JPH0987463A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0987463A
JPH0987463A JP24617795A JP24617795A JPH0987463A JP H0987463 A JPH0987463 A JP H0987463A JP 24617795 A JP24617795 A JP 24617795A JP 24617795 A JP24617795 A JP 24617795A JP H0987463 A JPH0987463 A JP H0987463A
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JP
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rubber
resin composition
weight
resin
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JP24617795A
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Inventor
Yoshihiro Takemoto
欣弘 竹本
Eiji Ueda
英二 上田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、優れた機械的強度、成形加工性、
リサイクル性を持つ、熱可塑性樹脂組成物を提供する。
さらに難然性樹脂のベース樹脂として用いても、優れた
機械的強度、加工流動性、機械的強度バランスが得られ
る。 【解決の手段】 ポリカーボネート樹脂(A)40〜9
0重量部および、ゴム状重合体に1種以上のビニル化合
物をグラフト共重合するグラフト共重合体を含むゴム強
化樹脂5〜60重量部からなる熱可塑性樹脂組成物にお
いて、240℃における成分(B)に対する成分(A)
の粘度比rと、せん断速度ω( s-1) の関係が下記式の
範囲であり、 1×101 ≦ω≦1×104 のとき 1≦r≦10 かつ、成分(A)の重量分率Xと成分(A)相の平均面
積Y(μm2 ) 、および成分(B)の平均面積Z( μm
2 ) の関係が下記式の範囲であることを特徴とする熱可
塑性樹脂組成物。 0.4≦X≦0.7のとき 1≦Y≦300 または、1≦Z≦300 および、 0.7<X≦0.9のとき Z≦1

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた機械的強
度、成形加工性、リサイクル性を持ち、さらに難然性樹
脂のベース樹脂として用いても、優れた機械的強度、加
工流動性、機械的強度バランスを得られる熱可塑性樹脂
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】元来、ポリカーボネート樹脂とABS樹
脂等のゴム強化樹脂からなる組成物は、ポリカーボネー
ト樹脂相とゴム強化樹脂相に相分離している。これらの
ブレンド組成物は、こうした相分離構造にも関わらずあ
る程度の機械的強度を有しているため、優れた耐熱性を
生かして、電気製品、コンピュータやワープロなどのO
A機器のハウジング材として幅広く利用されている。こ
うした用途では、加工流動性、機械的強度、耐熱性等が
優れていることが要求され、さらに、規制の強化により
難燃性も要求されている。このため、少ない難燃剤添加
量でも難然化できるベース樹脂が待望されている。ま
た、最近は、資源の有効な利用という点でこうしたブレ
ンド組成物もリサイクル性を要求されることが多い。一
般に、リサイクルした樹脂は、機械的強度が低下する傾
向にあるため、リサイクルする際にはバージンレジンの
量を増すなどの機械的強度の低下を補う工夫が必要であ
った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリカーボ
ネート樹脂とゴム強化樹脂からなる組成物において、優
れた機械的強度、加工流動性、耐熱性、リサイクル性を
有し、さらに難燃性樹脂のベース樹脂としても優れた性
能を有する熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリカー
ボネート樹脂とゴム強化樹脂からなる樹脂組成物におい
て、特定の温度および、せん断速度における両者の粘度
比と電子顕微鏡で見た特定の組成における、ポリカーボ
ネート樹脂相およびゴム強化樹脂相の平均面積がある特
定の範囲にある熱可塑性組成物が、優れた耐衝撃性、成
形加工性、リサイクル性を持ち、さらに難然性樹脂組成
物に用いられるベース樹脂としても優れた難燃性、機械
的物性バランスを得られることを見いだし本発明に至っ
た。すなわち本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)4
0〜90重量部および、ゴム状重合体に1種以上のビニ
ル化合物をグラフト共重合するグラフト共重合体を含む
ゴム強化樹脂5〜60重量部からなる熱可塑性樹脂組成
物において、240℃における成分(B)に対する成分
(A)の粘度比rと、せん断速度ω( s-1) の関係が下
記式の範囲であり、 1×101 ≦ω≦1×104 のとき 1≦r≦10 かつ、成分(A)の重量分率Xと電子顕微鏡で見た成分
(A)相の平均面積Y(μm2 ) 、および成分(B)の
平均面積Z( μm2 ) の関係が下記式の範囲であること
を特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
【0005】0.4≦X≦0.7のとき 1≦Y≦300 または、1≦Z≦300 および、 0.7<X≦0.9のとき Z≦1 以下本発明を詳細に説明する。まず本発明における、せ
ん断速度ωおよび粘度比rについて述べる。せん断測度
ωは、動的粘弾性を測定する際の角周波数である。動的
粘弾性の測定は、例えば、樹脂をある温度Tで溶融して
平板状にしたものを平行円盤に挟み、ωの角周波数で周
期的なせん断歪みを与えた場合の応力の変化を粘度とし
て測定するもので、異なるωに対する粘度を測定する。
こうして測定された、ある温度、あるωにおける粘度−
角周波数のグラフは、一般に別な温度、別なωにおける
粘度−角周波数の関係と、温度−時間交換則にしたが
い、移動因子aT を介して移動して重ね合わせることが
できるため、より広いωの範囲での測定が可能である。
こうした粘弾性の測定は、例えば、レオメトリクス社の
動的粘弾性測定装置RDIIにおいて、パラレルプレー
ト治具を用いて測定が可能である。
【0006】本発明でいう粘度比rは、ポリカーボネー
ト樹脂とゴム強化樹脂の各々について240℃の条件下
で測定した粘度の比を下記式にて定義している。 r=(ポリカーボネート樹脂の粘度)/(ゴム強化樹脂
の粘度) 本発明においてωとrの関係は、 1×101 ≦ω≦1×104 のとき 1≦r≦10 である。rが1未満の時、機械的強度、および熱安定性
が低下する。また、rが10を越える場合は、加工流動
性が低下する。好ましくは該ωの範囲で1≦r≦6であ
る。
【0007】本発明における成分(A)の重量分率は、
下記式により定義される。 X=(ポリカーボネート樹脂の重量部)/(ポリカーボ
ネート樹脂の重量部+ゴム強化樹脂の重量部)。 また、成分(A)相および成分(B)相の平均面積と
は、熱可塑性樹脂組成物中で相分離している成分(A)
および成分(B)相のドメインの大きさの平均値であり
後述するように、具体的には熱可塑性樹脂組成物および
成形体の超薄切片中の相分離の状態を電子顕微鏡で観察
して求めることができる。図1はこの電子顕微鏡写真を
模式化した図であり、1が分散している成分(B)相を
2が連続相である成分(A)相を示している。この場
合、平均面積とは、各々の分散している成分(B)の斜
線部分の面積を測定した平均値である。電子顕微鏡写真
における面積の測定は、画像解析装置等を用いることが
できる。具体的には旭化成工業社製IP−1000等の
測定装置を用いて測定することができる。
【0008】本発明における、成分(A)の重量分率X
と成分(A)相の平均面積Y(μm 2 ) 、および成分
(B)の平均面積Z( μm2 ) の関係は下記式の範囲で
ある。 0.4≦X≦0.7のとき 1≦Y≦300 または、1≦Z≦300 および、 0.7<X≦0.9のとき Z≦1 XおよびYが上記の範囲外の場合、機械的強度が低下す
る。好ましくは、 0.4≦X≦0.7のとき 1≦Y≦100 または、1≦Z≦100 および、 0.7<X≦0.9のとき Z≦0.8 である。
【0009】本発明における、流動の活性化エネルギー
ΔH(Jmol -1K -1) とは、動的粘弾性の測定で得られる
移動因子aT と測定温度の逆数1/Tの一般的な関係で
ある下記式から求められる。 log(aT )=ΔH/2.303R(1/T)+A0 (ここで、Rは気体定数、Tは絶対温度、A0 は任意の
定数である。) すなわち、本発明における流動の活性化エネルギーΔH
は、動的粘弾性の測定から得られる温度Tと移動因子の
常用対数log(aT )の各々の値をプロットした直線
の傾きに2.303Rを掛けて得られる。
【0010】流動の活性化エネルギーの好ましい範囲
は、 1.2×105 ≦ΔH≦1.8×105 である。次に本発明の熱可塑性樹脂組成物の成分につい
て述べる、本発明に用いられるポリカーボネート樹脂
は、好ましくは2価フェノールとホスゲンまたは、炭酸
ジエステルの反応により製造されるものである。2価フ
ェノールとしては、ビスフェノール類が好ましく、特に
2,2−ビス(4ーヒドロキシフェニル)プロパン(以
下ビスフェノールAと記す)が好ましい。また、ビスフ
ェノールAの一部または、全部を他の2価フェノール化
合物で置換してもよい。ビスフェノールA以外の2価フ
ェノール化合物は、例えば、ハイドロキノン、4,4ジ
ヒドロキシジフェニル,ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルフィド,ビス(4−ヒドロキシフェニル)スル
フォン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどの
化合物である。これらの2価フェノールのホモポリマ
ー、または、2種以上のコポリマーあるいは、これらの
ブレンド品であってもよい。
【0011】ポリカーボネート樹脂成分(A)とゴム強
化樹脂(B)の割合は、必要とする機械的強度、剛性、
成形加工性、耐熱性に応じて決められる。好ましくは、
成分(A)が45〜90重量%、成分(B)が55〜1
0重量%であり、さらに好ましくは、成分(A)が60
〜85重量%、成分(B)が40〜15重量%である。
【0012】本発明におけるゴム強化樹脂(B)とは、
ゴム状重合体に1種以上のビニル化合物をグラフト共重
合するグラフト共重合体を含むゴム強化樹脂である。本
発明におけるゴム状重合体としては、ガラス転移温度が
0℃以下のものであれば用いることができる。具体的に
はポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、
アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム等のジエン系
ゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、ポリ
イソプレン、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレン
ゴム、エチレン−プロピレンージエン三元共重合ゴム、
スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−
イソプレンブロック共重合ゴム等のブロック共重合体お
よびそれらの水素添加物等を使用することができる。こ
れらの重合体の中で、好ましくは、ポリブタジエン、ス
チレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブ
タジエン共重合ゴム、ポリアクリル酸ブチル等が挙げら
れる。ゴム強化樹脂中のゴム状重合体の割合は、1重量
%〜95重量%の範囲で用いられるが、必要とする機械
的強度、剛性、成形加工性に応じて決められる。好まし
くは、5〜80重量%であり、より好ましくは10〜7
5重量%である。
【0013】ゴム状重合体にグラフト共重合させるビニ
ル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、パ
ラメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルメタ
クリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、エチルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリ
レート類、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)ア
クリル酸類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル
等のシアン化ビニル単量体、無水マレイン酸等のα,β
−不飽和カルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メ
チルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマ
レイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリ
シジル基含有単量体があげられるが、好ましくは、芳香
族ビニル化合物、アルキル(メタ)アクリレート類、シ
アン化ビニル単量体、マレイミド系単量体であり、さら
に好ましくは、スチレン、アクリロニトリル、N−フェ
ニルマレイミド、ブチルアクリレートである。これらの
ビニル化合物は単独あるいは2種以上を組み合わせて用
いることができる。好ましくは、芳香族ビニル化合物と
芳香族以外のビニル化合物の組み合わせである。この場
合、芳香族ビニル化合物と芳香族以外のビニル化合物は
任意の割合で用いられるが、芳香族以外のビニル化合物
の好ましい割合は、5〜80重量%の範囲である。
【0014】グラフト共重合体の製造過程で生成するゴ
ム状重合体にグラフトした成分の割合は、重合反応によ
り生成した重合体をアセトンに溶解し不溶分を遠心分離
器で分離除去することによって測定することができる。
アセトンに溶解する成分は、重合反応した共重合体のう
ちグラフト反応しなかった成分(非グラフト成分)であ
り、アセトン不溶分からゴム状重合体の量を差し引いた
値がグラフト成分の値として定義される。グラフト成分
の割合として好ましくは、ゴム状重合体を100重量部
として、10〜80重量部であり、より好ましくは、2
0〜60重量部である。
【0015】上記グラフト共重合体の製造方法として
は、特に限定はされないが、乳化重合で製造されたゴム
状重合体ラテックスにビニル化合物をグラフト重合させ
る乳化グラフト重合方式、連続式、バッチ式、セミバッ
チ式いずれも可能である。本発明においては、乳化重合
で製造されたゴム状重合体にビニル化合物を開始剤、分
子量調節剤等とともに連続的に添加する乳化グラフト方
式が特に好ましい。重合時におけるpHは、アルカリ
性、中性、酸性のいずれの条件でも可能であるが、好ま
しくは中性およびアルカリ性である。
【0016】本発明のゴム強化樹脂(B)は、グラフト
重合体を製造する過程で生成する、ゴム状重合体にグラ
フトしていない成分を含んでもよい。ゴム強化樹脂
(B)の製造方法は通常の方法、例えば、乳化重合によ
り、グラフト重合体とグラフト重合しないビニル共重合
体を同時に作り、そのゴム強化樹脂ラテックスから凝固
剤を用いて固形分を凝固させる方法、また乳化重合によ
りゴム状重合体の割合の高い、グラフト重合体とビニル
共重合体の混合物(以下GRCと略することがある)の
ラテックスを製造し、上記と同様に凝固剤を用いて固形
分を凝固し、別に塊状重合、乳化重合や懸濁重合等で製
造したビニル共重合体とともに配合して目的のゴム含有
量にする方法もとられる。この場合のビニル共重合体
は、非晶性、結晶性の限定はないが、好ましくは上記芳
香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸
エステルやメタクリル酸エステルを少なくとも1種類含
むものが好ましい。より好ましくは、成分のうち少なく
とも1種類がブチルアクリレートである場合である。
【0017】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、酸化チ
タン等の顔料、ガラス繊維、カーボン繊維、マイカ等の
フィラーおよび充填剤、酸化防止剤、安定剤、帯電防止
剤、シリコーンオイル、低分子量のポリテトラフルオロ
エチレン等の潤滑剤、離型剤、リン酸エステル、ハロゲ
ン含有化合物等の難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化ア
ンチモン等の難燃助剤、シリコーン化合物、高分子量の
ポリテトラフルオロエチレン等の滴下防止剤、分散剤、
可塑剤等のような慣用の添加剤を含むことが出来る。
【0018】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は
特に限定されないが、通常の方法、例えば、混練機、押
出機、バンバリーミキサー、ニーダー等によるメルトブ
レンド等、溶液ブレンド等を用いることができる。好ま
しくは、押出機によるメルトブレンドであり、押出機の
スクリューパターンとしては、例えば図2にあげるスク
リューパターンがあげられる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下実施例により本発明を具体的
に説明する。以下に用いる部数は重量部である。本発明
の実施例における測定方法は以下の通りである。アイゾ
ット衝撃値は、ASTM D256に基づく測定で、試
験片の厚さは、3.2mm、ノッチ付きである。数値の
単位は、kg・cm/cmである。表中の()内は、測
定した温度を示す。
【0020】メルトフローレートは、JIS K721
0に基づく測定で、測定温度は220℃、荷重は10k
gである。数値の単位は、g/10分である。加熱変形
温度は、ASTM D648に基づく測定で、数値の単
位は℃である。リサイクル性は、実施例および比較例に
記載する方法にて得られたペレットを再び同条件にて押
出機で押出しペレットを得る。これを3回繰り返した後
のペレットから射出成形にて試験片を得て、アイゾット
衝撃強度の保持率(再押出前の値を100%とする押出
3回目後の値)で評価した。アイゾット衝撃値の保持率
が高いほどリサイクル性が優れている。
【0021】難燃性は、UL94規格垂直燃焼試験(厚
み1/12インチおよび1/16インチ)に基づく試験
で評価した。粘度の測定は、DAYNAMIC ANALAYZER RADI
I(レオメトリクス社製)において、25mmパラレル
プレート、プレートギャップ2mm、ひずみ10%で、
温度200℃〜280℃の条件で、各周波数ωが0.1
〜500で測定し、各温度の粘度−各周波数のグラフを
重ね合わせ、標準温度240℃におけるマスターカーブ
作成して、粘度−各周波数の関係から1×101 ≦ω≦
1×104 の範囲における粘度比rの最大値および最小
値を(2)式に従い求めた。また、マスターカーブの作
成に用いた移動因子aT と測定温度の逆数をプロットし
たグラフ上の点を、(3)式に基づき近似した直線の傾
きから流動の活性化エネルギーΔHを求めた。測定した
試料は、下記の方法で得られた実施例および比較例に示
した組成物を220℃で圧縮成形した平板から切り出し
た。
【0022】ドメインの大きさは、実施例および比較例
の組成物を、四酸化オスミウムで染色しウルトラミクロ
トームにて超薄切片作成後、透過型電子顕微鏡にて観
察、撮影した。超薄切片の厚さは60nmとした。電子
顕微鏡写真の解析には、画像解析装置IP−1000
(旭化成工業(株)社製)を用い、ドメインの平均面積
を測定した。具体的には、ゴム強化樹脂の相とポリカー
ボネート樹脂の相の界面を抽出して分散している相を選
択し(ポリカーボネート樹脂が50重量部を越える場合
は、ゴム強化樹脂相を選択し、ポリカーボネート樹脂が
50重量部以下の場合はポリカーボネート樹脂相を選択
した)上記画像解析装置を用いて、図1の例に示すよう
に斜線部分(1)の大きさを各求め平均値を計算した。
単位はμm2 である。測定した分散相の個数は30〜4
0個である。表中では、選択した相の成分と平均面積を
示した。
【0023】
【実施例1〜4および比較例1〜2】ポリブタジエンゴ
ムラテックス(CN WOOD(株)社製 MODEL
−6000型によって測定した重量平均粒子径300n
m)40部に、脱イオン水100部を10リットル反応
器に入れ、気相部を窒素置換した後、この初期溶液を7
0℃に昇温した。次に、以下に示す組成からなる水溶液
(1)と単量体混合液(2)を反応器に8時間にわたり
連続的に添加し重合した。添加終了後、1時間温度を保
ち、反応を完結させた。水溶液(1)の組成は次の通り
である。 硫酸第一鉄 0.005部 ソジウムホルムアルデヒドスルホキシラート(SFS) 0.1部 エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム (EDTA) 0.05部 脱イオン水 50部 単量体混合液(2)の組成は次のとおりである。 アクリロニトリル 15部 スチレン 40部 t−ドデシルメルカプタン(t−DM) 0.8部 クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.1部 このようにして得られたABSラテックスに、酸化防止
剤を添加した後、塩化カルシウムをポリマーに対し1.
0部加え、凝固させた。凝固時のpHは、9.5であっ
た。さらに、脱水、水洗を行った後、乾燥させ、別に製
造したビニル共重合体(IRスペクトルより、アクリロ
ニトリル30重量%、スチレン70重量%、またメチル
エチルケトン中で測定した極限粘度(メチルエチルケト
ン100ml中に共重合体を0.5g溶解した溶液、3
0℃)は0.39)とともに、ゴム強化樹脂中のゴム状
重合体の含有量が30重量部となるように配合してペレ
ット(B−1)を得た。具体的には、図2のスクリュー
パターンの30mm押出機(池貝社製PCM−30)に
てペレットを得た。
【0024】さらに、重量平均分子量24,500のポ
リカーボネート樹脂(A−1)を表1の割合で混合し、
同様に30mm押出機(池貝社製PCM−30)にてペ
レットを得た。
【0025】
【実施例5〜9】実施例1〜4のビニル共重合体を、ア
クリロニトリル30重量%、ブチルアクリレートが10
重量%、スチレン60重量%、またメチルエチルケトン
中で測定した極限粘度(メチルエチルケトン100ml
中に共重合体を0.5g溶解した溶液、30℃)が0.
39としてゴム強化樹脂(B−2)を得た以外は実施例
1〜4と同様にしてペレットを得た。
【0026】
【比較例3】実施例1〜4のポリカーボネート樹脂
(E)を重量平均分子量42,000とした以外は実施
例1〜4と同様にしてペレットを得た。
【0027】
【比較例4〜5】実施例1〜4のビニル共重合体をアク
リロニトリル30重量%、スチレン70重量%、またメ
チルエチルケトン中で測定した極限粘度(メチルエチル
ケトン100ml中に共重合体を0.5g溶解した溶
液、30℃)が0.23とし、ゴム強化樹脂中のゴム状
重合体の含有量が20重量部となるように配合してゴム
強化樹脂(F)を得た以外は、実施例1〜4と同様にし
てペレットを得た。
【0028】以上の様に調整した樹脂を評価した結果を
表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【実施例10〜11、比較例6〜7】実施例および比較
例に用いた樹脂をベースにして、難燃剤としてトリフェ
ニルホスフェート、滴下防止剤としてポリテトラフルオ
ロエチレン(PTFE)を表2の組成で配合し、図2の
スクリューパターンの30mm押出機(池貝社製PCM
−30)にてペレットを得た。特性を評価した結果を表
2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、優れた
機械的強度、成形加工性、リサイクル性を持ち、さらに
難然性樹脂のベース樹脂として用いても、優れた、機械
的強度、加工流動性、難燃性バランスが得られる。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明における相分離した成分の相の平均面積
を求める電子顕微鏡写真の具体的な模式図である。図中
1はゴム強化樹脂相を2はポリカーボネート樹脂相を表
しており、平均面積とは斜線部分の各々の面積の平均値
である。
【0035】
【図2】本発明における熱可塑性樹脂組成物を押し出し
て製造する場合の押出機のスクリューパターンの具体例
を示している。同方向、スクリュー径30mmの押出機
(池貝社製PCM−30)各スクリューパーツは独立し
ており、組み替えて混練の強さを変えることができる。
図中の押出機下の数字は、押出の際の設定温度を示して
いる。また、押出機上の文字は、ベント口の状態を示し
ている。押出機下にあげたスクリューパーツの模式図は
押出機内のパーツに対応している。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリカーボネート樹脂(A)40〜90重
    量部および、ゴム状重合体に1種以上のビニル化合物を
    グラフト共重合するグラフト共重合体を含むゴム強化樹
    脂5〜60重量部からなる熱可塑性樹脂組成物におい
    て、240℃における成分(B)に対する成分(A)の
    粘度比rと、せん断速度ω(s-1)の関係が下記式の範
    囲であり、 1×101 ≦ω≦1×104 のとき 1≦r≦10 かつ、成分(A)の重量分率Xと電子顕微鏡写真で見た
    成分(A)相の平均面積Y(μm2 )、および成分
    (B)の平均面積Z(μm2 )の関係が下記式の範囲で
    あることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 0.4≦X≦0.7のとき 1≦Y≦300 または、1≦Z≦300 および、 0.7<X≦0.9のとき Z≦1
  2. 【請求項2】流動の活性化エネルギーΔH(Jmol -1K
    -1) の値が、 1.2×105 ≦ΔH≦1.8×105 の範囲であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性
    樹脂組成物。
  3. 【請求項3】請求項1記載のゴム強化樹脂が、ブチルア
    クリレートと1種以上のビニル化合物を共重合したビニ
    ル共重合体を含む請求項1および2記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】請求項1、2および3記載の熱可塑性樹脂
    組成物からなる成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006257401A (ja) * 2005-02-15 2006-09-28 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品

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