際の被記録
材としては、普通紙やコート紙、プラスチックフィルム
上にインク吸収性の所謂インク受容層なるものを塗工し
たものが一般に使用されている。
【0007】そして、インクジェット記録方式の普及に
伴い、この方式で作成した画像記録物に対しても、より
高度で広範な特性が要求されるようになってきた。即
ち、高度の耐水性、耐湿性、耐光性、耐擦傷性等の特性
が要求されている。従来これらの要求を満足させるため
にいくつかの手法が試みられているが、その一つに、イ
ンク受容層自体を耐水性のある材料で形成する方法があ
る。しかし、インク受容層は、良好な画像品位を得るこ
とを第一の目的としているため、高インク吸収率、即
ち、高吸水率の性質が要求される。従って、このような
従来のインク受容層では、良好な画像品位を達成させる
画像形成能と、耐水性を有する高強度の皮膜という相反
する要求を満足させることはできなかった。
【0008】又、熱可塑性有機高分子微粒子をインク受
容層に含有させて、印字後に熱や溶剤を作用させること
により表面に透明な樹脂皮膜を形成する方法もあるが、
ここでは皮膜形成時に印字品位が劣化するという問題が
生ずる。更に、この方法では完全にインク受容層を覆う
ことも難しく、完全な耐水性を得るには至っていない。
又、他の方法として印字後にフィルムをラミネートする
方法もあるが、この方法では被記録媒体とフィルムとの
間での剥離の問題が生じる。
【0009】ところで、水性インクを使用するインクジ
ェット記録の場合、インクジェット記録ヘッドのノズル
先端における乾燥防止を主目的として、インク中に水溶
性の高沸点溶剤を添加することが行われている。このよ
うな水性染料インクを用いて記録を行った場合は、イン
ク中に含まれる水溶性高沸点溶剤が受容層に残った状態
となるので、保存時における染料分子の移動、即ち、マ
イグレーションと言われる現象を完全に抑えることがで
きない。
【0010】又、画像形成後のインク受容層を、ポリイ
ソシアネート系化合物やアクリルウレタン系樹脂で被覆
処理する方法や、更に処理後にフイルムをラミネートす
る方法でも、上記した染料のマイグレーションを完全に
抑えることはできない。又、インク非吸収性の被記録媒
体の表面にインク受容層を設け、印字後にこのような被
覆処理を行った場合は、特にインク打ち込み量が多い部
分において、インク中に含まれている高沸点溶剤の作用
によって、被覆層の膨れや剥離、濁りが生じることも判
った。これに対し、この膨れを抑えるために被覆層を厚
くすると、コストがかかる上に、被記録媒体の変形が発
生する場合があり得策ではない。
【0011】一方、カラーフィルターを製造する場合に
行われるインクジェット記録では、用途が限定され、多
色を重ね合わせて印字する必要がなく、且つインクの打
ち込み量も少なくてすむため、インク中に水溶性の高沸
点溶剤を添加せずに、印字物中に、これらの溶剤成分が
残らない工夫をしている。しかし、このようなインクを
使用する場合には、インクジェット記録ヘッドの安定的
な吐出を維持するための特別の回復機構が必要となる
が、これを安価な記録物に適用するのはコストの面から
難しい。
【0012】従って、本発明の目的は、ノズル詰まりを
生じることなく、マイグレーション現象を抑制して良好
な画像品位を保ち、且つ画像形成後のインク受容層の表
面に樹脂被覆層を設けた場合にも被覆層の膨れや剥離、
濁り等を生じることのない、得られる画像記録物の、耐
水性、耐光性、耐擦傷性等の耐久性等の諸特性をバラン
スよく同時に満足し得る画像記録物形成方法を提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的は以下の本発
明によって達成される。即ち、本発明は、色材として顔
料を含有する液状インクを所定の情報に応じた液滴にし
て吐出させて被記録媒体上に画像を形成した後、該被記
録媒体の少なくとも一部に実質的に透明な樹脂を被覆し
て樹脂被覆層を形成して画像記録物を得る画像記録物形
成方法において、画像形成後に被記録媒体を水洗するこ
とを特徴とする画像記録物形成方法及び該方法により得
られた画像記録物である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、好ましい実施の形態を挙
げて、本発明を更に詳細に説明する。本発明の画像記録
物形成方法で使用する被記録媒体は、その画像形成表面
がインク非吸収性の場合に好ましく用いられるが、被記
録媒体表面に、特にインク受容層が設けられていないも
のであってもよいし、インク受容層が設けられた被記録
媒体であってもよい。本発明においては、特に、耐水性
基材表面に耐水性のインク受容層が設けられた被記録媒
体が好適に用いられる。以下、本発明で使用する被記録
材料について具体的に説明する。
【0015】本発明の画像記録物形成方法においては、
被記録媒体の基材として、例えば、金属、ガラス、陶磁
器、ポリエステル、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポ
リカーボネート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、
酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン等のイ
ンク非吸収性の耐水性基材が用いられる。
【0016】これらの基材上にインク受容層を設けずに
直接印字する場合は、形成する画像の印字密度が比較的
高くないことが好ましい。又、この場合には、印字する
際に基材を加熱する等して、インク中の揮発性溶媒を速
やかに除去し、印字したインク滴の移動を抑えることが
必要になる。
【0017】一方、上記したような基材上にインク受容
層が設けられた被記録媒体を使用する場合には、後に行
う水洗工程で、溶解や剥離等の問題が発生しない程度の
耐水性をインク受容層に付与しておくことが好ましい。
このようなインク受容層としては、先に述べた従来公知
のインク受容層自体に耐水性を付与したものがいずれも
適用できるが、特に、高デューティーの印字が可能で、
且つ水洗工程に対する耐性も良好な以下のものが好適で
ある。即ち、変性ポリビニルアルコールであって、その
分子構造中にアセタール化部分と、アセチル基及び水酸
基とを有するポリビニルアセタール樹脂成分を少なくと
も含有するインク受容層が、本発明においては特に好適
である。
【0018】これらの樹脂成分を用いて基材上にインク
受容層を形成する方法としては、樹脂成分が熱可塑性樹
脂の場合には、高温で溶融状態にして直接塗布してもよ
いが、一般的には、塗布する樹脂の構成原料(未反応
物)、或いはその溶剤稀釈液、エマルジョン或いはコロ
イド状態にしたものを、スプレーコート、カーテンコー
ト、浸漬、ワイヤーバーコート、アプリケーターコー
ト、スピンコート、ロールコート、電着コート、刷毛塗
り等の方法により塗布した後、溶剤を乾燥除去、必要で
あれば硬化反応を行ってインク受容層を形成する。
【0019】本発明の画像記録物形成方法においては、
色材として顔料を含有する液状インクを用いるが、好ま
しくは水性液状インクを用いる。色材として顔料を用い
る理由は、第一に、顔料は染料に比べて耐光性が良好で
あり、第二に、非水溶性の色材であることが挙げられ
る。即ち、顔料は水に不溶であり、インク状態の場合に
は分散剤によって液媒体中に分散されているが、印字後
の被記録媒体上においては、液媒体の蒸発や分散剤の不
溶化等の理由によって分散破壊を起こし、分散破壊を起
こした状態では顔料は本来の水不溶性となるので、本発
明において画像形成後に行われる被記録媒体の水洗が可
能となる。
【0020】本発明で使用し得る顔料としては、従来公
知の有機顔料及び無機顔料を全て使用することができ
る。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔
料、及びキレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシア
ニン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナク
リドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イ
ソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料
や、塩基性染料型レーキ及び酸性染料型レーキ等の染料
レーキや、ニトロ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔
料等の有機顔料、酸化チタン、酸化鉄系及びカーボンブ
ラック等の無機顔料が挙げられる。
【0021】本発明においては、これらの顔料の含有量
を、全インク量に対して通常1〜30重量%の範囲とす
ることが望ましい。1重量%未満では画像の濃度が不充
分となり、30重量%を超えると粘度が高くなり過ぎ
て、吐出が不安定になるので好ましくない。更に好まし
いインク中の顔料の含有量は、2〜15重量%、より好
適には3〜10重量%であり、この範囲では良好な画像
濃度及び吐出性が得られる。
【0022】又、上記したような顔料をインク用の液媒
体中に分散させる際に用いられる分散剤としては、以下
に挙げるような樹脂、若しくは水溶性界面活性剤を使用
することができる。本発明で使用し得る樹脂としては、
アミン或いは塩基を溶解させた水溶液に可溶な分子量
3,000〜30,000の範囲の樹脂が好ましく、更
に好ましくは、分子量が、5,000〜15,000の
範囲の樹脂を使用する。このような樹脂としては、具体
的には、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチ
レン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合
体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイ
ン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン
−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−ア
クリル酸−アルキルエステル共重合体、スチレン−マレ
イン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−ア
クリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重
合体、スチレン−無水マレイン酸−マレイン酸ハーフエ
ステル共重合体、或いはこれらの塩等を使用することが
できる。
【0023】又、本発明で使用する水溶性界面活性剤の
具体例としては、例えば、アニオン界面活性剤として
は、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル
硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリル硫酸
塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルナフタレ
ンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルリン酸
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ア
ルキルアリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
【0024】カチオン界面活性剤としては、例えば、ア
ルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、テトラアルキル
アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジ
ウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられ、両性界面活
性剤としては、例えば、ベタイン形、アミノカルボン酸
等が、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシ
プロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタ
ンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポ
リオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリ
オキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリ
エチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオ
キシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等が挙げら
れる。
【0025】これらの分散剤の使用量は、分散剤として
樹脂を使用する場合には、顔料に対して通常5〜60重
量%の範囲とすることが好ましい。即ち、樹脂の量が5
重量%未満では顔料が安定した分散状態を維持すること
ができず、60重量%を超えると粘度が上昇し、安定し
た吐出が得られにくくなる。10〜40重量%の範囲で
使用することがより好ましい。分散剤として水溶性界面
活性剤を使用する場合は、その使用量を顔料に対して通
常1〜40重量%の範囲とすることが好ましい。界面活
性剤の量が1重量%未満では顔料が安定した分散状態を
維持することができないし、40重量%を超えるとイン
クの表面張力が低下し、本発明においてインクジェット
記録方式を適用した場合には、ノズル先端の濡れによる
印字よれ(インク滴の着弾点のずれ)等の好ましくない
事態を引き起こす。本発明においては、5〜20重量%
の範囲とすることがより好ましい。
【0026】本発明において、上記の如き顔料を分散さ
せるための液媒体としては、従来のインクジェット記録
用インクの液媒体に使用されているものがいずれも使用
できる。例えば、水及び/又は水溶性の有機溶剤が好ま
しいものとして挙げられ、有機溶剤としては、例えば、
メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルア
ルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコ
ール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルア
ルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のア
ルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアル
コール等のケトン、又は、ケトアルコール類;テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキ
レングリコール類;エチレングリコール、プロピレング
リコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコー
ル、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等の
アルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレング
リコール類;グリセリン;エチレングリコールメチル
(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル
(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノ
メチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低
級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ
る。
【0027】本発明で使用するインクを構成する特に好
ましい液媒体組成としては、水と1種類以上の水溶性有
機溶剤よりなり、且つ水溶性有機溶剤の少なくとも1種
に、1気圧下において180℃以上の沸点を有する水溶
性高沸点有機溶剤を含有するものである。例えば、この
ような水溶性高沸点有機溶剤としては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アル
コールが挙げられる。本発明で使用するインク中の液媒
体の使用量は、インク組成を調整したときに、先に挙げ
た顔料のインク中の含有量が、約0.1〜20重量%の
範囲となる量が好ましい。
【0028】本発明の画像記録物形成方法においては、
被記録媒体上に所定の情報に応じた液滴にしてインクを
吐出させて画像を形成するが、画像形成方法として、イ
ンクジェット記録方法を用いることが好ましい。上記の
ような組成を有するインクジェット記録用インクを製造
する方法としては、顔料等の成分を混合し、従来公知の
磨砕手段、例えば、ボールミル、サンドミル、スピード
ラインミル等により混合磨砕処理し、必要に応じて液媒
体で濃度を調整し、且つpHを最終的に4〜10として
得るのが一般的である。この際、インク中の顔料の粒子
径が大きすぎるとインクジェット記録時にノズルに目詰
まり等の問題が生じるため、粒子径が、通常は3μm以
下、好ましくは2μm以下程度とする。
【0029】本発明においては、インクジェット記録方
法以外の、所定の情報に応じた液滴にしてインクを吐出
させて画像を形成する方法も適用できるが、インクジェ
ット記録方法を用いれば、高価なプリント装置が不要で
あり、印刷版も不要となるため、より安価な画像記録物
を提供でき、更に、製品納期も極めて短くて済むという
利点が生じる。
【0030】本発明の画像記録物形成方法に用いること
のできるインクジェット記録方式としては、前記した構
成のインクを、所定の情報に応じた液滴にして吐出させ
ることにより被記録媒体上に画像を形成し得る方法であ
れば、いかなる方式でもよい。それらの方式の代表的な
ものとしては、例えば、IEEE Transactions on Indu
stry Applicactions Vol.IA−13 No.1(197
7年1、2月号)、日経エレクトロニクス305号(1
982年12月6日号)に記載されており、これらに記
載の方式は、いずれも本発明に好適なものである。その
いくつかについて以下に説明する。
【0031】先ず、静電吸引方式があるが、この方式に
は、ノズルとノズルの数mm前方に置いた加速電極との
間に強電界を与えて、ノズルよりインクを粒子化して次
々に引き出し、引き出したインクが偏向電極間を飛翔す
る間に情報信号を偏向電極に与えて記録する方式と、イ
ンク粒子を偏向させることなく、情報信号に対応してイ
ンク粒子を吐出させる方式とがあり、いずれも本発明の
画像記録物形成方法に有効に適用される。
【0032】第2の方法としては、小型ポンプでインク
に高圧を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動さ
せることにより強制的に微小インク粒子を吐出させる方
式であり、吐出されたインク粒子は、噴射と同時に情報
信号に応じて帯電される。帯電したインク粒子は、偏向
電極版間を通過する際に帯電量に応じて偏向される。こ
の方式を利用した別の方式としては、マイクロドットイ
ンクジェット方式と称される方式もある。この方式で
は、インク圧力及び励振条件をある範囲の適性値に保
ち、ノズル先端より大小2種類のインク液滴を発生さ
せ、この中の小液滴のみを記録により利用する。この方
式の特徴は、従来並みの太いノズル口径でも微小液滴群
を得ることができることにある。
【0033】第3の方式としてはピエゾ素子方式があ
り、この方式では、インクに加える圧力手段として、他
の方式の如くポンプのような機械的手段でなくピエゾ素
子を利用する。即ち、この方式では、ピエゾ素子に電気
信号を加えて機械的変位を生じさせることによりインク
に圧力を加え、インクをノズルより吐出させる。
【0034】又、本発明に好適に用いられるインクジェ
ット記録方式としては、特開昭54−51837号公報
に記載されている方法のような、熱エネルギーの作用を
受けたインクに急激な体積変化を生じさせて、この状態
変化による作用力によってインクをノズルから吐出させ
るインクジェット方式が挙げられる。
【0035】本発明においては、好ましくは、以上のよ
うな各種のインクジェット記録方式により、先に説明し
た水性顔料インクを用い、インク非吸収性の被記録媒体
上に文字や画像を印字し記録する。この場合には、形成
された被記録媒体上の画像を熱風等で乾燥することによ
り、画像中の水及び揮発性の溶剤を除去し、顔料の分散
を破壊することによって顔料を被記録媒体上に定着させ
る。この状態では、インク中の高沸点溶剤は、加熱や減
圧下での乾燥では除去することは困難であるため、高沸
点溶剤はインク乾燥成分(画像)中に残留し、このまま
では、記録された画像及び被記録媒体の少なくとも一部
を樹脂で覆った場合に、樹脂被覆層の剥離や膨れ等の問
題が生じる。
【0036】そこで、本発明においては、画像形成後に
被記録媒体の水洗を行う。この水洗工程を導入すること
で、被記録媒体上の形成画像を構成しているインク中に
含まれている水溶性の高沸点有機溶剤が、水によって容
易に除去される。一方、インクの色材として添加されて
いる顔料は、もともと水不溶性であるので、乾燥等によ
り生じた溶媒の蒸発等によって分散状態が崩れた状態に
おいては、水洗工程で流出されることはない。又、本発
明においては、被記録媒体として、好ましくは、耐水性
基材を用いているので容易に水洗することが可能であ
る。更に、インク受容層を設けた被記録媒体を使用する
場合には、耐水性のインク受容層を設けているので、上
記の水洗工程によってインク受容層が除去されることも
ない。
【0037】本発明において用いる画像形成後の被記録
媒体の水洗工程は、特に、画像を形成しているインク中
の高沸点の有機溶剤が水により除去されれば、いずれの
方法を用いても構わないが、具体的には、例えば、画像
が形成されている被記録媒体の表面を流水で洗う方法、
或いは、水洗槽等に入れられた攪拌水中に、画像が形成
されている被記録媒体を浸漬する方法等で行うことが好
ましい。これらの水洗工程によって、画像を形成するイ
ンク中の水溶性の高沸点有機溶剤のみが、被記録媒体上
から除去される。水洗後の被記録媒体は、通常の乾燥方
法により乾燥すればよい。
【0038】本発明においては、被記録媒体を水洗した
後、被記録媒体の少なくとも一部に実質的に透明な樹脂
を被覆して樹脂被覆層を形成する。この際、耐水性、耐
光性、耐擦傷性のある樹脂被覆層を設けることが好まし
い。ここで言う耐水性とは、先に述べたインク受容層の
ところで述べた耐水性より高いレベルのものを意味す
る。即ち、インク受容層の場合には、その性質上、イン
ク吸収性が必要であるから吸水性のある材料で形成され
るため、その分、耐水性は劣る。しかし、上記の樹脂被
覆層の場合には、吸水性は不要であるから、その分より
耐久性のある材料を選択することが可能である。
【0039】このような、樹脂被覆層を構成する材料と
しては、先ず、表面に樹脂を被覆する前の形成画像(以
下、記録物中間体と呼ぶ)の画像が損なわれることのな
いように、色調としては、無色透明であることが好まし
い。具体的には、後述する樹脂被覆層の塗布厚におい
て、塗布前後の画像の反射濃度の上昇が0.5以下の範
囲内にあることが好ましい。記録物中間体の絵柄により
要求される透明度は変わるが、反射濃度の上昇が0.5
を超える場合は、着色、或いは不透明感を生じてしまう
ため、特に特別な意図がない限り画質の低下感は免れ得
ない。
【0040】このような樹脂被覆層の形成材料として
は、具体的には、例えば、アゼライン酸、クロレジン
酸、コハク酸、トリメリット酸、オルソフタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジ
ピン酸、セバシン酸等の多塩基酸と、α−メチルグルコ
シド、ジペンタエリスリトール、グリセロール、グリコ
ール類、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパ
ン、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価
アルコールと、脂肪酸とから得られるアルキド樹脂;ア
ルキド樹脂とシロキサンのようなシリコーン中間体とを
共重合して得られるシリコーンアルキド;ホルムアルデ
ヒドと尿素やメラミンとの反応により得られる尿素ホル
ムアルデヒドやメラミンホルムアルデヒドヒド樹脂等の
アミノ樹脂;アミノ樹脂、フェノール樹脂、アミン、ポ
リアミド、イソシアナート等により架橋されたエポキシ
樹脂;ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シ
リコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイ
ミド樹脂、フッ素樹脂等も利用できる。又、アクリル酸
又はメタクリル酸エステル類の重合又は共重合により得
られるアクリル樹脂等も利用できる。又、これらの樹脂
の混合物や反応も利用することができる。
【0041】以上のような樹脂を被記録媒体の基材上に
塗布する方法としては、例えば、一般的には、塗布する
樹脂の、未反応物(反応原料)、或いはその溶剤希釈
液、エマルジョン或いはコロイド状態にしたもの等を、
スプレーコート、カーテンコート、浸漬、ワイヤーバー
コート、アプリケーターコート、スピンコート、ロール
コート、電着コート、刷毛塗り等の方法が挙げられる。
これらの方法により樹脂組成物を塗布した後、溶剤を乾
燥除去し、必要であれば硬化反応を行うことによって樹
脂被覆層を形成する。この際の硬化方法としては、例え
ば、熱硬化、活性エネルギー線照射等の方法が挙げられ
る。
【0042】本発明においては、被記録媒体上に形成す
る上記の樹脂被覆層の厚さが、乾燥、或いは硬化後に形
成される樹脂被覆層の厚みが、0.1〜50μmとなる
ようにすることが好ましく、更に好ましくは、1〜30
μmの範囲とする。樹脂被覆層の厚みが0.1μmより
薄いと、必要とする機械的強度が得られず、耐擦傷性等
の耐久性に優れた画像が得られない。又、インク受容層
が設けられている被記録媒体の場合には、インク受容層
の平面性や塗布時の異物の影響により、インク受容層の
必要な部分を完全に覆うことが困難になり、塗布不良の
発生率が高くなり、耐久性に優れた画像が得られない。
更に、後述する紫外線吸収剤や防かび剤を樹脂被覆層中
に内添する場合に、樹脂被覆層の厚みが0.1μmより
薄いと、これらの効果を発現させるためには夫々の内添
率を高くする必要が生じるため、更に、樹脂被覆層の特
性が得にくくなる。一方、樹脂被覆層の厚さが50μm
を超えると、特性上のメリットは殆どなく不経済である
し、場合によっては、樹脂被覆層を形成する際の硬化時
に生じる収縮により、変形や、剥れや、ひび割れ等が生
じることもあり好ましくない。
【0043】樹脂被覆層を被記録媒体の少なくとも一部
に形成する際に、樹脂を被覆した場合に、下地のインク
受容層等との相性によってはハジキを生じることがあ
る。本発明の画像記録物形成方法においては、これを防
止するために、樹脂を被覆する前に、インク受容層等の
表面を処理し、ハジキをなくすことも有効である。この
際に行う処理の具体的な方法としては、例えば、酸素プ
ラズマによる処理や、酸素含有気体中で紫外線照射を行
うことにより生ずるオゾンでの処理等が特に好適であ
る。
【0044】本発明において、更に好ましい樹脂被覆層
の様態としては、上記した樹脂被覆層中に、紫外線吸収
剤及び/又は紫外線遮断剤を含有させるとよい。この結
果、画像形成に用いられる顔料の耐光性を更に向上させ
ることができると共に、インク受容層や樹脂被覆層自体
の黄変劣化性も抑制され、画像記録物の更なる長期安定
性が得られる。本発明において使用する紫外線吸収剤と
は、エネルギーレベルの高い紫外線領域の波長の光(3
00〜450nm)を吸収し、これを熱エネルギーとし
て放出する物質を言い、日光中や照明光中の紫外線によ
る記録画像の変退色を抑制する作用を有するものであ
る。
【0045】本発明において、このような紫外線吸収剤
を樹脂被覆層中に添加する場合には、樹脂被覆層を形成
する材料の重量に対して、0.1〜10%の範囲で紫外
線吸収剤を使用することが好ましい。即ち、紫外線吸収
剤の使用量が0.1%未満であると画像の耐光性の向上
効果が充分でなく、一方、10%を超える使用量では、
過剰に添加した効果が得られないだけでなく、樹脂被覆
層の成膜性や特性等に悪影響を及ぼすことがあり、好ま
しくない。
【0046】本発明において使用し得る紫外線吸収剤と
しては、例えば、サリシレート系、ベンゾフェノン系、
ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系、ヒンダー
ドアミン系、金属錯塩系等の従来の公知のものをいずれ
も使用できる。好ましものとしては、具体的には例え
ば、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサ
リシレート、p−オクチルサリシレート、2−ヒドロキ
シベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホ
ベンゾフェノン・トリヒドレート、2−ヒドロキシ−4
−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オ
クタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4
−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒド
ロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェンノン、2,
2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾ
フェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾ
フェノン、ソジウム−2,2′−ジヒドロキシ−4,4′
−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、5−クロル
−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−(2′−ヒドロ
キシ−4′−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′
−メチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、
2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−プ
ロピオン酸オクチルフェニル)−5−クロルベンゾトリ
アゾール、5′−プロピオン酸オクチルフェニル−5−
クロルベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−
5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′
−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5−ジ−t−
ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒド
ロキシ−3′,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロ
ルベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,
5−ジ−t−アミルフェニル)、2−[2−ヒドロキシ−
3,5−ジ(2,2−ジメチルベンジン)−フェニル]−2
H−ベンゾトリアゾール、2−エチルヘキシル−2−シ
アノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、エチル−2
−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、ニッケ
ルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2,2′−チ
オビス(4−t−オクチルフェノラート)]−n−ブチル
アミンニッケル、ポリエチレングリコールの3−[3−
(2H−ベンゾトリアゾール)−2−イル−5−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸モノ及びジ
エステル、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸モノエチレー
ト、ニッケルジブチルジチオカーバメート、レゾルシノ
ールモノベンゾエート、ヘキサメチルホスホリルトリア
ミド、2,4,5−トリヒドロキシブチルフェノン、ジ−
p−オクチルフェニルテレフタレート、ジ−p−n−ノ
リルフェニルイソフタレート、又、2−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル
マロン酸、ビス(1,2,2,6−ペンタメチル−4−ピペ
リジン)等のヒンダートアミン、及び他のモノマーと共
重合ポリマー中に導入されるものとして、2−オキシ−
4−(2−オキシ−3−メタクリルオキシ)プロポキシベ
ンゾフェノン、ジフェニルメチレンシアン酢酸エチル等
が挙げられる。
【0047】又、本発明において使用する紫外線遮断剤
とは、紫外線領域の波長の光を遮断するものを言い、形
成される記録画像の紫外線による変退色を抑制する作用
を有するものである。本発明で使用しうる紫外線遮断剤
としては、例えば、シリカ、タルク、マイカ、酸化セリ
ウム等が挙げられる。このような紫外線遮断剤を樹脂被
覆層中に含有させる場合には、紫外線遮断剤を、樹脂被
覆層を形成する材料の重量の0.1〜30%の範囲内で
含有させることが好ましい。紫外線遮断剤の使用量が
0.1%未満であると、画像の耐光性向上の効果が充分
でなく、一方、30%を超える使用量では、過剰に添加
した効果が得られないだけでなく、樹脂被覆層の不透明
性が増し画像の鑑賞に支障が出てくる恐れがある。又、
樹脂被覆層の成膜性や、その特性等に悪影響を及ぼす場
合もある。
【0048】又、本発明においては、樹脂被覆層中に防
かび剤を含有させることも好ましい態様である。本発明
において使用し得る防かび剤としては、下記に挙げる従
来公知の防かび剤をいずれも使用することができるが、
樹脂被覆層中の防かび剤の使用量としては、樹脂被覆層
の形成材料の重量中に、0.01〜10重量%を占める
のが好適である。即ち、使用量が0.01重量%未満で
は防かび剤の効果が不充分であり、一方、10重量%を
超える量を使用しても、使用量に応じて防かび性が向上
するものではない。
【0049】又、防かび剤の効果は、対象とする菌類の
種類によって異なるため、2種類以上の種類の異なる防
かび剤を、合計で上記範囲を超えない程度の量で使用す
ることも有効である。本発明で使用し得る防かび剤とし
て好ましいものは、例えば、安息香酸、ソルビン酸及び
その塩、パラオキシ安息香酸エステル、ジヒドロキシ酢
酸、プロピオン酸、それらの塩類、及びジフェニル、o
−フェニルフェノール、銅−8−キノリレート、PC
P、PCP−Na、p−クロロ−m−キシレノール、ジ
ヒドロエチルアミンペンタクロロフェノール、4−クロ
ロ−2−フェニルフェノール、N−(トリクロロメチル
チオ)フタラミド、N,N−ジメチル−N′−フェニル
(N′−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N
−(トリクロロメチルチオ)−4−シクロヘキセン−1,
2−ジカーボキシミド、2,4,5,6−テトラクロロ−
イソ−フタロニトリル、ビス(トリ−n−ブチルスズ)オ
キシド、トリブチルスズラウエート、10,10′−オ
キシビスフェノキシアルシン、チアベンダゾール等が挙
げられる。
【0050】尚、本発明の画像記録物の用途としては、
例えば、広告や看板等の掲示物、展示物、CD−RO
M、CD−R、CD−E、DVD等の耐傷が特に要求さ
れる部分への印刷、建築材外装部への印刷等が挙げられ
る。又、インクジェット方式による印刷は、被記録材に
非接触で印字できることから、凹凸や局面への印刷にも
適用可能である。具体的には例えば、ゴルフボール、サ
ッカーボール、缶、瓶等が挙げられる。
【0051】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を
更に具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるの
は、特に断りのない限り重量基準である。被記録媒体へ
の記録方法には、インクジェット記録方式を用いた。即
ち、キヤノン製バブルジェットカラープリンターBJC
−600の紙送り部分を、ベルトによる水平搬送が可能
なように改造したものを用いて画像形成を行った。印字
モードはOHPシートモードとして記録を行った。
【0052】上記のプリンターに搭載するインクには、
下記のようにして調製した顔料を色材とした液状顔料イ
ンクを用いた。先ず、下記に挙げた各色の顔料が、夫
々、水溶性樹脂及び水中に分散された水性顔料分散体を
作製した。この際、水溶性樹脂には、スチレン・アクリ
ル酸共重合体(重量平均分子量7,000)を用い、顔
料と水溶性樹脂と水との混合割合が、重量比で、顔料/
水溶性樹脂/水=10/3/87となるようにした。使用した各色顔料: シアン (顔料名:C.I.Pigment Blue 15:1) マゼンタ(顔料名:C.I.Pigment Red 122) イエロー(顔料名:C.I.Pigment Yellow 74) ブラック(顔料名:カーボンブラック)
【0053】上記で得られた水性顔料分散体を使用し
て、以下の組成の各色の液状顔料インクを調製した。得
られたインクの粘度は、3〜5cps程度であった。 ・上記で調製した水性顔料分散体 60% ・グリセリン 5% ・ジエチレングリコール 10% ・イソプロピルアルコール 10% ・水 15%
【0054】実施例1〜実施例3 先ず、被記録媒体の基材として、実施例1では、100
μm厚の白色PET(I.C.I社製メリネックス33
9)を、実施例2では、1mm厚のメタクリル板(クラ
レ製コモグラス)を、実施例3では、アルミニウム板
(5052材)を夫々用意した。これらは、いずれも市
販のものを用い、基材表面にインク受容層は設けなかっ
た。次に、これらの基材をドライヤーで80℃程度に加
熱しながら、先に述べたプリンターを使用して黒インク
で印字を行った後、印字後の被記録媒体を80℃で30
分乾燥した。次に、被記録媒体を、撹拌機によって撹拌
されている純水中に浸漬して5分間洗浄を行った。被記
録媒体を引き上げて、エアーブローで付着した水を除去
した後、80℃で30分乾燥して記録物中間体を得た。
次に、この記録物中間体の表面を5分間、紫外線/オゾ
ン洗浄を行った。洗浄機には、岩崎電気製のアイオゾン
洗浄機(型版:OC−253)を用いた。
【0055】更に、画像が形成されている洗浄後の被記
録媒体表面に、以下に示す組成を有する形成材料をスプ
レーで塗布して樹脂被覆層を形成した。 ・ZPP−N−1000(ホスファゼン系メタアクリレート:共栄社化学製) 70部 ・NKエステル A−9530(ジペンタエリスリトールポリアクリレート: 新中村化学工業製) 30部 ・イルガキュア184(紫外線硬化剤:日本チバガイギー製) 5部 ・チヌビン400(紫外線吸収剤:日本チバガイギー製) 3部 ・チヌビン123(ヒンダートアミン:日本チバガイギー製) 2部 ・セロソルブアセテート(希釈溶剤:キシダ化学製) 200部 ・プロピオン酸カルシウム(防かび剤:上野製薬製) 0.3部
【0056】塗布後に被記録媒体を80℃で30分加熱
して乾燥した後、超高圧水銀灯で3J/cm2の照射を
行い、硬化被膜を形成した。形成された樹脂被覆層の膜
厚は10μmであった。又、樹脂被覆層を観察したとこ
ろ、樹脂被覆層の不良は認められず、画像は鮮明で美し
いものであった。表1に、各画像の評価結果を示した。
【0057】実施例4〜実施例6 被記録媒体基材として、実施例4では実施例1と同様の
ものを使用し、実施例5では実施例2と同様のものを使
用し、実施例6では実施例3と同様のものを夫々使用し
た。これらの基材表面に、以下の組成を有する無色透明
の樹脂を塗布した後、80℃で20分乾燥してインク受
容層を夫々形成した。乾燥後の塗布厚は10μmであっ
た。 ・ポリビニルアセタール樹脂 100部 ・アルミナ水和物(日産化学製 AS−100) 20部 ・カチオン性樹脂(日東紡績製 PAA−HCL−1L(1000) 20部 上記で用いたポリビニルアセタール樹脂としては、従来
公知のアセタール化の手法を用いてポリビニルアルコー
ルより合成した。即ち、ポリビニルアルコール(クラレ
製 PVA220)をベンズアルデヒドによりアセター
ル化したものを用いた。このポリビニルアセタール樹脂
は、アセタール化度が12mol%であり、水酸基が4
0mol%含有されているものを用いた。
【0058】上記で得られたインク受容層が形成されて
いる各被記録媒体に、先に述べたプリンターを用いて、
フルカラーのインクジェット印刷を行った。その後、実
施例1〜3と同様にして、印字後の被記録媒体を水洗し
た後、樹脂被覆処理された画像記録物を得た。この結
果、実施例1〜3と同様に、樹脂被覆層の不良は認めら
れなかった。又、画像は鮮明で美しいものであった。表
1に、各画像の評価結果を示した。
【0059】比較例1 被記録媒体の基材としてメタクリル板を用い、基材表面
にインク受容層を設けない状態で用いた。又、画像形成
方法としては、画像形成後に水洗処理を行わない以外は
実施例1〜3と同様にして、樹脂被覆処理された画像記
録物を得た。この結果、印字デユーティーの高い部分で
樹脂被覆層の膨れが発生した。表1に、評価結果を示し
た。
【0060】比較例2 被記録媒体の基材としてメタクリル板を用い、その上に
実施例4〜6と同様のインク受容層が設けられているも
のを使用し、画像形成後の水洗処理を行わない以外は実
施例4〜6と同様にして樹脂被覆処理された画像記録物
を得た。この結果、印字デユーティーの高い部分で樹脂
被覆層の膨れが発生した。表1に評価結果を示す。
【0061】比較例3 被記録媒体の基材としてメタクリル板を使用し、実施例
1〜3と同様にインク受容層を設けない状態で用いた。
又、画像形成後の水洗処理及び樹脂被覆処理を行わずに
画像記録物を得た。得られた画像についての評価結果を
表1に示した。
【0062】比較例4 被記録媒体の基材としてメタクリル板を用い、実施例4
〜6と同様のインク受容層が基材表面に設けられている
ものを使用した。又、画像形成後の水洗処理及び樹脂被
覆処理を行わずに画像記録物を得た。得られた画像につ
いての評価結果を表1に示した。
【0063】比較例5 被記録媒体の基材としてメタクリル板を用い、その上に
実施例4〜6と同様のインク受容層が設けられているも
のを使用し、BJC−600専用の水性染料インクを用
いて画像を形成した。画像形成後の水洗処理を試みたと
ころ、染料の僅かな流れ出しが認められたため、水洗工
程を行わなかった。その後の樹脂被覆工程は実施例4〜
6と同様にして行い、樹脂被覆処理された画像記録物を
得た。
【0064】得られた画像記録物の評価は下記の方法で
行った。そして、評価結果を表1に示した。評価項目 (1)樹脂被覆層の異常 樹脂被覆層を目視にて観察し、膨れ、剥れ、濁り等の不
具合が認められたものを×とした。異常の認められない
ものは○とした。 (2)耐擦傷性 記録物表面を消しゴムにて10回擦り、色落ち或いは、
表面の傷つき等の不具合が発生したものを×、不具合の
認められないものを○とした。 (3)画像記録物保存性 夫々の画像記録物を35℃/RH95%の環境下に20
日間保管した後、保存前の画像と比較評価した。保存前
の画像に比べ、インクの溢れ、滲み出し、文字太りを発
生し、画質が劣るものを×、変化の認められないものを
○とした。
【0065】
【表1】表1
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
インクジェット記録で形成した記録物に樹脂被覆層を設
けた場合に発生する膨れや、剥れ、濁り等の発生を抑制
することが可能となる。又、本発明によれば、顔料イン
クを用いているので保存後の画像の劣化のない保存性に
優れる画像記録物を得られる。又、本発明によれば、形
成される画像記録物が、擦り等の外力によって色材が取
れてしまったり表面に傷が付くということもない。又、
本発明によれば、使用するインク組成中に高沸点の水溶
性有機溶剤を使用することができるので、インクジェッ
ト記録方式を用いた場合にもノズル詰まりの心配が少な
く、ノズル詰まりを防止するための機構が設けられた特
別のインクジェット記録装置を用意する必要がなく、安
価な画像記録物を提供できる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色材として顔料を含有する液状インクを
    所定の情報に応じた液滴にして吐出させて被記録媒体上
    に画像を形成した後、該被記録媒体の少なくとも一部に
    実質的に透明な樹脂を被覆して樹脂被覆層を形成して画
    像記録物を得る画像記録物形成方法において、水溶性の
    高沸点有機溶剤が少なくとも含まれているインクを用
    い、且つ画像形成後に被記録媒体を水洗することを特徴
    とする画像記録物形成方法。
  2. 【請求項2】 被記録媒体の画像形成表面がインク非吸
    収性である請求項1に記載の画像記録物形成方法。
  3. 【請求項3】 被記録媒体が、耐水性基材表面に耐水性
    のインク受容層が設けられたものである請求項1に記載
    の画像形成方法。
  4. 【請求項4】 インク受容層に、変性ポリビニルアルコ
    ールであって、その分子構造中にアセタール化部分と、
    アセチル基及び水酸基とを有するポリビニルアセタール
    樹脂成分を少なくとも含有する請求項3に記載の画像形
    成方法。
  5. 【請求項5】 液状インクを所定の情報に応じた液滴に
    して吐出させる手段が、インクジェット記録方法である
    請求項1に記載の画像記録物形成方法。
  6. 【請求項6】 インクジェット記録方法が、インクに熱
    エネルギーを作用させてインクを液滴として噴射させる
    方式である請求項5に記載の画像記録物形成方法。
  7. 【請求項7】 水溶性の高沸点有機溶剤が、1気圧下に
    おいて180℃以上の沸点を有する有機溶剤である請求
    項1に記載の画像記録物形成方法。
  8. 【請求項8】 被覆処理が、実質的に透明な樹脂に活性
    エネルギー線を照射して樹脂を硬化させることによる請
    求項1に記載の画像記録物形成方法。
  9. 【請求項9】 樹脂被覆層中に、紫外線吸収剤が含有さ
    れている請求項1に記載の画像記録物形成方法。
  10. 【請求項10】 樹脂被覆層中に、紫外線遮断剤が含有
    されている請求項1に記載の画像記録物形成方法。
  11. 【請求項11】 樹脂被覆層中に、防かび剤が含有され
    ている請求項1に記載の画像記録物形成方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜請求項11のいずれかに記
    載の画像記録物形成方法によって得られたことを特徴と
    する画像記録物。
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