JPH10130155A - 病変組織治療用組成物、その製法およびその用途 - Google Patents

病変組織治療用組成物、その製法およびその用途

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JPH10130155A
JPH10130155A JP28524096A JP28524096A JPH10130155A JP H10130155 A JPH10130155 A JP H10130155A JP 28524096 A JP28524096 A JP 28524096A JP 28524096 A JP28524096 A JP 28524096A JP H10130155 A JPH10130155 A JP H10130155A
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composition
treating
tannic acid
diseased tissue
water
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Kinuko Oku
キヌ子 奥
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CHIYUUYAKUKEN KK
Welfide Corp
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CHIYUUYAKUKEN KK
Welfide Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】品質が一定しかつ製剤安定性が優れた病変組織
治療用組成物を提供すること。 【解決手段】病変組織治療用組成物は、実質的には、水
溶性アルミニウム化合物と、ポリフェノール類(ただ
し、タンニン酸は除く)と、錯形成剤と、必要に応じて
添加される抗酸化剤とから構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する発明分野】本発明は、病変組織治療用組
成物、その製法およびその用途に関するものであり、更
に詳細には、例えば、脳動脈瘤、痔核、肝腫瘍血管など
の病変組織を治療するための病変組織治療用組成物、そ
の製法およびその用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】直腸や肛門の病変組織としては、例え
ば、直腸下部または肛門の粘膜下にある痔静脈叢の瘤状
拡張に起因する痔核などの病変組織が挙げられる。痔患
者の多くは、血便、痔痛、内痔脱出、外痔の炎症、粘液
血便などによって健康を害していて、仕事にも支障を来
している場合もある。肛門直腸の疾病には10余種類ある
といわれている。まず、疾病の原因に基づいて、有菌性
と無菌性とに分けられる。次に、疾病のメカニズムによ
って特異性と非特異性とに分けられる。また、病理変化
の部位によって、粘膜区( 無痛区) と肛管皮膚区( 有痛
区) の病理変化に区分される。さらに、病理損害に基づ
いて、有菌性あるいは無菌性炎症がもたらす充血、滲
出、浮腫等に分けられる。また、肛管の機能性と器質性
疾患に基づき直腸肛管狭小によって引き起こされる糞詰
まり、便秘と肛管弛緩による内痔脱出、粘膜脱出、粘液
の外部流出に分けられる。したがって、直腸や肛門の病
変組織を治療する際には、上記のような肛門直腸の疾病
の種類を考慮しなければならない。
【0003】痔核などの直腸下部や肛門の病変組織の治
療方法としては、種々の方法が採用されている。その病
状が軽度のものは、温浴や、軟膏等の塗布や座薬挿入な
どによる治療方法が、また重症のものでは、痔核結節へ
の注射療法や痔核摘出などの外科手術による治療方法が
採用されている。しかしながら、痔核摘出による外科手
術以外の治療方法は、いずれも痔核を根本から治療する
ものではなく、あくまでも対症療法にすぎない。また、
外科手術による治療方法は、特に術後に耐え難い苦痛を
与えるもので、できることならこのような外科手術によ
る治療方法は避けたいのが痔に苦しむ患者の願いであ
る。その上、苦痛を伴わないで痔の治療ができるのであ
れば、患者にとって非常に好ましいことである。
【0004】痔核等の直腸下部や肛門の病変組織を外科
手術的に摘除するのではなく、しかも根本から治療する
方法として、薬物でその直腸病変組織の患部に注射によ
って投与し、その直腸病変組織の患部を硬化させて、そ
の硬化させた細胞が正常細胞から自然に脱落させる治療
方法が提案されている。このような薬物療法に使用され
る薬物としては、中国名”消痔霊”(XIAOZHILING)が提
案されている。この注射剤の組成は、タンニン、ミョウ
バン( 硫酸アルミニウムカリウム) クエン酸ナトリウ
ム、デキストラン、グリセリンおよびトリクロロブチル
アルコールを含む水溶液からなっている。しかしなが
ら、この注射剤には、トリクロロブチルアルコールが含
まれていることから、注射剤としては好ましくない。
【0005】そこで、この注射剤を改良してより好まし
い組成を有する病変組織治療用硬化剤である注射剤が提
案されている。本特許出願人の出願による特開平4-2259
20号には、タンニン酸と、ミョウバン( 硫酸アルミニウ
ムカリウム) と、クエン酸ナトリウムと、亜硫酸水素ナ
トリウムと、デキストランと、グリセリンと、安定化剤
として植物生薬の抽出物とを含有する硬化剤が記載され
ている。しかし、この硬化剤にしても、安定化剤として
植物生薬の抽出物を含有していることから、品質の一定
した注射剤を常時調製するのが困難であることが判明し
た。
【0006】したがって、本発明者らは、上記基本組成
を有する硬化剤の品質が一定しかつ製剤安定性が優れた
注射剤を得るべく種々検討し、鋭意研究した結果、植物
生薬の抽出物を安定化剤として添加しなくとも、タンニ
ン酸と、ミョウバン( 硫酸アルミニウムカリウム) との
配合順序を工夫することによって、製剤としての安定性
が優れかつ品質が常に一定した硬化剤としての注射剤が
得られることを見出した。この注射剤は、基本的には、
タンニン酸と、硫酸アルミニウムカリウムと、クエン酸
ナトリウムと、亜硫酸水素ナトリウムとからなってい
る。国際公開番号WO94/06443およびその関連特許公開公
報には、注射剤としてのこの硬化剤についての詳細が記
載されている。更に、これらの公報には、安定性が優れ
かつ品質も常に一定しているこの注射剤を製剤するに
は、各成分の配合手順が重要であると開示している。
【0007】タンニン酸は、硫酸アルミニウムカリウム
と配合禁忌とされている( 第12改正日本薬局方D-1019-2
1 頁) 。タンニン酸は、塩基性の有機医薬品と難溶性の
塩を形成し効力を失うことが知られている。また、タン
ニン酸は、空気中の酸素または溶液中の溶存酸素と接触
して酸化されキノン系化合物などの酸化物となり、溶液
中に沈澱を生ずる。更に、タンニン酸は、特に、溶液中
に鉄イオンが存在すれば、タンニン酸の空気酸化が促進
されて酸化物となって沈澱となる性質を有している。か
かる不溶性生成物が注射剤中に沈澱すれば当然のことな
がら注射剤として不適格となる。
【0008】他方、硫酸アルミニウムカリウムには、原
料であるボーキサイトに由来する鉄が通常含有されてい
て、硫酸アルミニウムカリウム溶液中には微量ながら鉄
イオンが存在している。したがって、夕ンニン酸を硫酸
アルミニウムカリウムと溶液中に共存させると、この鉄
イオンがタンニン酸と直接反応して沈澱を生ずるととも
に、空気酸化を促進することになる。更に、溶液中にア
ルミニウムイオンが存在すれば、タンニン酸は、そのア
ルミニウムイオンと直接反応して沈澱を生成する。した
がって、タンニン酸と、硫酸アルミニウムカリウムとを
含有する溶液を、沈澱を生じさせずに組成が一定しかつ
安定して製造するには、成分を単に配合するだけでは製
造することが極めて困難である。
【0009】したがって、先行技術に記載された病変組
織治療用硬化剤は、それらの成分を製剤に使用した場合
に起こると予測される成分自体の短所を克服して、製剤
としての安定性が優れかつ品質も常に一定しているけれ
ども、なお一層の改善の余地を残しているといえる。こ
の硬化剤には、前述したようにタンニン酸が使用されて
いるが、このタンニン酸は未だその構造式が確定してな
く、均質なものを得るためにその起源がもうけられてい
る。更に、タンニン酸は、前述したような固有の性質を
有しているので、製剤調製に際しては、配合順位等を十
分に管理しなければならないという不便がある。したが
って、病変組織治療用硬化剤に、タンニン酸の代わり
に、タンニン酸と効力が同じでかつ構造が特定されてい
る化合物が使用することができれば、その調製がより一
層簡単にできかつ硬化剤としてより一層安定化されたも
のを得ることができるものと期待される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前述し
た課題を解決すべく、種々の化合物を鋭意検討・研究し
た結果、ポリフェノール類がタンニン酸の代替物として
使用できることを見出して、この発明を完成するに至っ
た。
【0011】したがって、本発明の目的は、タンニン酸
の代替物として、ポリフェノール類を含有する病変組織
治療用組成物を提供することである。
【0012】また、本発明の別の目的は上記病変組織治
療用組成物を製造する方法を提供することである。
【0013】本発明の更に別の目的は、上記病変組織治
療用組成物を、脳動脈瘤、肝腫瘍血管、痔核などの病変
組織に適用する用途を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成すべ
く、本発明は、実質的には、水溶性アルミニウム化合物
と、ポリフェノール類(ただし、タンニン酸は除く。な
お、本明細書のただし書きでいうところのタンニン酸と
は日本薬局方でいうタンニン酸に相当するものとす
る。)と、錯形成剤と、必要に応じて追加する抗酸化剤
とから構成されている病変組織治療用組成物を提供する
ものである。なお、本明細書において、単に「ポリフェ
ノール類」という用語を使用した場合でも、下記に定義
するポリフェノール類からタンニン酸が除外されたもの
と理解すべきである。
【0015】本発明は、前述した別の目的を達成すべ
く、上記成分を適切に配合して病変組織治療用組成物を
得ることを特徴とする病変組織治療用組成物の製造方法
を提供するものである。
【0016】本発明はまた、前述した更に別の目的を達
成すべく、上記成分を適切に配合して得られた病変組織
治療用組成物を、例えば、脳動脈瘤、肝腫瘍血管、痔核
などの病変組織に適用する使用方法を提供することであ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係る病変組織治療用組成
物は、前述したごとく、実質的には、水溶性アルミニウ
ム化合物と、ポリフェノール類(ただし、タンニン酸は
除く)と、錯形成剤と、必要に応じて添加される抗酸化
剤とから構成されている。
【0018】本発明に使用される水溶性アルミニウム化
合物としては、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミ
ニウム、炭酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸ア
ルミニウム、乳酸アルミニウム、くえん酸アルミニウ
ム、酒石酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウム、硫
酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウムカリウ
ム、硫酸アルミニウムセシウム、硫酸アルミニウムアン
モニウムなどを挙げることができる。これらの水溶性ア
ルミニウム化合物は単独でも、2 種類以上を組み合わせ
ても使用することができる。なお、本明細書でいう水溶
性アルミニウム化合物の「水溶性」とは、それ自体が溶
媒としての水に通常溶解するものばかりではなく、それ
自体では通常の条件下では水に不溶もしくは難溶であっ
ても、ある所定の条件にすれば水溶液の状態になるもの
をも含有するものとする。上記水溶性アルミニウム化合
物は、0.01モルないし0.5 モル濃度、好ましくは0.03な
いし0.3 モル濃度であるのがよい。また、上記水溶性ア
ルミニウム化合物は、製剤中の有効濃度として、約1%な
いし10% の範囲、好ましくは約2%ないし5%の範囲にある
のがよい。なお、本明細書において使用する「%」は
「重量%」を意味するものとする。
【0019】本発明に使用されるポリフェノール類は、
その分子中に多価フェノールの部分構造を1個以上含有
する有機化合物であって、例えば、多価フェノール類
と、その多価フェノール類の配糖体であるポリフェノー
ル配糖体(ただし、タンニン酸を除く)とが挙げられ
る。上記多価フェノール類としては、例えば、カテコー
ル、レゾルシン、ヒドロキノンなどの2価フェノール
類、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸などの3
価フェノール類、カテキン、エピカテキン、エピガロカ
テキンガレート、テアフラビンなどの分子中に多価フェ
ノールの部分構造を2個以上含む多環多価フェノール類
などが挙げられる。上記ポリフェノール配糖体として
は、上記多価フェノール類が糖の水酸基に結合している
多価フェノール類の配糖体である。本発明に使用できる
ポリフェノール類を構成する糖としては、たとえば、グ
ルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトースな
どのヘキソース、キシロース、アラビノースなどのペン
トースなどが挙げられる。上記ポリフェノール配糖体の
例としては、ペンタガロイルグルコースなどが挙げられ
る。上記ポリフェノール類の使用量は、上記水溶性アル
ミニウム化合物に対して、通常0.1 %ないし25%、好ま
しくは0.5 %ないし10%の範囲内にあるのがよい。
【0020】また、本発明に使用される錯形成剤とは、
上記水溶性アルミニウム化合物に由来するアルミニウム
と錯化合物を形成するものであればいずれでもよく、例
えば、酢酸、乳酸、しゅう酸、サリチル酸、クエン酸、
酒石酸、リンゴ酸などの有機酸またはそれらのナトリウ
ム塩などの塩が挙げられる。上記錯形成剤は、水溶性ア
ルミニウム化合物の量に対して、約10%ないし80%、好
ましくは約20%ないし50%の範囲であればよい。
【0021】本発明に使用することができる抗酸化剤
は、本発明に係る組成物を構成する成分の酸化を防止す
るものであって、かかる化合物としては、例えば、亜硫
酸水素ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン
酸、アスコルビン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、
ピロ亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。この抗酸化剤
は、上記ポリフェノール類に対して、通常約50%ないし
200 %、好ましくは約70%ないし150 %の範囲である。
【0022】更に、本発明に係る病変組織治療用組成物
には、医薬品製剤に慣用されているその他の成分、例え
ば、賦形剤、増粘剤、保存剤、防腐剤などが含まれてい
てもよい。賦形剤としては、例えばグリセリンなど、増
粘剤としては、例えば、デキストランなど、保存剤とし
ては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリ
ウムなど、防腐剤としては、例えば、安息香酸、メチル
パラオキシ安息香酸、フェノール、ベンジルアルコー
ル、塩化ベンザルコニウムなどが挙げられる。
【0023】本発明に係る病変組織治療用組成物におい
ては、その液性が、pHI.0 ないしpH3.5 、好ましくはpH
2.0 ないしpH3.0 範囲になるように調整するのがよい。
しかしながら、その液性が上記範囲外にある場合には、
必要に応じて、製剤を調合する際に通常使用されている
薬理上無害な酸またはアルカリを使用して、その液性が
上記範囲内になるように調整することができる。かかる
化合物としては、例えば、塩酸、硫酸などの鉱酸、クエ
ン酸などの有機酸、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリ
ウムなどを使用することができる。得られた製剤の液性
が上記範囲内にあると、その製剤を長期間保存しても着
色したり、または沈殿が生じたりせず、製剤が極めて安
定となり好ましい。
【0024】次いで、本発明に係る製造方法について説
明する。本発明の病変組織治療用組成物は、各基本成分
を適切な順序で配合することによって得ることができ
る。例えば、水溶性アルミニウム化合物にポリフェノー
ル類と錯形成剤とを添加し、次いで必要に応じて抗酸化
剤を添加することによって目的とする病変組織治療用組
成物を得ることができる。なお、本発明における製剤工
程は、窒素ガスなどの不活性ガスの存在下で行うのがよ
い。また、製剤中の溶存酸素は常法によって脱気し、窒
素ガスで空気置換をするのがよい。このようにして得ら
れた病変組織治療用組成物は、通常、常法により、ろ
過、殺菌をした上で、例えば、無色硬質ガラスアンプル
またはガラス瓶などの容器に分注し、その後高圧蒸気滅
菌をして冷所に保存することができる。本発明に係る病
変組織治療用組成物はまた、常法により凍結乾燥するこ
とにより、用時溶解して使用することもできる。この場
合には、多価アルコールや、糖類を溶解した溶液を、凍
結乾燥した病変組織治療用組成物を用時溶解するための
溶解液として使用することもできる。
【0025】以上のように調製された病変組織治療用組
成物は、注射剤として、特に痔疾などの疾病に起因する
大腸、直腸、肛門などの病変組織の患部や、脳動脈瘤、
肝腫瘍血管などに適用される。本発明の病変組織治療用
組成物は、病変細胞に短時間接触させることによって
も、細胞の形態を保持しながら、非常に強い細胞致死効
果を呈することができる。つまり、本発明の組成物は、
それを投与して接触させた細胞を死滅させ、その死滅細
胞を組織から脱落させることができるものと予想され
る。このように死滅細胞を組織から脱落させることによ
り、病変異組織を緩和な状態で治癒することができるこ
とになる。
【0026】以下、本発明に係る病変組織治療用組成物
について、実施例により詳細に説明する。
【0027】
【実施例】
実施例1 本実施例における病変組織治療用組成物の成分は次の通
りである。 硫酸アルミニウムカリウム 4 g クエン酸ナトリウム 1.5 g 亜硫酸水素ナトリウム 0.15 g (+)-カテキン 0.128 g デキストラン40 0.7 g グリセリン 10 g 本実施例においては、精製水は30-40 ℃に加熱して使用
した。また、各成分はマグネテイックスターラーを使用
して溶解した。100 ml容のビーカーに0.15 gの亜硫酸水
素ナトリウムを入れて窒素置換をした後、水浴で 30-40
℃に保ちながら加温した。これに、0.7 g のデキストラ
ン40を8.7 5g の精製水に溶解して得られた溶液を添加
した。次ぎに、10 gのグリセリンを37.5 gの精製水に溶
解し、得られた溶液を60℃に加温し、この溶液に0.128g
の(+)-カテキンを添加して溶解した溶液を添加直前に
調製して、上記デキストラン溶液に添加した。更に、こ
の溶液に、4 g の硫酸アルミニウムカリウムを18.75 g
の精製水に溶解し、この溶液に1.5 g のクエン酸ナトリ
ウムを6.25 gの精製水に溶解して得られた溶液に添加し
て得られた溶液を添加し溶液全量を100 gして、目的と
する病変組織治療用組成物を得た。なお、上記の操作は
可能な限り窒素雰囲気下で行った。得られた組成物を、
ミリポアフィルター(0.22 ミクロン)を用いて窒素雰囲
気下で加圧ろ過した。このようにして得た組成物を窒素
を封入した試験管に入れ、封管した。得られた組成物は
無色透明であった。この封管した試験管を60℃で保存し
て熱安定化試験を行った。その結果、試験開始後、24時
間、48時間、72時間経過した段階で観察したが、いずれ
の段階でも、保存した溶液に何ら着色も沈殿も生じてい
ないことが確認された。
【0028】実施例2 本実施例における病変組織治療用組成物の成分は次の通
りである。 硫酸アルミニウムカリウム 4 g クエン酸ナトリウム 1.5 g 亜硫酸水素ナトリウム 0.15 g (-)-エピガロカテキンガレート 0.126 g デキストラン40 0.7 g グリセリン 10 g 本実施例においては、精製水は30-40 ℃に加熱して使用
した。また、各成分はマグネテイックスターラーを使用
して溶解した。100 ml容のビーカーに0.15 gの亜硫酸水
素ナトリウムを入れて窒素置換をした後、水浴で 30-40
℃に保ちながら加温した。これに、0.7 g のデキストラ
ン40を8.7 5g の精製水に溶解して得られた溶液を添加
した。次ぎに、10 gのグリセリンを37.5 gの精製水に溶
解し、得られた溶液を60℃に加温し、この溶液に0.126g
の(-)-エピガロカテキンガレートを添加して溶解した
溶液を添加直前に調製して、上記デキストラン溶液に添
加した。更に、この溶液に、4 g の硫酸アルミニウムカ
リウムを18.75 g の精製水に溶解し、この溶液に1.5 g
のクエン酸ナトリウムを6.25 gの精製水に溶解して得ら
れた溶液に添加して得られた溶液を添加し溶液全量を10
0 g として、目的とする病変組織治療用組成物を得た。
なお、上記の操作は可能な限り窒素雰囲気下で行った。
得られた組成物を、ミリポアフィルター(0.22 ミクロ
ン)を用いて窒素雰囲気下で加圧ろ過した。このように
して得た組成物を窒素を封入した試験管に入れ、封管し
た。得られた組成物は無色透明であった。この封管した
試験管を60℃で保存して熱安定化試験を行った。その結
果、試験開始後、24時間、48時間、72時間経過した段階
で観察したが、いずれの段階でも、保存した溶液に何ら
着色も沈殿も生じていないことが確認された。
【0029】実施例3 実施例1と同様にして、(+)-カテキンの代わりに、ペン
タガロイルグルコースを用いて目的とする病変組織治療
用組成物を得た。得られた病変組織治療用組成物も、実
施例1で得られた組成物同様、熱安定化試験では何ら着
色も沈殿も生じていないことが確認された。
【0030】
【発明の効果】本発明に係る病変組織治療用組成物は、
前述したごとく、製剤に際して取り扱いに相当の注意を
払う必要があるタンニン酸を使用する代わりに、取り扱
いがより一層簡単であるポリフェノール類(ただし、タ
ンニン酸を除く)を使用することによって、タンニン酸
を使用した場合と同等の熱安定性を有することが確認さ
れた。したがって、本発明の病変組織治療用組成物は、
品質が一定しかつ製剤安定性が優れた注射剤を提供する
ことができる。つまり、タンニン酸を使用して病変組織
治療用組成物を調製する場合には、タンニン酸が、水溶
性アルミニウム化合物から解離してくる鉄イオンと錯イ
オンを形成して沈殿を生じるために、製剤を調製する際
には、かかる沈殿が生じないように、各成分の配合順位
を特定しなければならなかった。しかしながら、タンニ
ン酸の代わりに、ポリフェノール類が使用することがで
きるので、タンニン酸を使用する場合のような相当な注
意を払う必要がなくなり、病変組織治療用組成物を調製
するに際して極めて有利である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性アルミニウム化合物と、ポリフェノ
    ール類(ただし、タンニン酸は除く)と、錯形成剤とか
    らなる病変組織治療用組成物。
  2. 【請求項2】請求項1に記載する病変組織治療用組成物
    において、前記ポリフェノール類が分子中に多価フェノ
    ールの部分構造を1個以上含有するポリフェノール類で
    あること。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載する病変組織治療
    用組成物において、前記ポリフェノール類が、多価フェ
    ノール類またはポリフェノール配糖体であること。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3にいずれか1項に記載す
    る病変組織治療用組成物において、更に抗酸化剤が含有
    されていること。
  5. 【請求項5】水溶性アルミニウム化合物と、ポリフェノ
    ール類(ただし、タンニン酸は除く)と、錯形成剤とを
    配合して病変組織治療用組成物を得ることを特徴とする
    病変組織治療用組成物の製法。
  6. 【請求項6】水溶性アルミニウム化合物と、ポリフェノ
    ール類(ただし、タンニン酸は除く)と、錯形成剤とか
    らなる病変組織治療用組成物を病変組織に適用すること
    を特徴とする病変組織治療用組成物の用途。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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