JPH1016393A - 相変化型光学情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

相変化型光学情報記録媒体及びその製造方法

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JPH1016393A
JPH1016393A JP8173486A JP17348696A JPH1016393A JP H1016393 A JPH1016393 A JP H1016393A JP 8173486 A JP8173486 A JP 8173486A JP 17348696 A JP17348696 A JP 17348696A JP H1016393 A JPH1016393 A JP H1016393A
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JP
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thin film
film
protective layer
forming
recording
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Pending
Application number
JP8173486A
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English (en)
Inventor
Kenichi Osada
憲一 長田
Noboru Yamada
昇 山田
Mayumi Otowa
真由美 音羽
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録・消去の繰り返し特性が飛躍的に向上し
た相変化型光学情報記録媒体を提供する。 【解決手段】 厚さ1.2μmのガラス基板1上にマグ
ネトロンスパッタリング装置により、ZnSとSiO2
をモル比(ZnS:SiO2 )8:2の混合比で含んで
なる厚さ100nmの保護層2、相変化材料がGe2
2Te5 からなる厚さ25nmの記録薄膜3、ZnS
とSiO2 をモル比(ZnS:SiO2 )8:2の混合
比で含んでなる厚さ30nmの保護層4、Auからなる
厚さ20nmの反射層5を順次成膜する。記録薄膜3の
成膜工程において、工程開始から2nmの厚みの膜(表
層部3a)が成長する期間の成膜雰囲気ガス中の窒素ガ
ス濃度を0.7mTorrにし、この期間後、成膜工程
の終了までの成膜雰囲気ガス中の窒素ガス濃度を50μ
Torrにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザ光線を用いた
情報記録再生装置に用いる相変化型光学情報記録媒体及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】信号を記録・再生し、かつ消去すること
ができる光学情報記録媒体として、記録薄膜材料にカル
コゲン化物を用いた相変化型の光ディスクが知られてい
る。かかる相変化型の光ディスクでは、一般に記録薄膜
材料が結晶状態にある時を未記録状態とし、レーザ光を
照射して記録薄膜材料を溶融・急冷して非晶質状態にす
ることにより信号の記録がなされる。一方、信号の消去
は信号の記録時よりも低パワーのレーザ光を照射するこ
とによって記録薄膜を昇温して再度結晶状態に戻すこと
によりなされる。記録薄膜材料の結晶状態と非晶質状態
では屈折率nと消衰係数kとからなる複素屈折率が異な
り、これによって生じる光学特性(反射率または透過
率)の差を利用して信号の再生が行われる。
【0003】前記光ディスクの記録薄膜材料としては、
例えばTe,In,Sb,Se等を主成分とする非晶質
−結晶間で相変化する化合物や異なる2種類の結晶構造
の間において可逆的に相変化をおこす物質等が用いられ
る。また、保護層の材料としては、例えばAl23
SiO2 、SiO、Ta25、MoO3 、WO3、Zn
S、ZrO2 、AlN、BN、SiNx 、TiN、Zr
N、PbF2 、及びMgF2 等の各種誘電体物質から選
ばれる1種または2種以上が使用される。
【0004】前記相変化型光ディスクのような相変化記
録媒体を用いた情報記録方式のメリットの1つは記録手
段として単一のレーザビームのみを用いて情報信号をオ
ーバライト(重ね書き)できる点にある。すなわち、レ
ーザー出力を情報信号に応じて記録レベルと消去レベル
の2つのレベル間で変調して記録済みの情報トラック上
に照射すると、既存の情報信号を消去しつつ新しい信号
を記録することができる(これについては例えば特開昭
56−145530号公報に詳しく説明されてい
る。)。このようなメリットを生かして、相変化型光デ
ィスクは文書ファイル、画像ファイル、またはデータフ
ァイルとして利用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来から前
記相変化型光ディスクのような相変化型の光学情報記録
媒体における記録・消去の繰り返し特性の向上を図る観
点から、記録薄膜及び保護層の膜質を改善する提案が数
多くなされている。例えば特開平2−113380号公
報には、適度な窒素分圧で成膜した記録薄膜を設けるこ
とによって良好なサイクル特性(記録・消去の繰り返し
特性)が得られることが開示されている。又、特開平3
−232133号公報には、適度な窒素分圧で成膜した
保護層を設けることによって良好なサイクル特性(記録
・消去の繰り返し特性)が得られることが開示されてい
る。しかしながら、近年、相変化型光学情報記録媒体に
おける記録・消去の繰り返し特性のさらなる向上が強く
求められており、前記従来の提案による光学情報記録媒
体では満足できるレベルまで記録・消去の繰り返し特性
を向上させることができなかった。
【0006】本発明は前記のような課題に鑑みてなされ
たものであり、記録・消去の繰り返し特性が飛躍的に向
上した相変化型光学情報記録媒体及びその製造方法を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決するために鋭意研究を重ねたところ、相変化型光デ
ィスク等の書き換え可能な相変化型光学情報記録媒体に
おける記録・消去の繰り返しによる再生信号品質の劣化
の原因の一つがレーザ照射時の記録薄膜と保護層の界面
で生じる相互拡散であることを突き止め、以下に記す構
成からなる本発明の相変化型光学情報記録媒体を想到す
るに至った。
【0008】すなわち、本発明の第1の相変化型光学情
報記録媒体は、基材と、前記基材上に配設された、窒素
を構成元素として含有し、レーザ光線の照射前後でその
光学特性が可逆的に変化する記録薄膜と、前記記録薄膜
の片側の表面または両側の表面に形成された保護層とを
備えた相変化型光学情報記録媒体において、前記記録薄
膜は、その構成元素のうちの薄膜の厚み方向における濃
度変化の割り合いの最も大きい元素が窒素であり、か
つ、その前記保護層との界面を成す表面を含む表層部が
実質的に記録薄膜と保護層間の相互拡散を抑制するに必
要な高窒素濃度を有するものになっていることを特徴と
する。このような構成により、記録薄膜の高窒素濃度を
有する表面層が記録薄膜と保護層間の相互拡散を抑制す
るバリア層として機能し、かかる表面層による相互拡散
の抑制作用と記録薄膜に窒素を含有させたことによる記
録薄膜自体の膜質向上作用との相乗作用により、記録・
消去の繰り返し特性が飛躍的に向上することとなる。ま
た、前記記録薄膜の高窒素濃度の表面層は記録薄膜の成
膜工程中に形成できるので、従来の記録薄膜及び保護層
とは別にバリア層を設けた構成の相変化型光学情報記録
媒体のように、記録薄膜及び保護層の形成工程以外にバ
リア層の形成工程を別途追加する必要がなく、従って、
記録媒体の製造コストを低減することができる。
【0009】前記本発明の第1の相変化型光学情報記録
媒体においては、記録薄膜の保護層との界面をなす表面
から2nmの厚みを有する部分の平均の窒素濃度が前記
2nmの厚みを有する部分以外の部分の平均の窒素濃度
の3倍以上であるのが好ましい。このような構成によ
り、記録薄膜の表面層部による記録薄膜と保護層間の相
互拡散を抑制する効果が確実に得られることとなる。
【0010】また、本発明の第2の相変化型光学情報記
録媒体は、基材と、前記基材上に配設されたレーザ光線
の照射前後でその光学特性が可逆的に変化する記録薄膜
と、前記記録薄膜の片側の表面または両側の表面に形成
された、窒素をその構成元素として含有する保護層とを
備えてなる相変化型光学情報記録媒体において、前記保
護層は、その構成元素のうちの層の厚み方向における濃
度変化の割り合いの最も大きい元素が窒素であり、か
つ、その前記記録薄膜との界面を成す表面を含む表層部
が実質的に記録薄膜と保護層間の相互拡散を抑制するに
必要な高窒素濃度を有するものになっていることを特徴
とする。このような構成により、保護層の高窒素濃度を
有する表層部が記録薄膜と保護層間の相互拡散を抑制す
るバリア層として機能し、かかる表層部による相互拡散
の抑制作用と保護層に窒素を含有させたことによる保護
層自体の膜質向上作用とが相乗作用により、記録・消去
の繰り返し特性が飛躍的に向上することとなる。また、
前記保護層の高窒素濃度の表面層は保護層の成膜工程中
に形成できるので、従来の記録薄膜及び保護層とは別に
バリア層を設けた構成の相変化型光学情報記録媒体のよ
うに、記録薄膜及び保護層の形成工程以外にバリア層の
形成工程を別途追加する必要がなく、従って、記録媒体
の製造コストを低減することができる。
【0011】前記本発明の第2の相変化型光学情報記録
媒体においては、保護層の記録薄膜との界面をなす表面
から2nmの厚みを有する部分の平均の窒素濃度が前記
2nmの厚みを有する部分以外の部分の平均の窒素濃度
の3倍以上であるのが好ましい。このような構成によ
り、保護層の表面層部による記録薄膜と保護層間の相互
拡散を抑制する効果が確実に得られることとなる。
【0012】本発明の第1の相変化型光学情報記録媒体
の製造方法は、前記した本発明の第1の相変化型光学情
報記録媒体を製造する方法であって、その保護層との界
面を成す表面を含む表層部を成膜する期間の成膜雰囲気
ガス中の窒素ガス(N2 )濃度を、その前記表層部以外
の部分を成膜する期間の成膜雰囲気ガス中の平均の窒素
ガス(N2 )濃度よりも大きくして記録薄膜を成膜する
ことを特徴とする。このような構成により、前記した本
発明の第1の相変化型光学情報記録媒体を合理的かつ安
定に製造することができる。
【0013】また、本発明の第2の相変化型光学情報記
録媒体の製造方法は、前記した本発明の第1の相変化型
光学情報記録媒体を製造する方法であって、その保護層
との界面を成す表面を含む表層部を成膜する期間の平均
の成膜速度を、その前記表面層部以外の部分を成膜する
期間の平均の成膜速度よりも小さくして記録薄膜を成膜
することを特徴とする。このような構成により、前記し
た本発明の第1の相変化型光学情報記録媒体を合理的か
つ安定に製造することができる。
【0014】また、本発明の第3の相変化型光学情報記
録媒体の製造方法は、前記した本発明の第2の相変化型
光学情報記録媒体を製造する方法であって、その記録薄
膜との界面を成す表面を含む表層部を成膜する期間の成
膜雰囲気ガス中の平均の窒素ガス(N2 )濃度を、その
前記表層部以外の部分を成膜する期間の成膜雰囲気ガス
中の平均の窒素ガス(N2 )濃度より大きくして保護層
を成膜することを特徴とする。このような構成により、
前記した本発明の第2の相変化型光学情報記録媒体を合
理的かつ安定に製造することができる。
【0015】また、本発明の第4の相変化型光学情報記
録媒体の製造方法は、前記した本発明の第2の相変化型
光学情報記録媒体を製造する方法であって、その記録薄
膜との界面を成す表面を含む表層部を成膜する期間の平
均の成膜速度を、その前記表層部以外の部分を成膜する
期間の平均の成膜速度より小さくして保護層を成膜する
ことを特徴とする。このような構成により、前記した本
発明の第2の相変化型光学情報記録媒体を合理的かつ安
定に製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は本発明の相変化型光学情報
記録媒体の一具体例の構成を示した断面図であり、図に
おいて、1は基材、2,4は保護層、3は記録薄膜、3
a,3bは記録薄膜3の表面層部、5は反射層、6は接
着層、7は保護基板、8は記録・消去及び再生を行うた
めのレーザ光である。
【0017】基材1は表面が平滑面からなる板状体また
はフィルム状体であって、PMMA(ポリメチルメタア
クリレート)、ポリカーボネート等の樹脂やガラスなど
の透明性の材料で構成されている。光ディスクの場合、
基材8は板状であってその表面1aはレーザ光を導くた
めのスパイラル状又は同心円状のトラックによって覆わ
れる。基材1が板状体である場合その厚みは特に限定さ
れるものではないが、0.6〜1.2mmにするのが一
般的である。
【0018】記録薄膜3はレーザ光の照射熱により結晶
状態から非晶質状態へまたは非晶質状態から結晶状態へ
と可逆的に相変化するそれ自体公知の相変化材料と窒素
原子を含有して構成される。相変化材料としては一般に
Te,Se等のカルコゲン(酸素族元素)を主成分とし
て含むカルコゲン化合物やInを主成分として含む含む
化合物が使用される。これらカルコゲン化合物やInを
含む化合物の具体例としては例えばTe−Sb−Ge、
Te−Ge、Te−Ge−Sn、Te−Ge−Sn−A
u、Sb−Te、Sb−Se−Te、In−Te、In
−Se、In−Se−Tl、In−Sb、In−Sb−
Se、In−Se−Te等が挙げられる。記録薄膜3の
厚みは特に限定されるものではないが5〜50nmにす
るのが一般的である。かかる記録薄膜3ではその下面
(保護層2に接する表面)を含む所定厚みの表層部3a
及びその上面(保護層4に接する表面)を含む所定厚み
の表層部3bの少なくとも一方における平均の窒素
(N)濃度(単位体積当たりの窒素原子の含有量)が、
記録薄膜3の表層部3a(表層部3b)以外の他の部分
におけるそれよりも大きくなっている。記録薄膜3の表
層部3a(表層部3b)以外の他の部分における平均の
窒素濃度は、特に限定されるものではないが0.1〜3
0atomic%にする場合が多い。表層部3a(表層部3
b)の平均の窒素濃度及び厚みは、記録薄膜3の構成材
料及び厚み、保護層2(保護層4)の構成材料及び厚み
等を考慮して適宜決定されるが、後述の実施例からも明
らかなように、表層部3a(表層部3b)の厚みは、1
nm以上にするのが好ましく、例えば2nmにした時に
かかる表層部3a(表層部3b)の平均の窒素濃度を記
録薄膜3の表層部3a(表層部3b)以外の他の部分の
平均の窒素濃度の3倍以上にすると、記録薄膜と保護層
間の相互拡散を抑制するバリア機能が確実に発現する。
【0019】保護層2,4は、物理的、化学的に安定で
記録薄膜3を構成する相変化材料の融点よりもその融点
及び軟化温度が高く、かつ相変化材料と相固溶しない材
料からなる。かかる材料としては例えばAl23、Si
x 、Ta25、MoO3 、WO3 、ZnS、ZrO
2 、AlNx 、BN、SiNx 、TiN、ZrN、Pb
2 、MgF2 等の各種誘電体物質が挙げられ、これら
から選ばれる1種または2種以上が使用される。保護層
2,4の厚みは特に限定されるものではないが10〜2
00nmにするのが一般的である。なお、かかる保護層
2,4は必ずしも誘電性や透明性を有する必要はなく、
例えば可視光線及び赤外線に対して光吸収性をもつZn
Te等で形成してもよい。また、保護層2と保護層4は
いずれか一方だけを設けても良い。また、保護層2と保
護層4の両方を設ける場合、これらを同じ材料で形成し
ても異なる材料で形成してもよいが、異なる材料で形成
した場合、熱的及び光学的なディスク設計の自由度が大
きくなる利点がある。
【0020】反射層5はAu、Al、Ag、Ni、F
e、Cr等の金属元素やこれらの合金からなる。なお、
反射層5は記録薄膜への光吸収効率を高める働きをする
層であって、必須の層ではない。反射層5の厚みは特に
限定されるものではないが10〜200nmにするのが
一般的である。
【0021】保護基板7は樹脂をスピンコートしたり、
基材1として用いられた樹脂またはガラス製の板状体ま
たはフィルム状体、または金属製の板状体またはフィル
ム状体を接着剤6を用いて貼り合わせることによって形
成する。
【0022】記録薄膜3及び保護層2,4はスパッタリ
ング法,電子ビーム蒸着法,イオンプレーティング法,
CVD法,レーザスパッタリング法等のそれ自体公知の
真空中での薄膜作製技術を用いて形成されるが、スパッ
タリング法によって形成するのが最も一般的である。
【0023】なお、かかる図1の記録媒体は記録薄膜が
一層の記録媒体であるが、本発明では図1の記録媒体を
2組用い、互いの保護基板7または反射層5(この場合
を保護基板7を設けていない。)を内側にして接着剤で
貼り合わせることにより、両面から記録・消去及び再生
が可能な構造の記録媒体としてもよい。
【0024】また、図1の記録媒体は記録薄膜3が窒素
を含有するものであるが、本発明においては、図2に示
すように、保護層2及び保護層4のうちの少なくとも一
方を窒素を含有するものにし、その記録薄膜3に接して
いる表面を含む表層部2a(表層部4a)の平均の窒素
濃度を前記表層部2a(表層部4a)以外の他の部分の
それよりも大きくするようにしてもよい。この場合、保
護層2(保護層4)の表層部2a(表層部4a)以外の
他の部分、すなわち、中央部分における平均の窒素濃度
は特に限定されるものではないが、0.1〜30atomic
%にする場合が多い。表層部2a(表層部4a)の平均
の窒素濃度及び厚みは、記録薄膜3の構成材料及び厚
み、保護層2,4の構成材料及び厚み等を考慮して適宜
決定されるが、後述の実施例からも明らかなように、表
層部2a(表層部4a)の厚みは1nm以上にするのが
好ましく、例えば2nmにした時にかかる表層部2a
(表層部4a)の平均の窒素濃度を保護層2,4の表層
部2a(表層部4a)以外の他の部分の平均の窒素濃度
の3倍以上にすると、記録薄膜と保護層間の相互拡散を
抑制するバリア機能が確実に発現する。
【0025】以上のように、本発明の相変化型光学情報
記録媒体では、記録薄膜3または保護層2(4)に窒素
を含有させ、記録薄膜3または保護層2(4)のこれら
両者間の界面となる表面を含む表層部の平均の窒素濃度
を、これらの当該表層部以外の部分の平均の窒素濃度よ
りも大きくすることにより、当該表層部を記録薄膜3と
保護層2(4)間で生ずる相互拡散を実質的に抑制する
バリア層として機能するものにしている。
【0026】かかる本発明の相変化型光学情報記録媒体
は以下に記す第1または第2の製法により合理的かつ安
定に製造することができる。すなわち、前記第1の方法
は記録薄膜3または保護層2(4)の成膜工程で成膜雰
囲気ガス中の窒素濃度を大きくすると膜中に取り込まれ
る窒素量が増加することから、記録薄膜3または保護層
2(4)の成膜工程における成膜開始後の一定期間また
は成膜終了前の一定期間における成膜雰囲気ガス中の平
均の窒素濃度を他の期間における成膜雰囲気ガス中の平
均の窒素濃度よりも大きくする方法である。また、前記
第2の方法は記録薄膜3または保護層2(4)の成膜工
程で成膜速度を小さくすると膜中に取り込まれる窒素量
が増加することから、記録薄膜3または保護層2(4)
の成膜工程における成膜開始後の一定期間または成膜終
了前の一定期間における平均の成膜速度を他の期間にお
ける平均の成膜速度より小さくする方法である。
【0027】前記第1の方法により記録薄膜3に実質的
なバリア層となる表層部3a(3b)を形成する場合、
表層部3a(3b)のバリア機能をより優れたものにす
るためには(表層部3a(3b)が安定したバリア機能
を発揮するようにするためには、記録薄膜3の成膜工程
における記録薄膜3の表層部3a(3b)を成膜する期
間、すなわち、工程開始直後の一定期間または工程終了
直前の一定期間における成膜雰囲気ガス中の平均の窒素
ガス(N2 )濃度を他の期間における成膜雰囲気ガス中
の平均の窒素ガス(N2 )濃度の3倍以上の濃度にする
のが好ましい。一方、前記第1の方法により保護層2,
4にバリア層となる表層部2a(4a)を形成する場合
は、表層部2a(4a)のバリア機能をより優れたもの
にするためには(表層部2a(4a)が安定したバリア
機能を発揮するようにするためには、保護層2,4の成
膜工程における保護層2,4の表層部2a(4a)を成
膜する期間、すなわち、工程開始後の一定期間または工
程終了前の一定期間における成膜雰囲気ガス中の平均の
窒素濃度を他の期間における成膜雰囲気ガス中の平均の
窒素ガス(N2 )濃度の3倍以上の濃度にするのが好ま
しい。
【0028】また、前記第2の方法により記録薄膜3に
バリア層となる表層部3a(3b)を形成する場合、表
層部3a(3b)のバリア機能をより優れたものにする
ためには(表層部3a(3b)が安定したバリア機能を
発揮するようにするためには、記録薄膜3の成膜工程に
おける記録薄膜3の表層部3a(3b)を成膜する期
間、すなわち、工程開始後の一定期間または工程終了前
の一定期間における平均の成膜速度を他の期間における
平均の成膜速度の3分の1以下にするのが好ましい。一
方、前記第2の方法により保護層2(4)にバリア層と
なる表層部2a(4a)を形成する場合、表層部2a
(4a)のバリア機能をより優れたものにするためには
(表層部2a(4a)が安定したバリア機能を発揮する
ようにするためには、保護層2(4)の成膜工程におけ
る保護層2(4)の表層部2a(4a)を成膜する期
間、すなわち、工程開始後の一定期間または工程終了前
の一定期間における平均の成膜速度を他の期間における
平均の成膜速度の3分の1以下にするのが好ましい。
【0029】
【実施例】
(実施例1)図1の層構成からなる相変化型光ディスク
について記録層に高窒素濃度の表層部を設けたことによ
る繰り返し記録特性の向上効果を調べた。
【0030】光ディスクの基本的な構成は以下の通りに
した。基板は厚み1.2mmのガラス基板にし、記録薄
膜を構成する相変化材料はGe2Sb2Te5 とした。こ
のGe2Sb2Te5 は従来から記録・消去特性及び繰り
返し特性に優れた光学情報記録媒体の記録薄膜の構成材
料として知られているものである(特開昭62−209
742号公報)。記録薄膜の膜厚は25nmにした。記
録薄膜をZnSとSiO2 をモル比(ZnS:SiO
2 )8:2の混合比で含んでなる保護層で挟んだ。基板
側の保護層の膜厚を100nm、保護基板側の保護層
(記録薄膜の上面に設けた保護層)の膜厚を30nmに
した。反射層は金(Au)で形成し、膜厚は20nmと
した。
【0031】各層の形成はマグネトロンスパタリング法
により行い、記録薄膜以外の層の成膜工程では成膜雰囲
気ガスをArガスのみにし、圧力3mTorrとした。
一方、記録薄膜の成膜工程では成膜雰囲気ガスをArガ
スとN2 ガスの混合ガスにし、Arガスの分圧を3mT
orrに固定し、N2 ガスの分圧を複数の異なる値に変
化させた。成膜パワーはいずれの層の形成工程において
も100Wにした。スパッタターゲットの直径はいずれ
の層の形成工程においても100mmにし、スパッター
ターゲットと基板との距離は150mmにした。
【0032】図3は各層の成膜工程で使用したマグネト
ロンスパタリング装置の構成を示した模式図である。真
空チャンバー9内には陰極としたスパッタターゲット1
0と基板ホルダー11が対向する位置に配置されてい
る。スパッタターゲット10としては保護層用、記録薄
膜用、反射層用の異なる3種類のスパッタターゲットが
用意され、各層毎に個別にスパッタ成膜できるようにな
っている。チャンバー9内は排気系12によって排気さ
れると同時にガス導入管13,14によって所望の成膜
雰囲気ガスが導入される。成膜時のガス圧はガス導入管
13,14の取り付けられたマスフロコントローラー1
5,16によって制御される。成膜はイオン化した導入
ガスを陰極のスパッタターゲットに衝突させることによ
って行われる。
【0033】図4は作製された光ディスクの記録・消去
の繰り返し試験に用いた評価装置の構成を模式的に示し
た図である。図において、30はレーザ照射源、31は
対物レンズ、32,32はフォトディテクター、34は
モータ、35は光ディスクである。かかる評価装置を用
いて、モータ34により、レーザビーム(波長:780
nm)と光ディスク35の相対速度が14m/secとな
るようにディスクを回転させ、最短マーク周期1.1μ
mでランダムデータを2−7変調マークポジション記録
によりオーバライト(重ね書き)し、繰り返し記録回数
に伴うBER(Bit Error Rate)の変化
を測定した。ここでの繰り返し記録を行なうレーザパワ
ーは以下にようにして決定した。すなわち、オーバライ
ト記録は、図5に示すようにピークパワーとバイアスパ
ワーの2値のパワーのレーザを記録媒体に照射して行わ
れる。ここでピークパワー,バイアスパワーを0.2m
Wきざみで変化させてBER変化を測定し、100回繰
り返し後のBER値が1×10-5以下となる記録・消去
パワーのうち最小のパワーを下限パワーにした。繰り返
し記録特性は下限パワーの15%増しの記録・消去パワ
ーで繰り返し記録を行ない、BERが1×10-5よりも
大きくなった時の繰り返し回数を測定することにより評
価した。
【0034】表1はその成膜工程において工程開始から
工程終了までの成膜雰囲気ガス中の窒素(N2 )分圧を
一定にして成膜した記録薄膜を有する光ディスクの記録
・消去の繰り返し回数を示している。
【0035】
【表1】
【0036】表1から、成膜工程の工程開始から工程終
了までの成膜雰囲気ガス中のN2 分圧を一定にして成膜
した記録薄膜を用いて光ディスクを構成する場合、記録
薄膜の成膜工程における成膜雰囲気ガスには光ディスク
の記録・消去の繰り返し特性を優れたものにする好まし
いN2 分圧が存在し、ここではそれが50μTorrで
あることが分かる。このような適度なN2 分圧で成膜し
た記録薄膜を用いた光ディスクが良好なサイクル特性を
示すことは例えば特開平2−113380号公報に開示
されている。ただし、好ましいN2 分圧は成膜条件(使
用する成膜装置)に強く依存し、前記とは異なる成膜条
件(成膜装置)では異なる値を示すことがある。
【0037】下記表2のA欄は、その成膜工程における
工程開始から厚み2nmの膜(最初の2nmの膜)が成
長するまでの期間の成膜雰囲気ガス中のN2 分圧を種々
変更し、かかる期間以降の成膜雰囲気ガス中のN2 分圧
を前記表1に示した実験結果から得られた好ましいN2
分圧(50μTorr)に設定して成膜した記録薄膜を
有する光ディスクの記録・消去の繰り返し回数を示して
いる。この表2のA段から、その成膜工程の開始時の所
定厚みの膜が成長する期間の成膜雰囲気ガス中のN2
圧をかかる所定期間の後における成膜雰囲気ガス中のそ
れよりも大きくして成膜した記録薄膜を用いた光ディス
クでは、表1に示した光ディスクよりも更に記録・消去
の繰り返し特性が向上することが分かる。
【0038】下記の表2のB欄は、その成膜工程におい
て工程開始から厚み2〜5nmの膜(最初の2nmの
膜)が成長するまでの期間の成膜雰囲気ガス中のN2
圧を前記表2のA欄に示した実験結果により得られた好
ましいN2 分圧(0.7mTorr)に設定し、かかる
期間以降における成膜雰囲気ガス中のN2 分圧を50μ
Torrに設定して成膜した記録薄膜を有する光ディス
クの記録・消去の繰り返し回数を示している。この表2
のB欄から、記録薄膜の成膜工程開始時の成膜雰囲気ガ
ス中のN2 分圧を高めて成膜した部分の厚みが大き過ぎ
ると(N2 分圧を高めて成膜した部分の厚みが3nmよ
り大きくなると)光ディスクの記録・消去の繰り返し特
性が逆に低下することが分かる。
【0039】下記の表2のC欄は、その成膜工程におい
て工程終了前の最後の2nmの厚みの膜が成長する期間
の成膜雰囲気ガス中のN2 ガス分圧を種々変更し、工程
開始からかかる期間までの成膜雰囲気ガス中のN2 分圧
は前記表1に示した実験結果により得られた好ましいN
2 分圧(50μTorr)にして成膜した記録薄膜を有
する光ディスクの記録・消去の繰り返し回数を示してい
る。この表2のC欄から、その成膜工程の工程終了前の
所定厚みの膜が成長する期間の成膜雰囲気ガス中のN2
ガス分圧を工程開始からかかる期間までの成膜雰囲気ガ
ス中のそれよりも大きくして成膜した記録薄膜を用いた
場合は、表1に示した光ディスクよりも更に光ディスク
の記録・消去の繰り返し特性が向上することが分かる。
【0040】下記の表2のD欄は、その成膜工程におい
て工程終了前の最後の2〜5nmの厚みの膜が成長する
期間の成膜雰囲気ガス中のN2 ガス分圧を前記表2のC
欄に示した実験結果により得られた好ましいN2 分圧
(0.7mTorr)に設定し、工程開始からかかる期
間までの成膜雰囲気ガス中のN2 分圧を50μTorr
に設定して成膜した記録薄膜を有する光ディスクの記録
・消去の繰り返し回数を示している。この表2のD欄か
ら、記録薄膜の成膜工程終了前の成膜雰囲気ガス中のN
2 分圧を高めて成膜した部分の厚みが大き過ぎると(N
2 分圧を高めて成膜した部分の厚みが3nmより大きく
なると)光ディスクの記録・消去の繰り返し特性が逆に
低下することが分かる。
【0041】
【表2】
【0042】以上の表1及び表2の結果から、記録・消
去の繰り返し特性の向上が記録薄膜への窒素の導入によ
る記録薄膜自体の膜質の向上によるものだけでなく、記
録薄の成膜工程の開始時及び終了時に成膜雰囲気ガス中
のN2 ガス分圧を高めて形成した保護層との界面を成す
表層部の特性に起因していることが分かった。
【0043】そこで、光ディスクの記録薄膜の膜厚方向
における元素組成比をオージェ電子分光法(AES)に
よって調べたところ、記録・消去の繰り返し特性の特に
優れた光ディスク(記録・消去の繰り返し回数が21万
回以上)はその記録薄膜の保護層との界面となる表面を
含む表層部が窒素リッチな状態になっており、かかる窒
素リッチな表層部は記録薄膜の膜厚方向の中央部に比べ
て少なくとも3倍以上の窒素濃度を有していた。
【0044】以上の結果から、窒素を含有する記録薄膜
の保護層との界面となる表面を含む表層部の窒素濃度を
記録薄膜の中央部の窒素濃度よりも大きい濃度にするこ
とにより、光ディスクの記録・消去の繰り返し特性を大
幅に向上させることができること(特に、記録薄膜の中
央部の窒素濃度の3倍以上大きい濃度にすることによ
り、光ディスクの記録・消去の繰り返し特性を確実に大
幅に向上させることができること)が分かった。また、
窒素濃度を高めた表層部の厚さは3nm以下、好ましく
は2〜3nmにする必要があることが分かった。なお、
前記表1,2には記載していないが、窒素濃度を高めた
表層部の厚みを1nm未満にした場合、記録・消去の繰
り返し特性の向上効果は小さかった。
【0045】次に、前記記録薄膜の表層部の窒素濃度の
高濃度化による記録・消去の繰り返し特性の向上効果
が、記録薄膜の基準の窒素濃度(表層部以外の部分の窒
素濃度)に関係なく一般的に得られるかを確認するた
め、表層部(成膜開始からの2nmの厚み部分)以外の
部分の成膜期間における成膜雰囲気ガス中の平均のN2
分圧を種々変更したそれぞれの成膜工程において、表層
部の成膜期間における成膜雰囲気ガス中の平均のN2
圧(表層部の成膜期間における平均のN2 分圧/表層部
以外の部分の成膜期間における平均のN2 分圧)を変更
して記録薄膜を形成し、各記録薄膜を有する光ディスク
の記録・消去の繰り返し回数を測定した。
【0046】下記の表3がその結果であり、かかる測定
結果から、表層部の成膜期間における平均のN2 分圧を
表層部以外の部分の成膜期間における平均のN2 分圧の
10倍以上にすると、表層部以外の部分の成膜期間にお
ける平均のN2 分圧が異なっていても、すなわち、表層
部以外の部分の平均の窒素濃度が異なっていても、顕著
な記録・消去の繰り返し特性の向上効果が得られること
が分かった。
【0047】
【表3】
【0048】また、以上の実験は相変化材料がGe2
2Te5 からなる記録薄膜についての実験であった
が、GexSbyTez 化合物における組成比を変更して
前記と同様の実験を行ったところ、組成比が0.10≦
x≦0.35、0.10≦y、0.45≦z≦0.65、x
+y+z=1を満たす、すなわち、図6のA(35,1
0,55)、B(35,20,45)、C(10,4
5,45)、D(10,25,65)、E(25,1
0,65)で囲まれた範囲にあるその結晶化感度及び非
晶質化感度がともに良好になる組成の時(単一ビームに
よる重ね書きを考慮して、結晶化に必要な加熱時間が1
00nsec以下にした時)に、前記と同様の光ディス
クの記録・消去の繰り返し特性の飛躍的な向上効果が認
められた。
【0049】また、光ディスクにおける各層の膜厚を0
nmより大きく100nmまでの間で変化させても、記
録薄膜の成膜工程における成膜開始後の所定厚みの膜が
成長する期間及び成膜終了前の所定厚みの膜が成長する
期間の少なくとも一方における窒素分圧を高めて記録薄
膜の表層部の窒素濃度を高めると、光ディスクの記録・
消去の繰り返し特性の向上効果が得られることが認めら
れた。また、反射層を持たない光ディスクにおいても同
様の結果が得られた。
【0050】なお、記録薄膜の成膜工程において従来と
異なった操作を行っているのは、成膜雰囲気ガス中の窒
素(N2 )分圧の制御だけなので、当然、窒素以外の元
素の膜厚方向の濃度変化の割合(膜厚方向での最大濃度
と最少濃度の比)は窒素の膜厚方向の濃度変化の割合よ
りも小さくなることが予想される。この予想が正しいこ
とはAES分析によって確かめられた。
【0051】(実施例2)前記実施例1では記録薄膜の
成膜工程開始時の所定厚みの膜が成長する期間における
成膜雰囲気ガス中のN2 分圧をかかる期間の後における
成膜雰囲気ガス中のそれよりも大きくする、または成膜
工程終了前の最後の所定厚みの膜が成長する期間におけ
る成膜雰囲気ガス中のN2 分圧を成膜工程開始からかか
る期間までの成膜雰囲気ガス中のそれよりも大きくする
ことによって記録薄膜における保護層との界面をなす表
層部の窒素濃度を他の部分のそれより大きくし、この窒
素濃度を増大させた表層部によって光ディスクの記録・
消去の繰り返し特性が向上することを説明した。本実施
例2は記録薄膜の成膜工程の工程開始時の所定厚みの膜
が成長する期間における成膜速度をかかる所定期間後の
成膜速度よりも小さくする、または、記録薄膜の成膜工
程の工程終了前の最後の所定厚みの膜が成長する期間に
おける成膜速度を成膜工程開始からかかる期間までの成
膜速度よりも小さくすることによって記録薄膜の保護層
との界面となる表層部の窒素濃度を他の部分のそれより
大きくし、これによって光ディスクの記録・消去の繰り
返し特性を向上させるものである。
【0052】先ず、図3の装置を用いて図1の層構成か
らなる相変化型光ディスクを作製した。基板は厚み1.
2mmのガラス基板にし、記録薄膜を構成する相変化材
料はGe2Sb2Te5 とした。保護層はZnSとSiO
2 をモル比(ZnS:SiO 2 )8:2で含んでなるも
のとした。反射層はAuからなるものとした。各層の膜
厚は、基板側の保護層から順に100nm(保護層
2)、25nm(記録薄膜3)、30nm(保護層
4)、20nm(反射層5)にした。ここで、記録薄膜
以外の層を成膜する際の成膜雰囲気は圧力3mTorr
のArガスのみにし、成膜パワーを100Wにした。一
方、記録薄膜を成膜する際の成膜雰囲気はArガスとN
2 ガスの混合ガスにし(Arガスの分圧が3mTor
r、N2 ガスの分圧が50μTorr)、成膜パワーを
種々変更した。このようにして作製した種々の光ディス
クのそれぞれについて記録・消去の繰り返し試験を行っ
た。ここで、レーザビーム(波長:780nm)とディ
スクの相対速度は14m/secとし、最短マーク周期
1.1μmでランダムデータを2−7変調マークポジシ
ョン記録をオーバライトし、繰り返し記録回数に伴うB
ERの変化を測定した。まず、ピークパワーとバイアス
パワーを独立に0.2mWきざみで変化させてBER変
化を測定し、100回繰り返し後のBER値が1×10
-5以下となる記録・消去パワーのうち最小のパワーを下
限パワーとした。繰り返し記録は、下限パワーの15%
増しの記録・消去パワーで繰り返し記録を行ない、BE
Rが1×10-5よりも大きくなった時の繰り返し回数を
測定した。表4がその結果である。
【0053】
【表4】
【0054】表4のA欄は、成膜工程の工程開始から工
程終了までの成膜パワーを一定にして成膜した記録薄膜
を有する光ディスクの記録・消去の繰り返し回数を示し
ている。この表4のA欄から、記録薄膜全体を同一の成
膜パワーで成膜する場合、成膜パワーを150W前後に
して記録薄膜を成膜すると、かかる記録薄膜を備えた光
ディスクは優れた記録・消去の繰り返し特性が得られる
ことがわかる。
【0055】表4のB欄は、記録薄膜の成膜工程におけ
る成膜開始後2nmの厚みの膜が成長する期間の成膜パ
ワーを種々変更し、前記2nmの厚みの膜が成長する期
間後の成膜パワーは前記表4のA欄に示した実験結果に
より得られた好ましい成膜パワー(150W前後)に設
定して成膜した記録薄膜を有する光ディスクの記録・消
去の繰り返し回数を示している。この表4のB欄から、
記録薄膜の成膜工程の工程開始から2nmの厚みの膜が
成長する期間の成膜パワーを他の残りの期間のそれより
も下げた場合に、光ディスクの記録・消去の繰り返し特
性が向上し、逆に上げた場合に光ディスクの記録・消去
の繰り返し特性が劣化する傾向を示し、特に、成膜工程
の工程開始から2nmの厚みの膜が成長する期間の成膜
パワー他の残りの期間のそれの1/3以下に下げた時に
光ディスクの記録・消去の繰り返し特性が飛躍的に向上
することがわかる。
【0056】表4のC欄は、記録薄膜の成膜工程におけ
る成膜終了前の最後の2nmの厚みの膜が成長する期間
の成膜パワーを種々変更し、工程開始から前記期間まで
成膜パワーを前記表4のA欄に示し実験結果により得ら
れた好ましい成膜パワー(150W前後)に設定して成
膜した記録薄膜を有する光ディスクの記録・消去の繰り
返し回数を示している。この表4のC欄から、記録薄膜
の成膜工程の工程終了前の最後の2nmの厚みの膜が成
長する期間の成膜パワーを他の残りの期間のそれよりも
下げた場合に、光ディスクの記録・消去の繰り返し特性
が向上し、逆に上げた場合に光ディスクの記録・消去の
繰り返し特性が劣化する傾向を示し、特に、成膜工程の
工程終了前の最後の2nmの厚みの膜が成長する期間の
成膜パワーを残りの期間のそれの1/3以下に下げた時
に光ディスクの記録・消去の繰り返し特性が飛躍的に向
上することがわかる。
【0057】記録薄膜の成膜パワーと成膜速度は成膜パ
ワーが30〜300Wの範囲では比例する。従って、言
い換えれば、表4のB欄及びC欄から、記録薄膜の成膜
開始からの一定期間または成膜終了前の一定期間におい
て成膜速度を下げた場合に光ディスクの記録・消去の繰
り返し特性が向上すること、特に、記録薄膜の成膜開始
からの一定期間または成膜終了前の一定期間における成
膜速度を、他の残りの期間の成膜速度の1/3以下に下
げた時に光ディスクの記録・消去の繰り返し特性が飛躍
的に向上することが分かる。
【0058】一般に窒素雰囲気下において成膜速度が遅
い時には形成される膜中への窒素の取り込み量が増え、
逆に成膜速度が速い時には形成される膜中への窒素の取
り込み量が減る。従って、以上の結果から、記録薄膜の
成膜工程における成膜パワーを制御して記録薄膜の保護
層との界面となる表面を含む表層部の窒素濃度を他の部
分のそれより大きくすることにより、前記実施例1と同
様に、光ディスクの記録・消去の繰り返し特性が改善さ
れることが分かった。そこで、光ディスクの記録薄膜の
膜厚方向における元素組成比をAESによって調べたと
ころ、記録・消去の繰り返し特性の特に優れた光ディス
ク(記録・消去の繰り返し回数が24万回よりも大き
い)はその記録薄膜の保護層との界面を成す表面を含む
表層部が窒素リッチな状態になっており、かかる窒素リ
ッチな表層部は記録薄膜の膜厚方向の中央部に比べて少
なくとも3倍以上の窒素濃度を有していることがわかっ
た。
【0059】次に、記録薄膜の成膜工程の工程開始から
成膜パワーを高める期間、または成膜工程の工程終了前
の成膜パワーを高める期間を変えて、窒素濃度を高めた
表層部の厚みを変える実験を行ったところ、窒素濃度を
高めた表層部の厚さは前記実施例1と同様に、3nm以
下、好ましくは2〜3nmにする必要があることが分か
った。また、窒素濃度を高めた表層部の厚みを1nm未
満にした場合、記録・消去の繰り返し特性の向上効果は
小さかった。
【0060】次に、前記実験により確認した記録薄膜の
表層部の窒素濃度の高濃度化による記録・消去の繰り返
し特性の向上効果が、記録薄膜の基準の窒素濃度(表層
部以外の部分の窒素濃度)に関係なく一般的に得られる
かを確認するため、表層部(成膜開始からの2nmの厚
み部分)以外の部分の成膜期間における成膜パワーを種
々変更したそれぞれの成膜工程において、表層部の成膜
期間における成膜パワー(表層部の成膜期間における成
膜パワー/表層部以外の部分の成膜期間における成膜パ
ワー)を変更して記録薄膜を形成し、各記録薄膜を有す
る光ディスクの記録・消去の繰り返し回数を測定する実
験を行った。その結果、記録薄膜の表層部の成膜期間に
おける平均の成膜パワーを表層部以外の部分の成膜期間
における平均の成膜パワーの3分の1以下にすると、表
層部以外の部分の成膜期間における平均の成膜パワーが
異なっていても、すなわち、表層部以外の部分に含まれ
る窒素濃度が異なっていても、顕著な記録・消去の繰り
返し特性の向上改善の得られることが分かった。
【0061】以上の実験は相変化材料がGe2Sb2Te
5 からなる記録薄膜についての実験であったが、Gex
SbyTez 化合物における組成比を変更して前記と同
様の実験を行ったところ、組成比が0.10≦x≦0.
35、0.10≦y、0.45≦z≦0.65、x+y+z
=1を満たす、すなわち、図6のA、B、C、D、Eで
囲まれた範囲にあるその結晶化感度及び非晶質化感度が
ともに良好になる組成の時(単一ビームによる重ね書き
を考慮して、結晶化に必要な加熱時間が100nsec
以下にした時)に、前記と同様の光ディスクの記録・消
去の繰り返し特性の飛躍的な向上効果が認められた。
【0062】また、光ディスクにおける各層の膜厚を0
nmより大きく100nmまでの間で変化させても、記
録薄膜の成膜工程における成膜開始後の所定厚みの膜が
成長する期間の成膜パワーを下げて記録薄膜の表層部の
窒素濃度を高めることによって光ディスクの記録・消去
の繰り返し特性の向上効果が得られることが認められ
た。また、反射層を持たない光ディスクにおいても同様
の結果が得られた。
【0063】なお、記録薄膜の成膜工程中の成膜パワー
(成膜速度)の制御による膜中の窒素濃度の変化の割合
は、成膜装置の排気能力等や、種々の成膜条件を変化さ
せた場合にも同様の傾向を示した。また、記録薄膜の成
膜工程において従来と異なった操作を行っているのは、
成膜パワーの制御だけなので、当然、窒素以外の元素の
膜厚方向の濃度変化の割合(膜厚方向での最大濃度と最
少濃度の比)は窒素の膜厚方向の濃度変化の割合よりも
小さくなることが予想される。この予想が正しいことは
AES分析によって確かめられた。
【0064】(実施例3)前記実施例1及び2では記録
薄膜の保護層との界面をなす表面を含む表層部の窒素濃
度を他の部分のそれより大きくし、この窒素濃度を増大
させた表層部によって光ディスクの記録・消去の繰り返
し特性が向上することを説明した。本実施例3は保護層
の記録薄膜との界面をなす表面を含む表層部の窒素濃度
を他の部分のそれより大きくして、この窒素濃度を増大
させた表層部によって光ディスクの記録・消去の繰り返
し特性を向上させるものである。
【0065】本実施例の保護層の表層部の窒素濃度を増
大させる方法は前記実施例1のそれと基本的に同じであ
り、保護層の成膜雰囲気中の窒素(N2 )分圧の制御に
よって行った。
【0066】先ず、図3の装置を用いて図1の層構成か
らなる相変化型光ディスクを作製した。ここで各層の厚
み及び材質は前記実施例1のそれと基本的に同じにし、
保護層以外の層を成膜する際の成膜雰囲気は圧力3mT
orrのArガスのみにし、成膜パワーを100Wにし
た。一方、保護層を成膜する際の成膜パワーは100W
にし、成膜雰囲気をArガスとN2 ガスの混合ガスに
し、Arガスの分圧を3mTorrにし、N2 ガスの分
圧を種々変更した。
【0067】作製した種々の光ディスクのそれぞれにつ
いて記録・消去の繰り返し試験を行った。ここで、レー
ザビーム(波長:780nm)とディスクの相対速度は
14m/secとし、最短マーク周期1.1μmでラン
ダムデータを2−7変調マークポジション記録をオーバ
ライトし、繰り返し記録回数に伴うBERの変化を測定
した。まず、ピークパワーとバイアスパワーを独立に
0.2mWきざみで変化させてBER変化を測定し、1
00回繰り返し後のBER値が1×10-5以下となる記
録・消去パワーのうち最小のパワーを下限パワーとし
た。繰り返し記録は、下限パワーの15%増しの記録・
消去パワーで繰り返し記録を行ない、BERが1×10
-5よりも大きくなった時の繰り返し回数を測定した。
【0068】第1の実験では下記表5のA欄に示すよう
に、その成膜工程において全体の期間中のN2 ガスの分
圧を種々変更して形成した保護層を有する種々の光ディ
スクを作製し、これらについて記録・消去の繰り返し試
験を行った。この結果、保護層全体を同一の窒素分圧を
有する成膜雰囲気下で成膜する場合には、N2 分圧を5
0μTorr前後にした成膜雰囲気下で成膜すると、か
かる記録薄膜を備えた光ディスクは優れた記録・消去の
繰り返し特性が得られることが分かった。このような適
度なN2 分圧にて成膜した保護層を用いた光ディスクが
良好なサイクル特性を示すことは、例えば特開平3−2
32133号公報で開示されている。ただし、好ましい
2 分圧は成膜条件(使用する成膜装置)に強く依存
し、前記とは異なる成膜条件(成膜装置)では異なる値
を示す。
【0069】第2の実験では下記表5のB欄に示すよう
に、その成膜工程における工程開始後2nmの厚みの膜
が成長する期間の成膜雰囲気ガス中のN2 ガス分圧を種
々変更し、前記2nmの厚みの膜が成長する期間後の成
膜雰囲気ガス中のN2 ガス分圧を前記表5のA欄に示し
た実験結果により得られた光ディスクの記録・消去の繰
り返し特性を優れたものにする好ましいN2 ガス分圧
(50μTorr)にして形成した保護層を有する種々
の光ディスクを作製し、これらについて記録・消去の繰
り返し試験を行った。この結果、保護層をその成膜工程
における工程開始後2nmの厚みの膜が成長する期間に
おける成膜雰囲気ガス中のN2 ガス分圧をかかる期間後
の成膜雰囲気ガス中のN2 ガス分圧(50μTorr)
より大きくして形成すると、光ディスクの記録・消去の
繰り返し特性がより一層向上することがわかった。
【0070】第3の実験では下記表5のC欄に示すよう
に、その成膜工程における工程開始後2〜20nmの厚
みの膜が成長する期間の成膜雰囲気ガス中のN2 ガス分
圧を前記表5のB欄に示した実験結果から得られた光デ
ィスクの記録・消去の繰り返し特性を最も優れたものに
する0.7mTorrにし、前記2〜20nmの厚み膜
が成長する期間後の成膜雰囲気ガス中のN2 ガス分圧を
前記表5のA欄に示した実験結果により得られた光ディ
スクの記録・消去の繰り返し特性を優れたものにする好
ましいN2 ガス分圧(50μTorr)にして形成した
保護層を有する種々の光ディスクを作製し、これらにつ
いて記録・消去の繰り返し試験を行った。この結果、保
護層の成膜雰囲気ガス中のN2 分圧を高めて成膜した表
層部が多すぎると(N2 分圧を高めて成膜した表層部の
厚みが10nmより大きくなると)光ディスクの記録・
消去の繰り返し特性が逆に低下することが分かった。
【0071】第4の実験では下記表5のD欄に示すよう
に、その成膜工程における工程終了時の最後の2nmの
厚みの膜が成長する期間の成膜雰囲気ガス中のN2 ガス
分圧を種々変更し、工程開始から前記期間までの成膜雰
囲気ガス中のN2 ガス分圧を前記表5のA欄に示した実
験結果により得られた光ディスクの記録・消去の繰り返
し特性を優れたものにする好ましいN2 ガス分圧(50
μTorr)にして形成した保護層を有する種々の光デ
ィスクを作製し、これらについて記録・消去の繰り返し
試験を行った。この結果、保護層をその成膜工程におけ
る成膜終了時の最後の2nmの厚みの膜が成長する期間
における成膜雰囲気ガス中のN2 ガス分圧をかかる期間
前の成膜雰囲気ガス中のN2 ガス分圧(50μTor
r)より大きくして形成すると、光ディスクの記録・消
去の繰り返し特性がより一層向上することがわかった。
【0072】第5の実験では下記表5のE欄に示すよう
に、その成膜工程における工程終了時の最後の2〜20
nmの厚みの膜が成長する期間の成膜雰囲気ガス中のN
2 ガス分圧を前記表5のD欄に示した実験結果により得
られた光ディスクの記録・消去の繰り返し特性を最も優
れたものにする0.7mTorrにし、工程開始から前
記2〜20nmの厚み膜が成長する期間までの成膜雰囲
気ガス中のN2 ガス分圧を前記表5のA欄に示した実験
結果により得られた光ディスクの記録・消去の繰り返し
特性を優れたものにする好ましいN2 ガス分圧(50μ
Torr)にして形成した保護層を有する種々の光ディ
スクを作製し、これらについて記録・消去の繰り返し試
験を行った。この結果、保護層における成膜雰囲気ガス
中のN2分圧を高めて成膜した表層部が多すぎると(N2
分圧を高めて成膜した表層部の厚みが10nmより大
きくなると)光ディスクの記録・消去の繰り返し特性が
逆に低下することが分かった。
【0073】
【表5】
【0074】この表5の結果から、記録・消去の繰り返
し特性の向上が記録薄膜への窒素の導入による記録薄膜
自体の膜質の向上によるものだけでなく、保護層の成膜
工程の開始時及び終了時に成膜雰囲気ガス中のN2 ガス
分圧を高めて形成した記録薄膜保との界面となる表面を
含む表層部の特性に起因していることが分かった。
【0075】そこで、光ディスクの保護層の膜厚方向に
おける元素組成比をAESによって調べたところ、記録
・消去の繰り返し特性の特に優れた(記録・消去の繰り
返し回数が20万回以上)光ディスクはその保護層の記
録薄膜との界面を成す表面を含む表層部が窒素リッチな
状態になっており、かかる窒素リッチな表層部は保護層
の膜厚方向の中央部に比べて少なくとも3倍以上の窒素
濃度を有していることがわかった。
【0076】以上の結果から、窒素を含有する保護層の
記録薄膜との界面となる表面を含む表層部の窒素濃度を
保護層の中央部の窒素濃度よりも大きい濃度にすること
により、光ディスクの記録・消去の繰り返し特性を大幅
に向上させることができること(特に、保護層記の中央
部の窒素濃度の3倍以上大きい濃度にすることにより、
光ディスクの記録・消去の繰り返し特性を確実に大幅に
向上させることができること)が分かった。また、窒素
濃度を高めた表層部の厚さは10nm以下、好ましくは
1〜10nmにする必要があることが分かった。なお、
前記表5には記載していないが、窒素濃度を高めた表層
部の厚みを1nm未満にした場合、記録・消去の繰り返
し特性の向上効果は小さかった。
【0077】次に、前記保護層の表層部の窒素濃度の高
濃度化による記録・消去の繰り返し特性の向上効果が、
保護層の基準の窒素濃度(表層部以外の部分の窒素濃
度)に関係なく一般的に得られるかを確認するため、表
層部(成膜開始からの2nmの厚み部分)以外の部分の
成膜期間における成膜雰囲気ガス中の平均のN2 分圧を
種々変更したそれぞれの成膜工程において、表層部の成
膜期間における成膜雰囲気ガス中の平均のN2 分圧(表
層部の成膜期間における平均のN2 分圧/表層部以外の
部分の成膜期間における平均のN2 分圧)を変更して保
護層を形成し、各保護層を有する光ディスクの記録・消
去の繰り返し回数を測定した。その結果、保護層の表層
部の成膜期間における平均のN2 分圧を表層部以外の部
分の成膜期間における平均のN2 分圧よりも大きくする
と、表層部以外の部分の成膜期間における平均のN2
圧が異なっていても、すなわち、表層部以外の部分の平
均の窒素濃度が異なっていても、顕著な記録・消去の繰
り返し特性の向上効果の得られることが分かった。
【0078】また、光ディスクにおける各層の膜厚を0
nmより大きく100nmまでの間で変化させても、保
護層の成膜工程における成膜開始後の所定厚みの膜が成
長する期間及び成膜終了前の所定厚みの膜が成長する期
間の少なくとも一方における窒素分圧を高めて保護層の
表層部の窒素濃度を高めると、光ディスクの記録・消去
の繰り返し特性の向上効果が得られることが認められ
た。また、反射層を持たない光ディスクにおいても同様
の結果が得られた。
【0079】また、以上の結果は誘電体材料としてZn
SとSiO2 を含んでなる保護層を備えた光ディスクに
ついての実験結果であるが、誘電体材料としてZnS単
体を含んでなる保護層、SiO2 単体を含んでなる保護
層、ZnS及びSiO2 から選ばれる少なくとも一つと
Ta25 を含んでなる保護層を備えた光ディスクにつ
いても同様の結果を得ることができた。
【0080】なお、保護層の成膜工程において従来と異
なった操作を行っているのは、成膜雰囲気ガス中の窒素
(N2 )分圧の制御だけなので、当然、窒素以外の元素
の膜厚方向の濃度変化の割合(膜厚方向での最大濃度と
最少濃度の比)は窒素の膜厚方向の濃度変化の割合より
も小さくなることが予想される。この予想が正しいこと
はAES分析によって確かめられた。
【0081】(実施例4)前記実施例3では保護層の成
膜工程開始時の所定厚みの膜が成長する期間における成
膜雰囲気ガス中のN2 分圧をかかる期間の後における成
膜雰囲気ガス中のそれよりも大きくする、または成膜工
程終了前の最後の所定厚みの膜が成長する期間における
成膜雰囲気ガス中のN2 分圧を成膜工程開始からかかる
期間までの成膜雰囲気ガス中のそれよりも大きくするこ
とによって保護層における記録薄膜との界面をなす表層
部の窒素濃度を他の部分のそれより大きくし、この窒素
濃度を増大させた表層部によって光ディスクの記録・消
去の繰り返し特性が向上することを説明した。本実施例
4は保護層の成膜工程の成膜開始時の所定厚みの膜が成
長する期間における成膜速度をかかる期間後の成膜速度
よりも小さくするまたは、保護層の成膜工程の工程終了
前の最後の所定厚みの膜が成長する期間における成膜速
度を成膜工程開始からかかる期間までの成膜速度よりも
小さくすることによって保護層の記録薄膜との界面をな
す表層部の窒素濃度を他の部分のそれより大きくし、こ
れによって光ディスクの記録・消去の繰り返し特性を向
上させるものである。
【0082】先ず、図3の装置を用いて図1の層構成か
らなる相変化型光ディスクを作製した。ここで各層の厚
み及び材質は前記実施例1のそれと基本的に同じにし
た。ここで、保護層以外の層を成膜する際の成膜雰囲気
は圧力3mTorrのArガスのみにし、成膜パワーを
100Wにした。一方、保護層を成膜する際の成膜雰囲
気はArガスとN2 ガスの混合ガス(Arガスの分圧が
3mTorr、N2 ガスの分圧が50μTorr)に
し、成膜パワーを種々変更した。このようにして作製し
た種々の光ディスクのそれぞれについて記録・消去の繰
り返し試験を行った。ここで、レーザビーム(波長:7
80nm)とディスクの相対速度は14m/secと
し、最短マーク周期1.1μmでランダムデータを2−
7変調マークポジション記録をオーバライトし、繰り返
し記録回数に伴うBERの変化を測定した。まず、ピー
クパワーとバイアスパワーを独立に0.2mWきざみで
変化させてBER変化を測定し、100回繰り返し後の
BER値が1×10-5以下となる記録・消去パワーのう
ち最小のパワーを下限パワーとした。繰り返し記録は、
下限パワーの15%増しの記録・消去パワーで繰り返し
記録を行ない、BERが1×10-5よりも大きくなった
時の繰り返し回数を測定した。この結果が表6である。
【0083】
【表6】
【0084】表6のA欄は、成膜工程の工程開始から工
程終了までの成膜パワーを一定にして成膜した保護層を
有する光ディスクの記録・消去の繰り返し回数を示して
いる。この表6のA欄から、保護層全体を同一の成膜パ
ワーで成膜する場合、成膜パワーを100〜150Wに
して成膜すると、かかる保護層を備えた光ディスクは優
れた記録・消去の繰り返し特性が得られることがわか
る。
【0085】表6のB欄は、保護層の成膜工程における
成膜開始後2nmの厚みの膜が成長する期間の成膜パワ
ーを種々変更し、前記2nmの厚みの膜が成長する期間
後の成膜パワーは前記表6のA欄に示した実験結果から
得られた好ましい成膜パワー(100W)に設定して成
膜した保護層を有する光ディスクの記録・消去の繰り返
し回数を示している。この表6のB欄から、保護層の成
膜工程の工程開始から2nmの厚みの膜が成長する期間
の成膜パワーを他の残りの期間のそれよりも下げた場合
に、光ディスクの記録・消去の繰り返し特性が向上し、
逆に上げた場合に光ディスクの記録・消去の繰り返し特
性が劣化する傾向を示すことがわかる。
【0086】表6のC欄は、保護層の成膜工程における
成膜終了前の最後の2nmの厚みの膜が成長する期間の
成膜パワーを種々変更し、工程開始から前記期間まで成
膜パワーを前記表6のA欄に示した実験結果により得ら
れた好ましい成膜パワー(100W前後)に設定して成
膜した保護層を有する光ディスクの記録・消去の繰り返
し回数を示している。この表6のC欄から、保護層の成
膜工程の工程終了前の最後の2nmの厚みの膜が成長す
る期間の成膜パワーを他の残りの期間のそれよりも下げ
た場合に、光ディスクの記録・消去の繰り返し特性が向
上し、逆に上げた場合に光ディスクの記録・消去の繰り
返し特性が劣化する傾向を示すことがわかる。
【0087】保護層の成膜パワーと成膜速度は成膜パワ
ーが30〜300Wの範囲では比例する。従って、言い
換えれば、表6のB欄及びC欄から、保護層の成膜開始
からの一定期間または成膜終了前の一定期間における成
膜速度を、他の残りの期間の成膜速度より小さくした場
合に光ディスクの記録・消去の繰り返し特性が向上する
ことがわかる。
【0088】一般に窒素雰囲気下において成膜速度が遅
い時には形成される膜中への窒素の取り込み量が増え、
逆に成膜速度が速い時には形成される膜中への窒素の取
り込み量が減る。従って、以上の結果から、保護層の成
膜工程における成膜パワーを制御して保護層の記録薄膜
との界面となる表面を含む表層部の窒素濃度を他の部分
のそれより大きくすることにより、前記実施例3と同様
に、光ディスクの記録・消去の繰り返し特性が改善され
ることが分かった。そこで、光ディスクの保護層の膜厚
方向における元素組成比をAESによって調べたとこ
ろ、記録・消去の繰り返し特性の特に優れた光ディスク
はその保護層の記録薄膜との界面となる表面を含む表層
部が窒素リッチな状態になっており、かかる窒素リッチ
な表層部は記録薄膜の膜厚方向の中央部に比べて少なく
とも3倍以上の窒素濃度を有していることがわかった。
【0089】次に、保護層の成膜工程の工程開始から成
膜パワーを高める期間、または成膜工程の工程終了前の
成膜パワーを高める期間を変えて、窒素濃度を高めた表
層部の厚みを変える実験を行ったところ、窒素濃度を高
めた表層部の厚さは前記実施例3と同様に、10nm以
下、好ましくは1〜10nmにする必要があることが分
かった。また、窒素濃度を高めた表層部の厚みを1nm
未満にした場合、記録・消去の繰り返し特性の向上効果
は小さかった。
【0090】次に、前記実験により確認した保護層の表
層部の窒素濃度の高濃度化による記録・消去の繰り返し
特性の向上効果が、保護層の基準の窒素濃度(表層部以
外の部分の窒素濃度)に関係なく一般的に得られるかを
確認するため、表層部(成膜開始からの2nmの厚み部
分)以外の部分の成膜期間における成膜パワーを種々変
更したそれぞれの成膜工程において、表層部の成膜期間
における成膜パワー(表層部の成膜期間における成膜パ
ワー/表層部以外の部分の成膜期間における成膜パワ
ー)を変更して保護層を形成し、各保護層を有する光デ
ィスクの記録・消去の繰り返し回数を測定する実験を行
った。その結果、保護層の表層部の成膜期間における平
均の成膜パワーを表層部以外の部分の成膜期間における
平均の成膜パワーより小さくすると、表層部以外の部分
の成膜期間における平均の成膜パワーが異なっていて
も、すなわち、表層部以外の部分に含まれる窒素濃度が
異なっていても、顕著な記録・消去の繰り返し特性の向
上改善の得られることが分かった。
【0091】また、光ディスクにおける各層の膜厚を0
nmより大きく100nmまでの間で変化させても、保
護層の成膜工程における成膜開始後の所定厚みの膜が成
長する期間の成膜パワーを下げて保護層の表層部の窒素
濃度を高めることによって光ディスクの記録・消去の繰
り返し特性の向上効果が得られることが認められた。ま
た、反射層を持たない光ディスクにおいても同様の結果
が得られた。
【0092】また、以上の結果は誘電体材料としてZn
SとSiO2 を含んでなる保護層を備えた光ディスクに
ついての実験結果であるが、誘電体材料としてZnS単
体を含んでなる保護層、SiO2 単体を含んでなる保護
層、ZnS及びSiO2 から選ばれる少なくとも一つと
Ta25 を含んでなる保護層を備えた光ディスクにつ
いても同様の結果を得ることができた。
【0093】なお、保護層の成膜工程中の成膜パワー
(成膜速度)の制御による膜中の窒素濃度の変化の割合
は、成膜装置の排気能力等や、種々の成膜条件を変化さ
せた場合にも同様の傾向を示した。また、保護層の成膜
工程中の成膜パワー(成膜速度)の制御によって保護層
内で窒素以外の元素の濃度が膜厚方向で変化することが
考えられるが、AES分析でこれを調べたところ、この
窒素以外の元素の濃度変化の割合は窒素濃度のそれに比
べて極めて小さいものであった。
【0094】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、相変化
型光学情報記録媒体における記録薄膜及び保護層の少な
くとも一方に窒素を含有させ、この窒素を含有させた記
録薄膜及び保護層の少なくとも一方を、その構成元素の
うちの薄膜(層)の厚み方向における濃度変化の割り合
いの最も大きい元素が窒素であり、かつ、その記録薄膜
と保護層間の界面となる表面を含む表層部の窒素濃度が
当該表層部以外の部分の窒素濃度よりも大きいものとし
たことにより、記録・消去の繰り返し特性が飛躍的に向
上した相変化型光学情報記録媒体を得ることができる。
【0095】また、本発明によれば、前記の記録・消去
の繰り返し特性が飛躍的に向上した相変化型光学情報記
録媒体を合理的かつ安定に製造することができる相変化
型光学情報記録媒体の製造方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の相変化型光学情報記録媒体の一具体例
の構成を示した断面図である。
【図2】本発明の相変化型光学情報記録媒体の他の具体
例の構成を示した断面図である。
【図3】本発明の実施例による相変化型光ディスクの作
製時の各層の成膜作業に使用したマグネトロンスパッタ
リング装置を模式的に示した図である。
【図4】本発明の実施例による相変化型光ディスクの記
録・消去の繰り返し試験に使用した評価装置を模式的に
示した図である。
【図5】本発明の実施例による相変化型光ディスクに繰
り返し記録を行った際のレーザパワーの強度変調を示し
た図である。
【図6】本発明の実施例による相変化型光ディスクの記
録薄膜を構成するGexSbyTeZ の組成範囲を示した
図である。
【符号の説明】
1 基板 1a 基板表面 2 保護層 2a 表層部 3 記録薄膜 3a,3b 表層部 4 保護層 4a 表層部 5 反射層 6 接着層 7 保護基板 8 レーザ光

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材と、前記基材上に配設された、窒素
    を構成元素として含有し、レーザ光線の照射前後でその
    光学特性が可逆的に変化する記録薄膜と、前記記録薄膜
    の片側の表面または両側の表面に形成された保護層とを
    備えた相変化型光学情報記録媒体において、前記記録薄
    膜は、その構成元素のうちの薄膜の厚み方向における濃
    度変化の割り合いの最も大きい元素が窒素であり、か
    つ、その前記保護層との界面を成す表面を含む表層部が
    実質的に記録薄膜と保護層間の相互拡散を抑制するに必
    要な高窒素濃度を有するものになっていることを特徴と
    する相変化型光学情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 記録薄膜の保護層との界面をなす表面か
    ら2nmの厚みを有する部分の平均の窒素濃度が前記2
    nmの厚みを有する部分以外の部分の平均の窒素濃度の
    3倍以上である請求項1に記載の相変化型光学情報記録
    媒体。
  3. 【請求項3】 記録薄膜を構成する相変化材料がSe及
    びTeから選ばれる少なくとも一つを含有するカルコゲ
    ン化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の相変化
    型光学情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 カルコゲン化合物がGexSbyTez
    (0.10≦x≦0.35、0.10≦y、0.45≦
    z≦0.65、x+y+z=1)である請求項4に記載
    の相変化型光学情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 保護層がZnS、SiO2 及びTa2
    5 から選ばれる少なくとも一つの誘電体物質を含んでな
    るものである請求項1〜5のいずれかに記載の相変化型
    光学情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 基材と、前記基材上に配設されたレーザ
    光線の照射前後でその光学特性が可逆的に変化する記録
    薄膜と、前記記録薄膜の片側の表面または両側の表面に
    形成された、窒素をその構成元素として含有する保護層
    とを備えてなる相変化型光学情報記録媒体において、前
    記保護層は、その構成元素のうちの層の厚み方向におけ
    る濃度変化の割り合いの最も大きい元素が窒素であり、
    かつ、その前記記録薄膜との界面を成す表面を含む表層
    部が実質的に記録薄膜と保護層間の相互拡散を抑制する
    に必要な高窒素濃度を有するものになっていることを特
    徴とする相変化型光学情報記録媒体。
  7. 【請求項7】 保護層の記録薄膜との界面をなす表面か
    ら2nmの厚みを有する部分の平均の窒素濃度が前記2
    nmの厚みを有する部分以外の部分の平均の窒素濃度の
    3倍以上である請求項6に記載の相変化型光学情報記録
    媒体。
  8. 【請求項8】 保護層がZnS、SiO2 及びTa2
    5 から選ばれる少なくとも一つの誘電体物質を含んでな
    るものである請求項6または7のいずれかに記載の相変
    化型光学情報記録媒体。
  9. 【請求項9】 保護層がZnSとSiO2 をモル比(Z
    nS:SiO2 )8:2の混合比で含んでなるものであ
    る請求項8に記載の相変化型光学情報記録媒体。
  10. 【請求項10】 記録薄膜を構成する相変化材料がSe
    及びTeから選ばれる少なくとも一つを含有するカルコ
    ゲン化合物である請求項6〜9のいずれかに記載の相変
    化型光学情報記録媒体。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の相変化型光学情報記
    録媒体を製造する方法であって、その保護層との界面を
    成す表面を含む表層部を成膜する期間の成膜雰囲気ガス
    中の窒素ガス(N2 )濃度を、その前記表層部以外の部
    分を成膜する期間の成膜雰囲気ガス中の平均の窒素ガス
    (N2 )濃度よりも大きくして記録薄膜を成膜すること
    を特徴とする相変化型光学情報記録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 記録薄膜の保護層との界面をなす表面
    から2nmの厚みを有する部分を成膜する期間の成膜雰
    囲気ガス中の平均の窒素ガス(N2 )濃度を、その前記
    2nmの厚みを有する部分以外の部分を成膜する期間の
    成膜雰囲気ガス中の平均の窒素ガス(N2 )濃度の10
    倍以上にして記録薄膜を成膜する請求項11に記載の相
    変化型光学情報記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1に記載の相変化型光学情報記
    録媒体を製造する方法であって、その保護層との界面を
    成す表面を含む表層部を成膜する期間の平均の成膜速度
    を、その前記表面層部以外の部分を成膜する期間の平均
    の成膜速度よりも小さくして記録薄膜を成膜することを
    特徴とする相変化型光学情報記録媒体の製造方法。
  14. 【請求項14】 記録薄の保護層との界面をなす表面か
    ら2nmの厚みを有する部分を成膜する期間の平均の成
    膜速度を、その前記2nmの厚みを有する部分以外の部
    分を成膜する期間の平均の成膜速度の3分の1以下にし
    て記録薄膜を成膜する請求項13に記載の相変化型光学
    情報記録媒体の製造方法。
  15. 【請求項15】 記録薄膜を構成する相変化材料がSe
    及びTeから選ばれる少なくとも一つを含有するカルコ
    ゲン化合物である請求項11〜14のいずれかに記載の
    相変化型光学情報記録媒体の製造方法。
  16. 【請求項16】 カルコゲン化合物がGexSbyTez
    (0.10≦x≦0.35、0.10≦y、0.45≦
    z≦0.65、x+y+z=1)である請求項15に記
    載の相変化型光学情報記録媒体の製造方法。
  17. 【請求項17】 保護層がZnS、SiO2 及びTa2
    5 から選ばれる少なくとも一つの誘電体物質を含んで
    なるものである請求項11〜16のいずれかに記載の相
    変化型光学情報記録媒体の製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項6に記載の相変化型光学情報記
    録媒体を製造する方法であって、その記録薄膜との界面
    を成す表面を含む表層部を成膜する期間の成膜雰囲気ガ
    ス中の平均の窒素ガス(N2 )濃度を、その前記表層部
    以外の部分を成膜する期間の成膜雰囲気ガス中の平均の
    窒素ガス(N2 )濃度より大きくして保護層を成膜する
    ことを特徴とする相変化型光学情報記録媒体の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 保護層の記録薄膜との界面をなす表面
    から2nmの厚みを有する部分を成膜する期間の成膜雰
    囲気ガス中の平均の窒素ガス(N2 )濃度を、その前記
    2nmの厚みを有する部分以外の部分を成膜する期間の
    成膜雰囲気ガス中の平均の窒素ガス(N2 )濃度の10
    倍以上にして保護層を成膜する請求項18に記載の相変
    化型光学情報記録媒体の製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項6に記載の相変化型光学情報記
    録媒体を製造する方法であって、その記録薄膜との界面
    を成す表面を含む表層部を成膜する期間の平均の成膜速
    度を、その前記表層部以外の部分を成膜する期間の平均
    の成膜速度より小さくして保護層を成膜することを特徴
    とする相変化型光学情報記録媒体の製造方法。
  21. 【請求項21】 保護層の記録薄膜との界面をなす表面
    から2nmの厚みを有する部分を成膜する期間の平均の
    成膜速度を、その前記2nmの厚みを有する部分以外の
    部分を成膜する期間の平均の成膜速度の3分の1以下に
    して保護層を成膜する請求項20に記載の相変化型光学
    情報記録媒体の製造方法。
  22. 【請求項22】 保護層がZnS、SiO2 及びTa2
    5 から選ばれる少なくとも一つの誘電体物質を含んで
    なるものである請求項18〜21のいずれかに記載の相
    変化型光学情報記録媒体の製造方法。
  23. 【請求項23】 保護層がZnSとSiO2 をモル比
    (ZnS:SiO2 )8:2の混合比で含んでなるもの
    である請求項22に記載の相変化型光学情報記録媒体の
    製造方法。
  24. 【請求項24】 記録薄膜を構成する相変化材料がSe
    及びTeから選ばれる少なくとも一つを含有するカルコ
    ゲン化合物である請求項19〜23のいずれかに記載の
    相変化型光学情報記録媒体の製造方法。
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