JPH10149526A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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Publication number
JPH10149526A
JPH10149526A JP30512296A JP30512296A JPH10149526A JP H10149526 A JPH10149526 A JP H10149526A JP 30512296 A JP30512296 A JP 30512296A JP 30512296 A JP30512296 A JP 30512296A JP H10149526 A JPH10149526 A JP H10149526A
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JP
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magnetic
film
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metal
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JP30512296A
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English (en)
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Kiyokazu Toma
清和 東間
Ryuji Sugita
龍二 杉田
Hiroshi Riyounai
領内  博
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性層の下に、酸化物下地層中に金属粒子が
分散した下地層を形成することにより、十分に高い異方
性磁界を有する磁性粒子を磁気的に十分に分離された状
態で配置して磁性層を形成し、再生出力を高くすること
ができるとともに、ノイズを低減することができ、超高
密度記録に適した磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 スパッタリング法により、基板1上に、
連続する酸化物下地層部分3中に金属下地層部分2の金
属粒子が分散した薄膜下地層を形成する。この薄膜下地
層の金属下地層部分2の上に磁性金属粒子を成長させて
磁性層4を形成する。さらに、磁性層4上に炭素保護膜
層7を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体に関
し、特に、高密度記録再生特性に優れた薄膜型磁気記録
媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録再生装置は、年々高密度化して
おり、短波長記録再生特性の優れた磁気記録媒体が要望
されている。代表的な磁気記録装置であるハードディス
クの分野では、すでに面記録密度が1Gbit/in2
を越える装置が商品化されており、数年後には、10G
bit/in2 の実用化が議論されるほどの急激な技術
進歩が認められる。
【0003】このような高記録密度化を可能とした技術
的背景としては、媒体性能の向上、ヘッド性能の向上、
ヘッド・ディスクインターフェイス性能の向上、パーシ
ャルレスポンス等の新規な信号処理方式の出現による線
記録密度の向上、およびサーボ技術の進歩によるトラッ
ク密度の向上が挙げられる。
【0004】なかでも、従来の誘導型磁気ヘッドに比べ
てはるかに高い再生性能を有する磁気抵抗素子型ヘッド
の実用化による寄与が大きい。現在、磁気抵抗素子型ヘ
ッドでは、高い線記録密度領域でトラック幅わずか数μ
mからの信号をSN比良く再生することが可能となって
いる。今後さらなるヘッド性能の向上に伴い、近い将来
には、トラックピッチがサブミクロン領域に達するもの
と予想されている。
【0005】さて、以上のように高感度な磁気抵抗素子
型ヘッドを用いて、高い線記録密度および高いトラック
密度が実現されて行くが、このとき、媒体磁性層は、ノ
イズ低減のために非常に薄い膜となっていく。したがっ
て、記録される1ビットの大きさは、面積的にも体積的
にも微細になっていく。
【0006】このため、最近では、ビット微細化による
熱揺らぎの議論が盛んになっている。このビット微細化
に伴う問題解決のために、グラニュラー磁性薄膜の研究
が進められている。例えば、「T.Shimizu,
Y.Ikeda and S.Takayama:Co
PtCr Composite MagneticTh
in Films,IEEE Trans. Mag
n. 28. 3102 (1992)」、「阿部俊
郎、西原敏和:Fe−SiO2 グラニュラーメタル媒
体、第18回日本応用磁気学会学術講演概要集、15a
F−5、437、1994」、「村山明宏、近藤新二、
宮村賢郎:SiO2 添加によるCoNiPt磁性膜の微
視的構造制御、日本応用磁気学会誌、19、85、19
95」等で報告されている。
【0007】これらの報告によれば、磁性材料とSiO
2 とを同時にスパッタリングして基板に堆積させると、
磁性材料からなる結晶粒子の周りを非磁性のSiO2
取り囲んだ構造となる。すなわち、磁性体結晶粒子内部
にSiO2 が取り込まれることはない。このような構造
では、磁性粒子間に非磁性材料が介在するために磁性粒
子間の磁気的結合が弱められる。その結果、媒体に起因
するノイズの大幅な低減が達成される。しかしながら、
これらの報告では、磁性粒子個々の異方性磁界が十分で
ないため、再生出力が低いという欠点があった。
【0008】この点に関して改善された技術が、「市原
勝太郎、喜々津哲、柚須圭一郎、荻原英夫、彦坂和志:
低ノイズ・CoPt−SiO2 磁性粒子分散形磁気記録
媒体、第20回日本応用磁気学会学術講演概要集、21
aG−3、195、1996」によって報告された。こ
れによれば、CoPtの有している高い異方性磁界によ
り、高い再生出力が得られている。以上のように、高い
異方性磁界を有する磁性粒子を非磁性材料で取り囲むこ
とにより、再生出力が高く、ノイズの低い媒体が得られ
るグラニュラー媒体は、将来の高記録密度磁気記録媒体
の進むべき一方向となりつつある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、グラ
ニュラー媒体では、磁性粒子間の磁気的分離を促進する
ことにより、ノイズの低減は図られたが、磁性粒子個々
の異方性磁界は、低下し、再生出力は低い。本来異方性
磁界の高い磁性材料を用いても、磁性材料と非磁性材料
とを同時に堆積させて形成した磁性層では、磁性粒子が
非磁性中に分散された形態となり、粒子の異方性磁界の
低下がさけられず、将来の10Gbit/in2 を越え
る超高密度記録には十分とは言い難い。
【0010】本発明は、以上のような課題に鑑み、十分
に高い異方性磁界を有する磁性粒子を磁気的に十分に分
離された状態で配置して磁性層とすることにより、再生
出力を高くするとともに、ノイズを低減することがで
き、超高密度記録に適した磁気記録媒体を提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明による磁気記録媒体は、基板と、基板の上に
形成された下地層と、下地層の上に形成された磁性層
と、磁性層の上に形成された保護膜層とを備え、下地層
は、連続する酸化物下地層中に金属粒子が分散して形成
されるものである。上記の構成により、十分に高い異方
性磁界を有する磁性粒子を磁気的に十分分離された状態
で配置して磁性層を形成することができるので、再生出
力を高くするとともに、ノイズを低減することができ、
超高密度記録を実現することが可能となる。また、接触
記録または疑似接触記録にも耐え得る高い実用信頼性を
実現することができる。
【0012】また、磁性層は、下地層のうちの金属粒子
の上に磁性金属粒子が成長して形成されることが好まし
い。この場合、他の非磁性成分との衝突や粒界面におけ
る歪みがないために、磁性層が本来有している粒子の異
方性磁界がそのまま活かされ、記録ビットのさらなる微
細化に対応でき、しかも熱擾乱に強いものとなる。
【0013】また、基板と下地層との間に形成される下
部金属下地層をさらに含むことが好ましい。この場合、
下地層の金属粒子の結晶配向性を向上させることが可能
となる。また、下地層と磁性層との間に形成される上部
金属下地層をさらに含むことが好ましい。この場合、上
部金属下地層の結晶配向性を向上させることが可能とな
り、磁性層の結晶配向性も向上させることが可能とな
る。
【0014】また、保護膜層は、炭素薄膜層、または、
連続する酸化物層中に炭素粒子が分散して形成される層
から成ることが好ましい。これらの場合、保護膜層の膜
厚を薄くすることができ、隙間損失を大幅に低減するこ
とができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。上述したように、Si
2 に代表される非磁性酸化物と金属とを同時にスパッ
タリングして堆積させたとき、基板に堆積される膜は、
金属粒子と酸化物とが混じり合わずに、連続した酸化物
層とその酸化物層の間に金属粒子が分散するいわゆる海
島状態にある。この酸化物と金属との非固溶現象が本発
明の基になっている。
【0016】本発明では、この非固溶現象を下地層に応
用している。下地層は、この上に形成する磁性層の結晶
性を制御する目的で用いられる。下地層の主材料として
は、Cr、Cr−Ti、Cr−Ti−B、Cr−Mo、
Cr−V、Ni−Al、Ni−Cr、およびこれら以外
で磁性層の結晶性を制御可能な金属または合金が用いら
れる。また、下地層のもう一つの材料である非磁性酸化
物としては、SiO2、MgO、Al23、MnO、M
34、V23、TiO2、Li2O、CaO等の熱安定
性の高い酸化物、これらの複合酸化物、および他の酸化
物で添加物等で熱安定性を高くした材料が用いられる。
以下の説明では、代表的な金属下地材料として、Cr
を、代表的な非磁性酸化物下地材料として、SiO2
用いて説明する。
【0017】CrとSiO2 とを同時にスパッタリング
すると、基板上には、Cr粒子を取り囲むようにSiO
2 が存在するとなる。ここで、スパッタリング法による
薄膜の成膜条件は、高周波マグネトロンスパッタ法で、
スパッタガス圧力約3mTorr、成膜速度約5nm/
分である。この様子を模式的に示したのが図1である。
図1は、基板上に形成された薄膜下地層の構造を示す概
略断面図である。図1において、1は、基板、2は、C
rからなる金属下地層部分、3は、SiO2 からなる酸
化物下地層部分をそれぞれ示す。
【0018】また、図2に、金属下地層部分2および酸
化物下地層部分3からなる薄膜下地層の表面構造を模式
的に示す。この薄膜の表面は、Crが露出した金属下地
層部分2とSiO2 が露出した酸化物下地層部分3とか
らなっており、SiO2 中にCr相が析出したような形
態となっている。この薄膜の表面における金属下地層部
分2と酸化物下地層部分3との割合は、スパッタリング
の際のターゲットの組成によって決定される。なお、酸
化物下地層部分3の含有量は、10〜50体積%で、金
属下地層部分2の含有量は、50〜90体積%であるこ
とが望ましく、また、金属下地層部分2の柱状粒子の平
均直径は、5〜20nmであることが望ましい。
【0019】薄膜下地層の膜厚は、およそ50nm以下
5nm以上が望ましい。この膜厚が厚すぎると、膜表面
における金属下地層部分2と酸化物下地層部分3との割
合が所望の値から大きくずれる場合がある。この現象
は、図1で示すように金属下地層部分2のCr粒子が柱
状構造を維持しているときには起こらないが、膜厚が増
加したときには新たな粒界の形成によって柱状構造が崩
れるたときに起こる。新たな粒界にSiO2 が存在して
おり、このような粒界部分が膜の表面にあるときには、
金属下地層部分2と酸化物下地層部分3の割合が所望の
値から大きくずれることとなる。
【0020】SiO2 部分に対してCr部分が、ミクロ
に分散した状態の膜表面上に金属磁性薄膜を堆積させる
と、金属粒子は、Cr露出部分上に優先的に成長する。
ここで、金属磁性薄膜は、たとえば、直流マグネトロン
スパッタ法で形成され、その成膜条件は、スパッタガス
圧力約5mTorr、成膜速度約1nm/分である。こ
の様子を図3に示す。図3は、基板上の薄膜下地層上に
形成された磁性層の構造を示す概略断面図である。図3
において、4は、金属磁性薄膜である磁性層を示す。
【0021】図3のような構造となるのは、薄膜下地層
上に飛来した金属原子が表面エネルギーの高いSiO2
露出部分からCr露出部分へミクロにマイグレーション
するためと考えられる。したがって、膜表面のSiO2
部分の割合がCr部分よりも高いような場合には、金属
粒子がCr露出部分上に優先的に成長する現象は不十分
となる。
【0022】上述したように、SiO2 で分離されたC
r上に金属磁性層が優先的に成長する現象を用いて形成
された磁性層が、本発明の原理であり、要点である。こ
のようにして形成した金属磁性層は、他の非磁性成分と
の衝突や粒界面における歪みがないために、金属が本来
有している粒子の異方性磁界がそのまま活かされ、記録
ビットのさらなる微細化に対応でき、しかも熱擾乱に強
いものとなる。本発明で用いられる磁性材料は、Co、
Co−Pt、Co−Cr、Co−Cr−Pt、Co−C
r−Ta、Co−Ni、Co−Ni−Cr等の金属また
は合金、もしくはCo−Sm等の金属希土類合金または
希土類金属間化合物など粒子の異方性磁界の大きなもの
である。
【0023】磁性層4の膜厚は、20nm以下5nm以
上が望ましい。磁性層の膜厚が厚すぎると、図3に示す
磁性層4が膜面内に成長し、隣り合う磁性層粒子と接触
するようになる。このような状態では、本発明が目的と
している磁性粒子間の分離が損なわれ、記録再生特性が
劣化することとなる。
【0024】Cr膜は、(110)面あるいは(10
0)面が膜表面に平行になるように成長する。この上に
形成されたCo系合金薄膜は、下地との面間隔整合か
ら、六方晶Coのc軸が膜面内にある状態または膜面内
から若干傾斜した状態となる。
【0025】本発明では、SiO2 によって分離された
Cr粒子上にc軸が膜面内にある状態または膜面内から
若干傾斜した状態で、Co系磁性合金粒子が空間的に分
離されて成長する。しかしながら、SiO2 とCrとを
同時にスパッタして形成した上記薄膜下地層のCr部分
の結晶配向性は、Crのみから形成された下地層の配向
性よりも劣っている。
【0026】この欠点を克服する方法として、本発明で
は、上記薄膜下地層をあらかじめ基板上に形成したCr
膜上に形成している。ここで、Cr膜は、たとえば、高
周波マグネトロンスパッタ法で形成され、その成膜条件
は、スパッタガス圧力約3mTorr、成膜速度約50
nm/分である。この様子を図4に示す。図4は、基板
上に形成されたCr下地層およびこの上に形成された薄
膜下地層の構造を示す概略断面図である。図4におい
て、6は、Cr膜からなる金属下地層を示す。
【0027】図4のような構成にすることで、金属下地
層部分2の結晶配向性を向上させることが可能となる。
金属下地層6の膜厚には、特に制限はないが、たとえば
200nm以下10nm以上が望ましい。また、金属下
地層6の材料は、上述したCr、Cr−Ti、Cr−T
i−B、Cr−Mo、Cr−V、Ni−Al、Ni−C
r、もしくはこれら以外で薄膜下地層の金属部分の結晶
性を制御可能な金属または合金が用いられる。
【0028】さらに、本発明では、上記欠点を克服する
もう一つの方法として、上記薄膜下地層上にCr膜を形
成している。ここで、Cr膜は、たとえば、高周波マグ
ネトロンスパッタ法で形成され、その成膜条件は、スパ
ッタガス圧力約3mTorr、成膜速度約1nm/分で
ある。この様子を図5に示す。図5は、基板上に形成さ
れた薄膜下地層上にCr膜を形成し、さらにこの上に磁
性層を形成した構造を示す概略断面図である。図5にお
いて、5は、Cr膜からなる金属膜を示す。
【0029】図5のように、薄膜下地層の金属下地層部
分2の上に金属膜5が優先的に成長する。さらにこの金
属膜5の上に磁性膜4が優先的に成長する。したがっ
て、図5のような構成にすることで、金属下地層部分2
の上の金属膜5の結晶配向性を向上させることが可能と
なり、磁性膜4の結晶配向性も向上する。
【0030】なお、金属膜5の膜厚は、20nm以下5
nm以上が望ましい。金属膜5の膜厚が厚すぎると、図
5に示す金属膜5が膜面内に成長し、隣り合うCr膜粒
子と接触するようになる。このような状態では、本発明
が目的としている磁性層4の磁性粒子間の分離が損なわ
れ、記録再生特性が劣化することとなる。また、金属膜
5の材料には、基本的には薄膜下地層の酸化物下地部分
2と同材料を用いるが、上述したCr、Cr−Ti、C
r−Ti−B、Cr−Mo、Cr−V、Ni−Al、N
i−Cr、もしくはこれら以外で磁性層4の結晶性を制
御可能な金属または合金を用いても良い。なお、上述し
た二つの方法を同時に採用してももちろん良く、この場
合に、最も結晶配向性の高い磁性層が得られる。
【0031】図3および図5に示したように、本発明の
磁気記録媒体の表面は、薄膜下地層の金属下地層部分2
上に金属磁性薄膜である磁性層4が優先成長しており、
金属磁性薄膜成長部分が凸形状を成し、金属磁性薄膜の
成長していないSiO2 部分3上は、空隙であり、凹状
となる。このように表面にミクロな凹凸があることは、
トライボロジー的に非常に有利である。
【0032】なお、従来技術では、このトライボロジー
の問題解決のために基板にテクスチュアと呼ばれる細か
い溝を形成したり、基板表面に微粒子を分散させて凹凸
を形成することがなされていた。しかし、これらの方法
では、凹凸の高さが隙間損失となり、記録再生特性を劣
化させる原因となっていた。一方、本発明の磁気記録媒
体では、凸の部分が正に磁性層であり、しかも凸部の形
状が従来技術に比べて平坦であるために、隙間損失を大
幅に低減できる。
【0033】しかしながら、上記の凹凸形状だけでは、
トライボロジーの問題は解決されない。本発明では、こ
のトライボロジー的利点を活かすために、炭素から成る
保護膜層を磁性層上に形成している。この様子を図6に
示す。図6は、本発明の磁気記録媒体の一実施の形態の
構造を模式的に示す概略断面図である。図6において、
7は、炭素保護膜層を示す。
【0034】なお、炭素保護膜層7は、従来技術で形成
されるものでよい。従来技術の形成方法とは、例えば、
スパッタリング法やプラズマCVD(化学的気相成長)
法等である。ここで、炭素保護膜層7は、たとえば、ス
パッタリング法の場合、その成膜条件は、高周波マグネ
トロンスパッタ法で、スパッタガス圧力約5mTor
r、成膜速度約1nm/分である。ただし、従来技術で
は、炭素保護膜層の膜厚は10〜20nmであるが、本
発明の場合の炭素保護膜層7の膜厚は10nm以下5n
m以上が望ましい。この理由は、突起形状にある。すな
わち、従来技術の突起の先端形状は平坦でないので、例
えば、ヘッドを搭載したスライダーとの接触面積が小さ
いため、突起先端に大きな負荷がかかっていた。一方、
本発明の突起の先端は、平坦であり、接触面積が大き
く、突起にかかる負荷は非常に小さくなる。このため
に、本発明の炭素保護膜層7は、従来ほどの強度が必要
でなく、炭素保護膜層7の膜厚を薄くすることができ
る。また、本発明の磁気記録媒体の表面の凹部には、摩
擦係数低減のために磁気記録媒体の表面に塗布される潤
滑剤をためる機能もあり、実用信頼性の改善につながっ
ている。
【0035】さらに、炭素保護膜層7の膜厚を薄くする
方法として、本発明では、酸化物と炭素とを同時にスパ
ッタして形成した酸化物と炭素との薄膜保護層を採用し
ている。ここで、酸化物と炭素との薄膜保護層の成膜条
件は、高周波マグネトロンスパッタ法で、スパッタガス
圧力約5mTorr、成膜速度約1nm/分である。こ
の様子を図7に示す。図7は、本発明の磁気記録媒体の
一実施の形態の構造を模式的に示す概略断面図である。
図7において、8は、炭素部分、9は、酸化物部分をそ
れぞれ示している。
【0036】このような薄膜保護層では、酸化物部分9
と炭素部分8とが組成的に分離した状態になっており、
炭素部分8の炭素粒子と酸化物部分9とが混じり合わず
に、連続した酸化物部分9の層とその酸化物層の間に炭
素粒子が分散するいわゆる海島状態になっている。この
とき、酸化物部分9は、薄膜保護層の強度保持に寄与
し、炭素部分8は、摩擦係数を低下させる寄与がある。
この薄膜保護層を用いることで従来構成の磁性層の場合
でも、薄膜保護層の膜厚を10nm以下にすることが可
能であり、本発明の薄膜下地層を採用した磁性層の場合
には、保護層膜厚を5nm以下にすることが可能とな
る。なお、薄膜保護層の膜厚は、10nm以下2nm以
上が望ましい。
【0037】また、本発明の磁気記録媒体表面の凹部に
は、摩擦係数の低減のために磁気記録媒体の表面に塗布
される潤滑剤をためる機能もあり、接触記録または疑似
接触記録にも耐えうる実用信頼性の確保につながってい
る。なお、保護膜層に用いられる酸化物材料は、SiO
2 、MgO、Al23、MnO、Mn34、V23、T
iO2、Li2O、CaO等の熱安定性の高い酸化物、こ
れらの複合酸化物、または他の酸化物で添加物等で熱安
定性を高くしたものである。また、薄膜保護層の炭素部
分8と酸化物部分9の割合は、スパッタリングの際のタ
ーゲットの組成によって決定される。なお、酸化物部分
9の含有量は、5〜50体積%で、炭素部分8の含有量
は、50〜95体積%であることが望ましく、また、炭
素部分8の平均粒子径は、5〜20nmであることが望
ましい。
【0038】以上の説明では、各膜の成膜は、スパッタ
リング法で実施したが、金属と酸化物とが同時に成膜で
きる方法であれば、特に制限はなく、多元蒸着法、DC
(直流)スパッタリング法、RF(高周波)スパッタリ
ング法、ECR(電子サイクロトロン共鳴)スパッタリ
ング法、イオンビームスパッタリング法等が実施可能で
ある。また、成膜の際に基板にバイアスを印加してもよ
く、成膜に先立って基板あるいは基板上の薄膜の前処理
および加熱を実施してもよい。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、十分に高い異方性磁界
を有する磁性粒子を磁気的に十分分離された状態で配置
して磁性層を形成することにより、接触記録または疑似
接触記録にも耐えうる高い実用信頼性を有する磁気記録
媒体の提供が可能となり、将来の10Gbit/in2
を越える超高密度記録が十分に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態における基板上に形成
された薄膜下地層の構造を示す概略断面図
【図2】 本発明の一実施の形態における薄膜下地層の
表面構造を模式的に示す概略平面図
【図3】 本発明の一実施の形態における基板上の薄膜
下地層上に形成された磁性層の構造を示す概略断面図
【図4】 本発明の一実施の形態における基板上に形成
された金属下地層およびこの上に形成された薄膜下地層
の構造を示す概略断面図
【図5】 本発明の一実施の形態における基板上に形成
された薄膜下地層上に金属膜を形成し、さらにこの上に
金属薄膜磁性層を形成した構造を示す概略断面図
【図6】 本発明の磁気記録媒体の一実施の形態の構造
を模式的に示す概略断面図
【図7】 本発明の磁気記録媒体の一実施の形態の構造
を模式的に示す概略断面図
【符号の説明】
1 基板 2 金属下地層部分 3 酸化物下地層部分 4 磁性層 5 金属膜 6 金属下地層 7 炭素保護膜層 8 炭素部分 9 酸化物部分

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、前記基板の上に形成された下地
    層と、前記下地層の上に形成された磁性層と、前記磁性
    層の上に形成された保護膜層とを備え、 前記下地層は、連続する酸化物下地層中に金属粒子が分
    散して形成される磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁性層は、前記下地層のうちの金属
    粒子の上に磁性金属粒子が成長して形成される請求項1
    記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記基板と前記下地層との間に形成され
    る下部金属下地層をさらに含む請求項1または請求項2
    記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記下地層と前記磁性層との間に形成さ
    れる上部金属下地層をさらに含む請求項1から請求項3
    までのいずれか一項記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記保護膜層は、炭素薄膜層から成る請
    求項1から請求項4までのいずれか一項記載の磁気記録
    媒体。
  6. 【請求項6】 前記保護膜層は、連続する酸化物層中に
    炭素粒子が分散して形成される請求項1から請求項4ま
    でのいずれか一項記載の磁気記録媒体。
JP30512296A 1996-11-15 1996-11-15 磁気記録媒体 Pending JPH10149526A (ja)

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JP30512296A JPH10149526A (ja) 1996-11-15 1996-11-15 磁気記録媒体

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