JPH10125324A - 非水電解液二次電池及びその正極活物質の製造方法 - Google Patents

非水電解液二次電池及びその正極活物質の製造方法

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JPH10125324A
JPH10125324A JP8292092A JP29209296A JPH10125324A JP H10125324 A JPH10125324 A JP H10125324A JP 8292092 A JP8292092 A JP 8292092A JP 29209296 A JP29209296 A JP 29209296A JP H10125324 A JPH10125324 A JP H10125324A
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直之 菅野
Katsumi Mori
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リチウムマンガン酸化物を正極活物質として
用いながら、充放電サイクルに伴う正極材料の変質や結
晶構造劣化を抑制し、放電負荷特性、サイクル特性に優
れた非水電解液二次電池、及びその正極活物質の製造方
法を提供する。 【解決手段】 リチウムマンガン酸化物を活物質とする
正極と、リチウムをドープ及び脱ドープすることが可能
である負極と、非水電解液とを備えてなり、上記リチウ
ムマンガン酸化物のX線回折による回折ピークにおい
て、(311)面と(400)面の回折ピークの強度比
(400)/(311)が1.05〜1.20である。
このリチウムマンガン酸化物は、マンガンに対するリチ
ウムの原子比Li/Mnが0.505〜0.525とな
るリチウム源とマンガン源との混合物を、450℃以下
で加熱処理を行い、次にこの混合体を室温冷却後粉砕混
合し、再び650〜780℃で加熱処理を行うことによ
り得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポータブル用電子
機器の電源等に用いられる非水電解液二次電池及びその
正極活物質の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子技術の進歩により、電子機器
の高性能化、小型化、ポータブル化が進み、これら電子
機器には、エネルギー密度の高い二次電池が要求されて
いる。従来、これら電子機器に使用される二次電池とし
ては、ニッケル・カドミウム二次電池電池、鉛蓄電池、
ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池などが挙げ
られる。特に、リチウムイオン二次電池は、電池電圧が
高く、高エネルギー密度を有し、自己放電も少なく、か
つ、サイクル特性に優れ、小型軽量電池に適合できる最
も有望な電池である。
【0003】このようなリチウムイオン二次電池の正極
材料としては、LiCoO2、LiNiO2や、より低コ
ストなLiMn24等のリチウムマンガン酸化物の使用
が検討され、盛んに開発研究が行われている。
【0004】しかしながら、従来から正極材料として用
いられている微粉末のリチウムマンガン酸化物は、機械
プレスだけで密に充填することができない。特に、シー
ト状電極に成型した場合には、粉末としての性状から大
容量で柔軟性を有するものにすることが困難で、実用的
電極を作製することができない。しかも、この微粉末リ
チウムマンガン酸化物を正極材料として用いたリチウム
イオン二次電池においては、数十回の充放電により大き
くサイクル特性が低下し、リチウムの出入りに伴い充放
電性能が急速に失われるといった問題もある。このよう
に、微粉末のリチウムマンガン酸化物では、より高容量
・高性能な電池を得るのが困難である。
【0005】また、電解二酸化マンガン等から合成され
る大きな粒子径を有するリチウムマンガン酸化物は、比
表面積が小さいことから、微粉グラファイト導電剤やア
セチレンブラックといった導電剤を10%以上混合さ
せ、接触点をより増大させ電子伝導性を高めた混合性状
にして使用する必要がある。しかし、導電剤を10%以
上混合させて使用したものでも、サイクルの進行ととも
に材料が変質し、徐々に放電容量が低下しまう。また、
活物質の充放電性能を維持するために多量の導電剤や金
属を添加することは、高容量化に対して推奨できるもの
ではなく、高性能化と高容量化という相反する要望を同
時に満たすことができない。
【0006】このように、これまで正極活物質として用
いられているリチウムマンガン酸化物は、微粒子の場合
には、正極の充填密度がばらついたり、或いは低くな
り、さらには電極の柔軟性を欠いてしまい、サイクル特
性や容量の点で問題が生じしまう。また、大粒径の場合
には、導電材を多く必要とするため容量を高めるのが困
難である。このため、LiMn24の理論的容量が14
8mAh/gであるにもかかわらず、これまでのリチウ
ムマンガン酸化物においては、充放電における容量が1
10mAh/g程度、サイクル寿命が100サイクル
で、理論値の80%以下の特性しか得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これまで、上述した問
題に対して、リチウムマンガン酸化物の組成及びその合
成方法が種々検討されている。しかしながら、リチウム
マンガン酸化物は、充放電に伴って可逆性が失われ、容
量の低下が著しい等、未だ実用的な正極材料に至ってい
ない。さらに、リチウムマンガン酸化物は、リチウムコ
バルト酸化物やリチウムニッケル酸化物と比較して大電
流での充放電性能に劣っていた。
【0008】そこで、本発明者らは、上述した問題点を
解決するため、充放電サイクルに伴うリチウムイオンの
挿入脱離反応をスムーズに進める結晶構造を詳細に検討
した結果、本発明を完成させるに至った。
【0009】本発明は、リチウムマンガン酸化物を正極
活物質として用いながら、充放電サイクルに伴う正極材
料の変質や結晶構造劣化を抑制し、放電負荷特性、サイ
クル特性に優れた非水電解液二次電池、及びその正極活
物質の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る非水電解液
二次電池は、リチウムマンガン酸化物を活物質とする正
極と、リチウムをドープ及び脱ドープすることが可能で
ある負極と、非水電解液とを備えてなり、上記リチウム
マンガン酸化物のX線回折による回折ピークにおいて、
(311)面と(400)面の回折ピークの強度比(4
00)/(311)が1.05〜1.20であることを
特徴とする。
【0011】また、上記リチウムマンガン酸化物のマン
ガンに対するリチウムの原子比Li/Mnは、0.50
5〜0.525であり、マンガンに対する酸素の原子比
O/Liは、1.96〜2.04であることが好まし
い。
【0012】さらに、上記リチウムマンガン酸化物は、
LiMn24もしくはLi2MnO3の少なくともいずれ
かより選ばれてなり、熱重量測定における熱重量変化温
度が800℃以下であることが好ましい。
【0013】リチウムマンガン酸化物からなる正極材料
は、(400)/(311)の強度比を規制することに
より、リチウムイオンがスムーズに移動しやすくなり、
リチウム脱離による格子歪みが内部まで伝播して均一な
性状を有するため、正極材料の変質や結晶構造の劣化が
抑制される。
【0014】したがって、本発明に係る非水電解液二次
電池においては、(311)面と(400)面の強度比
(400)/(311)が1.05〜1.20であるリ
チウムマンガン酸化物を正極活物質として用いることに
より、正極材料の変質、結晶構造劣化を抑制し、サイク
ル寿命の安定化と、大電流での充放電性能を向上させる
ことができる。
【0015】本発明に係る正極活物質の製造方法は、マ
ンガンに対するリチウムの原子比Li/Mnが0.50
5〜0.525となるリチウム源とマンガン源との混合
物を、450℃以下で加熱処理を行う第一の処理工程
と、第一の処理工程により得られた混合体を室温冷却後
再び粉砕混合し、650〜780℃で加熱処理を行う第
二の処理工程とによりリチウムマンガン酸化物を得るこ
とを特徴とする。
【0016】このように、本発明に係る正極活物質の製
造方法においては、第一の処理工程と第二の処理工程と
を経ることにより、均一な性状を有するリチウムマンガ
ン酸化物を得ることができる。すなわち、この製造方法
により、(311)面と(400)面の強度比(40
0)/(311)が1.05〜1.20であるリチウム
マンガン酸化物を得ることができる。このように、均一
な性状を有し、格子面がある規則性を有するリチウムマ
ンガン酸化物は、リチウムの挿入脱離による結晶構造の
劣化や変質がなく、サイクル寿命の安定化を図り、大電
流での充放電特性を向上させるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る非水電解液二
次電池及びその正極活物質の製造方法について具体的に
説明する。
【0018】本発明に係る非水電解液二次電池は、リチ
ウムマンガン酸化物を活物質とする正極と、リチウムを
ドープ及び脱ドープすることが可能である負極と、非水
電解液とを備えている。
【0019】正極活物質となるリチウムマンガン酸化物
は、X線回折による回折ピークにおいて、(311)面
と(400)面の回折ピークの強度比(400)/(3
11)が1.05〜1.20であることを特徴とする。
(400)/(311)=1.10〜1.15であれ
ば、より好ましい。また、主回折面である(111)面
との強度比を考えると、(311)/(111)=0.
45〜0.50、(400)/(111)=0.49〜
0.59であることがより好ましい。
【0020】この理由は、次のように考えることができ
る。
【0021】スピネル型の結晶構造を有するLiMn2
4は、図1及び図2に示されるように、MnO八面体
で囲まれた空隙にリチウムが位置しており、リチウム
は、MnO八面体の斜め方向にあるトンネル空間を移動
して挿入/脱離される。
【0022】このリチウムの移動においては、移動方向
の垂直方向が抵抗層となりやすい。これに抗ってリチウ
ムが移動することによる結晶構造の劣化が、容量劣化の
一因になるものと考えられる。特に、結晶の表面部分か
らリチウムが脱離されると、主結晶構造で格子間隔がわ
ずかに短くなる。この歪みは、リチウム移動のトンネル
方向ではなく、格子面方向に反って伝達される。つま
り、このような表面部分の格子の短縮は、単位八面体の
間隔を接近させ電荷のバランスをとって格子距離の変化
を調整しているため、結晶内部まで伝達されないと考え
られる。そのため、リチウムマンガン酸化物の結晶は、
充放電サイクルに伴って不均一な歪みが生じて結晶構造
が劣化している。
【0023】このような結晶構造の劣化を抑えるために
は、リチウムが規則正しく配置され、リチウムの挿入脱
離に伴う格子間距離の変化が吸収されやすく、さらにリ
チウムの脱離による格子歪みが結晶内部まで伝達される
ような均一な材料性状となっていることが必要である。
【0024】そこで、本発明では、この材料性状の指標
として、X先回折測定で観測される回折ピークにおい
て、(311)面と(400)面の回折ピークの強度比
(400)/(311)を利用することとする。
【0025】上述したように、リチウムの挿入脱離によ
る結晶構造の劣化を抑えるためには、均一な材料性状を
有すること、すなわち格子面が規則性を有することが必
要である。このリチウムの挿入脱離を円滑に行うための
格子面の規則性とは、主格子面であるところの(11
1)面の規則性ではなく、この主格子面と斜めに交差し
ているところの、リチウムの拡散移動方向に近い(31
1)面と(400)面の規則性である。本発明でピーク
強度比(400)/(311)を規制するのは、この理
由からである。
【0026】このように、本発明に係る非水電解液二次
電池は、ピーク強度比(400)/(311)を規制し
たリチウムマンガン酸化物を正極活物質に用いてなるこ
とにより、正極材料そのものの変質、結晶構造劣化を抑
制し、サイクル特性を向上させることができる。
【0027】このようなリチウムマンガン酸化物Lix
MnOyとしては、スピネル型構造を有し、リチウムマ
ンガン酸化物のマンガンに対するリチウムの原子比xが
0.505〜0.525であり、マンガンに対する酸素
の原子比O/Liは、1.96〜2.04であるLiM
24や、LiMn24とLiMn23との混合物が好
ましく用いられる。
【0028】また、上記リチウムマンガン酸化物として
は、LiMn24もしくはLi2MnO3の少なくともい
ずれかより選ばれてなり、熱重量測定における熱重量変
化温度が800℃以下であるものが好ましく用いられ
る。
【0029】ところで、このような条件を満たす正極活
物質は、次のような条件下で熱処理を行うことにより得
られる。
【0030】本発明に係る正極活物質の製造方法は、マ
ンガンに対するリチウムの原子比Li/Mnが0.50
5〜0.525となるリチウム源とマンガン源との混合
物を、450℃以下で加熱処理を行う第一の処理工程
と、第一の処理工程により得られた混合体を室温冷却後
再び粉砕混合し、650〜780℃で加熱処理を行う第
二の処理工程とによりリチウムマンガン酸化物を得るこ
とを特徴とする。
【0031】具体的に、第一の処理工程において、リチ
ウム源とマンガン源との混合物を粉砕混合し、その粉末
混合体もしくは加圧成型したものを、酸素もしくは空気
雰囲気下において加熱温度450℃以下で加熱処理を行
う。その後、第二の処理工程において、先の焼結体を室
温冷却後再び粉砕混合し、その粉末混合体もしくは再び
加圧成型したものを、酸素もしくは空気雰囲気下におい
て加熱温度650〜780℃で再び加熱処理を行えばよ
い。
【0032】このように、本発明においては、第一の処
理工程と第二の処理工程を経ることにより、均一な性状
を有し、格子面がある規則性を有するリチウムマンガン
酸化物を得ることができる。すなわち、この製造方法に
より、(311)面と(400)面の強度比(400)
/(311)が1.05〜1.20であるリチウムマン
ガン酸化物を得ることができる。
【0033】また、上述した製造方法により、スピネル
型構造を有し、リチウムマンガン酸化物のマンガンに対
するリチウムの原子比xが0.505〜0.525であ
り、マンガンに対する酸素の原子比O/Liは、1.9
6〜2.04であるリチウムマンガン酸化物を得ること
ができる。さらに、上述した製造方法により、熱重量測
定における熱重量変化温度が800℃以下であるリチウ
ムマンガン酸化物を得ることができる。
【0034】このように、均一な性状を有し、格子面が
ある規則性を有するリチウムマンガン酸化物は、リチウ
ムの挿入脱離による結晶構造の劣化や変質がなく、サイ
クル寿命の安定化を図り、大電流での充放電特性を向上
させるものである。
【0035】なお、これらリチウムマンガン酸化物のマ
ンガン源としては、化学合成二酸化マンガンの他に、電
解二酸化マンガン、三酸化二マンガン、四酸化三マンガ
ン、オキシ水酸化マンガン、硫酸マンガン、炭酸マンガ
ン、硝酸マンガン等が使用できる。リチウム源として
は、硝酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酢
酸リチウム、シュウ酸リチウム等が使用できる。リチウ
ムマンガン酸化物は、これらマンガン源とリチウム源と
を混合し、上述した条件下において熱処理されることに
より得ることができる。
【0036】特に原料として電解二酸化マンガンを用い
る場合には、価格的な点と、充填性が大幅に向上できる
メリットが大きい。化学合成二酸化マンガンや他のマン
ガン化合物ではタップ密度が1.8であるのに対し、こ
の電解二酸化マンガンを用いた場合には、タップ密度
2.1以上が可能であり、容量の増大にも極めて効果的
である。
【0037】また、一般的なマンガン酸化物を用いて薄
い電極を作製する際には、150μm以上の大きな粒子
を除去すると効果的である。
【0038】本発明は、リチウムマンガン酸化物の種
類、粒子径に依存するものではないが、比表面積が0.
5〜5m2であるマンガン化合物により合成されたもの
がより好ましい。
【0039】一方、負極活物質としては、リチウムをド
ープ及び脱ドープ可能なものであれば良く、熱分解炭素
類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、
石油コークスなど)、グラファイト類、ガラス状炭素
類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン
樹脂などを適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素
繊維、活性炭などの炭素質材料、あるいは、金属リチウ
ム、リチウム合金(例えば、リチウム−アルミ合金)の
他、ポリアセチレン、ポリピロールなどのポリマーが挙
げられる。
【0040】電解液には、リチウム塩を電解質とし、こ
れを0.5〜1.5モル/lなる濃度で有機溶媒に溶解
させた非水電解液が用いられる。ここで有機溶媒として
は、特に限定されるものではないが、例えば、炭酸プロ
ピレン、炭酸エチレン、炭酸ブチレン、γ−ブチロラク
トン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、酢酸エステル
化合物、プロピオン酸エステル化合物、ジ酢酸エステル
化合物、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジメト
キシプロパン、ジエトキシプロパン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキソランなどの単独もしくは2種類以上混合し
た混合溶媒が挙げられる。
【0041】電解質としては、過塩素酸リチウム、トリ
フルオロロメタンスルホン酸リチウム、四フッ化硼酸リ
チウム、六フッ化燐酸リチウム、六フッ化砒酸リチウム
などが挙げられる。
【0042】本発明に係る非水電解液二次電池の形状
は、特に限定されるものではなく、コイン型電池、円筒
状渦巻式電池、平板状角型電池、インサイドアウト型円
筒電池等、いずれの電池にも適用可能である。また、本
発明においては、小型電池に言及しているが、価格的に
は、大型電池に特に好適なものである。
【0043】
【実施例】以下、実際にLiMn24を主体とした正極
材料を用いてコイン型二次電池を作製し、電池試験を行
った。なお、本発明は、本実施例に限定されるものでな
いことは言うまでもない。
【0044】実施例1 炭酸マンガンと硝酸リチウムとを原子比でMn:Li=
1:0.52となるように計量し乳鉢に入れて混合し
た。そして、この混合物を一旦直径13mm、厚み1m
mのペレット状に加圧成型し、さらに乳鉢を用いて粗く
砕いた。次に、この混合物をアルミナ製坩鍋に入れ、電
気炉を用いて酸素雰囲気下350℃で2時間熱処理を
し、室温まで冷却した。その後再び乳鉢で混合し、ペレ
ット状に加圧成型した。そして、この成型体をアルミナ
製坩鍋に入れ、電気炉を用いて酸素雰囲気下750℃で
16時間熱処理を施した後、室温まで冷却することによ
って正極活物質を得た。
【0045】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図3に示すX線回折ピークが観測さ
れた。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn24
のX線回折ピークと一致する回折ピークを有している。
なお、(311)面に対応する回折ピークと(411)
面に対応する回折ピークの強度比(400)/(31
1)は、1.15であった。
【0046】なお、X線回折測定には、X線回折装置
(理学社製、商品名:ガイガーフレクス RAD−C)
を使用した。実施例2 炭酸マンガンと硝酸リチウムとを原子比でMn:Li=
1:0.515となるように計量混合し、実施例1と同
様にして正極活物質を得た。
【0047】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図4に示すX線回折ピークが観測さ
れた。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn24
のX線回折ピークと一致する回折ピークを有している。
なお、(311)面に対応する回折ピークと(411)
面に対応する回折ピークの強度比(400)/(31
1)は、1.13であった。
【0048】実施例3 オキシ水酸化マンガンと硝酸リチウムとを原子比でM
n:Li=1:0.51となるように計量し混合し、実
施例1と同様にして正極活物質を得た。
【0049】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図5に示すX線回折ピークが観測さ
れた。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn24
のX線回折ピークと一致する回折ピークを有している。
なお、(311)面に対応する回折ピークと(411)
面に対応する回折ピークの強度比(400)/(31
1)は、1.10であった。
【0050】実施例4 オキシ水酸化マンガンと硝酸リチウムとを原子比でM
n:Li=1:0.515となるように計量混合した。
そして、最初に400℃で2時間熱処理をし、この成型
体を室温まで冷却した。その後再び乳鉢で混合し、ペレ
ット状に加圧成型し、780℃で16時間熱処理を施
し、実施例1と同様にして正極活物質を得た。
【0051】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図6に示すX線回折ピークが観測さ
れた。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn24
のX線回折ピークと一致する回折ピークを有している。
なお、(311)面に対応する回折ピークと(411)
面に対応する回折ピークの強度比(400)/(31
1)は、1.19であった。
【0052】実施例5 オキシ水酸化マンガンと水酸化リチウムとを原子比でM
n:Li=1:0.515となるように計量し乳鉢に入
れて混合した。そして、この混合物を一旦直径13m
m、厚み1mmのペレット状に加圧成型し、次に、この
成型体をアルミナ製坩鍋に入れ、電気炉を用いて酸素雰
囲気下400℃で3時間熱処理をし、室温まで冷却し
た。その後再び乳鉢で混合粉砕し、この混合物をアルミ
ナ製坩鍋に入れ、電気炉を用いて酸素雰囲気下700℃
で12時間熱処理を施した後、室温まで冷却することに
よって正極活物質を得た。
【0053】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図7に示すX線回折ピークが観測さ
れた。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn24
のX線回折ピークと一致する回折ピークを有している。
なお、(311)面に対応する回折ピークと(411)
面に対応する回折ピークの強度比(400)/(31
1)は、1.12であった。
【0054】実施例6 オキシ水酸化マンガンと水酸化リチウムとを原子比でM
n:Li=1:0.51となるように混合し、2度目の
加熱温度を750℃とし、実施例5と同様にして正極活
物質を得た。
【0055】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図8に示すX線回折ピークが観測さ
れた。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn24
のX線回折ピークと一致する回折ピークを有している。
なお、(311)面に対応する回折ピークと(411)
面に対応する回折ピークの強度比(400)/(31
1)は、1.13であった。
【0056】実施例7 オキシ水酸化マンガンと水酸化リチウムとを原子比でM
n:Li=1:0.52となるように混合し、2度目の
加熱温度を650℃とし、実施例5と同様にして正極活
物質を得た。
【0057】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図9に示すX線回折ピークが観測さ
れた。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn24
のX線回折ピークと一致する回折ピークを有している。
なお、(311)面に対応する回折ピークと(411)
面に対応する回折ピークの強度比(400)/(31
1)は、1.15であった。
【0058】実施例8 オキシ水酸化マンガンと水酸化リチウムとを原子比でM
n:Li=1:0.525となるように計量混合した。
そして、2度目の加熱温度を750℃とし、実施例5と
同様にして正極活物質を得た。
【0059】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図10に示すX線回折ピークが観測
された。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn2
4のX線回折ピークと一致する回折ピークを有してい
る。なお、(311)面に対応する回折ピークと(41
1)面に対応する回折ピークの強度比(400)/(3
11)は、1.17であった。
【0060】比較例1 オキシ水酸化マンガンと硝酸リチウムとを原子比でM
n:Li=1:0.515となるように計量混合し、2
度目の加熱温度を800℃とした以外は、実施例1と同
様にして正極活物質を得た。
【0061】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図11に示すX線回折ピークが観測
された。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn2
4のX線回折ピークと一致する回折ピークを有してい
る。なお、(311)面に対応する回折ピークと(41
1)面に対応する回折ピークの強度比(400)/(3
11)は、1.21であった。
【0062】比較例2 電解二酸化マンガンと硝酸リチウムとを原子比でMn:
Li=1:0.51となるように計量混合し、2度目の
加熱温度を800℃とした以外は、実施例1と同様にし
て正極活物質を得た。
【0063】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図12に示すX線回折ピークが観測
された。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn2
4のX線回折ピークと一致する回折ピークを有してい
る。なお、(311)面に対応する回折ピークと(41
1)面に対応する回折ピークの強度比(400)/(3
11)は、1.03であった。
【0064】比較例3 オキシ水酸化マンガンと硝酸リチウムとを原子比でM
n:Li=1:0.51となるように計量混合し、2度
目の加熱温度を600℃とした以外は、実施例1と同様
にして正極活物質を得た。
【0065】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図13に示すX線回折ピークが観測
された。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn2
4のX線回折ピークと一致する回折ピークを有してい
る。なお、(311)面に対応する回折ピークと(41
1)面に対応する回折ピークの強度比(400)/(3
11)は、0.97であった。
【0066】比較例4 オキシ水酸化マンガンと硝酸リチウムとを原子比でM
n:Li=1:0.53となるように計量混合した以外
は、実施例1と同様にして正極活物質を得た。
【0067】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図14に示すX線回折ピークが観測
された。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn2
4のX線回折ピークと一致する回折ピークを有してい
る。なお、(311)面に対応する回折ピークと(41
1)面に対応する回折ピークの強度比(400)/(3
11)は、1.01であった。
【0068】比較例5 オキシ水酸化マンガンと水酸化リチウムとを原子比でM
n:Li=1:0.515となるように計量し乳鉢に入
れて混合した。この混合物をアルミナ製坩鍋に入れ、電
気炉を用いて空気雰囲気下400℃で3時間熱処理を
し、再びそのまま750℃で12時間熱処理を施し、室
温まで冷却することによって正極活物質を得た。
【0069】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図15に示すX線回折ピークが観測
された。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn2
4のX線回折ピークと一致する回折ピークを有してい
る。なお、(311)面に対応する回折ピークと(41
1)面に対応する回折ピークの強度比(400)/(3
11)は、1.05であった。
【0070】比較例6 最初に空気雰囲気下加熱温度400℃で熱処理を施し、
この成型体を室温まで冷却後再び粉砕混合し、次に、こ
の混合体を空気雰囲気下加熱温度800℃で熱処理を施
し、実施例5と同様にして正極活物質を得た。
【0071】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図16に示すX線回折ピークが観測
された。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn2
4のX線回折ピークと一致する回折ピークを有してい
る。なお、(311)面に対応する回折ピークと(41
1)面に対応する回折ピークの強度比(400)/(3
11)は、1.07であった。
【0072】比較例7 最初に、空気雰囲気下加熱温度480℃で熱処理を施
し、次に空気雰囲気下加熱温度640℃で熱処理を施
し、実施例5と同様に正極活物質を得た。
【0073】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図17に示すX線回折ピークが観測
された。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn2
4のX線回折ピークと一致する回折ピークを有してい
る。なお、(311)面に対応する回折ピークと(41
1)面に対応する回折ピークの強度比(400)/(3
11)は、1.02であった。
【0074】比較例8 オキシ水酸化マンガンと水酸化リチウムとを原子比でM
n:Li=1:0.525となるように混合し、加圧成
型した。この成型体を空気雰囲気下加熱温度350℃で
熱処理を施し、次に空気雰囲気下加熱温度800℃で熱
処理を施し、実施例5と同様にして正極活物質を得た。
【0075】得られた正極活物質について、X線回折測
定を行ったところ、図18に示すX線回折ピークが観測
された。このX線回折ピークは、スピネル型LiMn2
4のX線回折ピークと一致する回折ピークを有してい
る。なお、(311)面に対応する回折ピークと(41
1)面に対応する回折ピークの強度比(400)/(3
11)は、1.22であった。
【0076】正極活物質の性状評価 以上、実施例1〜実施例8で得られた正極活物質は、4
50℃以下で加熱処理を行う第1の処理工程と、第1の
処理工程で得られた混合体を再度粉砕混合して650〜
780℃で加熱処理をう第2の処理工程を経て作製され
ている。このような処理工程を経て作製された正極活物
質は、(311)面と(411)面の回折ピーク強度比
(400)/(311)が1.05〜1.20に規制さ
れる。
【0077】それに対し、比較例1〜比較例3及び比較
例6〜比較例8で得られた正極活物質は、第2の処理工
程の加熱温度が650℃未満もしくは780℃を越えて
いるため、(311)面と(411)面の回折ピーク強
度比(400)/(311)が上記範囲を満たしていな
い。また、比較例4は、リチウムマンガン酸化物のマン
ガンに対するリチウムの原子比xが0.525を越える
ため、本発明の目的とする格子面の規則性が得られな
い。さらに、比較例5は、第1の処理工程と第2の処理
工程との間に再混合を行っていないため、本発明の目的
とする格子面の規則性が得られない。
【0078】なお、上述した製造方法により得られた実
施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例4の正極活物質
の組成を調べた。なお、Mnは鉄分離過マンガン酸直接
滴定法(JIS規格M8232による)により測定し、
Mn以外の金属は原子吸光法により測定した。この組成
分析結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】表1の結果から、ほぼ原料混合比に対応し
た組成比で正極活物質が生成されていることが確認でき
た。他の実施例についても同様の結果が得られることが
確認されている。
【0081】さらに、上述した製造方法により得られた
正極活物質の性状を調べるために、実施例1〜実施例4
及び比較例1〜比較例4の正極活物質について、その粒
径と比表面積を調べた。なお、粒子径分布は、レーザー
式測定機により測定した。その結果を表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】各実施例で得られた正極活物質は、表2に
示されるように、粒子径と比表面積はほぼ同様の性状を
示している。このことから、上述した製造条件により得
られる正極活物質は、リチウム源及びマンガン源に関わ
らず、粉末としてほぼ同様の粉末として扱えるものであ
る。他の実施例についても同様の結果が得られることが
確認されている。
【0084】また、実施例5〜実施例8及び比較例5〜
比較例8で得られた正極活物質の粉末材料について、そ
の重量変化温度を調べた。なお、熱重量変化の測定に
は、熱天秤を用い、空気中にて昇温10℃/分の定速で
室温から900℃まで昇温させ、各粉末材料の重量変化
温度を調べた。その結果を図20及び表3に示す。図2
0には、実施例1の粉末材料の重量変化曲線(TG)と
示差熱分析曲線(DTA)を示した。
【0085】
【表3】
【0086】これらの結果から、実施例5〜実施例8の
正極活物質は、熱重量変化温度が800℃以下となるよ
うな性状のリチウムマンガン酸化物となっていることが
わかる。他の実施例についても同様の結果が得られるこ
とが確認されている。それに対し、比較例の正極活物質
は、重量変化温度が800℃以上を示す場合があり、一
定していない。
【0087】電池の組立 次に、上述のように作製された正極活物質(実施例1〜
実施例8、比較例1〜比較例8)を用いて、図19に示
されるコイン型電池1を次のように作製した。
【0088】先ず始めに、各々の正極活物質を活物質と
して用い、これに導電剤としてグラファイト、結着剤と
してポリフッ化ビニリデンを重量比で90:7:3の割
合で混合した。これを50mg秤り取り、アルミニウム
ネットとともに加圧プレス装置で直径15mm、厚み
0.3mmに加圧成型し、120℃で2時間真空乾燥さ
せて正極ペレット2を作製した。
【0089】負極としては、厚み1.6mmのリチウム
板を用意し、直径17mmに打ち抜いて負極ペレット3
を作製した。そして、予め用意された電池蓋4に負極ペ
レット3を加圧プレス装置で圧着した。
【0090】次に、上記正極ペレット2を電池缶5に載
せ、その上にポリプロピレン製セパレータ(ヘキスト社
製、商品名:セルガード#2502)6を載置した。こ
れに、混合溶媒(プロピレンカーボネイト:ジエチルカ
ーボネイト=1:1)にLiPF6を1モル/lで溶解
させてなる電解液を注液し、前記負極ペレット3が圧着
された電池蓋4を載せ、ガスケット7によりかしめて封
口した。これにより、直径20mm、厚み2.5mmの
コイン型電池を得た。
【0091】電池試験 実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例4で得られた
正極活物質を用いて作製された上記コイン型電池につい
て、開路電圧と、電池抵抗を測定した。その結果を表4
に示す。なお、電池抵抗は、1kHzの交流電圧を与え
て測定した。
【0092】
【表4】
【0093】表4の結果からわかるように、実施例1〜
実施例4及び比較例1〜比較例4の電池においては、い
ずれも実用に供する値を示した。他の実施例の電池につ
いてもいずれも実用に供する値を示すことが確認されて
いる。
【0094】また、実施例1〜実施例8及び比較例1〜
比較例8の各々のコイン型電池について、次のような充
放電試験を行った。
【0095】先ず、電流密度0.5mA/cm2、上限
電圧4.2Vで12時間充電後、電流密度0.5mA/
cm2で3.0Vまで放電させた。次に、電流密度1.
0mA/cm2上限電圧4.2Vで5.5時間充電し、
電流密度1.0mA/cm2で終止電圧3.0Vまで放
電させるサイクルを5回繰り返し行った。
【0096】そして、上記の電池について、放電負荷性
能試験として、電流密度1.0mA/cm2、上限電圧
4.2Vで5.5時間充電し、電流密度0.5〜5mA
/cm2で3.0Vまで放電した。これらの結果を図2
1及び図22に示す。
【0097】また、上記の電池について、放充電サイク
ル試験として、電流密度1.0mA/cm2、上限電圧
4.2Vで5.5時間充電し、電流密度1.0mA/c
2で3.0Vまで放電させるサイクル試験を繰り返し
行った。これらの結果を図23及び図24に示す。
【0098】図21〜図24の結果からわかるように、
実施例1〜実施例8の各電池は、X線回折による回折ピ
ークにおいて、(311)面と(400)面の回折ピー
クの強度比(400)/(311)が1.05〜1.2
0であるリチウムマンガン酸化物を正極活物質に用いて
なるため、比較例の各電池に比べ、放電負荷特性が高
く、サイクル特性に優れている。さらに、(400)/
(311)=1.10〜1.15の強度比にある実施例
1〜実施例3及び実施例5〜実施例7は、特に放電負荷
特性に優れているのがわかる。
【0099】それに対し、比較例1〜比較例3及び比較
例6〜比較例8は、第2の処理工程において、650〜
780℃の温度条件内で加熱処理を行わなかったため、
放電負荷特性及びサイクル特性に劣っている。また、上
記温度範囲を満たしていても、第1の処理工程の後、再
度粉砕混合を行わなかった比較例5は、格子面が規則性
を有していないため、放電負荷特性及びサイクル特性に
劣っている。また、比較例4の結果と比べてわかるよう
に、リチウムマンガン酸化物のマンガンに対するリチウ
ムの原子比xは、0.505〜0.525であることが
より好ましい。このように、上記条件を満たしていない
比較例の各電池は、正極活物質の(400)/(31
1)の強度比が規定の範囲内に入らず、結晶構造劣化が
進行しやすいため、良好な電池特性が発揮されない。
【0100】以上の結果から、本発明においては、マン
ガンに対するリチウムの原子比Li/Mnが0.505
〜0.525となるリチウムマンガン源を450℃以下
で加熱処理を行う第1の処理工程と、第1の処理工程で
得られた混合体を再度粉砕混合して650〜780℃で
加熱処理を行う第2の処理工程とを経てなることから、
スピネル構造を有し、(311)面と(411)面の回
折ピーク強度比(400)/(311)が1.05〜
1.20となるリチウムマンガン酸化物を得ることがで
きる。また、このようにして得られる正極活物質は、熱
重量変化温度が800℃以下となる。
【0101】また、上述した製造方法により得られた正
極活物質を用いてなるコイン型電池は、正極活物質の
(311)面と(400)面との回折ピークの強度比が
規制され、熱重量変化温度が800℃以下に規制されて
なることから、充放電サイクルに伴うリチウムイオンの
挿入脱離反応がスムーズに進行し、正極活物質そのもの
の変質や結晶構造劣化が抑制され、放電負荷特性、サイ
クル特性に優れたものとなる。
【0102】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、スピネル構造を有し、(311)面と(4
00)面の回折ピーク強度比(400)/(311)が
1.05〜1.20に規制されたリチウムマンガン酸化
物を得ることができる。また、本発明によれば、このリ
チウムマンガン酸化物を正極活物質に用いることによ
り、正極材料そのものの変質、結晶構造劣化が抑制さ
れ、放電負荷特性、サイクル特性に優れた非水電解液二
次電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スピネル型構造を示す模式図である。
【図2】LiMn24のスピネル型構造のトンネルの網
状構造を説明する模式図である。
【図3】実施例1のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図4】実施例2のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図5】実施例3のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図6】実施例4のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図7】実施例5のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図8】実施例6のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図9】実施例7のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図10】実施例8のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図11】比較例1のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図12】比較例2のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図13】比較例3のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図14】比較例4のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図15】比較例5のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図16】比較例6のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図17】比較例7のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図18】比較例8のX線回折ピークを示す特性図であ
る。
【図19】本発明を適用したコイン型二次電池の断面図
である。
【図20】実施例1の正極活物質の熱分析法による分析
結果を示す特性図である。
【図21】電流密度と放電容量との関係を示す特性図で
ある。
【図22】電流密度と放電容量との関係を示す特性図で
ある。
【図23】サイクル数と放電容量との関係を示す特性図
である。
【図24】サイクル数と放電容量との関係を示す特性図
である。
【符号の説明】
1 コイン型電池、2 正極ペレット、3 負極ペレッ
ト、4 電池蓋、5 電池缶、6 セパレータ、7 ガ
スケット

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムマンガン酸化物を活物質とする
    正極と、リチウムをドープ及び脱ドープすることが可能
    である負極と、非水電解液とを備えてなり、 上記リチウムマンガン酸化物のX線回折による回折ピー
    クにおいて、(311)面と(400)面の回折ピーク
    の強度比(400)/(311)が1.05〜1.20
    であることを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 【請求項2】 上記リチウムマンガン酸化物のマンガン
    に対するリチウムの原子比Li/Mnが0.505〜
    0.525であり、マンガンに対する酸素の原子比O/
    Liが1.96〜2.04であることを特徴とする請求
    項1記載の非水電解液二次電池。
  3. 【請求項3】 上記リチウムマンガン酸化物は、LiM
    24もしくはLi2MnO3の少なくともいずれかより
    選ばれてなり、熱重量測定における熱重量変化温度が8
    00℃以下であることを特徴とする請求項1記載の非水
    電解液二次電池。
  4. 【請求項4】 マンガンに対するリチウムの原子比Li
    /Mnが0.505〜0.525となるリチウム源とマ
    ンガン源との混合物を、450℃以下で加熱処理を行う
    第一の処理工程と、 第一の処理工程により得られた混合体を室温冷却後粉砕
    混合し、650〜780℃で再び加熱処理を行う第二の
    処理工程とによりリチウムマンガン酸化物を得ることを
    特徴とする正極活物質の製造方法。
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