JPH10108655A - 食品における核酸旨味成分保持剤 - Google Patents

食品における核酸旨味成分保持剤

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JPH10108655A
JPH10108655A JP8266870A JP26687096A JPH10108655A JP H10108655 A JPH10108655 A JP H10108655A JP 8266870 A JP8266870 A JP 8266870A JP 26687096 A JP26687096 A JP 26687096A JP H10108655 A JPH10108655 A JP H10108655A
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JP
Japan
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nucleic acid
meat
food
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ribonucleotide
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JP8266870A
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Inventor
Ikuo Katsumi
郁男 勝見
Masayuki Abe
真幸 阿部
Naoko Yasuhara
直子 安原
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 畜肉、家禽肉、魚介肉等の食肉もしくはその
干物、野菜、卵等、またはそれらを含む食品に対し、そ
れらが保有しているか、もしくは調味料等として添加さ
れた旨味成分である5’リボヌクレオチドが5’リボヌ
クレオチダーゼにより分解されることを防止し、味の劣
化を防ぎ得る食品における核酸旨味成分保持剤を提供す
ること。 【解決手段】 茶飲料生産工程より産出するスラッジを
含む食品における核酸旨味成分保持害剤を、畜肉、家禽
肉、魚介肉等の食肉もしくはその干物、野菜、卵等、ま
たはそれらを含む食品に作用させ、5’リボヌクレオチ
ダ−ゼによるリボヌクレオチドの分解を防止し、味の劣
化を防ぐ方法であり、保持剤とリボヌクレオチドを含む
調味料をそれら食品に添加することで旨味を持続させる
ことができ、適用される食品としては、漬物、すり身、
味噌、醤油、ハム、ソーセージ、マヨネーズ、たらこ、
辛子明太子、大豆蛋白含有食品、魚介塩辛、魚介干物等
がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核酸旨味成分保持
剤と5’リボヌクレオチドとを含有する調味料、並びに
それらを用いて食品の味の持続を図り、また食品の旨味
を安定化させる方法に関する。さらに詳しくは、畜肉、
家禽肉、魚介肉等の食肉やその干物、野菜類、及びそれ
らの加工品、漬物、すり身、味噌、ハム・ソーセージ、
マヨネーズ、たらこ・辛子明太子、大豆蛋白含有食品、
魚介塩辛、魚介干物等の食品が元来有しているか、ある
いはこれらの食品に添加される核酸調味料由来の旨味成
分であるイノシン酸(以下、IMPと称す。)、アデノ
シンモノフォスフェート(以下、AMPと称す。)、グ
アニル酸(以下、GMPと称す。)等の5’リボヌクレ
オチドがリン酸加水分解酵素により分解されることを防
止して、食品中に旨味成分を蓄積し、味の劣化を防止し
うる核酸旨味成分保持剤、及びこの核酸旨味成分保持剤
と旨味成分として5’リボヌクレオチドを含有する調味
料、並びにこれらを用いた食品の味の安定化法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】畜肉、家禽肉または魚介肉等の食肉やそ
の干物、その他の食品の核酸成分であるIMP、GM
P、AMP等の5’リボヌクレオチドは、食品における
旨味成分として知られているが、これらの5’リボヌク
レオチドは5’リボヌクレオチダーゼにより分解され、
食品の味は劣化してくる。また、畜肉、家禽肉、もしく
は魚介肉等の食肉、またはそれらの干物、野菜類、卵、
及びそれらの加工品であるハム・ソーセージ、すり身、
味噌、醤油、漬物、辛子明太子、大豆蛋白含有食品、魚
介塩辛、魚介干物等の食品の加工工程中、またはこれら
の食品中に5’リボヌクレオチドを含有する調味料を使
用する場合、5’リボヌクレオチダーゼ活性があると調
味料中または食品中の5’リボヌクレオチドが分解さ
れ、味の劣化が生じうる。したがって、5’リボヌクレ
オチダーゼの活性を抑制して5’リボヌクレオチドの分
解を防止すれば、これらの食品や調味料の味の劣化を防
止することができる。
【0003】このような5’リボヌクレオチダーゼによ
る5’リボヌクレオチドの分解を防止する方法として
は、冷凍、冷蔵により食品の温度を低く保って、5’リ
ボヌクレオチダーゼの活性を抑制する方法がある。ま
た、5’リボヌクレオチダーゼ阻害剤をこれら旨味成分
の劣化防止に利用するという方法も数多く提案されてい
る。例えば、特公昭45−18263号には、ヌクレオ
シド−5’−リン酸エステル分解酵素を含有する食品
に、キンミズヒキの親水性有機溶媒抽出液に非親水性有
機溶媒を添加して得られる沈澱物を添加して均一に分散
させることを特徴とするヌクレオシド−5’−リン酸エ
ステル類が安定に含有された食品の製造法が、特公昭4
5−20542号には、ヌクレオシド−5’−リン酸エ
ステル分解酵素を含有する食品に、サングイソルバ・オ
フイシナリス・リンネの親水性有機溶媒抽出液に非親水
性有機溶媒を添加して得られる沈澱物を添加して均一に
分散させることを特徴とするヌクレオシド−5’−リン
酸エステル類が安定に含有された食品の製造法が、特公
昭45−20544号には、ヌクレオシド−5’−リン
酸エステル分解酵素を含有する食品に、コケモモの葉の
親水性有機溶媒抽出液に非親水性有機溶媒を添加して得
られる沈澱物を添加して均一に分散させることを特徴と
するヌクレオシド−5’−リン酸エステル類が安定に含
有された食品の製造法が、特公昭45−20545号に
は、ヌクレオシド−5’−リン酸エステル分解酵素を含
有する食品に、シンナモム・カシア・ニースの親水性有
機溶媒抽出液に非親水性有機溶媒を添加して得られる沈
澱物を添加して均一に分散させることを特徴とするヌク
レオシド−5’リン酸エステル類が安定に含有された食
品の製造法が、特公昭45−20546号には、ヌクレ
オシド−5’−リン酸エステル分解酵素を含有する食品
に、ウンカビリア・ガンビール・ロクスブルギの葉の親
水性有機溶媒抽出液に非親水性有機溶媒を添加して得ら
れる沈澱物を添加して均一に分散させることを特徴とす
るヌクレオシド−5’−リン酸エステル類が安定に含有
された食品の製造法が、特公昭45−20547号に
は、ヌクレオシド−5’−リン酸エステル分解酵素を含
有する食品に、ビンロウジュの種子の親水性有機溶媒抽
出液に非親水性有機溶媒を添加して得られる沈澱物を添
加して均一に分散させることを特徴とするヌクレオシド
−5’−リン酸エステル類が安定に含有された食品の製
造法が、特公昭45−20548号には、ヌクレオシド
−5’−リン酸エステル分解酵素を含有する食品に、レ
ウム・パルマートウム・リンネ・パリエータス・タング
テイクム・マグシモウィッチの根茎の親水性有機溶媒抽
出液に非親水性有機溶媒を添加して得られる沈殿物を添
加して均一に分散させることを特徴とするヌクレオシド
−5’−リン酸エステル類が安定に含有された食品の製
造法が、それぞれ開示されている。更には、特開平2−
84141には、ブドウの皮の親水性溶媒抽出物を有効
成分とする食品旨味成分保存料が、特開平2−8414
8号にはヒシの実の親水性溶媒抽出物を有効成分とする
食品旨味成分保存料が、特開平2−167050号に
は、ビンロウジュや貫衆の親水性溶媒抽出物を有効成分
とする食品旨味成分保存料が、それぞれ開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、食品を
冷凍、冷蔵することで温度を低く保つという方法では、
冷凍、冷蔵のための設備投資が必要となり、コスト、設
備面積等に問題がある。しかも、5’リボヌクレオチダ
ーゼの種類によっては、冷蔵中にも作用するものもあ
り、また、保存中に冷凍や冷蔵によって食品自体が劣化
するという問題もある。一方、前記のような従来の各種
5’ヌクレオチダーゼ阻害剤による旨味成分劣化防止技
術では、阻害剤の供給面、価格、阻害活性の強さ等によ
り実用化しにくい面がある等の問題がある。
【0005】そこで、本発明は上記の点に鑑み、安価で
且つ安定供給可能であり、しかも5’ヌクレオチダーゼ
阻害活性が強く、食品が本来保有しているか、あるいは
調味料としてこれら食品に添加された旨味成分である
5’リボヌクレオチドの分解を防止し、食品の味の劣化
を防止しうる核酸旨味成分保持剤、及びこの核酸旨味成
分保持剤を用いて、食品中、あるいは食品に添加される
調味料中の5’リボヌクレオチドが5’ヌクレオチダー
ゼにより分解されることを防止して食品の味の劣化を防
止しうる方法を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決しょうとするための手段】そこで、鋭意検
討の結果、当発明者等は、以前に、茶抽出物に5’ヌク
レオチダーゼに対する強い阻害活性があることを見いだ
し、既にWO95/04481に、茶抽出物からなるホ
スファターゼ阻害剤、そのホスファターゼ阻害剤と5’
リボヌクレオチドからなる調味料、及びそのホスファタ
ーゼ阻害剤または調味料による食品の味の劣化防止法、
食品中の旨味持続法を開示している。その後、更に検討
した結果、茶飲料生産工程より産出する廃棄物としての
スラッジには、5’ヌクレオチダーゼに対し、更に強い
阻害活性を有するものがあることを見い出し、本発明を
完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、茶飲料生産工程に於い
て、茶葉から熱湯、熱水等により茶飲料とすべく茶成分
を抽出した後、冷却した時に生じるスラッジを含有して
なる核酸旨味成分保持剤である。ここでいうスラッジと
は抽出後に出てくる凝固物であり、紅茶から抽出した凝
固物(クリームダウン等)を使用するのが好ましい。ま
たここでいう茶飲料としては、緑茶、紅茶、ウーロン茶
等が挙げられる。前記核酸旨味成分保持剤は、食肉、野
菜、卵等の食品由来の5’ヌクレオチダーゼの酵素活性
を阻害することができる。上記スラッジは、茶飲料とし
て観れば、廃棄物であり、経済的にも原料として非常に
有利である。又、これには、カテキン等のポリフェノー
ル類、カフェイン等の植物成分が含まれているものと思
われる。
【0008】前記茶飲料生産工程より産出するスラッジ
を含有してなる核酸旨味成分保持剤は、食品由来の5’
ヌクレオチダーゼの酵素活性を阻害する。したがって、
この核酸旨味成分保持剤を畜肉、家禽肉、魚介肉等の食
肉、またはその干物に作用させることで食肉の味の劣化
を防止できる。前記食品旨味成分保持剤を食肉に作用さ
せる方法としては、食肉またはその干物に対して0.0
1〜5重量%となるように、添加するか、あるいは、核
酸旨味成分保持剤を食肉に対して0.01〜5重量%と
なるように含有する処理液に食肉を浸漬する。
【0009】また、前記核酸旨味成分保持剤を調味料に
作用させることで食品の味の劣化を防止することができ
る。この場合の具体的な方法としては、前記核酸旨味成
分保持剤を含む調味料、または、前記核酸旨味成分保持
剤と旨味成分として5’リボヌクレオチドを含む調味料
を、食品に対して前記核酸旨味成分保持剤が0.01〜
5重量%となるように添加するか、あるいは、前記核酸
旨味成分保持剤が5’リボヌクレオチドの旨味成分を含
む調味料により味付けされる食品に対して0.01〜5
重量%となるように含有させた処理液に、食品を浸漬す
る方法がある。
【0010】前記核酸旨味成分保持剤と5’リボヌクレ
オチドを含有する調味料により旨味を持続させうる食品
としては、食肉、野菜、卵等を含む食品であり、具体的
には、漬物、すり身、味噌、ハム・ソーセージ、マヨネ
ーズ、たらこ・辛子明太子、魚介塩辛、大豆蛋白加工食
品が挙げられる。また、魚介干物の場合には、前記核酸
旨味成分保持剤を魚介に浸透させ、この干物を乾燥させ
ることで前記核酸旨味成分保持剤を作用させる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における5’ヌクレオチダーゼとは、前記の通
り、IMP、AMP、GMP等の核酸由来の5’リボヌ
クレオチドを分解する酵素であり、食品中に含まれてい
る。そして、核酸旨味成分保持剤は、前記のような食品
中の5’ヌクレオチダーゼの酵素活性を抑制し、食品の
旨味成分である5’リボヌクレオチドの分解を防ぎ、食
品の旨味を持続させたり、味の劣化を防止するものであ
る。
【0012】本発明に用いる核酸旨味成分保持剤は、茶
飲料生産工程より産出するスラッジより水分を蒸発、乾
燥させ得られるものである。必要に応じて吸着樹脂、濾
過膜等により精製することもありうる。本発明で食品と
は、一般的な食品であり、ハム・ソーセージ等の加工食
品も含まれ、その原料となるものは、食肉、野菜、卵等
である。
【0013】本発明に係る核酸旨味成分保持剤を適用し
うる具体的な食品としては、食肉またはその干物、漬
物、すり身、味噌、ハム・ソーセージ、マヨネーズ、た
らこ・辛子明太子、魚介塩辛、大豆蛋白食品、魚介干物
等が挙げられる。前記食肉としては、畜肉、家禽肉、魚
介肉などが例示できる。前記畜肉とは、牛、豚、兎等か
ら得られる食肉であり、家禽肉とは、鶏等から得られる
食肉であり、魚介肉とは、魚、貝等から得られる食肉で
ある。さらに、その干物とは、これらの食肉を自然乾燥
したり、乾操機械等を用いて乾燥して得られた乾物であ
る。
【0014】また、前記野菜としては、例えば、胡瓜、
白菜、カブ、ナス、レタス、キャベツ、大根、人参、ほ
うれんそう、カボチャ等の緑黄色野菜が例示できる。前
記卵としては、特に鳥類、魚類から得られる卵が挙げら
れ、より具体的には鶏卵、うずら卵、タラの卵等が例示
できる。さらに、その卵黄、卵白も用いることができ
る。
【0015】前記漬物とは、野菜、魚等の素材を食塩、
酢酸、味噌、酒粕、糠、アミノ酸、核酸等の様々な調味
料とともに一定期間、漬け込んだものであり、その具体
例としては、醤油漬け、味噌漬け、奈良漬け、粕漬け、
塩漬け、酢漬け等が挙げられる。前記すり身とは、魚肉
を塩とともに、魚肉タンパクを塩析させて変成させてゲ
ル状に形成したものであり、蒲鉾やはんぺん等に用いる
ことができる。
【0016】前記味噌とは、米、大麦、大豆由来の麹に
大豆、食塩、水を混合して熟成、発酵させたものであ
る。前記ハムとは、豚肉等を食塩、亜硝酸塩、庶糖等を
含む調味液に漬けて味付け後、燻煙、湯煮をしたもので
ある。またソーセージとは、牛、豚、羊、魚等の肉類を
細砕、調味してケーシングに詰め、乾燥、燻煙したもの
である。
【0017】前記マヨネーズとは、サラダ油等の油類と
酢、卵黄を混合、乳化したものである。前記たらこは、
スケトウタラの卵を色素、食塩、調味料等で味付けした
ものであり、また、辛子明太子は、魚卵、特にスケトウ
タラの卵を唐辛子を原料とした漬液に漬け込んだ食品で
ある。
【0018】前記魚介塩辛とは、魚肉、内臓等を、食塩
や核酸等の調味料とともに一定期間、漬け込んだり、あ
るいは醗酵させたものである。前記大豆蛋白含有食品と
は、粉状もしくは粒状の大豆蛋白を含有する食品であ
り、ギョウザ、ハンバーグ等の惣菜、冷凍食品、チルド
食品等がある。前記魚介干物とは、魚介類を自然乾燥し
たり、乾操機械等を用いて乾燥して得られた乾物であ
る。
【0019】また、本発明の処理液は、上記のような食
品を浸漬する液体、例えば、漬物の漬液であり、上記の
核酸旨味成分保持剤を含むものである。なお、必要に応
じて調味料を含んだものも用いることができる。本発明
の調味料は、味付けを目的とする食品であり、上記核酸
旨味成分保持剤と5’リボヌクレオチドとを含有してな
る。
【0020】このような調味料を、畜肉、家禽肉、魚介
肉等の1種または2種以上を含む食肉、もしくはその干
物、食肉、野菜、卵等の1種または2種以上を含む食
品、例えば漬物、すり身、味噌、ハム・ソーセージ、マ
ヨネーズ、たらこ・辛子明太子、魚介塩辛、大豆蛋白食
品、魚介干物等の加工工程中、または食品中に使用する
ことにより、食品の旨味を持続させることができる。
【0021】本発明の核酸旨味成分保持剤は、これを食
品に用いる場合、粉末、液体いずれの形態でも良く、ま
た必要に応じ他の調味料と種々混合して用いても良い。
本発明の核酸旨味成分保持剤は、食品に対し0.01〜
5重量%となる様に添加する事により効果を発揮でき
る。核酸旨味成分保持剤が食品に対して0.01重量%
未満では本発明の効果が得られず、また、5重量%を超
えると味が濃くなり過ぎたり、経済的にコスト高とな
る。また本発明の調味料は、これを食品に用いる場合、
粉末、液体いずれの形態でも良く、必要に応じ他の調味
料、食品添加剤と種々混合して用いても良い。この場
合、食品に対し、5’リボヌクレオチドが0.001〜
5重量%、核酸旨味成分保持剤が0.01〜5重量%と
なる様に添加する事により効果を発揮できる。5’リボ
ヌクレオチドが食品に対して0.001重量%未満では
本発明の効果が得られず、また、5重量%を超えると味
が濃くなり過ぎたり、経済的にコスト高となる。一方、
核酸旨味成分保持剤が食品に対して0.01重量%未満
では本発明の効果が得られず、また、5重量%を超える
と味が濃くなり過ぎたり、経済的にコスト高となる。
【0022】前記5’リボヌクレオチドの具体的なもの
としては、IMP、AMP、GMP等が列挙され、さら
にそのナトリウム塩等がある。本発明の核酸旨味成分保
持剤は、食品中の5’ヌクレオチダーゼの活性を抑制
し、それら食品中の5’リボヌクレオチド、または食品
に使用する調味料中の5’リボヌクレオチドの分解を防
止して味の劣化を防ぎうるものであるが、そのメカニズ
ムは以下のようなものである。
【0023】即ち、生体中高エネルギー化合物のATP
(アデノシントリフォスフェート)は、ATP→ADP
(アデノシンヂフォスフェート)→AMP(アデノシン
モノフォスフェート)→IMP(イノシン酸)→HxR
(イノシン)→Hx(ヒポキサンチン)の順で分解され
て尿酸になる。死直後には、イノシン以後の代謝物はあ
まりみられず、その後、鮮度低下と共に、AMP、IM
P等が減少し、イノシン、ヒポキサンチンが増加してく
る。これらの分解反応は、関連する酵素に依存する。I
MPからイノシンへの代謝に関与している酵素が5’ヌ
クレオチダーゼであり、この酵素はAMPからアデノシ
ン、GMP(グアノシンモノフォスフェート)からグア
ノシンヘの代謝にも関与している。IMP、AMP、G
MP等の核酸成分はいずれも食品における旨味成分であ
る。従って、これら旨味成分を含む食品に5’ヌクレオ
チダーゼ阻害剤を作用させることにより、IMP、AM
P、GMP等の旨味成分が蓄積され、味の改良、味の劣
化防止に役立てることが出来る。また、5’ヌクレオチ
ダーゼ阻害剤は、食品中に含まれるその他の核酸成分の
分解をも防止し、更には食品の加工工程中、その他加工
食品中に添加された核酸調味料の劣化、ひいては味の劣
化も防ぐ事が出来る。しかし、すべての植物成分がこの
ような5’ヌクレオチダーゼ阻害活性を有するものでは
なく、本発明におけるごとき特定の植物成分のみがその
ような5’ヌクレオチダーゼ阻害活性を有するのであ
る。
【0024】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
るが、これらの実施例は本発明を制限するものではな
い。 (実施例1)茶飲料製造工程より産出するスラッジの
5’ヌクレオチダーゼ阻害活性の測定(キュウリ・5’
ヌクレオチダーゼに対する阻害活性)キュウリ100g
に水50gを加えてホモジナイズし、このホモジネート
を5’ヌクレオチダーゼの酵素源として使用した。阻害
活性測定は、イノシン酸二ナトリウムの残存量をHPL
Cで定量することにより算出した。即ち、検体(スラッ
ジを乾固したもの)10mgにエタノール60μlを添
加して懸濁させ、前記キュウリ・ホモジネート1.5g
を加え、ここに35mMイノシン酸二ナトリウム水溶液
440μlを加え、37℃で4時間反応させた。反応は
25%トリクロロ酢酸0.6mlを添加して停止し、反
応液を遠心分離した。この上清のイノシン酸量を測定し
た。そして、阻害活性の算出方法は、下記に示す式によ
り阻害率(%)として求めた。 〈阻害活性を算出する式〉 阻害率(%)=100−(X−A)/(B−A)×100 A;被検サンプル無添加時の0時間反応後のイノシン酸量(μmol) B;被検サンプル無添加時の4時間反応後のイノシン酸量(μmol) X;被検サンプル添加時の4時間反応後のイノシン酸量 (μmol) 尚、HPLCの条件は以下のとおりであった。
【0025】 条件 カラム:コスモシール 5C18 移動相:0.03M リン酸カリウム:アセトニトリル=98:2 5’ヌクレオチダーゼ阻害剤の検体として、茶飲料製造
工程で紅茶葉からの熱水抽出液を冷却して生じるスラッ
ジを乾固したものを用い活性測定を行ったところ、阻害
活性は、77%であった。一方、紅茶葉から熱水抽出
し、濃縮、乾固したものの阻害活性は、40%であっ
た。
【0026】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る、茶飲料生
産工程より産出するスラッジを含有してなる食品におけ
る核酸旨味成分保持剤は、食品または食品に添加した核
酸調味料中の旨味成分であるIMP、AMP、GMP等
の核酸成分の分解を防止し、食品の味の劣化を防ぐ事が
出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // A23J 3/16 A23L 1/317 A A23L 1/202 115 Z 1/24 1/325 A 1/317 101F 102Z 1/325 1/328 Z 101 1/333 Z 102 1/48 1/328 C12N 9/99 1/333 A23B 4/00 H 1/48 4/02 C C12N 9/99 4/04 501G

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 茶飲料生産工程より産出するスラッジを
    含有してなる食品における核酸旨味成分保持剤。
  2. 【請求項2】 茶飲料生産工程より産出するスラッジを
    含有させることを特徴とする食品中の核酸旨味成分の安
    定化法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の食品における旨味成分保
    持剤を含有する調味料。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の食品における旨味成分保
    持剤と5’リボヌクレオチドを含有する調味料。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤を畜
    肉、家禽肉、魚介肉等の食肉またはその干物に作用させ
    ることを特徴とする食肉またはその干物の味の安定化方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤を畜
    肉、家禽肉、魚介肉等の食肉またはその干物に対して
    0.01〜5重量%となるように添加することを特徴と
    する食肉またはその干物の味の安定化法。
  7. 【請求項7】 畜肉、家禽肉、魚介肉等の食肉またはそ
    の干物を、請求項1記載の核酸旨味成分保持剤を前記食
    肉に対して0.01〜5重量%となるように含有する処
    理液に浸漬することを特徴とする食肉またはその干物の
    味の安定化法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤を調
    味料に作用させることを特徴とする食品の味の安定化
    法。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤を、
    5’ヌクレオチド等の旨味成分を含む調味料により味付
    けされる食品に対して0.01%〜5重量%となるよう
    に添加することを特徴とする食品の味の安定化法。
  10. 【請求項10】 ヌクレオチド等の旨味成分を含む調味
    料により味付けされる食品を、請求項1記載の核酸旨味
    成分保持剤を前記食品に対して0.01〜5重量%とな
    るように含有する処理液に浸漬することを特徴とする食
    品の味の安定化法。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料を食肉、野菜、
    または卵を含む食品に添加して5’リボヌクレオチドの
    旨味を持続させる方法。
  12. 【請求項12】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料を漬物に添加し
    て5’リボヌクレオチドの旨味を持続させる方法。
  13. 【請求項13】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料をすり身に添加
    して5’リボヌクレオチドの旨味を持続させる方法。
  14. 【請求項14】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料を味噌に添加し
    て5’リボヌクレオチドの旨味を持続させる方法。
  15. 【請求項15】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料をハム、または
    ソ−セ−ジに添加して5’リボヌクレオチドの旨味を持
    続させる方法。
  16. 【請求項16】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料をマヨネ−ズに
    添加して5’リボヌクレオチドの旨味を持続させる方
    法。
  17. 【請求項17】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料をたらこ、また
    は辛子明太子に添加して5’リボヌクレオチドの旨味を
    持続させる方法。
  18. 【請求項18】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料を魚介塩辛に添
    加して5’リボヌクレオチドの旨味を持続させる方法。
  19. 【請求項19】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料を大豆蛋白含有
    食品に添加して5’リボヌクレオチドの旨味を持続させ
    る方法。
  20. 【請求項20】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤を
    魚介に浸透させ、該魚介を乾燥して得られる魚介干物中
    の5’リボヌクレオチドの旨味を持続させる方法。
  21. 【請求項21】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味付
    けしてなり、食肉、野菜、または卵を含む食品。
  22. 【請求項22】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味付
    けした漬物。
  23. 【請求項23】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味付
    けしたすり身。
  24. 【請求項24】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味付
    けした味噌。
  25. 【請求項25】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味付
    けしたハム・ソ−セ−ジ。
  26. 【請求項26】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味付
    けしたマヨネ−ズ。
  27. 【請求項27】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味付
    けしたたらこ・辛子明太子。
  28. 【請求項28】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味付
    けした魚介塩辛。
  29. 【請求項29】 請求項1記載の核酸旨味成分保持剤と
    5’リボヌクレオチドを含有する調味料を利用して味付
    けした大豆蛋白含有食品。
  30. 【請求項30】 5’リボヌクレオチドを含有し、請求
    項1記載の核酸旨味成分保持剤を作用させた魚介干物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001252009A (ja) * 2000-03-15 2001-09-18 Nakajima Suisan Co Ltd 塩辛類、魚介類漬物及び塩漬加工品等の熟成制御方法
US7314716B2 (en) 1999-11-19 2008-01-01 Mount Sinai School Of Medicine Gustducin γ subunit materials and methods
USRE40594E1 (en) 1998-12-23 2008-12-02 Mount Sinai School Of Medicine Of New York University Inhibitors of the bitter taste response
JP2019058129A (ja) * 2017-09-27 2019-04-18 三井農林株式会社 呈味改善方法

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