JP3753896B2 - マグネトロンスパッタ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマグネトロンスパッタ装置に関し、特に大型液晶表示装置の配線積層膜のように材質の異なる複数の膜を積層するマグネトロンスパッタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置の製造には、大面積基板上に膜厚および膜質の分布が均一な成膜装置としてマグネトロンスパッタ装置が多く使用されている。また、液晶表示装置の大型化および表示性能の向上に伴い、複数種類の成膜処理が可能な多層膜成膜用のマグネトロンスパッタ装置に対する様々な要求が高まっている。このような積層膜を形成する真空成膜装置として、一般に、搬送室の周囲に複数の処理室を配置したクラスターツール真空成膜装置が用いられている。
【0003】
図7は、一般的なクラスターツール真空成膜装置の概略構成例を示す水平断面図である。同図に示すように、このクラスターツール真空成膜装置は、6個の処理室、つまり2個のロードロック室107・107、1個の加熱室108、および3個の成膜室109…が搬送室110のまわりに配置されたものである。各処理室と搬送室110との間はゲートバルブ104…によって仕切られ、個別に真空排気ができるように構成されている。搬送室110の内部には真空搬送ロボット105が配置され、各処理室との間において基板100…の搬送を行う。なお、通常、真空搬送ロボット105は一度に基板100を一枚のみ搬送する構成となっている。
【0004】
クラスターツール真空成膜装置の外側には、基板100…を運搬保持するための基板カセット101…と、ロードロック室107・107に対して基板100…を搬出入する大気搬送ロボット102とが設置されている。ロードロック室107・107への搬入前には、それぞれ複数枚の基板100…が収納された基板カセット101…が装置手前に運搬されるようになっている。大気搬送ロボット102は、処理前の基板100を基板カセット101から取り出し、ロードロック室107に搬送する。また、処理済みの基板100をロードロック室107から取り出し、基板カセット101に搬送する。このとき、2つのロードロック室107・107は両方とも基板100の搬出入に使用されることもあれば、いずれか一方が搬入専用、他方が搬出専用に使用されることもある。
【0005】
外部からロードロック室107に成膜処理前の基板100が搬入されるとロードロック室扉103が閉じられ、ロードロック室107内部は図示しない排気装置によって真空引きされる。ロードロック室107の排気後、基板100は真空搬送ロボット105によって搬送室110に搬入され、続いて加熱室108に搬送される。加熱室108における加熱処理が終了すると、基板100は真空搬送ロボット105によって成膜室109に搬送され、スパッタリングによる成膜処理が行われる。これら各処理室と搬送室110との間における基板100の搬送時には、各処理室のゲートバルブ104の開閉が逐一行われる。
【0006】
多層膜成膜の場合は、各成膜室109には異なる種類のターゲットが設置されており、基板100が下層から上層へと各層の材質に応じた成膜室109に順次搬送されて成膜処理されることで、基板100上に多層膜が形成される。全ての成膜処理が終了すると、基板100は真空搬送ロボット105によってロードロック室107に搬送される。ロードロック室107のゲートバルブ104が閉じられた後、ロードロック室107内部は大気圧に戻されてロードロック室扉103が開けられ、大気搬送ロボット102により基板100が搬出されて一連の処理が終了する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記クラスターツール真空成膜装置に代表される従来のマグネトロンスパッタ装置の構成には、以下のような問題点がある。
【0008】
近年、生産効率向上のため、成膜室での処理時間は短縮される方向にある。一方、基板サイズの大型化に伴い、真空搬送ロボットの搬送時間およびサイズも大きくなりつつある。そこで、真空搬送ロボットの稼働率や搬送速度を上げようとすると、真空搬送ロボットの関節部への負担が大きくなり、関節部の部品の短命化や故障率の悪化につながる。特に、真空中での搬送においては、搬送速度が上がったり搬送物の重量が大きくなったりすると、この好ましくない現象が顕著に現れる。
【0009】
また、多層膜成膜の場合は、各処理室を接続する搬送室内部の真空搬送ロボットの基板搬送能力が生産能力を決定するので、生産効率が単層膜成膜と比較して大幅に低下する。つまり、真空搬送ロボットがある処理室との間で基板の搬出入を行っているとき、他の成膜室において処理が終了した基板が直ちに搬出されずに待っている状態が発生するといったように、一つの真空搬送ロボットでは複数の基板を一度に搬送することができないという問題が起こる。
【0010】
さらに、クラスターツール真空成膜装置による多層膜成膜の場合、少なくとも成膜する膜の種類と同じ数の成膜室が必要となり、装置が巨大で高額なものになる上、メンテナンスに手間がかかってしまう。インライン型の真空成膜装置においても同様である。膜質を維持しようとして、成膜中に基板表面にダストが落下することがないよう成膜室で基板をほぼ鉛直に起立させて成膜するものもあるが、このような基板配置をとる処理室は容積がかさみ、装置がさらに巨大なものとなる。
【0011】
生産効率には成膜速度も関係し、例えば特開平5−271924号公報に開示されているように、スパッタ粒子の基板への付着確率を高めるため、成膜室内でターゲット−基板間距離を規定した上で複数の基板を背中合わせに起立配置させ、各々の表面に両側から対称な磁界を作用させて成膜するようにしたマグネトロンスパッタ装置がある。これによれば膜厚分布や膜質分布をも向上させることができるが、上述のように基板の鉛直配置は装置の巨大化を招いてしまう。
【0012】
また、特開平7−331433号公報には、マグネトロン磁石をターゲットの裏側で可動にしてプラズマを安定化し、スパッタ成膜の膜質や膜厚の均一化を図ることが開示されているが、これを多層膜成膜用の装置に適用しようとすると膜数に等しいだけの成膜室が必要となり、やはり装置が大型化してしまう。
【0013】
このように、従来のマグネトロンスパッタ装置では、多層膜成膜において生産効率の向上、膜の高品質化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性向上の全てを満たすことはできない。
【0014】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、生産効率の向上、膜の高品質化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の向上を同時に可能とする多層膜成膜用のマグネトロンスパッタ装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、真空チャンバ内に設置された基板にスパッタリングにより形成される薄膜の材料からなるターゲットと、上記ターゲットにスパッタリング用の電圧を印加するカソード電極と、上記ターゲットの裏面側に配置されるとともに上記真空チャンバ内で発生したプラズマを磁場により上記ターゲット表面に集中させる磁場発生手段と、スパッタリング中に上記磁場発生手段を上記ターゲットに対して平行に往復移動させる揺動手段とを有するマグネトロンスパッタ装置において、上記真空チャンバ内に複数個の上記ターゲットが設置されるとともに上記ターゲットのそれぞれに共通の上記カソード電極によって選択的にスパッタリング用の電圧が印加され、上記基板が上記真空チャンバ内で上記ターゲットの各々と対向する位置に移動可能であり、少なくとも一つの上記磁場発生手段が一つの上記揺動手段によって2個以上の上記ターゲットの裏面側に移動可能に設けられていることを特徴としている。
【0016】
上記の発明によれば、真空チャンバ内には複数個のターゲットが設置されるとともに、共通のカソード電極によって、選択されたターゲットにスパッタリング用の電圧が印加されるようになっている。また、基板は真空チャンバ内で各ターゲットと対向する位置に移動可能であるので、これらターゲットを膜の種類に応じて異なる材料のものとして基板上に多層膜成膜を行えば、従来のように1層成膜するごとに搬送用の真空チャンバに基板を退避させるなどの非効率的な作業を行う必要がなくなる。従って、このように一つの真空チャンバ内で異なる膜を連続的に形成することにより、多層膜の高品質化とその成膜時間の短縮とを図ることができる。さらに、スパッタ電源やカソード電極、成膜室などの数削減、およびそれに付随する真空排気系や基板搬送系などの簡略化により、装置の小型化および低価格化が可能になる。これによりメンテナンス性も当然向上する。
【0017】
また、スパッタリングに際しては成膜に用いるターゲットごとに磁場を作用させる必要があるが、ターゲットの全てに個別の磁場発生手段を有しているのではなく、少なくとも一つの磁場発生手段はそれと組をなす揺動手段によって2個以上のターゲットの裏面側に移動可能となるよう、すなわちこれらターゲットに共有されるように設けられている。従って、1番目の成膜時にあるターゲットの裏面側で往復移動させた磁場発生手段を2番目の成膜時に別のターゲットの裏面側まで移動させてそこで往復移動させるといったように、選択されたターゲットの裏面側に磁場発生手段を逐次移動させるので、磁場発生手段および揺動手段の数が抑えられる分、装置構成を簡略化して低価格化することができる。また、一つのターゲットの裏面側では磁場発生手段を往復移動させてターゲットを全面で均一に消費するので、形成される膜の膜厚分布および膜質分布が均一になるとともに、ターゲットの利用効率が向上する。
【0018】
以上により、生産効率の向上、膜の高品質化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の向上を同時に可能とする多層膜成膜用のマグネトロンスパッタ装置を提供することができる。
【0019】
さらに本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、上記真空チャンバが上記ターゲットが1個ずつ設置された複数の成膜室からなり、各成膜室は他の成膜室と連通および遮断が可能に設けられていることを特徴としている。
【0020】
上記の発明によれば、真空チャンバは互いに連通および遮断が可能な複数の成膜室からなり、各成膜室にはターゲットが1個ずつ設置される。真空チャンバ自体はこのように複数の成膜室に分割された状態となるが、全てのターゲットは共通のカソード電極によって選択的にスパッタリング用の電圧が印加されるとともに、ある成膜室から別の成膜室への基板移動も成膜室間を連通させることで可能である。この構成で多層膜成膜を行う場合、いずれかの成膜室で成膜を行っている間にこの成膜室と他の成膜室とを遮断することにより、成膜中の成膜室から他の成膜室へ成膜ガスが流入したり、飛散したスパッタ粒子が混入したりするのを防止することができる。従って、前記の発明の効果に加えて、さらに多層膜を構成する膜ごとの品質を向上させることが可能になる。
【0021】
さらに本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、上記磁場発生手段と上記揺動手段とを一組だけ有し、上記磁場発生手段が上記揺動手段によって全ての上記ターゲットの裏面側に移動可能に設けられていることを特徴としている。
【0022】
上記の発明によれば、磁場発生手段と揺動手段とは一組だけ設けられ、この磁場発生手段を揺動手段によって移動させることにより、全てのターゲットに対してスパッタリング時に磁場が供給される。このような簡便な構成とすることにより、基板上に異なる膜を順次形成していく通常の多層膜成膜に対して、生産効率の向上、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の向上を最大限に図ることができる。
【0023】
さらに本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、上記磁場発生手段と上記ターゲットの表面との間の距離を調整する距離調整手段を有することを特徴としている。
【0024】
上記の発明によれば、距離調整手段によって磁場発生手段とターゲットとの間の距離を調整することができるので、ターゲットの消費により厚みが変化してもターゲット表面と磁場発生手段との距離を一定にしてターゲット表面の磁界強度を一定に保つことができる。また、磁場発生手段が移動した先のターゲットの材質ごとに成膜に最適なターゲット表面の磁界強度が異なっていても、ターゲットごとに距離を調整すればよいので、一つの磁場発生手段で対応することができる。従って、多層膜成膜時における前述の生産効率の向上、膜の高品質化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の向上をより確実に図ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明のマグネトロンスパッタ装置の実施の一形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0026】
図1は、本実施の形態のマグネトロンスパッタ装置1の構成を示す水平断面図である。マグネトロンスパッタ装置1は、大きく分けて多層膜成膜が行われる成膜室としてのプロセスチャンバ2およびロードロック方式により基板搬送を行うためのロードロック室3から構成され、それぞれ排気口4・5から図示しない排気ポンプによって独立に排気されることにより真空状態が維持される真空チャンバで形成される。プロセスチャンバ2とロードロック室3との間、およびロードロック室3と大気側との間にはそれぞれゲートバルブ6・7が設けられており、基板搬送の際に開閉されるようになっている。
【0027】
プロセスチャンバ2にはプラズマ源となるガスを導入するベントバルブ8が設けられており、排気口4からの排気と合わせてプロセスチャンバ2内を所定の真空度に調整しながらガス流を形成するために使用される。また、ロードロック室3にはリークバルブ9が設けられており、基板搬送の際にロードロック室3内を大気圧に戻すために使用される。
【0028】
プロセスチャンバ2は同図のように一面にチャンバ壁がない開口部を有しており、該開口部を覆うようにカソード電極11がチャンバ壁と絶縁されて設けられている。カソード電極11には、GNDとの間にスパッタリング用の電圧を発生するスパッタ電源10が接続されている。カソード電極11のプロセスチャンバ2側には2つのバッキングプレート12・13が設けられており、それらの表面にはそれぞれ材質が異なるターゲット14・15がインジウムなどの低融点ろう材により接合されている。このように、プロセスチャンバ2内には種類の異なる複数個のターゲット14・15が共通のカソード電極11上に設置されており、それぞれカソード電極11からバッキングプレート12・13を介してスパッタリング用の電圧が印加される。
【0029】
ターゲット14・15のそれぞれと対向する2箇所の成膜位置には、トレイ16に保持された基板17が鉛直方向に起立した状態で搬送されるようになっており、1つの真空チャンバ内でターゲット14のスパッタによる成膜と、ターゲット15のスパッタによる成膜との両方が可能になっている。また、これら成膜位置の基板17の裏側にはヒータ18が設けられており、基板加熱ができるようになっている。
【0030】
基板17の2箇所の成膜位置とターゲット14・15との間には、基板17の端部側を覆うようにマスク19が設けられており、スパッタリング現象によってターゲット14・15から飛散した粒子がトレイ16に付着するのを防止するよになっている。また、ターゲット14・15と所定の隙間を保ちながらこれらの周囲を取り囲むようにアースシールド20が設けられており、飛散した粒子の付着によってカソード電極11側とチャンバ壁とが導通しないようにするとともに、プラズマによりターゲット14・15以外の部分がエッチングされないようになっている。さらに、図示しないがターゲット14・15の近傍には不要部分への膜の堆積を防止する防着板が配置されている。
【0031】
次に、上記カソード電極11の内部の構成について説明する。図2は、カソード電極11およびその周辺の水平断面図である。同図に示すように、カソード電極11は、外周面を形成するカソード本体21、ターゲット14・15が接合されたバッキングプレート12・13、磁場発生手段としての磁石組立体33、および磁石組立体33の揺動機構(揺動手段)から構成される。カソード本体21は、プロセスチャンバ2のチャンバ壁2aと絶縁体22で絶縁されており、絶縁体22はOリング23によってシールされている。このカソード本体21とバッキングプレート12・13とで、チャンバ壁2aの開口部を覆っている。
【0032】
磁石組立体33は、バッキングプレート12・13の裏面側、すなわちターゲット14・15の裏面側に設けられており、磁石保持板32とそれに保持された複数の磁石ユニット31…からなる。この磁石組立体33は、後述するような往復移動を行うために、その幅がターゲット14・15の幅よりも短く設定されている。図3(a)〜(c)に一つの磁石ユニット31の構成を示す。同図(a)は磁石ユニット31の斜視図、同図(b)は磁石ユニット31の平面図、同図(c)は同図(b)の磁石ユニット31のA−A線矢視断面図である。このように磁石ユニット31は、矩形板状のヨーク40の上に棒状の中心磁石41と、その周囲に配置された矩形リング状の周辺磁石42とからなる。中心磁石41と周辺磁石42とはそれぞれ、中心磁石41のヨーク40と反対側の磁極をS極、周辺磁石42のヨーク40と反対側の磁極をN極としてヨーク40に固定されている。この磁極配置によって、同図(c)に示すように周辺磁石42から中心磁石41に向かって磁力線43が形成される。
【0033】
上記磁石組立体33の揺動機構は、図2に示すように、モータ34、かさ歯車35・35、ボールネジ36、ボールナット37、および支持体38・38からなる。ボールナット37は磁石組立体33の磁石保持板32に固定されており、モータ34の動力がかさ歯車35・35およびボールネジ36を介して伝達されると、磁石組立体33はターゲット14・15の裏面側でこれらと平行に移動する。そして、ターゲット14を用いた成膜時にはターゲット14の裏面のターゲット幅に相当する領域R1で、またターゲット15を用いた成膜時にはターゲット15の裏面のターゲット幅に相当する領域R2で往復移動(揺動)するようにモータ34の回転量および回転方向が制御される。よって、一方のターゲットで成膜が行われているときには、他方のターゲットでは成膜が行われないようになっている。
【0034】
領域R1・R2のそれぞれの両端には図示しない検出センサが設けられており、磁石組立体33が一方の検出センサを通過するとモータ34の回転方向を反転させ、磁石組立体33の移動方向を反転させる。これにより、磁石組立体33は領域R1・R2のそれぞれの範囲内で往復移動する。磁石組立体33を領域R1・R2の範囲で往復移動させる別の方法として、ボールネジ36の回転数から磁石組立体33の位置を検出し、磁石組立体33が領域R1・R2のそれぞれの両端を通過したときにモータ34の回転方向を反転させる方法もある。なお、磁石組立体33を領域R1・R2のいずれの領域に移動させるかについては、トレイ16あるいは基板17の位置を検出してこれに連動させることにより決定することができる。
【0035】
次に、図4を用いてプロセスチャンバ2内の基板搬送機構について説明する。同図はプロセスチャンバ2の鉛直断面図であり、カソード電極11などスパッタリングに関連した部材の図示は省略してある。基板搬送機構は基板17を鉛直に起立させたまま搬送を行う縦搬送機構であり、ローラ駆動部51、真空導入部52、駆動ローラ53、駆動軸54、およびサイドローラ55…から構成される。基板17を保持したトレイ16は水平方向からはサイドローラ55…により、また鉛直方向からは駆動ローラ53により支持される。大気雰囲気中のローラ駆動部51からの動力はチャンバ壁2bに設けられた真空導入部52を介して駆動軸54に伝達される。駆動軸54と一体の駆動ローラ53が回転することによって、トレイ16は縦置き状態で紙面に垂直な方向に移動する。トレイ16の位置は図示しない位置検出センサで検出され、トレイ16が所定の位置に達するとローラ駆動部51による駆動が停止して位置決めされるようになっている。
【0036】
以上の構成のマグネトロンスパッタ装置1を用いた多層膜の成膜手順について以下に説明する。まず、大気中で基板17をトレイ16に装着する。そして排気口5を閉じてリークバルブ9を開け、ロードロック室3を大気圧に戻してからゲートバルブ7を開けてトレイ16を基板17とともにロードロック室3に導入し、再びゲートバルブ7を閉じた後に排気口5からロードロック室3内を排気する。ロードロック室3が所定の真空度に達するとゲートバルブ6を開けてトレイ16をプロセスチャンバ2に搬送する。
【0037】
プロセスチャンバ2内は常に真空に保たれており、図4の基板搬送機構によりまずトレイ16を基板17がターゲット14と対向する成膜位置となるように移動させて静止させる。次いでその環境下で基板17をヒータ18により加熱した後、ベントバルブ8からプラズマ源となるガスを所定流量で流し、スパッタ電源10によりカソード電極11を介してバッキングプレート12にのみ選択的に電圧を印加する。すると、ターゲット14の表面上に複数の(磁石ユニット31の数だけ)環状のプラズマが集中して発生し、プラズマによりターゲット14からその材質の粒子がスパッタリングされて飛散し、基板17の表面に付着・堆積して薄膜が形成される。
【0038】
このとき、磁石組立体33が停止しているとターゲット14の同じ場所のみが消費されるため、ターゲット14の表面に凹凸が発生し、ターゲット14が効率よく消費されない。そこで、ターゲット14の全面を均一に消費して使用効率を上げるため、バッキングプレート12への電圧印加と同時に、図2の揺動機構のモータ34を駆動して、バッキングプレート12の裏面側の領域R1で磁石組立体33を往復移動させる。前述したように磁石組立体33の幅はターゲット14の幅よりも短く設定されているので、環状のプラズマが時間平均でターゲット14の全面に行き渡るよう、磁石組立体33の往復移動幅を設定する。これにより、形成される薄膜の膜厚分布および膜質分布も向上する。
【0039】
この間、バッキングプレート13には電圧が印加されておらず、またバッキングプレート13の裏面側に磁石組立体33が存在しないため、ターゲット15では放電が起こらない。磁石組立体33を領域R1の範囲で往復移動させながら基板17上にターゲット14の材質の薄膜を成膜してゆき、その薄膜の膜厚が所定値に達した時点で放電を停止させることで、1層目の成膜が完了する。
【0040】
次に、基板搬送機構によりトレイ16を基板17がターゲット15と対向する成膜位置となるまで移動させて静止させる。このとき、モータ34を駆動して磁石組立体33を領域R1から領域R2へ移動させる。そして先程と同様にスパッタ電源10によりカソード電極11を介してバッキングプレート13にのみ選択的に電圧を印加すると同時に、磁石組立体33を領域R2で往復移動させる。これによりプラズマが発生し、ターゲット15からその材質の粒子が飛散し、基板17の先に成膜したターゲット14の材質の薄膜上に付着・堆積する。その薄膜の膜厚が所定値に達した時点で放電を停止させることで2層目の成膜が完了する。2層目の成膜中はターゲット14では放電が起こらない。以上のような動作により、基板17上に、下層がターゲット14の材質、上層がターゲット15の材質からなる2層の積層薄膜を形成する。
【0041】
積層膜の成膜終了後、ベントバルブ8を閉じてプロセスチャンバ2内が所定の真空度になるのを待ち、搬入時と逆の手順でトレイ16を基板17とともにプロセスチャンバ2からロードロック室3へ搬送し、さらにロードロック室3から大気環境下へと搬出する。
【0042】
なお、上述したマグネトロンスパッタ装置1を初め、同じ真空チャンバ内で複数の異なる材質の成膜を行うようにしたマグネトロンスパッタ装置では、同時に異なる材質の成膜を行わないので、異なる材質のターゲットが同時にスパッタされることはない。そして、前述のようなターゲット配置により、各ターゲットは他のターゲットからのスパッタ粒子の飛跡から外れた位置に設けられていることになるので、成膜中のターゲットの材質の粒子が成膜を行っていないターゲットを汚染する量は極めて微量である。従って、汚染された側のターゲットでの成膜時における膜の純度低下は実用上問題とならない。
【0043】
また、成膜に用いていないターゲットを汚染しないように防着板やマスクなどを設けることによって、膜の純度低下をほぼ完全に抑制することもできる。仮にターゲット表面に汚染粒子が付着していても、成膜の最初の段階でこの汚染粒子がスパッタされるので、膜質に与える影響は小さい。特に、このマグネトロンスパッタ装置を液晶表示装置の配線積層膜の成膜に使用する場合は、その配線の線幅を考慮すると膜質への影響はまず問題とならないので、他の用途のスパッタに使用するよりも好適である。
【0044】
以上のように、本実施の形態のマグネトロンスパッタ装置1によれば、成膜を行う真空チャンバ(プロセスチャンバ2)内には種類の異なる複数個のターゲット14・15が共通のカソード電極11上に配置されており、従来のように1層成膜するごとに搬送室に基板17を退避させるといった非効率的な作業を行うことなく、基板17上に多層膜成膜を行うことができる。従って、このように一つの真空チャンバ内で異なる膜を連続的に形成することにより、多層膜の高品質化とその成膜時間の短縮とを図ることができるとともに、スパッタ電源やカソード電極、成膜室などの数削減、およびそれに付随する真空排気系や基板搬送系などの簡略化により、装置の小型化および低価格化が可能になる。これによりメンテナンス性も当然向上する。
【0045】
また、ターゲット14・15の両方に個別の磁石組立体33が設けられているのではなく、一つの磁石組立体33がそれと組をなす揺動機構とともにターゲット14・15に共有されている。従って、磁石組立体33および揺動機構の数が抑えられる分、装置構成を簡略化して低価格化することができる。この場合はターゲットが2個であるが、一般に複数のターゲットを有する場合にも、少なくとも一つの磁場発生手段がそれと組をなす揺動手段によって2個以上のターゲットの裏面側に移動可能となるよう、すなわちこれらターゲットに共有されるように設けられていれば、上記と同様の効果が得られる。また、一つのターゲットの裏面側では磁場発生手段を往復移動させてターゲットを全面で均一に消費するので、形成される膜の膜厚分布および膜質分布が均一になるとともに、ターゲットの利用効率が向上する。
【0046】
さらに、基板搬送機構により基板17を縦搬送すること、およびターゲット14・15を縦置きにすることから、搬送中および成膜中に基板17の表面にダストが落下することがなく良好な膜が得られるとともに、前述の特徴と合わせると縦搬送・縦置きにも関わらず従来より装置を小型化することができる。
【0047】
このように、本実施の形態のマグネトロンスパッタ装置1によれば、生産効率の向上、膜の高品質化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の向上が同時に可能になる。
【0048】
〔実施の形態2〕
本発明のマグネトロンスパッタ装置の他の実施の形態について図5を用いて説明すれば以下の通りである。なお、前記実施の形態1で述べたマグネトロンスパッタ装置1と同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
図5は、本実施の形態のマグネトロンスパッタ装置61の構成を示す水平断面図である。実施の形態1と異なるのは、プロセスチャンバ全体がターゲットごとにゲートバルブで連通および遮断が可能な複数の成膜室に仕切られていることである。同図では、ターゲット14が配置されたプロセスチャンバ(成膜室)62と、ターゲット15が配置されたプロセスチャンバ(成膜室)63とがゲートバルブ70で仕切られている。それに伴い、プロセスチャンバ62・63にはそれぞれ真空排気が行われる排気口64・65、プラズマ源となるガスを導入するベントバルブ66・67、および基板17を加熱するヒータ68・69が設けられている。
【0050】
一方、カソード電極11は実施の形態1と同様にターゲット14・15の両方に共通であり、その内部構成も図2と同様である。従って、実施の形態1と比較して成膜室の数は増加するが、従来設けられていた搬送室が省略されて複数の成膜室が直線的に連続して配置される上、スパッタ電源10およびカソード電極11の数が従来より減少するとともに、付随する基板搬送系が簡略化されるので、装置の小型化・低価格化を図ることができる。これにより、メンテナンス性も当然向上する。
【0051】
この場合の多層膜の成膜手順について説明する。まず、実施の形態1と同様にして大気側からプロセスチャンバ62内の成膜位置に基板17を保持したトレイ16を搬送した後、ヒータ68で基板17を加熱する。次いでベントバルブ66からプラズマ源となるガスを流し、スパッタ電源10によりカソード電極11を介してバッキングプレート12にのみ選択的に電圧を印加してプラズマを発生させる。そして、揺動機構によりバッキングプレート12の裏面側で磁石組立体33を往復移動させ、スパッタリングによりターゲット14の材質の薄膜を基板17上に形成する。
【0052】
1層目の成膜終了後、プロセスチャンバ62内が所定の真空度になるのを待ってゲートバルブ70を開け、トレイ16をプロセスチャンバ63内の成膜位置に搬送する。次いでベントバルブ67からプラズマ源となるガスを流し、スパッタ電源10によりカソード電極11を介してバッキングプレート13にのみ選択的に電圧を印加してプラズマを発生させる。そして、揺動機構によりバッキングプレート13の裏面側で磁石組立体33を往復移動させ、スパッタリングによりターゲット15の材質の薄膜を1層目の薄膜上に形成する。こうして2層目の成膜を行って積層膜の形成が終了すると、プロセスチャンバ63内が所定の真空度になるのを待ってゲートバルブ70を開け、トレイ16をプロセスチャンバ63からプロセスチャンバ62へ搬送し、さらにゲートバルブ70を閉じた後にゲートバルブ6を開けてトレイをロードロック室3に搬送する。以後、実施の形態1と同様して基板17を大気側へ搬出する。
【0053】
このような成膜方法をとることにより、従来のように成膜と成膜との間に基板17を逐一搬送室に退避させる必要がなくなるので、多層膜成膜に要する時間が短縮され、生産効率が向上する。また、プロセスチャンバ62・63のいずれか一方で成膜を行っている間はゲートバルブ70が閉じられているので、成膜中のプロセスチャンバから他方のプロセスチャンバへ成膜ガスが流入せず、一方のプロセスチャンバで飛散したスパッタ粒子が他方のプロセスチャンバに混入することもない。従って、多層膜を構成する膜ごとの品質を向上させることができる。
【0054】
さらに、磁石組立体33がそれと組をなす揺動機構とともにターゲット14・15に共有されていること、また一般に複数のターゲットを有する場合に少なくとも一つの磁場発生手段がそれと組をなす揺動手段によって2個以上のターゲットに共有されることに対する効果は実施の形態1と同様である。また、磁石組立体33の往復移動による効果、および基板17の縦搬送およびターゲット14・15の縦置きによる効果も実施の形態1と同様である。
【0055】
このように、本実施の形態のマグネトロンスパッタ装置61によれば、生産効率の向上、膜の高品質化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の向上が同時に可能になる。
【0056】
〔実施の形態3〕
本発明のマグネトロンスパッタ装置のさらに他の実施の形態について図6を用いて説明すれば以下の通りである。なお、前記実施の形態1および2で述べたマグネトロンスパッタ装置1・61と同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
本実施の形態のマグネトロンスパッタ装置はカソード電極の構成に特徴があり、その水平断面図を図6に示す。同図のカソード電極81は磁石組立体33がターゲット14・15のそれぞれの表面との距離を変化させることができるものであり、実施の形態1および2のカソード電極11の揺動機構において支持体38・38の代りに距離調整機構(距離調整手段)が設けられている。なお、便宜上、モータ34およびかさ歯車35については図示を省略してある。
【0058】
距離調整機構は、レール82、リニアガイド83、ボールネジ保持部84、ラック85、および駆動ギア86から構成され、これらの組がボールネジ36の両端側に1組ずつ設けられている。レール82はカソード本体21のターゲット14・15に垂直な内壁に取り付けられており、このレール82にリニアガイド83を介してボールネジ保持部84がレール82上を移動可能に設けられている。ボールネジ保持部84のレール82側と反対側の面にはラック85が固定され、このラック85に図示しない駆動部に連結された駆動ギア86が歯合している。ボールネジ保持部84はボールネジ36を保持しており、駆動ギア86が駆動部からの動力によって回転するとその回転方向に合わせて移動し、磁石組立体33がターゲット14・15に近づいたり遠ざかったりする。
【0059】
成膜を繰り返すことによりターゲット14・15は消費されて次第にその厚みが減少していくので、磁石組立体33からターゲット14・15の表面までの距離が短くなり、ターゲット14・15の表面での磁界強度が大きくなっていく。そこで、上記の構成の距離調整機構を用い、ターゲット14・15の薄化に合わせて磁石組立体33とターゲット14・15の表面との間の距離を一定に保ち、ターゲット14・15の表面での磁界強度を所定値に保つ。この場合、ターゲット14とターゲット15とは材質および消費量が異なることが一般的であるので、領域R1と領域R2とでそれぞれの材質および消費量に合わせて独立に距離を調整することができるようになっている。これにより、良好な膜質の多層膜を得ることができるようになる。
【0060】
なお、上記カソード電極81を用いた場合の多層膜の成膜手順は、実施の形態1あるいは2で述べた成膜手順において、磁石組立体33を基板17の成膜位置に応じて領域R1あるいは領域R2に移動させた際に上記の距離調整を行う手順が追加されるものとなる他は同様である。
【0061】
このように、カソード電極81を用いた本実施の形態のマグネトロンスパッタ装置によれば、成膜に最適な磁界強度がターゲットごとに異なっていても、一つの磁場発生手段で対応することができる。従って、多層膜成膜時における前述の生産効率の向上、膜の高品質化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の向上をより確実に図ることができる。
【0062】
なお、以上の各実施の形態では、磁石組立体33をターゲット14・15に対して水平方向に往復移動させる場合について説明したが、ターゲット14・15に対して鉛直方向に往復移動させる場合においても本発明を問題なく適用できることはいうまでもない。
【0063】
【発明の効果】
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、真空チャンバ内に複数個のターゲットが設置されるとともに上記ターゲットのそれぞれに共通のカソード電極によって選択的にスパッタリング用の電圧が印加され、基板が上記真空チャンバ内で上記ターゲットの各々と対向する位置に移動可能であり、少なくとも一つの磁場発生手段が一つの揺動手段によって2個以上の上記ターゲットの裏面側に移動可能に設けられている構成である。
【0064】
それゆえ、複数個のターゲットを膜の種類に応じて異なる材料のものとし、一つの真空チャンバ内で異なる膜を連続的に形成することにより、多層膜の高品質化とその成膜時間の短縮とを図ることができる。さらに、スパッタ電源やカソード電極、成膜室などの数削減、およびそれに付随する真空排気系や基板搬送系などの簡略化により、装置の小型化および低価格化が可能になる。これによりメンテナンス性も当然向上する。
【0065】
また、少なくとも一つの磁場発生手段がそれと組をなす揺動手段によって2個以上のターゲットの裏面側に移動可能となるように設けられているので、磁場発生手段および揺動手段の数が抑えられる分、装置構成を簡略化して低価格化することができる。また、磁場発生手段の往復移動によりターゲットを全面で均一に消費するので、形成される膜の膜厚分布および膜質分布が均一になるとともに、ターゲットの利用効率が向上する。
【0066】
以上により、生産効率の向上、膜の高品質化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の向上を同時に可能とする多層膜成膜用のマグネトロンスパッタ装置を提供することができるという効果を奏する。
【0067】
さらに本発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、上記真空チャンバが上記ターゲットが1個ずつ設置された複数の成膜室からなり、各成膜室は他の成膜室と連通および遮断が可能に設けられている構成である。
【0068】
それゆえ、この構成で多層膜成膜を行う場合、成膜中の成膜室を他の成膜室と遮断することにより、他の成膜室へ成膜ガスが流入したり、飛散したスパッタ粒子が混入したりするのを防止することができる。従って、前記の発明の効果に加えて、さらに多層膜を構成する膜ごとの品質を向上させることが可能になるという効果を奏する。
【0069】
さらに本発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、上記磁場発生手段と上記揺動手段とを一組だけ有し、上記磁場発生手段が上記揺動手段によって全ての上記ターゲットの裏面側に移動可能に設けられている構成である。
【0070】
それゆえ、磁場発生手段を揺動手段によって移動させることにより、全てのターゲットに対してスパッタリング時に磁場が供給される。このような簡便な構成とすることにより、基板上に異なる膜を順次形成していく通常の多層膜成膜に対して、生産効率の向上、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の向上を最大限に図ることができるという効果を奏する。
【0071】
さらに本発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、上記磁場発生手段と上記ターゲットの表面との間の距離を調整する距離調整手段を有する構成である。
【0072】
それゆえ、ターゲットの消費による厚みの変化が起こってもターゲット表面の磁界強度を一定に保つことができる。また、ターゲットの材質の相違により成膜に最適なターゲット表面の磁界強度が異なっていても、ターゲットごとに距離を調整すればよいので、一つの磁場発生手段で対応することができる。従って、多層膜成膜時における前述の生産効率の向上、膜の高品質化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の向上をより確実に図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態におけるマグネトロンスパッタ装置の構成を示す水平断面図である。
【図2】図1のマグネトロンスパッタ装置におけるカソード電極の構成を示す水平断面図である。
【図3】図2のカソード電極における磁石ユニットの構成を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)のA−A線矢視断面図である。
【図4】図1のマグネトロンスパッタ装置における基板搬送機構の構成を示す鉛直断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態におけるマグネトロンスパッタ装置の構成を示す水平断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施の形態におけるマグネトロンスパッタ装置のカソード電極の構成を示す水平断面図である。
【図7】従来のマグネトロンスパッタ装置の構成を示す水平断面図である。
【符号の説明】
1 マグネトロンスパッタ装置
2 プロセスチャンバ(真空チャンバ)
3 ロードロック室
11 カソード電極
12 バッキングプレート
13 バッキングプレート
14 ターゲット
15 ターゲット
16 トレイ
17 基板
33 磁石組立体(磁場発生手段)
34 モータ(揺動手段)
35 かさ歯車(揺動手段)
36 ボールネジ(揺動手段)
37 ボールナット(揺動手段)
38 支持体(揺動手段)
61 マグネトロンスパッタ装置
62 プロセスチャンバ(成膜室)
63 プロセスチャンバ(成膜室)
70 ゲートバルブ
81 カソード電極
82 レール(距離調整手段)
83 リニアガイド(距離調整手段)
84 ボールネジ保持部(距離調整手段)
85 ラック(距離調整手段)
86 駆動ギア(距離調整手段)

Claims (4)

  1. 真空チャンバ内に設置された基板にスパッタリングにより形成される薄膜の材料からなるターゲットと、上記ターゲットにスパッタリング用の電圧を印加するカソード電極と、上記ターゲットの裏面側に配置されるとともに上記真空チャンバ内で発生したプラズマを磁場により上記ターゲット表面に集中させる磁場発生手段と、スパッタリング中に上記磁場発生手段を上記ターゲットに対して平行に往復移動させる揺動手段とを有するマグネトロンスパッタ装置において、
    上記真空チャンバ内に複数個の上記ターゲットが固定されているとともに上記ターゲットのそれぞれに共通の上記カソード電極によって選択的にスパッタリング用の電圧が印加され、上記基板が上記真空チャンバ内で上記ターゲットの各々と対向する位置に移動可能であり、少なくとも一つの上記磁場発生手段が一つの上記揺動手段によって2個以上の上記ターゲットの裏面側に移動可能に設けられていることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  2. 上記真空チャンバが上記ターゲットが1個ずつ設置された複数の成膜室からなり、各成膜室は他の成膜室と連通および遮断が可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  3. 上記磁場発生手段と上記揺動手段とを一組だけ有し、上記磁場発生手段が上記揺動手段によって全ての上記ターゲットの裏面側に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  4. 上記磁場発生手段と上記ターゲットの表面との間の距離を調整する距離調整手段を有することを特徴とする請求項1ないし3に記載のマグネトロンスパッタ装置。
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