JPH10114194A - 曲面転写方法及び曲面転写装置 - Google Patents

曲面転写方法及び曲面転写装置

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JPH10114194A
JPH10114194A JP28588496A JP28588496A JPH10114194A JP H10114194 A JPH10114194 A JP H10114194A JP 28588496 A JP28588496 A JP 28588496A JP 28588496 A JP28588496 A JP 28588496A JP H10114194 A JPH10114194 A JP H10114194A
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JP28588496A
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Haruo Miyashita
治雄 宮下
Mitsutoyo Miyakoshi
光豊 宮越
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 三次元的な凹凸面を持ち装飾層の耐久性のあ
る化粧材を効率良く製造する。 【解決手段】 加熱された被転写基材1の凹凸表面に、
装飾層となる転写層を対向させた転写シート3の裏面側
から固体粒子5を衝突させ、その衝突圧を利用して転写
シートを基材の凹凸表面に圧接して転写する。転写層を
被転写基材に密着させる接着剤には、ホットメルト型等
の湿気硬化型感熱溶融型接着剤を用いる。接着剤は転写
シート又は被転写体の片方又は両方に転写直前に施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材、家具、家電製品等の化粧板について、特に装飾さ
れた凹凸表面を有する化粧板の製造方法及び製造装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、化粧板の基材面に直刷り法、ラミ
ネート法、転写法等により絵柄等の装飾を施した化粧板
が種々の用途で使用されている。この場合、基材の表面
が平面ならば、絵柄装飾は容易にできるが、凹凸表面に
対しては格別の工夫により絵柄装飾を施している。例え
ば、窓枠、面縁材等の柱状で基材装飾面が二次元的凹凸
〔円柱の様に一方向(母線、或いは高さ方向に直行する
方向)にのみ曲率を有する形状〕の場合に適用できる曲
面装飾技術の一つが、特公昭61−5895号公報に提
案されている。すなわち、同号公報の技術はラミネート
法による表面装飾法であり、片面に接着剤を塗布した表
装シートを供給し、一方基材を表装シートの供給速度と
同調した速度で水平に搬送し、併設した多数の押え治具
にて表装シートの端部が貼着されない状態を維持しつつ
表装シートの接着剤塗布面側を基材に対して小面積毎に
段階的に押圧し、表装シートを基材面に加熱貼着するも
のである。なお、この方法はラッピング加工法と言われ
ている。また、表面凹凸がエンボス形状等の三次元的凹
凸(すなわち、半球面の様に2方向に曲率を有する形
状)の場合に適用できる曲面装飾技術としては、例えば
特開平5−139097号公報に提案されている。すな
わち、同号公報の技術は転写法による表面装飾法であ
り、転写シートの支持体として熱可塑性樹脂フィルムを
用い、該支持体上に剥離層、絵柄層、及び接着層を順次
設けた構成の転写シートを、凹凸表面を有する基材上に
設置し、支持体の裏面からゴム硬度60°以下のゴム製
の熱ロールで押圧して、絵柄を転写することによって化
粧板を得るものである。また、支持体と剥離層間に転写
時の熱で発泡する発泡層を設け、この発泡も利用して基
材の凹凸表面に追従させようとするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
様な従来の方法では、特公昭61−5895号公報に開
示の技術では、二次元的曲面までしか対応できず、ま
た、特開平5−139097号公報が提案する技術で
は、三次元的曲面も対応できるが、基本的に回転する熱
ロールのゴムによる弾性変形を利用して表面凹凸に追従
させる為に、浅いエンボス形状は良いとしても大きな表
面凹凸には適用できない。その上、被転写基材の凹凸の
隅角部によって軟質のゴムロールが損耗し易い。また、
転写シートに発泡層を設ける構成では、転写シートが複
雑高価になり過ぎる。また、全体として平板状の基材に
限定されるといった問題があった。
【0004】また、転写法で装飾する場合、被転写基材
への転写層の接着に、通常は感熱融着型接着剤を用いる
が(特公昭60−59876号公報など)、感熱融着型
接着剤では得られる化粧材の表面の耐久性が優れたもの
は得にくい。接着剤層が熱可塑性のままであり、耐熱
性、耐摩耗性、密着性(例えば耐セロハンテープ剥離
性)が要求される用途には向かない。なお、感熱溶融型
接着剤としては、溶液希釈塗工するタイプと、ホットメ
ルトタイプがある。そこで、被転写基材への転写層の接
着に、2液硬化型接着剤を用いる方法(特公昭60−5
9876号公報、特開平6−278400号公報など)
もある。しかし、2液硬化型接着剤では、硬化後の性能
は向上するが、例えばポリウレタン系接着剤などでは完
全硬化するまでに3〜5日と所要時間が長く、生産効率
が悪いといった問題があった。更に、2液硬化型接着剤
は初期密着力が低い為、加圧直後に転写シートの支持体
を剥離する際に、箔バリ(即ち、被転写基材の転写領域
と非転写領域の境界で転写層が切断されずに、転写層の
一部が転写領域から突出してバリ状となること)、或い
は柄抜け(即ち、支持体と共に転写層の一部が剥離して
被転写基材表面の一部に転写しないこと)を生じ易いと
いった問題点もあった。
【0005】そこで、本発明は、大きな三次元的凹凸表
面にも転写でき、且つ得られる化粧材の表面装飾の耐久
性に優れるとともに、転写層の箔バリや柄抜けも生じ
ず、また生産性率も良い、曲面転写方法及び曲面転写装
置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
して、大きな三次元的凹凸表面にも転写できる様にすべ
く、本発明の曲面転写方法及び曲面転写装置では、図1
に例示する如く、転写シート3の被転写基材1への圧接
に、転写シート裏面側(被転写基材とは反対側)に固体
粒子5を吹き付けて衝突させ、該固体粒子の衝突圧を利
用した。すなわち、この衝突圧で、転写シートを被転写
基材の表面凹凸形状に追従させて圧接し、密着させる。
この際、転写シートの転写層を被転写基材に密着させる
接着剤として、湿気で架橋反応を起こして硬化する湿気
硬化型感熱溶融型接着剤を用いる。湿気硬化型感熱溶融
型接着剤は、転写直前に転写シート又は被転写基材の片
方又は両方に施して、固体粒子の衝突で転写シートが被
転写基材に圧接されるチャンバ16へ供給して、衝突圧
で転写シートを被転写基材に圧接する。そして、衝突圧
印加後、転写シート(の支持体)を剥離した後、得られ
た化粧板60を数日間放置しておけば、接着剤の硬化は
完了しする。この結果、得られる化粧板表面の転写層が
密着性等の耐久性に優れ、しかも生産効率も良く、さら
に、ホットメルト型の接着を採用した場合は、無溶剤の
接着剤の為、転写直前塗工でも、乾燥設備も不要で、し
かもチャンバ内に有機溶剤が充満することによる爆発の
危険性もないく、安全に生産できる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の曲面転写方法及び
曲面転写装置をさらに説明する。図1は本発明の曲面転
写方法を成し得る、本発明の曲面転写装置の一形態を示
す概念的な概略装置図である。
【0008】先ず、図1に例示する本発明の曲面転写装
置は、長尺の転写シートを用いて、凹凸表面を有する平
板状の被転写基材に、絵柄等を順次転写する装置であ
る。同図の装置は、被転写基材1を搬送する基材搬送装
置2と、転写シート3を搬送するシート送り装置4と、
固体粒子5を転写シート裏面に衝突させ衝突圧を印加す
る圧印加部6を備える。更に同図の曲面転写装置は、転
写シート3の(接着剤層は構成要素として含まない)転
写層に更に湿気で架橋反応して硬化する湿気硬化型感熱
溶融型接着剤を施す接着剤塗工装置20を備える。更に
同図の曲面転写装置は、湿気硬化型感熱溶融型接着剤が
施された転写シート3を予熱する加熱装置30を備え
る。なお、同図の装置では、更に、圧接後に湿気硬化型
感熱溶融型接着剤を適宜冷却する為の冷却装置31、被
転写基材に下地塗装等を行う基材塗工装置40、下地塗
装等の溶剤分を乾燥させる乾燥装置41も備え、下地塗
装等も適宜同時に行える装置となっている。また、吸引
排気ノズル50等も備え、転写シート3と被転写基材1
間の空気抜きも適宜行える装置となっている。
【0009】基材搬送装置2は、搬送用駆動回転ローラ
列からなり、その上に水平に載置された被転写基材1を
順次搬送して、圧印加部6で被転写基材表面を順次、固
体粒子の衝突圧にさらした後、圧印加部6から排出す
る。そして、更に被転写基材1を転写シート3(の支持
体)の剥離を行う剥離ローラ10に通して、化粧板60
として排出する。なお、基材搬送装置は無限軌道式のコ
ンベアベルト等でも良い。
【0010】シート送り装置4は、シート供給装置7、
ガイドローラ8、シート支持装置9、剥離ローラ10、
シート排出装置11等から構成される。シート送り装置
4は、シート供給装置7にセットされた供給ロールか
ら、転写シート3を先ず接着剤塗工装置20を通して、
湿気硬化型感熱溶融型接着剤を塗工後、ガイドローラ8
を経て、圧印加部6に供給し、圧印加部6においては、
衝突圧が印加されない状態、或いは転写シート3と被転
写基材1間の空気を吸引排気しない状態にて転写シート
3と被転写基材1との間にわずかな空隙を残し浮く様に
しながら、被転写基材1と同じ搬送速度で転写シート3
を移送する。転写シート3は、転写層が被転写基材1側
を向く様にして圧印加部6に供給する。なお、転写シー
ト3と被転写基材1間の空隙は、被転写基材1の横幅よ
りも広幅とした転写シート3の両端を表裏両面から挟持
しながら転写シート3の移送に合わせて回転するベルト
等からなるシート支持装置9により、転写シート3を被
転写基材1に接触させるまでの間、両者の間隙が維持さ
れる。また、シート支持装置9により、固体粒子5や、
更にそれを搬送する空気流が転写シート3の両端から回
り込んで、転写シート3と被転写基材1間に流入する事
を防止する。また、シート支持装置9は、転写シート3
が加熱装置30で加熱されてもその延伸性で送り方向に
伸びたり、下方に垂下するのを防止する。そして、圧印
加部6で被転写基材1に密着した転写シート3(の支持
体)を、剥離ローラ10で被転写基材1から剥離しシー
ト排出装置11で巻き取る。
【0011】接着剤塗工装置20は、湿気硬化型感熱溶
融型接着剤を未硬化の接着剤層として、転写シート3に
転写直前に施す。接着剤塗工装置20は、従来公知のホ
ットメルトコート、グラビアロールコート等による塗工
装置である。ホットメルト接着剤の塗工装置はアプリケ
ータとも呼ばれる。また、接着剤が湿気硬化型であるた
めに、接着剤は密閉性の良い容器から供給する。なお、
湿気硬化型感熱溶融型接着剤としてホットメルト型のも
のを用いた場合は無溶剤であるので、塗工された湿気硬
化型ホットメルト接着剤は無溶剤状態でチャンバ16に
供給される。
【0012】圧印加部6は、固体粒子5を転写シート3
の裏面(支持体側)に衝突させて、転写シート3を被転
写基材1の凹凸表面に圧接する。また、固体粒子5は回
収し再使用する。圧印加部6は、ホッパ12、ブロワ等
の送風機(又は圧縮機)13、マニホールド14、吹出
ノズル15、チャンバ16、ドレン管17、真空ポンプ
18等から構成される。さらに、図1の装置の圧印加部
6は、その構成要素として、転写シート3(及び転写シ
ート3に施された湿気硬化型感熱溶融型接着剤)を予熱
する加熱装置30も内蔵している。ホッパに貯蔵されて
いる固体粒子5は、送風機又は圧縮機13から圧送され
る空気とマニホールド14で混合され、マニホールド1
4から分配され複数の吹出ノズル15に送られる。そし
て、固体粒子5は吹出ノズル15から噴出する空気流に
伴って噴出する。吹出ノズル15から噴出し、転写シー
ト3に衝突した後の固体粒子5は、チャンバ16の下部
に集まり、そこからドレン管17を真空ポンプ18で吸
引されて移送し、元のホッパ12に収集されて、再使用
の為に貯蔵される。チャンバ16は、吹出ノズル15か
ら噴出する固体粒子5を外部に漏らさないように、転写
シート3及び被転写基材1の出入口を除いて、転写に供
される被転写基材1及び転写シート3、吹出ノズル15
等の周囲を覆っている。
【0013】また、図1の曲面転写装置は、固体粒子5
が衝突前の転写シート3及び転写シート3に施された湿
気硬化型感熱溶融型接着剤を予熱する加熱装置30を、
圧印加部6の構成要素の一つとして備える。同図の加熱
装置30は、衝突圧を作用させる圧印加部6のチャンバ
16の内部に、転写シート3が供給され、その両端をシ
ート支持装置9で挟持された直後から、衝突圧が印加さ
れる直前までの間にわたって、転写シート3の裏面側に
設置してある。また、この加熱装置30によって、転写
シート3をとおして間接的に、被転写基材1もある程度
予熱される。加熱装置30としては、電熱ヒータ、赤外
線ヒータ、熱風、誘導加熱、誘電加熱等の加熱手段を用
いる。なお、この加熱装置30は、転写シート3の予熱
が不要で、湿気硬化型感熱溶融型接着剤の加熱による活
性化を被転写基材の加熱や固体粒子の加熱等の他の加熱
方法により行うのであれば省略し得る。
【0014】さらに、図1の曲面転写装置では、圧印加
部6の上流側に、基材塗工装置40及び乾燥装置41も
備えている。基材塗工装置40は、被転写基材1に下塗
り塗装をする。また、下塗り塗装の溶剤等の揮発成分の
乾燥用に基材塗工装置40と圧印加部6との間に、乾燥
装置41が配置される。下塗塗装は転写に先立つ被転写
体1の着色、易接着プライマー処理等の目的で行う。も
ちろん、下塗り塗装を被転写基材に対して行わない場合
には、この基材塗工装置40及び乾燥装置41は省略し
得る。なお、もし接着剤を被転写基材側へ設ける場合に
は、この基材塗工装置40を接着剤塗工用に用いても良
い。
【0015】次に、本発明の曲面転写方法を、以上説明
した装置によって更に説明する。
【0016】先ず、図1の装置では、被転写面が凹凸表
面である板状の被転写基材1は、基材搬送装置2によっ
て、一枚ずつ搬送されて基材塗工装置40により下塗り
塗装が施される。なお、基材塗工装置40で下塗り塗装
の前のシーラ塗装を連続的に施してもよい。その後、下
塗り塗装をした場合には、乾燥装置41により、被転写
基材1に施した下塗り塗装の蒸発成分を揮発乾燥させ
る。そして、被転写基材1は、圧印加部6のチャンバ1
6内に搬送、供給される。
【0017】一方、転写シート3としては、ここでは熱
可塑性樹脂フィルムの支持体上に装飾層からなる転写層
が積層されたシート(接着剤層はまだ積層されていな
い)を用いる。シート送り装置4により張力が加えら
れ、転写シート3は、シート供給装置7にセットされた
供給ロールから巻き出され、先ず接着剤塗工装置20に
より、湿気硬化型感熱溶融型接着剤が転写層面に塗工さ
れる。湿気硬化型感熱溶融型接着剤が塗工された転写シ
ート3は、ガイドローラ8を順次経て、圧印加部6のチ
ャンバ16内に入る。元々無溶剤のホットメルト型の湿
気硬化型感熱溶融型接着剤が塗工され場合は、転写シー
ト3は特に乾燥装置を設けなくとも、塗工された湿気硬
化型感熱溶融型接着剤が無溶剤状態でチャンバ16に供
給される。又もし、溶剤希釈型の湿気硬化型感熱溶融接
着剤を用いた場合は、接着剤塗工装置20と圧印加部6
との間に、乾燥装置(図示せず)を設け、溶剤を乾燥さ
せた上で転写シート3をチャンバ16内に供給する。さ
らに、転写シート3はチャンバ16内に入ったところ
で、幅方向両端をシート支持装置9で挟持されつつ、そ
の接着剤層側の面を搬送される被転写基材1側に向ける
様に対向して被転写基材1の上方を僅かに空間を開け
て、搬送される被転写基材1と平行に等速度で移送され
る。そして、シート支持装置9で挟持搬送されて衝突圧
の印加を受けるまでに、転写シート3は加熱装置30で
予熱され、シートの延伸性向上と、転写シート3に施さ
れた湿気硬化型感熱溶融型接着剤の活性化が行われる。
また、乾燥装置41で予熱された被転写基材1によって
も、転写シート3は間接的に加熱される。なお、前記加
熱装置30は、転写シート3の予熱が不要な場合は省略
することもできる。なお、転写シートを被転写基材の近
傍を同じ搬送速度で移送する際に、被転写基材に対して
僅かに離すか、或いは接触させた状態で移送するかは、
被転写基材の表面凹凸の形状、被転写基材の予熱温度
と、転写シートの熱変形性、固体粒子の衝突圧、湿気硬
化型感熱溶融型接着剤の活性化温度等を適宜勘案して選
択する。また、装置的には被転写基材と移送する転写シ
ート間の距離は調整可能として対応する。
【0018】次に、転写シート3は、吹出ノズル15か
ら空気流と共に噴出させた固体粒子5の衝突にさらされ
る。衝突時の固体粒子5の運動量の変化した分が、転写
シート3を被転写基材1へ押し付ける衝突圧となる。吹
出ノズル15は、転写シート3及び被転写基材1の搬送
方向に直角方向(=幅方向)に直線状に複数列、且つ転
写シート裏面に対して垂直に多数配置してあり、その結
果、吹出ノズル15から噴出した固体粒子5は、転写シ
ート3の略全幅にわたって幅方向に直線的な帯状に衝突
圧を印加する。吹出ノズル15から噴出する固体粒子5
は多少広がりつつ転写シート3の方向に進行する結果、
複数配置した吹出ノズル15間の領域にも固体粒子が衝
突することになる。そして、転写シート3は、さらに固
体粒子の衝突圧によって被転写基材1に圧接されて被転
写基材1の凹凸表面の凹部内へも転写シート3は延ばさ
れて変形することで、転写シート3は被転写基材1の凹
凸表面形状に追従して、活性状態となって接着性が発現
した湿気硬化型感熱溶融型接着剤によって密着する。
【0019】なお ここでの説明に用いた被転写基材1
は、表面に凹凸を有するものの全体として平板状の板材
であり、且つ、転写シート3の方はその幅方向両端をシ
ート支持装置9により、被転写基材1に対して衝突圧等
を作用させない何もしない状態では離れた位置を移送さ
れる様にしてあるので、衝突圧による転写シート3の被
転写基材1への完全な密着は、幅方向中央部では時間的
に先に幅方向の両端近傍は遅れて行われる様にしてあ
る。これは、全体としては、転写シート3と被転写基材
1とは同じ速度で移送され、流れ方向に順次衝突圧にさ
らされることになるが、被転写基材1の凹凸表面に対し
て転写シート3が密着する際に、被転写基材1及び転写
シート3間(特にその中央部付近)に空気を残して密着
しない様にするための一つである。
【0020】一方、転写シート3への衝突に供された後
の固体粒子5は、シート支持装置9の側面を迂回して、
ドレン管17が接続されたチャンバ16の下部の方向へ
搬送される。そして、チャンバ16の下部からドレン管
17で吸引され元のホッパ12に収集される。また、固
体粒子噴出用に使用され吹出ノズル15から噴出した空
気も、ドレン管17で吸引され、フィルターで固体粒子
5を濾過した上で、真空ポンプ18で系外に排出され
る。この様にして、チャンバ16を転写シート及び被転
写基材が出入りする出入口の開口部から、空気と共に固
体粒子が周囲に流出しない様にしてある。この時、チャ
ンバ16内を外部より低圧にすると、固体粒子5のチャ
ンバ16外への流出を防止する上で好適である。
【0021】そして、まだ未硬化の湿気硬化型感熱溶融
型接着剤の接着剤層を介して密着した被転写基材1と転
写シート3とは、チャンバ16の外部に設けられた風冷
による冷却装置31により強制冷却されて湿気硬化型感
熱溶融型接着剤の接着剤層の固化を確実なものとして、
転写シート3と被転写基材1とは初期密着により固着す
る。また、衝突圧印加後、直ちに転写シート3を被転写
基材1の凹凸表面に固着させる為には、チャンバ16内
部に、冷却装置(図示せず)を設けるか、或いは、搬送
方向に複数列並んだ吹出ノズル15のうち、下流側の吹
出ノズルから冷風と冷却固体粒子を吹き出す様にする。
【0022】そして、被転写基材1に固化した接着剤に
より密着した転写シート3(の支持体)が、剥離ローラ
10により被転写基材1から剥がされ、湿気硬化型感熱
溶融型接着剤がまだ未硬化の化粧板60が得られる。一
方、剥離ローラ10通過後の転写シート3(の支持体)
は、斜め上方方向に移送されシート排出装置11に排出
ロールとして巻き取られる。なお、剥離ローラ10通過
後の、被転写基材1は基材搬送装置2により水平方向に
搬送される。そして、前記化粧板60を自然放置してお
けば、湿気硬化型感熱溶融型接着剤は、空気中の湿度に
架橋反応を起こして硬化し、その結果、転写シート3の
転写層としての装飾層が硬化した接着剤層を介して被転
写基材1の凹凸表面に転写した、化粧板60が得られ
る。
【0023】以上、本発明の曲面転写方法を一通り説明
したところで、更に本発明を詳述する。
【0024】先ず、吹出ノズル15は、固体粒子を気体
流と共に噴出するものであり、その構造は、例えば、中
空の円柱状、多角柱状、円錐状、多角錐状、魚尾状等の
形状のものを用いる。吹出ノズルは、また、単一開口部
を有するものでも良いし、或いは内部がハニカム(蜂の
巣)状に区画されたものでも良い。吹付圧力は通常0.
1〜10.0kg/cm2 程度、また、気流の流速は通
常5〜20m/秒程度である。また、固体粒子を搬送
し、転写シートに衝突させる際に固体粒子、転写シー
ト、或いは被転写基材が帯電する場合がある。そこで、
帯電を防止する為に、吹出ノズル15、ドレン管17等
を接地したり、転写シート3に除電バーを接触させた
り、或いは気流中に帯電荷を中和する電荷を持ったイオ
ンを混入させたりする事が好ましい。吹出ノズルの材質
は、セラミック製、スチール製等と、固体粒子の種類に
よって適宜選択すれば良い。固体粒子は吹出ノズル内を
ノズル内壁に衝突しながら通過するので、固体粒子に金
属ビーズや無機粒子を用いる場合には粒子が硬質である
ので、耐摩耗性のよいセラミック製を用いると良い。固
体粒子に樹脂ビーズを用いる場合には金属粒子に比べれ
は軟質であるので、スチール製でも良い。
【0025】また、吹出ノズルは1個のみ用いることも
可能ではあるが、好ましくは複数用いて、転写シートに
衝突する固体粒子の衝突領域が所望の形状となる様にす
ると良い。図1の曲面転写装置では、転写シート及び被
転写基材の送り方向に直角で一直線状に複数列に配置し
て、幅方向に直線状に幅広の帯状形状の衝突領域とする
ものである。例えば、図2(a)は千鳥格子状に配置で
あり、図2(b)は一列配置だが、幅方向中央部は送り
方向の上流側で衝突する様にした配置である。図2
(b)の配置では、転写シートの被転写基材への衝突圧
による圧接は幅方向中央部から始まり、順次、幅方向両
端部に向かって圧接されて行く。この様にすると、幅方
向中央部に空気を抱き込んだまま、転写シートが被転写
基材に密着することを防止できる。
【0026】また、固体粒子の衝突圧は、衝突領域内で
すべて均一にする必要はない。図3は、幅方向中央部が
最大の衝突圧で、幅方向両端部に行くに従って衝突圧が
低下する山型の圧力分布に設定した例である。衝突圧の
設定は、バルブの開閉量、バルブに連結する固体粒子を
搬送する管の内径の大小、圧力調整器(レギュレータ)
等を用いて吹出ノズル直前の気体圧の調整により、吹出
ノズルから噴出する固体粒子及び気体流の速度を制御す
ることで調整する。図3の様な圧力分布の設定は、圧が
高い所(図3では中央部)から低い所(図3では両側
部)に向かって順次段階的に圧接が進行することを助け
る。なお、従来のゴム製転写ロールによる曲面転写方法
では、転写ロールの中央部直径を太めとすれば、圧力的
には中央部は強くできるが、中央部と両端部とで円周長
が異なってしまい、接触して圧印加され転写シートの送
りが均一に出来ない。
【0027】また、吹出ノズルの被転写基材1の被転写
面に対する配置は、図1に例示した曲面転写装置では、
被転写基材が平板状であったことから水平に横に複数列
に配置した。これは、被転写基材の被転写面に垂直に固
体粒子を衝突させる配置である。垂直に衝突させるの
は、基本的には衝突圧を最大に有効利用できるからであ
る。したがって、例えば、図4の様に、被転写基材1の
被転写面(の搬送方向に直角の断面形状)が蒲鉾型に凸
曲面であれば、複数の吹出ノズルを用意し各ノズルが主
とし受け持つ個別の衝突面に対して、略垂直に固体粒子
が衝突する様に、吹出ノズルを近接する被転写基材面の
法線方向に配置すると良い。この様に吹出ノズルの配置
は、対象とする被転写基材の凹凸形状に合わせて、吹出
ノズルの噴出方向を固体粒子がなるべく垂直に衝突する
様に合わせると良い。なお、吹出ノズルの向きは、転写
シート裏面に対して必ずしも垂直にする必要はない。但
し、吹出ノズルを転写シートに垂直にすれば、固体粒子
の衝突圧を最大に有効利用できる。また、吹出ノズルは
多めに設けておき、製造する被転写基材によっては、一
部の吹出ノズルを閉じてしまっても良い。
【0028】次に、湿気硬化型感熱溶融型接着剤である
が、この接着剤は、自然放置で湿気による硬化が進行す
る為に、転写層の一構成要素として予め設けずに、転写
直前に転写シート等に塗工等で施す。もちろん、施す対
象は、転写シート、被転写基材、或いは転写シート及び
被転写基材の両方等であっても良い。塗工方法は、感熱
溶融型接着剤に対する従来公知の塗工方法で行えば良
い。特にホットメルト型接着剤を選択すれば、直前塗工
でも塗工後の溶剤乾燥が不要なので、チャンバ内に溶剤
が充満し溶剤分による爆発の危険性もなく、安全に且つ
高速に生産できることとなる。
【0029】ここに、湿気硬化型感熱溶融型接着剤が接
着適性に優れている点を、接着開始から完了まで接着力
の経時変化を概念的に示す図6で説明する。同図で、t
0 は転写シートを被転写基材に圧接する圧接時点、t1
は接着剤の冷却が完了した時点、t2 は転写シートの支
持体を剥離する剥離時点、t3 は剥離した後、数日経過
後の時点である。感熱溶融型接着剤等の感熱溶融型接着
剤の場合は、曲線Aの如く、圧接時は加熱されて溶融状
態にある為に、接着力は殆どないが、圧接後冷却され時
点t1 に至ると直ぐに固化する為に接着力が発現して、
支持体の剥離時点以降は、接着力一定の経時変化を示
す。剥離時点t2 から最終的な接着力が得られる。次に
2液硬化型接着剤の場合は、曲線Bの如く、加熱されな
くても最初から溶融状態にある為に、支持体の剥離時点
では、冷却固化による大きな接着力は期待できず弱い接
着力しかないが、剥離後に架橋反応が徐徐に進行して硬
化する為に、最終的には大きな接着力が得られる。クリ
ープ変形する感熱溶融型接着剤に比較して、架橋硬化し
た2液硬化型接着剤ではクリープ変形がなく、また溶融
もないので耐熱性等に優れる。これらに対して、本発明
で使用する湿気硬化型感熱溶融型接着剤では、曲線Cの
如く、圧接時及び剥離時は、感熱溶融型接着剤の曲線A
と同様の接着力変化を示すが、剥離後に架橋反応が徐徐
に進行して硬化する為に、2液硬化型接着剤同様に、ク
リープ変形及び熱溶融がなく耐熱性等に優れ、大きな接
着力が得られる。しかも、初期接着力も感熱溶融接着剤
同様と充分なので、転写時の柄抜け等の欠点も生ぜず、
生産性にも優れることとなる。
【0030】次に、湿気硬化型感熱溶融型接着剤を活性
状態とする為の加熱のタイミングは、衝突圧印加前、衝
突圧印加中、或いは衝突圧印加前及び印加中に行えば良
い。衝突圧印加前の加熱は予熱である。接着剤の加熱は
転写シートや被転写基材を加熱することで行う。接着剤
が施された材料(転写シートや被転写基材)を加熱して
も良く、接着剤が施されていない側の材料を加熱しても
良く、或いはこれら両方の材料を加熱しても良い。図1
に例示の装置では、接着剤が施された転写シートを加熱
(予熱)し、また接着剤が施されていない被転写基材も
加熱(予熱)できる。転写シート、被転写基材を、衝突
圧印加前に予熱する為の加熱手段は任意であり、例えば
ヒータ加熱、赤外線加熱、誘電加熱、誘導加熱、熱風加
熱等である。また、加熱手段は、転写シートや被転写基
材の裏面側、裏面側、表裏両面のいずれに配置しても良
い。また、衝突圧印加中の加熱は、本発明では圧印加に
固体粒子を使用している為に、この固体粒子を加熱し
て、固体粒子を転写シート等に対する加熱源として用い
て、転写の密着と同時に加熱しても良い。なお、固体粒
子を加熱することは、固体粒子と共に吹出ノズルから噴
出する気体も加熱されたものが噴出することであり、こ
の気体が転写シート裏面に接触することで、気体も加熱
源として用いることができる。また、衝突圧印加中の加
熱は、図1の様な衝突圧印加前の加熱装置30に加え
て、吹出ノズルの間隙に分散して加熱装置の熱源を設け
てもよい。なお、熱風加熱をチャンバ内で行う場合は、
吹き付け風量は少なくした方が良い。それは、固体粒子
吹きつけ用に用いる空気以外に、更に空気をチャンバ内
に入れることになり、固体粒子回収用の真空ポンプの負
荷増になるからである。
【0031】転写シートや被転写基材を予熱する加熱装
置は、チャンバにそれらが入るまでの外部、チャンバの
内部、内部及び外部の両方に設ければよい。チャンバの
外及び中に設ければ、特に熱容量の大きな被転写基材を
加熱する場合など、充分な予熱が必要な場合でも、長い
搬送距離を使って加熱することができる。長い加熱装置
をチャンバの内部に設ける為に、チャンバ自身の内容積
が大きくなるならば、加熱装置の一部又は全部をチャン
バの外部に設けて、チャンバの内容積を小さくした方
が、固体粒子の飛散、回収等を考慮した取扱上は有利だ
からである。また、チャンバの内部に加熱装置を配置す
る利点は、衝突圧印加の直前まで、或いは衝突圧印加中
までも、加熱できることであり、特に熱容量が大きい被
転写基材をその被転写面近傍のみ効果的に予熱しようと
する場合等である。転写シートの予熱は、シート支持装
置9で幅方向を支持してから行うのが好ましい。その前
では、シートが送り方向に伸びて、移送に支障を来し易
い。また、被転写基材の予熱は、誘導加熱や誘電加熱は
被転写基材の内部から加熱できるが、ヒータ加熱、赤外
線加熱、熱風加熱等は凹凸表面側からの加熱が効率的で
ある。また、チャンバ内で衝突圧印加直前或いは印加中
まで加熱するならば、被転写基材の裏面側からの加熱は
スペース的にも好ましい。
【0032】また、被転写基材にシーラ塗装を施し、乾
燥装置41で溶剤分を加熱乾燥するのであれば、乾燥装
置により被転写基材が加熱されるので、被転写基材から
間接的に転写シートをある程度加熱できる。従って、こ
れらの加熱が、被転写基材からの間接的加熱や、固体粒
子や噴出気体による加熱で充分な場合には、転写シート
に対する加熱装置は省略することもできる。なお、上流
側に配置した塗工装置による塗装を乾燥すべく、溶剤分
や水分を蒸発させる役割も持たせた加熱装置の場合は、
チャンバ内部に配置するのは好ましくない。チャンバ内
に充満した蒸発した溶剤や水分の排気手段が必要とな
り、また溶剤の場合は防爆対策を考慮する必要も生じ
る。このような目的の加熱装置は、チャンバの外部に配
置するか、内部に配置したとしても、外部に蒸発用の加
熱装置(乾燥炉)を別に配置することが好ましい。もち
ろん、下塗り塗装は別ラインで行う形態とすれば、加熱
装置を乾燥装置と兼用する必要はない。
【0033】また、衝突圧印加前に、湿気硬化型感熱溶
融型接着剤が加熱されてもまだ活性状態にならない程度
に予熱する場合、或いはこの様な予熱段階を設けて、転
写シートを被転写基材の凹凸表面に接触させて、転写シ
ートと被転写基材間の空隙の空気を抜き取る、「空気抜
き」をすると良い。空気抜きで、転写シート3と被転写
基材1間の空気が転写時に残留して「エアがみ」、更に
はそれに起因する転写抜けの発生が防げる。空気抜き
は、例えば真空ポンプ51に接続した吸引排気ノズル5
0を、転写シートの表面側(図1で下側)で、且つ搬送
される被転写基材の搬送方向に沿う両辺に隣接する両側
に、被転写基材の搬送方向に沿って設け、転写シートと
被転写基材間の空気を吸引し排気すれば良い。吸引排気
ノズル50の開口部外周は例えばブラシで囲いブラシ先
端を被転写基材及び転写シートに接触させれば、それら
の搬送に支障なく空気抜きできる。また、空気抜きは衝
突圧印加中まで行うのが良い。なお、空気抜きと転写シ
ートの予熱とのタイミングは、転写シートが予熱されて
軟化する速度、軟化の度合いにもより、どちらを先に開
始しても良いが、両方を同時に開始しても良い。この空
気抜きは、被転写基材の被転写面が例えば岩肌調やスタ
ッコ調等の凹凸面の場合は効果的である。
【0034】また、転写終了後の化粧板60は湿気によ
り接着剤の架橋・硬化を進行させる為、湿気を含む空気
中に放置して養生する。養生の再の好ましい雰囲気条件
は、大体、相対湿度50%RH以上、気温10℃以上で
ある。温度・相対湿度とも高い方が、より短時間で硬化
が完了する。標準的な硬化完了時間は、通常の場合、2
0℃60%RHの雰囲気中で10時間程度である。
【0035】なお、上記説明した本発明の曲面転写方法
及び曲面転写装置は、各図の例に限定されるものではな
い。例えば、図1に示す曲面転写装置による曲面転写方
法の説明では、転写シートの被転写基材への圧接は、転
写シート及び被転写基材をそれぞれ搬送させながら行う
装置及び方法を説明してきたが、本発明による方法及び
装置では転写シートの被転写基材への圧接は、その時だ
け転写シート及び被転写基材を停止させて、基材一個ご
とに間欠的に行っても構わない(これらに対して例えば
吹出ノズルを移動させる)。また、転写シートと吹出ノ
ズルの固体粒子の噴き出し方向との位置関係は、転写シ
ートは水平に載置し、その上方から鉛直方向に真下に固
体粒子を噴き出しる位置関係に限定されない。転写シー
ト裏面に対して固体粒子の噴き出し方向が垂直関係を維
持したとしても、転写シートの載置又は搬送方向は、水
平以外にも、斜め、上下等があり、また転写シートが水
平でも、裏面が下側、すなわち、下から上に固体粒子を
噴き出しても良い。もちろん、転写シート裏面に対して
角度をもって固体粒子を噴き出しても良い。
【0036】本発明の曲面転写方法を一通り説明したと
ころで、本発明の材料面について、更に詳述する。
【0037】先ず、本発明の曲面転写方法で用い得る被
転写基材1としては、被転写面が平坦な平面でももちろ
ん適用できるが、本発明がその真価を発揮するのは、被
転写面が凹凸表面であり、特にその凹凸が三次元的であ
る被転写基材である。従来の回転接触する押さえ治具
(前述の特公昭61−5895号公報)や、ゴム製の転
写ロール(前述の特開平5−139097号公報参照)
では、その回転軸による方向性を本質的に有しているた
めに、適用できる表面凹凸形状が1軸方向にのみ曲率を
有する二次元的凹凸に限定され、また、後者では2軸方
向の曲率を有する三次元的凹凸が可能でもその三次元形
状は任意の方向に均質に適用できるものではない。例え
ば、木目導管柄の長手方向は、転写シートの送り方向に
平行にしないと、導管凹部には旨く転写できない。しか
も、後者は基材形状は平板状に事実上限定され、それ以
外は基材形状毎にその都度合わせた特殊形状の転写ロー
ルとでもしない限り不可能である。ところが、本発明で
は上記説明した様に、流体的に振る舞うことができる固
体粒子の衝突圧を利用しているため、表面凹凸の三次元
的形状に対して圧力印加のの方向性を本質的に持たな
い。(この方向性とは、圧力が印加される被転写基材上
のポイントの時間的位置変化の方向のことである。)従
って、転写シートや被転写基材の送り方向に凹凸がある
形状を持つ被転写基材でも舞わない。すなわち、送り方
向又は幅方向にのみ凹凸がある二次元的凹凸、送り方向
及び幅方向の両方に凹凸がある三次元的凹凸にも適用で
きることを意味する。なお、本発明が前記方向性を持た
ない点は、枚葉の転写シートを被転写基材上に載置し一
つずつ圧接密着する方法及び装置(本発明ではこの様な
形態でも良い)で、吹出ノズルを移動又は固定して衝突
圧が印加される様子を考えれば、容易に理解できる。ま
た、被転写基材は全体として平板状の板材だけでなく、
円弧状に凸又は凹に送り方向又は幅方向に湾曲した二次
元的的凹凸を有する基材でも良く、またその湾曲面にさ
らに細かい三次元的な表面凹凸があってもよい。なお、
本発明では、被転写基材の円弧状等の二次元的な凹凸に
対して、それを幅方向として、或いは送り方向として転
写するかは作業性等を考慮して任意にできる。なお、凹
凸面を構成する面は、平面のみから、曲面のみらか、或
いは平面と曲面の組み合わせと任意である。従って、本
発明の被転写基材上の曲面とは、断面が下駄の歯形の様
に複数の平面のみから構成される曲面を持たない凹凸面
も意味する。また、本発明でいう曲率とは、立方体の辺
或いは頂点の周辺の様に角張っている曲率無限大(曲率
半径=0)の場合も包含する。
【0038】用い得る被転写基材1の材質は任意である
が、例えば、板材であれば、ケイ酸カルシウム板、押し
出しセメント板、ALC(軽量発泡コンクリート)板、
GRC(硝子繊維強化コンクリート)板等の非陶磁器窯
業系板、木材単板や木材合板、パーティクルボード、或
いは木質中密度繊維板(MDF)等の木質板、また、
鉄、アルミニウム、銅等の金属板、陶磁器やガラス等の
セラミックス、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノー
ル樹脂等等の樹脂成形品等でも良い。これらの被転写基
材表面には、予め、接着剤との接着を補助する為の易接
着プライマー、或いは表面の微凹凸や多孔質を目止めし
封じるシーラー剤を塗工しておいても良い。易接着プラ
イマー、或いはシーラー剤としては、イソシアネート、
2液硬化ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂
等の樹脂を塗工し形成する。なお、被転写基材表面を所
望の凹凸とするには、プレス加工、エンボス加工、押し
出し加工、切削加工、成形加工等によれば良い。また、
凹凸形状としては、任意であるが、例えば、タイルや煉
瓦の目地、花崗岩の劈開面等の石材表面の凹凸、木材羽
目板、浮造木目等の木材板表面凹凸、リシン調、スタッ
コ調等の吹付塗装面の凹凸等である。
【0039】次に、本発明で用い得る転写シート3とし
ては、被転写基材が二次元的凹凸表面であれば、延伸性
が無い紙等を支持体としたものでも可能であるが、本発
明がその真価を発揮する三次元的凹凸表面に適用する為
には、少なくとも転写時には延伸性を有する転写シート
を用いる。延伸性により固体粒子の衝突圧が印加された
時に、被転写基材表面の凹部内部まで転写シートが追従
して密着し転写が行われることになる。転写シート3
は、支持体と転写移行する転写層とからなる。転写層は
少なくとも装飾層から構成される。湿気硬化型感熱溶融
型接着剤は、自然放置で硬化反応を起こすので、転写シ
ートの転写層の一構成要素の接着剤層として積層してお
くことは好ましくない。転写シートに接着剤層を設ける
場合は、転写直前に設ける。転写シートの延伸性は、主
として支持体の延伸性によって支配される。したがっ
て、支持体としては、従来公知の熱可塑性樹脂フィルム
以外に、常温で延伸するゴム膜も用いることもできる。
支持体として熱可塑性樹脂フィルムを用いれば、装飾層
形成時には延伸性が殆どなく、転写時には、加熱により
充分な延伸性を発現し、且つ冷却後は変形した形状を保
持し続け、弾性による形状の復元を生じ無い転写シート
として、従来公知の通常の転写シート同様に容易に、本
発明で用い得る転写シートは用意出来る。また、本発明
では湿気硬化型感熱溶融型接着剤を用いるので、いずれ
にしろ圧接時は加熱状態とするため、転写シートは加熱
される。転写シートの加熱は、加熱された被転写基材に
よる間接的加熱、固体粒子やその吹き付け空気による加
熱、或いは転写シート専用(転写シートに湿気硬化型感
熱溶融型接着剤を施す場合は接着剤と共用)に設けた加
熱装置等により加熱することができる。
【0040】なお、支持体としては延伸性の点で、従来
多用されている二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムでも、表面凹凸形状次第で、加熱条件、衝突圧条
件の設定によって、必要充分な延伸性を発現させること
ができるので曲面転写は可能であるが、低温、低圧でよ
り延伸性が発現し易い、ポリブチレンテレフタレート、
又はテレフタレートイソフタレート共重合体等の共重合
体ポリエステル系フィルム、ポリプロピレンフィルム、
ポリエチレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム等
のポリオレフィン系フィルム、塩化ビニル樹脂フィル
ム、ナイロンフィルム等の低延伸又は無延伸のフィル
ム、天然ゴム、合成ゴム、ウレタンエラストマー、オレ
フィン系エラストマー等のゴム(エラストマー)フィル
ムも好ましい支持体である。また、必要に応じ、支持体
の転写層(装飾層)側に転写層との剥離性を向上させる
為、離型層を形成させても良い。この離型層は支持体を
剥離時に支持体と共に転写層から剥離除去される。離型
層としては、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、
ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂等が用いられる。
【0041】なお、装飾層はグラビア印刷、シルクスク
リーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の方法、材料
で絵柄等を印刷した絵柄層、アルミニウム、クロム、
金、銀等の金属を公知の蒸着法等を用いて部分的或いは
全面に形成した金属薄膜層等であり、用途に合わせたも
のを用いる。絵柄としては、被転写基材の表面凹凸に合
わせて、木目模様、石目模様、タイル調模様、煉瓦調模
様、全面ベタ等を用いる。また、転写層として、支持体
乃至は離型層と装飾層との間の剥離性を調整する為、ま
た、転写後の装飾層の表面保護の為等に、これら層間に
剥離層を設けるのは、従来公知の転写シートと同様であ
る。なお、この剥離層は転写時に装飾層と共に被転写基
材側に転写され、装飾層の表面を被覆する。
【0042】接着剤層は、本発明では空気中の湿気(水
分)で架橋反応を起こして硬化する湿気硬化型感熱溶融
型接着剤を用いる。湿気硬化型感熱溶融型接着剤は、自
然放置により空気中の水分で硬化反応が進行するので、
作業安定性の点で転写直前に、転写シート又は被転写基
材の片方又は両方に施す。塗布量は通常10〜200g
/m2 程度とするが、被転写基材の表面状態、接着剤の
種類等に応じて適宜加減する。なお、ポリプロピレン系
フィルムの様に耐熱性が低い支持体を用いた転写シート
に、接着剤層を溶融塗工で厚く設ける場合には、溶融塗
工時の熱で支持体が軟化し、また、加熱状態のアプリケ
ータロールに転写シートが粘着し、引きずられて転写シ
ートが伸びたり歪むことがある。そこで、この様な場合
には、転写シートに接着剤を直接に溶融塗工せず、耐熱
性及び離型性のあるセパレータに、接着剤を溶融塗工
後、セパレータと転写シートを熱ラミネートし、次い
で、セパレータを転写シートから剥離することで、転写
シートの熱ダメージを少なくして、転写シートに接着剤
層を施すことができる。
【0043】湿気硬化型感熱溶融型接着剤は、分子末端
にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分と
する組成物である。前記プレポリマーは、通常は分子両
末端に各々イソシアネート基を1個以上有するポリイソ
シアネートプレポリマーである。イソシアネート基同士
が空気中の水分により反応して鎖延長反応を起こして、
その結果、分子鎖中に尿素結合を有する反応物を生じ
て、この尿素結合に更に分子末端のイソシアネート基が
反応して、ビウレット結合を起こして分岐し、架橋反応
を起こす。分子末端にイソシアネート基を有するプレポ
リマーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的に
は、ウレタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル
結合を有するポリエステル骨格、ポリブタジン骨格等で
ある。適宜これら1種又は2種以上の骨格構造を採用す
ることで、接着剤物性を調整できる。なお、分子鎖中に
ウレタン結合ある場合は、このウレタン結合とも末端イ
ソシアネート基が反応して、アロファネート結合を生じ
て、このアロファネート結合によっても架橋反応を起こ
す。
【0044】ポリイソシアネートプレポリマーの具体例
としては、例えば、ポリオールに過剰のポリイソシアネ
ートを反応させた分子末端にイソシアネート基を有し、
且つ分子鎖中にウレタン結合を有するポリウレタン骨格
の、ウレタンプレポリマーがある。また、特開昭64−
14287号公報に開示されている様な、ポリイソシア
ネートに、ポリエステルポリオールと、ポリブタジエン
骨格を有するポリオールとを任意の順序で加え付加反応
させて得られた、ポリエステル骨格とポリブタジエン骨
格とがウレタン結合により結合された構造を有し且つ分
子末端にイソシアネート基を有する結晶性ウレタンプレ
ポリマー、或いは、特開平2−305882号公報に開
示されている様な、ポリカーボネート系ポリオールとポ
リイソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以
上のイシソアネート基を有するポリカーボネート系ウレ
タンプレポリマー、ポリエステル系ポリオールとポリイ
ソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以上の
イシソアネート基を有するポリエステル系ウレタンプレ
ポリマー等が挙げられる。
【0045】また、湿気硬化型感熱溶融型接着剤として
は、上記各種ポリイソシアネートプレポリマーの他に、
各種物性を調整する為に、上記必須反応成分に更に、必
要に応じて、熱可塑性樹脂、粘着付与剤、可塑剤、充填
剤等の各種副材料添加することもできる。これらの副材
料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
低分子量ポリエチレン、変性ポリオレフィン、アタクチ
ックポリプロピレン、線状ポリエステル、エチレン−エ
チルアクリレート(EAA)等の熱可塑性樹脂、テルペ
ン−フェノール樹脂、アビエチン酸ロジンエステル等の
粘着付与剤、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、
アルミナ等の微粉末からなる充填剤(体質顔料)、有機
ベントナイト等のチキソトロピック付与剤(特に凹凸段
差の大きい被転写基材の場合、湿気硬化型感熱溶融型接
着剤が凸部から凹部へ流入する事を防止する為に添加す
ると良い)、着色顔料、硬化触媒、水分除去剤、貯蔵安
定剤、老化防止剤等である。
【0046】最後に、用いる固体粒子5としては、ガラ
スビーズ、セラミックビーズ、炭酸カルシウムビーズ、
アルミナビーズ等の無機粉体である無機粒子、鉄、又は
純鉄、炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄合金、アルミニウ
ム、又はジュラルミン等のアルミニウム合金、チタン等
の金属ビーズ等の金属粒子、或いは、フッ素樹脂ビー
ズ、ナイロンビーズ、シリコーン樹脂ビーズ、ウレタン
樹脂ビーズ、尿素樹脂ビーズ、フェノール樹脂ビーズ、
架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子等を使用す
る。形状は球形状が好ましいが、その他の形状のもので
も用い得る。また、用いる気体としては、空気で良い
が、窒素ガス等の不活性ガスでも良い。固体粒子の粒径
としては、通常10〜1000μm程度である。また、
固体粒子の温度は室温(雰囲気温度)で行っても良い
が、場合によっては、転写シートの加熱軟化や湿気硬化
型感熱溶融型接着剤の活性化を助ける為に、固体粒子を
加熱したり、或いは、既に凹凸形状に追従し一応接着完
了した転写シートを冷却して、湿気硬化型感熱溶融型接
着剤を固化させる為に、冷却した固体粒子を用いても良
い。或いは、最初は加熱した固体粒子を用い、次に常温
の固体粒子を用いても良い。
【0047】以上説明してきた本発明の曲面転写方法及
び装置で得られる化粧板としては、外壁、塀、屋根、破
風板、門扉等の外装材、壁面、天井等の建築内装材、窓
枠、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具、家具の表面材、弱
電・OA機器のキャビネット、或いは自動車等の車両内
装材等の各種分野で用いられ得る。また、三次元的な表
面凹凸を持つ化粧板の装飾模様の具体例としては、例え
ば、目地を有するタイル調、煉瓦積み模様、スタッコ
調、リシン調、花崗岩等の凹凸劈開面を持つ石目調、羽
目板調、浮造木目板等の木目調等に適用できる。
【0048】なお、転写後の化粧板の表面に、更に透明
保護層を塗装する等しても良い。この様な透明保護層と
しては、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン
等のフッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル
樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂の1種又は2種以
上等をバインダーとし、これに必要に応じて、ベンゾト
リアゾール、超微粒子酸化セリウム等の紫外線吸収剤、
ヒンダードアミン系ラジカル補足剤等の光安定剤、着色
顔料、体質顔料、滑剤等を添加した塗料を用いる。塗工
はスプレー塗装、フローコート等を用いる。透明保護層
の膜厚は1〜100μm程度である。
【0049】
【実施例】次に実施例により本発明を更に説明する。
【0050】(実施例1)先ず、三次元的表面凹凸を有
する被転写基材1として図5に例示する様な目地の部分
が凹部を成す煉瓦積み模様の三次元的表面凹凸61を有
し、該凹凸面に下地塗装を施したケイ酸カルシウム板を
用意し、下地塗装面に、スプレー塗装にて、2液硬化型
ポリウレタン樹脂系のシーラー兼プライマーを30g/
2 (乾燥時)塗布し、その上にアクリル系樹脂エマル
ションを100g/m2 (乾燥時)塗布して、下塗り塗
装を行った。なお、これらはオフラインで別の装置で行
った。また、転写シートとしては支持体に厚さ50μm
のポリプロピレン系フィルムの片面に、カーボンブラッ
ク、弁柄、チタン白、イソインドリノンからなる顔料
と、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹
脂との8対2(重量比)の混合物系のバインダーからな
るインキで、転写層となる装飾層として煉瓦調の絵柄を
順次グラビア印刷したものを用意した。
【0051】次に、図1の装置を用いて、上記転写シー
トの転写層面に、接着剤塗工装置20にて、加熱溶融さ
せたホットメルト型の湿気硬化型感熱溶融型接着剤を3
0g/m2 (固形分)塗工しながら、圧印加部6に供給
した。一方、被転写基材1は、その凹凸面を上にして搬
送用ローラ列2上に載置して、被転写基材も乾燥装置4
1の熱風加熱で予熱してから、圧印加部のチャンバ16
内に供給した。被転写基材がチャンバに入ったところ
で、上記、湿気硬化型感熱溶融型接着剤が塗工され搬送
されてきた転写シート3を被転写基材1に接近させた。
そして、1対のエンドレスベルト状のシート支持装置9
で転写シート3の表裏を挟持した。その状態で、転写シ
ート3側から電熱線ヒータによる輻射熱で転写シートの
予熱及び湿気硬化型感熱溶融型接着剤の予熱による活性
化を行った。次いで、室温の空気と共に固体粒子として
平均粒径0.8mmの球形のナイロンビーズ5を図2
(a)の配列の吹出ノズルから噴出させ転写シート3裏
面に衝突させて、転写シートを被転写基材の圧接した。
吹付圧力は5kg/cm2 、気流の圧力分布は図3の様
にシート幅方向中央が極大となる様にした。そして、転
写シートが目地の凹部内にまで延ばされて密着した後、
圧印加部のチャンバの外に設置した冷却装置21で室温
の風を吹き付けて、湿気硬化型感熱溶融型接着剤を固化
を促進させた後、転写シートの支持体を剥離ローラ10
で剥がし取ると、化粧板60が得られた。さらに、転写
後の化粧板を20℃、60%RHの雰囲気中で10時間
養生した後、転写層の表面に2重量%のベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤を含むポリフッ化ビニリデンのエマ
ルション塗料を厚さ10μm塗布して、透明保護層を形
成して、透明保護層付きの化粧板を得た。得られた化粧
板は表面凹凸に追従して絵柄が転写されていた。また、
箔バリも柄抜けも生じていなかった。
【0052】(実施例2)実施例1において、被転写基
材1としてケイ酸カルシウム板の代わりに下地塗装未処
理のALC(軽量発砲コンクリート)板を、シーラ及び
プイマー塗装せずに用い、且つ、転写シートは、その支
持体としてポリプロピレン系フィルムの支持体の代わり
に25μm厚みのポリエチレンテレフタレートフィルム
を用いた転写シートを用い、湿気硬化型感熱溶融型接着
剤の転写シートへの塗布量をロールコートによる150
μmとした他は、実施例1と同様にして、化粧板を得
た。得られた化粧板は表面凹凸に追従して絵柄が転写さ
れていた。また、箔バリも柄抜けも生じていなかった。
【0053】(実施例3)実施例1において、接着剤を
転写シートに直接塗工せずに、先ずセパレータとして1
00g/m2 のシリコーンコート紙に接着剤を150μ
m厚に塗工し、このセパレータを転写シートにラミネー
ト後、剥がすことで、セパレータから接着剤を転写シー
トの転写層上に転写・移行させて、転写シートに接着剤
を設ける処理を、衝突圧印加とインライン(接着剤のセ
パレータへの塗工及び転写シートへの転写の装置部分は
不図示)で行った他は、実施例1と同様にして化粧板を
得た。得られた化粧板は表面凹凸に追従して絵柄が転写
されていた。また、箔バリも柄抜けも生じていなかっ
た。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、大きな三次元的凹凸表
面が装飾された化粧板が容易に得られる。もちろん、窓
枠、サッシ等の二次元的凹凸も可能であり、平板状の板
材以外にも、瓦の様に全体として波うち形状のもの、或
いは凸又は凹に湾曲した形状のものでも容易に得られ
る。しかも、被転写基材への転写層の接着に湿気硬化型
ホットメルト接着剤を用いるので、転写層の接着強度に
優れ、耐摩耗性、耐薬品性等の耐久性のある表面装飾の
化粧板が得られる。また、生産性も湿気硬化型ホットメ
ルト接着剤を用いる為に、圧接直後の初期接着力を高く
でき、支持体を剥離する際にも箔バリや柄抜けを生じ
ず、高速接着が可能で、高速連続生産も容易で生産効率
にも優れる。また、接着剤の完全硬化も、湿気硬化型感
熱溶融型接着剤を用いているので、得られた化粧剤を自
然放置しておけば空気中の水分によって硬化するので、
専用の硬化設備も特に必要としない。また、特にホット
メルト型の接着剤を選択した場合は、無溶剤状態で転写
のための転写シートの被転写基材への圧接を行うので、
圧接を行うチャンバ内に溶剤が充満せず、爆発の危険性
もなく、防爆設備も不要である。また、従来のゴムロー
ル押圧方式の様に、被転写基材の凹凸部によるロール等
部品の損耗も無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の曲面転写方法及び曲面転写装置の一形
態の説明図。(a)は基材搬送方向の側面から見た概略
装置図。(b)は(a)の装置の吹出ノズル部分を基材
搬送方向から見た概略装置図。
【図2】吹出ノズル配置の各種形態を示す平面図。
(a)は千鳥格子状に並べた配置、(b)は中央部は上
流側にして、両端になるにつれて下流側にずらした配
置。
【図3】衝突圧に幅方向分布を設けた説明図。
【図4】吹き付け方向の一形態を示す流れ方向からみた
側面図。
【図5】被転写基材の三次元表面凹凸の一例を示す平面
図。
【図6】湿気硬化型感熱溶融型接着剤と、通常の感熱溶
融型接着剤、及び2液硬化型接着剤の接着力の発現特性
を比較する説明図。
【符号の説明】
1 被転写基材 2 基材搬送装置 3 転写シート 4 シート送り装置 5 固体粒子 6 圧印加部 7 シート供給装置 8 ガイドローラ 9 シート支持装置 10 剥離ローラ 11 シート排出装置 12 ホッパ 13 送風機 14 マニホールド 15 吹出ノズル 16 チャンバ 17 ドレン管 18 真空ポンプ 20 接着剤塗工装置 30 加熱装置 31 冷却装置 40 基材塗工装置 41 乾燥装置 50 真空吸引ノズル 51 真空ポンプ 60 化粧板 61 煉瓦積み模様の三次元的表面凹凸 t0 圧接時点 t1 冷却完了時 t2 剥離時点 t3 数日後 A 通常の感熱溶融型接着剤の接着力変化 B 2液硬化型接着剤の接着力変化 C 本発明の湿気硬化型感熱溶融型接着剤の接着力変

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹凸表面を有する被転写基材の凹凸表面
    に、転写層を対向させた転写シートの裏面側から固体粒
    子を衝突させ、その衝突圧を利用して、被転写基材の凹
    凸表面への転写シートの圧接を行う曲面転写方法であっ
    て、 転写層の被転写基材への接着に、湿気硬化型感熱溶融型
    接着剤を用いる、曲面転写方法。
  2. 【請求項2】 凹凸表面を有する被転写基材の凹凸表面
    に、転写層を対向させた転写シートの裏面側から固体粒
    子を衝突させ、その衝突圧を利用して、被転写基材の凹
    凸表面への転写シートの圧接を行う曲面転写装置であっ
    て、 転写層の被転写基材への接着に、転写シート又は被転写
    基材のいずれか片方又は両方に、湿気硬化型感熱溶融型
    接着剤を圧接直前に施した後、転写シートを被転写基材
    に圧接する、曲面転写装置。
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