JPH10103476A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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Publication number
JPH10103476A
JPH10103476A JP8280402A JP28040296A JPH10103476A JP H10103476 A JPH10103476 A JP H10103476A JP 8280402 A JP8280402 A JP 8280402A JP 28040296 A JP28040296 A JP 28040296A JP H10103476 A JPH10103476 A JP H10103476A
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JP
Japan
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pressure
control
turbine
line
shift
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Application number
JP8280402A
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English (en)
Inventor
Mitsuru Nagaoka
満 長岡
Yasuma Nishiyama
安磨 西山
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect

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  • Gear-Shifting Mechanisms (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 変速段の切り替え時に、摩擦要素の作動油圧
のフィードバック制御の安定性を高めることができ、変
速ショックの発生を有効に防止しつつ短時間で変速段の
切り替えを行うことができる自動変速機の制御装置を提
供する。 【解決手段】 自動変速機10の油圧制御回路100に
おいては、変速段の切り替え時に、コントローラによっ
て、作動油圧が、トルク相では入力トルク等に基づいて
フィードフォワード制御される一方、イナーシャ相では
タービン回転数変化率に基づいてフィードバック制御さ
れる。そして、トルク相からイナーシャ相へ移行した
後、タービン回転数変化率が安定していない間は、作動
油圧のフィードバック制御が停止され、タービン回転数
変化率が安定してからフィードバック制御が開始され
る。かくして、油圧のフィードバック制御の安定性が高
められ、変速ショックの発生を有効に防止しつつ短時間
で変速段が切り替えられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機の制御
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用の自動変速機にはトル
クコンバータと機械式の変速機構とが直列に設けられ、
トルクコンバータはエンジン出力軸のトルクを変速して
タービンシャフトに伝達し(ただし、ロックアップ時に
は変速されない)、変速機構は上記タービンシャフトの
トルクをさらに変速して駆動輪側に伝達するようになっ
ている。ここで、変速機構は、通常、複数のギヤを備え
たプラネタリギヤシステムからなり、かかる変速機構に
は所定のギヤへのトルクの伝達をオン・オフするクラッ
チ、あるいは所定のギヤを固定又は解放するブレーキ等
の各種摩擦要素が設けられる。
【0003】そして、これらの各摩擦要素を動作させる
ために油圧機構が設けられ、この油圧機構を介して各摩
擦要素のオン・オフ状態(締結・解放状態)が切り替え
られ、これに伴って変速機構の変速段が切り替えられる
ようになっている。なお、油圧機構から摩擦要素に供給
される油圧は油圧制御手段によって制御されるようにな
っている。
【0004】そして、近年普及しつつある電子制御式の
自動変速機においては、マイクロコンピュータからなる
コントロールユニットによって、例えばスロットル開度
とタービン回転数(又は車速)とをパラメータとする変速
マップに従って、変速機構の変速段が切り替えられるよ
うになっている。例えば、前進4段の自動変速機の変速
マップには、1速→2速、2速→3速、3速→4速の3
つのアップシフトラインと、2速→1速、3速→2速、
4速→3速の3つのダウンシフトラインとが設定され、
運転状態がアップシフトライン又はダウンシフトライン
を横切ったときに、これに対応する変速段の切り替えが
行われるようになっている。
【0005】そして、かかる変速段の切り替え時、例え
ば1速から2速へのアップシフト時には2−4ブレーキ
がオンされ、また2速から3速へのアップシフト時には
3−4クラッチとがオンされる一方2−4ブレーキがオ
フされることになるが、ここで油圧機構から摩擦要素へ
の供給油圧は、該変速段の切り替えにかかわる摩擦要素
での動力伝達量等に応じた適切なものでなければならな
い。けだし、変速段の切り替え時において供給油圧が必
要以上に高いときには該摩擦要素が急激に締結されて変
速ショックが生じるからであり、反面供給油圧が低過ぎ
るときには該摩擦要素の締結に要する時間が長くなり、
迅速な切り替え動作が行えなくなるとともに、該摩擦要
素の異常摩耗あるいは異常発熱が生じるからである。
【0006】そこで、かかる自動変速機においては、一
般に変速ショックの発生を防止するために、油圧制御手
段によって、変速機構への入力トルク、タービン回転数
等に応じて摩擦要素への供給油圧が好ましく制御される
ようになっている。なお、電子制御式の自動変速機にお
いては、かかる油圧制御手段は、コントロールユニット
から印加される信号に従ってデューティ制御されるデュ
ーティソレノイドバルブを用いて供給油圧を制御するよ
うになっている。このように、デューティソレノイドバ
ルブによって供給油圧が制御される油圧制御手段におい
ては、普通、1周期内(例えば、50m秒)において、
コントロールユニットから印加されるデューティ比に対
応する期間だけデューティソレノイドバルブが全開され
る一方、この期間以外は全閉されるといった動作が繰り
返され、これによってデューティ比に対応する供給油圧
が形成されるようになっている。
【0007】そして、かかる自動変速機においては、さ
らに、変速段の切り替え時に変速ショックの発生を防止
しつつできるだけ短い時間で切り替えを行うことができ
るような理想的なタービン回転数変化率を予め目標値に
設定しておき、変速段の切り替え時にはタービン回転数
変化率を検出し、該タービン回転数変化率が上記目標値
に追従するように摩擦要素への供給油圧をフィードバッ
ク制御するようにしたものが多用されている(例えば、
特開平7−332480号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
特開平7−332480号公報に開示されているよう
な、変速段の切り替え時にタービン回転数変化率に基づ
いて摩擦要素への供給油圧をフィードバック制御するよ
うにした従来の自動変速機の制御装置では、変速による
タービン回転変化が生じていないトルク相から、タービ
ン回転変化が生じているイナーシャ相への移行時に、ト
ルク相圧力が適正でない場合、フィードバック制御の開
始時のフィードバック操作量が大きくなり、制御のハン
チングが生じる。したがって、フィードバック制御の安
定性が悪く、変速ショックの発生を十分には防止するこ
とができないといった問題がある。
【0009】本発明は、上記従来の問題を解決するため
になされたものであって、変速機構の変速段の切り替え
時に、摩擦要素への供給油圧のフィードバック制御ある
いはその他の油圧制御の安定性を高めることができ、も
って変速ショックの発生を有効に防止しつつ短時間で変
速段の切り替えを行うことができる自動変速機の制御装
置を提供することを解決すべき課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】図1に示すように、上記
課題を解決するためになされた本発明にかかる自動変速
機の制御装置は、複数の変速段を有する変速機構Aと、
変速機構Aの変速段を締結動作又は解放動作により切り
替える摩擦要素Bと、摩擦要素Bに供給される油圧を制
御する油圧制御手段Dと、タービン回転変化率に関する
値を検出するタービン回転変化率検出手段とを備え、油
圧制御手段Dが、変速段の切り替え時において、変速段
の切り替えに起因するタービン回転数変化が生じる以前
のトルク相では、摩擦要素Bへの供給油圧を、変速機構
Aへの入力トルクとタービン回転数とに基づくトルク相
目標油圧に対してフィードフォワード制御を行う一方、
変速段の切り替えに起因するタービン回転数変化が生じ
ているイナーシャ相では、上記トルク相目標油圧を、タ
ービン回転数変化率に基づくフィードバック制御により
設定した油圧補正値で補正して摩擦要素Bへの供給油圧
を設定するようになっている自動変速機の制御装置であ
って、変速段の切り替え時においてトルク相からイナー
シャ相へ移行した後、タービン回転数変化率が安定して
いるか否かを判定する回転安定性判定手段Eと、回転安
定性判定手段Eによってタービン回転数変化率が安定し
ていないと判定されている間は、上記フィードバック制
御に基づく供給油圧の補正を抑制する油圧補正抑制手段
Fとが設けられていることを特徴とするものである。
【0011】この自動変速機の制御装置においては、変
速機構の変速段の切り替え時には、基本的には、変速機
構への入力トルクとタービン回転数とに基づいてフィー
ドフォワード制御により摩擦要素への供給油圧が設定さ
れる。そして、タービン回転数がほとんで変化しないト
ルク相においては、このフィードフォワード制御によっ
て設定される油圧が摩擦要素に供給される。そして、こ
の後変速段の切り替え状態は、トルク相からイナーシャ
相に移行するが、イナーシャ相の初期においてはタービ
ン回転数変化率は非常に不安定であり、このように時期
に供給油圧のフィードバック制御を行うと該制御の安定
性は非常に悪くなる。しかしながら、タービン回転数変
化率はこの後速やかに安定する。かくして、この制御装
置では、タービン回転数変化率が安定するまではタービ
ン回転数変化率に基づく供給油圧のフィードバック制御
は抑制(完全な停止を含む)され、タービン回転数変化
率が安定してから上記フィードバック制御が全面的に行
われる。つまり、安定していないタービン回転数変化率
に基づく供給油圧のフィードバック制御が抑制され、タ
ービン回転数変化率が安定してから全面的に供給油圧の
フィードバック制御が行われるので、供給油圧のフィー
ドバック制御の安定性が大幅に高められる。したがっ
て、変速ショックの発生を有効に防止しつつ短時間で変
速段の切り替えを行うことができる。
【0012】この自動変速機の制御装置においては、油
圧補正抑制手段が、回転安定性判定手段によってタービ
ン回転数変化率が安定していないと判定されている間
は、上記フィードバック制御に基づくトルク相目標油圧
に対する補正を行わないようになっているのが好まし
い。このようにすれば、タービン回転数変化率が安定し
ていないときには供給油圧のフィードバック制御が完全
に停止されるので、イナーシャ相における供給油圧のフ
ィードバック制御の安定性が一層高められる。
【0013】また、この自動変速機の制御装置において
は、回転安定性判定手段Eが、目標タービン回転数変化
率と実測したタービン回転数変化率との差が所定値より
小さいとき、又は実測したタービン回転数変化率が所定
値より小さいときに、タービン回転数変化率が安定して
いると判定するようになっているのが好ましい。このよ
うにすれば、タービン回転数変化率が安定しているか否
かを容易にかつ正確に判定することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。まず、図2を参照しつつ、本発明にかか
る自動変速機の全体の機械的な概略構成を説明する。な
お、以下では、便宜上、自動変速機の長手方向(図2中
において左右方向)にみてエンジン側(図2中では右
側)を「前」といい、これと反対側(図2中では左側)
を「後」ということにする。
【0015】図2に示すように、自動変速機10は、実
質的に、トルクコンバータ20と、前後に隣接して配置
された第1、第2遊星歯車機構30、40を備えコンバ
ータ20の出力により駆動される変速機構(変速歯車機
構)と、これらの遊星歯車機構30、40における動力
伝達経路を切り換えるクラッチ、ブレーキ等の複数の摩
擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56とで構成
され、これらによってDレンジにおける1〜4速と、S
レンジにおける1〜3速と、Lレンジにおける1〜2速
と、Rレンジにおける後退速とが得られるようになって
いる。
【0016】トルクコンバータ20には、エンジン出力
軸1に連結されたケース21に取り付けられたポンプ2
2と、ポンプ22に対向して配置され該ポンプ22によ
って作動油を介して駆動されるタービン23と、ポンプ
22とタービン23との間に配置される一方変速機ケー
ス11にワンウェイクラッチ24を介して支持されたス
テータ25と、ケース21とタービン23との間に配置
されケース21を介してエンジン出力軸1とタービン2
3とを直結させるロックアップクラッチ26とが設けら
れている。そして、タービン23の回転がタービンシャ
フト27を介して変速機構(遊星歯車機構30、40)
側に出力されるようになっている。なお、トルクコンバ
ータ20の後方には、トルクコンバータ20のケース2
1を介してエンジン出力軸1によって駆動されるオイル
ポンプ12が配設されている。
【0017】変速機構の一部をなす第1、第2遊星歯車
機構30、40は、それぞれ、サンギヤ31、41と、
該サンギヤ31、41に噛み合う複数のピニオン32、
42と、該ピニオン32、42を支持するピニオンキャ
リヤ33、43と、ピニオン32、42に噛み合うリン
グギヤ34、44とで構成されている。そして、タービ
ンシャフト27と第1遊星歯車機構30のサンギヤ31
との間にフォワードクラッチ51が設けられ、タービン
シャフト27と第2遊星歯車機構40のサンギヤ41と
の間にリバースクラッチ52が設けられ、タービンシャ
フト27と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ4
3との間に3−4クラッチ53が設けられ、さらに第2
遊星歯車機構40のサンギヤ41を固定する2−4ブレ
ーキ54が設けられている。
【0018】また、第1遊星歯車機構30のリングギヤ
34と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43と
が連結され、これらと変速機ケース11との間にローリ
バースブレーキ55とワンウェイクラッチ56とが並列
に配設されている。さらに、第1遊星歯車機構30のピ
ニオンキャリヤ33と第2遊星歯車機構40のリングギ
ヤ44とが連結され、これらに出力ギヤ13が接続され
ている。そして、この出力ギヤ13が、中間伝動機構6
0の一部をなすアイドルシャフト61上の第1中間ギヤ
62に噛み合う一方、該アイドルシャフト61上の第2
中間ギヤ63と差動装置70の入力ギヤ71とが噛み合
っている。かくして、出力ギヤ13の回転が差動装置7
0のデフケース72に伝達され、この後差動装置70を
介して左右の車軸73、74に伝達され、該車軸73、
74が駆動されるようになっている。
【0019】次の表1に、上記各クラッチ、ブレーキ等
の摩擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56の作
動状態と変速段との関係をまとめて示す。
【0020】
【表1】
【0021】なお、変速機ケース11には、後述する制
御で用いられるタービン回転センサ305が取り付けら
れている(図5参照)。詳しくは図示していないが、タ
ービン回転センサ305は、先端部がタービンシャフト
27と一体的に回転するフォワードクラッチ51のドラ
ムの外周面に対向するように取り付けられ、該ドラム外
周面に設けられたスプラインによって生じる磁場の周期
的変化を検知することにより、タービンシャフト27の
回転数を検出するようになっている。
【0022】詳しくは図示していないが、トルクコンバ
ータ20は、エンジン出力軸1に取り付けられたケース
21内の後側部分に配置され、ケース21と一体化され
多数の羽根からなるポンプ22と、ケース21内の前側
部分に配置され、ケース21とは係合せずにポンプ22
に対向して配置された多数の羽根からなるタービン23
とを有している。さらに、トルクコンバータ20は、ポ
ンプ22とタービン23との間の内周部に配置され、変
速機ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持
されて所定方向にのみ回転可能とされた多数の羽根から
なるステータ25を有している。そして、タービン23
のボスがタービンシャフト27にスプライン結合され、
タービンシャフト27を介してタービン23の回転が取
り出されるようになっている。
【0023】さらに、ケース21内には、タービン23
と一体回転する一方、タービン23に対して軸方向にス
ライド可能に配置されたロックアップクラッチ26が内
蔵されている。このロックアップクラッチ26は、ケー
ス21の前側平面部に対向するように配置されており、
該ロックアップクラッチ26が上記ケース平面部に締結
されたときには、ケース21を介してエンジン出力軸1
とタービンシャフト27とが直結されるようになってい
る。
【0024】そして、エンジン出力軸1によりケース2
1を介してポンプ22が駆動されたときには、ポンプ2
2側の作動油が遠心力により外周側に押し流されるとと
もに、この作動油がタービン23に外周側から内周側に
向けて流入し、これによりタービン23に駆動力が与え
られるようになっている。この場合、タービン回転数N
tのポンプ回転数(即ちエンジン回転数Ne)に対する
比、即ち速度比e(=Nt/Ne)が所定値以下のとき
には、ステータ25がワンウェイクラッチ24によって
ロックされて作動油の流れに反力が与えられ、これによ
りポンプ22側のトルクが増大されてタービン23に伝
達されるようになっている。
【0025】また、ロックアップクラッチ26は、ケー
ス21内におけるクラッチ26の背部のリヤ室26a
(図4参照)内の作動油の圧力によりケース平面部に対
して締結方向に付勢される一方、該ロックアップクラッ
チ26とケース平面部との間に設けられたフロント室2
6b(図4参照)に供給される作動圧により解放される
ようになっている。ここで、このフロント室26bに供
給される作動圧を調整することにより、ロックアップク
ラッチ26がスリップ状態に制御されるようになってい
る。
【0026】次に、各摩擦要素51〜55に設けられた
油圧室に対して作動油圧(供給油圧)を給排する油圧機
構ないしは油圧制御回路(油圧制御手段)を説明する。
これらの摩擦要素51〜55のうちで摩擦要素51〜5
3、55は、それぞれ、単一の油圧室を有し、該油圧室
に作動油圧が供給されているときに締結されるようにな
っている。これに対して、バンドブレーキ式の2−4ブ
レーキ54は、作動油圧が供給される油圧室として締結
室54aと解放室54bとを有し、締結室54aのみに
作動油圧が供給されているときには該2−4ブレーキ5
4が締結されるようになっている(図3参照)。他方、
解放室54bのみに作動油圧が供給されているとき、両
室54a、54bとも作動油圧が供給されていないと
き、又は両室54a、54bとも作動圧が供給されてい
るときには、該2−4ブレーキ54が解放されるように
なっている(図3参照)。
【0027】図3に示すように、2−4ブレーキ54は
油圧アクチュエータによって駆動されるようになってい
るが、この油圧アクチュエータは、変速機ケース11と
該変速機ケース11に固定されたカバー部材54cとで
構成されるサーボシリンダ54d内にピストン54eが
嵌入された構造とされている。そして、ピストン54e
の両側に前記の締結室54aと解放室54bとが形成さ
れている。また、ピストン54eにはバンド締め付け用
ステム54fが取り付けられている。ここで、被制動部
材(図示せず)に巻き掛けられたブレーキバンド54g
の一端側にはステム54fが係合する一方、他端側には
変速機ケース11に設けられた固定用ステム54hが係
合している。さらに、解放室54b内にはピストン54
eを締結室54a側、即ちブレーキバンド54gの緩め
側に付勢するスプリング54iが収納されている。
【0028】そして、油圧制御回路を構成するコントロ
ールバルブユニットから油孔(図示せず)を介して締結
室54aと解放室54bとに作動油圧が供給され、その
供給状態に応じてブレーキバンド54gを締め付け又は
緩めることにより、2−4ブレーキ54を締結又は解放
するようになっている。また、この油圧アクチュエータ
においては、ピストン54eの締結室54a側及び解放
室54b側の受圧面積はほぼ等しくされている。したが
って、例えば両室54a、54bに等しい圧力の作動油
圧をかけると、これらの圧力は互いに打ち消し合い、ス
プリング54iの付勢力のみが解放側に作用することに
なる。
【0029】以下、油圧機構ないしは油圧制御回路の全
体構成を説明する。図4に示すように、油圧制御回路1
00には、主たる構成要素として、ライン圧を生成する
レギュレータバルブ101と、手動操作によってレンジ
の切り替えを行うマニュアルバルブ102と、変速段の
切り替え時(変速時)に作動して各摩擦要素51〜55
に通じる油路を切り替えるローリバースバルブ103、
バイパスバルブ104、3−4シフトバルブ105及び
ロックアップコントロールバルブ106と、これらのバ
ルブ103〜106を作動させるための第1、第2オン
−オフ・ソレノイドバルブ111、112(以下、これ
らを「第1、第2SV111、112」という)と、第
1SV111からの作動油圧の供給先を切り替えるソレ
ノイドリレーバルブ107(以下、これを「リレーバル
ブ107」という)と、各摩擦要素51〜55の油圧室
に供給される作動油圧の生成、調整、排出等の制御を行
う第1〜第3デューティソレノイドバルブ121〜12
3(以下、これらを「第1〜第3DSV121〜12
3」という)とが設けられている。
【0030】ここで、第1、第2SV111、112及
び第1〜第3DSV121〜123はいずれも3方弁で
あって、上流側の油路と下流側の油路とを連通させた状
態と、下流側の油路をドレンさせた状態とが得られるよ
うになっている。そして、後者の場合、上流側の油路が
遮断されるので、ドレン状態で上流側からの作動油をい
たずらに排出することがなく、オイルポンプ12の駆動
ロスが低減される。
【0031】なお、第1、第2SV111、112はオ
ンのときに上流側の油路と下流側の油路とを連通させ
る。また、第1〜第3DSV121〜123は、オフの
とき、すなわちデューティ率(1回のオン−オフ周期に
おけるオン時間の比率)が0%のときに全開となって、
上流側の油路と下流側の油路とを完全に連通させ、他方
オンのとき、すなわちデューティ率が100%のとき
に、上流側の油路を遮断して下流側の油路をドレン状態
とするようになっている。また、その中間のデューティ
率では、上流側の油圧を元圧として、下流側にそのデュ
ーティ率に応じた値に調整された油圧を生成するように
なっている。
【0032】レギュレータバルブ101は、オイルポン
プ12から吐出された作動油の圧力を所定のライン圧に
調整する。そして、このライン圧は、メインライン20
0を介して上記マニュアルバルブ102に供給される一
方、ソレノイドレデューシングバルブ108(以下、こ
れを「レデューシングバルブ」という)と3−4シフト
バルブ105とにも供給される。このレデューシングバ
ルブ108に供給されたライン圧は、該レデューシング
バルブ108によって減圧されて一定圧とされた上で、
ライン201、202を介して第1、第2SV111、
112に供給される。
【0033】そして、この一定圧は、第1SV111が
オンのときには、ライン203を介してリレーバルブ1
07に供給されるとともに、該リレーバルブ107のス
プールが図4中における位置関係において(以下、同様
とする)右側に位置するときには、さらにライン204
を介してバイパスバルブ104の一端の制御ポートにパ
イロット圧として供給されて該バイパスバルブ104の
スプールを左向きに付勢する。また、リレーバルブ10
7のスプールが左側に位置するときは、ライン205を
介して3−4シフトバルブ105の一端の制御ポートに
パイロット圧として供給されて該3−4シフトバルブ1
05のスプールを右側に付勢する。
【0034】第2SV112がオンのときには、レデュ
ーシングバルブ108からの一定圧は、ライン206を
介してバイパスバルブ104に供給されるとともに、該
バイパスバルブ104のスプールが右側に位置するとき
は、さらにライン207を介してロックアップコントロ
ールバルブ106の一端の制御ポートにパイロット圧と
して供給されて該コントロールバルブ106のスプール
を左向きに付勢する。また、バイパスバルブ104のス
プールが左側に位置するときは、ライン208を介して
ローリバースバルブ103の一端の制御ポートにパイロ
ット圧として供給されて該ローリバースバルブ103の
スプールを左向きに付勢する。
【0035】さらに、レデューシングバルブ108から
の一定圧は、ライン209を介してレギュレータバルブ
101の制御ポート101aにも供給される。この場
合、この一定圧は、ライン209に備えられたリニアソ
レノイドバルブ131によって、例えばエンジンのスロ
ットル開度等に応じて調整される。したがって、レギュ
レータバルブ101によって、ライン圧がスロットル開
度等に応じて調整されることになる。なお、3−4シフ
トバルブ105に接続されたメインライン200は、該
バルブ105のスプールが右側に位置するときにライン
210を介して第1アキュムレータ141に通じ、該ア
キュムレータ141にライン圧を導入する。
【0036】他方、メインライン200からマニュアル
バルブ102に供給されたライン圧は、D、S、Lの各
前進レンジでは第1出力ライン211及び第2出力ライ
ン212に、Rレンジでは第1出力ライン211及び第
3出力ライン213に、また、Nレンジでは第3出力ラ
イン213にそれぞれ導入される。そして、第1出力ラ
イン211は第1DSV121に接続されて、該第1D
SV121に制御元圧としてライン圧を供給する。この
第1DSV121の下流側は、ライン214を介してロ
ーリバースバルブ103に接続され、該バルブ103の
スプールが右側に位置するときには、さらにライン(サ
ーボアプライライン)215を介して2−4ブレーキ5
4の締結室54aに接続される。また、ローリバースバ
ルブ103のスプールが左側に位置するときには、さら
にライン(ローリバースブレーキライン)216を介し
てローリバースブレーキ55の油圧室に接続される。こ
こで、ライン214からはライン217が分岐されて、
第2アキュムレータ142に接続されている。
【0037】また、第2出力ライン212は、第2DS
V122及び第3DSV123に接続されて、これらの
DSV122、123に制御元圧としてライン圧をそれ
ぞれ供給するとともに、3−4シフトバルブ105にも
接続されている。この3−4シフトバルブ105に接続
されたライン212は、該バルブ105のスプールが左
側に位置するときに、ライン218を介してロックアッ
プコントロールバルブ106に接続され、該バルブ10
6のスプールが左側に位置するときに、さらにライン
(フォワードクラッチライン)219を介してフォワー
ドクラッチ51の油圧室に接続される。
【0038】ここで、フォワードクラッチライン219
から分岐されたライン220は3−4シフトバルブ10
5に接続され、該バルブ105のスプールが左側に位置
するときに、ライン210を介して第1アキュムレータ
141に通じる一方、該バルブ105のスプールが右側
に位置するときには、ライン(サーボリリースライン)2
21を介して2−4ブレーキ54の解放室54bに通じ
る。また、第2出力ライン212から制御元圧が供給さ
れる第2DSV122の下流側は、ライン222を介し
てリレーバルブ107の一端の制御ポートに接続されて
該ポートにパイロット圧を供給することにより、該リレ
ーバルブ107のスプールを左向きに付勢する。また、
ライン222から分岐されたライン223はローリバー
スバルブ103に接続され、該バルブ103のスプール
が右側に位置するときに、さらにライン224に通じ
る。
【0039】このライン224からは、オリフィス15
1を介してライン225が分岐されているとともに、こ
の分岐されたライン225は3−4シフトバルブ105
に導かれ、該3−4シフトバルブ105のスプールが左
側に位置するときに、サーボリリースライン221を介
して2−4ブレーキ54の解放室54bに接続される。
また、ライン224からオリフィス151を介して分岐
されたライン225からは、さらにライン226が分岐
されているとともに、このライン226はバイパスバル
ブ104に接続され、該バルブ104のスプールが右側
に位置するときに、ライン227(3−4クラッチライ
ン)を介して3−4クラッチ53の油圧室に接続され
る。
【0040】さらに、ライン224は直接バイパスバル
ブ104に接続され、該バルブ104のスプールが左側
に位置するときに、ライン226を介してライン225
に通じる。つまり、ライン224とライン225とがオ
リフィス151をバイパスして通じることになる。ま
た、第2出力ライン212から制御元圧が供給される第
3DSV123の下流側は、ライン228を介してロッ
クアップコントロールバルブ106に導かれ、該バルブ
106のスプールが右側に位置するときに、フォワード
クラッチライン219に連通する。また、該ロックアッ
プコントロールバルブ106のスプールが左側に位置す
るときには、ライン229を介してロックアップクラッ
チ26のフロント室26bに通じる。
【0041】さらに、マニュアルバルブ102からの第
3出力ライン213は、ローリバースバルブ103に接
続されて、該バルブ103にライン圧を供給する。そし
て、該バルブ103のスプールが左側に位置するとき
に、ライン230(リバースクラッチライン)を介してリ
バースクラッチ52の油圧室に接続される。また、第3
出力ライン213から分岐されたライン231はバイパ
スバルブ104に接続され、該バルブ104のスプール
が右側に位置するときに、ライン208を介してローリ
バースバルブ103の制御ポートにパイロット圧として
ライン圧を供給し、該ローリバースバルブ103のスプ
ールを左向きに付勢する。
【0042】以上の構成に加えて、この油圧制御回路1
00には、コンバータリリーフバルブ109が設けられ
ている。このバルブ109は、レギュレータバルブ10
1からライン232を介して供給される作動油圧を一定
圧に調圧した上で、この一定圧をライン233を介して
ロックアップコントロールバルブ106に供給する。そ
して、この一定圧は、ロックアップコントロールバルブ
106のスプールが右側に位置するときには、ライン2
29を介してロックアップクラッチ26のフロント室2
6bに供給され、また、該バルブ106のスプールが左
側に位置するときには、ライン234を介してリヤ室2
6aに供給されるようになっている。
【0043】ここで、ロックアップクラッチ26は、フ
ロント室26bに上記の一定圧が供給されたときに解放
されることになるが、ロックアップコントロールバルブ
106のスプールが左側に位置して、第3DSV123
で生成された作動油圧がフロント室26bに供給された
ときにはスリップ状態とされ、そのスリップ量が作動油
圧に応じて制御される。
【0044】この種の自動変速機の油圧制御回路100
においては、レギュレータバルブ101によって調整さ
れるライン圧を、例えばエンジンのスロットル開度等に
応じた油圧に制御するといった手法が用いられるが、こ
れとは別に、レンジに応じたライン圧の制御も行われ
る。すなわち、後退速が得られるRレンジでは、減速比
が前進レンジの各変速段より大きいため摩擦要素に入力
されるトルクも大きくなり、そこで、このトルクに対応
した大きなトルク伝達容量を確保するために、Rレンジ
では、D、S、L等の前進レンジやNレンジよりもライ
ン圧を高くするといった制御が行われる。
【0045】この制御は、油圧制御回路100における
ライン圧調整用のレギュレータバルブ101と、レンジ
の切り換え用のマニュアルバルブ102とを用いて、お
よそ次のような手法で行われる。すなわち、レギュレー
タバルブ101においては、スプール101cの一端側
に、リニアソレノイドバルブ131からの制御圧が導入
されて、該スプール101cを増圧側(図4中における位
置関係では右向き)に付勢する制御ポート101aが設け
られている。そして、他端側に、メインライン200か
らライン圧が導入されて、該スプール101cを減圧側
(図4中における位置関係では左向き)に付勢するフィー
ドバックポート101bが設けられている。さらに、フ
ィードバックポート101bに隣接して、該フィードバ
ックポート101bと同様に減圧側にスプール101cを
付勢する減圧ポート101dが設けられている。そし
て、この減圧ポート101dには、マニュアルバルブ1
02から、D、S、L、Nレンジでメインライン200
に通じるライン235が接続されている。
【0046】かくして、D、S、L、Nレンジでは、メ
インライン200からマニュアルバルブ102及びライ
ン235を介してレギュレータバルブ101の減圧ポー
ト101dにライン圧が導入され、この減圧ポート10
1dに導入されたライン圧と、メインライン200から
フィードバックポート101bに直接導入されたライン
圧とが、制御ポート101aに導入されているリニアソ
レノイドバルブ131からの制御圧に対抗することにな
る。したがって、レギュレータバルブ101で調整され
るライン圧の圧力値は、減圧ポート101dに導入され
たライン圧分だけ低くなる。
【0047】これに対して、Rレンジでは、マニュアル
バルブ102により、メインライン200とレギュレー
タバルブ101の減圧ポート101dに通じるライン2
35とが遮断されて、減圧ポート101dにライン圧が
導入されなくなり、そのため、フィードバックポート1
01bに直接導入されたライン圧のみが制御ポート10
1aに導入されているリニアソレノイドバルブ131か
らの制御圧に対抗することになる。したがって、上記の
ようなライン圧の減圧作用がなくなり、Dレンジ等より
も高いライン圧が得られることになる。
【0048】このように、このレギュレータバルブ10
1においては、Rレンジでライン圧を増圧させる代わり
に、Rレンジ以外の他のレンジでライン圧が減圧され、
結果として、Rレンジでは他のレンジよりも高いライン
圧が得られることになって、摩擦要素に入力されるトル
クに対応する大きなトルク伝達容量が確保されることに
なる。
【0049】図5に示すように、この自動変速機10に
は、油圧制御回路100における第1、第2SV11
1、112、第1〜第3DSV121〜123及びリニ
アソレノイドバルブ131を制御するコントローラ30
0が設けられている。そして、このコントローラ300
には、該車両の車速を検出する車速センサ301、エン
ジンのスロットル開度を検出するスロットル開度センサ
302、エンジン回転数を検出するエンジン回転センサ
303、運転者によって選択されたシフト位置(レンジ)
を検出するシフト位置センサ304、トルクコンバータ
20におけるタービン23の回転数を検出するタービン
回転センサ305、作動油の油温を検出する油温センサ
306等からの信号が入力され、これらのセンサ301
〜306からの信号が示す該車両ないしはエンジンの運
転状態等に応じて、各ソレノイドバルブ111、11
2、121〜123、131の作動を制御するようにな
っている。
【0050】以下、第1、第2SV111、112及び
第1〜第3DSV121〜123の作動状態と各摩擦要
素51〜55の油圧室に対する作動油圧の給排状態との
関係を変速段ごとに説明する。表2に、第1、第2SV
111、112及び第1〜第3DSV121〜123の
各変速段ごとの作動状態の組合せ(ソレノイドパターン)
を示す。なお、表2中において、「○」印は、第1、第
2SV111、112についてはオンであり、第1〜第
3DSV121〜123についてはオフであって、いず
れも、上流側の油路を下流側の油路に連通させて元圧を
そのまま下流側に供給する状態を示す。また、「×」印
は、第1、第2SV111、112ついてはオフであ
り、第1〜第3DSV121〜123についてはオンで
あって、いずれも、上流側油路を遮断して、下流側の油
路をドレンさせた状態を示す。
【0051】
【表2】
【0052】(1)1速 1速(Lレンジの1速を除く)においては、第3DSV1
23のみが作動して、第2出力ライン212からのライ
ン圧を元圧として作動油圧を生成し、この作動油圧がラ
イン228を介してロックアップコントロールバルブ1
06に供給される。そして、この時点では該ロックアッ
プコントロールバルブ106のスプールが右側に位置す
ることにより、上記作動油圧は、さらにフォワードクラ
ッチライン219を介してフォワードクラッチ51の油
圧室にフォワードクラッチ圧として供給され、これによ
り該フォワードクラッチ51が締結される。この場合、
フォワードクラッチライン219から分岐されたライン
220が3−4シフトバルブ105及びライン210を
介して第1アキュムレータ141に通じている関係上、
フォワードクラッチ圧の供給が緩やかに行われる。
【0053】(2)2速 2速の状態においては、前記の1速の状態に加えて、第
1DSV121も作動し、第1出力ライン211からの
ライン圧を元圧として作動油圧が生成される。この作動
油圧は、ライン214を介してローリバースバルブ10
3に供給されるが、この時点ではローリバースバルブ1
03のスプールが右側に位置する関係上、さらにサーボ
リリースライン215にも導入され、2−4ブレーキ5
4の締結室54aにサーボアプライ圧として供給され
る。これにより、フォワードクラッチ51に加えて、2
−4ブレーキ54も締結される。なお、ライン214は
ライン217を介して第2アキュムレータ142に通じ
ているので、サーボアプライ圧の供給ないしは2−4ブ
レーキ54の締結が緩やかに行われる。なお、このアキ
ュムレータ142に蓄えられた作動油は、後記のLレン
ジ1速への変速に際してローリバースバルブ103のス
プールが左向きに移動したときに、ローリバースブレー
キライン216からローリバースブレーキ55の油圧室
にプリチャージされてもよい。
【0054】(3)3速 3速の状態においては、前記の2速の状態に加えて、さ
らに第2DSV122も作動し、第2出力ライン212
からのライン圧を元圧として作動油圧が生成される。こ
の作動油圧は、ライン222及びライン223を介して
ローリバースバルブ103に供給されるが、この時点で
はバルブ103のスプールが右側に位置する関係上、さ
らにライン224にも導入される。そして、この作動油
圧は、ライン224からオリフィス151を介してライ
ン225に導入されて3−4シフトバルブ105に導か
れるが、この時点では3−4シフトバルブ105のスプ
ールが左側に位置する関係上、さらにサーボリリースラ
イン221を介して2−4ブレーキ54の解放室54b
にサーボリリース圧として供給される。これにより、2
−4ブレーキ54が解放される。また、ライン224か
らオリフィス151を介して分岐されたライン225か
らはライン226が分岐されているので、作動油圧はラ
イン226によりバイパスバルブ104に導かれるとと
もに、この時点ではバイパスバルブ104のスプールが
右側に位置する関係上、さらに3−4クラッチライン2
27を介して3−4クラッチ53の油圧室に3−4クラ
ッチ圧として供給される。したがって、この3速では、
フォワードクラッチ51と3−4クラッチ53とが締結
される一方、2−4ブレーキ54は解放される。なお、
この3速の状態では、上記のように第2DSV122が
作動油圧を生成し、これがライン222を介してリレー
バルブ107の制御ポート107aに供給される関係
上、リレーバルブ107のスプールが左向きに移動す
る。
【0055】(4)4速 4速の状態においては、前記の3速の状態に対して、第
3DSV123が作動油圧の生成を停止する一方、第1
SV111が作動する。この第1SV111の作動によ
り、ライン201からの一定圧がライン203を介して
リレーバルブ107に供給されることになるが、上記の
ように、このリレーバルブ107のスプールは3速時に
左側に移動しているので、上記一定圧がライン205を
介して3−4シフトバルブ105の制御ポート105a
に供給されることになり、バルブ105のスプールが右
向きに移動する。このため、サーボリリースライン22
1がフォワードクラッチライン219から分岐されたラ
イン220に接続され、2−4ブレーキ54の解放室5
4bとフォワードクラッチ51の油圧室とが連通する。
そして、上記のように第3DSV123が作動油圧の生
成を停止して、下流側をドレン状態とする関係上、2−
4ブレーキ54の解放室54b内のサーボリリース圧と
フォワードクラッチ51の油圧室内のフォワードクラッ
チ圧とが、ロックアップコントロールバルブ106及び
ライン228を介して第3DSV123でドレンされる
ことになり、これにより2−4ブレーキ54が再び締結
されるとともに、フォワードクラッチ51が解放され
る。
【0056】(5)Lレンジ1速 Lレンジ1速では、第1、第2SV111、112及び
第1、第3DSV121、123が作動し、この第3D
SV123によって生成された作動油圧が、Dレンジ等
の1速の場合と同様に、ライン228、ロックアップコ
ントロールバルブ106及びフォワードクラッチライン
219を介してフォワードクラッチ51の油圧室にフォ
ワードクラッチ圧として供給され、該フォワードクラッ
チ51が締結される。また、このとき、ライン220、
3−4シフトバルブ105及びライン210を介して第
1アキュムレータ141に作動油圧が導入される関係
上、フォワードクラッチ51の締結が緩やかに行われる
ようになっている点もDレンジ等の1速の場合と同様で
ある。また、第1SV111の作動により、ライン20
3、リレーバルブ107、ライン204を介してバイパ
スバルブ104の制御ポート104aにパイロット圧が
供給されて、バルブ104のスプールが左向きに移動さ
せられる。そして、これに伴って、第2SV112から
の作動油圧がライン206及びバイパスバルブ104を
介してライン208に導入され、さらにローリバースバ
ルブ103の制御ポート103aに供給されて、バルブ
103のスプールが左向きに移動させられる。したがっ
て、第1DSV121で生成された作動油圧がライン2
14、ローリバースバルブ103及びローリバースブレ
ーキライン216を介してローリバースブレーキ55の
油圧室にローリバースブレーキ圧として供給され、これ
により、フォワードクラッチ51に加えてローリバース
ブレーキ55が締結され、エンジンブレーキが作動する
1速が得られる。
【0057】(6)後退速 Rレンジでは、第1、第2SV111、112及び第1
〜第3DSV121〜123が作動する。ただし、第
2、第3DSV122、123については、第2出力ラ
イン212からの元圧の供給が停止されているので、作
動油圧が生成されることはない。このRレンジでは、上
記のように、第1、第2SV111、112が作動する
ので、前記のLレンジの1速の場合と同様に、バイパス
バルブ104のスプールが左向きに移動し、これに伴っ
てローリバースバルブ103のスプールも左向きに移動
する。そして、この状態で第1DSV121によって作
動油圧が生成される関係上、これがローリバースブレー
キ圧としてローリバースブレーキ55の油圧室に供給さ
れる。他方、Rレンジでは、マニュアルバルブ102か
ら第3出力ライン213にライン圧が導入され、このラ
イン圧が、上記のようにスプールが左向きに移動したロ
ーリバースバルブ103及びリバースクラッチライン2
30を介してリバースクラッチ52の油圧室にリバース
クラッチ圧として供給される。したがって、リバースク
ラッチ52とローリバースブレーキ55とが締結され
る。なお、第3出力ライン213には、Nレンジでもマ
ニュアルバルブ102からライン圧が導入されるので、
ローリバースバルブ103のスプールが左側に位置する
ときは、Nレンジでリバースクラッチ52が締結され
る。
【0058】(7)後退速(フェールセーフ時) ところで、第1、第2SV111、112は、いずれか
一方が断線等により作動を停止する(オフ状態となる)場
合があり、この場合、油圧制御回路100においては、
この状態を検出して、他方のバルブも作動を停止させる
(オフ状態にする)ことにより、フェールセーフ機能とし
て後退速を実現できるようになっている。例えば、第2
SV112が作動しなくなった場合は、ライン206か
らバイパスバルブ104及びライン208を介してのロ
ーリバースバルブ103の制御ポート103aへのパイ
ロット圧の供給が停止されるので、ローリバースバルブ
103のスプールが右向きに移動して、第3出力ライン
213とリバースクラッチライン230との間、及び第
1DSV121とローリバースブレーキライン216と
の間がいずれも遮断されて、後退速が実現できなくな
る。このとき、コントローラ300により、例えば後退
速での所定の減速比が得られていないこと検出して、第
1SV111の作動をも停止させる(オフ状態にする)よ
うに信号を出力する。これにより、バイパスバルブ10
4の制御ポートへのパイロット圧の供給が停止されて、
該バルブ104のスプールが右向きに移動し、これに伴
って第3出力ライン213から分岐されたライン231
が、バイパスバルブ104及びライン208を介してロ
ーリバースバルブ103の制御ポートに連通して該ポー
トにパイロット圧としてライン圧を供給する。このた
め、ローリバースバルブ103のスプールが左向きに移
動して、第3出力ライン213とリバースクラッチライ
ン230、及び第1DSV121とローリバースライン
216とをそれぞれ連通させ、その結果、リバースクラ
ッチ52とローリバースブレーキ55とが締結されて、
後退速が得られる。なお、このように、第1SV111
及び第2SV112がともにオフ状態となることにより
後退速が得られるので、上記の場合とは逆に、第1SV
111が断線等によってオフ状態となったときも、第2
SV112をオフ状態にすることにより、後退速が得ら
れる。
【0059】以下、変速段の切り替え時におけるコント
ローラ300の具体的な制御動作を説明する。なお、以
下では、便宜上、変速段の切り替えを単に「変速」とい
うことにする。まず、かかる変速制御における制御手法
の基本的な概念を説明する。なお、具体的な変速制御に
おいては、後記のとおり、かかる基本的な概念を基礎と
しつつ、イナーシャ相におけるタービン回転数変化率の
安定度(安定性)が考慮された制御動作が行われること
になる。
【0060】変速、例えば1速から2速へのアップシフ
ト変速(1−2変速)は、基本的には、タービン回転数
Ntの低下時における変化率dNtが目標の変化率dNt0
一致するように、主として締結側の摩擦要素に対する作
動油圧の供給をフィードバック制御することにより行わ
れる。このタービン回転変化率dNtは、変速動作中のイ
ナーシャ相(イナーシャフェーズ)における変速機出力
トルクの変速終了後におけるトルクに対する高さに対応
するもので、これが変速前のトルクより高くなると変速
ショックが大きくなり、また、低くすぎると変速時間が
長くなる。そこで、変速前の高さにほぼ等しくなるよう
に、この高さに対応する目標タービン回転変化率dNt0
が設定される。具体的には、エンジンのスロットル開度
が大きいときほど大きな変化率が設定され、変速開始時
のタービン回転数Ntが高いときほど小さな変化率が設
定される。なお、ごく低温時には、作動油の粘性が高く
なって油圧変化の応答遅れが著しくなるので、かかるフ
ィードバック制御は禁止されることがある。
【0061】ここで、1−2変速は、第1DSV121
によってサーボアプライ圧を生成し、これを2−4ブレ
ーキ54の締結室54aに供給することにより行われる
が、この間に第1DSV121によるサーボアプライ圧
のフィードバック制御が行われる。なお、前記したとお
り、各DSV121〜123は、デューティ率100%
で作動油圧が発生しないドレイン状態となり、0%で作
動油圧が元圧に等しくなる全開状態となり、その中間の
デューテイ率で作動油圧の制御が行われる。
【0062】このような変速制御における基本的な概念
によれば、1−2変速制御(第1DSV121によるサ
ーボアプライ圧の制御)は、例えば図6に示すようなフ
ローチャートに従って行われる。図6に示すように、1
−2変速指令が出力されたときに、まず、ステップS1
〜S3で、ベース油圧Pbと、フィードバック油圧Pfb
と、学習制御油圧Padとが計算される。そして、ステッ
プS4で、これらの油圧Pb、Pfb及びPadを加算する
ことにより算出油圧Psが計算される。次に、ステップ
S5で、変速指令出力時に行われるサーボアプライ圧の
プリチャージの制御期間中であるか否かが、プリチャー
ジフラグFpの値に基づいて判定される。
【0063】このプリチャージ制御は、変速開始時に2
−4ブレーキ54の締結室54aに至る油路に作動油を
速やかに充満させて、変速動作の応答性を向上させるた
めのもので、Fp=1のとき、すなわち、別途行われる
制御によって設定されたプリチャージ期間中であるとき
はステップS6で、第1DSV121にデューティ率0
%の信号が印加される。また、Fp=0のとき、すなわ
ちプリチャージ期間が終了している場合は、さらに、ス
テップS7で該1−2変速が終了したか否かが判定され
る。例えば、タービン回転変化率dNtがマイナスからプ
ラスに転じ、タービン回転変化率dNtの絶対値が変速中
の値の半分以下に減少し、又はタービン回転数Ntが変
速開始時の回転数から算出される変速終了時の回転数ま
で低下したときには1−2変速が終了していると判定さ
れる。
【0064】そして、変速終了前、すなわちプリチャー
ジ期間の終了後において変速終了までの間に、ステップ
S8で、上記のようにして求められた算出油圧Psが得
られるような第1DSV121のデューティ率が算出さ
れ、該デューティ率の信号が出力されて、サーボアプラ
イ圧ないし2−4ブレーキ54の締結力が制御される。
また、変速終了後には、ステップS9及びステップS1
0で、デューティ率が0%になるまで、該デューティ率
が一定割合で減算されつつ出力される。
【0065】図6に示すフローチャートのステップS1
におけるベース油圧Pbの計算は、例えば図7に示すフ
ローチャートに従って行われる。図7に示すように、ま
ずステップS11で、変速中の目標タービン回転変化率
dNt0が算出され、次にステップS12で、この目標タ
ービン回転変化率dNt0に対応する油圧Piがマップに基
づいて算出される。このマップは目標タービン回転変化
率dNt0が小さくなるほど(絶対値が大きくなるほど)大
きな値になるように設定されている。
【0066】また、ステップS13とステップS14と
で、それぞれ、変速時の目標タービントルクTr0に応じ
た油圧Ptと、この目標タービントルクTr0の2乗に応
じた油圧Pt2とがマップに基づいて算出される。そし
て、ステップS15で、これらの油圧Pt及び、Pt2
を、目標タービン回転変化率dNt0に対応する油圧Piに
加算することにより、ベース油圧の初期値Pb'が算出さ
れる。ここで、目標タービントルクTr0は、変速前のタ
ービントルクに変速中におけるエンジン出力トルクのダ
ウン率を掛けたものであり、これに対応する油圧Pt、
Pt2で、目標タービン回転変化率dNt0に対応する油圧
Piを補正することにより、変速中の変速機出力トルク
の変動がさらに抑制されることになる。
【0067】そして、ステップS16で実際のタービン
回転変化率dNtが所定値C1より小さくなったか否かが
判定される。これは、イナーシャ相の開始によりタービ
ン回転数が低下し始めた時期(図8の符号ア参照)を判定
するものであり、dNt<C1となるまでは、ステップS
17でベース油圧Pbが上記の初期値Pb'に保持され、d
Nt<C1となれば、ステップS18で、その時点から
の経過時間tに所定値C2を掛けた値を初期値Pb'に加
算することにより、ベース油圧Pbが一定割合で上昇さ
せられる。これにより、図8に示すようなベース油圧P
bが得られる。
【0068】図8には、かかる基本的な概念による変速
制御が行われた場合の、1−2変速指令信号、タービン
回転数、ベース油圧、フィードバック油圧、学習制御油
圧、算出油圧、第1DSVデューティ出力値及び作動油
圧の時間に対する変化特性が示されている。なお、図8
において、アで示す時点以前はトルク相であり、この時
点以降はイナーシャ相である。
【0069】以下、イナーシャ相におけるタービン回転
数変化率の安定度(安定性)が考慮された、すなわちタ
ービン回転数変化率の安定度に応じて作動油圧のフィー
ドバック制御が制限されるようになった具体的な変速制
御(以下、これを便宜上「フィードバック制限変速制
御」という)の制御手法について説明する。まず、かか
るフィードバック制限変速制御における基本的な制御手
法を説明する。すなわち、このフィードバック制限変速
制御においては、変速時(変速段の切り替え時)におい
てタービン回転数が該変速に起因して変化する以前のト
ルク相では、摩擦要素に供給される作動油圧を、変速機
構への入力トルクとタービン回転数(あるいはタービン
回転数変化率)とに基づくフィードフォワード制御によ
り設定するようにしている。つまり、トルク相では、作
動油圧は、変速機構への入力トルクとタービン回転数と
に基づいて、フィードフォワード制御される。
【0070】他方、該変速に起因してタービン回転数が
変化しているイナーシャ相では、基本的には、タービン
回転数変化率が所定の目標値(目標パターン)に追従す
るよう、前記のフィードフォワード制御により設定した
供給油圧を、タービン回転数変化率に基づくフィードバ
ック制御により設定した油圧補正値で補正して摩擦要素
に供給する作動油圧を設定するようにしている。つま
り、イナーシャ相では、基本的には、タービン回転数変
化率が目標値に追従するよう、作動油圧がフィードバッ
ク制御されることになる。ただし、トルク相からイナー
シャ相へ移行した後、タービン回転数変化率が安定して
いるか否かを判定し、タービン回転数変化率が安定して
いない間は、前記のフィードバック制御に基づく作動油
圧の補正を禁止(あるいは抑制)するようにしている。
【0071】すなわち、トルク相に続くイナーシャ相の
初期においては、タービン回転数変化率が不安定であ
り、このような時期に作動油圧をフィードバック制御す
ると該制御の安定性が非常に悪くなる。しかしながら、
タービン回転数変化率はこの後速やかに安定する。そこ
で、タービン回転数変化率が安定するまでは作動油圧の
フィードバック制御を禁止(あるいは抑制)し、タービ
ン回転数変化率が安定してからフィードバック制御を行
うようにしている。つまり、安定していないタービン回
転数変化率に基づく作動油圧のフィードバック制御を禁
止(又は抑制)し、タービン回転数変化率が安定してか
ら作動油圧のフィードバック制御を行うようにしてい
る。かくして、作動油圧のフィードバック制御の安定性
が大幅に高められ、実際のタービン回転数変化率が高精
度で目標値に追従する。したがって、変速ショックの発
生を有効に防止しつつ、可及的に短時間で変速を行うこ
とができる。
【0072】さらに、このフィードバック制限変速制御
においては、トルク相では油温に応じて摩擦要素に供給
される作動油圧を上昇方向に補正する一方、イナーシャ
相に移行したときには該作動油圧を下降方向に補正する
といった油温補正を行うようにしている。このため、油
温の高低にかかわらず、安定した油圧制御すなわち変速
制御を行うことができ、一層効果的に、変速ショックの
発生を防止しつつ変速動作を迅速に行うことができる。
【0073】以下、アップシフト変速を例にとって、か
かるフィードバック制限変速制御の制御手法を具体的に
説明する。図9は、アップシフト変速時にフィードバッ
ク制限変速制御を行う制御システムを機能化して示した
ブロック図である。図9に示すように、この制御システ
ムは、それぞれ固有の制御機能ないしは処理機能を有す
る制御ブロックB1〜制御ブロックB9(以下、制御ブ
ロックを単に「ブロック」という)からなり、各ブロッ
クから出力される情報の連携により、作動油圧ひいては
変速状態が制御されるようになっている。具体的には、
ブロックB1〜ブロックB4によって設定される制御圧
(変速圧)がブロックB6でデューティ率に変換され、
このデューティ率がブロックB7で各デューティ弁に印
加されて作動油圧が制御され、その結果ブロックB8で
変速状態(タービン回転数ないしはタービン回転数変化
率等)が制御される。なお、ブロックB5は、作動油圧
をプリチャージする必要があるときに、ブロックB6に
プリチャージを実行させる信号を印加する制御ブロック
である。
【0074】ここで、ブロックB6に入力される制御圧
(変速圧)は、ブロックB1から出力されるベース制御
圧(ベース変速圧)と、ブロックB4から出力されるフ
ィードバック補正圧とを加算することにより設定され
る。なお、フィードフォワード制御時にはフィードバッ
ク補正圧は0とされる。また、フィードバック補正圧
は、ブロックB2から出力される目標値と、タービン回
転数変化率とに基づいて、ブロックB3で設定される制
御特性(制御パラメータ)に従ってブロックB4で設定
される。ブロックB3における制御特性はμシンセス制
御により設定される。ここで、タービン回転数変化率
は、次のような手順で算出される。すなわち、ブロック
B8から所定の周期で離散的にタービン回転数が出力さ
れるが、ブロックB9には前回のタービン回転数が記憶
されており、今回のタービン回転数からブロックB9に
記憶されている前回のタービン回転数を減算することに
より時々刻々のタービン回転数変化率が算出される。
【0075】図10は、ベース制御圧(ベース変速圧)
を設定する制御システム(すなわち、図9中におけるブ
ロックB1)を機能化して示したブロック図である。図
10に示すように、この制御システムは、それぞれ固有
の制御機能ないしは処理機能を備えたブロックB11〜
ブロックB31からなり、各ブロックから出力される情
報の連携により、ベース制御圧が設定されるようになっ
ている。具体的には、ブロックB11〜ブロックB19
により設定される初期圧を、ブロックB20〜ブロック
B25により設定される油温補正圧と、ブロックB26
〜ブロックB29により設定されるトルクダウン補正圧
と、ブロックB30で設定される学習補正圧とで補正し
て、ブロックB31でベース制御圧が設定されるように
なっている。
【0076】ここで、初期圧は、ブロックB12から出
力されるタービン回転数変化率(あるいはタービン回転
数)と、ブロックB13から出力されるタービントルク
と、ブロックB14から出力されるタービントルクの2
乗とに基づいて、ブロックB15〜ブロックB17に示
すような相関関係に従って設定される。油温補正圧は、
初期圧補正値(ベース圧補正量)と制御圧補正値(イナ
ーシャ相補正圧)とからなる。そして、初期圧補正値
は、ブロックB20から出力される油温に基づいて、ブ
ロックB21に示すような相関関係に従って設定され
る。他方、制御圧補正値は、ブロックB20から出力さ
れる油温に基づいて、ブロックB23に示すような相関
関係に従って設定される。トルクダウン補正圧は、ブロ
ックB26から出力されるトルクダウン量に基づいて設
定される。なお、学習補正圧はブロックB30により設
定される。
【0077】以下、図11に示すフローチャートに従っ
て、アップシフト変速を例にとって、フィードバック制
限変速制御の制御手法を具体的に説明する。図11に示
すように、この制御においては、まずステップT1で、
目標タービン回転数変化率tgvtrevと、入力トルクttq
(タービントルク)と、入力トルクの2乗ttq2とに基づ
いて、ベース変速圧bpstart(ベース制御圧)が設定さ
れる。次に、ステップT2でシフトアップフラグxsftup
tが1であるか否か、すなわちトルク相からイナーシャ
相に移行したか否かが判定される。xsftupt=1であれ
ばイナーシャ相に移行しているので、ステップT3で相
カウンタphaseの値が4にセットされ、続いてステップ
T4で、スロープ圧タイマカウンタtprslopeが所定の増
分timeだけインクリメントされる。ここで、相カウンタ
phaseは、その値が2であるときはトルク相をあらわ
し、4であるときはイナーシャ相をあらわし、5である
ときは変速が終了していることをあらわすカウンタであ
る(図16参照)。また、スロープ圧タイマカウンタtp
rslopeは、トルク相からイナーシャ相に移行してからの
経過時間をカウントするタイマカウンタである。増分ti
meは、この制御ルーチンの1周期に対応する値である。
なお、ステップT2で、xsftupt≠1であると判定され
れば、ステップT3及びステップT4をスキップする。
【0078】この後、ステップT5で、次の式で示すよ
うに、ベース変速圧bpstartに、スロープ圧タイマカウ
ンタtprslopeの値に基づいてベース圧スロープ補正が施
され、補正されたベース変速圧bpsftbsが演算される。
【数1】bpsftbs=bpstart+tprslope*f(bpstart)
【0079】続いて、ステップT6で、相カウンタphas
eが4であるか否か、すなわちイナーシャ相であるか否
かが判定され、phase=4であれば、すなわちイナーシ
ャ相であれば、ステップT7でタービン回転数変化率vt
revl2が安定しているか否かが判定される。ここでは、
タービン回転数変化率vtrevl2を目標タービン回転数変
化率tgvtrevで除算した値(vtrevl2/tgvtrev)が、所
定値K1より大きいときにはタービン回転数変化率vtre
vl2が安定していると判定するようにしている。なお、
このステップT7で、(vtrevl2−tgvtrev)が所定値
K2より小さいとき、あるいはvtrevl2が所定値K3よ
り小さいときにタービン回転数変化率vtrevl2が安定し
ていると判定するようにしてもよい。なお、K1、K2
及びK3は、予め設定される安定化判定値である。
【0080】かくして、タービン回転数変化率vtrevl2
が安定していれば、ステップT8で次の式に従って、フ
ィードバック補正圧bpsftfbが演算される。
【数2】 bpsftfb=f([ng]*[dvtrev]−[dg]*[bpsftfb']) なお、上式において、ng及びdgはそれぞれ制御ゲインで
あり、dvtrevは偏差であり、bpsftfb’は前回のbpsftfb
である。また、fは所定の関数である。
【0081】続いて、ステップT9で、補正されたベー
ス変速圧bpsftbsとフィードバック補正圧bpsftfbとを加
算することにより変速圧bpsft(制御圧)が演算され、
今回のルーチンは終了する。なお、ステップT6でイナ
ーシャ相ではないと判定された場合(phase≠4)は、
ステップT10でフィードバック補正圧bpsftfbを0に
リセットした後、ステップT9で変速圧bpsftが設定さ
れる。この場合は、フィードバック制御は行われず、フ
ィードフォワード制御が行われることになる。また、ス
テップT7でタービン回転数変化率vtrevl2が安定して
いないと判定された場合(vtrevl2/tgvtrev≦K1)
は、ステップT8をスキップして、ステップT9で変速
圧bpsftが設定される。この場合も、フィードバック制
御は行われず、フィードフォワード制御が行われること
になる。
【0082】ところで、変速時に変速ショックを発生を
防止するためにトルクダウンが行われる場合は、図11
に示すフローチャートから、A1で示すように分岐し
て、図12に示すステップT11〜ステップT16が実
行される。図12に示すように、この場合は、ステップ
T11で、トルクダウン変速制御許可フラグxfbenが1
であるか否か、すなわちトルクダウン変速制御が可能な
状態にあるか否かが判定され、トルクダウン変速制御が
不可能な場合(xfben≠1)は、ステップT16で、前
記のステップt9の場合と同様の手順で変速圧bpsftが
設定される。この場合は、図11に示すフローチャート
と全く同様の結果となる。
【0083】他方、前記のステップT11でトルクダウ
ン変速制御が可能な状態にあると判定された場合(xfbe
n=1)は、ステップT12で、トルクダウンスタート
フラグxtrqdwn-pl-off-fgが0であるか否か、すなわち
非トルクダウン状態であるか否かが判定され、トルクダ
ウンが開始されている場合(xtrqdwn-pl-off-fg≠0)
は、ステップT14で、補正されたベース変速圧bpsftb
sからトルクダウン補正圧trqfploffを減算することによ
り新たなベース変速圧bpsftbsが演算され、続いてステ
ップT16で、ステップT9の場合と同様の手法で変速
圧bpsftが設定される。
【0084】ステップT12でトルクダウンスタートフ
ラグxtrqdwn-pl-off-fgが0であると判定された場合
は、ステップT13で、トルクダウンが開始されたか否
かが判定される。ここでは、図示していない別ルーチン
で設定されるトルクダウンフラグxsutqdwnが1であり、
エンジン側のトルクダウン許可フラグxtqcrdyが1であ
り、かつ油温thoilが所定値TQDW-OIL-TEMPであれば、ト
ルクダウンが開始されたと判定するようにしている。
【0085】かくして、ステップT13でトルクダウン
が開始されたと判定された場合は、ステップT15で、
トルクダウン量tqdwnrtrqに係数TQDW-FPL-OFF12Kを乗算
することにより前記のトルクダウン補正圧trqfploffが
演算され、かつトルクダウン変速制御許可フラグxtrqdw
n-pl-off-fgに1がセットされる。この後、ステップT
16で、ステップT9の場合と同様の手法で変速圧bpsf
tが設定される。なお、ステップT13でトルクダウン
が開始されていないと判定された場合は、ステップT1
5をスキップしてステップT16が実行される。
【0086】図15に、このような変速制御が行われた
場合の、目標タービン回転数変化率tgvtrev、タービン
回転数変化率vtrevl2、変速圧、相カウンタphaseのカ
ウント値、各種フラグの値等の時間に対する変化特性を
示す。
【0087】図11に示すアップシフト制御において、
油温(ATF油温)による油圧補正を行う場合は、図1
3及び図14に示すフローチャートに従って変速圧bpsf
tが設定される。図13及び図14に示すように、この
場合は、ステップR1で油温thoilに基づいてベース圧
補正量plpcgofsが演算され、続いてステップR2で油温
thoilに基づいてイナーシャ相補正圧fffofが演算され
る。ここで、ステップR1の補正は、低温による作動油
の高粘度化を補正するための増圧補正であり、ステップ
R2の補正は上記増圧補正の弊害を緩和するための減圧
補正である。
【0088】この後、ステップR3〜ステップR12が
実行されて変速圧bpsftが設定されるが、ステップR3
〜ステップR12は、基本的には、図11に示すフロー
チャートのステップT1〜ステップT10と同様であ
り、次の2点が相違するだけである。すなわち、この油
温補正が行われる制御ルーチンでは、ステップR3で、
ベース変速圧bpstartが、図11中のステップT1の場
合に比べて、ベース圧補正量plpcgofs分だけ高く設定さ
れる。また、ステップR10では、図11中のステップ
T8の場合に比べて、フィードバック補正圧bpsftfbが
イナーシャ相補正圧fffofだけ低く設定される。その他
は、図11に示すフローチャートの場合と同様である。
かくして、この制御ルーチン(ステップR1〜ステップ
R12)では、油温の高低にかかわらず、安定した油圧
制御すなわち変速制御を行うことができ、一層効果的
に、変速ショックの発生を防止しつつ変速を迅速に行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1〜請求項6に対応する本発明の構成
を示すブロック図である。
【図2】 本発明にかかる自動変速機の構成を示す模式
図(スケルトン)である。
【図3】 2−4ブレーキの油圧アクチュエータまわり
の断面図である。
【図4】 図2に示す自動変速機の油圧制御回路の回路
図である。
【図5】 図4に示す油圧制御回路の各ソレノイドバル
ブに対する制御システムを示すブロック図である。
【図6】 1−2変速時における基本的な変速制御の制
御手法を示すフローチャートである。
【図7】 図6に示す変速制御におけるベース油圧の計
算手法を示すフローチャートである。
【図8】 図6に示す変速制御における各種情報の時間
に対する変化特性を示すタイムチャートである。
【図9】 具体的な変速制御を行う制御システムを機能
化して示したブロック図である。
【図10】 ベース制御圧(ベース変速圧)を設定する
制御システムを機能化して示したブロック図である。
【図11】 具体的なアップシフト制御の制御手法を示
すフローチャートである。
【図12】 変速時にトルクダウンが行われる場合にお
ける、具体的なアップシフト制御の制御手法を示すフロ
ーチャートである。
【図13】 油温による油圧補正が行われる場合におけ
る、具体的なアップシフト制御の制御手法を示すフロー
チャートの前半部である。
【図14】 油温による油圧補正が行われる場合におけ
る、具体的なアップシフト制御の制御手法を示すフロー
チャートの後半部である。
【図15】 図11〜図12に示す変速制御における各
種情報の時間に対する変化特性を示すタイムチャートで
ある。
【符号の説明】
10…自動変速機、20…トルクコンバータ、30…第
1遊星歯車機構、40…第2遊星歯車機構、51〜55
…摩擦要素、100…油圧制御回路、300…コントロ
ーラ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の変速段を有する変速機構と、該変
    速機構の変速段を締結動作又は解放動作により切り替え
    る摩擦要素と、上記摩擦要素に供給される油圧を制御す
    る油圧制御手段と、タービン回転変化率に関する値を検
    出するタービン回転変化率検出手段とを備え、 上記油圧制御手段が、変速段の切り替え時において、変
    速段の切り替えに起因するタービン回転数変化が生じる
    以前のトルク相では、上記摩擦要素への供給油圧を、上
    記変速機構への入力トルクとタービン回転数とに基づく
    トルク相目標油圧に対してフィードフォワード制御を行
    う一方、変速段の切り替えに起因するタービン回転数変
    化が生じているイナーシャ相では、上記トルク相目標油
    圧を、タービン回転数変化率に基づくフィードバック制
    御により設定した油圧補正値で補正して上記摩擦要素へ
    の供給油圧を設定するようになっている自動変速機の制
    御装置であって、 変速段の切り替え時においてトルク相からイナーシャ相
    へ移行した後、タービン回転数変化率が安定しているか
    否かを判定する回転安定性判定手段と、 該回転安定性判定手段によってタービン回転数変化率が
    安定していないと判定されている間は、上記フィードバ
    ック制御に基づく供給油圧の補正を抑制する油圧補正抑
    制手段とが設けられていることを特徴とする自動変速機
    の制御装置。
  2. 【請求項2】 上記油圧補正抑制手段が、上記回転安定
    性判定手段によってタービン回転数変化率が安定してい
    ないと判定されている間は、上記フィードバック制御に
    基づくトルク相目標油圧に対する補正を行わないように
    なっていることを特徴とする、請求項1に記載された自
    動変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 上記回転安定性判定手段が、目標タービ
    ン回転数変化率と実測したタービン回転数変化率との差
    が所定値より小さいときに、タービン回転数変化率が安
    定していると判定するようになっていることを特徴とす
    る、請求項1又は請求項2に記載された自動変速機の制
    御装置。
  4. 【請求項4】 上記回転安定性判定手段が、実測したタ
    ービン回転数変化率が所定値より小さいときに、タービ
    ン回転数変化率が安定していると判定するようになって
    いることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載さ
    れた自動変速機の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012102282A1 (ja) * 2011-01-25 2012-08-02 株式会社ジェイテクト 電動ポンプ装置

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