JPH10117662A - 土壌有害生物防除のための土壌処理方法 - Google Patents

土壌有害生物防除のための土壌処理方法

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JPH10117662A
JPH10117662A JP28420496A JP28420496A JPH10117662A JP H10117662 A JPH10117662 A JP H10117662A JP 28420496 A JP28420496 A JP 28420496A JP 28420496 A JP28420496 A JP 28420496A JP H10117662 A JPH10117662 A JP H10117662A
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soil
azide
compound
hydrogen
treatment
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JP28420496A
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English (en)
Inventor
Tetsunori Sato
哲則 佐藤
Tatsuya Sone
達也 曽根
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アジ化水素ガスにより、土壌有害生物を効率
的に防除するための土壌処理方法を提供する。 【解決手段】 土壌有害生物を防除するに当り、加水分
解によりアジ化水素を発生するアジ化化合物を含有する
組成物を土壌に散布処理し、土壌濃度が10℃以上にお
いて、加水分解により発生した土壌内部空隙中のアジ化
水素ガス濃度(Cppm)と土壌が処理される期間(T
時間)との積(C×T)が500以上20,000以下
とする土壌処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土壌有害生物の防
除に有効なアジ化化合物から発生するアジ化水素ガスを
効率的に作用させる土壌処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、施設園芸、蔬菜栽培では施設、土
地の高度利用の観点から集約的栽培が行われ、同一植物
を同一箇所で連作することによる障害が見られている。
良好な収穫が得られない主な原因は土壌中の病害虫によ
るものであることから、これらを防除でき、かつ省力化
に繋がる雑草の防除にも充分な効果を示す土壌処理剤お
よび土壌処理方法が求められている。このような場合現
在までは、臭化メチルが広く使用されていたが、臭化メ
チルは環境問題からその使用を規制されつつあり、代替
の土壌処理剤とともに土壌処理方法が求められている。
【0003】病害菌に効力のあるクロルピクリン(有効
成分:トリクロロニトロメタン)、線虫に効力のあるD
−D剤(有効成分:1,3−ジクロロプロペン)も土壌
病害の防除に使用されているが、菌、線虫、害虫、雑草
の全てに効果の高い臭化メチルほどの総合的な効力は期
待できない。
【0004】アジ化塩、例えばアジ化アルカリ塩等は土
壌中の酸によりすみやかに加水分解してアジ化水素を発
生し、これが生物活性を示し、一部の土壌中の病害虫や
雑草の防除に(CAN.J.MICROBIOL.VOL.21,P.565〜570,19
75)、ピーナッツの線虫、さや腐敗病の防除に(特開昭
49−93526号公報)、除草に(特公昭53−23
375号公報)、マメ、トマトのフザリウム病、リゾク
トニア病、バーチシリウム病、フィトフィトラ病等に
(FUNGICIDES FOR CROP PROTECTION. BCPC MONOGRAPH,N
O.31,P.253〜256,1985)効果があることが知られてい
る。また、特開平8−59416号公報には、固体粉
末、アジ化化合物、アジ化化合物の分解剤およびバイン
ダーよりなる組成物が、殺菌、殺線虫、殺雑草に効果が
あることが示されている。しかしながら、かかる組成物
は、製造時に水分が存在すると、アジ化化合物が分解剤
の作用により分解するため、有機溶媒を使用しなければ
ならない等製造上の制約が多く、さらに施用前は無水状
態に保持していなければならず、大気雰囲気中でのかか
る組成物の保存安定性は十分ではなく、そのため、土壌
処理の効果において、バラツキを生じる場合があり、そ
の改善が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アジ
化化合物が土壌中ですみやかに加水分解し、アジ化水素
ガスを発生させ、土壌有害生物を効率的に防除するため
の、土壌処理方法を提供することにある。本発明者等
は、この目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、
アジ化化合物を含有する組成物を土壌に散布処理し、一
定の土壌温度において、土壌中に発生したアジ化水素ガ
ス濃度(Cppm)と土壌処理期間(T時間)の積(C
×T)を一定の範囲とすることにより、土壌有害生物を
防除できる土壌処理方法を見い出し、本発明に到達し
た。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、土壌有害生物を防除するに当り、加水分解によりア
ジ化水素を発生しうるアジ化化合物を含有する組成物
を、土壌に散布処理し、土壌温度が10℃以上におい
て、加水分解により発生した土壌内部空隙中のアジ化水
素ガス濃度(Cppm)と土壌が処理される期間(T時
間)との積(C×T)が500以上20,000以下の
範囲とする土壌処理方法が提供される。
【0007】本発明で使用される加水分解によりアジ化
水素を発生しうるアジ化化合物組成物としては、固体粉
末、分解によりアジ化水素を発生しうるアジ化化合物お
よび水溶性バインダーより実質的になる水分解性組成物
やアジ化化合物を水に溶解した水溶液等が好ましく用い
られ、特に前者の水分解性組成物が、保存安定性が良
く、取扱い易く、作業性に優れているために好ましく用
いられる。
【0008】上記の水分解性組成物の成分である固体粉
末は、アジ化化合物を安定的に希釈でき、かつ容易に一
定形状に成形する目的に用いられる。この固体粉末とし
ては例えば鉱物質、植物質、合成品、半合成品、天然品
のいずれでもよく、鉱物質としてはクレー、炭酸カルシ
ウム、バーミキュライト、パーライト、タルク、酸性白
土、カオリン、ゼオライト等が挙げられ、植物質として
はセルロース加水分解物、もみ殻、パルプ等が挙げら
れ、またエチレン−酢酸ビニル共重合体の粉末等でもよ
い。
【0009】分解によりアジ化水素を発生しうるアジ化
化合物としては、水の作用により分解される化合物であ
ればよく、例えばアジ化塩、特にアルカリ金属塩または
アルカリ土類金属塩が好ましく、具体的にはアジ化ナト
リウム、アジ化カリウム、アジ化カルシウムおよびアジ
化バリウム等が用いられ、特にアジ化ナトリウムが好ま
しい。
【0010】水溶性バインダーは、固体粉末と共にアジ
化化合物を土壌処理剤として効果的に作用せしめると共
に良好な形態に成形する目的で用いられ、このバインダ
ーとしては、水溶性であり、かつ有機溶媒にも溶解する
高分子であるのが好ましい。この水溶性バインダーは、
20℃において水1リットル当り200〜3,000g
の範囲、好ましくは300〜1,000gの範囲で溶解
するものが適当である。200g/リットルより溶解度
の低いものは溶媒量を多く必要とし、製造上支障があ
る。一方、3,000g/リットルを越える溶解度の高
いものは、適当な粘度を維持することが困難で成形上問
題がある。
【0011】水溶性バインダーは、固体粉末およびアジ
化化合物を土壌処理剤として適する形態に成形する作用
と共に、土壌中に散布された後、水の作用によりその成
形物が崩壊し、アジ化水素の発生を促進する機能を有し
ている。この水溶性バインダーとしては、例えばデンプ
ン、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガ
ム、ゼラチン、リグニン、ヒドロキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリルアミド、
部分けん化ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコール、
ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル
共重合体等が挙げられる。これらのうちポリエチレング
リコールが成形性および防除性の両面から好ましい。特
にポリエチレングリコールのなかでも水に対する溶解度
が200〜3,000g/リットル、更に好ましくは3
00〜1,000g/リットルのものが好ましい。一般
的には重量平均分子量が1,000〜15,000のもの
が好ましい。
【0012】本発明において、好ましく用いられる上述
の水分解性組成物は、それ自体大気雰囲気中で安定であ
り安全である。しかしこの組成物を土中へ散布し土と混
和すると、土中の水分によりその成形物が崩壊し、アジ
化化合物は水と接触し分解してアジ化水素を発生する。
この際酸性土壌中においては、その酸性によりアジ化化
合物の分解は一層促進される。従って本発明の前記水分
解性組成物は、pH7以下の酸性土壌に対して有効であ
り、中性またはアルカリ性土壌に対しては、土壌を酸性
処理するかまたはアジ化化合物の分解剤を散布すること
が効果的である。
【0013】本発明に好ましく用いられる前記固体粉
末、分解によりアジ化水素を発生しうるアジ化化合物お
よび水溶性バインダーより実質的になる水分解性組成物
は、この組成物を成形して粒状で使用されることが特に
好ましい。また、この水分解性組成物粒子の各成分の好
ましい割合(重量)は、組成物を100としたとき、固
体粉末30〜99、より好ましくは50〜90、アジ化
化合物1〜40、より好ましくは5〜30、および水溶
性バインダー0.1〜30、より好ましくは2〜20の
割合であり、この組成物粒子が土壌処理剤として好まし
く使用される。
【0014】固体粉末が30重量%より少なくなると、
相対的にアジ化化合物の量が多くなるため、全てのアジ
化化合物が加水分解する時間が長くなり好ましくなく、
一方99重量%より多くなると、アジ化化合物の割合が
相対的に少なくなり、土壌有害生物の防除に効果を示す
に必要な高濃度のアジ化水素が得られなくなる。アジ化
化合物が1重量%より少なくなると、土壌有害生物の防
除の効果が劣り、40重量%より多くなると、未分解の
アジ化化合物が土壌に残留し薬害を起こす危険性があ
る。水溶性バインダーが0.1重量%より少ない場合
も、また30重量%を越える場合も均一散布に必要な良
好な成形物が得られなくなり、アジ化化合物が土壌中で
効果的に作用しなくなる。
【0015】また、前記土壌処理剤は、平均粒径が10
0μm〜2,000μmの形態に成形された粒状の土壌
処理剤であることが好ましい。この土壌処理剤としての
粒子の平均粒径は300μm〜1,000μmの範囲が
より好ましい。この平均粒径が100μmより小さい
と、散布中に土壌処理剤が飛散しやすく、目的部位への
施用量がばらつき、また作業者に対する被ばくの危険性
も増加する。一方2,000μmより大きいと、散布効
果が均一でなくなり、局所的に防除効果が不十分な部分
が存在し、またアジ化水素が残留し薬害を起こす危険性
があり好ましくない。
【0016】かかる土壌処理剤は、前記した100μm
〜2,000μmの平均粒径を有する粒状物であるのが
好ましいが、粒度分布はあまり広くないのが望ましく、
シャープであるのが効果的である。かかる土壌処理剤
は、粒径が300μm以下の粒子および粒径が1,50
0μm以上の粒子の合計重量が、全粒子の合計重量に基
づいて20%以下、好ましくは15%以下であるのが好
ましい。このように粒径が300μmより小さい粒子お
よび粒径が1,500μmより大きい粒子の合計量が2
0%を越えると、粒子の散布効果が均一でなくなり、局
部的に防除効果が不充分な部分が存在し、また全体に亘
って防除活性も制御し難くなり、また或る場合には残留
活性が問題となることもあるので望ましくない。
【0017】前記土壌処理剤の粒状物を構成する固体粉
末の平均粒径は10μm〜100μmの範囲が好まし
く、40μm〜80μmの範囲がより好ましい。固体粉
末の平均粒径が上記範囲をはずれると本発明の目的が達
成され難くなる。
【0018】かかる土壌処理剤の製法としては、特に制
限されないが、例えば固体粉末、アジ化化合物を混合し
たものと、有機溶媒にバインダーを溶解したものとを、
ニーダーで練り合わせて押出成形または圧縮成形して粒
状化する方法、あるいは固体粉末とアジ化化合物を混合
したものと、水にバインダーを溶解したものとを、ニー
ダーで練り合わせて押出成形または圧縮成形して粒状化
し、これを乾燥して水分を除去する方法が用いられ、作
業性から後者の水を使用する方法が好ましく採用され
る。この製法に使用する有機溶媒としては、アジ化化合
物に対して不活性なものであり、さらにバインダーを溶
解するものが好ましく、例えばエタノール、ブタノール
等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等の
ケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が挙
げられる。
【0019】該土壌処理剤は、固体のアジ化化合物と固
体粉末とがバインダーにより結合した粒状物であり、大
気雰囲気中ではアジ化化合物が分解されず保存安定性が
よく、しかも土壌中では土壌中の水分によりアジ化化合
物が加水分解し、土壌有害生物の防除に優れた効果を示
す。
【0020】一方、分解によりアジ化水素を発生し得る
アジ化化合物を含有する組成物として、アジ化化合物の
水溶液も好ましく使用することができる。アジ化化合物
の水溶液を使用する場合、アジ化化合物の濃度は5〜4
0重量%の範囲が好ましい。5重量%未満では水が必要
以上に多量となりアジ化化合物が拡散し難くなり、40
重量%を越えると散布時にバラツキがあり防除効果が不
十分となり好ましくない。
【0021】アジ化化合物の水溶液は、中性およびアル
カリ性では安定であるが、酸性にするとアジ化化合物が
分解され易くなる。すなわち、アジ化化合物の水溶液は
中性またはアルカリ性であるのが適当であり、pHで表
して7〜12、好ましくは7〜11の範囲が適当であ
る。このアジ化化合物の水溶液を土中へ散布する際、酸
性土壌中においては、その酸性によりアジ化化合物はす
みやかに分解される。一方、中性またはアルカリ性土壌
に対しては、土壌を酸性処理するかまたはアジ化化合物
の分解剤を散布することが効果的である。
【0022】土壌処理剤の施用方法としては、手播きあ
るいは散粒機等、土壌に直接かつ均等に播く方法であれ
ばよい。また、これらの散布処理において、アジ化化合
物を含有する組成物を散布した土壌をそのまま放置して
もよいが、シートにより被覆することが有利に採用され
る。被覆することにより、アジ化化合物の分解により発
生したアジ化水素が空気中に揮散することなく、散布量
がそのまま土壌有害生物に有効に働くため好ましく用い
られる。
【0023】本発明の土壌処理方法において、前記アジ
化化合物を含有する組成物を土壌に散布処理し、加水分
解により発生した土壌内部空隙中のアジ化水素ガス濃度
(Cppm)と、土壌が処理される期間(T時間)との
積(C×T)が500以上20,000以下の範囲であ
り、好ましくは1,000以上8,000以下の範囲であ
る。(C×T)が500未満では、土壌有害生物に対し
て、その防除効果が十分でないため好ましくなく、一
方、(C×T)は20,000までで十分防除効果が得
られ、この値以上は必要とされない。
【0024】上記アジ化水素ガス濃度(Cppm)と土
壌処理時間(T時間)との積(C×T)とは、土壌処理
期間に対するアジ化水素ガス濃度の積分値を意味する。
本発明においては、簡易的に以下の方法で求めた。アジ
化化合物を含有する組成物を土壌に散布した時点から、
土壌処理期間の終了までの期間(T時間)を3分割す
る。第1回目のアジ化水素ガス濃度の測定は、散布時か
ら24時間経過後とし、土壌中10cm深さの土壌内部
空隙中のガスを採取し、測定したアジ化水素ガス濃度を
xppmとする。第2回目のアジ化水素ガス濃度の測定
は、土壌処理期間の2/3が経過した時点で同様に測定
したアジ化水素ガス濃度をyppm、第3回目のアジ化
水素ガス濃度の測定は、土壌処理期間終了時に同様に測
定したアジ化水素ガス濃度をzppmとする。これらの
値から、下記式により(C×T)を算出した。 (C×T)=24×x/2+[(x+y)×(2T/3-24)/2]+[(y+z)×T/3/2]
【0025】前記加水分解により発生した土壌内部空隙
中のアジ化水素ガス濃度(Cppm)は、1〜1,00
0ppmが好ましく、10〜300ppmがより好まし
い。アジ化水素ガス濃度が1ppm未満では、土壌有害
生物に対する防除効果が不十分であるため好ましくな
い。
【0026】また、前記土壌が処理される期間(T時
間)とは、実質的に殺菌処理を施している期間であり、
具体的には、被覆処理する場合は、散布から被覆をはが
し耕起するまでの被覆処理期間を意味する。他方、散布
後被覆しないで処理する場合には、散布から耕起までの
期間を意味する。また、散布からの土壌処理期間を短く
して有用植物を早期に定植したい場合には、アジ化水素
またはアジ化化合物による薬害を防止するために、イソ
チオシアン酸エステル化合物、イソチオシアン酸エステ
ル化合物を発生しうる化合物、亜硝酸アルカリ金属塩ま
たは亜硝酸アルカリ土類金属塩等の薬害防止剤を散布す
る場合があり、この場合はかかる薬害防止剤を散布する
までの期間を意味する。かかる土壌処理期間としては、
実用的に50時間以上が好ましく、70時間以上がより
好ましく、また、2ケ月以下が好ましく、1ケ月以下が
より好ましい。
【0027】本発明の土壌処理方法において、処理され
る土壌の土壌温度は10℃以上である。かかる温度未満
では、土壌病原菌、線虫、害虫に対するアジ化水素の効
果が少なく、また、散布されたアジ化化合物からのアジ
化水素の発生量も少なくなるため好ましくない。また、
土壌温度の上限は、特に制限されないが、実用的には4
0℃以下で行うことが好ましい。土壌温度の測定方法と
しては、前記アジ化水素ガス濃度測定時に、土壌表面か
ら10cmの深さに温度計を差し込み温度を測定し、そ
の3回の測定値の平均値を求め土壌温度とした。
【0028】本発明の土壌処理方法は、土壌内部空隙中
のアジ化水素ガス濃度を測定することにより、土壌有害
生物への効果に対する適正なアジ化水素ガス濃度範囲が
明確となった。また、土壌に関する状態(土性、土壌温
度、土壌pH、土壌水分等)により、アジ化化合物の施
用量をかかる適正なアジ化水素ガス濃度範囲に設定する
ことも可能である。
【0029】本発明における土壌有害生物としては、フ
ザリウム菌、リゾクトニア菌、フィトフィトラ菌、ピシ
ウム菌等の菌、ネコブ線虫、ネグサレ線虫、シスト線虫
等の線虫、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ、ヨトウム
シ、ハスモンヨトウ、タバコガ、フキノメイガ、ジャガ
イモガ、ネキリムシ、タマナヤガ、ケラ、コオロギ、タ
ネバエ、タマネギバエ、カブラハバチ、ダンゴムシ等の
卵、蛹、幼虫、成虫である土壌害虫およびヒメイヌビ
エ、ホソアオゲイトウ、メヒシバ等の雑草が挙げられ
る。
【0030】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明をさらに説明する
が、本発明はこれに限定されることはない。なお、実施
例の防除効果は下記の方法で求めた。
【0031】
【数1】
【0032】実施例1〜3、比較例1〜2 アジ化ナトリウム(東洋化成(株)製)100部に、タ
ルク(日本タルク(株)製)850部を加えて混合して
ニーダー(不二パウダル(株)製DHJ−10型)に入
れ、これに水200部にポリエチレングリコール(重量
平均分子量7,500、和光純薬工業(株)製)50部
を溶解した溶液を添加しながらニーダーで練り合わせ
た。次に、穴直径0.8mmのスクリーンを付けた押出
造粒機(不二パウダル(株)製DG−L1型)で押し出
し、さらに整粒機(不二パウダル(株)製球形整粒機Q
J−230型)で整粒し、平均粒径1,000μmの粒
剤を得た。この粒剤を乾燥機(不二パウダル(株)流動
乾燥機2F型)で乾燥して、アジ化ナトリウム10重量
%を含有する粒剤1,000gを得た。この粒剤を用い
て圃場試験を実施した。この試験圃場にはフザリウム菌
汚染えん麦種子20粒、雑草種子(ヒメイヌビエ50
粒)、ネコブ線虫汚染土(25g)、土壌害虫(ドウガ
ネブイブイ幼虫)5頭を生物評価のためにガーゼに包ん
だ各種試料を埋設した。前記アジ化ナトリウム10重量
%を含有する粒剤を所定量散布処理し、土壌処理終了
後、試料を回収し、フザリウム菌汚染えん麦種子は硫酸
ストレプトマイシン100ppm水溶液で雑菌を消毒し
た後、フザリウム菌選択培地に並べてフザリウム菌発芽
えん麦種子数を調べた。雑草種子は含水したろ紙に並べ
て発芽数を調べた。線虫汚染土壌はベールマン法により
線虫を分離し、線虫数を計測した。土壌害虫は回収し生
死を判別した。前記式により殺菌率、殺雑草率、殺線虫
率、殺土壌害虫率を求めた。また、アジ化水素ガスの土
壌内部空隙中の濃度は土壌処理期間の終了までの期間を
3分割し、第1回は開始24時間後にシリンジで5ml
の土壌中10cm位置の気体を採取、HPLCを用いて
測定した。また、土壌処理期間(T時間)の2/3が経
過した時点で2回目を同様に測定し、さらに、土壌処理
期間終了時点で3回目を同様に測定した。この測定値と
前記式より(C×T)値を算出した。土壌温度は、アジ
化水素ガス濃度の測定時に、土壌中10cmの位置を温
度計にて測定し、その3回の測定値の平均とした。その
結果を表1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】実施例4〜8、比較例3 5000分の1アールのワグネルポットに土壌条件の異
なる土を入れ、試験を行った。これらの土壌の中に、フ
ザリウム菌汚染えん麦種子20粒、雑草種子(ヒメイヌ
ビエ50粒)、ネコブ線虫汚染土(25g)を生物評価
のためにガーゼに包んだ各種試料を埋設した。これに実
施例1〜3で使用したアジ化ナトリウムを10重量%含
有する粒剤を所定量散布処理し、土壌処理終了後、試料
を回収し、フザリウム菌汚染えん麦種子は硫酸ストレプ
トマイシン100ppm水溶液で雑菌を消毒した後、フ
ザリウム菌選択培地に並べてフザリウム菌発芽えん麦種
子数を調べた。雑草種子は含水したろ紙に並べて発芽数
を調べた。線虫汚染土壌はベールマン法により線虫を分
離し、線虫数を計測した。前記式より、殺菌率、殺雑草
率、殺線虫率を求めた。また、アジ化水素ガスの土壌内
部空隙中の濃度は、土壌処理期間の終了までの期間を3
分割し、第1回は開始24時間後にシリンジで5mlの
土壌中10cm位置の気体を採取、HPLCを用いて測
定した。また、土壌処理期間(T時間)の2/3が経過
した時点で2回目を同様に測定し、さらに、土壌処理期
間終了時点で、3回目を同様に測定した。この測定値と
前記式により(C×T)値を算出した。土壌温度は、ア
ジ化水素ガス濃度の測定時に、土壌中10cmの位置を
温度計にて測定し、その3回の測定値の平均とした。そ
の結果を表2に示した。
【0035】
【表2】
【0036】実施例9〜12、比較例4 水700部を攪拌しながら、アジ化ナトリウム300部
を添加して、30重量%水溶液1,000gを得た。密
封できる容器にこの水溶液を所定量入れ、温度20℃の
下で、かかる水溶液を酸性にして所定濃度のアジ化水素
ガスを発生させ、殺菌用試料、殺雑草用試料が一定時間
アジ化水素ガスと接触可能の状態で試験した。この容器
内には、フザリウム菌汚染えん麦種子20粒、雑草種子
(ヒメイヌビエ50粒)をガーゼに包み、この2種の試
料を液には接しないようにつるした。アジ化水素処理終
了後、試料を回収し、フザリウム菌汚染えん麦種子は硫
酸ストレプトマイシン100ppm水溶液で雑菌を消毒
した後、フザリウム菌選択培地に並べてフザリウム菌発
芽えん麦種子数を調べた。雑草種子は含水したろ紙に並
べて発芽数を調べた。前記式により殺菌率、殺雑草率を
求めた。アジ化水素ガス濃度は、処理期間の終了までの
期間を3分割し、第1回は開始24時間後にシリンジで
5mlの容器内の気体を採取、HPLCを用いて測定し
た。また、処理期間の2/3が経過した時点で2回目を
同様に測定し、さらに処理期間終了時点で3回目を同様
に測定した。この測定値と前記式より(C×T)値を算
出した。但し、処理期間が24時間に満たない場合は、
処理期間の開始時と終了時の測定値の平均値をC(pp
m)とし、これと処理期間T(時間)を乗じた値を(C
×T)とした。その結果を表3に示した。
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】本発明の土壌処理方法は、アジ化化合物
が土壌中ですみやかに加水分解して、アジ化水素ガスを
発生し、土壌有害生物を効率良く防除することができる
優れた方法であり、その奏する効果は格別である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土壌有害生物を防除するに当り、加水分
    解によりアジ化水素を発生するアジ化化合物を含有する
    組成物を土壌に散布処理し、土壌温度が10℃以上にお
    いて、加水分解により発生した土壌内部空隙中のアジ化
    水素ガス濃度(Cppm)と土壌が処理される期間(T
    時間)との積(C×T)が500以上20,000以下
    の範囲とすることを特徴とする土壌処理方法。
  2. 【請求項2】 該土壌処理方法は、該アジ化化合物から
    発生するアジ化水素ガスの土壌内部空隙中の濃度が1〜
    1000ppmの範囲である請求項1記載の土壌処理方
    法。
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