JPH10102317A - ポリ塩化ビニル系繊維及びその製造法 - Google Patents

ポリ塩化ビニル系繊維及びその製造法

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JPH10102317A
JPH10102317A JP25426696A JP25426696A JPH10102317A JP H10102317 A JPH10102317 A JP H10102317A JP 25426696 A JP25426696 A JP 25426696A JP 25426696 A JP25426696 A JP 25426696A JP H10102317 A JPH10102317 A JP H10102317A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性があり、風合、艶などがコントロール
され、紡糸性も改良されたポリ塩化ビニル系繊維とその
製造法を提供する。 【解決手段】 塩化ビニル系樹脂が50〜95重量%、
塩素含有率が58〜70重量%である塩素化ポリ塩化ビ
ニル樹脂が5〜50重量%の混合物100重量部に対
し、酢酸ビニル含量10〜50重量%のエチレン−酢酸
ビニル共重合体に塩化ビニルを重合度500〜1500
でグラフト重合したエチレン・酢ビ/塩ビグラフト重合
樹脂を5〜40重量部配合した樹脂組成物を溶融紡糸す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリ塩化ビニル系
繊維に関するものである。さらに詳しくは、紡糸に際し
て可塑剤を添加することなく、又、紡糸工程に特殊な手
段を用いることなく、しかも、無可塑ポリ塩化ビニル繊
維の性質を大幅に変えることなく、紡糸(曳糸)性が改
良され、耐熱性に優れ、又、艶や風合いがコントロール
されたポリ塩化ビニル系繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来周知の如く、無可塑ポリ塩化ビニル
樹脂は、繊維として優れた性質を持っているが、紡糸に
際しては、溶融粘度が高く、且つ、高温時において熱分
解することから、高倍率の曳糸延伸は不可能であった。
又、溶融紡糸により製造した一般のポリ塩化ビニル系繊
維は、ガラスの破片が光線を反射した場合のごとき特有
の光沢(艶)があり、繊維用としては不自然なため、塩
素化ポリ塩化ビニル樹脂等、溶融温度の高い、溶解性の
異なる艶消し剤が添加される。このため、曳糸性が更に
低下し、紡糸に際して糸切れが増加する傾向にあった。
【0003】これらの問題を回避するため、一般には溶
剤を用いて乾式、又は湿式紡糸法により製造するか、或
いは特殊な方法、例えばノズルより紡出した溶融糸を直
ちに高温の熱媒中へ導く方法や、特公昭34−6908
号公報に開示されたような繊維軸方向に設けた加熱紡糸
筒を通し瞬間的に加熱溶融し曳糸を行う方法が知られて
いる。又、特公昭48−43381号公報に開示された
ように塩化ビニルと共重合可能なプロピレン等の単量体
を共重合したポリ塩化ビニル系樹脂が使用されたりもし
ている。又、特公昭51−2109号では、メチルメタ
クリレート系共重合体を配合する方法が開示されてい
る。しかし、これらの方法は、いずれも工程が複雑化し
たり、繊維の艶が増加したり、又、曳糸性改良効果が不
十分であったりして、決して満足の得られるものではな
かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐熱
性があり、艶や風合いがコントロールされたポリ塩化ビ
ニル系繊維を、高い曳糸性と工程安定性で得ることにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリ塩化ビニル系
樹脂に、押し出し加工性及び熱安定性が劣り単独では加
熱溶融紡糸が全く困難とされている塩素化ポリ塩化ビニ
ル樹脂を併用し、更に、エチレン・酢ビ/塩ビグラフト
重合樹脂を配合することにより、耐熱性があり、艶や風
合いがコントロールされたポリ塩化ビニル系繊維を、高
い曳糸性と工程安定性で得られることを見い出し、本発
明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、50〜95重量%の塩化
ビニル系樹脂と5〜50重量%の塩素化ポリ塩化ビニル
樹脂の混合物100重量部に対し、エチレン・酢ビ/塩
ビグラフト重合樹脂を5〜40重量部配合した樹脂組成
物からなることを特徴とするポリ塩化ビニル系繊維、及
び、前記樹脂組成物を溶融紡糸することからなるポリ塩
化ビニル系繊維の製造法である。このポリ塩化ビニル系
繊維は、人造毛髪用として好適に用いることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる塩化ビ
ニル系樹脂とは、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニルと
20重量%までの他の共重合可能な単量体との共重合
体、或いはこれらの混合物である。前記共重合可能な単
量体の代表的なものとしては、エチレン、プロピレン、
アルキルビニルエーテル、ビニリデンクロライド、酢酸
ビニル、アクリル酸エステル、マレイン酸エステル等が
使用可能である。共重合体中のコモノマーの量が20重
量%以上の場合、軟質化されて耐熱性が低下するだけで
なく、高価となるため好ましくない。好ましい共重合体
としては、加熱溶融加工時の熱安定性の点で、エチレ
ン、プロピレン、又は酢酸ビニルと、塩化ビニルとの共
重合体である。
【0008】又、前記塩化ビニル系樹脂の重合度につい
ては、重合度が高い方が、得られる繊維の強度が大きい
傾向にあるが、反面、曳糸性の点では重合度が低い方が
有利である。これらの関係から、塩化ビニル系樹脂の重
合度は、500〜1500程度、より好ましくは700
〜1300程度が良い。
【0009】塩化ビニル系樹脂と併用する塩素化ポリ塩
化ビニル樹脂とは、塩素含有量が56.7重量%以上に
後塩素化されたポリ塩化ビニル樹脂を意味するが、加熱
溶融加工時の熱安定性、加工性の点から、塩素含有量が
58〜70重量%のものが好ましい。塩素化の方法は、
気相、液相いずれでも良く、又、塩素化原料ポリ塩化ビ
ニル樹脂は、塊状、懸濁、或いは、その他の特に塩素化
に有利な方法により重合されたもので良く、又、この塩
素化原料ポリ塩化ビニル樹脂の重合度は、加工性の点で
400〜1000程度が好ましい。
【0010】前記塩化ビニル系樹脂と塩素化ポリ塩化ビ
ニル樹脂とを併用することで得られるポリ塩化ビニル系
繊維の耐熱性が向上し、又、艶、風合いがコントロール
される。この場合の両者の混合割合は、塩化ビニル系樹
脂が50〜95重量%、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂が5
〜50重量%である。前記塩素化ポリ塩化ビニル樹脂の
割合が5重量%未満の場合には、艶消し性や耐熱性向上
に効果的でなく、又、50重量%以上の場合には、高温
加工時の熱安定性が大幅に低下するため、長時間の連続
紡糸が困難となる。これらの点より、塩素化ポリ塩化ビ
ニル樹脂の割合は、10〜45重量%がより好ましい。
【0011】前記塩化ビニル系樹脂と塩素化ポリ塩化ビ
ニル樹脂の混合物に配合するエチレン・酢ビ/塩ビグラ
フト重合樹脂とは、エチレン−酢酸ビニル共重合体に塩
化ビニルをグラフト重合した樹脂である。前記エチレン
−酢酸ビニルの共重合体としては、酢酸ビニル含量が5
〜60重量%で分子量が10000〜60000のもの
であれば特に製法は問わないが、曳糸性と耐熱性の点
で、酢酸ビニル含量は10〜50重量%で分子量が14
000〜40000のものがより好ましい。酢酸ビニル
含量が5重量%未満であったり、分子量が60000を
超えるのものは、溶融時の粘度が高くなり曳糸性改良効
果が充分でない。又、酢酸ビニル含量が60重重%以上
であったり分子量が10000以下の場合、得られる繊
維の耐熱性が低下し、艶も増すので好ましくない。エチ
レン−酢酸ビニル共重合体への塩化ビニルのグラフト重
合は、配合される塩化ビニル系樹脂と塩素化塩化ビニル
樹脂の混合物に対する均一混練性が改良されるので実施
される。グラフトする塩化ビニルの重合度としては50
0〜1500の範囲にあれば良いが、繊維の曳糸性と強
度、耐熱性の点で700〜1300程度がより好まし
い。グラフト重合は水中懸濁法が一般的だが、方法は特
に問わない。
【0012】前記塩化ビニル系樹脂と塩素化ポリ塩化ビ
ニル樹脂の混合物に前記るエチレン・酢ビ/塩ビグラフ
ト重合樹脂を配合することで紡糸(曳糸)性が向上す
る。この場合の配合割合は、塩化ビニル系樹脂と塩素化
ポリ塩化ビニル樹脂の混合物100重量部に対し、エチ
レン・酢ビ/塩ビグラフト重合樹脂が5〜40重量部で
ある。前記エチレン・酢ビ/塩ビグラフト重合樹脂の配
合量が塩化ビニル系樹脂と塩素化ポリ塩化ビニル樹脂の
混合物100重量部に対して5重量部未満では曳糸性が
低下し糸切れが多くなる。又、40重量部を超えて配合
すると繊維の耐熱性低下が大きく、繊維としての目的を
減ずる。これらの点から、塩化ビニル系樹脂と塩素化ポ
リ塩化ビニル樹脂の混合物に対するエチレン・酢ビ/塩
ビグラフト重合樹脂の配合割合は10〜35重量部がよ
り好ましい。
【0013】本発明で得られる繊維は、塩化ビニル系樹
脂に混合される塩素化ポリ塩化ビニルの量や、ノズルか
らの紡出速度に対する引き取り速度の比である曳糸(ド
ラフト)倍率により表面凹凸の程度をコントロールでき
る。即ち、塩素化ポリ塩化ビニルの混合量を多くし、曳
糸(ドラフト)倍率を小さくすると表面凹凸が多くな
り、艶が高度に消えた繊維となる。従って、このような
繊維は、特に自然な艶を要求されるかつらなどの頭飾用
製品に使用する人造毛髪用に好適である。ドールヘアー
やお祭り用かつら等には艶のあるものが要望されること
もあるが、混合する塩素化ポリ塩化ビニルの量や曳糸
(ドラフト)倍率により任意に対応可能である。又、塩
素化ポリ塩化ビニル樹脂の量を多くすると、得られる繊
維の耐熱性が向上し、カール保持性を要求されるかつら
等の人造毛髪用繊維としてさらに好適である。
【0014】本発明で得られる繊維は、人造毛髪用途だ
けでなく、防虫網やブラシ、カーペット類等の産業資材
分野にも使用可能である。この分野では、低価格が要望
される場合が多く、繊維の生産性が高い必要があるが、
本発明では、塩化ビニル系樹脂と塩素化ポリ塩化ビニル
樹脂の混合物に対し、エチレン・酢ビ/塩ビグラフト重
合樹脂を配合することにより、高い曳糸性が得られ、生
産性に優れるので好適である。
【0015】本発明のポリ塩化ビニル系繊維は、湿式、
乾式、半乾半湿式、溶融紡糸いずれの方法によっても製
造可能である。湿式、乾式、半乾半湿式の製造法は、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチル
スルホキシド、又はテトラヒドロフランの単独、もしく
は混合溶媒に上記樹脂組成物を溶解し、通常の紡糸方法
で可能である。好ましい製造方法は、工程が比較的簡単
で曳糸性向上効果も顕著に発揮される溶融紡糸である。
【0016】尚、本発明の繊維に対しては、製造方法や
品質の必要に応じて、他の成分も適宜混合可能である。
例えば、溶融紡糸においては、塩化ビニル系樹脂及び塩
素化ポリ塩化ビニル樹脂の溶融押し出し加工上必須の熱
安定剤及び滑材を任意に適当量配合でき、更に必要なら
ば、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、或いは顔
料等を配合することが可能である。
【0017】又、本発明の繊維を溶融紡糸する場合の樹
脂組成物は、リボンブレンダーやヘンシェルミキサー等
の通常の粉末混合機を用い、常温或いは加熱混合して得
ることができる。得られた樹脂組成物は、粉末状のまま
直接押し出し機へ投入して加熱溶融紡糸が可能である
が、混練ロール、又は押し出し機、ニーダー等で造粒化
して紡糸原料とすることが望ましい。
【0018】上記のようにして得られた紡糸原料は、加
工性に優れているので、通常の1軸或いは2軸の押し出
し機等を用い、150〜200℃程度の温度設定で加熱
溶融して細孔ノズルより紡出することができる。本発明
の繊維に関わる紡糸原料は、このままでも優れた曳系性
を発揮するが、ノズル直下に繊維軸方向に加熱紡糸筒を
設け、紡出された溶融糸を瞬間的に加熱して高度に曳糸
することも可能である。特に熱分解を起こしやすい塩素
化ポリ塩化ビニル等を多量に混合使用する場合は、押し
出し機を比較的低い温度で運転し、ノズルを出た直後の
加熱筒で瞬間的に加熱溶融して高度に曳糸する方が、樹
脂の熱劣化を少なくでき、長時間の連続運転が可能とな
るので好ましい。この方法によれば、ノズルからの紡出
速度に対する引き取り速度の比である曳糸(ドラフト)
倍率を300程度までとることも可能となる。
【0019】細孔ノズルより紡出され、引き取りロール
で曳糸された繊維の強度は比較的小さいが、伸度に富む
ため、更に公知の後延伸、及び緩和熱処理を実施し、強
度、伸度のバランスをとると共に熱収縮を小さくして製
品とすることができる。公知の後延伸とは、繊維束を9
0〜100℃程度の熱水浴、或いは105〜130℃程
度の熱風循環箱を通すか、105〜130℃程度の熱板
に接触させて走行させ、その間に2〜5倍に引き延ばす
操作である。又、緩和熱処理としては、105〜160
℃程度の熱風を循環させた1個以上の箱の中に各複数個
のロールを設置し、ロールの回転速度を段階的に減速す
ることにより、その間を走行する繊維を段階的に合計で
10〜25%程度収縮させる方法が一般的である。この
緩和熱処理に際し、先端径を細くした円錐形ロールを対
にして熱風循環箱の中に設置し、繊維を前記対になった
ロール間を引き回すことにより、ロールの回転につれて
その表面に巻かれた繊維に緊張状態で徐々に収縮を与え
ながらロールの先端に向けて送ることができる。この方
法によれば、連続的に緩和熱処理ができるので、一対以
上のロールを設置すれば、105〜120℃の比較的低
い温度で30%程度の緩和熱処理ができ、高い耐熱性
(低い熱収縮率)が得られる。ロールの円錐形の傾斜・
長さや対の数等は、熱処理温度・時間と共に、必要とさ
れる耐熱性により決定されるが、この方法は装置が小さ
くなり実用的で好ましい。
【0020】通常、延伸後の繊維には油剤が付与され
る。この油剤の付与は、櫛を通したり金属との接触時に
滑りが良いように、また静電気が発生して取扱に支障を
来さないように、繊維に制電性を持たせることを目的と
したものである。
【0021】この様にして得られる繊維の単糸繊度は、
人造毛髪用繊維としては10〜100デニールが一般的
であるが、その他の用途に応じて細くも太くも紡糸する
事が可能である。
【0022】又、繊維の製品形状としては、加工機械に
かけるため高速で引き出し使用される場合はボビン巻き
が、又、多数本同時に使用される場合は繊維束の状態で
巻き取られたり箱に振り込まれたりと、使用目的により
任意に選択できる。
【0023】
【実施例】次に、本発明を溶融紡糸の実施例により更に
詳細に説明するが、これによって本発明の範囲を限定す
るものではない。
【0024】[実施例1〜3、比較例1〜2]塩化ビニ
ル系樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂、及びエチレン・
酢ビ/塩ビグラフト重合樹脂を、下記の表1に示す所定
の割合で混合し、更にジブチル錫マレートを3重量部、
ジブチル錫ラウレートを1重量部、合成ワックスを0.
5重量部、及びステアリン酸を0.5重量部配合した。
この配合物を、リボンブレンダーを用いて110℃で4
0分攪拌混合した後、押し出し機を用い、シリンダー温
度140℃、ダイス温度145℃でペレット化した。こ
の樹脂ペレットを、L/D=20の30mmφ押し出し
機に孔径0.7mmφ孔数60のノズルを取り付け、シ
リンダー温度150〜180℃、ノズル温度180℃前
後の範囲で各例で曳糸性の良い条件で押し出し、第1の
引き取りロールによって曳糸した。次に第2の延伸ロー
ルとの間で110℃の熱風循環箱を通して2.5倍に延
伸した。さらに115℃に温度調節した箱の中に設置し
た2対の円錐形ロール間を引き回し、連続的に25%の
緩和熱処理を実施し、単糸繊度60デニールのマルチフ
ィラメントを巻き取った。このときの加工性(紡糸
性)、及び各例で得られたマルチフィラメントの物性に
ついて、下記の方法で判定した。結果を表1に示した。
【0025】〔物性等判定法〕 (1)紡糸性 引き取りロールの速度を糸切れが始まるまで上げた時の
ロール速度/紡出速度=最大曳糸倍率とし、最大曳糸倍
率が50以上を「良」、50〜10を「やや良」、10
以下を「悪」と判定した。 (2)艶の程度 ポリ塩化ビニルの艶の程度を1、人毛髪の艶の程度を
5、その間を2、3、4と5ランクに表示した。人毛髪
より艶消しになったものを6、7と表示した。 (3)熱収縮率 20cm長のマルチフィラメント12本を90℃のギア
オーブン中に吊り下げ、15分後の各サンプルの収縮率
の内、中間値10個を平均して熱収縮率とした。熱収縮
率は4%以下が好ましい。
【0026】
【表1】
【0027】表1の結果から明らかななように、エンレ
ン・酢ビ/塩ビグラフト重合樹脂を配合しない場合には
紡糸性に劣り、一方、その配合量が多すぎると繊維の耐
熱性が著しく低下する。
【0028】[実施例4〜6、比較例3及び4]下記の
表2に示すように、使用する塩化ビニル樹脂の重合度を
変更した樹脂組成物を用い、温度条件を変更した以外
は、実施例1、2と同じ方法で紡糸した。結果を表2に
示した。
【0029】
【表2】
【0030】[実施例7及び8]使用した塩化ビニル樹
脂のみ下記表3に示す組成の塩化ビニル系共重合樹脂に
置き換えた以外は実施例2と同じ樹脂組成で同じ方法で
紡糸した。結果を表3に示した。
【0031】
【表3】
【0032】[実施例9]混合する塩素化ポリ塩化ビニ
ル樹脂において、原料塩化ビニルの重合度及び塩素含有
量を下記の表4に示す様に置き換えた以外は、実施例2
と同じ樹脂組成で同じ方法で紡糸した。結果を表4に示
した。
【0033】
【表4】
【0034】〔実施例10及び11、比較例5及び6〕
配合するエチレン・酢ビ/塩ビグラフト重合樹脂のエチ
レン−酢酸ビニル共重合体(EVA)中の酢酸ビニル
(酢ビ)含量と、エチレン・酢ビ/塩ビグラフト重合樹
脂の配合部数を変更した以外は、実施例2と同じ樹脂組
成で同じ方法で紡糸した。結果を表5に示した。
【0035】
【表5】
【0036】表5の結果から明らかなように、配合する
エチレン・酢ビ/塩ビグラフト重合樹脂のエチレン−酢
酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含量が高すぎる場合
や、エチレン・酢ビ/塩ビグラフト重合樹脂の配合量が
多すぎる場合には、繊維の耐熱性が悪くなり、又、艶消
し性も低下する。
【0037】
【発明の効果】以上のように、本発明に係るポリ塩化ビ
ニル系繊維は、耐熱性に優れ、又、艶や風合いもコント
ロールされており、人造毛髪用として好適に使用でき
る。しかも、紡糸(曳糸)性に優れており生産性も高く
低コストで生産が可能であり、人造毛髪用以外の産業資
材分野等にも応用可能である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 50〜95重量%の塩化ビニル系樹脂と
    5〜50重量%の塩素化ポリ塩化ビニル樹脂の混合物1
    00重量部に対し、エチレン・酢ビ/塩ビグラフト重合
    樹脂を5〜40重量部配合した樹脂組成物からなること
    を特徴とするポリ塩化ビニル系繊維。
  2. 【請求項2】 塩素化ポリ塩化ビニル樹脂の塩素含有率
    が58〜70重量%である請求項1記載のポリ塩化ビニ
    ル系繊維。
  3. 【請求項3】 エチレン・酢ビ/塩ビグラフト重合樹脂
    が、酢酸ビニル含量10〜50重量%のエチレン−酢酸
    ビニル共重合体に、塩化ビニルを重合度500〜150
    0でグラフト重合した樹脂である請求項1記載のポリ塩
    化ビニル系繊維。
  4. 【請求項4】 人造毛髪用である請求項1記載のポリ塩
    化ビニル系繊維。
  5. 【請求項5】 50〜95重量%の塩化ビニル系樹脂と
    5〜50重量%の塩素化ポリ塩化ビニル樹脂の混合物1
    00重量部に対し、エチレン・酢ビ/塩ビグラフト重合
    樹脂を5〜40重量部配合した樹脂組成物を溶融紡糸す
    ることを特徴とするポリ塩化ビニル系繊維の製造法。
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