JPH10158909A - 使い捨て保護衣料用生地及びその製造方法 - Google Patents

使い捨て保護衣料用生地及びその製造方法

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JPH10158909A
JPH10158909A JP8327818A JP32781896A JPH10158909A JP H10158909 A JPH10158909 A JP H10158909A JP 8327818 A JP8327818 A JP 8327818A JP 32781896 A JP32781896 A JP 32781896A JP H10158909 A JPH10158909 A JP H10158909A
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JP
Japan
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synthetic resin
resin film
nonwoven fabric
fabric
disposable protective
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Application number
JP8327818A
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English (en)
Inventor
Hideki Ishikawa
英樹 石川
Akira Hirayama
明 平山
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Shinwa Co Ltd
Original Assignee
Shinwa Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水性や粉塵遮蔽性に優れ、且つ風合が良好
で着用感に優れた使い捨て保護衣料を縫製する際に用い
る生地を提供する。 【解決手段】 この使い捨て保護衣料用生地は、合成樹
脂フィルム1と不織布2とが積層接合されてなる。合成
樹脂フィルム1は、最大細孔径が3〜0.5μmの細孔
が多数設けられてあるものである。合成樹脂フィルム1
中には、炭酸カルシウム微粉末が混入されているのが好
ましい。また、不織布2としては、セルロース系繊維を
構成繊維の主体とするものを用いるのが好ましい。合成
樹脂フィルムと不織布とは、多数の点接着区域で接合さ
れている。この不織布には、全体に亙って多数のしぼ3
が生じている。この生地を、所定形状に縫製すれば、使
い捨て保護衣料が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低レベル放射能汚
染地域で、清掃や建築等の作業に従事する作業者が着用
するのに適した使い捨て保護衣料に関するものである。
また、この使い捨て保護衣料を縫製する際に用いる生地
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所内或いはその近辺で作業す
る作業者は、放射能に汚染された塵や水等の物質に接触
する危険があるため、保護衣料を着用するのが一般的で
ある。この保護衣料は、放射能に汚染された物質が人体
又は被服に付着するのを防止するためのものであるか
ら、塵や水を透過しにくい生地で縫製されている。この
ような生地として、従来より、米国のデュポン社から
「タイベック」なる商標で販売されている不織布が用い
られている。「タイベック」は、ポリエチレンやポリプ
ロピレン等の合成樹脂を用いて、これをフラッシュ紡糸
法で紡糸して得られた網状繊維(繊維中に多数のフィブ
リルが生成しており、このフィブリルの連結によって、
繊維が網状を呈する。)を堆積して得られたものであ
る。しかしながら、この不織布は、網状繊維を堆積した
ものであるため、厚み方向に圧縮して緻密化を図って
も、網状繊維相互間で形成される間隙を小さくするには
限度があり、塵や水を通しやすいものであった。
【0003】また、保護衣料は、作業が終了すれば、放
射能汚染物質が付着している恐れがあるため、使い捨て
にされ、焼却処理されるのが一般的である。従って、
「タイベック」なる不織布も、焼却処理されるのである
が、発熱量が比較的高く、焼却炉を損傷しやすいという
欠点があった。これは、保護衣料用生地に用いる「タイ
ベック」は、網状繊維相互間で形成される間隙を小さく
するため、網状繊維の堆積量をなるべく多くしており、
この結果、発熱量が比較的に高くなると考えられてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は、
「タイベック」に代えて、微細孔を多数持つ合成樹脂フ
ィルムを採用すれば良いと考えた。微細孔を多数持つ合
成樹脂フィルムは、薄い合成樹脂製フィルムを縦又は横
に延伸すれば得られる。また、合成樹脂と無機微粉末と
の混合物を原料として、合成樹脂フィルムを作成し、こ
れを延伸すれば、特に合成樹脂と無機微粉末との境界で
微細孔が生じ、微細孔を多数持つ合成樹脂フィルムが得
られる。しかしながら、合成樹脂フィルムは、不織布等
と比べると、引張強力が低く、合成樹脂フィルムのみよ
りなる保護衣料は破れやすいということがあった。ま
た、合成樹脂フィルムで保護衣料を縫製すると、縫い糸
に張力がかかると、縫い目が裂けやすいということもあ
った。このように、保護衣料が破れやすかったり、縫い
目が裂けやすいと、この箇所から放射能に汚染された物
質が侵入する恐れがあり、保護衣料としては適当でな
い。更に、合成樹脂フィルムのみよりなる保護衣料は、
人体と接した場合、触感が悪く、作業者が不快感を感じ
るということもあった。
【0005】このため、微細孔を多数持つ合成樹脂フィ
ルムと、不織布とを積層接合した二層構造の生地を採用
し、不織布側を内面として保護衣料を縫製すれば、高引
張強力の不織布によって、破れやすいという欠点や縫い
目が裂けやすいという欠点は回避することができる。ま
た、保護衣料の内面を不織布とするので、人体と接した
場合でも触感が良く、作業者に不快感を与えることも少
ない。ところで、合成樹脂フィルムと不織布とを積層接
合するには、接着剤を用いて接着するか、又は素材であ
る合成樹脂フィルム若しくは不織布を一部軟化溶融させ
て、行うのが一般的である。しかしながら、接着剤を用
いた場合でも、或いは素材を軟化溶融させた場合でも、
接着剤による硬化或いは軟化溶融後の固化による硬化が
起こり、生地自体の風合が低下するという欠点があっ
た。なお、このような風合の低下は、合成樹脂フィルム
と不織布との全面を接合した場合でも、或いは点接合区
域(点接着区域)によって点状に接合した場合でも生じ
るものであるが、後者の場合の方が、風合の低下の程度
は少ない。
【0006】そこで、本発明は、合成樹脂フィルムと不
織布とを点接着区域によって点状に接合すると共に、こ
の不織布全体に亙ってしぼを設けることによって、風合
の低下を防止しようというものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、最大細
孔径が3〜0.5μmの細孔が多数設けられた合成樹脂
フィルムと、不織布とが積層されると共に、多数の点接
着区域で接合されてなり、該不織布には、全体に亙って
多数のしぼが生じていることを特徴とする使い捨て保護
衣料用生地及びこの製造方法に関するものである。ま
た、この使い捨て保護衣料用生地を、所定形状に縫製
し、身頃等の所定箇所に合成樹脂製ファスナーを縫着し
た使い捨て保護衣料に関するものである。
【0008】本発明で使用する合成樹脂フィルムは、ポ
リオレフィン系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポリアミド
系樹脂等の合成樹脂を素材とするものである。そして、
この合成樹脂フィルムには、最大細孔径が3〜0.5μ
mの細孔が多数設けられている。最大細孔径が3μmを
超えると、合成樹脂フィルムに開いている孔が大きくな
りすぎて、耐水性や粉塵遮蔽性が低下し、放射能汚染さ
れた物質が人体や被服に付着する恐れが生じるので、好
ましくない。一方、最大細孔孔が0.5μm未満である
と、透湿性が低下し、これを着用すると人体が蒸れて、
不快感が生じるので、好ましくない。また、細孔は合成
樹脂フィルム中に多数設けられているわけであるが、一
般に、気孔率で10〜70%程度であるのが好ましく、
特に気孔率で20〜40%程度であるのがより好まし
い。ここで、気孔率とは、合成樹脂フィルムの一定容積
中に占める細孔容積の割合のことを意味している。
【0009】本発明において、最大細孔径というのは、
ASTM F316に記載のエタノールバブルポイント
法によって測定されるものである。この測定法の詳細は
ASTMに記載されているが、その概要は次のとおりで
ある。即ち、合成樹脂フィルムを予めエタノール溶液に
浸漬し、各細孔内にエタノールが充填されたサンプルを
準備する。そして、このサンプルを中空円筒体の上部端
縁に張設し、サンプル上にエタノール溶液を貯留してお
く。この状態で、中空円筒体の下部から中空部へエアー
圧をかけ、この圧力を徐々に上昇させる。そして、サン
プル上に貯留されたエタノール液から気泡が出始めた時
点のエアー圧(P:単位はkg/cm2)を読み取り、
最大細孔径(μm)=0.9/Pなる式で、最大細孔径
を算出するのである。
【0010】細孔が多数設けられた合成樹脂フィルムを
作成する方法としては、厚さ10〜100μm程度の無
孔の合成樹脂製フィルムを、延伸処理すればよい。延伸
処理すると、このフィルムに微細な引き裂きが生じ、そ
の結果、細孔が多数形成されるのである。また、合成樹
脂製フィルムを製造する際、合成樹脂と無機微粉末との
混合物を用いて、フィルム形成し、その後、延伸処理し
て、細孔が多数設けられた合成樹脂フィルムを作成して
もよい。この場合、合成樹脂と無機微粉末との界面で、
引き裂きによる細孔が生じやすくなるため、好ましい。
特に、無機微粉末として、炭酸カルシウムを用いるのが
好ましい。何故なら、炭酸カルシウムは焼却する際に燃
焼熱を殆ど発生させないためである。即ち、炭酸カルシ
ウムを含有する合成樹脂フィルムを焼却する場合と、同
重量で炭酸カルシウムを含有しない合成樹脂フィルムを
焼却する場合とでは、前者の発熱量は少なくなり、焼却
炉を損傷する恐れが少なくなるからである。
【0011】合成樹脂フィルムの厚さは、10〜100
μm程度が好ましく、20〜50μm程度がより好まし
く、特に30〜40μm程度が最も好ましい。また、合
成樹脂フィルムの重量は、10〜100g/m2程度が
好ましく、20〜50g/m2程度がより好ましく、3
0〜40g/m2程度が最も好ましい。なお、合成樹脂
フィルムの合成樹脂素材としては、比較的重量が低く、
また焼却処理の際の発熱量の少ないポリエチレンを用い
るのが好ましく、特に線状低密度ポリエチレン(LLD
PE)を用いるのが最も好ましい。
【0012】次に、本発明において用いる不織布として
は、従来公知の各種不織布を用いることができる。例え
ば、短繊維を結合剤で結合したバインダーボンド不織
布,短繊維を接着繊維で結合したファイバーボンド不織
布,短繊維相互間を水流で絡合させたスパンレース不織
布,長繊維で構成されたスパンボンド不織布等を用いる
ことができる。また、短繊維を接着繊維で結合すると共
に、短繊維相互間を水流で絡合させた、ファイバーボン
ドタイプのスパンレース不織布を用いることもできる。
このようなタイプのスパンレース不織布は、比較的高い
引張強度及び引裂強度を持つため、本発明において使用
するのに適している。また、不織布を構成する短繊維又
は長繊維としても、従来公知の各種繊維を採用すること
ができるが、特にセルロース系繊維を採用するのが好ま
しい。この理由は、以下のとおりである。即ち、本発明
において、不織布は人体に接する側となるため、吸汗性
に優れた不織布であることが望まれる。従って、セルロ
ース系繊維は吸水性に優れており、このセルロース系繊
維を不織布の構成繊維とすれば、吸汗性に優れた不織布
が得られるからである。また、セルロース系繊維は、ポ
リオレフィン系繊維,ポリエステル系繊維,ポリアミド
系繊維等と比較して、焼却したときの発熱量が少なく、
セルロース系繊維を構成繊維とする不織布は、焼却炉を
損傷する恐れが少ないからである。
【0013】本発明において用いる不織布の目付は、1
0〜70g/m2程度であるのが好ましく、10〜50
g/m2程度であるのがより好ましく、特に、20〜3
0g/m2程度であるのが最も好ましい。また、不織布
の厚さは、0.05〜0.5mm程度であるのが好まし
く、0.1〜0.3mm程度であるのがより好ましく、
特に0.2〜0.3mm程度であるのが最も好ましい。
【0014】上記した合成樹脂フィルムと不織布とは、
積層されて二層構造となっている。合成樹脂フィルムと
不織布との接合は、多数の点接着区域においてなされて
いる。一個の点接着区域の形態は、円形,長辺形,四辺
形等の任意の形態であって良いが、一般的に円形である
のが好ましい。点接着区域は、使い捨て保護衣料用生地
の1cm2当り、5〜50個設けられているのが好まし
い。点接着区域の数が5個/cm2未満であると、一個
一個の点接着区域の面積が大きくなる傾向が生じ、生地
の風合が低下する傾向が生じる。また、点接着区域の数
が50個/cm2を超えると、一個一個の点接着区域が
近接しすぎるため、しぼを形成しにくくなり、生地の風
合が低下する傾向が生じる。一個一個の点接着区域の面
積は、0.3〜1.5mm2程度であるのが好ましい。
一個の点接着区域を0.3mm2未満とすることは、現
実的に困難である。また、一個の点接着区域の面積が
1.5mm2を超えると、得られる使い捨て保護衣料用
生地の風合が低下する傾向が生じる。
【0015】点接着区域は、合成樹脂フィルムと不織布
とを、従来公知の接着剤で接合することにより、形成す
ることができる。従来公知の接着剤としては、布帛類と
合成樹脂製フィルムとをドライラミネートする際に用い
られる接着剤であれば、どのようなものでも用いること
ができ、例えば、エチレン−酢酸ビニル系接着剤,ポリ
ビニルアルコール系接着剤,ポリウレタン系接着剤,エ
ポキシ系接着剤,アクリル系接着剤,ポリアミド系接着
剤,ビニール系接着剤,その他各種ゴム系接着剤等を用
いることができる。また、不織布中に低融点の熱可塑性
樹脂製接着繊維を混入させておき、不織布と合成樹脂フ
ィルムとを積層した後、この接着繊維を溶融固化すると
共に合成樹脂フィルム面に、当該不織布を加圧すること
によって、点接着区域を設けることもできる。
【0016】本発明において、不織布には全体に亙って
多数のしぼが形成されている。このしぼは、主として点
接着区域外の非接着区域における不織布に、若干のたる
みが生じて形成されているものである。従って、点接着
区域の面積、点接着区域間の非接着区域の面積、一個一
個の点接着区域の配列形態等によって、しぼの状態を適
宜変化させることができる。例えば、円形で面積0.3
〜0.6mm2程度の点接着区域が、図1に示す如く千
鳥状に配列しており、隣接する点接着区域間の距離が
0.7〜1.3mm程度である場合には、高さ0.01
〜0.1mm程度、長さ5〜10mm程度の直線状,折
れ線又は曲線状のしぼが、比較的無作為に不織布全体に
亙って形成されている。
【0017】図1は、本発明の一例に係る使い捨て保護
衣料用生地の模式的一部破断斜視図である。1は、最大
細孔径3〜0.5μmの細孔が多数設けられた合成樹脂
フィルムである。2は不織布である。この不織布2の表
面には、多数のしぼ3が形成されている。合成樹脂フィ
ルム1と不織布2とは、千鳥状に配列された接着剤4に
よって、接合されている。従って、この接着剤4の存在
する区域が、点接着区域となるのである。図1では、合
成樹脂フィルム1と不織布2との二層積層物を示した
が、合成樹脂フィルム1の他面(不織布2が接合されて
いる面の反対面)に、更に、スパンボンド不織布等の任
意の不織布を積層させた三層積層物となっていても良
い。任意の不織布を接合積層させる方法としては、不織
布1を接合積層させる方法と同様に、点接着区域によっ
て接合積層させても良いし、縫製等の手段で接合積層さ
せても良い。また、この任意の不織布には、不織布1と
同様に多数のしぼが設けられていても良いし、しぼが設
けられていなくても良い。任意の不織布を、更に接合積
層することによって、引張強度を更に向上させることが
できるし、合成樹脂フィルム1の表面保護も図れる。
【0018】以上の如き構成を持つ本発明に係る使い捨
て保護衣料用生地は、所定形状に縫製されて使い捨て保
護衣料とすることができる。衣料の形状としては、顔面
と足首より下を除き、他の身体部位を全て覆う形状(フ
ード付きつなぎ服の如き形状)とするのが好ましい。こ
のような形状とすれば、放射能汚染物質が身体や被服に
付着しにくいからである。また、このような形状とした
場合、身頃の所定箇所、例えば前身頃又は後身頃等に開
閉部を設け、この開閉部で衣料を着脱するのが好まし
い。そして、この開閉部は、ボタン等で形成するより
も、ファスナーで形成するのが好ましい。その方が、使
い捨て保護衣料で完全に身体を覆うことができるからで
ある。また、ファスナーを用いた場合、合成樹脂製ファ
スナーで形成するのが好ましい。何故なら、合成樹脂製
ファスナーであれば、金属製ファスナーとは異なり、使
い捨て保護衣料を焼却処理した場合、完全に燃焼してし
まうからである。
【0019】次に、本発明に係る使い捨て保護衣料用生
地の製造方法の一例について説明する。まず、前述し
た、最大細孔径が3〜0.5μmの細孔が多数設けられ
た合成樹脂フィルムを準備する。そして、この合成樹脂
フィルムの片面に、点接着区域を設けるための接着剤を
塗布すると共に、一軸又は二軸方向に張力を負荷して合
成樹脂フィルムを伸長する。この伸長状態で、前述した
不織布を積層し、接着剤にて点接着区域を設け、不織布
と合成樹脂フィルムとを接合する。その後、負荷してい
た張力を解除して、合成樹脂フィルムを収縮させる。こ
の収縮によって、主として点接着区域外の区域におい
て、不織布にたるみが生じ、その結果として、不織布に
多数のしぼが生じ、本発明に係る使い捨て保護衣料用生
地を製造することができるのである。なお、この製造方
法は、あくまで、本発明に係る使い捨て保護衣料用生地
の一製造例であって、例えば、接着剤によって点接着区
域を設けずに、不織布中に接着繊維を混入させておき、
この接着繊維を用いて点接着区域を設けても良いし、或
いは、合成樹脂フィルムを伸長させずに、不織布を収縮
させしぼを形成させた状態で、点接着区域で積層接合す
る等の方法によって、本発明に係る使い捨て保護衣料用
生地を製造しても良い。
【0020】なお、以上の説明において、本発明に係る
使い捨て保護衣料は、主として、低レベル放射能汚染地
域で、清掃や建築等の作業に従事する作業者が着用する
衣料として説明したが、このような用途以外にも、種々
の用途に本発明に係る使い捨て保護衣料は用いることが
できる。例えば、農業に従事する作業者が着用して、農
薬等が作業者の身体や被服に付着しないようにするた
め、塗装業に従事する作業者が着用して、塗料や溶剤等
が作業者の身体や被服に付着しないようにするため、更
にはアスベストを取り扱う作業者が着用して、アスベス
トよりなる粉塵が作業者の身体や被服に付着しないよう
にするためにも、本発明に係る使い捨て保護衣料は、好
適に用いることができるものである。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明の範囲は、この実施例に限定されるものでは
ない。本発明の範囲は、特殊な合成樹脂フィルムと特殊
な不織布とが積層接合され、その結果、耐水性及び粉塵
遮蔽性に優れると共に、着用した場合に良好な風合を持
つという特徴に基づいて決定されるべきである。
【0022】実施例 まず、最大細孔径1.1μmの細孔を多数持つ合成樹脂
フィルム(気孔率約30%)を準備した。この合成樹脂
フィルムは、その厚さが35μmで重量が33g/m2
であった。そして、合成樹脂素材しては線状低密度ポリ
エチレンが用いられ、これに50重量%程度の炭酸カル
シウム微粉末が混入されているものであった。一方、不
織布として、レーヨンステープル繊維80重量%と低融
点ポリエステルステープル繊維20重量%とからなる、
目付30g/m2の水流交絡不織布(スパンレース不織
布)を準備した。このスパンレース不織布は、レーヨン
ステープル繊維が水流によって交絡すると共に、レーヨ
ンステープル繊維相互間が低融点ポリエステルステープ
ル繊維の溶融固化によって結合されてなるものである。
【0023】巻物の形態で供給された上記合成樹脂フィ
ルムを、巻き戻して、接着剤液塗布ロールに通した。こ
の合成樹脂フィルムは、巻き戻す際に、縦方向(機械方
向)に張力が負荷され、縦方向に伸長した状態になって
いる。そして、接着剤液塗布ロールは、接着剤液貯留用
の凹部をロール表面に多数持つ凹凸ロールと、平滑ロー
ルとで構成されるものであり、凹部に貯留している接着
剤液が、合成樹脂フィルムに転写されて、塗布されるも
のである。実施例で用いた凹凸ロールの凹部は、直径約
1mmの円形であり、その深さは0.3mm程度であ
り、また凹部の個数は20個/cm2であった。凹部の
配列は、各凹部の円周方向の列が、ロール軸方向へ千鳥
状に配列されており、円周方向の列における隣接する凹
部のピッチは約2mmであり、円周方向の列のロール軸
方向へのピッチも約2mmであった。従って、円周方向
の列内の隣合う凹部2個と、ロール軸方向に最短距離で
隣合う凹部1個とを結ぶと正三角形が形成される(この
結果、図1に示したような状態で接着剤4が塗布され
る。)。そして、接着剤液としては、ウレタン系接着剤
液(ウレタンプレポリマーを含有する液)を用いた。
【0024】接着剤液塗布ロールから合成樹脂フィルム
を導出した後、接着剤液が塗布された面に、上記した不
織布を積層した後、ニップロールに通した。このニップ
ロールで、合成樹脂フィルムと不織布とが圧着され、散
点状に配列された接着剤によって、合成樹脂フィルムと
不織布とが接合された。そして、この二層構造物をニッ
プロールから導出した後、縦方向に負荷されている張力
を解除した。以上のようにして、使い捨て保護衣料用生
地を得た。
【0025】このようにして得られた使い捨て保護衣料
用生地の耐水圧を、JIS L 1092に記載の方法
に準拠して測定したところ、200Kpa以上の耐水圧
を示した。また、透湿度を、JIS Z 0208(温
度40℃で湿度90%の条件)記載の方法に準拠して測
定したところ、5000g/m2・24hrの透湿度を
示した。また、粉塵遮蔽率を、パーティクルカウンター
(ParticleCounter)で測定したとこ
ろ、約100%の粉塵遮蔽率を示した。なお、粉塵遮蔽
率は、予め、一定容積の大気空気中に0.3〜0.5μ
mの粉塵が何個存在するかを、パーティクルカウンター
で数えておき、一方、使い捨て保護衣料用生地を通過し
た同容積の瀘過空気中に、0.3〜0.5μmの粉塵が
何個存在するかを、パーティクルカウンターで数えて、
次の式で算出するものである。即ち、大気空気中の粉塵
の個数をN個とし、瀘過空気中の粉塵の個数をn個とし
た場合、[1−(n/N)]×100(%)で算出する
ものである。
【0026】また、この使い捨て保護衣料用生地を用い
て、フード付きつなぎ服を縫製し、前身頃に合成樹脂製
ファスナーを取り付けた。このつなぎ服は、着用した際
の着心地(風合,肌触り,吸汗性等)も良好で、また、
使用後に焼却処理をする際も全部が完全燃焼し、且つ、
燃焼エネルギーも従来品に比べて少ないものであった。
【0027】比較例 「タイベック」なる商標でデュポン社から販売されてい
る、目付約60g/m2の不織布を使い捨て保護衣料用
生地として準備した。この耐水圧,透湿度,最大細孔径
及び粉塵遮蔽率を、実施例と同様にして測定しことこ
ろ、以下のとおりであった。耐水圧については15Kp
aであり、実施例に係る生地に比べて、水が通過しやす
いものであった。また、透湿度は、3500g/m2
24hrであり、一応満足のゆくものであった。最大細
孔径については、本発明で採用した測定法では、エタノ
ールが測定前に漏れてしまうため、測定不能であった。
この結果は、比較例に係る不織布には、大きな孔が開い
ていることを示すものである。即ち、比較例に係る不織
布は、最大細孔径が網状繊維相互間の間隙で形成される
という不織布固有の理由によって、必然的に大きな孔が
開いてしまうのである。また、粉塵遮蔽率は、65〜8
3%であり、粉塵遮蔽率が不十分であり、この不織布か
らなる保護衣料は、放射能汚染物質等が身体や被服に付
着し易いことが分かる。
【0028】また、比較例に係る不織布を用いて、フー
ド付きつなぎ服を縫製し、前身頃に合成樹脂製ファスナ
ーを取り付けた。このつなぎ服は、ゴワゴワした風合
で、また肌触りも悪く、更に吸汗性も殆ど無く、着用し
た際の着心地が悪いものであった。また、使用後に焼却
処理をする際も、全部が完全燃焼するものの、発生する
燃焼エネルギーは実施例に係るものに比べて、多いもの
であった。
【0029】
【作用及び発明の効果】本発明に係る使い捨て保護衣料
用生地は、最大細孔径が3〜0.5μmの細孔が多数設
けられた合成樹脂フィルムを用いているので、耐水圧及
び粉塵遮蔽率が高く、放射能汚染物質等が通過しにく
い。従って、この生地を縫製して得られた使い捨て保護
衣料を着用すれば、放射能汚染物質等が人体や被服に付
着しにくいという効果を奏する。また、このような細孔
が多数設けられているので、湿気の通過性が良好である
(透湿度が高い)。従って、この使い捨て保護衣料を着
用した場合、蒸れにくく、長時間着用しても不快感が生
じにくいという効果を奏する。また、この合成樹脂フィ
ルムには、不織布が積層接合されているので、引裂強力
や破断強力を向上させることができる。従って、ミシン
等で衣料を縫製する際、縫い糸による引き裂き等が生じ
にくく、また使用時に手荒く取り扱っても、損傷しにく
い。依って、総称箇所等から放射能汚染物質等が通過し
にくいので、この衣料を着用すれば、放射能汚染物質等
が人体や被服に付着しにくいという効果を奏する。更
に、合成樹脂フィルムと不織布とは、点接着区域におい
て接合されており、且つ、不織布には多数のしぼが設け
られているため、風合や肌触りが良好となる。従って、
この生地を用いて得られた使い捨て保護衣料は、着用感
に優れるという効果を奏する。
【0030】また、合成樹脂フィルム中に、増量剤とし
て炭酸カルシウムを混入させておけば、同重量の合成樹
脂製フィルムを燃焼させた場合に比べて、発生する燃焼
エネルギーが少なくなる。また、不織布としても、構成
繊維としてセルロース系繊維を主体とするものを採用す
れば、ポリオレフィン系繊維やポリエステル系繊維等の
合成樹脂系繊維を構成繊維としたものと比較して、発生
する燃焼エネルギーを少なくしうる。従って、このよう
な合成樹脂フィルム及び不織布を用いて得られた使い捨
て保護衣料は、使用後に焼却炉で処理しても、焼却炉が
損傷しにくいという効果を奏するものである。また、セ
ルロース系繊維を使用した不織布は、セルロース系繊維
の吸水性に基づく、良好な吸汗性を有する。従って、こ
のような不織布を内面として使い捨て保護衣料を縫製す
ると、汗を良く吸い取り、着心地が良好になるという効
果を奏する。
【0031】また、本発明に係る使い捨て保護衣料用生
地を用いて、衣料を縫製する際、身頃等の所定箇所に、
金属製ファスナーに代えて、合成樹脂製ファスナーを縫
着しておけば、使用後に焼却処理した場合、全部が完全
に燃焼し、廃棄処理しやすいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係る使い捨て保護衣料用生地の
模式的一部破断斜視図である。
【符号の説明】
1 合成樹脂フィルム 2 不織布 3 しぼ 4 点接着区域を形成するための接着剤
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 5/24 101 B32B 5/24 101 D04H 13/00 D04H 13/00 D06M 11/73 D06M 11/04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最大細孔径が3〜0.5μmの細孔が多
    数設けられた合成樹脂フィルムと、不織布とが積層され
    ると共に、多数の点接着区域で接合されてなり、該不織
    布には、全体に亙って多数のしぼが生じていることを特
    徴とする使い捨て保護衣料用生地。
  2. 【請求項2】 合成樹脂フィルム中には、炭酸カルシウ
    ム微粉末が混入されており、且つ、不織布はセルロース
    系繊維を主体として構成されている請求項1記載の使い
    捨て保護衣料用生地。
  3. 【請求項3】 最大細孔径が3〜0.5μmの細孔が多
    数設けられた合成樹脂フィルムに、一軸又は二軸方向に
    張力を負荷して、該合成樹脂フィルムを伸長させた状態
    で、点接着区域において不織布と積層接合させた後、該
    張力を解除することによって該合成樹脂フィルムを収縮
    させ、該不織布に多数のしぼを生じさせることを特徴と
    する使い捨て保護衣料用生地の製造方法。
  4. 【請求項4】 合成樹脂フィルム中には、炭酸カルシウ
    ム微粉末が混入されており、且つ、不織布はセルロース
    系繊維を主体として構成されている請求項3記載の使い
    捨て保護衣料用生地の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載の使い捨て保護衣料
    用生地を所定形状に縫製すると共に、身頃等の所定箇所
    に合成樹脂製ファスナーを縫着したことを特徴とする使
    い捨て保護衣料。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002090106A1 (fr) * 2001-05-02 2002-11-14 Japan Absorbent Technology Institute Feuille de separation resistante a l'eau et hautement permeable et produit absorbant utilisant cette feuille
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