JP3775813B2 - 病変異常組織治療用組成物,その製造方法およびその用途 - Google Patents

病変異常組織治療用組成物,その製造方法およびその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は,病変異常組織治療用組成物、その製造方法およびその用途に関し,更に詳細には,特に痔核などの病変異常組織を治療するための組成物であって,長期間保存しても安定な病変異常組織治療用組成物、かかる病変異常組織治療用組成物を製造する方法およびその組成物を用いて病変異常組織を治療するための用途に関するものである。
【0002】
【従来技術】
内痔の注射による治療は100年以上に亘る歴史があり,組成物としては,初期には硫酸鉄溶液やフェノールのオリーブ油溶液が用いられていた。その後,アルコール,キニンヒドロクロライド,塩化水銀,ウレタン,麦角などが使用されてきた。過去30年間においては,フェノールの植物油溶液やミョウバン溶液などが主に使用されてきた。
【0003】
しかしながら,これらの組成物は,内痔を治癒するには下記のような問題を十分に解消しているとはいえない。つまり,注射剤による痔核硬化療法では,炎症を減少し,出血を止め,細菌の増殖を阻止し,十分な血栓を形成し,硬い小結節を残さずまたは壊死を起こさずに痔性血管の線維形成を完成させることが要求されるが,これまでの注射剤ではこれらの要求の全てもしくは大部分を満足させるものではない。また,臨床において使用する注射剤の適当な濃度と量とともに,組織の壊死を惹起しないで内痔を硬化させる方法を決めるのも困難である。前記の組成物を注射した場合には,その薬剤が集中する部位が粘膜下組織だけであるので,注射部位を拡大すると同時に投与方法も改良しなければならない。
【0004】
更に、痔核治療用組成物として、タンニンと、薬用ミョウバンと、クエン酸ナトリウムと,デキストランと,グリセリンと,トリクロロブチルアルコールとからなる注射剤が提案されている(Journal of Traditional Chinese Medicine, 1 (2)116-120(1981)) 。
ミョウバンは、化学名を硫酸アルミニウムカリウムといい、無色透明の正八面体の結晶で、局所収斂、止血、防腐作用があることが知られている。このミョウバンは、内服しても胃腸粘膜から吸収されることはなく、粘膜に対して局所的な作用を及ぼすにすぎない。また、タンニン酸は、通常、五倍子または没食子から得られ、黄白色ないし淡褐色の無晶形の粉末または小葉片もしくは海綿状の塊である。タンニン酸はまた、酸性または中性溶液でたんぱくを凝固し、収斂作用を呈することの他、防腐、抗菌作用があることが知られている。
しかしながら、硫酸アルミニウムカリウムは、タンニン剤などと配合してはならないとされている(第12改正日本薬局方D−1019〜21頁)。他方、タンニン酸は、塩基性の有機医薬品と難溶性の塩を形成し、また鉄剤などと併用すると不溶性、難溶性の化合物を形成し効力を失うことも知られている。
【0005】
また、前記注射剤には、トリクロロブチルアルコールが使用されていることから,以下のような問題が生じる可能性がある。つまり,トリクロロブチルアルコールは,炭素と塩素との結合物であり,光を吸収してラジカルを生成してタンニン酸を酸化し,タンニン酸は褐色ないし黒色に変化して沈殿物を生成する。またトリクロロブチルアルコールは,強いエネルギ−(熱や光)を与えると、その結合が切れて不安定な物質に変化するという性質も有している。このような性質を有するトリクロロブチルアルコールを医薬品として使用することは不適当であり、かかる組成物からなる注射剤は保存中に沈殿を生成する恐れが多分にあり、細心の注意をもって保存しなければならないという不便がある。
【0006】
更に、特開平4ー225920号公報には、食道動脈瘤、痔核、直腸全層脱部位、直腸粘膜脱部位および大腸もしくは直腸の***性病変組織などの消化器病変異常組織を硬化させる薬剤として、タンニン酸と硫酸アルミニウムカリウムとを配合した組成物に、フェノール類、フラボンもしくはフラボノイド、カテキン類またはポリカルボン酸などを含有する植物生薬の抽出物を安定化剤として含有した消化器病変組織の硬化剤が開示されている。しかしながら、この組成物には、植物生薬の抽出物を安定化剤として含有していることから、一定の組成を有する安定化剤を得るのが極めて困難であり、面倒な抽出工程、精製工程を経てもなお微量の未確認成分が混入している危惧があり、製剤上問題がある。更に、タンニン酸と硫酸アルミニウムカリウムとを配合した組成物に、植物生薬の抽出物が安定化剤として含有されていても、水溶液の状態で長い期間保存していると、着色が生じたり、場合によっては沈殿が生じる場合があり、注射剤としての製剤上問題である。
【0007】
また,WO94/06443号公報(国際公開日:1994年3月31日)には,0.01モルないし0.5モル濃度の水溶性アルミニウム化合物と、前記水溶性アルミニウム化合物に対して0.5%ないし25.0%の割合のタンニン酸と、亜硫酸水素ナトリウムと,多価アルコールまたは糖類とからなる組成物であって、前記組成物のpHが1.5ないし3.5である病変異常組織の治療用注射剤が記載されていて,同公報には本願発明の組成物と同一の組成物が記載されている。ただし,同公報に記載されている同組成物の製造方法は,全ての組成物構成成分を単に同時にもしくはランダムに配合するだけである。つまり,同公報に記載の注射剤の製造方法は,全成分を試験管に入れ,これに注射用水を所定量になるまで撹拌しながら添加して溶解して,得られた水溶液をガラス瓶などの容器に入れ,溶液中の溶存酸素を脱気し,窒素ガスで空気置換をした上,高圧蒸気殺菌をした後,冷暗所で保存することから構成されている。しかしながら,このような同公報に記載された注射用溶液の一般的な配合方法では,どうしても組成が一定した製剤上安定な組成物を得ることが極めて困難であることが判明したので,かかる組成物を実用的に製造する場合には問題がある。
【0008】
ところで,本発明に係る組成物の一成分として使用される硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)は止血剤として使用されてきたが,前述した如く、日本薬局方では,タンニン剤と混合して医薬品として使用することが禁止,つまり配合禁忌とされている。しかしながら,前述したごとく,両者を混合して医薬品として使用する試みもなされているが、この両者をそのまま混合すると、着色を生じかつ沈殿を生じてしまい極めて不安定である。このような不安定な組成物を注射剤として使用することは,注射剤という製剤の観点からしても不適格であり,かつ安全性の点からも問題である。
【0009】
硫酸アルミニウムカリウムには原料であるボーキサイトに由来する鉄が通常含有されている。したがって,日本薬局方では,硫酸アルミニウムカリウムを薬剤の原料として使用する場合に許容される鉄含有量を20ppm以下に規定されている。
また,硫酸アルミニウムカリウムは,溶液中では解離してアルミニウムイオン,例えばAl3+,Al(OH)2+,Al(OH)+ を生じ,ヒドロキシイオンOH- と反応して水酸化アルミニウムAl(OH)3 が生成して,溶液中に沈澱を生ずることになる。このように沈澱が溶液中に生成すれば,治療用注射剤としては不適格となり治療用としては当然使用できなくなる。
【0010】
一方,タンニン酸は,空気中の酸素または溶液中の溶存酸素と接触して酸化されキノン系化合物などの酸化物となり,得られる注射剤中に沈澱を生ずる。かかる不溶性生成物が注射剤中に沈澱すれば当然のことながらかかる溶液は注射剤として不適格となる。
また,タンニン酸は,特に、溶液中に鉄イオンが存在すれば,タンニン酸の空気酸化が促進されて酸化物となって沈澱となる。したがって,タンニン酸を硫酸アルミニウムカリウムと溶液中に共存させると,前述したように溶液中には硫酸アルミニウムカリウムに由来する鉄イオンが存在しているので,この鉄イオンがタンニン酸と直接反応して沈澱を生ずるとともに,空気酸化を促進することになる。
更に,タンニン酸は,溶液中にアルミニウムイオンが存在すれば,そのアルミニウムイオンと直接反応して沈澱を生成し,空気酸化を受け易くなる。
したがって,タンニン酸と,硫酸アルミニウムカリウムとを含有する溶液を,沈澱を生じさせずに組成が一定しかつ安定して製造するには,成分を単に配合するだけでは到底製造することができない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで,本発明者は,注射用製剤を製造するに当たって,その成分の配合順位,配合条件などを十分に検討することによって,組成が一定した安定な病変異常組織治療用組成物を製造することに成功して,本発明を完成するに至った。
したがって,本発明は,従来技術のかかる問題点を解決するものであり,従来の病変異常組織治療用注射剤の短所を改善した効果を有する病変異常組織治療用組成物を提供するとともに,組成が一定しかつ製剤として安定な病変異常組織治療用組成物を製造する方法ならびにかかる病変異常組織治療用組成物を痔疾、消化器の***性病変組織もしくは肝腫瘍などの治療のために投与する上記治療用組成物の用途を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る病変異常組織治療用組成物は,実質的には,水溶性アルミニウム化合物と,タンニン酸と,キレート化合物と,亜硫酸水素ナトリウムとからなる組成物から構成されていて、かつ、そのpHが1.0〜3.5の範囲にあるように調整されている。
【0012】
また、本発明に係る病変異常組織治療用組成物は,水溶性アルミニウム化合物と,タンニン酸と,キレート化合物と,亜硫酸水素ナトリウムとからなる成分組成に加えて、多価アルコールおよび/または糖類とを更に添加した組成物から構成されていて、かつ、そのpHが1.0〜3.5の範囲にあるように調整されている。
【0013】
本発明において使用される水溶性アルミニウム化合物としては,塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムセシウム,硫酸アルミニウムアンモニウムなどを挙げることができる。これらの水溶性アルミニウム化合物は単独でも、2種類以上を組み合わせても使用することができる。
【0014】
上記水溶性アルミニウム化合物は,0.01モルないし0.5モル濃度,好ましくは0.03ないし0.3モル濃度であるのがよい。また、上記水溶性アルミニウム化合物は、製剤中の有効濃度として、約1%ないし10%の範囲、好ましくは約2%ないし5%の範囲にあることがよい。
【0015】
本発明に使用されるタンニン酸としても,種々の植物などに由来するものが使用できるが,五倍子に由来するものが特に好ましい。またタンニン酸の含有割合は、製剤中の有効濃度としては、0.01%ないし2.0%の範囲、好ましくは0.05%ないし1.5%の範囲にあればよい。なお、タンニン酸は、その他の成分、特に亜硫酸水素ナトリウムの量を調節すれば、上記範囲を超えて添加することができるが、この場合には、調製した組成物を長期間保存すると着色や、沈殿が生じ易くなり、製剤化や保存に際して細心の注意を払わないとならず不便である。
【0016】
前述したように,硫酸アルミニウムカリウムは,溶液中では解離してアルミニウムイオン,例えばAl3+,Al(OH)2+,Al(OH)+ を生じ,ヒドロキシイオンOH- と反応して水酸化アルミニウムAl(OH)3 を生成する。そして,これらのアルミニウムイオンが溶液中に存在すれば,タンニン酸はそのアルミニウムイオンと直接反応して沈澱を生成し易くなる。
【0017】
本発明に使用されるキレート化合物としては,溶液中に存在する微量の金属イオンを捕捉する作用を有するものであればよく、例えばクエン酸またはそのナトリウム塩などの塩が好ましいものとして挙げることができる。
またその使用量としては、水溶性アルミニウム化合物の量に対して約10%ないし80%,好ましくは約20%ないし50%の範囲であるのがよいが,水溶性アルミニウム化合物の種類,添加量等により適宜変えることができる。
【0018】
そこで,本発明においては,タンニン酸が水溶性アルミニウム化合物のアルミニウムイオンと直接反応しないように,タンニン酸を水溶性アルミニウム化合物と配合する前に,水溶性アルミニウム化合物を含む溶液にクエン酸ナトリウムなどのキレート化合物を添加してそのアルミニウムイオンと反応させて錯イオンに変化させ、タンニン酸が添加される溶液にタンニン酸と反応して沈殿を生じるような金属イオンなどを除去するようにしている。このように処理した溶液にタンニン酸を添加することによって,タンニン酸は、水溶性アルミニウム化合物に由来するアルミニウムイオンなどの金属イオンと直接反応することなく沈澱を生成することもなく溶液を生成することができる。
理論的には,例えばクエン酸ナトリウムイオン1分子に対してアルミニウムイオンが0.65分子が結合していれば自由なアルミニウムイオンは存在しないことになる。しかしながら,本発明に係る治療用組成物においては,この組成物のような強酸の領域では,クエン酸ナトリウム分子は中性またはクエン酸2水素イオンとして存在するので,1.65倍の濃度のアルミニウムイオンを錯イオンとして捕捉するには不十分である。したがって,この場合には,タンニン酸アルミニウムの溶解度積定数を越えない程度に自由アルミニウムイオンが存在するような溶液組成を選定するようにすればよい。
【0019】
また,タンニン酸は,固体の状態でも光または空気に対して不安定であるので,溶液の中では,反応物質間の拡散速度から考えてもより一層不安定であると考えられる。そこで,タンニン酸の酸化を防止する目的で酸化防止剤として,例えば,亜硫酸水素ナトリウムなどが使用されている。
本発明において酸化防止剤として使用される亜硫酸水素ナトリウムの含有割合は、通常、タンニン酸に対して、約50%ないし200%、好ましくは約70%ないし150%である。
【0020】
これらの成分からなる組成物をより安定化させるために,一般に治療用組成物に添加されている多価アルコールおよび/または糖類を上記組成物に必要に応じて添加して使用することもできる。かかる多価アルコールおよび糖類としては,グリセリン,グルコース,フラクトース,キシリトール,マンノース,マンニトール,ガラクトース,デキストランなどが挙げられる。特に、デキストランは製剤の粘性を調整するのに有用である。これらの多価アルコールおよび糖類は,単独でもまたは2種類以上を混合して使用することができる。これらの多価アルコールおよび/ または糖類の含有割合については、生理食塩水と比較して、約3倍ないし15倍、好ましくは約4倍ないし8倍の浸透圧を有していれば、その割合は制限されることはないが、例えば、製剤中の有効濃度として、約3%ないし20%、好ましくは約5%ないし15%の範囲で含まれているのがよい。
【0021】
更に、本発明に係る注射用製剤には、従来の注射用製剤に通常使用されているその他の成分、例えば、増粘剤、例えば、デキストランなど、防腐剤、例えば、フェノール、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、パラアミノ安息香酸エステルなどが含有されていてもよい。これらの成分は、本発明に係る注射用製剤の効果に本質的な影響を及ぼさない範囲で、適宜使用することができる。
【0022】
本発明に係る病変異常組織治療用組成物においては、かかる組成物の液性が、pH1.0ないしpH3.5、好ましくはpH2.0ないし3.0の範囲になるように調整することが、得られる製剤を保存する上から重要である。
上記成分を本発明に係る方法で調製した場合には、得られた組成物の液性は、通常上記範囲内にあるので、殊更調合した後にその組成物の液性を調整する必要はない。しかしながら、必要に応じて、得られた組成物の液性を上記の範囲に調整するには、製剤を調合する際に通常使用されている当然薬理上無害な酸またはアルカリを使用することができる。かかる薬剤としては、例えば、塩酸、硫酸などの鉱酸、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウムなどを使用することができる。得られた製剤の液性が上記範囲内になると、その製剤を長期間保存しても着色したり、または沈殿が生じたりせず、製剤が極めて安定して好ましい。
【0024】
上述した成分からなる本発明に係る病変異常組織治療用組成物を製造するには、その組成物成分の性質を考慮して配合順位や配合条件等を決めて各成分を配合する必要がある。
【0025】
具体的には、上記亜硫酸水素ナトリウムに、上記水溶性アルミニウム化合物と,前記キレート化合物とを任意の順序に配合して調製された配合物に,上記タンニン酸を添加することにより病変異常組織治療用組成物を得ることができる。
【0026】
更に、上記のようにして調整された配合物に、またはかかる配合物に上記タンニン酸を添加して得られた混合物に、上記多価アルコールおよび/または糖類を配合して本発明に係る病変異常組織治療用組成物を製造することもできる。
【0027】
また、本発明に係る病変異常組織治療用組成物の別の製造方法としては、上記水溶性アルミニウム化合物と上記キレート化合物とを配合して得られる配合物と,タンニン酸と亜硫酸水素ナトリウムと配合して得られる配合物とを別々に調製し,それぞれの配合物を互いに混合する方法も挙げることができる。
【0028】
前述したような病変異常組織治療用組成物の別の製造方法においては、更に、多価アルコールおよび/または糖類は、上記配合物のそれぞれにもしくはいずれか一方にまたは上記配合物を互いに混合して得られる混合物に添加してもよい。
【0029】
つまり、本発明に係る病変異常組織治療用組成物の製造方法は,亜硫酸水素ナトリウムにタンニン酸を除くその他の成分を任意の順序で配合した後,タンニン酸を配合すること,または,水溶性アルミニウム化合物とキレート化合物とを配合して得られる配合物と,タンニン酸と亜硫酸水素ナトリウムと配合して得られる配合物とを別々に調製し,それぞれの配合物を混合し,多価アルコールおよび/または糖類を必要に応じて前記配合物のそれぞれにもしくはいずれか一方にまたは前記配合物の混合物に添加することにより構成されている。このように各成分を配合することによって,タンニン酸の酸化を防止できるとともに,タンニン酸が硫酸アルミニウムカリウムに由来するアルミニウムイオンなどの金属イオンと直接反応することを防止することができ,組成が一定した安定な病変異常組織治療用組成物を得ることができる。
【0030】
前述した本発明に係る病変異常組織治療用組成物の製造方法においては、得られる該治療用組成物が、所定のpH領域、つまりpH1.0ないしpH3.5の範囲になるように調製すればよく、該組成物の各成分を配合するいずれの段階でpHを調整してもよい。つまり、水溶性アルミニウム化合物と、キレート化合物と、亜硫酸水素ナトリウムと、必要に応じて添加される多価アルコールおよび/または糖類とを配合して得られる配合物に,タンニン酸を添加する場合には、該配合物を調製する段階でも、該配合物の段階でも、またタンニン酸を添加して得られた混合物の段階でも、pHを調製することができる。また、水溶性アルミニウム化合物とキレート化合物とを配合して得られる配合物と,タンニン酸と亜硫酸水素ナトリウムと配合して得られる配合物とを別々に調製した後,それぞれの配合物を互いに混合して病変異常組織治療用組成物を得る場合には、各配合物を調製する段階でも、各配合物の段階でも、また各配合物を混合して得られた混合物の段階でも、pHを調整することができる。
【0031】
本発明に係る病変異常組織治療用組成物の製造方法においては,前記組成物を構成する成分のそれぞれをもしくはいずれかを不活性ガス雰囲気下において配合することが好ましい。使用される不活性ガスとしては、たとえば窒素ガスなどを挙げることができる。
【0032】
更に、本発明に係る病変異常組織治療用組成物を製造するにおいては,雰囲気中のまたは使用する水の中の酸素が実質的には存在しないかまたは得られる組成物に対して悪影響を及ぼさない程度の制限された量でしか存在しない条件下で各成分を配合することが好ましい。
【0033】
このようにして得られた本発明に係る病変異常組織治療用組成物は、通常、常法により、濾過殺菌をした上で例えば無色硬質ガラスアンプルまたはガラス瓶などの容器に分注され、その後必要に応じて高圧蒸気滅菌し冷所に保存される。
なお,本発明における製剤工程も,窒素ガスなどの不活性ガスの存在下で実施するのが好ましい。通常、注射用製剤中の溶存酸素は常法に従って脱気され,また注射用製剤に窒素ガスを注入して空気置換を行う。
【0034】
また、本発明に係る組成物の注射用製剤は、常法により凍結乾燥することにより、用時溶解して使用するように調整することもできる。この場合には、多価アルコ−ルおよび/または糖類を溶解した溶液を用時使用するための製剤の溶解液として使用することもできる。
として使用することもできる。
【0035】
本発明に係る病変異常組織治療用組成物は,特に,大腸,直腸などの消化器の組織細胞を致死させる作用があり,例えば内痔核,直腸脱などの痔疾を患っている病変組織,***性病変組織,肝腫瘍などの病変組織に接触してその病変組織を致死させることができる特有の性質を有することが判明している。
【0036】
本発明の組成物は,短時間の接触によっても,細胞の形態を保持しながら,非常に強い細胞致死効果を呈することができる。つまり,本発明の組成物は,それを投与して接触させた細胞を死滅させ,その死滅細胞を組織から脱落させることができるものと予想される。このように死滅細胞を組織から脱落させることにより,病変異常組織を硬化させて緩和な状態で治癒することができることになる。
【0037】
【実施例】
以下,本発明に係る病変異常組織治療用組成物につき,実施例により詳細に説明する。
【0038】
実施例1
本実施例における病変異常組織治療用組成物を構成する組成物の成分は次の通りである。
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
クエン酸ナトリウム 150mg
亜硫酸水素ナトリウム 15mg
タンニン酸 15mg
デキストラン40 70mg
グリセリン 1000mg
注射用蒸留水 適量用いて全量を10mlとした。
最初に,日本薬局方の規格に合致した注射用蒸留水を100℃で5分間加熱して溶存酸素を除去した。加熱終了後,窒素ガスを導入しながら,室温にした。
別に,デキストラン40は溶媒に溶解しにくいので,前もって溶媒に完全に溶解して得られた溶液を使用した。
まず,亜硫酸水素ナトリウムを適量の注射用蒸留水に溶解して,この得られた溶液に,デキストラン40溶液と,クエン酸ナトリウムと,硫酸アルミニウムカリウムと,グリセリンとを添加した後,タンニン酸を添加して各成分を溶解した。なお,この配合工程の間中溶媒には窒素ガスを導入して配合を行った。更に,得られた溶液を約30分間撹拌した後,フィルターでろ過した。ろ過した溶液にも窒素ガスを導入し続けて目的とする組成物を得た。この組成物のpHは2.7であった。
このようにして得られた組成物をバイアルまたはアンプルに分注した。分注に際しては,窒素ガスで前置換と後置換を行ってその容器を密封して冷暗所に保存した。
【0039】
実施例2
前記実施例1と同一組成の組成物を,デキストラン40溶液と,クエン酸ナトリウムと,硫酸アルミニウムカリウムと,グリセリンとの添加順位を,クエン酸ナトリウム,硫酸アルミニウムカリウム,グリセリン,デキストラン40溶液の順に添加した以外は実施例1と同様にして調製した。この組成物のpHは2.6であった。
【0040】
実施例3
前記実施例1と同一組成の組成物を,デキストラン40溶液と,クエン酸ナトリウムと,硫酸アルミニウムカリウムと,グリセリンとの添加順位を,硫酸アルミニウムカリウム,グリセリン,デキストラン40溶液,クエン酸ナトリウムの順に添加した以外は実施例1と同様にして調製した。この組成物のpHは2.7であった。
【0041】
実施例4
前記実施例1と同一組成の組成物を,デキストラン40溶液と,クエン酸ナトリウムと,硫酸アルミニウムカリウムと,グリセリンとの添加順位を,グリセリン,デキストラン40溶液,クエン酸ナトリウム,硫酸アルミニウムカリウムの順に添加した以外は実施例1と同様にして調製した。この組成物のpHは2.7であった。
【0042】
実施例5
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
塩化アルミニウム 400mg
タンニン酸 15mg
クエン酸ナトリウム 150mg
デキストラン40 70mg
亜硫酸水素ナトリウム 15mg
マンニトール 1500mg
注射用水 合計10mlにした。
注射用蒸留水を100℃で5分間加熱して溶存酸素を除去した。加熱終了後,窒素ガスを導入しながら,室温にした。
まず,亜硫酸水素ナトリウムを加熱処理した適量の注射用蒸留水に溶解して,この得られた溶液に,別に調製したデキストラン40溶液と,クエン酸ナトリウムと,塩化アルミニウムと,マンニトールとをこの順序に添加した後,タンニン酸を添加して各成分を溶解した。なお,この配合工程の間中溶媒には窒素ガスを導入して配合を行った。更に,得られた溶液を約30分間撹拌した後,塩酸でpH3.0に調製して,フィルターでろ過した。ろ過した溶液にも窒素ガスを導入し続けて目的とする組成物を得た。
このようにして得られた組成物をバイアルまたはアンプルに分注した。分注に際しては,窒素ガスで前置換と後置換を行ってその容器を密封して冷暗所に保存した。
【0043】
実施例6
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
硫酸アルミニウム 400mg
タンニン酸 15mg
クエン酸ナトリウム 150mg
デキストラン40 70mg
亜硫酸水素ナトリウム 15mg
フラクトース 2000mg
注射用水 合計10mlにした。
これらの成分を,塩化アルミニウムを硫酸アルミニウムに,またマンニトールをフラクトースに代えた以外は,実施例5と同様に処理し配合して注射剤を調製した。なお,得られた組成物のpHはpH2.7であった。
【0044】
実施例7
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
炭酸アルミニウム 200mg
タンニン酸 15mg
クエン酸ナトリウム 150mg
デキストラン40 70mg
亜硫酸水素ナトリウム 15mg
キシリトール 2000mg
注射用水 合計10mlにした。
これらの成分を,塩化アルミニウムを炭酸アルミニウムに,またマンニトールをキシリトールに代えた以外は,実施例5と同様に処理し配合して注射剤を調製した。なお,得られた組成物のpHは硫酸でpH2.7に調製した。
【0045】
実施例8
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
酢酸アルミニウム 200mg
タンニン酸 15mg
クエン酸ナトリウム 150mg
デキストラン40 70mg
亜硫酸水素ナトリウム 15mg
グルコ−ス 3000mg
注射用水 合計10mlにした。
これらの成分を,塩化アルミニウムを酢酸アルミニウムに,またマンニトールをグルコースに代えた以外は,実施例5と同様に処理し配合して注射剤を調製した。なお,得られた組成物のpHは硫酸でpH2.7に調製した。
【0046】
実施例9
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
タンニン酸 15mg
クエン酸ナトリウム 150mg
デキストラン40 70mg
亜硫酸水素ナトリウム 10mg
グリセリン 1000mg
注射用水 合計10mlにした。
これらの成分を,実施例1と同様に処理し配合して注射剤を調製した。なお,得られた組成物は硫酸でpH2.7に調製した。
【0047】
実施例10
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
タンニン酸 30mg
クエン酸ナトリウム 150mg
デキストラン40 70mg
亜硫酸水素ナトリウム 30mg
グリセリン 1000mg
注射用水 合計10mlにした。
これらの成分を,実施例1と同様に処理し配合して注射剤を調製した。なお,得られた組成物は硫酸でpH2.8に調製した。
【0048】
実施例11
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
タンニン酸 50mg
クエン酸ナトリウム 150mg
デキストラン40 70mg
亜硫酸水素ナトリウム 70mg
グリセリン 1000mg
注射用水 合計10mlにした。
これらの成分を,実施例1と同様に処理し配合して注射剤を調製した。なお,得られた組成物は硫酸でpH2.7に調製した。
【0049】
実施例12
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
タンニン酸 70mg
クエン酸ナトリウム 150mg
デキストラン40 70mg
亜硫酸水素ナトリウム 70mg
グリセリン 1000mg
注射用水 合計10mlにした。
これらの成分を,実施例1と同様に処理し配合して注射剤を調製した。なお,得られた組成物のpHは3.2であった。
【0050】
実施例13
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
タンニン酸 90mg
クエン酸ナトリウム 150mg
デキストラン40 70mg
亜硫酸水素ナトリウム 100mg
グリセリン 1000mg
注射用水 合計10mlにした。
これらの成分を,実施例1と同様に処理し配合して注射剤を調製した。なお,得られた組成物を硫酸でpH2.7に調整した。
【0051】
実施例14
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
タンニン酸 100mg
クエン酸ナトリウム 150mg
デキストラン40 70mg
亜硫酸水素ナトリウム 100mg
グリセリン 1000mg
注射用水 合計10mlにした。
これらの成分を,実施例1と同様に処理し配合して注射剤を調製した。なお,得られた組成物を硫酸でpH2.7に調整した。
【0052】
実施例15
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
タンニン酸 120mg
クエン酸ナトリウム 150mg
亜硫酸水素ナトリウム 140mg
グリセリン 1200mg
注射用水 合計10mlにする。
これらの成分を,デキストランを使用しない以外は実施例1と同様に処理し配合して注射剤を調製した。なお,得られた組成物は硫酸でpH2.7に調製した。
【0053】
実施例16
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
タンニン酸 15mg
クエン酸ナトリウム 300mg
亜硫酸水素ナトリウム 20mg
マンニトール 3000mg
注射用水 合計10mlにする。
これらの成分を,デキストランを使用せずかつマンニトールをグリセリンの代わりに使用する以外は実施例1と同様に処理し配合して注射剤を調製した。なお,得られた組成物は硫酸でpH2.7に調製した。
【0054】
実施例 17
本発明に係る病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
クエン酸ナトリウム 50mg
亜硫酸水素ナトリウム 15mg
タンニン酸 15mg
グリセリン 1100mg
注射用蒸留水 適量用いて全量を10mlとした。
最初に,日本薬局方の規格に合致した注射用蒸留水を100℃で5分間加熱して溶存酸素を除去した。加熱終了後,窒素ガスを導入しながら,室温にした。
まず,亜硫酸水素ナトリウムを適量の注射用蒸留水に溶解して,この得られた溶液に,クエン酸ナトリウムと,硫酸アルミニウムカリウムと,グリセリンとを添加した後,タンニン酸を添加して各成分を溶解した。なお,この配合工程の間中溶媒には窒素ガスを導入して配合を行った。更に,得られた溶液を約30分間撹拌した後,硫酸でpH3.1に調製してフィルターでろ過した。ろ過した溶液にも窒素ガスを導入し続けて目的とする組成物を得た。
このようにして得られた組成物をバイアルまたはアンプルに分注した。分注に際しては,窒素ガスで前置換と後置換を行ってその容器を密封して冷暗所に保存した。
【0055】
実施例18
本発明に係る病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
クエン酸ナトリウム 100mg
亜硫酸水素ナトリウム 15mg
タンニン酸 15mg
デキストラン40 100mg
注射用蒸留水 適量用いて全量を10mlとした。
最初に,日本薬局方の規格に合致した注射用蒸留水を100℃で5分間加熱して溶存酸素を除去した。加熱終了後,窒素ガスを導入しながら,室温にした。
まず,亜硫酸水素ナトリウムを適量の注射用蒸留水に溶解して,この得られた溶液に,別に調製したデキストラン40溶液と,クエン酸ナトリウムと,硫酸アルミニウムカリウムとを添加した後,タンニン酸を添加して各成分を溶解した。なお,この配合工程の間中溶媒には窒素ガスを導入して配合を行った。更に,得られた溶液を約30分間撹拌した後,硫酸でpH2.8に調製してフィルターでろ過した。ろ過した溶液にも窒素ガスを導入し続けて目的とする組成物を得た。
このようにして得られた組成物をバイアルまたはアンプルに分注した。分注に際しては,窒素ガスで前置換と後置換を行ってその容器を密封して冷暗所に保存した。
【0056】
実施例19
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りであり,用時溶解して使用する注射剤を調製した。
I剤
タンニン酸 15mg
亜硫酸水素ナトリウム 15mg
注射用蒸留水 10mlにした。
II剤
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
クエン酸ナトリウム 150mg
デキストラン40 70mg
グリセリン 1000mg
注射用蒸留水 合計10mlにする。
I剤は、亜硫酸水素ナトリウムを注射用蒸留水に溶解して得られた溶液にタンニン酸を窒素ガス存在下において添加して調製した。II剤は、まず、クエン酸ナトリウムを窒素ガスの存在下において注射用蒸留水に溶解し、この得られた溶液に更に窒素ガスの存在下で硫酸アルミニウムカリウムを添加し、更にデキストランとグリセリンとを添加して調製した。このようにして得られたI剤とIIとは、用時にII剤をI剤に添加して注射液として使用した。この注射液のpHは硫酸で2.7になるように調整した。
【0057】
実施例20
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りであり,用時溶解して使用する注射剤を調製した。
I剤
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
クエン酸ナトリウム 150mg
亜硫酸水素ナトリウム 20mg
注射用蒸留水 全量10mlにした。
II剤
タンニン酸 20mg
グリセリン 1200mg
注射用蒸留水 全量10mlにした。
I剤は、注射用蒸留に窒素ガスの存在下において亜硫酸水素ナトリウムとクエン酸ナトリウムとを添加して溶液にして、この得られた溶液に窒素ガスの存在下において硫酸アルミニウムカリウムを添加して調製した。II剤は、注射用蒸留水にグリセリンとタンニン酸とを順次窒素ガスの下で溶解して調製した。I剤とII剤とは、用時にII剤をI剤に配合して注射剤として調製して使用した。この注射剤のpHは必要に応じて硫酸で2.7に調整した。
【0058】
実施例21
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りであり,用時溶解して使用する注射剤を調製した。
I剤
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
クエン酸ナトリウム 150mg
注射用蒸留水 全量を10mlにした。
II剤
タンニン酸 50mg
亜硫酸水素ナトリウム 100mg
注射用蒸留水 全量を10mlにした。
I剤は、注射用蒸留水にクエン酸ナトリウムを添加して溶液にして、この溶液に窒素ガス下において硫酸アルミニウムカリウムを添加して溶解した後に、亜硫酸水素ナトリウムとタンニン酸とを窒素ガス下で添加溶解して調製した配合物を添加した。得られる組成物のpHは2.7であった。このI剤とII剤を常法により凍結乾燥して冷暗所に1ケ月保存した。1ケ月保存した後、その保存状態を観察したがその状態は良好であった。
用時に、I剤にII剤を添加し注射液を調製し,下記に示す製剤安定化試験に供した。
【0059】
実施例22
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りであり,用時溶解して使用する注射剤を調製した。
I剤
硫酸アルミニウムカリウム 400mg
クエン酸ナトリウム 150mg
タンニン酸 50mg
亜硫酸水素ナトリウム 100mg
注射用蒸留水 全量を10mlにした。
II剤
グリセリン 1000mg
デキストラン 70mg
注射用蒸留水 全量を10mlにした。
I剤は、注射用蒸留水にクエン酸ナトリウムを添加して溶液にして、この溶液に窒素ガス下において硫酸アルミニウムカリウムを添加して溶解した後に、亜硫酸水素ナトリウムとタンニン酸とを窒素ガス下で添加溶解して調製した配合物を添加した。得られる組成物のpHは2.7であった。このI剤を常法により凍結乾燥して冷暗所に1ケ月保存した。1ケ月保存した後、その保存状態を観察したがその状態は良好であった。
用時に、I剤にII剤を添加し注射液を調製し,下記に示す製剤安定化試験に供した。
【0060】
比較実施例1
上記実施例1で得られた組成物を水酸化ナトリウムでpH4. 7に調製した。
【0061】
比較実施例2
注射用蒸留水に、窒素ガス下で、デキストランと、硫酸アルミニウムカリウムと、グリセリンと、タンニン酸とを順次添加して溶解して溶液を調製した。この得られた注射用製剤を硫酸でpH2.7に調整した。
【0062】
比較実施例3
本実施例における病変異常組織治療用注射剤を構成する組成物の成分は次の通りである。
硫酸アルミニウムカリウム 4.0g
タンニン酸 0.15g
クエン酸ナトリウム 1.5g
デキストラン 10 ml
トリクロロブタノール 0.5g
グリセリン 10 ml
注射用水 合計100mlにする。
これらの成分を注射用水にそれぞれ添加して溶解して注射用製剤を得,これを水酸化ナトリウムでpH4. 7に調整した。
【0063】
比較実施例4
特開平4ー225920号公報に製剤処方例(1)として記載された硬化剤を、同公報に記載の方法にしたがって作製した。つまり、同公報に記載の成分からなる組成物を常法に従って,つまり同公報に記載された順序に配合して注射用溶液を作製した後、水酸化ナトリウムでpH4−5に調整した。得られた水溶液10mlを無色硬質ガラスアンプルに分注した後、アンプル中の気体を窒素ガスで置換した。常法に従って高圧蒸気滅菌をした。
【0064】
比較実施例5
特開平4ー225920号公報に製剤処方例(2)として記載された硬化剤を、同公報に記載の方法にしたがって作製した。つまり、同公報に記載の成分からなる組成物を同公報に記載した方法に従って注射用溶液を作製した後、水酸化ナトリウムでpH4−5に調整した。得られた水溶液10mlを無色硬質ガラスアンプルに分注した後、アンプル中の気体を窒素ガスで置換した。常法に従って高圧蒸気滅菌をした。
【0065】
比較実施例6
特開平4ー225920号公報に製剤処方例(5)として記載された硬化剤を、同公報に記載の方法にしたがって作製した。つまり、同公報に記載の成分からなる組成物を同公報に記載した方法に従って作製した後、硫酸でpH2. 7に調整した。得られた水溶液50mlを無色硬質ガラスバイアルに分注した後、バイアル中の気体を窒素ガスで置換した。常法に従って高圧蒸気滅菌をした。
【0066】
比較実施例7
実施例1に示した同一成分を同一量同時に試験管にいれて,注射剤用水を全量が10mlになるまで加えて撹拌しながら溶解した。しかしながら,得られた溶液は白濁していて,時間が経過すると沈澱が生じた。
【0067】
比較実施例8
実施例1に示した同一量の成分を上記実施例1に示した順序に注射剤用水に加えて撹拌しながら溶解した。しかしながら,得られた溶液は白濁していて,時間が経過すると沈澱が生じた。
【0068】
比較実施例9
実施例1に示した同一量の成分において,上記実施例1に示した順序に注射剤用水に加えて撹拌しながら溶解した。しかしながら,得られた溶液は白濁していて,時間が経過すると沈澱が生じた。
【0069】
比較実施例10
実施例1に示した同一量の成分を用いて,デキストランと,グリセリンと,注射用水とを混合した後,硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸とを添加溶解して溶液を得た。この溶液に更にクエン酸ナトリウムと亜硫酸水素ナトリウムとを添加して注射用製剤を調製した。この製剤においては、タンニン酸を添加した段階で白濁が生じて、間もなくこげ茶色の沈殿が生じた。
【0070】
比較実施例11
I剤として、硫酸アルミニウムカリウム400mgとタンニン酸400mgとを注射用蒸留水10mlに窒素ガス下において添加溶解して溶液を調製した。また、II剤として、注射用蒸留水10mlに、窒素ガスの下で、デキストラン70mgと,グリセリン1000mgと、クエン酸ナトリウム15mgと亜硫酸水素ナトリウム15mgとを順次溶解して溶液を調製した。このようにして得たI剤とII剤とを互いに配合して注射用製剤を調製した。しかしながら、この製剤においては、I剤でタンニン酸を硫酸アルミニウムカリウムに添加した段階において淡褐色に濁り、間もなくこげ茶色の沈殿が生じた。
【0071】
上記のようにして得られた注射用製剤について製剤安定性試験を行った。
製剤安定性試験
上記各実施例および比較実施例の注射剤をそれぞれ所定のpHに調整した後、その注射剤をそれぞれ10mlを常法に従ってそれぞれ無色硬質ガラスバイアル5本に無菌充填し、真空条件下で窒素置換した。このようにして得られた注射剤を、40℃で1000ルックスの白色光の照射下にそれぞれ1、2、3、6、12ヵ月保存して着色、沈殿生成の程度を肉眼で観察した。なお、製剤安定性試験のために保存する前の色調は、いずれも無色またはタンニン酸に由来する微黄色透明で僅かに粘性があった。結果を表1,表2および表3に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0003775813
Figure 0003775813
Figure 0003775813
【0073】
温度条件を60℃にした以外は,上記製剤安定性試験と同様にして実験をした結果を下記表2に示す。
【0074】
【表2】
Figure 0003775813
【0075】
本発明に係る病変異常組織治療用組成物の細胞障害作用に関する実験について説明する。
実施例1で得られた製剤について,ヒトせい帯静脈血管内皮細胞(初代培養),ヒト正常2倍体線維芽細胞(初代培養)およびラット筋芽細胞(細胞株)を用いて殺細胞効果の比較検討を行った。比較薬剤として,内痔核硬化剤として使用されているバオスクレー(主成分としてフェノールを含む),食道静脈瘤硬化剤として使用されているオルダミン(主成分としてオレイン酸モノエタノールアミンを含む),エトキシスクレロール(主成分としてポリドカノールを含む)およびエタノール(主成分としてエタノールを含む)を使用した。
細胞の生死判別法としてはトリパンブルー染色法を用いた。
【0076】
実験1
実験方法は次の通りである。
各細胞を細胞数5x103 /dishの割合で植え込み、これに2%塩酸プロカインと試料薬剤の1:1混合液を細胞培養液(0.5%塩化ナトリウム溶液)で100倍または1000倍に希釈した後に添加した。この培養液に、DMEMとHAM F12(1:1)の混合物に牛胎児血清を10%添加した。この試料細胞は5%CO2 37℃の条件で培養した。
次いで,得られた培養液をトリプシンで消化して得られた細胞浮遊液に試料薬剤を1対1の割合で混合し、この混合液を37℃で10分間静置した後、この混合液と同量の0. 3%トリパンブルー液を添加した。トリパンブルー液を添加した後15分以内に,生細胞(染色されない)と死細胞(青く染色された)との数を計数した。
コントロールとして,0. 9%塩化ナトリウム溶液(実験に供する細胞浮遊液自体に5%牛胎児血清を添加したもの)を使用した。
【0077】
その結果を下表3に示す。
表3
Figure 0003775813
【0078】
上表5の結果から明らかなように,この実験にしようした比較薬剤の内,食道静脈瘤硬化剤として使用されているオルダミン,エトキシスクレロールおよびエタノールは,試料細胞を100%致死させたのに対して,本発明の薬剤をはじめ,0. 9%塩化ナトリウム溶液およびバオスクレーでは,かなりの割合の細胞が致死に至っていない。
【0079】
そこで,生き残った細胞の内ヒト正常2倍体線維芽細胞を再度培養した。つまり,生存細胞を洗浄した後,再度同一条件の培養液に入れ,37℃で24時間培養した。その結果,本発明の薬剤に接触させた細胞では,生存する細胞は全く計数できなかったのに対して,0. 9%塩化ナトリウム溶液に接触させた細胞では,その95%が,またバオスクレーに接触させた細胞では,その80%が生存し続けて増殖したことが判明した。
【0080】
実験2
細胞培養液に添加する試料薬剤の1:1混合液として,2%塩酸プロカインの代わりに2%塩酸キシロカインを使用した以外は,実験1と同様に実験を行った。その結果,再培養したところヒト正常2倍体線維芽細胞は100%致死したことが判明した。
【0081】
実験3
細胞培養液(0. 9%塩化ナトリウム溶液+5%牛胎児血清)に試料薬剤だけを添加して,実験1と同様に実験を行って再培養した結果,ヒト正常2倍体線維芽細胞は100%致死したことが判明した。
【0082】
実験4
上記実験1,2および3のそれぞれの実験条件の内,5%牛胎児血清を添加しない細胞培養液で再培養して実験をした結果,全ての実験において本発明の薬剤を使用した試料はヒト正常2倍体線維芽細胞を100%致死させた。コントロールとして使用した細胞培養液(0. 9%塩化ナトリウム溶液)は細胞を致死させることはできなかった。
【0083】
【発明の効果】
本発明に係る病変異常組織治療用組成物は,水溶性アルミニウム化合物,キレート化合物,タンニン酸および亜硫酸水素ナトリウムから実質的になる該組成物のpHを1.0から3.5の範囲に調整し,かつ,タンニン酸が水溶性アルミニウム化合物に由来するアルミニウムなどの金属イオンと反応して沈澱を生じないように調製されているので,組成が一定しかつ安定した組成物であって,特に大腸,直腸などの消化器の病変異常組織の治療に有効である。
【0084】
本発明に係る病変異常組織治療用組成物において,水溶性アルミニウム化合物,キレート化合物,タンニン酸および亜硫酸水素ナトリウムから実質的になる該組成物に更に多価アルコールおよび/または糖類を添加することにより,組成をより安定させることができる。
【0085】
更に,本発明に係る病変異常組織治療用組成物を製造するに当たって,水溶性アルミニウム化合物,キレート化合物および亜硫酸水素ナトリウムから実質的になる配合物にタンニン酸を添加することにより,タンニン酸が水溶性アルミニウム化合物に由来するアルミニウムなどの金属イオンと反応して沈澱を生じることを防止することができ,組成が一定しかつ安定した組成物を得ることができる。
【0086】
また,本発明に係る病変異常組織治療用組成物を製造するに当たって,水溶性アルミニウム化合物とキレート化合物とからなる第1の配合物と,タンニン酸と亜硫酸水素ナトリウムとからなる第2の配合物とを混合して該組成物を調製する場合には,タンニン酸が水溶性アルミニウム化合物から分解したアルミニウムなどの金属イオンと反応することを防止する制御がより簡単にできるという利点がある。
【0087】
更に,水溶性アルミニウム化合物,キレート化合物,タンニン酸および亜硫酸水素ナトリウムから実質的になる本発明の病変異常組織治療用組成物に必要に応じて多価アルコールおよび/または糖類を添加させることは該組成物を安定化するのに大いに寄与し,かかる組成物を製造するに際して,その添加時期を任意に選択することができることは該組成物の製造を簡単にすることができ有利である。
【0088】
同様に,本発明の病変異常組織治療用組成物を製造するに当たって,各組成成分の配合段階の適当な段階でpHを調節できることは,例えば,タンニン酸が酸化することを防止することが容易になり,水溶性アルミニウム化合物に由来する金属イオンと反応することを容易に防止することができ製剤製造上極めて有利である。
【0089】
更にまた,本発明の病変異常組織治療用組成物を製造するに当たって,各組成成分を適当な段階で不活性雰囲気下で配合することは安定した組成物を得るのに有利である。
【0090】
また同様に,本発明の病変異常組織治療用組成物を製造するに当たって,各組成成分を,雰囲気中のまたは使用する水中の酸素が実質的に存在しないかまたは極めた制限された量しか存在しない条件下で配合することは,特にタンニン酸が酸化されるのを防止するのに寄与し,安定した組成物を得るのに有利である。
【0091】
加えて,本発明に係る病変異常組織治療用組成物を製造するに当たって,水溶性アルミニウム化合物とキレート化合物とからなる第1の配合物と,タンニン酸と亜硫酸水素ナトリウムとからなる第2の配合物とを別々にまたは混合した混合物と,多価アルコールおよび/または糖類を含む溶液とを投与するに際して,互いに混合して投与するできるように該組成物を調製することは,各組成成分が経時によって変化することを防止でき,安定した組成物を得るのに極めて有利である。
【0092】
また,本発明の組成物の全ての組成成分を配合した後に,該組成物のpHを調整することは,該組成物を長期間安定させることができる。更に,該組成物を不活性雰囲気下で保存することも該組成物を長期間安定化させることに有利である。

Claims (21)

  1. 水溶性アルミニウム化合物と、タンニン酸と、亜硫酸水素ナトリウムと、クエン酸もしくはそのナトリウム塩とからなり、かつ、pHが1.0ないし3.5である痔治療用組成物の製造方法において、前記水溶性アルミニウム化合物と前記クエン酸もしくはそのナトリウム塩と前記亜硫酸水素ナトリウムとを任意の順序で混合して調製した混合物と、前記タンニン酸と、を混合することにより痔治療用組成物(ただし、安定化剤として植物生薬の抽出物を含有するものを除く)を得ることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  2. 水溶性アルミニウム化合物と、タンニン酸と、亜硫酸水素ナトリウムと、クエン酸もしくはそのナトリウム塩とからなり、かつ、pHが1.0ないし3.5である混合物からなることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法において、前記水溶性アルミニウム化合物と前記クエン酸もしくはそのナトリウム塩との混合物と、前記タンニン酸と前記亜硫酸水素ナトリウムとの混合物と、を混合することにより痔治療用組成物(ただし、安定化剤として植物生薬の抽出物を含有するものを除く)を得ることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  3. 水溶性アルミニウム化合物と、タンニン酸と、亜硫酸水素ナトリウムと、クエン酸もしくはそのナトリウム塩とからなり、かつ、pHが1.0ないし3.5である混合物からなることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法において、前記水溶性アルミニウム化合物と、前記クエン酸もしくはそのナトリウム塩と前記タンニン酸と前記亜硫酸水素ナトリウムとを任意の順序で混合して調製した混合物と、を混合することにより痔治療用組成物(ただし、安定化剤として植物生薬の抽出物を含有するものを除く)を得ることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の痔治療用組成物の製造方法において、更に多価アルコールおよび/または糖類が混合されていることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載された痔治療用組成物の製造方法において、前記水溶性アルミニウム化合物が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムセシウムまたは硫酸アルミニウムアンモニウムであることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載された痔治療用組成物の製造方法において、前記水溶性アルミニウム化合物が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、酢酸アルミニウムまたは硫酸アルミニウムカリウムであることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の痔治療用組成物の製造方法において、前記水溶性アルミニウム化合物が該組成物中の有効濃度として1ないし10%の範囲で含有されかつそのモル濃度が0.01モルないし0.5モル濃度であることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の痔治療用組成物の製造方法において、前記タンニン酸が該組成物中の有効濃度として0.01ないし2.0%の範囲で含有されていることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の痔治療用組成物の製造方法において、前記クエン酸もしくはそのナトリウム塩が前記水溶性アルミニウム化合物に対して10%ないし80%の範囲で含まれていることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の痔治療用組成物の製造方法において、前記亜硫酸水素ナトリウムが、前記タンニン酸に対して、50%ないし200%であることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の痔治療用組成物の製造方法において、前記亜硫酸水素ナトリウムが前記タンニン酸に対して、70%ないし150%であることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  12. 請求項4ないし11のいずれか1項に記載の痔治療用組成物の製造方法において、前記多価アルコールおよび/または糖類がマンニトール、フラクトース、キシリトール、グルコース、ガラクトース、マンノース、ラクトースまたはグリセリンであることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  13. 請求項4ないし12のいずれか1項に記載の痔治療用組成物の製造方法において、前記多価アルコ−ルおよび/または糖類が、該組成物中の有効濃度として3%ないし20%の範囲で含まれていることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  14. 水溶性アルミニウム化合物と、タンニン酸と、亜硫酸水素ナトリウムと、クエン酸もしくはそのナトリウム塩とからなり、かつ、pHが1.0ないし3.5である組成物であって、前記水溶性アルミニウム化合物のモル濃度が0.01モルないし0.5モル濃度でありかつ該組成物中での有効濃度が0.01ないし2.0%の範囲であり、前記タンニン酸の該組成物中での有効濃度が0.01ないし2.0%の範囲であり、前記亜硫酸水素ナトリウムの含量が前記タンニン酸に対して50%ないし200%であり、ならびに前記クエン酸もしくはそのナトリウム塩の含量が前記水溶性アルミニウム化合物に対して10%ないし80%の範囲である痔治療用組成物の製造方法において、前記水溶性アルミニウム化合物と前記クエン酸もしくはそのナトリウム塩との混合物と前記亜硫酸水素ナトリウムとを任意の順序に配合して調製された混合物と、前記タンニン酸とを混合することにより痔治療用組成物(ただし、安定化剤として植物生薬の抽出物を含有するものを除く)を得ることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  15. 水溶性アルミニウム化合物と、タンニン酸と、亜硫酸水素ナトリウムと、クエン酸もしくはそのナトリウム塩とからなり、かつ、pHが1.0ないし3.5である痔治療用組成物であって、前記水溶性アルミニウム化合物のモル濃度が0.01モルないし0.5モル濃度でありかつ該組成物中での有効濃度が0.01ないし2.0%の範囲であり、前記タンニン酸の該組成物中での有効濃度が0.01ないし2.0%の範囲であり、前記亜硫酸水素ナトリウムの含量が前記タンニン酸に対して50%ないし200%であり、ならびに前記クエン酸もしくはそのナトリウム塩の含量が前記水溶性アルミニウム化合物に対して10%ないし80%の範囲である痔治療用組成物の製造方法において、前記水溶性アルミニウム化合物と前記クエン酸もしくはそのナトリウム塩とを混合して得られた混合物と、前記亜硫酸水素ナトリウムと前記タンニン酸とを混合して得られる混合物と、を混合することにより痔治療用組成物(ただし、安定化剤として植物生薬の抽出物を含有するものを除く)を得ることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  16. 水溶性アルミニウム化合物と、タンニン酸と、亜硫酸水素ナトリウムと、クエン酸もしくはそのナトリウム塩とからなり、かつ、pHが1.0ないし3.5である痔治療用組成物であって、前記水溶性アルミニウム化合物のモル濃度が0.01モルないし0.5モル濃度でありかつ該組成物中での有効濃度が0.01ないし2.0%の範囲であり、前記タンニン酸の該組成物中での有効濃度が0.01ないし2.0%の範囲であり、前記亜硫酸水素ナトリウムの含量が前記タンニン酸に対して50%ないし200%であり、ならびに前記クエン酸もしくはそのナトリウム塩の含量が前記水溶性アルミニウム化合物に対して10%ないし80%の範囲である痔治療用組成物の製造方法において、前記水溶性アルミニウム化合物と、前記クエン酸もしくはそのナトリウム塩と前記亜硫酸水素ナトリウムと前記タンニン酸とを任意の順序で混合して得られる混合物と、を混合することにより痔治療用組成物(ただし、安定化剤として植物生薬の抽出物を含有するものを除く)を得ることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  17. 請求項14ないし16のいずれか1項に記載の痔治療用組成物の製造方法において、前記水溶性アルミニウム化合物が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムセシウムまたは硫酸アルミニウムアンモニウムであることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  18. 請求項14ないし17のいずれか1項に記載された痔治療用組成物の製造方法において、前記水溶性アルミニウム化合物が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、酢酸アルミニウムまたは硫酸アルミニウムカリウムであることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  19. 請求項14ないし18のいずれか1項に記載の痔治療用組成物の製造方法において、さらに多価アルコールおよび/または糖類が混合されていることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  20. 請求項19に記載の痔治療用組成物の製造方法において、前記多価アルコ−ルおよび/または糖類が、該組成物中の有効濃度として、3%ないし20%の範囲で含まれていることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
  21. 請求項19または20に記載の痔治療用組成物の製造方法において、前記多価アルコールおよび/または糖類がマンニトール、フラクトース、キシリトール、グルコース、ガラクトース、マンノース、ラクトースまたはグリセリンであることを特徴とする痔治療用組成物の製造方法。
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