JPH0985587A - 回転切削工具による切削状態の検出装置および検出方法 - Google Patents

回転切削工具による切削状態の検出装置および検出方法

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JPH0985587A
JPH0985587A JP7251648A JP25164895A JPH0985587A JP H0985587 A JPH0985587 A JP H0985587A JP 7251648 A JP7251648 A JP 7251648A JP 25164895 A JP25164895 A JP 25164895A JP H0985587 A JPH0985587 A JP H0985587A
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JP
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cutting
power spectrum
value
torque
tool
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JP7251648A
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Inventor
Hiroo Ozeki
宏夫 大関
Akihiro Masune
昭洋 増根
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切削条件やノイズ等に関わらず、正確かつ確
実に工具系の固有振動成分におけるパワースペクトル値
を検出し、これに基づいて工具摩耗量等の切削状態の変
化を正確に把握して高精度の検出を行う。 【解決手段】 エンドミル11に作用する切削トルクを
磁歪式トルクセンサ24によって測定し、この切削トル
クから、工具系の固有振動成分近傍のパワースペクトル
値を、FFTプロセッサ29によって算出する。また、
こうして得られたパワースペクトル値を、比較装置30
において、記憶装置32に予め設定されて記憶されたパ
ワースペクトル値の閾値と比較し、パワースペクトル値
が閾値を越えた場合には、工作機械の制御装置31に警
告信号を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンドミルやドリ
ル等の回転切削工具を用いた切削加工において、工具摩
耗等による切削状態の変化を監視するための回転切削工
具による切削状態の検出装置および検出方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような切削状態の検出装置お
よび検出方法としては、AE(アコースティック・エミ
ッション)センサを用いたものが知られている。これ
は、例えば図7に示すように、エンドミル1等の回転切
削工具により切削される被加工物WにAEセンサ2を取
り付け、その検出信号を、AEアンプ3からローパスフ
ィルタ4、A/D変換器5等を介してコンピュータ等の
処理装置6に入力し、ここで周波数領域分析して工具摩
耗などの加工異常と関連する情報を抽出し、切削状態の
検出を行おうとするものである。なお、図中に符号7で
示すのは、上記被加工物Wと工作機械のベッドとの間に
介装される動力計であり、この動力計7からの出力信号
は、チャージアンプ8によってXYZ成分に分解され、
AEセンサ2からの検出信号と同様に、上記ローパスフ
ィルタ4、A/D変換器5を介して処理装置6に入力さ
れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなAEセンサ2による切削状態の検出では、AEセン
サ2の取り付け位置や、被加工物Wの形状などによって
その検出信号の出力が変化し、これに伴って加工の異常
を検出する周波数の範囲なども変化する。このため、こ
れに対応して抽出する周波数や切削状態を判別するため
の閾値などを設定し直す必要があり、検出作業が甚だ煩
雑となることは避けられなかった。また、その一方、こ
の種の回転切削工具による加工では、切削状態を変動さ
せる要因の一つである工具の摩耗の進行に伴い、工具系
の固有振動数と同じ周波数の振動が増加することが知ら
れているが、上述のような被加工物Wに取り付けたAE
センサ2による検出では、工具摩耗による振動数の増加
に比べ、他の要因による振動に伴うノイズが大きく、こ
の結果工具の摩耗に起因する切削状態の変動を正確に検
出することはきわめて困難となる。
【0004】例えば図8(a)〜(d)は、図7に示し
た構成の検出装置を用いて、超硬合金製の切刃を有する
外径10mmの一枚刃のエンドミル1によってニッケルク
ロムモリブデン鋼材(SNCM439)よりなる被加工
物Wの肩削り切削を行った場合のAEセンサ2からの出
力を、エンドミル1の切刃の逃げ面摩耗幅VBごとに示
したものであり、図9(a)〜(d)は、この図8の結
果から、上記AEセンサ2の検出信号に含まれる振動成
分の周波数とそのパワースペクトル値との関係を、各逃
げ面摩耗幅VBごとに示したものであって、この時の工
具系の固有振動数は4.3kHzだったのであるが、図9に
示されるように、AEセンサ2による検出では、この固
有振動数の周波数域の振動は検出することができなかっ
た。ただし、この図8および図9に示した肩削り切削の
切削条件は、以下の通りである。 ・切削速度:150m/min (主軸回転数 3000r.
p.m.) ・送り :0.05mm/rev ・切り込み:4.0mm ・切削幅 :2.0mm ・ダウンカット、乾式切削
【0005】本発明は、このような事情を鑑みてなされ
たもので、被加工物の形状などの相異やノイズなどに関
わらず、工具系の固有振動成分の正確な検出が可能であ
り、これによって工具摩耗等の切削状態の変化を確実に
把握することが可能な回転切削工具による切削状態の検
出装置および検出方法を提供することを目的としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決して、こ
のような目的を達成するために、本発明の請求項1に係
る検出装置は、回転切削工具に作用する切削トルクを磁
歪式トルクセンサによって測定する測定手段と、この測
定手段によって測定された切削トルクから工具系の固有
振動成分近傍のパワースペクトル値を算出する第1の演
算手段とを備えて成るものであり、また請求項4に係る
検出方法は、このような検出装置を用いて、回転切削工
具に作用する切削トルクを磁歪式トルクセンサによって
測定し、この測定結果から工具系の固有振動成分近傍の
パワースペクトル値を算出するものである。しかるに、
本発明によれば、磁歪式トルクセンサによって回転切削
工具に作用する切削トルクを直接的かつ非接触に測定す
ることができるので、被加工物の形状に関わらず、また
ノイズの影響を受けることなく、この測定結果から工具
系の固有振動成分を正確に検出することができ、これに
基づいて算出されるパワースペクトル値から工具摩耗等
の切削状態の変動を確実に把握することができる。
【0007】ここで、本発明の請求項2に係る検出装置
によれば、上記請求項1に係る検出装置において第1の
演算手段によって算出されたパワースペクトル値を、予
め設定されたパワースペクトル値の閾値と比較する第1
の比較手段を備えることにより、また請求項5に係る検
出方法によれば、上記請求項4に係る検出方法におい
て、算出された上記パワースペクトル値を、予め設定さ
れたパワースペクトル値の閾値と比較することにより、
この閾値を、算出されたパワースペクトル値が越えた場
合には、工具摩耗等によって切削状態が所定の危険域に
達したものと判断して切削の中断等を促すことができ
る。
【0008】一方、本発明の請求項3に係る検出装置
は、上記請求項2に係る検出装置において、上記測定手
段によって測定された切削トルクを、回転切削工具の所
定回転回数当たりの時間で積分して切削トルク積分値を
算出する第2の演算手段と、この第2の演算手段によっ
て算出された切削トルク積分値を、予め設定された切削
トルク積分値の閾値と比較する第2の比較手段と、上記
第1の比較手段による比較結果とこの第2の比較手段に
よる比較結果とに基づいて警告信号を出力する出力手段
とを備えて成るものであり、また本発明の請求項6に係
る検出方法は、上記請求項5に係る検出方法において、
上記磁歪式トルクセンサによって測定された切削トルク
を、回転切削工具の所定回転回数当たりの時間で積分し
て切削トルク積分値を算出し、この切削トルク積分値
を、予め設定された切削トルク積分値の閾値と比較する
とともに、上記パワースペクトル値とその閾値との比較
結果と、この切削トルク積分値とその閾値との比較結果
とに基づいて、警告信号を出力するものである。しかる
に、このような構成を採ることにより、切削トルク自体
の変化は僅かな場合であっても、切削トルク積分値とし
てはその変化を確実に検出することが可能となる一方、
びびり振動等による瞬間的な切削トルクの増大は、その
作用時間が極短くて切削トルク積分値に与える影響が少
ないため、これが工具摩耗等によるものとして検出され
るのを防ぐことができるので、上述のパワースペクトル
値による検出を補完して、より正確な切削状態の検出を
図ることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図1を用いて、本発明の検
出装置の一実施形態、および該検出装置を用いて行われ
る本発明の検出方法の一実施形態について説明する。こ
の図1において符号11で示すのは、本実施形態におけ
る回転切削工具としての一枚刃のスローアウェイ式エン
ドミルであり、このエンドミル11は、その基端部がホ
ルダ12によって保持され、さらにこのホルダ12が工
作機械の主軸13に取り付けられることにより、これら
ホルダ12および主軸13とともにその軸線O回りに回
転されつつ該軸線Oおよび該軸線Oに直交する送り方向
に送られ、該エンドミル11の先端に取り付けられたス
ローアウェイチップ14の切刃15によって、工作機械
のテーブル16上に載置された被加工物Wの切削を行
う。一方、上記ホルダ12の先端部には円筒壁状の延出
部12aが形成されており、この延出部12aと該延出
部12aに収容されるエンドミル11の胴周部との間に
は、工作機械の主軸頭17から延びるアーム18に連結
された円筒状の支持体19がベアリング20…を介して
介装されていて、これによりこの支持体19は、一体に
回転するエンドミル11およびホルダ12に対しては相
対的に回転可能に、かつ主軸頭17に対しては固定的に
支持される。
【0010】そして、上記エンドミル11の胴周部に
は、Fe−Ni−Mo−Bよりなる磁歪膜をプラズマ溶
射法を用いて成膜してなる磁歪層21…,22…が形成
されており、一方これらの磁歪層21…,22…に対向
する上記支持体19の内周部には、一対のコイル23,
23が軸線O方向に並んでエンドミル11の胴周部を取
り囲むように配設されていて、これら磁歪層21…,2
2…とコイル23,23とにより、本実施形態における
測定手段としての磁歪式トルクセンサ24が構成されて
いる。ここで本実施形態では、図1に示されるように上
記磁歪層21…,22…は軸線O方向に対してそれぞれ
±45°の方向に螺旋状に形成されて形状異方性が付与
されており、切削時にエンドミル11に切削トルクが印
加されて捩れの応力が作用すると、磁歪層21…,22
…には互いに引張応力と圧縮応力とが発生してその透磁
率が変化し、これに比例してコイル23,23の自己イ
ンダクタンスも変化するため、これら二つのコイル2
3,23のインダクタンスの差からエンドミル11に印
加された切削トルクが測定される。
【0011】一方、上記コイル23,23は、上記アー
ム18に内蔵されたプリアンプ25を介してセンサアン
プ26に接続されており、このセンサアンプ26は、さ
らにバンドパスフィルタ27およびA/D変換器28を
介して、本実施形態における第1の演算手段としてのF
FTプロセッサ29に接続されている。そして、このF
FTプロセッサ29において、上記磁歪式トルクセンサ
24によって測定された切削トルクの出力値から、振動
成分とそのパワースペクトル値とが算出され、そのうち
特に工具系の固有振動成分近傍のパワースペクトル値が
検出されるようになされている。なお、上記バンドパス
フィルタ27とA/D変換器28とは、その接続順が逆
でも構わない。
【0012】さらに本実施形態では、上記FFTプロセ
ッサ29は、本実施形態における第1の比較手段として
の比較装置30に接続されており、この比較装置30は
さらに上記工作機械の制御装置31に接続されている。
一方、この比較装置30には、別に記憶装置32が接続
されており、この記憶装置32には、切削工具の種類や
切削条件等に応じて予め設定されたパワースペクトル値
の閾値がデータベース化されて記憶されている。そし
て、上記比較装置30においては、FFTプロセッサ2
9から出力されたパワースペクトル値と記憶装置32に
記憶された上記閾値とを比較して、FFTプロセッサ2
9において算出されたパワースペクトル値が閾値を越え
た場合には上記制御装置31に警報信号を出力し、これ
により当該工作機械のモータを停止させたり、ステップ
バックを行ったり、あるいは回転駆動系のクラッチを切
ったりして、それ以上切削トルクが大きくなるのを防止
するように構成されている。なお、これら比較装置3
0、記憶装置32、および上記FFTプロセッサ29等
による処理は、具体的にはコンピュータ等によって行わ
れる。
【0013】このように、上記構成の検出装置および該
検出装置を用いて行われる検出方法では、エンドミル1
1の切刃15が被削材Wを切削することにより該エンド
ミル11に印加される切削トルクが、磁歪層21…,2
2…に作用する引張・圧縮応力の変動に伴うコイル2
3,23のインダクタンスの変化として、上記磁歪式ト
ルクセンサ24により直接的かつ非接触に測定されて出
力され、こうして得られた出力信号がFFTプロセッサ
29に入力されて振動成分とそのパワースペクトル値と
が算出される。このため、被加工物Wの形状や切削条件
等に関わらずに、工具系の振動成分自体を抽出して測定
することができ、また工具摩耗以外の他の要因によるノ
イズの影響を極力抑制することが可能となる。
【0014】従って、本実施形態によれば、工具系の固
有振動成分の周波数を容易かつ確実に検出して、そのパ
ワースペクトル値を正確に算出することが可能となるの
で、かかる固有振動成分のパワースペクトル値の変動を
把握することにより、上述した従来技術の問題点を解決
して、工具の摩耗に基づく切削状態の変化を高精度で検
出することが可能となるのである。また、切削中に逐次
固有振動成分のパワースペクトル値を算出することによ
り、リアルタイムで切削状態を検出して工具摩耗量の推
定等を行うことができるので、これに基づいて、例えば
切削加工中にパス変更などの補正を行うことにより、加
工精度の維持を図ることも可能となる。
【0015】さらに、本実施形態では、上記FFTプロ
セッサ29は比較装置30に接続されており、該FFT
プロセッサ29によって算出された工具系の固有振動成
分のパワースペクトル値は、この比較装置30におい
て、記憶装置32に予め設定された閾値と比較されるよ
うに構成されている。従って、工具の種類や切削条件等
に応じてこの閾値を適当に設定しておくことにより、工
具摩耗の進行による上記パワースペクトル値の増大に伴
い、これが当該閾値を越えた場合に、その状態を工具の
折損等が起こり得るような危険な切削状態であると判断
し、上述のように制御装置31に警告信号を出力して切
削トルクの低減や切削作業そのものの中断を図り、かか
る危険な状態を回避することが可能となる。また、この
ように比較装置30における比較結果を工作機械の制御
装置31にフィードバックしてその制御を行うようにす
ることにより、切削作業の自動化、無人化の一層の拡大
を促すことも可能となる。なお、本実施形態では、この
ように比較装置30を工作機械の制御装置31に接続し
てその制御を図るようにしているが、これに代えて、あ
るいはこれに併せて、上記警告信号により作動する警報
装置を用いて作業者に警告を促すようにしてもよい。
【0016】次に、図2は、本発明の請求項3に係る検
出装置の一実施形態、および該検出装置を用いて行われ
る本発明の請求項6に係る検出方法の一実施形態を示す
ものである。ただし、本実施形態において、図1に示し
た実施形態と共通する部分には、同一の符号を配して説
明を省略する。
【0017】本実施形態においては、上記コイル23,
23にプリアンプ25を介して接続されたセンサアンプ
26が、バンドパスフィルタ27およびA/D変換器2
8を介して上記FFTプロセッサ29に接続されるのと
は別に、ローパスフィルタ40およびA/D変換器41
を介して、本実施形態における第2の演算手段としての
波形面積演算装置42に接続されていて、上記磁歪式ト
ルクセンサ24によって測定された切削トルクの出力値
が、時間に対する切削トルクの波形としてこの波形面積
演算装置42に入力されるようになされている。しかし
て、この波形面積演算装置42においては、入力された
上記切削トルクの波形から、この切削トルクをエンドミ
ル11の所定回転回数当たりの時間で積分して、その切
削トルク積分値を算出するように構成されており、特に
本実施形態では、上記切削トルクをエンドミル11の一
回転当たりの時間で積分して上記切削トルク積分値を算
出するようになされている。
【0018】さらに本実施形態では、上記波形面積演算
装置42は、本実施形態における第2の比較手段として
の比較装置43に接続されており、この比較装置43は
さらにAND回路44に接続されている。また、この比
較装置43には、第1の比較手段としての比較装置30
に接続されている上記記憶装置32が接続されており、
本実施形態ではこの記憶装置32には、上記パワースペ
クトル値の閾値の他に、切削工具の種類や切削条件等に
応じて予め設定された切削トルク積分値の閾値がデータ
ベース化されて記憶されている。そして、上記比較装置
43においては、波形面積演算装置42から出力された
切削トルク積分値と記憶装置32に記憶された上記閾値
とを比較して、切削トルク積分値が閾値を越えた場合に
は出力信号を上記AND回路44に出力するようになさ
れている。一方、本実施形態においては、第1の比較手
段としての上記比較装置30もまた、このAND回路4
4に接続されており、検出されたパワースペクトル値が
記憶装置32において設定された上記閾値を越えた場合
には、同様に出力信号をAND回路44に出力するよう
になされている。そして、このAND回路44は工作機
械の制御装置31に接続されていて、比較装置30,4
3からの出力信号に基づいて制御装置31に警報信号を
出力し、切削トルクを低減するようになされている。
【0019】しかるに、このように構成された検出装置
および検出方法では、図1に示した実施形態と同様に、
第1の演算手段としてのFFTプロセッサ29によって
算出された工具系の固有振動成分のパワースペクトル値
に基づいて切削状態の検出がなされるのに加え、磁歪式
トルクセンサ24によって測定された切削トルク値が時
間に対する切削トルクの変動波形として波形面積演算装
置42に入力され、この波形面積演算装置42におい
て、エンドミル11の所定回転回数当たり(本実施形態
では一回転当たり)の切削トルクの積分値、すなわち上
記変動波形の所定回転回数当たりの時間の面積が逐次計
算され、この切削トルク積分値にも基づいて切削状態の
検出が行われる。そして、これにより、エンドミル11
の切刃15の工具摩耗等による切削状態の変化に対し
て、測定される切削トルクの変動が比較的小さな場合で
あっても、切削トルク積分値としてはこの変動を確実に
把握することができる一方、びびり振動などにより瞬間
的に切削トルクが増大することがあっても、これが切削
トルク積分値全体に与える影響は小さいため、かかる瞬
間的な切削トルクの増大だけをもって切削状態の異常が
検出されることを避けることができる。従って、本実施
形態によれば、図1に示した実施形態による効果とも相
俟って、工具摩耗量等の切削状態の検出精度の一層の向
上を図ることが可能となる。
【0020】
【実施例】次に、実施例として、図1に示した実施形態
の検出装置を用いて、エンドミル11による肩削り切削
を行った場合に、切削状態としての切刃15の逃げ面摩
耗の進行に伴って、磁歪式トルクセンサ24によって測
定される切削トルク検出信号と、この検出信号に含まれ
る振動成分とそのパワースペクトル値との関係とが、ど
のように変化するかを調べた。ただし、本実施例におけ
る切削条件は、図8および図9に示したAEセンサによ
る切削状態の検出の場合と同一であり、従って工具系の
固有振動数は4.3kHzである。また、これらの切削
においては、切刃15の軸線O方向の切り込みの1/2
の位置における逃げ面摩耗幅VBを光学式工具顕微鏡に
より測定している。
【0021】図3(a)〜(d)は、それぞれ逃げ面摩
耗幅VBごとに測定された切削トルク検出信号の波形を
示すものであり、このうち逃げ面摩耗幅VB=0.14
mmのときとVB=0.22mmのときの振動成分とパワー
スペクトル値との関係を示したものが、図4(a),
(b)である。なお、この図4において、50Hzとその
倍数の振動数に見られるピークは、いずれも工具の回転
に依存する振動成分である。しかるに、工具系の固有振
動数である4.3kHz付近のパワースペクトル値のピーク
は、逃げ面摩耗幅VBが小さい図4(a)の場合に比
べ、逃げ面摩耗幅VBが大きい図4(b)の場合の方
が、より大きい値を示している。
【0022】また、図5は、こうして算出された工具系
の固有振動数のパワースペクトルのピーク値を、逃げ面
摩耗幅VBとの関係で示したものであり、逃げ面摩耗幅
VB=0.19mm以下ではパワースペクトル値は略同程
度の値を示しているものの、VB=0.22mm以上では
逃げ面摩耗幅が増大するに従い、パワースペクトルのピ
ーク値も増大していることが分かる。従って、この図5
の結果に基づいて、工具系の固有振動成分におけるパワ
ースペクトル値から逃げ面摩耗に代表される切削状態を
検出することは十分に可能であり、また、切削条件等に
応じて図5に符号Xで示すような閾値を設定し、これと
算出されたパワースペクトル値とを比較して、切削状態
が工具の破損を招くような危険な状態か否かを判別する
ことも可能である。
【0023】一方、図6は、図2に示した実施形態の検
出装置を用いて、磁歪式トルクセンサ24により測定さ
れた切削トルクから、波形面積演算装置42により、エ
ンドミル11の一回転当たりの切削トルクを積分した切
削トルク積分値を算出し、これと逃げ面摩耗幅VBとの
関係を示したものである。ただし、このときの切削条件
も、図8、9に示した例および図3〜5に示した実施例
と同様である。しかるに、この図6の結果より、切削ト
ルク積分値は、摩耗幅VBが比較的小さいうちから、そ
の増大に伴って漸次増大していることが分かる。従っ
て、この図6の結果と上記図5の結果とに基づいて、よ
り高精度の切削状態の検出を行うことが可能であり、ま
た、図6に符号Yで示すような閾値を設定し、これと切
削トルク積分値とを比較した結果と、上記図5における
閾値Xとパワースペクトル値との比較結果とに基づい
て、一層正確に切削状態を判別して工作機械の制御を行
うことも可能であることが分かる。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
磁歪式トルクセンサにより、被加工物の形状などの切削
条件や、あるいはノイズ等に関わらず、正確かつ確実に
工具系の固有振動成分におけるパワースペクトル値を検
出することができ、これに基づいて工具摩耗量等の切削
状態の変化を正確に把握して、高精度の検出を行うこと
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】本発明の他の一の実施形態を示す図である。
【図3】本発明による実施例において、逃げ面摩耗幅V
Bごとに測定された切削トルクの波形を示す図である。
【図4】本発明による実施例において、逃げ面摩耗幅V
B=0.14mmおよび0.22mmのときの振動成分とパワ
ースペクトル値との関係を示した図である。
【図5】本発明による実施例において、逃げ面摩耗幅V
Bと、工具系の固有振動成分におけるパワースペクトル
のピーク値との関係を示す図である。
【図6】本発明による実施例において、逃げ面摩耗幅V
Bと切削トルク積分値との関係を示す図である。
【図7】AEセンサ2を用いた従来の検出装置の一例を
示す図である。
【図8】図7に示した検出装置において、AEセンサ2
からの検出信号出力を、エンドミル1の切刃の逃げ面摩
耗幅VBごとに示したものである。
【図9】図8の結果から、上記AEセンサ2の検出信号
に含まれる振動成分の周波数とそのパワースペクトル値
との関係を、各逃げ面摩耗幅VBごとに示したものであ
る。
【符号の説明】
11 エンドミル(回転切削工具) 12 ホルダ 13 主軸 15 切刃 19 支持体 21,22 磁歪層 23 コイル 24 磁歪式トルクセンサ(測定手段) 29 FFTプロセッサ(第1の演算手段) 30 比較装置(第1の比較手段) 42 波形面積演算装置(第2の演算手段) 43 比較装置(第2の比較手段)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転切削工具に作用する切削トルクを磁
    歪式トルクセンサによって測定する測定手段と、この測
    定手段によって測定された切削トルクから工具系の固有
    振動成分近傍のパワースペクトル値を算出する第1の演
    算手段とを備えて成ることを特徴とする回転切削工具に
    よる切削状態の検出装置。
  2. 【請求項2】 上記第1の演算手段によって算出された
    パワースペクトル値を、予め設定されたパワースペクト
    ル値の閾値と比較する第1の比較手段を備えて成ること
    を特徴とする請求項1に記載の回転切削工具による切削
    状態の検出装置。
  3. 【請求項3】 上記測定手段によって測定された切削ト
    ルクを、上記回転切削工具の所定回転回数当たりの時間
    で積分して切削トルク積分値を算出する第2の演算手段
    と、この第2の演算手段によって算出された切削トルク
    積分値を、予め設定された切削トルク積分値の閾値と比
    較する第2の比較手段と、上記第1の比較手段による比
    較結果とこの第2の比較手段による比較結果とに基づい
    て警告信号を出力する出力手段とを備えて成ることを特
    徴とする請求項2に記載の回転切削工具による切削状態
    の検出装置。
  4. 【請求項4】 回転切削工具に作用する切削トルクを磁
    歪式トルクセンサによって測定し、この測定結果から工
    具系の固有振動成分近傍のパワースペクトル値を算出す
    ることを特徴とする回転切削工具による切削状態の検出
    方法。
  5. 【請求項5】 上記パワースペクトル値を、予め設定さ
    れたパワースペクトル値の閾値と比較することを特徴と
    する請求項4に記載の回転切削工具による切削状態の検
    出方法。
  6. 【請求項6】 上記磁歪式トルクセンサによって測定さ
    れた切削トルクを、上記回転切削工具の所定回転回数当
    たりの時間で積分して切削トルク積分値を算出し、この
    切削トルク積分値を、予め設定された切削トルク積分値
    の閾値と比較するとともに、上記パワースペクトル値と
    その閾値との比較結果と、この切削トルク積分値とその
    閾値との比較結果とに基づいて、警告信号を出力するこ
    とを特徴とする請求項5に記載の回転切削工具による切
    削状態の検出方法。
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