JPH10140351A - インライン式真空成膜装置 - Google Patents

インライン式真空成膜装置

Info

Publication number
JPH10140351A
JPH10140351A JP29293996A JP29293996A JPH10140351A JP H10140351 A JPH10140351 A JP H10140351A JP 29293996 A JP29293996 A JP 29293996A JP 29293996 A JP29293996 A JP 29293996A JP H10140351 A JPH10140351 A JP H10140351A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film forming
chamber
pallet
film
processing chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP29293996A
Other languages
English (en)
Inventor
Homare Nomura
誉 野村
Katsuhiko Shimojima
克彦 下島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP29293996A priority Critical patent/JPH10140351A/ja
Publication of JPH10140351A publication Critical patent/JPH10140351A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のインライン式イオンプレーティング装
置では、ワークを搭載したパレットを、成膜室内におけ
るターゲット正面の成膜領域で往復動させてコーティン
グ処理を行っている。この場合、パレットの往復動に伴
って成膜領域に空間が生じ、ターゲットからの蒸発物質
が無駄に消費され成膜効率が低下する。 【解決手段】 成膜室4では、パレット9を一方向に送
って成膜領域Sを通過させることでコーティング膜を形
成する。このとき、送り方向に隣接するパレット9・9
の端部同士を互いに密着した状態として成膜領域Sを通
過するようにパレット9の搬送を制御する。これによ
り、成膜効率が向上し、生産性が向上する。また、成膜
室4内壁への蒸発物質の付着量も低減する結果、成膜室
4内のダストに起因する欠陥の発生も抑制され、これに
よって、膜質が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばイオンプレ
ーティング装置などの真空成膜装置に関するものであ
り、さらに詳しくは、成膜室を常時真空状態に維持して
運転し得るように、この成膜室の前後に、少なくとも大
気状態と真空状態との雰囲気置換室を設けて構成される
インライン式真空成膜装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えばイオンプレーティング装置におけ
る成膜プロセスは、真空排気・予熱・・成膜・冷却・大
気復帰の各工程から成っており、これら各工程を一つの
真空装置内で順次行うバッチ式装置の一例を図4に示し
ている。この装置では、真空チャンバー51内の回転テー
ブル52上に複数のワーク載置台53…が設けられ、これら
ワーク載置台53…にそれぞれ載置したワーク(図示せ
ず)が、自公転しながら真空チャンバー51内を移動する
ように構成されている。そして、回転テーブル52を挟ん
で配置された一対の金属製カソード(以下、ターゲット
ともいう)54・54の表面に真空アーク放電を生じさせる
ことで、ターゲット54・54からの蒸発物質を各ワーク表
面に付着させて膜形成が行われる。
【0003】このようなバッチ式装置では、真空チャン
バー51内にワークをセットした後、真空チャンバー51内
の雰囲気を、前記した各工程に応じて順次切換えなが
ら、膜形成が行われる。これに対し、上記の各工程に対
応した処理室を個々に設けて順次連結し、これら処理室
を通してワークを自動的に搬送するように構成したイン
ライン式イオンプレーティング装置が、例えば、Surfac
e and Coating Technology,54/55(1992),P594-P598,"Th
e in-line arc ion-plating system for highthroughpu
t processing of automobile parts" に記載されてい
る。
【0004】その装置は、一端側にロードロック室(以
下、LL室と略記する)を備え、このLL室に順次仕切弁を
介して、予熱室・成膜室・冷却室が接続されている。ワ
ークを搭載したパレットがまずLL室に搬入され、この室
内で大気状態から真空状態への雰囲気置換が行われる。
次いで、常時真空状態に維持された前処理室としての加
熱室にパレットが移載され、ワークが所定の温度に加熱
される。
【0005】その後、図5に示すように、加熱室61か
ら、ワーク(図示せず)を搭載したパレット62が、仕切
弁63を開弁して成膜室64に送られ、この室内で、例えば
TiNや、TiAlN、CrN等の膜がワーク表面にコーティン
グされる。例えばTiN膜の形成は、成膜室64に窒素ガス
をプロセスガスとして供給しながら、Tiから成るターゲ
ット65表面にアーク放電を発生させることによって行わ
れる。
【0006】コーティング処理を終了するとアーク放電
を停止し、冷却室66との間の仕切弁67を開弁して冷却室
66にパレット62が搬出される。この後処理室としての冷
却室66でワークの冷却が行われ、同時に、この室内が大
気圧に復帰される。その後、冷却室66と装置外とを区画
する仕切弁(図示せず)を開弁して装置外へと搬出され
る。
【0007】このような各処理室での処理が互いに並行
に行われるインライン式の装置では、不純物の混入を嫌
う成膜工程を常時真空状態に保てるので、より安定した
品質のコーティング膜を形成することが可能である。こ
のため、機械部品や工具等の産業用途における成膜装置
として注目されている。なお、上記装置でのサイクルタ
イムは、〔4室それぞれの処理時間の中で一番長い時
間〕+〔次の処理室までの搬送時間〕となる。この場
合、LL室・加熱室・冷却室での各処理時間を短縮するこ
とは、真空ポンプあるいは加熱ヒータ、冷却クーラの性
能アップで容易である。したがって、生産性を左右する
のは成膜室64でのコーティング処理能力と言うことがで
きる。
【0008】上記装置におけるコーティング処理は、パ
レット62に搭載されたワーク全体に均一な膜が形成され
るように、成膜室64の中央に設置されている一対のター
ゲット65・65間でパレット62を所定時間往復動させて行
われる。すなわち、図6に示すように、ワーク68を搭載
したパレット62を搬送するための搬送ローラ69…の回転
方向を所定時間毎に反転させ、ターゲット65…間を往復
動させる操作が行われている。なお、往復動方向に直交
する上下方向には、ターゲット65…を所定の間隔で複数
(図の場合には2個)並設し、これによって、上下方向
の膜厚均一性を確保するようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のインライン式装置では、成膜室64内におけるコ
ーティング処理がパレット62を往復動させて行われるた
め、パレット62がターゲット65の正面に位置するときに
はターゲット65から発生したイオン(蒸気)の殆どが成
膜に利用されるものの、例えば図7に示すように、ター
ゲット65のほぼ中心にパレット62の端部が位置するよう
に移動した場合には、ターゲット65からの蒸気のおおむ
ね半分はパレット62上のワークには付着せずに成膜室64
内に飛散し、成膜室64の壁面に付着する。したがって、
充分な成膜効率が得られないという問題を有している。
また、成膜室64の内壁に付着した皮膜は、これが剥がれ
るとダストの要因となり、これによって、ワーク表面に
形成されたコーティング膜の品質欠陥を招来するという
問題も有している。
【0010】さらに、上記のイオンプレーティング装置
においては、成膜室64へのパレット62の搬入・搬出時毎
にターゲット65でのアーク放電が停止されるため、この
停止期間中にターゲット65の温度が低下し、このターゲ
ット周辺に付着した皮膜が分離落下する。これが、例え
ば電気絶縁部に付着するとその絶縁性が低下して安定生
産が阻害され、また、成膜室64に搬入されたパレット62
上のワーク表面に付着すると、その後に形成されるコー
ティング膜の密着性や表面粗度に異常が発生する。
【0011】また、上記装置でのサイクルタイムは、ア
ーク放電を停止している時間、すなわち、パレット62の
冷却室66への搬出、および加熱室61からの次のパレット
の搬入に要する時間だけ長くなり、その分、生産性が低
下する。本発明は、上記した従来の問題点に鑑みなされ
たもので、成膜効率や膜質の向上を図り得ると共に、さ
らに生産性を向上し得るインライン式真空成膜装置を提
供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の請求項1のインライン式真空成膜装置
は、パレットに搭載されたワーク表面に真空雰囲気中で
膜形成を行うための成膜室と、この成膜室の前後にそれ
ぞれ仕切弁を介して隣接する前処理室と後処理室とを備
えるインライン式真空成膜装置において、上記成膜室に
は、パレットを前処理室側から後処理室側へと一方向に
送って成膜領域を通過させるパレット搬送手段が設けら
れ、かつ、成膜領域をパレットが通過中に前処理室から
次のパレットを搬入させると共に送り方向に相隣接する
パレットの端部同士が近接した状態で成膜領域を通過す
るように制御するパレット搬送制御手段が設けられてい
ることを特徴としている。
【0013】このような構成によれば、成膜室では、パ
レットを所定の速度で一方向に送って成膜領域を通過さ
せることで、パレット上のワークに先端側から後端側に
向かってコーティング膜が形成される。そして、パレッ
トの後端が成膜領域を通過するとき、すなわち、このパ
レットが成膜領域から送り方向に次第に外れていくとき
には、このパレットの後端に次のパレットが近接して成
膜領域に進入する。これによって、成膜領域に供給され
る膜形成物質が、パレットの存在しない空間部分に飛散
して無駄に消費されることが抑制されるので、成膜効率
が向上し、ひいては生産性が向上する。また、成膜室内
壁への膜形成物質の付着量も低減する結果、従来生じて
いた成膜室内のダストに起因する欠陥の発生も抑制さ
れ、これによって、膜質が向上する。
【0014】請求項2のインライン式真空成膜装置は、
さらに、前処理室から成膜室に搬入された次パレットが
成膜領域通過中のパレットの移動速度よりも高速で成膜
領域側へ移動して先行パレットの後端に当接するよう
に、上記パレット搬送手段による成膜室内でのパレット
送りが制御されることを特徴としている。このような構
成によれば、前処理室から搬入された次パレットがさら
に先行パレットの後端に当接する状態となるように送ら
れることによって、これらのパレットの端部同士が、相
互に密着した近接状態ともなって成膜領域を通過する。
したがって、成膜領域ではパレット間に殆ど隙間のない
状態が維持されるので、さらに成膜効率が向上する。
【0015】請求項3のインライン式真空成膜装置は、
さらに、成膜室に所定のガスを成膜中に供給するための
ガス供給配管が接続されると共に、前処理室と後処理室
とにも上記ガス供給配管が接続され、これら前処理室お
よび後処理室と成膜室との間のパレット移載時には、前
処理室および後処理室を成膜室とほぼ同じ圧力およびガ
ス雰囲気状態とした後に仕切弁を開弁してパレット移載
が行われるように前記パレット搬送制御手段によって制
御されることを特徴としている。
【0016】すなわち、例えば前記したイオンプレーテ
ィング装置でTiN膜等を形成する場合、成膜中に窒素ガ
スを供給しながらコーティング処理が行われる。そし
て、このような場合に、成膜室へのパレットの搬入・搬
出時に前処理室や後処理室を成膜室と同一圧力、かつ同
一のガス雰囲気状態として仕切弁を開弁し、パレット移
載を行うことによって、この間も、成膜室内に雰囲気変
動が生じないようにすることができる。この結果、上記
のようなパレットの搬入・搬出時にも成膜室ではコーテ
ィング処理を継続させることが可能となる。
【0017】したがって、アーク放電を停止させる必要
がなく、これにより、ターゲット周辺に付着した皮膜が
温度低下に伴って分離落下することがなくなる。この結
果、電気絶縁部やワーク表面への落下皮膜の付着が抑制
されるので、より安定した生産状態を維持できると共
に、膜質を向上することが可能となる。さらに、成膜室
へのパレットの搬入・搬出がコーティング処理時に同時
に行われ、しかも、相互に近接したパレットの端部領域
が成膜領域を通過する際には、これらパレットに対する
コーティング処理が並列的に行われる状態ともなる。し
たがって、従来装置における成膜室で一つのパレットの
コーティング処理を完了した後に次のパレットを搬入し
てコーティングを開始する構成にに比べてサイクルタイ
ムが短くなり、したがって、生産性が向上する。
【0018】請求項4のインライン式真空成膜装置は、
さらに、成膜室内のパレット移動方向に複数の膜形成物
質発生源が設けられていることを特徴としている。この
場合、上記の複数の膜形成物質発生源が互いに異種の場
合には、異種材料の多層膜の形成が生産性を低下させる
ことなく実施可能となる。また、同種の場合には、その
数に応じてさらに生産性が向上する。
【0019】請求項5のインライン式真空成膜装置は、
さらに、成膜室での膜形成がアークイオンプレーティン
グ法で行われると共に、前処理室が、パレットに搭載さ
れたワーク表面に対してメタルイオンによるボンバード
処理を行うべく真空アーク蒸発源を備えたボンバード室
として形成されていることを特徴としている。すなわ
ち、成膜室でアークイオンプレーティング法によるコー
ティング処理を連続して行う場合に、前処理室として上
記のボンバード室を設けることで、密着力に優れた高品
質のコーティング膜を形成することができる。
【0020】なお、成膜室での膜形成は、請求項6に記
載のように、スパッタリング法で行うように構成するこ
とも可能であり、また、請求項7に記載のように、坩堝
から蒸発する蒸気によって行うように構成することも可
能である。これらの場合でも、前記のようなパレットの
搬送制御をそれぞれ行うことで、成膜効率や膜質の向
上、生産性の向上を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施形態につい
て図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施
形態に係るインライン式真空成膜装置としてのイオンプ
レーティング装置は、図において左端側にロードロック
室(以下、LL室と略記する)1を備え、このLL室1に順
次隣接させて、加熱室2・ボンバード室3・成膜室4・
冷却室5が連結されている。
【0022】これら5つの処理室1〜5内における各底
部側には、複数の搬送ローラを並設してなるローラコン
ベア6a〜6eがそれぞれ敷設され、また、LL室1の入口お
よび冷却室5の出口に各々隣接させて、上記同様のロー
ラコンベアから成る入口側コンベア7、出口側コンベア
8がそれぞれ設けられている。これらコンベア7,6a〜6
e,8により、順次、ワーク(図示せず)を搭載したパレ
ット9…が、LL室1側から冷却室5側へと各処理室1〜
5を通して搬送される。
【0023】各処理室1〜5間にはそれぞれ仕切弁10a
〜10dが設けられ、また、LL室1の入口に入口側仕切弁
11、冷却室5の出口に出口側仕切弁12がそれぞれ設けら
れている。これにより、各処理室1〜5内の雰囲気を互
いに独立に制御し得るようになっており、各処理室1〜
5には、それぞれ真空ポンプ13a〜13e…が接続されて
いる。
【0024】一方、加熱室2には、この室内に搬入され
てきたワークをパレット9ごと加熱するための加熱ヒー
タ14が設置されている。ボンバード室3には、ボンバー
ド用のカソードユニット(ターゲット15のみを図示す
る)が設けられると共に、これにアーク放電電力を供給
するアーク電源(図示せず)と、ワークにパレット9を
介してバイアス電圧を印加するためのバイアス電源16と
が付設されている。成膜室4にも、上記とほぼ同様に、
コーティング用のカソードユニット(ターゲット17のみ
を図示する)と、これにアーク放電電力を供給するアー
ク電源(図示せず)と、ワークにバイアス電圧を印加す
るためのバイアス電源18とが設けられている。
【0025】さらに、ボンバード室3および成膜室4
と、冷却室5とには、これらの処理室に所定のガスを個
別に導入し得るように、開閉弁19a〜19cが介設された
ガス供給配管19がそれぞれ接続され、また、各処理室1
〜5には、真空度を検出する圧力計20a〜20eがそれぞ
れ取付けられている。なお、成膜室4を除く各処理室
は、内部に一個のパレット9を収容し得る長さ寸法でそ
れぞれ形成されている。成膜室4は、膜形成物質発生源
としての前記ターゲット17が、室内上部側のほぼ中央に
設置され、このターゲット17を中心とする後述の有効コ
ーティングゾーン(成膜領域)Sを挟んでその前後に、
それぞれ一個のパレット9を各々収容し得る長さ寸法で
形成されている。
【0026】次に、上記各処理室1〜5での処理内容に
ついて順次説明する。LL室1では、大気雰囲気から真空
雰囲気への雰囲気置換処理が行われる。すなわち、室内
が大気圧の状態で、入口側仕切弁11を開弁して入口側コ
ンベア7上のパレット9を室内に受け入れ、その後、入
口側仕切弁11を閉弁して真空度が10-1Torrを超えるまで
室内を真空排気する。この状態で、LL室1と加熱室2と
の間の第1仕切弁10aを開弁し、常時真空状態で維持さ
れている加熱室2へとパレット9を送り出す。
【0027】次いで、上記の第1仕切弁10aを閉弁した
後、LL室1に接続されている大気リーク弁(図示せず)
を開弁してLL室1内を大気圧の状態に復帰させる。この
状態で、前記同様に入口側仕切弁11を開弁し、次のパレ
ット9を入口側コンベア7上から受け入れて、上記の処
理を繰返す。加熱室2および後述するボンバード室3・
成膜室4は、常時、真空状態に維持されている。まず、
加熱室2では、LL室1からパレット9を受け入れ、第1
仕切弁10aが閉弁された後に真空度が10-5Torrを超える
高真空状態に達するのを待って、加熱ヒータ14への通電
を開始する。これにより、加熱ヒータ14に対向する位置
に静止させたパレット9上のワークを所定温度まで加熱
する予熱処理が行われる。
【0028】この予熱処理を終了後、加熱室2とボンバ
ード室3との間の第2仕切弁10bを開弁し、パレット9
をボンバード室3へと送り出す。次いで、上記の第2仕
切弁10bを閉弁した後に、LL室1から次のパレット9を
受け入れて、上記の予熱処理を繰返す。ボンバード室3
では、加熱室2から受け入れたパレット9をターゲット
15の正面に静止させ、室内がほぼ10-5Torrの高真空の状
態で、パレット9上のワークに-500V以上のバイアス電
圧を印加すると共に、ターゲット15表面にアーク放電を
発生させる。これにより、ターゲット15から蒸発するメ
タルイオンによるワーク表面のボンバード処理が開始さ
れ、これを所定時間行う。このボンバード処理時間は、
長くても後述する成膜室4でのコーティング時間の20〜
30%である。なお、ボンバード室3の長さ寸法をより長
く構成し、ターゲット15の正面でパレット9を往復動さ
せながら上記の処理を行うようにしてもよい。
【0029】所定時間が経過し、アーク放電を停止して
ボンバード処理が終了すると、ボンバード室3と成膜室
4との間の第3仕切弁10cを開弁し、パレット9を成膜
室4に送り出す。次いで、上記の第3仕切弁10cを閉弁
した後、加熱室2から次のパレット9を受け入れ、上記
したボンバード処理を行う動作を繰返す。成膜室4で
は、ボンバード室3から受け入れたパレット9上のワー
クに-300V以下のバイアス電圧を印加した状態で、この
パレット9をボンバード室3側から冷却室5側へ一方向
に移動させる。この成膜室4内には、圧力が例えば10〜
30mTorr に保たれるように、プロセスガスがガス供給配
管19を通して供給され、かつ、ターゲット17の表面にア
ーク放電が常時生じるように運転される。したがって、
パレット9がターゲット17正面の有効コーティングゾー
ンS(ターゲット17が円形の場合、その直径の約1.5倍
の範囲)を横切る際に、このパレット9上のワーク表面
に、その送り速度に応じた厚さの膜が先端から後端に向
かって均一に形成される。例えば、ターゲット17として
Tiターゲットを使用し、プロセスガスとして窒素ガスを
成膜室4内の圧力がほぼ20mTorr になるように供給する
ことで、ワーク表面にTiN膜が形成される。
【0030】なお、この成膜室4では、パレット9が有
効コーティングゾーンSを通過中に次のパレット9をボ
ンバード室3から受け入れ、両パレット9・9の端部を
相互に密着した状態として、両パレット9・9を冷却室
5側に移動させる。そして、先行パレット9の後端部が
有効コーティングゾーンSを通過した時点で、成膜室4
と冷却室5との間の第4仕切弁10dを開弁して先行パレ
ット9を冷却室5に送り出し、その後、ボンバード室3
からさらに次のパレット9を受け入れる処理が行われる
が、その詳細については後述する。
【0031】冷却室5では、成膜室4から受け入れたパ
レット9を室内で静止させて冷却する。この冷却処理
は、まず、10-2Torrより高真空状態にての炉冷を所定時
間行い、その後、真空排気を停止すると共に、ガス供給
配管19を通して不活性ガスを封入し、強制循環させるこ
とによって行う。次いで、図示しない大気リーク弁を開
弁して室内を大気圧に復帰させ、この状態で出口側仕切
弁12を開弁してパレット9を出口側コンベア8上に送り
出す。次いで、出口側仕切弁12を閉弁し、真空状態とし
て成膜室4から次のパレット9を受け入れ、このパレッ
ト9に対して上記の処理を繰返す。
【0032】以上の各処理室1〜5の処理は、各処理室
毎に設けられているプロセス制御装置(図示せず)によ
って互いに並行に行われる。例えば同図には、成膜室4
内に、実線で示す2個のパレット9・9の相互に密着し
た端部領域が、有効コーティングゾーンS内に入ってわ
ずかの時間経過した時点を示している。このとき、成膜
室4以外の処理室には、それぞれ一個づつのパレット9
が収容されており、全ての仕切弁10a〜10d・11・12を
閉弁状態として、LL室1での真空置換処理、加熱室2で
の予熱処理、ボンバード室3でのボンバード処理、冷却
室5での冷却処理がそれぞれ開始されている。
【0033】これら各処理は、成膜室4内における先行
パレット9の後端が、有効コーティングゾーンSを通過
して図中二点鎖線で示す位置、すなわち、コーティング
処理完了位置に達する前に、それぞれ終了する。したが
って、成膜室4で先行パレット9がコーティング処理完
了位置に達するのを待って、各処理室間のパレット9…
の搬送が行われる。このような各処理室間のパレット搬
送、および成膜室4内のパレット搬送を制御するため
に、図示してはいないが、パレット搬送制御装置(パレ
ット搬送制御手段)がさらに設けられており、この制御
装置で、各処理室での処理の進行状況を前記のプロセス
制御装置との交信で把握しながら、各コンベア6a〜6e・
7・8の駆動、および、各仕切弁10a〜10d・11・12の
開閉等が制御される。以下、このパレット搬送制御装置
によって行われる特に成膜室4を中心とした詳細な制御
内容について説明する。
【0034】成膜室4では、所望の膜厚に応じた所定の
送り速度(以下、コーティング速度という)で有効コー
ティングゾーンSを通過するように、パレット9の搬送
が制御される。そして、パレット9が有効コーティング
ゾーンSを通過中、詳しくは、図2に示すように、コー
ティング中のパレット9の後端部が有効コーティングゾ
ーンSに入る直前で、前記したように、ボンバード室3
から次のパレット9が搬入される。この次パレット9
は、ボンバード室3から、上記コーティング速度よりも
速い速度で成膜室4内に送り込まれ、さらに、成膜室4
内における有効コーティングゾーンSに達するまでの手
前の領域では、その高速移動を与える搬送力が、この次
パレット9に継続して付与される。これにより、次パレ
ット9は、その先端がコーティング中のパレット9の後
端に密着するまで高速で移動し、その後、コーティング
中のパレット9に連結した状態となって、前記コーティ
ング速度で先行パレット9と共に一体的に移動する。
【0035】この結果、先行パレット9の後端部が有効
コーティングゾーンS内を通過する際には、その後端部
には次パレット9が隙間のない状態で後続しているの
で、ターゲット17からの蒸気が無駄に費されることはな
く、良好な成膜効率が維持される。そして、上記から両
パレット9・9がさらに冷却室5側に移動し、図3に示
すように、先行パレット9の後端が有効コーティングゾ
ーンを通過した時点で、このパレット9に対するコーテ
ィング処理が完了する。なお、このときには、次パレッ
ト9へのコーティング処理が引き続いて行われている状
態になっている。コーティング処理が完了した先行パレ
ット9は、成膜室4と冷却室5との間の第4仕切弁10d
を開弁して冷却室5へと送られる。なお、この搬出時の
移動も前記コーティング速度よりも高速で行われるよう
に、この成膜室4内の前記ローラコンベア6d(パレット
搬送手段)は、冷却室5側もボンバード室3側と共に、
有効コーティングゾーンSに対応する中央部領域よりも
高速で駆動されるようになっている。
【0036】その後、前記の第4仕切弁10dが閉弁され
た状態で、この成膜室4内でコーティング中のパレット
9の後端部が有効コーティングゾーンSに入る直前の位
置まで移動すると、前記したボンバード室3から次のパ
レット9の受け入れが行われ、以降、成膜室4では上記
の処理が繰り返される。一方、成膜室4からパレット9
が搬入される冷却室5では、このパレット搬入時まで
に、これより一つ前のパレット9に対する前記冷却処理
を終了して出口側コンベア8上への送り出しを終了し、
さらに、以下のパレット受け入れ処理を完了した状態と
なっている。すなわち、先のパレット9の送り出しを完
了して出口側仕切弁12を閉弁後、大気状態から10-2Torr
を超える真空状態となるまで真空排気し、次いで、成膜
室4に供給されているプロセスガスと同一のガスがこの
冷却室5にも供給されて、室内を成膜室4とほぼ同圧力
(例えば20mTorr)の雰囲気状態とする処理が行われてい
る。
【0037】これにより、成膜室4内における先行パレ
ット9に対するコーティング処理が完了し、第4仕切弁
10dが開弁されたときには、冷却室5が成膜室4と同一
の雰囲気状態にあることから、成膜室4内の雰囲気変
動、例えばプロセスガス純度の低下などは生じない。こ
のため、この成膜室4内では、先行パレット9に引き続
いて行われている後続パレット9に対するコーティング
処理を中断することなく、先行パレット9の送り出しが
行われる。
【0038】なお、上記のようにパレット9が冷却室5
に移載されて第4仕切弁10dが閉弁されると、冷却室5
ではプロセスガスの供給を停止して前記の冷却処理、大
気雰囲気への復帰処理、出口側コンベア8上への送り出
しが順次行われ、その後、前記のパレット受け入れ処理
が繰返される。一方、先行パレット9を上記のように送
り出した成膜室4には、このときにコーティング中のパ
レット9の後端が前記有効コーティングゾーンSに入る
直前に、ボンバード室3から次のパレット9が成膜室4
に搬入されるが、このときまでに、ボンバード室3で
は、前記ボンバード処理に続いて、以下のパレット送出
処理が行われている。すなわち、ほぼ10-5Torrの高真空
状態で所定時間のボンバード処理を完了した後、このボ
ンバード室3にも、成膜室4に供給しているプロセスガ
スと同一のガスが供給され、室内を成膜室4とほぼ同圧
力(例えば20mTorr)の雰囲気状態とする処理が行われて
いる。
【0039】この状態で、前記第3仕切弁10cが開弁さ
れてボンバード室3から成膜室4へのパレット9の移送
が行われる。したがって、このときも、ボンバード室3
が成膜室4と同一の雰囲気状態にあることから、第3仕
切弁10cを開弁しても成膜室4内の雰囲気変動は生じ
ず、このため、成膜室4内でのコーティング処理を中断
することなく、パレット9の移載が行われる。
【0040】なお、ボンバード室3からのパレット9の
送り出しが完了して第3仕切弁10cが閉弁されると、こ
のボンバード室3へのプロセスガスの供給が停止され、
これによって、このボンバード室3は、ほぼ10-5Torrの
高真空状態となるまで排気される。この状態で、加熱室
2との間の第2仕切弁10bを開弁して加熱室2内のパレ
ット9がボンバード室3に搬入され、さらに、加熱室2
へのLL室1内のパレット9、LL室1への入口側コンベア
7上のパレット9の搬入が続けて行われる。
【0041】このようなパレット9の搬送および各処理
室1〜5での処理が繰返されることにより、コーティン
グ処理済みのパレット9が順次出口側コンベア8上に搬
出される。以上の説明のように、本実施形態では、成膜
室4において、パレット9の端部がコーティングゾーン
Sを通過するときには後続パレット9が密着しているの
で、パレット移動方向にはターゲット17から発生する蒸
気の殆どをパレット9上のワークへの成膜に利用するこ
とができる。したがって、従来型インライン式装置と比
較して蒸気の付着率、すなわち、成膜効率が向上し、ひ
いては生産性が向上する。
【0042】また、パレット9がコーティングゾーンS
を通過する際には成膜に適する低速で搬送されると共
に、コーティングゾーンS外では高速で搬送される。こ
のような制御を行うことにより、コーティング中のパレ
ット9の後端に次パレット9の先端が密着した近接状態
としてコーティング処理中の移動を行うことができるの
で、より成膜効率が向上し、また、コーティングゾーン
Sでのパレット9の搬送速度が独立して制御されるの
で、様々な膜厚のコーティングが可能となる。
【0043】さらに、成膜室4と第3・第4仕切弁10c
・10dを各々介して隣接するボンバード室および冷却室
5にも、成膜室4に供給するプロセスガスと同じガスを
導入し得るように構成され、これらボンバード室3およ
び冷却室5では、それぞれ成膜室4と同一雰囲気とする
パレット送出処理・パレット受け入れ処理をそれぞれ行
った状態で、成膜室4へのパレット9の搬入・搬出が行
われる。
【0044】すなわち、成膜室4でのコーティング処理
は、前記のように、プロセスガスを供給して室内が10-2
Torr台に維持されるが、例えばボンバード室3では、そ
れよりも高真空の圧力状態でボンバード処理が行われ
る。このような圧力差が生じている状態、すなわち、前
記したパレット送出処理を行わない状態で、第3仕切弁
10cを開弁してパレット9を搬送しようとすると、第3
仕切弁10cの開弁時に成膜室4で圧力変動が発生し、こ
のときにコーティング処理が継続されていると、アーク
放電が不安定になってコーティング膜の品質が悪化す
る。
【0045】したがって、この場合は、成膜室4へのパ
レット9の搬入・搬出時にアーク放電を中断することが
必要となるが、このようにアーク放電を一時停止させる
と、前記したように、アーク放電停止中に温度の低下を
生じるターゲット周辺の付着皮膜が分離落下し、これに
起因する生産性の低下や膜質異常が発生する。さらに、
圧力状態が異なる処理室間でパレット搬送を行うと、仕
切弁の開弁時に圧力均衡のためのガス流れが発生し、そ
の影響にて、成膜室や冷却室に溜まっている皮膜かすが
舞い上がり、これによって、絶縁破壊などの悪影響が引
き起こされる場合も生じる。また、上記の皮膜かすが成
膜室4に搬入されたパレット上のワーク表面に付着する
ことによっても、コーティング膜の密着性や表面粗度に
異常が発生する。
【0046】これに対し、本実施形態における装置で
は、成膜室4へのパレット9の搬入・搬出に先立ち、ボ
ンバード室3および冷却室5を成膜室4と同一雰囲気と
する処理が行われるので、仕切弁10c・10dの開閉に伴
う雰囲気の変動が生じず、これによって、搬送中もコー
ティング処理を継続して行うことができる。したがっ
て、常時アーク放電を継続させて運転されるので、ター
ゲット17周辺の温度を一定に保つことができ、また、処
理室間の圧力差によるゴミの舞い上がりを防止すること
ができる。このため、製品品質がより安定化して歩留り
が向上し、生産性が向上する。
【0047】なお、上記装置でのコーティング処理は、
成膜室4内の有効コーティングゾーンSをパレット9…
が隙間なく連続して通過する状態で行われる。このとき
のサイクルタイムは、各パレット9が例えば前記コーテ
ィング処理完了位置に達する時間間隔、すなわち、パレ
ット9の長さを送り速度で除した時間となる。これに
は、成膜室4へのパレット9の搬入・搬出時間は含まれ
ず、また、有効コーティングゾーンSを相隣接したパレ
ットの端部領域が通過するときにはこれらパレットへの
コーティング処理が並列的に行われている。したがっ
て、従来装置において一個のパレットに対するコーティ
ング処理の完了を待って次のパレットを成膜室に搬入
し、その後コーティング処理を開始する構成に比べてサ
イクルタイムは格段に短かく、これによっても生産効率
の高い装置となっている。
【0048】さらに、本実施形態では、成膜室4とは別
にボンバード室3が設けられている。すなわち、例えば
切削工具のようにコーティング膜に高い密着力が要求さ
れる場合は、イオンプレーティングによるコーティング
処理の前に、ワークに対してメタルイオンによるボンバ
ード処理が必要となる。これら両処理は、カソードユニ
ット等の構成部品を共用できるものの、ボンバードは、
圧力が10-4Torrより高真空で、かつ、ワークに印加する
バイアス電圧が500 V以上の処理条件で行われる一方、
コーティングは、圧力が10-3Torrより低真空で、かつ、
バイアス電圧が300 V以下で行われる。そこで、このよ
うに処理条件が異なるボンバード処理を成膜室とは独立
に設けたボンバード処理室3で行うようにすることで、
成膜室4で一定の雰囲気状態を維持してコーティング処
理を連続して行わせることができ、これによって、高生
産性を維持しつつ、高い密着力を備えたコーティング膜
を形成することが可能となる。
【0049】なお、上記実施形態は本発明を限定するも
のではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能であ
る。例えば、成膜室4内におけるパレット移動方向に、
複数個の異種類または同種類のターゲットを設けてする
構成することも可能である。例えば異種ターゲット(蒸
発源)を装着したカソードユニットをパレット9の移動
方向に並べることにより、異種材料の多層膜を生産性を
低下させることなく生産できる。また、同種ターゲット
を並べると、生産性を並べた数だけ向上することができ
る。
【0050】また、上記実施形態では、例えば成膜室4
内の上方にターゲット17を設け、パレット9上のワーク
に上方からコーティングする構成を示したが、側方から
パレット上のワークの一側面、または両面にコーティン
グする構成とすることも可能である。さらに、パレット
9の搬送は、例えば、各パレット9にラック、装置側に
ピニオンをそれぞれ取付けたラック・ピニオン式の搬送
機構など、その他の機構を採用して構成することができ
る。
【0051】一方、上記実施形態では、成膜室4での皮
膜形成を、アークイオンプレーティグ法で行う装置構成
を例に挙げ、成膜室4の前後には、各々、前処理室とし
てボンバード室3を、後処理室として冷却後に大気圧に
復帰させる冷却室5を設けた装置を例に挙げて説明した
が、例えば、成膜室4での皮膜形成をスパッタリング法
で行う装置や、坩堝から蒸発する蒸気によって行う装置
など、その他の形式の真空成膜装置に本発明を適用する
ことが可能である。また、これらの場合、例えば、成膜
室の前には大気状態から真空状態に置換するLL室を前処
理室として設け、成膜室の後には真空状態から大気状態
に復帰させるLL室を後処理室として設けた三室構造等、
成膜プロセスに応じて任意数の処理室を連結して構成さ
れるインライン装置に本発明を適用することができる。
【0052】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明の請求項1
のインライン式真空成膜装置においては、成膜室でパレ
ットを一方向に送って成膜領域を通過させることでコー
ティング膜が形成され、このとき、送り方向に隣接する
パレットの端部同士が互いに近接した状態で成膜領域を
通過するので、成膜領域に供給される膜形成物質が無駄
に消費されることが抑制される。したがって、成膜効率
が向上し、ひいては生産性が向上する。また、成膜室内
壁への膜形成物質の付着量も低減する結果、ダストに起
因する欠陥の発生も抑制され、これによって、膜質が向
上する。
【0053】請求項2のインライン式真空成膜装置にお
いては、前処理室から成膜室に搬入された次パレットが
先行パレットの後端に当接するようにさらに送られるの
で、パレットの端部同士は相互に密着した近接状態で成
膜領域を通過する。これにより、さらに成膜効率が向上
する。請求項3のインライン式真空成膜装置において
は、前処理室と後処理室とにも成膜室と同様のガス供給
配管が接続され、成膜室へのパレットの搬入・搬出時に
前処理室や後処理室を成膜室と同一圧力、かつ同一のガ
ス雰囲気状態として仕切弁を開弁し、パレット移載が行
われる。したがって、上記のようなパレットの搬入・搬
出時にも成膜室ではコーティング処理を継続させること
が可能となる。
【0054】この結果、例えばイオンプレーティグ装置
ではコーティング処理のためのアーク放電を停止させる
必要がないので、ターゲット周辺に付着した皮膜が冷却
に伴って分離落下することがなくなり、この結果、電気
絶縁部やワーク表面への落下皮膜の付着が抑制されるの
で、より安定した生産状態を維持できると共に、膜質を
向上することが可能となる。また、サイクルタイムを短
縮して高い生産性を得ることができる。
【0055】請求項4のインライン式真空成膜装置にお
いては、成膜室内のパレット移動方向に複数の膜形成物
質発生源が設けられており、これらが互いに異種の場合
には、異種材料の多層膜の形成が生産性を低下させるこ
となく実施可能であり、また、同種の場合には、その数
に応じてさらに生産性が向上する。請求項5のインライ
ン式真空成膜装置においては、前処理室がボンバード室
として形成されているので、成膜室でアークイオンプレ
ーティング法によるコーティング処理を連続して行う運
転が可能であり、しかも、予めボンバード処理を行うこ
とで、密着力に優れた高品質のコーティング膜を形成す
ることができる。
【0056】一方、請求項6や請求項7のように、成膜
室での膜形成をスパッタリング法や、坩堝から蒸発する
蒸気によって行う場合でも、前記のようなパレットの搬
送制御を行うことで、それぞれ成膜効率や膜質の向上、
生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるインライン式イオ
ンプレーティング装置の構成を示す縦断面模式図であ
る。
【図2】上記装置における成膜室へのパレット搬入時の
動作を説明するための縦断面模式図である。
【図3】上記装置における成膜室からのパレット搬出時
の動作を説明するための縦断面模式図である。
【図4】従来のバッチ式イオンプレーティグ装置の構成
を示す平面模式図である。
【図5】従来のインライン式イオンプレーティグ装置で
の成膜室の内部構成を示す平面模式図である。
【図6】図5に示す装置における成膜室内のターゲット
とワークとの位置関係を示す斜視図である。
【図7】図5に示す装置における成膜室内でのコーティ
ング処理時の動作を説明するための平面模式図である。
【符号の説明】
3 ボンバード室(前処理室) 4 成膜室 5 冷却室(後処理室) 6d ローラコンベア(パレット搬送手段) 9 パレット 10a〜10d 仕切弁 11 入口側仕切弁 12 出口側仕切弁 17 ターゲット(膜形成物質発生源) 19 ガス供給配管 S 有効コーティングゾーン(成膜領域)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パレットに搭載されたワーク表面に真空
    雰囲気中で膜形成を行うための成膜室と、この成膜室の
    前後にそれぞれ仕切弁を介して隣接する前処理室と後処
    理室とを備えるインライン式真空成膜装置において、 上記成膜室には、パレットを前処理室側から後処理室側
    へと一方向に送って成膜領域を通過させるパレット搬送
    手段が設けられ、かつ、成膜領域をパレットが通過中に
    前処理室から次のパレットを搬入させると共に送り方向
    に相隣接するパレットの端部同士が近接した状態で成膜
    領域を通過するように制御するパレット搬送制御手段が
    設けられていることを特徴とするインライン式真空成膜
    装置。
  2. 【請求項2】 前処理室から成膜室に搬入された次パレ
    ットが成膜領域通過中のパレットの移動速度よりも高速
    で成膜領域側へ移動して先行パレットの後端に当接する
    ように、上記パレット搬送手段による成膜室内でのパレ
    ット送りが制御されることを特徴とする請求項1記載の
    インライン式真空成膜装置。
  3. 【請求項3】 成膜室に所定のガスを成膜中に供給する
    ためのガス供給配管が接続されると共に、前処理室と後
    処理室とにも上記ガス供給配管が接続され、これら前処
    理室および後処理室と成膜室との間のパレット移載時に
    は、前処理室および後処理室を成膜室とほぼ同じ圧力お
    よびガス雰囲気状態とした後に仕切弁を開弁してパレッ
    ト移載が行われるように前記パレット搬送制御手段によ
    って制御されることを特徴とする請求項1又は2記載の
    インライン式真空成膜装置。
  4. 【請求項4】 成膜室内のパレット移動方向に複数の膜
    形成物質発生源が設けられていることを特徴とする請求
    項1、2又は3記載のインライン式真空成膜装置。
  5. 【請求項5】 成膜室での膜形成がアークイオンプレー
    ティング法で行われると共に、前処理室が、パレットに
    搭載されたワーク表面に対してメタルイオンによるボン
    バード処理を行うべく真空アーク蒸発源を備えたボンバ
    ード室として形成されていることを特徴とする請求項
    1、2、3又は4記載のインライン式真空成膜装置。
  6. 【請求項6】 成膜室での膜形成がスパッタリング法で
    行われることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載
    のインライン式真空成膜装置。
  7. 【請求項7】 成膜室での膜形成が坩堝から蒸発する蒸
    気によって行われることを特徴とする請求項1、2又は
    4記載のインライン式真空成膜装置。
JP29293996A 1996-11-05 1996-11-05 インライン式真空成膜装置 Withdrawn JPH10140351A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29293996A JPH10140351A (ja) 1996-11-05 1996-11-05 インライン式真空成膜装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29293996A JPH10140351A (ja) 1996-11-05 1996-11-05 インライン式真空成膜装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10140351A true JPH10140351A (ja) 1998-05-26

Family

ID=17788378

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29293996A Withdrawn JPH10140351A (ja) 1996-11-05 1996-11-05 インライン式真空成膜装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10140351A (ja)

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002052179A1 (fr) * 2000-12-26 2002-07-04 Kabushiki Kaisha Riken Segment de piston et procede de production correspondant
JP2003522295A (ja) * 1999-08-04 2003-07-22 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 電子ビーム物理蒸着装置
JP2005520050A (ja) * 2002-03-29 2005-07-07 エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド 表面処理システム及び表面処理方法並びに表面処理された製品
EP2065487A1 (en) 2007-11-21 2009-06-03 Mitsubishi-Hitachi Metals Machinery, Inc. In-line film-formation apparatus
CN102650045A (zh) * 2011-02-25 2012-08-29 住友重机械工业株式会社 成膜装置及成膜基板制造方法
JP2013019028A (ja) * 2011-07-12 2013-01-31 Sumitomo Heavy Ind Ltd 成膜装置
JP2013199700A (ja) * 2012-03-26 2013-10-03 Choshu Industry Co Ltd 成膜装置並びに成膜装置用の基板搬送装置及び方法
CN103451617A (zh) * 2013-09-22 2013-12-18 无锡启晖光电科技有限公司 一种用于真空镀膜的屏蔽箱
JP5664814B1 (ja) * 2014-06-24 2015-02-04 三菱マテリアル株式会社 コーティング膜付き切削工具の成膜装置、切削工具用コーティング膜の成膜方法
JP2015504248A (ja) * 2011-12-27 2015-02-05 インテヴァック インコーポレイテッド 複合静的及びパスバイ処理用システム構成
JP5896047B1 (ja) * 2015-01-26 2016-03-30 三菱マテリアル株式会社 成膜装置、コーティング膜付き切削工具の製造方法
CN106435513A (zh) * 2016-09-22 2017-02-22 铜陵市铜创电子科技有限公司 一种金属化薄膜加工用真空镀膜机
CN106435515A (zh) * 2016-09-22 2017-02-22 铜陵市铜创电子科技有限公司 一种镀膜量可调型金属化薄膜真空镀膜机
US9738967B2 (en) 2006-07-12 2017-08-22 Cardinal Cg Company Sputtering apparatus including target mounting and control
CN109609923A (zh) * 2019-01-11 2019-04-12 广东谛思纳为新材料科技有限公司 一种便于拉链扣电离子镀铂加工的自动化装置
US10604442B2 (en) 2016-11-17 2020-03-31 Cardinal Cg Company Static-dissipative coating technology

Cited By (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003522295A (ja) * 1999-08-04 2003-07-22 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 電子ビーム物理蒸着装置
JP4780884B2 (ja) * 1999-08-04 2011-09-28 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 電子ビーム物理蒸着装置
US7052019B2 (en) 2000-12-26 2006-05-30 Kabushiki Kaisha Riken Piston ring and method of manufacturing the same
WO2002052179A1 (fr) * 2000-12-26 2002-07-04 Kabushiki Kaisha Riken Segment de piston et procede de production correspondant
JP2005520050A (ja) * 2002-03-29 2005-07-07 エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド 表面処理システム及び表面処理方法並びに表面処理された製品
US9738967B2 (en) 2006-07-12 2017-08-22 Cardinal Cg Company Sputtering apparatus including target mounting and control
EP2065487A1 (en) 2007-11-21 2009-06-03 Mitsubishi-Hitachi Metals Machinery, Inc. In-line film-formation apparatus
CN102650045A (zh) * 2011-02-25 2012-08-29 住友重机械工业株式会社 成膜装置及成膜基板制造方法
JP2013019028A (ja) * 2011-07-12 2013-01-31 Sumitomo Heavy Ind Ltd 成膜装置
JP2015504248A (ja) * 2011-12-27 2015-02-05 インテヴァック インコーポレイテッド 複合静的及びパスバイ処理用システム構成
JP2013199700A (ja) * 2012-03-26 2013-10-03 Choshu Industry Co Ltd 成膜装置並びに成膜装置用の基板搬送装置及び方法
CN103451617A (zh) * 2013-09-22 2013-12-18 无锡启晖光电科技有限公司 一种用于真空镀膜的屏蔽箱
JP5664814B1 (ja) * 2014-06-24 2015-02-04 三菱マテリアル株式会社 コーティング膜付き切削工具の成膜装置、切削工具用コーティング膜の成膜方法
WO2015198458A1 (ja) * 2014-06-24 2015-12-30 三菱マテリアル株式会社 コーティング膜付き切削工具の成膜装置、切削工具用コーティング膜の成膜方法
US11512386B2 (en) 2014-06-24 2022-11-29 Mitsubishi Materials Corporation Film formation device for cutting tool provided with coating film, and film formation method for cutting tool provided with coating film
US10781514B2 (en) 2014-06-24 2020-09-22 Mitsubishi Materials Corporation Film formation device for cutting tool provided with with coating film, and film formation method for cutting tool provided with coating film
CN106460166A (zh) * 2014-06-24 2017-02-22 三菱综合材料株式会社 带涂膜切削工具的成膜装置及切削工具用涂膜的成膜方法
KR20170021224A (ko) 2014-06-24 2017-02-27 미쓰비시 마테리알 가부시키가이샤 코팅막이 형성된 절삭 공구의 성막 장치, 절삭 공구용 코팅막의 성막 방법
WO2016121121A1 (ja) * 2015-01-26 2016-08-04 三菱マテリアル株式会社 成膜装置、コーティング膜付き切削工具の製造方法
CN107208260A (zh) * 2015-01-26 2017-09-26 三菱综合材料株式会社 成膜装置、带涂膜切削工具的制造方法
CN107208260B (zh) * 2015-01-26 2019-07-19 三菱综合材料株式会社 成膜装置、带涂膜切削工具的制造方法
JP5896047B1 (ja) * 2015-01-26 2016-03-30 三菱マテリアル株式会社 成膜装置、コーティング膜付き切削工具の製造方法
CN106435515A (zh) * 2016-09-22 2017-02-22 铜陵市铜创电子科技有限公司 一种镀膜量可调型金属化薄膜真空镀膜机
CN106435513A (zh) * 2016-09-22 2017-02-22 铜陵市铜创电子科技有限公司 一种金属化薄膜加工用真空镀膜机
US10604442B2 (en) 2016-11-17 2020-03-31 Cardinal Cg Company Static-dissipative coating technology
US11325859B2 (en) 2016-11-17 2022-05-10 Cardinal Cg Company Static-dissipative coating technology
CN109609923A (zh) * 2019-01-11 2019-04-12 广东谛思纳为新材料科技有限公司 一种便于拉链扣电离子镀铂加工的自动化装置
CN109609923B (zh) * 2019-01-11 2023-08-25 广东谛思纳为新材料科技有限公司 一种便于拉链扣电离子镀铂加工的自动化装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH10140351A (ja) インライン式真空成膜装置
US6328858B1 (en) Multi-layer sputter deposition apparatus
US20230395402A1 (en) Chamber for degassing substrates
JPH07110991B2 (ja) プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法
WO2000018979A9 (en) Sputter deposition apparatus
JPH083744A (ja) 真空処理装置、真空処理装置の中で基板を処理する方法、及び、真空処理装置用のロック
TW201737296A (zh) 用於產生派形加工的對稱電漿源
JP2001135704A (ja) 基板処理装置及び基板搬送用トレイの搬送制御方法
US11512386B2 (en) Film formation device for cutting tool provided with coating film, and film formation method for cutting tool provided with coating film
JP2006118008A (ja) 薄膜形成装置及びその方法
CN114369804A (zh) 薄膜沉积方法
WO2011007580A1 (ja) 基板処理方法
CN110678575B (zh) 成膜装置和成膜方法
CN109154075B (zh) 氧化铝膜的形成方法
JP3753896B2 (ja) マグネトロンスパッタ装置
KR20170106321A (ko) 성막 장치, 코팅막 부착 절삭 공구의 제조 방법
US20230175114A1 (en) Sputtering apparatus and control method
WO2002008484A2 (en) Vacuum module for applying coatings
US20230002886A1 (en) Film forming apparatus, control apparatus for film forming appartus, and film forming method
WO2021199479A1 (ja) 成膜装置、成膜装置の制御装置及び成膜方法
JPH04293774A (ja) スパッタ装置
CN116904945A (zh) 真空溅射镀膜机台的晶圆传送方法及传送装置、存储介质
JPS6155926A (ja) 半導体製造装置
KR20160072076A (ko) 다층 박막 증착 장치의 다층 박막 증착 방법
JP2000273616A (ja) 成膜装置

Legal Events

Date Code Title Description
A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20051201