JPH10128993A - インク配送システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】インクジェット・プリンタのヘッドへのインク
圧力を言って位置に調節するレギュレータをプリントヘ
ッド・カートリッジから切り離すことによって、カート
リッジを小型化するとともに、レギュレータの設計によ
り大きな自由度を与える。 【構成・作用】インクを供給するタンク（３１〜３４）
をプリント・カートリッジから切り離して設け、タンク
とカートリッジの間にレギュレータを設ける。このレギ
ュレータはキャリッジ軸（２４）上ではなくプリンタ本
体側に固定し、プリント・カートリッジとの間は柔軟な
管（４０）で結合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット・プリ
ンタに関し、より詳細には、インク源からプリントヘッ
ドにインクを供給するインクジェット・プリンタ用のイ
ンク配送システムに関する。

【０００２】

【従来技術及びその問題点】インクジェット・プリンタ
はよく知られている。この種のプリンタにおいては、プ
リントヘッドが媒体を横切って走査するときにプリント
ヘッド内のオリフィスからインク滴が噴出される。ある
種のインクジェット・プリンタでは、夫々プリントヘッ
ドと供給インクを収容している使い捨てのプリント・カ
ートリッジが走査キャリッジ内に取り付けられている。
インクの供給源が枯渇すると、そのプリント・カートリ
ッジは処分される。その結果、１枚当たりのプリント・
コストはかなり高いものになる。

【０００３】別のタイプのインクジェット・プリンタで
は、ユーザは、プリントヘッド自体を処分することなく
走査キャリッジ内のインク供給容器を交換することがで
きる。上述のいずれの場合においても、走査キャリッジ
がプリントヘッド用インク供給容器を支持している。イ
ンク供給容器を頻繁に交換しなくてすむようにインク容
器の容量はかなり大きくなくてはならないので、キャリ
ッジはかなり大きくなければならない。このようにキャ
リッジが大きいため、インクジェット・プリンタの大き
さを小さくするには限界がある。

【０００４】軸上に設置されたインク供給容器の欠点を
克服するために、走査キャリッジ上に保持されていない
インク供給容器を用いる、軸外のインク供給容器を持つ
プリンタが開発されている。柔軟性を有する管が、軸外
のインク供給容器を走査プリントヘッドに接続してい
る。このような軸外のインク配送システムの問題の１つ
は、プリントヘッドとインク供給容器の高度差がプリン
トヘッドにかかるインク圧力に直接関係する、というこ
とである。従って、プリンタが傾いたりひっくり返った
りすれば、インクがプリントヘッドのノズルから垂れる
可能性が高い。さらに、キャリッジが走査する間に、柔
軟な管内のインクの運動量によって、プリントヘッドに
印加されるインク圧力が変動する。

【０００５】従って、上述した既存のインクジェット・
プリンタの持つ様々な欠点のない、インクジェット・プ
リンタ用インク配送システムが必要とされる。

【０００６】

【概要】インクジェット・プリンタの好適な実施例によ
れば、インク配送システムは、柔軟性を有する管を経由
して静止圧力レギュレータのインク出力に結合されたイ
ンクの相互接続部を有する走査キャリッジを含む。圧力
レギュレータのインク入力は、管を経由して、交換式の
インクのカートリッジを有する静止したインク供給容器
に接続されている。比較的小さく半永久的ではあるが交
換できる、あるいは永久的な、プリント・カートリッジ
は、１つまたは複数のプリントヘッドと１つまたは複数
のインクの相互接続部を収容しており、相互接続部は、
そのプリント・カートリッジでプリントできるカラー・
インク毎に１つずつある。プリント・カートリッジは、
プリントヘッドと走査キャリッジへ通じる柔軟性を有す
る管との間に流体結合を形成するように、走査キャリッ
ジに挿入される。プリントヘッドが静止したインク供給
容器からインクを受け取るので、プリント・カートリッ
ジの内部に大きなインク・チャンバを作る必要がなく、
プリント・カートリッジとキャリッジを小型化すること
ができる。

【０００７】好適な実施例において、インク圧力レギュ
レータはキャリッジの休止位置に近接して配置されてい
る。これにより、プリンタが万一水平でない向きに傾い
ても、プリントヘッドからのインク垂れが防止される。
キャリッジが媒体を横切って走査する際、柔軟なインク
管内のインクの運動量によってインク圧力の急変を避け
るために、プリント・カートリッジのインク・チャンバ
内に、柔軟性を有するダイアフラムが組み込まれてい
る。

【０００８】以下では様々な圧力レギュレータを説明
し、様々なプリント・カートリッジを説明する。好適な
実施例においては、キャリッジを小型化するのが望まし
いので、夫々のプリント・カートリッジは２つの異なる
カラーのインクを収容する２重チャンバを有しており、
ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクをプリ
ントするフルカラープリンタで必要なプリント・カート
リッジが２つだけになるようにしている。

【０００９】

【実施例】図１は、様々な発明的特徴を組み込んだ、カ
バーを取り外した状態の、インクジェット・プリンタ１
０の一実施例の斜視図である。一般的に、プリンタ１０
は、新しい紙を保持するトレー１２を含む。プリント動
作が開始すると、紙送り装置を用いてトレー１２から紙
のシートが１枚プリンタ１０内に送られ、Ｕ字形の向き
に向けられて、反対向きにトレー１２に向かって進む。
シートはプリント・ゾーン１４で停止し、１つまたは複
数のプリント・カートリッジ１８を収容した走査キャリ
ッジ１６がシートを横切って走査し、その上に１回分の
インクをプリントする。

【００１０】１回または複数回の走査の後、シートは、
従来技術のステッパ・モータと送りローラ２０を用い
て、プリント・ゾーン１４内の次の位置に一段階移動
し、キャリッジ１６が再びシートを横切って走査し、次
の１回分のインクをプリントする。シート上へのプリン
トが完了すると、シートはトレー１２上方の位置に送ら
れ、確実にインクが乾くようにその位置に保持され、そ
の後開放される。

【００１１】他の実施例のプリンタには、プリンタ１０
の背面に出力トレーを配置したものがある。このような
プリンタでは、紙のシートは、Ｕ字形の向きに送り戻さ
れることなく、プリント・ゾーン１４を通って送られ
る。

【００１２】キャリッジ１６の走査機構は従来技術のも
のでよく、通常、それに沿ってキャリッジ１６が摺動す
る摺動ロッド２２、及びキャリッジ１６内の光電検出器
によって光学的に検出されてキャリッジ１６を正確に位
置決めするコードが付けられた線条部材２４を含む。従
来技術の駆動ベルト・滑車構成を用いてキャリッジ１６
に接続されたステッパ・モータ（図示せず）を用いて、
キャリッジ１６がプリント・ゾーン１４を横切って運搬
される。

【００１３】本明細書で説明するインクジェット・プリ
ンタ１０及び他のインクジェット・プリンタの新規な特
徴は、インクをプリント・カートリッジ１８に、そして
最終的にはプリントヘッドのインク噴出チャンバに供給
する、インク配送システムに関する。このインク配送シ
ステムは、交換式のインク供給カートリッジ３１、３
２、３３、３４を収容する軸外のインク供給ステーショ
ン３０を含み、これらのインク供給カートリッジは、加
圧しても、あるいは大気圧でもよい。カラー・プリンタ
については、通常、ブラックのインク、イエローのイン
ク、マゼンタのインク、シアンのインクについて個別の
インク供給カートリッジがある。

【００１４】柔軟なものでも良いしあるいは剛体でもよ
い４本の管３６は、インクを４つの交換式のインク供給
カートリッジ３１ないし３４から圧力レギュレータのハ
ウジング３８内の４つの圧力レギュレータに運ぶ。レギ
ュレータは、インク供給カートリッジ３１ないし３４か
らの調整されていないインク圧力を、調整されたインク
圧力に変換する。調整されたインク圧力は、プリントヘ
ッドその他の要因によるが、通常約−２から−１０水柱
インチの間に設定される。一実施例において、プリント
ヘッドは、１インチ当たり３００ｄｐｉないし６００ｄ
ｐｉの解像度でプリントする。将来のもっと高解像度の
プリントヘッドでは、圧力設定値を−１０から−２５水
柱インチの範囲にすることが必要かもしれない。レギュ
ーレータの圧力はまた、インク通路及びはめあい構造を
支持するように選択される。開示したレギューレータ・
システムでは、すべてのこのような圧力範囲に対応す
る。

【００１５】インク供給カートリッジ３１ないし３４内
のインクは加圧してもしなくてもよい。インク供給カー
トリッジ３１ないし３４の一実施例についての詳細は、
代理人整理番号１０９４０５３−２、James Cameron他
による"Ink Supply for an Ink-Jet Printer"という名
称の、１９９５年４月２７日出願の米国特許出願番号第
０８／４２９，９１５号に見出される。

【００１６】ハウジング３８内のレギュレータの出口か
ら、キャリッジ１６上のマニホルド４２まで、柔軟性を
有する４本の管４０が接続されている。

【００１７】軸外のインク供給容器、レギュレータ、走
査キャリッジ、プリント・カートリッジの様々な実施例
をこれから説明する。

【００１８】図２は、図１に示すものと非常に類似して
いるが、紙トレーを取り外しプリント・カートリッジ１
８を１つ取り外した状態の、他のプリンタ４４の平面図
である。様々な図面を通して同一の参照番号で識別され
る要素は、同一であってもよい。

【００１９】好適な実施例において、ハウジング３８内
のレギュレータは、キャリッジ１６の休止位置４６（図
２）にできるだけ近接して配置されている。従って、サ
ービス・ステーション４８に近接することになろう。サ
ービス・ステーション４８は、プリントヘッドのプライ
ミングや、プリントヘッドのノズル板のクリーニング等
の機能を果たす。このようにレギュレータを配置するこ
とによって、プリントヘッドのノズルの休止位置と圧力
レギュレータの間の距離が最小になる。プリンタが水平
な場合には、このように近接させなくてもよい。しか
し、プリンタが傾くと、圧力レギュレータとノズルの高
度差が変化する。レギュレータが十分な距離だけノズル
よりも上に動けば、インク垂れが起こる。この距離を臨
界値よりも小さくすることによって、このようなインク
垂れが防止される。これは、以下に表す式によって最も
よく説明される。 Ｐp＝ペンのプリントヘッド内のゲージ圧力の設定値。
ゲージ圧力は、絶対圧力から絶対大気圧を差し引いたも
のに等しい。好適な実施例において、ゲージ圧力の設定
値は、−４．５水柱インチである。 Ｈ0＝プリンタが水平な場合のレギュレータの高さから
プリントヘッドの高さを差し引いたもの。プリンタが水
平な場合に、レギュレータがプリントヘッドよりも１イ
ンチ高く配置されるよう設計されている、と仮定する。 Ｐr＝レギュレータのゲージ圧力の設定値＝Ｐp−Ｈ0。
本例においては、通常動作中におけるレギュレータのプ
リントヘッドに対する高度差を補償するためには、レギ
ュレータの設定値は−５．５水柱インチであろう。 △Ｐ＝レギュレータ間で予想される圧力のばらつき。

【００２０】上述の例においては、通常の最悪の場合の
許容誤差のばらつきのために、レギュレータの圧力は±
１．５水柱インチ変化し得る。従って、最悪の状況の下
では、レギュレータの圧力は−４水柱インチにもなり得
る。インク垂れを防ぐためには、レギュレータをプリン
トヘッドよりも４インチよりも高くしてはならない。従
って、製品が最悪の場合のインク垂れを引き起こす向き
に傾くとき、それは通常、レギュレータがプリントヘッ
ドよりも上になった状態でプリンタが横倒しになるとき
であるが、そのときにインク垂れを防止するためには、
レギュレータがプリントヘッドから４インチ以内になる
ように配置せねばならない。

【００２１】従って、次式のようになる。 Ｄmax＝Ｐp（単位：水柱インチ）−Ｈ0−△Ｐ ただし、Ｄmax＝プリントヘッドの休止位置とレギュレ
ータの間の最大安全距離（単位：インチ）。

【００２２】ハウジング３８内の夫々のレギュレータ
は、本質的に、レギュレータの入口と出口の間の開口部
を制御する弁から成っている。弁は、レギュレータの出
口側のインク圧力の下降に応答して開き、出口側のイン
ク圧力の上昇に応答して閉じる。出口側における所望の
インク圧力は、出口側の圧力と周囲圧力（大気圧）の予
め定められた圧力差である。典型的な負の調整圧力は、
約−４水柱インチであろう。例として、出口側のインク
圧力が、例えば−５水柱インチであるしきい値に達した
と感知されると、例えば圧力が−３水柱インチに達する
まで弁が開き、−３水柱インチに達すると弁が自動的に
閉じる。ノズルの直径が小さくなれば、最適インク圧力
は負の方向に値が大きくなる。従って、−１０水柱イン
チあるいは更に大きな負のしきい値圧力も達成できる。

【００２３】プリンタ１０または４４が動作していない
ときは、夫々のレギュレータ内の弁は閉じている。レギ
ュレータのこれ以上の詳細事項については、図８ないし
図１１を参照して説明する。

【００２４】図２及び図３において、キャリッジ１６に
は単一のプリント・カートリッジ１８を取り付けて示し
ている。夫々が圧力レギュレータの出口に接続された４
本の管４０は、キャリッジ１６に支持されたゴムの隔壁
５２と流体的につながっている。プリント・カートリッ
ジ１８をキャリッジ１６内の関連する区画５５（図３）
に押し込むと、夫々のプリント・カートリッジ１８の一
部として形成された中空のニードル５４（図４）が、ゴ
ムの隔壁５２を通って挿入され、特定のインク供給カー
トリッジ３１ないし３４と特定のプリント・カートリッ
ジのプリントヘッドの間に、プリントヘッドへのインク
の供給を提供する液体伝達通路ができる。

【００２５】夫々の剛体の隔壁の肘接手５８（図４）に
は、柔軟性を有するベローズ５６（図３）が設けられて
おり、ニードル５４が隔壁５２に挿入されたときに隔壁
の肘接手５８がある程度ｘ，ｙ，ｚ軸方向に動いて、ニ
ードル５４にかかるｘ、ｙ、ｚ軸方向の負荷を最小に
し、ニードル５４のまわりが確実に液密及び気密にシー
ルされるようになっている。ベローズ５６は、ブチルゴ
ム、高ａｃｎニトリル、ラテックス、その蒸気や気体を
あまり通さない特性を持った柔軟性を有する材料で形成
されていてもよい。一実施例において、ベローズ５６は
円形または長方形の柔軟性を有するダイアフラムであ
り、弾性部材を形成するかあるいは弾性部材で裏打ちさ
れた膜片から成っていてもよい。または、ベローズ５６
の代わりに、Ｕ字形または円形の柔軟性を有する管を用
いてもよい。

【００２６】隔壁５２は、ばね（図示せず）によって上
方へ付勢されている。これによって、隔壁５２がｚ軸方
向の許容誤差を吸収することができ、ニードル５４にか
かる負荷が最小になり、ニードル５４のまわりがしっか
りとシールされる。

【００２７】インクチャネル５９は、夫々のニードル５
４からプリント・カートリッジ１８のてっぺんを越えて
インク・チャンバ内へ延びている。

【００２８】インクの相互接続に関するもっと詳細な説
明は、Norman Pawlowski, Jr.他による"Inkjet Printer
With Off-Axis Ink Supply"という名称の、１９９６年
８月３０日出願の米国特許出願番号第０８／７０６，０
６２号に見出される。

【００２９】図４は、複数のチャンバを有するプリント
・カートリッジ１８の底面側を示す。２本の平行な行の
オフセットのかかったノズル６０が、テープ６２を貫い
てレーザ・アブレーションによって形成されて示されて
いる。プリント・カートリッジ１８がプリントするカラ
ーインク毎に１本のノズルの行が設けられている。一実
施例において、３００個のノズルが間隔をおいて配置さ
れ、６００ｄｐｉの垂直解像度でプリントを行う。最初
にプリント・カートリッジのインク・チャンバをインク
で充填するのに、インク充填穴６４を用いる。ストッパ
（図示せず）が、この最初の充填後穴６４を永久にシー
ルするよう意図されている。

【００３０】金属の接触パッド６８は、インク噴出要素
を保持する基板上の電極と電気的に接続されている。

【００３１】図５は、その頂部を取り外して夫々が特定
のカラーのインク用である２つのインク・チャンバ７
２、７３が見えるようにした、プリント・カートリッジ
１８を示す。インク・チャンバ７２、７３は、夫々、前
述の管及びインクの相互接続を経由して、夫々のニード
ル５４（図４）及び関連するインク供給カートリッジ３
１ないし３４と流体的に連結している。夫々のチャンバ
７２、７３は、そのチャンバと関連する単一のプリント
ヘッドの一部あるいは別個のプリントヘッドと流体的に
連結している。

【００３２】走査キャリッジ１６の加速及び減速による
インク圧力の急峻な変動の影響を緩和するため、夫々の
チャンバ７２、７３の壁には、ダイアフラム７６として
識別される柔軟性を有する（例えばゴムの）部分があ
る。ダイアフラム７６は、インク圧力の急峻な上昇と共
にわずかに外側に曲がり、流入するインクの圧力の上昇
を吸収する。逆に、ダイアフラム７６はインク・チャン
バ７２、７３内へと内側に曲がって、インク中の負力の
急激な上昇を吸収する。ダイアフラム７６の特性は、走
査の加速度、柔軟性を有する管４０の寸法、インク・チ
ャンバの寸法、その他の要因を考慮して、そのインクジ
ェット・プリンタの特性に基づいて通常経験的に決定さ
れる。

【００３３】図６は、プラスチックのプリント・カート
リッジのフレーム７８に接着または圧縮クランプされた
柔軟性を有するダイアフラム７６の、図５中の６−６線
での断面図である。一実施例において、ダイアフラム７
６の面積は約１平方センチメートルであり、厚さは約
０．５ｍｍである。面積及び厚さは、ダイアフラム７６
の材料の柔軟性及びそのシステムの要求事項によって決
まる。

【００３４】図７は、二重のチャンバ７２、７３内のイ
ンクＡ、Ｂの、シリコン基板８０の外縁のまわり及びイ
ンク噴出チャンバ８２、８３内への通路を示す、図４中
の７−７線での断面図である。中央の壁８４によって２
つのチャンバが分離されている。夫々のインク噴出チャ
ンバ内のヒータ抵抗器８５、８６が選択的に通電され
て、対応するノズル６０からインク滴８８、８９が噴出
される。図７の特性を持つように変更できるプリントヘ
ッドについてのもっと詳しい事項は、Keefe他による米
国特許番号第５，２７８，５８４号に説明されている。

【００３５】好適な実施例において、ノズル部材９２は
Kapton（商標）等の柔軟性を有するテープ６２であり、
ノズル６０がテープ６２を貫いてレーザ・アブレーショ
ンによって形成されている。柔軟性を有するテープ６２
上に形成された接触パッド６８（図４）は、テープ６２
の裏の導電トレースに接続されている。トレースの他端
は、基板８０上の電極に接続されており、基板８０上の
電極は、最終的にはヒータ抵抗器８５、８６に接続され
ている。他の実施例においては、ヒータ抵抗器の代わり
に圧電素子が用いられる。テープ６２は、接着剤９４に
よって、プリント・カートリッジのフレーム７８に固着
されている。インク噴出チャンバ８２、８３を形成する
バリヤー層９６は、フォトレジストで形成してもよい。
バリヤー層９６は、柔軟性を有するテープ６２の底に接
着層９８によって固着されている。接着剤１００によっ
て、基板８０が中央の壁８４に固定されており、チャン
バ７２、７３の間でのインクのシールがなされている。

【００３６】好適な実施例では、走査キャリッジ１６を
小型化するために二重チャンバを持つプリント・カート
リッジ１８を２つ用いて示しているが、チャンバが単一
のプリント・カートリッジ（壁８４がない）を４つ用い
ることもできる。Keefe他による米国特許番号第５，２
７８，５８４号は、単一のカラーをプリントするプリン
ト・カートリッジを示している。このプリント・カート
リッジを小さくしてインク入口ポートを組み込んだもの
を本発明のプリンタ内に用いることにより、プリント・
カートリッジを２つではなく４つ用いてもよい。本開示
の図１は、破線でこのような４つのプリント・カートリ
ッジを示している。あるいは、単一のブラックのインク
のプリント・カートリッジと３色入りのプリント・カー
トリッジを用い、３色入りのプリント・カートリッジ
が、これらのカラー用の３組のノズルを組み込んでもよ
い。

【００３７】図８は、本発明の一実施例によるインク配
送システムのブロック図である。図８において、プリン
ト・カートリッジ１８は、単一のインク・チャンバまた
は二重インク・チャンバを含む。説明を簡単にするため
に１つのインクカラーの通路のみを示すが、夫々のカラ
ーのインク毎に別個のインク配送システムがある。

【００３８】プリント・カートリッジ１８内の夫々のイ
ンク・チャンバの内部には、比較的小型のインクのアキ
ュムレータがある。この小型のアキュムレータは、キャ
リッジの動きによって引き起こされる急峻な圧力変動を
吸収するためのものである。一実施例において、このア
キュムレータは、インク・チャンバの壁を形成する図５
及び図６の柔軟性を有するダイアフラム７６で構成され
る。他のタイプのアキュムレータを図９に示すが、アキ
ュムレータは、インクをプリント・カートリッジ１８の
許容サイズによって数立方センチメートルから数十立方
センチメートルだけどこに保持するものであっても良
い。一実施例において、図９に示すアキュムレータ１１
０はインク袋１１２を含み、このインク袋１１２の側壁
１１４、１１５は内部のばね１１８によって外側に付勢
されており、チャンバ７２または７３に通じている出口
１２０において負圧が提供されるようになっている。こ
のような負圧は、プリントヘッドの特性によるが、通常
−２水柱インチから−１０水柱インチ程度である。入口
１２２が、プリント・カートリッジに供給されるインク
を受け取る。

【００３９】インクは柔軟性を有する管４０を経由して
プリント・カートリッジ１８に配送される。管４０は、
好ましくは、DuPont社によってSaran（商標）という商
品名で販売されているポリ塩化ビニリデンである。柔軟
性を有する管４０は、レギュレータのハウジング３８
（図１及び図２）の内部の、レギュレータ１２５の一部
を形成する、より大きなアキュムレータ１２４（アキュ
ムレータ１１０と類似）の出力に接続されている。アキ
ュムレータ１２４によって気泡への耐性が提供され、イ
ンク供給容器３１からのインクの圧力調整が正確にな
る。大きなアキュムレータ１２４は、レギュレータの弁
１２６によって、交換式のインク供給カートリッジ３１
から通じている固定された管３６に接続されている。レ
ギュレータの弁１２６は、ロータリ弁やフラッパ弁等、
いかなる形の弁であってもよい。

【００４０】好適な実施例において、レギュレータの弁
１２６は、大きなアキュムレータ１２４の入口１２２と
管３６の間の穴を塞いだり開けたりするフラッパ弁であ
り、ある量のインクを選択的に交換式のインク供給容器
３１から大きなアキュムレータ１２４に流す。弁１２６
の開閉は、大きなアキュムレータ１２４の出口１２０に
おけるインク圧力によって決まる。このようなインク圧
力は、ダイアフラムによって、あるいは好適な実施例に
おいては図９のアキュムレータ１２４の物理的寸法を監
視することによって、決定することができる。プリント
ヘッドがインクを噴出するにつれて、大きなアキュムレ
ータ１２４はつぶれる。アキュムレータ１２４がある点
までつぶれると、インク袋１１２の側壁１１４に接続さ
れた位置センサが、弁１２６を開くコントローラ回路に
トリガをかける。この位置センサは、インク袋１１２が
つぶれてある点に達すると光電検出器とＬＥＤの間の光
路を遮断するところの、アキュムレータ１２４の側壁１
１４に取り付けられた単なる遮光部材であってもよい。
弁１２６が開いている間、アキュムレータ１２４の背圧
によって、弁１２６の開時間とインクの流量によって決
まる制御された量のインクがインク供給容器３１から引
き込まれる。ばね１１８のつぶれはアキュムレータ１２
４の出口１２０における負圧に関係するので、インク袋
のつぶれに基づいて弁１２６を作動させれば、出口１２
０における負圧がかなり一定のレベルに維持される。

【００４１】インク袋１１２のつぶれを感知する他の方
法は、導線と接触する金属の板ばねをインク袋１１２の
上または下に配置する、というものである。インク袋１
１２がつぶれると、板ばねは導線との接触が切れ、弁１
２６を開いてアキュムレータ１２４を再充填する時機で
あるということを知らせる。感知の他の方法として、例
えば静電容量を用いた感知や電磁誘導を用いた感知があ
る。

【００４２】インク袋１１２の物理的つぶれを感知する
代わりに、アキュムレータ１２４の出口１２０に置かれ
た従来技術の圧力変換器を用いて、出口１２０における
背圧を感知してもよい。

【００４３】圧力を感知するこれら様々の手段は、図８
における弁コントローラ回路１２７として識別される。

【００４４】好適な実施例において、圧力センサは、イ
ンク袋１１２のつぶれを検出するにせよ、アキュムレー
タ１２４の出口１２０における圧力を直接検出するにせ
よ、インク供給容器３１のインクがなくなった時点も検
出する。システムが弁１２６を開くと、負圧の絶対値が
減少しまたアキュムレータ１２４が元のように大きくな
るはずである。そうならない場合には、そのことが検出
されるので、システムはそれによって、インク供給容器
３１のインクがなくなり、弁１２６を閉じて空気が管４
０やプリント・カートリッジ１８に入らないようにしな
ければならない、と判定する。このように判定されるこ
とによって、ユーザにインク切れの警告を行うようプリ
ンタに対して指示がなされる。

【００４５】図１０は、インクジェット・プリンタ用イ
ンク配送システムの他の実施例を示す。図において、プ
リント・カートリッジ１８は、柔軟性を有する管４０を
経由して、固定された機械的圧力レギュレータ１２８に
接続されている。このような機械的圧力レギュレータ１
２８は、図８に関して説明したレギュレータにおけるよ
りも一層在来型の技術を用いてもよい。このような機械
的レギュレータ１２８の１つは、可動レバーを組み込ん
でおり、レバーの位置は周囲圧力とレギュレータ内のイ
ンク圧力の差に基づいている。この圧力差に応答したレ
バーの動きによって、レギュレータの入口における弁が
機械的に開閉され（弁を開くと、レギュレータの圧力が
正側に大きくなる）、レギュレータの出口におけるイン
ク圧力が比較的一定に維持される。このようなレギュレ
ータは、本開示を読めば、当業者にはよく理解されるで
あろう。このレギュレータの特性は、所望の負圧を達成
するように調節される。

【００４６】使用することができる１つのタイプの機械
的レギュレータは、Norman Pawlowski, Jr.他による"Ap
paratus For Providing Ink To An Ink-Jet Print Head
AndFor Compensating For Entrapped Air"という名称
の、１９９５年１０月３１日出願の米国特許出願番号第
０８／５５０，９０２号に説明されているものと同様の
ものである。この出願に説明されているレギュレータは
プリント・カートリッジ自体の内部にあるが、このよう
なレギュレータは、プリントヘッドがなくても図８の固
定されたレギュレータの役割をすることができる。他の
適当な機械的レギュレータは、Norman Pawlowski, Jr.
他による"Pressure Regulated Free-InkInk-Jet Pen"と
いう名称の、１９９５年８月２４日出願の米国特許出願
番号第０８／５１８，８４７号に説明されている。他の
適当な機械的レギュレータは、Winthrop Childers他に
よる"An Ink Delivery System for an Inkjet Pen Havi
ngan Automatic Pressure Regulator System"という名
称の、１９９６年８月３０日出願の米国特許出願番号第
０８／７０５，３９４号に見出される。

【００４７】かくして、固定されたレギュレータを有す
るインクジェット・プリンタのいくつかの実施例を説明
してきた。レギュレータをキャリッジから離れた固定し
た位置に配置すると、レギュレータをキャリッジに搭載
するよりも、以下の２つの主要な点で優れている。 １）プリント・カートリッジとキャリッジを小型化する
ことができるので、非常に小型のプリンタの製造が可能
になる。 ２）レギュレータを、より正確でかつ空気に対して耐久
性のあるものにすることができる。 レギュレータを軸外に置くことによって、レギュレータ
を大きくすることができ、従ってレギュレータの精度が
高くなり、アキュムレータの容量が増大し、レギュレー
タの気泡に対する許容度が改善される。

【００４８】レギュレータ及び／またはインク供給ステ
ーションは、キャリッジの走査通路の前方（図１に示
す）でも、キャリッジの走査通路の後方でも、どちらに
配置することもできる。また、インク供給ステーション
は、キャリッジの休止位置の反対側等、プリンタの内外
部のほとんどどこにでも配置することができる。

【００５０】本発明の特定の実施例を示し説明したが、
当業者には、最も広い態様における本発明から逸脱する
ことなく変更及び変形を行うことができ、従って、本願
特許請求の範囲は、その範囲内にすべてのこのような変
更及び変形を本発明の真の精神及び範囲内のものとして
包含するものである、ということは明白である。

【００５１】以下に本発明の実施態様の例を列挙する。

【００５２】〔実施態様１〕以下の(a)ないし(d)を設
け、キャリッジ（１６）及び媒体通路を含むインクジェ
ット・プリント・システム（１０）用のインク配送シス
テムであって、前記キャリッジはキャリッジ軸に沿った
向きのキャリッジ通路に沿って走査し、前記媒体通路は
前記キャリッジ軸と略垂直な媒体軸に沿った向きであ
り、前記キャリッジは媒体上にインクを噴出する少なく
とも１つのプリントヘッド（８０）を支持するインク配
送システム： (a) 取外し可能に搭載された交換式のインク供給部（３
４）を支持する固定したインク供給ステーション（３
０）； (b) 入口及び出口を有する固定した圧力レギュレータ
（３８）：前記入口は、前記交換式のインク供給部が前
記固定したインク供給ステーションに取外し可能に搭載
されたときに前記交換式のインク供給部と流体的に連絡
する； (c) 前記キャリッジに搭載され、第１のプリントヘッド
（８０）を支持し、前記第１のプリントヘッドが噴出す
るインクを収容する第１のプリント・カートリッジ（１
８）本体； (d) 前記圧力レギュレータの前記出口と前記プリント・
カートリッジ本体の間を流体的に連絡している柔軟性を
有する管路（４０）。

【００５３】〔実施態様２〕前記プリント・カートリッ
ジ（１８）本体内に、前記プリントヘッド（８０）と流
体的に連絡しており、前記キャリッジ（１６）の動きに
よって発生する前記プリントヘッド内のインク圧力の変
動を低減する減衰要素（７６）を含み、前記減衰要素
が、外部大気と連絡する基準表面、及び前記プリント・
カートリッジ本体内のインクと流体的に連絡している内
部表面を有する柔軟性を有する部材であることを特徴と
する実施態様１に記載のインク配送システム。

【００５４】〔実施態様３〕前記キャリッジ（１６）
が、前記プリント・システムが動作していないときの休
止位置（４６）を有し、所定の長さの単位で測定した前
記レギュレータ（３８）と前記停止位置の間の距離が前
記所定の長さの単位で測定した水柱の高さで定義した前
記レギュレータの最大静ゲージ圧力の絶対値と等しいか
それ以下であり、前記プリント・システム（１０）が傾
いても前記プリントヘッド（８０）においてインク圧力
が正にならないようにしていることを特徴とする実施態
様１または実施態様２に記載のインク配送システム。

【００５５】〔実施態様４〕前記キャリッジ（１６）が
休止位置（４６）を有し、前記キャリッジが前記休止位
置にあるときに前記プリントヘッド（８０）は前記媒体
通路から横に外れており、前記プリント・システム（１
０）が通常意図されるプリント位置と異なる向きに配置
されたときに前記プリントヘッドがインク垂れを起こさ
ないように前記プリントヘッドの前記休止位置が前記レ
ギュレータ（３８）から所定の距離をおいていることを
特徴とする実施態様１ないし実施態様３のいずれかに記
載のインク配送システム。

【００５６】〔実施態様５〕前記キャリッジ（１６）
が、前記媒体通路から横であって前記媒体通路のプリン
トヘッド（８０）の整備を行う側に外れた休止位置（４
６）を有し、前記レギュレータ（３８）が前記媒体通路
の前記整備を行う側に配置されていることを特徴とする
実施態様１ないし実施態様４のいずれかに記載のインク
配送システム。

【００５７】〔実施態様６〕前記インク供給ステーショ
ン（３０）が前記媒体通路の前記整備を行う側に配置さ
れていることを特徴とする実施態様５に記載のインク配
送システム。

【００５８】〔実施態様７〕前記レギュレータ（３８）
が、前記プリント・システム（１０）の前側から見たと
き、前記キャリッジ（１６）の走査通路から前方に配置
されていることを特徴とする実施態様６に記載のインク
配送システム。

【００５９】〔実施態様８〕前記レギュレータ（３８）
が前記交換式のインク供給部（３４）の外部に設けられ
ていることを特徴とする実施態様１ないし実施態様７の
いずれかに記載のインク配送システム。

【００６０】〔実施態様９〕第２のプリントヘッドを支
持する第２のプリント・カートリッジ（１８）本体を含
むことを特徴とする実施態様１に記載のインク配送シス
テム。

【００６１】〔実施態様１０〕以下のステップ(a)及び
(b)を設けたインクジェット・プリンタ（１０）動作方
法： (a) 走査キャリッジ（１６）内の少なくとも１つのプリ
ントヘッド（８０）に、前記走査キャリッジが媒体を横
切って走査するときに、付勢信号を供給し、前記少なく
とも１つのプリントヘッドからインク滴を噴出させる； (b) 以下のステップ(b-1)ないし(b-4)を含み、前記少な
くとも１つのプリントヘッドにインクを供給する：(b-
1) 前記少なくとも１つのプリントヘッドが前記媒体上
にインク滴を噴出するときに、前記少なくとも１つのプ
リントヘッドを収容する少なくとも１つのプリント・カ
ートリッジ（１８）本体内に負圧を作り出す；(b-2) 前
記少なくとも１つのプリント・カートリッジ本体と前記
プリンタ内の静止した圧力レギュレータ（３８）の間を
流体的に連絡している少なくとも１本の柔軟性を有する
管（４０）を経由して、前記少なくとも１つのプリント
・カートリッジ本体にインクを供給する；(b-3) 前記少
なくとも１本の柔軟性を有する管に入る前記インクの圧
力を前記レギュレータによって調整し、前記少なくとも
１つのプリント・カートリッジ本体へ通じるインクの圧
力が大気圧に関して所望の負の圧力となるようにする；
(b-4) 固定されたインク供給ステーション（３０）内に
取り付けられた少なくとも１つの取り外し可能に搭載さ
れたインク供給部（３４）のカートリッジから、前記レ
ギュレータにインクを供給する。

【図面の簡単な説明】

【図１】軸外のレギュレータを組み込んだインクジェッ
ト・プリンタの斜視図。

【図２】プリント・カートリッジを１つ取り付け、軸外
のレギュレータを組み込んだ、他の実施例のインクジェ
ット・プリンタの平面図。

【図３】走査キャリッジの一実施例の斜視図。

【図４】プリント・カートリッジとそのインクの相互接
続の一実施例の斜視図。

【図５】２つの部分から成るチャンバを示す、図４のプ
リント・カートリッジの斜視図。

【図６】インク圧力の急激な上昇を低減する、インク・
チャンバの壁の柔軟性を有するダイアフラムを示す、図
５の６−６線断面図。

【図７】プリントヘッド基板の縁のまわりからインク噴
出チャンバへのインクの流れを示す、図４の７−７線断
面図。

【図８】インク配送システムの一実施例のブロック図。

【図９】図８の実施例に用いることができるインクのア
キュムレータの断面図。

【図１０】インク配送システムの他の実施例のブロック
図。

【符号の説明】

１０：プリンタ １６：キャリッジ １８：プリント・カートリッジ ３０：インク供給ステーション ３１、３２、３３、３４：インク供給カートリッジ ３８：圧力レギュレータのハウジング ４０：柔軟性を有する管 ７２、７３：インク・チャンバ ７６：ダイアフラム ８４：中央の壁 ８５、８６：ヒータ抵抗器 ８８：インク滴 ９６：バリヤー層（プリントヘッド）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】以下の(a)ないし(d)を設け、キャリッジ及
   び媒体通路を含むインクジェット・プリント・システム
   用のインク配送システムであって、前記キャリッジはキ
   ャリッジ軸に沿った向きのキャリッジ通路に沿って走査
   し、前記媒体通路は前記キャリッジ軸と略垂直な媒体軸
   に沿った向きであり、前記キャリッジは媒体上にインク
   を噴出する少なくとも１つのプリントヘッドを支持する
   インク配送システム： (a) 取外し可能に搭載された交換式のインク供給部を支
   持する固定したインク供給ステーション； (b) 入口及び出口を有する固定した圧力レギュレータ：
   前記入口は、前記交換式のインク供給部が前記固定した
   インク供給ステーションに取外し可能に搭載されたとき
   に前記交換式のインク供給部と流体的に連絡する； (c) 前記キャリッジに搭載され、第１のプリントヘッド
   を支持し、前記第１のプリントヘッドが噴出するインク
   を収容する第１のプリント・カートリッジ本体； (d) 前記圧力レギュレータの前記出口と前記プリント・
   カートリッジ本体の間を流体的に連絡している柔軟性を
   有する管路。