JPH0997415A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH0997415A
JPH0997415A JP7254246A JP25424695A JPH0997415A JP H0997415 A JPH0997415 A JP H0997415A JP 7254246 A JP7254246 A JP 7254246A JP 25424695 A JP25424695 A JP 25424695A JP H0997415 A JPH0997415 A JP H0997415A
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JP7254246A
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English (en)
Inventor
Yuichi Sasaki
勇一 佐々木
Kazuhiro Okamoto
和広 岡本
Takao Kudo
孝夫 工藤
Kazuo Sasaki
和男 佐々木
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度記録に対応する良好な電磁変換特性が
得られ、走行耐久性に優れるとともに、ヘッドクロッグ
が十分に抑えられる重層塗布型の磁気記録媒体を獲得す
る。 【解決手段】 上層2の厚み、上層2に含まれる研磨剤
の一次粒子での平均粒径及びモース硬度を規制する。さ
らに、研磨剤の添加量を規制するとともに、研磨剤を十
分に分散させて塗料化し、この研磨剤塗料の状態で磁性
塗料に添加するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重層塗布型の磁気
記録媒体及びその製造方法に関し、特に研磨剤の添加条
件の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体としては、強磁性粉末や結
合剤、各種添加剤を有機溶媒とともに分散せしめて調製
された磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布乾燥すること
で磁性層が形成される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体
が知られており、高密度記録化の目的から上記強磁性粉
末としては金属微粒子が用いられるようになっている。
【0003】このような金属微粒子を用いる塗布型の磁
気記録媒体は、オーディオ用テープ、ビデオテープ、バ
ックアップ用データカートリッジ、フロッピーディスク
等として広く利用されている。また、最近、磁気記録の
分野では、記録波長の短波長化、あるいはディジタル記
録方式の採用等、高密度記録の検討が盛んに行われてお
り、上記塗布型の磁気記録媒体においては、これに対応
できる優れた電磁変換特性を有することが求められるよ
うになっている。
【0004】塗布型磁気記録媒体の電磁変換特性を向上
させる手法の一つとしては、磁性層の薄膜化が挙げられ
る。これは記録時の自己減磁損失を低減することで、媒
体の電磁変換特性を向上させる手法である。このような
厚さの薄い磁性層を形成するために、種々の塗布方式が
提案されている。
【0005】しかし、非磁性支持体上に1μm以下の薄
い磁性層を直接設けた場合、支持体の表面形状が磁性層
表面に影響し易く、表面平滑な磁性層を得るのが困難で
ある。このため、磁性層と非磁性支持体の間に非磁性層
の下塗り層を設ける、いわゆる重層塗布型構成が提案さ
れている。非磁性層を非磁性支持体と磁性層の間に介在
させると、非磁性支持体表面と磁性層表面の間に厚さが
稼がれるので、非磁性支持体の表面形状が磁性層表面に
現れ難くなる。したがって、厚さの薄い磁性層が平滑な
表面形状で形成されることになる。
【0006】ここで、非磁性層と磁性層の2層を形成す
る塗布方式としては、非磁性塗料、磁性塗料がそれぞれ
押し出される2つのスリットを有するダイヘッドを用
い、このダイヘッドによって非磁性支持体上に非磁性塗
料と磁性塗料を同時に塗布する同時重層塗布方式(ウェ
ット・オン・ウェット塗布方式)が提案されている。こ
の同時重層塗布方式によれば、塗布欠陥や塗り筋のない
均一な塗膜が形成できる。また上層下層の界面の接着性
も良いので、電磁変換特性に優れ、低ノイズであるとと
もに、耐久性に優れた磁気記録媒体を得ることができ
る。
【0007】以上のような磁性層の薄膜化技術の他、塗
布型の磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させる手法と
しては、強磁性粉末の改良も有効である。具体的には、
(1)強磁性合金粉末の使用、(2)強磁性粉末の微細
化、(3)強磁性粉末の保磁力の増加及び保磁力分布の
均一化等が挙げられる。
【0008】このうち(1)、(2)については、磁性
材料の改良が積極的に進められた結果、現在では飽和磁
化が140Am2/kgを超える強磁性粉末や長軸長が
0.1μm以下の強磁性粉末が得られるようになってい
る。また、(3)については、保磁力が160kA/m
を超える強磁性粉末も得られているし、保磁力分布を反
映する粒子サイズ分布を高度に均一化する等の技術が開
発されている。
【0009】さらに、記録再生時のスペーシングロスを
最小限にするために、媒体表面を平滑化する技術も検討
されている。特に、高密度記録においては使用する記録
波長が短いため、表面粗さの影響を受け易く、良好な電
磁変換特性を得るにはその表面性制御が重要になる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】磁性層の表面粗さに影
響する因子としては、磁性層に添加される研磨剤が挙げ
られる。この研磨剤は、ヘッドクロッグの防止や走行耐
久性の付与等の目的で用いられるものである。
【0011】しかし、研磨剤は、その粒径や添加量の最
適化が難しく、特に重層塗布型構成の場合には、単層構
成での条件をそのまま用いて研磨剤を添加すると、研磨
剤が媒体表面から突出し、走行耐久性を著しく劣化させ
る。このような研磨剤による悪影響を抑えるため、研磨
剤を減量することも考えられるが、そうすると今度は研
磨効果が十分に得られず、ヘッドクロッグ等の問題が多
発するといった不都合が生じてしまう。
【0012】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、高密度記録に対応する良
好な電磁変換特性を有し、走行耐久性に優れるととも
に、ヘッドクロッグが十分に抑えられる磁気記録媒体を
提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、顔
料粉末を結合剤中に分散せしめてなる下層が形成され、
この下層上に強磁性粉末を結合剤中に分散せしめてなる
上層が形成されて構成される磁気記録媒体であって、上
記上層は、厚みが0.5μm以下であり、この上層に含
まれる研磨剤は、一次粒子での平均粒径が当該上層の厚
みよりも小さく且つモース硬度が6以上であることを特
徴とするものである。
【0014】また、下層に含有される顔料粉末が、非磁
性顔料粉末であることを特徴とするものである。
【0015】さらに、上層に含有される研磨剤の量が、
強磁性粉末100重量部に対して3重量部以上15重量
部以下であることを特徴とするものである。
【0016】また、本発明の磁気記録媒体の製造方法
は、非磁性支持体上に、下層用塗料及び上層用塗料を塗
布することで上層及び下層を形成するに際して、上記上
層用塗料は、強磁性粉末と結合剤よりなる磁性塗料に、
研磨剤と結合剤よりなる研磨剤塗料を添加してなるもの
であり、前記研磨剤塗料中での研磨剤の平均粒径が上層
の厚みよりも小さいことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について説明する。
【0018】本発明が適用される磁気記録媒体は、非磁
性支持体上に、顔料粉末を結合剤中に分散せしめてなる
下層が形成され、この下層上に強磁性粉末を結合剤中に
分散せしめてなる上層が形成されて構成される、重層塗
布型磁気記録媒体である。
【0019】この重層塗布型磁気記録媒体において、上
層及び下層は、それぞれの組成物を有機溶媒とともに混
練、分散して調製された上層用塗料、下層用塗料を、塗
布、乾燥することで形成される。
【0020】本発明では、このような重層塗布型磁気記
録媒体の、上層の厚さを規制するとともに、上層に含有
させる研磨剤について、平均粒径、硬度、添加量及び添
加方法を規制する。
【0021】すなわち、上層として形成する磁性層の厚
さを、0.5μm以下に規制する。上層磁性層の厚さ
を、このように薄くすることにより、自己減磁が低減
し、短波長領域での出力やオーバーライト等の電磁変換
特性が向上する。
【0022】また、この上層磁性層には、ヘッドクロッ
グを防止するとともに走行耐久性を付与するために、研
磨剤を添加する。そして、この研磨剤について、その一
次粒子での平均粒径を上層磁性層の厚さより小とすると
ともに、モース硬度を6以上に規制する。研磨剤の一次
粒子での平均粒径及びモース硬度は、上層表面の平滑さ
を損なうことなく、上層表面の摩擦係数を適度なものと
し、さらに十分なヘッド研磨力を得る点から設定される
ものである。研磨剤の平均粒径が上層磁性層の平均厚さ
よりも大きいと、上層磁性層の表面性が損なわれ、再生
出力が低下する。また、モース硬度が6を下回る場合に
は、十分なヘッド研磨力が得られず、ヘッドクロッグが
発生する。
【0023】この研磨剤は上層磁性層に、強磁性粉末1
00重量部に対して3〜15重量部なる割合で添加する
ことが望ましい。研磨剤の添加量が少な過ぎる場合には
十分なヘッド研磨力が得られず、ヘッドクロッグが発生
する。逆に研磨剤の添加量が多すぎる場合には、上層磁
性層の表面性が損なわれ、また研磨剤が多い分強磁性粉
末の充填度が低下することから電磁変換特性が劣化す
る。
【0024】なお、このような研磨剤は、他の上層組成
物とともに塗料化されるが、塗料中に添加された研磨剤
は凝集し、凝集塊(二次粒子)の形になる。この研磨剤
の凝集塊は分散操作によって破壊されるが、分散が不完
全であると比較的大きな凝集塊の形で残り、磁性層の表
面性を損なう結果になる。したがって、上層用塗料は、
研磨剤が塗料中に十分に分散されるように調製されるこ
とが必要である。
【0025】それには、研磨剤を粉末の状態で塗料に添
加するのではなく、研磨剤を結合剤及び有機溶剤と混
合、分散させることで塗料化し、この塗料の状態で、磁
性塗料中に添加するのが良い。このとき、研磨剤塗料
は、研磨剤の平均粒径(一次粒子、二次粒子を含めた平
均粒径)が上層磁性層の厚さよりも小さくなるまで分散
されていることが望ましい。
【0026】なお、モース硬度が6以上の研磨剤の具体
例としては、酸化アルミニウム(α、β、γ)、酸化ク
ロム(Cr23)、炭化珪素、ダイヤモンド、ガーネッ
ト、エメリー、窒化ホウ素、チタンカーバイト、炭化珪
素、炭化チタン、酸化チタン(ルチル、アナターゼ)、
コランダム等が挙げられる。これら研磨剤の一次粒子で
の平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真から100サンプ
ル以上を無作為に選び、それらの粒径の平均値を採用す
る。また、研磨剤塗料中での研磨剤の平均粒径は、例え
ばユニオン技研社製、商品名DLS−700の測定装置
を用い、動的光散乱法により求められる。
【0027】以上のように本発明では、上層磁性層につ
いて、厚さ及び研磨剤の添加条件を規制するが、上層磁
性層を構成する磁性粉末、結合剤としては通常この種の
磁気記録媒体において用いられるものが使用できる。
【0028】まず、強磁性粉末としては、Fe、Co、
Ni等の金属、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Al、
Fe−Ni−Al、Fe−Al−P、Fe−Ni−Si
−Al、Fe−Ni−Si−Al−Mn、Fe−Mn−
Zn、Fe−Ni−Zn、Co−Ni,Co−P、Fe
−Co−Ni、Fe−Co−Ni−Cr、Fe−Co−
Ni−P、Fe−Co−B、Fe−Co−Cr−B、M
n−Bi、Mn−Al、Fe−Co−V等の合金、窒化
鉄、炭化鉄等が挙げられる。これら強磁性粉末には、還
元時の焼結防止または形状維持等の目的で、Al、S
i、P、B等の軽金属元素が適当量含まれていても良
い。
【0029】さらに、γ−Fe23、Fe34、γ−F
23とFe34とのベルトライド化合物、Co含有γ
−Fe23、Co含有Fe34、Coを含有するγ−F
23とFe34とのベルトライド化合物、CrO2
1種またはそれ以上の金属元素、たとえばTe、Sb、
Fe、B等を含有させた酸化物等がある。
【0030】さらに、六方晶系板状フェライトも使用可
能であり、M型、W型、Y型、Z型のバリウムフェライ
ト、ストロンチウムフェライト、カルシウムフェライ
ト、鉛フェライト、及びこれらに、保磁力を制御する目
的で、Co−Ti、Co−Ti−Zn、Co−Ti−N
b、Co−Ti−Zn−Nb、Cu−Zr、Ni−Ti
等を添加したものも使用可能である。
【0031】これら強磁性粉末は、1種類を単独で用い
ても良いが、2種類以上を併用することも可能である。
【0032】また、これら強磁性粉末の比表面積は30
〜80m2/g、好ましくは40〜70m2/gであるこ
とが望ましい。比表面積が上記範囲であることは、その
強磁性粉末が比較的微粒子であることを意味しており、
高密度記録に有利となり、ノイズ特性に優れた磁気記録
媒体を得ることができる。
【0033】さらに、例示した強磁性粉末のうち、針状
磁性粉末については、長軸長が0.05〜0.30μ
m、軸比が3〜15であることが好ましい。長軸長が
0.05μm未満であると磁性塗料中への分散が困難に
なり、長軸長が0.30μmを越えると媒体のノイズ特
性が劣化する虞れがある。また、軸比が3未満であると
強磁性粉末の配向性が低下し、出力が低下する。逆に、
軸比が15を越えると短波長信号出力が低下する虞れが
あり、好ましくない。
【0034】一方、板状フェライトの場合には、板径が
0.01〜0.5μm、板厚が0.001〜0.2μm
程度であるのが好ましい。
【0035】なお、これら強磁性粉末の長軸長、軸比、
板径及び板厚は、透過型電子顕微鏡写真から100サン
プル以上を無作為に選び、それらの平均値を採用する。
【0036】結合剤としては、従来より磁気記録媒体用
の結合剤として使用される公知の熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂、反応型樹脂等が用いられ、特に数平均分子量が
5000〜100000のものが好ましい。
【0037】熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル、酢酸
ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル
−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニト
リル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル
共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニ
リデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合
体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、
アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタク
リル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル
酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステ
ル−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリ
デン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−
ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチ
ラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチ
レート、セルロースダイアセテート、セルローストリア
セテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロー
ス)、スチレンブタジエン共重合体、ポリウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等が挙げ
られる。
【0038】また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂の例
としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタ
ン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹
脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアル
デヒド樹脂等も使用可能である。
【0039】また、上記全ての結合剤には、顔料の分散
性を向上させる目的で、−SO3M、−OSO3M、−C
OOM、P=O(OM)2(但し、式中Mは水素原子あ
るいはリチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金
属を表す)や、−NR12、−NR123 +-で表さ
れる側鎖型アミン、>NR12 +-で表される主鎖型ア
ミン(但し、式中R1,R2,R3は水素原子あるいは炭
化水素基を表し、X-はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等
のハロゲン元素イオンあるいは無機イオン、有機イオン
を表す)、さらに−OH、−SH、−CN、エポキシ基
等の極性官能基が導入されていてもよい。これら極性官
能基の結合剤への導入量は、10-1〜10-8モル/gで
あるのが好ましく、10-2〜10-6モル/gであるのが
より好ましい。
【0040】以上のような結合剤は、一種類を単独で用
いても良いが、2種類以上を併用することも可能であ
る。
【0041】これらの結合剤は、強磁性粉末100重量
部に対して1〜200重量部、好ましくは10〜50重
量部なる量で混合するのが望ましい。結合剤の使用量が
多過ぎると、その分強磁性粉末の磁性層に占める割合が
減少し、出力の低下につながる。逆に、結合剤の使用量
が少な過ぎると、塗膜の力学的強度が低下し、媒体の走
行耐久性が低下する。
【0042】なお、これら結合剤はポリイソシアネート
等の架橋剤によって架橋させても良い。ポリイソシアネ
ートとしては、トルエンジイソシアネートならびにこれ
らの付加体、アルキレンジイソシアネートならびにこれ
らの付加体等が使用できる。これらポリイソシアネート
の添加量は、結合剤100重量部に対して5〜80重量
部、好ましくは10〜50重量部とするのが良い。これ
らポリイソシアネートは、上層下層の両層で用いてもよ
く、上層のみに用いても構わない。上層下層の両層に用
いる場合には、その量を各層で等しくしてもよく、任意
の比率で変えても良い。
【0043】上層は、以上のような材料を、有機溶剤と
ともに混練、分散させて調製される上層用塗料を塗布、
乾燥することで形成される。この塗料化に用いられる溶
剤は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノ
ール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶
媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピ
ル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテート等のエ
ステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチレンクロライ
ド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、
クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒などが挙
げられる。
【0044】また、塗料の混練、分散を行うための装置
としては、ロールミル、ボールミル、サンドミル、アジ
ター、ニーダー、エクストルーダー、ホモジナイザー、
超音波分散機等が用いられる。
【0045】このような上層磁性層の下側には、顔料粉
末が結合剤中に分散されてなる下層が形成される。この
下層は、顔料粉末として磁性粉末を用いる磁性層であっ
てもよく、非磁性粉末を用いる非磁性層であっても構わ
ない。
【0046】下層が磁性層である場合、磁性粉末及び結
合剤としては、上層磁性層で例示したものがいずれも使
用可能であり、その混合比も上層磁性層の場合に準じて
良い。
【0047】また、下層が非磁性層である場合、非磁性
粉末としては、以下のものが用いられる。
【0048】例えばα−Fe23等の非磁性酸化鉄、ゲ
ータイト、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタ
ン、酸化錫、酸化タングステン、酸化珪素、酸化亜鉛、
酸化クロム、酸化セリウム、チタンカーバイト、BN、
α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、硫酸カル
シウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸マグネ
シウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロン
チウム、チタン酸バリウム等が使用される。これら非磁
性粉末は、1種類を単独で用いても良く、複数を混合し
ても構わない。また、非磁性粉末には、目的に応じて適
当量の不純物をドープしても良く、分散性の改良、導電
性の付与、色調の改善等の目的で、Al、Si、Ti、
Sn、Sb、Zr等の化合物で表面処理しても良い。ま
た、比表面積は、30〜80m2/g、好ましくは40
〜70m2/gであるのが良い。
【0049】また、これら非磁性粉末には、必要に応じ
てゴム用ファーネス、熱分解カーボン、カラー用ブラッ
ク、アセチレンブラック等のカーボンブラックを混合し
ても良い。このカーボンブラックは、比表面積が100
〜400m2/g、DBP吸油量が20〜200ml/
100gであることが好ましい。
【0050】なお、α−Fe23等の非磁性粉末や必要
に応じて添加されるカーボンブラックにおいて比表面積
を規制したのは以下の点からである。
【0051】すなわち、粉末においては、比表面積が粒
子サイズの指標となり、比表面積が大きいということ
は、多くの場合、粉末の粒子サイズが小さいことを意味
する。
【0052】ここで、非磁性粉末は磁気的な凝集力を有
さないため、磁性粉末に比べて分散が容易であるが、比
表面積が大きくなると(すなわち粒子サイズが小さ過ぎ
ると)、分散が困難になる。また、非磁性粉末の比表面
積が小さくなると(すなわち粒子サイズが大き過ぎる
と)、下層ひいては上層の表面性が損なわれ、高密度記
録領域における特性が劣化する。非磁性粉末の比表面積
が30〜80m2/g、カーボンブラックの比表面積が
100〜400m2/gである場合、粒子サイズが適度
に微細であることから、下層が平滑に形成され、それを
反映して上層が平滑に形成される。その結果、媒体の変
調ノイズ特性が改善し、スペーシングロスが抑えられ
る。
【0053】一方、この非磁性層の結合剤としては、上
層で例示したものがいずれも使用可能である。結合剤
は、非磁性粉末100重量部に対して1〜200重量
部、好ましくは10〜50重量部なる量で混合するのが
望ましい。結合剤の使用量が多過ぎると、その分非磁性
粉末の割合が減少し、その効果が十分に得られない。逆
に、結合剤の使用量が少な過ぎると、塗膜の力学的強度
が低下し、媒体の走行耐久性が低下する。また、この非
磁性層においても、結合剤を上層で例示したポリイソシ
アネート等の架橋剤によって架橋させるようにしても良
い。さらに、下層は、以上のような材料を有機溶剤とと
もに混練、分散させて調製される下層用塗料を、塗布、
乾燥することで形成されるが、この塗料化に用いられる
有機溶剤、分散及び混練装置も上層磁性層で例示したも
のが用いられる。
【0054】なお、調製された上層用塗料、下層用塗料
を非磁性支持体上に塗布する方法としては、特開平6−
236543号公報に示されるような、下層塗料を塗布
して乾燥させ、この乾燥された下層塗膜上に上層塗料を
塗布して乾燥させる、いわゆるウェット・オン・ドライ
塗布方式と、湿潤状態にある下層塗膜の上に上層塗膜を
重ねて塗布する、いわゆるウェット・オン・ウェット塗
布方式(湿潤重層塗布方式)とがある。
【0055】このうち、塗布方式としては、塗膜の均質
性,上下界面の接着性,生産性の点からウェット・オン
・ウェット塗布方式を用いるのが望ましい。このウェッ
ト・オン・ウェット塗布方式で塗料を塗布するための塗
布装置の一例を図1に示す。
【0056】この塗布装置は、先端部に塗料が押し出さ
れる2つのスリット部(下層塗料用のスリット部11,
上層塗料用のスリット部12)を有するダイヘッド18
(4リップ方式ダイヘッド)を有して構成される。すな
わち、このダイヘッドでは、2つのスリット部11,1
2の背面側にそれぞれ下層塗料、上層塗料が供給される
下層塗料溜まり13,上層塗料溜まり14が形成され、
この塗料溜まり13,14に供給された下層塗料、上層
塗料がスリット11,12を介して当該ダイヘッド先端
部に押し出される。一方、塗料が塗布される支持体15
は、上記ダイヘッドの先端面に沿って下層塗料用のスリ
ット部11から上層塗料用のスリット部12に向かって
図中A方向に走行する。
【0057】このようにして走行する非磁性支持体15
には、まず下層塗料用のスリット部11を通過する際
に、このスリット部11から押し出された下層塗料が表
面に塗布され下層塗膜16が形成される。そして、上層
塗料用のスリット部12を通過する際に、このスリット
部12から押し出された上層塗料が湿潤状態の下層塗膜
16上に塗布され、2層の塗膜16,17が形成され
る。そして、この湿潤状態の2層の塗膜を乾燥し、必要
に応じてカレンダー処理等の表面平滑過処理を施すこと
で、重層塗布型の磁気記録媒体は作製される。
【0058】なお、ダイヘッドとしては、4リップ方式
の他に、3リップ方式、2リップ方式等もある。
【0059】このようにしてウェット・オン・ウェット
塗布方式で形成された下層,上層は、湿潤状態の下層塗
膜上に上層塗料が塗布されることで形成されているの
で、下層の表面、すなわち下層と上層の境界面がなめら
かに形成されている。そのため上層の表面性も非常に良
好になっており、ドロップアウトが抑えられ、高出力、
低ノイズが厳しく求められる高密度記録用として好適で
ある。また、下層と上層の密着性が高いので、膜剥離が
起き難く、優れた耐久性が得られる。
【0060】なお、ウェット・オン・ウェット塗布方式
で形成された下層と上層の間には、明確な境界が実質的
に存在する場合と、一定の厚みをもって両層の成分が混
在している境界領域が存在する場合がある。本発明で
は、こうした境界領域が存在する場合には、この境界領
域を除いて当該境界領域よりも下側の層を下層、上側の
層を上層とする。
【0061】一方、ウェット・オン・ドライ塗布方式に
よって上層、下層を形成する場合には、下層塗料、上層
塗料を塗布する方法としてダイヘッド塗布方式、グラビ
アロール塗布方式、リバースロール塗布方式等の通常の
塗布方式が採用される。但し、この場合には、下層の材
料は、当該下層が上層塗料に対して十分な耐溶剤性を有
するように選択される必要がある。
【0062】このように下層塗料及び上層塗料は塗布さ
れるが、これら塗料を塗布する非磁性支持体としては、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−
ナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等の
ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロ
ースジアセテート等のセルロース類、ビニル系樹脂、ポ
リイミド類、ポリカーボネート類に代表されるような高
分子材料、あるいは金属、ガラス、セラミクス等により
形成される支持体等である。
【0063】以上が本発明の磁気記録媒体の基本的な構
成であるが、磁気記録媒体の構成はこれに限らない。磁
気記録媒体において一般的に採用されている付加的な構
成を持たせることで特性の改善を図るようにしても構わ
ない。
【0064】例えば、上層磁性層、下層非磁性層には、
必要に応じて潤滑剤、界面活性剤、等の添加剤を添加さ
せても良い。
【0065】潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブデ
ン、二硫化タングステン等の固体潤滑剤や、シリコーン
オイル、炭素数10〜22の脂肪酸、炭素数10〜22
の脂肪酸と炭素数2〜26のアルコールにより合成され
る脂肪酸エステル、テルペン系化合物及びこれらのオリ
ゴマー等が挙げられる。これら潤滑剤は、上層のみに添
加しても良く、上層,下層の両方に添加しても構わな
い。
【0066】界面活性剤としては、ノニオン系、アニオ
ン系、カチオン系、両性の界面活性剤がいずれも使用で
きる。これらの界面活性剤は、上層,下層のいずれかに
のみ添加しても良く、上層,下層の両方に添加しても差
し支えない。両方の層に界面活性剤を添加する場合に
は、上層,下層で同じ種類のものを用いても良く、異な
る種類のものを用いても差し支えない。また、添加量に
ついても、上層,下層で同じであっても異なっていても
いずれでも良い。
【0067】また、下層においては、非磁性補強粒子と
して、酸化アルミニウム(α、β、γ)、酸化クロム、
炭化珪素、ダイヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化
ホウ素、チタンカーバイト、炭化珪素、炭化チタン、酸
化チタン(ルチル型、アナターゼ型)等を添加しても良
い。これら非磁性補強粒子は、顔料粉末100重量部に
対して20重量部以下、好ましくは10重量部以下で添
加するのが適当である。また、この非磁性補強粒子は、
モース硬度が4以上、さらには5以上であるのが望まし
く、比重が2〜6、さらには3〜5の範囲であるのが望
ましく、一次粒子での平均粒径が1.0μm以下、さら
には0.5μm以下であるのが好ましい。この非磁性補
強粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真から測定
し、統計処理することで求められる。
【0068】また、この磁気記録媒体には、図2に示す
ように、上層2,下層4以外に、非磁性支持体1の上層
下層が形成された側とは反対側の面に、走行性の向上や
帯電防止,転写防止等を目的として、バックコート層3
を設けてもよい。また、下層と非磁性支持体との間に、
下層と支持体との接着性を強化する目的で下塗り層を設
けるようにしても良い。
【0069】
【実施例】本発明の実施例について実験結果に基づいて
説明する。
【0070】実験例1 下記の組成に基づいて磁性塗料を調製した。塗料化は、
常法に従って、強磁性粉末、結合剤、添加剤及び溶剤を
混合し、ニーダーにより混練した後、サンドミルで4時
間分散させることで行った。
【0071】 磁性塗料組成 Fe系メタル強磁性粉末 100重量部 (保磁力160kA/m、飽和磁化量135Am2/kg 比表面積51m2/g 、長軸長0.1μm、針状比5) ポリ塩化ビニル樹脂 14重量部 (日本ゼオン社製 商品名MR−110) ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡社製) 3重量部 ステアリン酸 1重量部 ヘプチルステアレート 1重量部 メチルエチルケトン 150重量部 シクロヘキサノン 150重量部 次に、以下の組成に基づいて、研磨剤、結合剤及び溶剤
を混合し、サンドミルで15時間分散させることで研磨
剤塗料を調製した。なお、研磨剤塗料中での研磨剤の平
均粒径は0.18μmであった。
【0072】 研磨剤塗料組成 研磨剤:α−Al23 100重量部 (一次粒子の平均粒径0.1μm) ポリエステルポリウレタン樹脂 14重量部 (商品名ニッポランN−2304) メチルエチルケトン 105重量部 シクロヘキサノン 105重量部 そして、この研磨剤塗料を先に調製した磁性塗料に添加
することで上層用塗料を調製した。
【0073】次に、下記の組成に基づいて非磁性粉末、
結合剤及び溶剤を混合し、ニーダーにより混練した後、
サンドミルで4時間分散させることで下層用塗料を調製
した。
【0074】 下層塗料組成 α−Fe23 100重量部 (比表面積53m2/g、長軸長0.15μm、針状比5) ポリ塩化ビニル樹脂 13重量部 (日本ゼオン社製 商品名MR−110) ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡社製) 4重量部 ステアリン酸 1重量部 ヘプチルステアレート 1重量部 メチルエチルケトン 105重量部 シクロヘキサノン 105重量部 そして、調製された上層用塗料,下層用塗料に、それぞ
れポリイソシアネートを3重量部,2重量部添加した
後、これら塗料を、4リップ方式のダイコーターを用
い、厚さ7μmのPET(ポリエチレンテレフタレー
ト)フィルム上に同時重層塗布した。そして、未乾燥の
状態で、上層塗膜をソレノイドコイルにより配向処理し
た後、乾燥、カレンダー処理、硬化処理を行うことで、
上層磁性層、下層非磁性層を形成した。なお、塗布厚
は、上層が0.3μm、下層が2.0μmである。
【0075】一方、下記の組成に基づいてバック塗料を
調製した。
【0076】 バック塗料組成 カーボンブラック(商品名旭#50) 100重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂 100重量部 (商品名ニッポランN−2304) メチルエチルケトン 500重量部 トルエン 500重量部 このバック塗料を、非磁性支持体の上層及び下層を形成
した側と反対側の面に、0.5μmの塗布厚で塗布する
ことでバックコート層を形成した。
【0077】そして、この上層、下層及びバックコート
層が形成されたテープ原反を、8mm幅にスリットする
ことでテープ化した。
【0078】実験例2〜実験例17 研磨剤の一次粒子での平均粒径,添加量及び研磨剤塗料
中での平均粒径と上層の厚さを表1に示すように変えた
こと以外は実験例1と同様にして磁気テープを作製し
た。
【0079】以上のようにして実験例1〜実験例17で
作製された磁気テープについて、表面粗さRa、電磁変
換特性、ヘッドクロッグ及び走行耐久性を調査した。
【0080】なお、電磁変換特性の測定は、固定ヘッド
式電磁変換特性測定機を用いて行った。この測定機は、
回転するドラムとこれに接触するヘッドから構成されて
おり、測定が行われる磁気テープは回転ドラムに巻き付
けられ、ヘッドに対して摺動させられる。ここでは、こ
の測定機によって、磁気テープに、最適記録電流で10
MHzの矩形波信号を記録し、この10MHz信号の出
力レベルをスペクトラムアナライザーによって検出する
ことで電磁変換特性を評価した。測定に際して、テープ
−ヘッド間の相対速度は3.33m/秒とした。また、
出力は、リファレンス(ソニー社製 8mmHi8テー
プ)を0dBとしたときの相対値として記録した。
【0081】走行耐久性試験は、常温常湿中、ドライブ
(エクサバイト社製 商品名EXB−8500)上で、
磁気テープを繰り返し走行させることで評価した。具体
的には、磁気テープに、3200ブロックにわたってデ
ータを書き込んだ後、リワインドして始めの書き込み位
置に戻り、さらに書き込んだデータを読み出し、再びリ
ワインドして始めの書き込み位置に戻るといった操作を
1パスとして繰り返し、ダメージが観察され始めたパス
回数を調べた。なお、このパス回数は1000回を上限
とした。
【0082】ヘッドクロッグは、温度45℃相対湿度3
0%の環境下、ドライブ(EX−8500)上で、磁気
テープを500回走行させ、その走行に際して、エラー
レートが5%を越えた回数(ヘッドクロッグの発生回
数)を測定することで評価した。但し、エラーレートが
上昇すると、瞬時に回復する場合を除いてドライブが停
止してしまうので、そのような場合には、ヘッドをクリ
ーニングした後、再度ドライブを始動させ、測定を行っ
た。
【0083】また、表面粗さRaは、JIS B 06
01で規定される中心線平均粗さRaであり、光干渉方
式による非接触型表面粗さ計を用いて測定した。
【0084】これらの測定結果を、研磨剤の添加条件と
併せて表1,表2に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】表1,表2から明らかなように、一次粒子
での平均粒径及び研磨剤塗料中での平均粒径が上層の厚
さより小さい研磨剤を、強磁性粉末100重量部に対し
て3〜15重量部の割合で上層に添加した実験例1〜実
験例10の磁気テープは、いずれも良好な表面性を有し
ており、優れた電磁変換特性,走行耐久性が得られる。
また、ヘッドクロッグも十分に抑えられている。
【0088】これに対して、実験例11の磁気テープ
は、研磨剤塗料中での研磨剤の分散が不十分であること
から、表面性が悪く、そのため出力が低い値になってい
る。また、実験例12の磁気テープは、研磨剤塗料中で
の研磨剤の分散が不十分であるとともに研磨剤の添加量
が少ないことから、ヘッドに対する研磨力が小さくヘッ
ドクロッグが発生する。また表面の平滑さも劣ってい
る。実験例13の磁気テープは、研磨剤の分散がさらに
不十分であることから、走行中に研磨剤が多く脱落し、
やはりヘッドクロッグが発生する。そして、実験例14
及び実験例16の磁気テープは、研磨剤量が多過ぎるこ
とから、十分な出力が得られず、一方、実験例15の磁
気テープは、研磨剤量が少な過ぎることから、電磁変換
特性は高いものの、走行試験においてテープの損傷が大
きく、耐久性が不十分である。また、実験例17の磁気
テープは、研磨剤を粉体の状態で磁性塗料に添加してい
ることから、その分散が不十分であり、表面性が劣って
いる。
【0089】以上のことから、重層塗布型の磁気記録媒
体において、上層に添加する研磨剤の一次粒子での平均
粒径、研磨剤塗料中での平均粒径及び添加量を規制する
ことは、電磁変換特性及び走行耐久性に優れた磁気テー
プを得る上で有効であることが確認された。
【0090】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の磁気記録媒体は、重層塗布型の構成であり、上層の
厚み、上層に含まれる研磨剤の一次粒子での平均粒径及
びモース硬度が規制されているので、高密度記録に対応
する良好な電磁変換特性が得られ、走行耐久性に優れる
とともに、ヘッドクロッグが十分に抑えられ、高い信頼
性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】下層用塗料、上層用塗料を塗布するための塗布
装置を示す模式図である。
【図2】本発明を適用した磁気記録媒体の一構成例を示
す概略断面図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体 2 上層磁性層 3 バックコート層 4 下層非磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 和男 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、顔料粉末を結合剤中
    に分散せしめてなる下層が形成され、この下層上に強磁
    性粉末及び研磨剤を結合剤中に分散せしめてなる上層が
    形成されて構成される磁気記録媒体において、 上記上層は、厚みが0.5μm以下であり、この上層に
    含まれる研磨剤は、モース硬度が6以上であり、一次粒
    子での平均粒径が当該上層の厚みよりも小さいことを特
    徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 下層に含有される顔料粉末が、非磁性顔
    料粉末であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録
    媒体。
  3. 【請求項3】 上層に含有される研磨剤の量が、強磁性
    粉末100重量部に対して3重量部以上15重量部以下
    であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 非磁性支持体上に、下層用塗料及び上層
    用塗料を塗布することで上層及び下層を形成するに際し
    て、 上記上層用塗料は、強磁性粉末と結合剤よりなる磁性塗
    料に、研磨剤と結合剤よりなる研磨剤塗料を添加してな
    るものであり、前記研磨剤塗料中での研磨剤の平均粒径
    が上層の厚みよりも小さいことを特徴とする磁気記録媒
    体の製造方法。
JP7254246A 1995-09-29 1995-09-29 磁気記録媒体及びその製造方法 Withdrawn JPH0997415A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002092851A (ja) * 2000-09-14 2002-03-29 Sony Corp 磁気記録媒体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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