JPH0982984A - 半導体力学量センサおよびその製造方法 - Google Patents

半導体力学量センサおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH0982984A
JPH0982984A JP23992795A JP23992795A JPH0982984A JP H0982984 A JPH0982984 A JP H0982984A JP 23992795 A JP23992795 A JP 23992795A JP 23992795 A JP23992795 A JP 23992795A JP H0982984 A JPH0982984 A JP H0982984A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
etching
semiconductor
orientation
substrate
quantity sensor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP23992795A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3551337B2 (ja
Inventor
Koju Mizuno
幸樹 水野
Kazuhisa Ikeda
和久 池田
Hiroshi Okada
寛 岡田
Yasutoshi Suzuki
康利 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP23992795A priority Critical patent/JP3551337B2/ja
Priority to US08/637,128 priority patent/US5949118A/en
Publication of JPH0982984A publication Critical patent/JPH0982984A/ja
Priority to US09/247,908 priority patent/US6194236B1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3551337B2 publication Critical patent/JP3551337B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Fluid Pressure (AREA)
  • Pressure Sensors (AREA)
  • Weting (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄肉部が形成されたセンサ基板をもつ半導体
力学量センサの破壊耐圧(限界負荷)を、格段に向上せ
しめることを課題とする。 【解決手段】 面方位(110)の主面1および底面2
を持つ半導体単結晶の基板を有し、矩形の底面2は方位
<110>,<100>の辺23,24で斜面3,4に
全周囲を囲まれていて、主面1に開口する凹部10が形
成されている半導体力学量センサにおいて、底面2の対
向する辺24に所定の幅の段差部5が形成されているこ
とを特徴とする。上記基板は異方性エッチングにより製
造できる。段差部5による応力集中の緩和作用で亀裂の
発生が遅れ、破壊耐圧が格段に向上する。さらに等方性
エッチングを施せば、隅部に凹曲面が形成されて応力集
中がいっそう緩和され、破壊耐圧は倍増する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧力センサ、加速
度センサ、角速度センサなどの半導体力学量センサとそ
の製造方法とに関し、半導体センサの技術分野に属す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体圧力センサの耐圧性を向上させる
技術としては、特公昭60−13314号公報に開示さ
れたものがある。これは、面方位(100)の半導体基
板の表面から、周辺が八角形状の斜面によって囲まれて
いる矩形の薄肉部(ダイヤフラム)を持つ単一の凹部が
形成されている半導体圧力センサである。
【0003】しかし、上記技術では、温度変化による非
直線性のオフセット電圧が生じ、その補償が難しいとい
う問題点が残っていた。そこで、破壊耐圧をさほど落と
すことなく温度補償を容易にする目的で、特開平4−1
19672号公報に開示されている従来技術が開発され
た。同従来技術による半導体圧力センサは、図9(a)
〜(d)に示すように、面方位(110)の半導体単結
晶基板の表面から、エッチングにより薄肉部(ダイヤフ
ラム)が形成されているものである。この薄肉部は、<
100>軸、<110>軸、<111>軸に直行する辺
を有する八角形をしており、同薄肉部の外縁付近での熱
応力の変化量(ばらつき)が極めて少ない。それゆえ、
この半導体圧力センサでは、熱誤差出力がほとんど発生
しないという効果がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術により、
半導体圧力センサの破壊耐圧はかなり向上しているが、
用途によってはさらに高い破壊耐圧が要求され、従来技
術の破壊耐圧では不十分になる場合もある。そこで、本
発明は、よりいっそう高い破壊耐圧(または負荷)を有
し許容圧力(許容負荷)が向上している半導体力学量セ
ンサと、その製造方法とを提供することを解決すべき課
題とする。
【0005】
〔装置発明〕
(第1構成)本発明の第1構成は、主面と該主面に略平
行な多角形状の底面とを持つ半導体単結晶である基板を
有し、該底面は複数の斜面により全周囲を囲まれてい
て、該底面および全該斜面により該主面に開口する凹部
が形成されている半導体力学量センサにおいて、前記底
面を囲む周縁部の少なくとも一対の対向する辺に、所定
の幅の段差部が形成されていることを特徴とする半導体
力学量センサである。(図1参照) 本構成では、多角形状の底面が全周囲を斜面によって囲
まれているので、底面と各斜面とが直角よりも浅い角度
で接合しており、面が直角に接合する接合縁よりも底面
の周縁部での応力集中が少ない。さらに、底面は少なく
とも一対の対向する辺に段差部を有し、段差部は底面と
斜面とが接合する部分で応力集中を緩和する作用があ
る。(図3参照) 一方、半導体力学量センサ(例えば圧力センサ)に過大
な負荷(圧力)が掛かり、底面を形成している薄肉部の
破壊が始まる際には、通常、薄肉部の(すなわち底面
の)周縁部に応力が集中し、周縁部から亀裂が入りはじ
める。それゆえ、底面の周縁部での応力集中の緩和が、
限界負荷(破壊耐圧)を向上させる上での要諦である。
【0006】したがって、本構成によれば、底面の全周
囲を囲む斜面と底面の周縁部の段差部とが有する応力緩
和作用により、基板の薄肉部の限界負荷(破壊耐圧)が
向上するという効果がある。これはすなわち、半導体力
学量センサの限界負荷(破壊耐圧)または許容負荷(許
容圧力)の向上を意味する。なお、半導体力学量センサ
が圧力センサである場合には、薄肉部はダイヤフラムを
形成しており、加速度センサ、角速度センサまたは微小
力センサ等である場合には、薄肉部はカンチレバーを形
成しているのが普通である。いずれのセンサの場合に
も、薄肉部(底面)の周縁部または付根部での応力緩和
による限界負荷が向上するという効果が、本構成により
得られる。
【0007】(第2構成)本発明の第2構成は、上記第
1構成において、前記主面の面方位は略(110)であ
り、前記底面は、各辺の方位が略<100>方位または
略<110>方位である矩形形状をしていることを特徴
とする。(図2参照) 本構成では、底面が矩形であり、底面の各辺の方位は、
略<100>または略<110>である。略<100>
方位の辺および略<110>の辺で囲まれている矩形底
面は、面方位略(110)の主面に、底面と同じ辺の方
位を持つウィンドウが開いているマスクを形成して異方
性エッチングすることにより、容易に形成される。異方
性エッチングにより、矩形底面の全周囲には、複数の斜
面が自然に形成される。
【0008】したがって、本構成によれば、前述の第1
構成の効果に加えて、製造が容易であるという効果があ
る。 (第3構成)本発明の第3構成は、上記第2構成におい
て、前記段差部は、前記略<100>方位の対向する一
対の辺に形成されていることを特徴とする。
【0009】本構成では、基板の製造工程においてスト
ップ・エッチング処理を行うことにより、段差部が<1
00>方位の対向する二辺に自然に形成される。それゆ
え、本構成によれば、段差部の形成がより容易であると
いう効果がある。さらに、本構成では、矩形の底面を形
成している薄肉部において、亀裂(クラック)の進行す
る<111>方位が、薄肉部の辺の方位(略<100>
および略<110>)に対し斜めになっている。亀裂の
進行方位<111>は、段差部が形成されている略<1
00>方位の辺に対して約35°、段差部がない略<1
10>方位の辺に対しては約55°の角度をもって交差
している。(図4参照) すなわち、亀裂の進行方位がより直角に近い角度(約5
5°)で接するのは、応力緩和作用をもつ段差部がある
辺であり、段差部のある辺からは亀裂が発生しにくい。
逆に、段差部のない辺には浅い角度(約35°)で亀裂
の進行方位が交差しているので、亀裂の進行方向に沿う
断面では底面と斜面との交角はいっそう浅く、応力集中
が少ないので段差部のない辺からも亀裂は発生しにく
い。それゆえ、亀裂が底面の四辺のいずれかから発生す
ることが抑制され、薄肉部の破壊耐圧は、薄肉部そのも
のの破裂強度にまで向上する。
【0010】したがって、本構成によれば、前述の第2
構成の効果に加えて、薄肉部の周縁部から亀裂が発生し
にくいので、基板はよりいっそう高い破壊耐圧(または
負荷)を有し、許容圧力(許容負荷)がさらに向上する
という効果がある。 (第4構成)本発明の第4構成は、上記第2構成におい
て、前記底面を囲む前記斜面は、該底面の略<100>
方位の対向する一対の辺にそれぞれ接している面方位
(100)の斜面と、該底面の略<110>方位の対向
する他の一対の辺にそれぞれ接している面方位(11
1)の斜面とであり、両該斜面は、所定の長さで互いに
角度をもって接していることを特徴とする。(図2参
照) 本構成では、隣り合う斜面同士が、所定の長さで互いに
角度をもって接しているので、薄肉部が形成している底
面の四隅に、底面に対して垂直に切り立った壁面が接す
ることがない。それゆえ、底面の四隅部分に過度の応力
集中が発生することがない。
【0011】したがって、本構成によれば、前述の第2
構成の効果に加えて、底面の四隅部分からの亀裂の発生
も防止されるので、いっそう破壊耐圧(限界負荷)が向
上するという効果がある。 (第5構成)本発明の第5構成は、上記第1構成におい
て、前記段差部を含む前記底面の前記周縁部において、
複数の面が接する隅部は曲面から形成されていることを
特徴とする。
【0012】本構成では、底面と斜面との交差部分(隅
部)、段差部の面と斜面との交差部分(隅部)、および
段差部の斜面と底面との交差部分(隅部)に、凹面であ
る曲面が形成されている。凹面である曲面では、明確な
角度をもって複数の面が交差する隅部(凹状の辺縁)よ
りも、応力集中がずっと小さく、その部分から亀裂が入
りにくい。
【0013】したがって、本構成によれば、前述の第1
構成の効果に加えて、底面の周縁部で応力集中がより少
なくなり亀裂が入りにくくなるので、よりいっそう破壊
耐圧が向上するという効果がある。 〔製法発明〕 (第6構成)本発明の第6構成は、主面を持ち該主面に
沿って内部に空乏層を有する半導体単結晶からなる基板
の該主面に、所定の開口部を有するマスクを形成するマ
スキング工程と、該基板を該空乏層との境界部まで異方
性エッチングして、全周囲が斜面に囲まれており該主面
と略平行な底面をもつ凹部を形成する第1エッチング工
程と、該基板をさらに所定時間の異方性エッチングし
て、該凹部の該底面を囲む辺縁部の少なくとも一対の対
向する辺に、所定の幅の段差部を形成する第2エッチン
グ工程とを有することを特徴とする半導体力学量センサ
の製造方法である。
【0014】本構成では、半導体単結晶の基板に、第1
エッチング工程で、底面の全周囲が斜面で囲まれた凹部
が形成され、第2エッチング工程で、底面の辺縁部の少
なくとも一部に段差部が形成される。斜面も段差部も、
ともに底面の周縁部での応力集中を防ぐ作用がある。し
たがって、本構成によれば、より大きい破壊耐圧(負
荷)に耐える半導体力学量センサ(第1構成)の製造が
可能になるという効果がある。
【0015】(第7構成)本発明の第7構成は、上記第
6構成において、前記マスキング工程は、面方位が略
(110)である前記主面に、略<100>方位および
略<110>方位の四辺で囲まれた矩形の前記開口部を
有するマスクを形成する工程であり、前記第1エッチン
グ工程は、前記基板を異方性エッチングして、前記底面
を略<100>方位および略<110>方位の四辺で囲
まれた矩形形状に形成する工程であることを特徴とする
(図2参照)。
【0016】本構成では、第1エッチング工程で、基板
を構成している半導体単結晶の結晶方位を利用して異方
性エッチングを施すことにより、凹部の底面を矩形形状
に形成し、その全周囲に斜面を形成することが容易にで
きる。したがって、本構成によれば、前述の第6構成の
効果に加えて、より大きい破壊耐圧(負荷)に耐える半
導体力学量センサ(第2構成)の製造が、容易になると
いう効果がある。
【0017】(第8構成)本発明の第8構成は、上記第
7構成において、前記第2エッチング工程は、前記略<
100>方位の対向する一対の辺に前記段差部を形成す
る工程であることを特徴とする(図2参照)。本構成で
は、略<100>方位の辺に接する斜面は、面方位が略
(100)であって、直交する他の辺(略<110>方
位)に接する斜面(面方位略(111))に比べ格段に
高いエッチング速度で異方性エッチングされる。それゆ
え、第2エッチング工程において、ストップ・エッチン
グを利用することにより、容易に段差部が形成され得る
(図3参照)。
【0018】また、面方位(110)の底面に亀裂が進
行する<111>方位は、段差部が形成されて応力集中
が緩和されている略<100>方位の辺に対して、垂直
に近い角度(約55°)を成している。逆に、段差部が
形成されていない略<110>方位の辺に対しては、亀
裂の進行方位<111>はより垂直から離れた角度(約
35°)を成している(図4参照)。それゆえ、底面の
四方のいずれの辺からも亀裂が入りにくいので、底面を
形成している薄肉部の破壊耐圧はよりいっそう向上す
る。
【0019】したがって、本構成によれば、前述の第7
構成の効果に加えて、よりいっそう大きい破壊耐圧(負
荷)に耐える半導体力学量センサ(第3構成)の製造
が、さらに容易になるという効果がある。 (第9構成)本発明の第9構成は、上記第6構成におい
て、前記第1エッチング工程および前記第2エッチング
工程のうちの少なくとも一方は、前記基板を異方性エッ
チング液に浸してエッチング処理するウェットエッチン
グ工程であることを特徴とする。
【0020】本構成では、異方性エッチングにウェット
エッチング法を使用するので、製造設備が比較的安価か
つ比較的小規模であり、異方性エッチング処理に要する
時間も比較的短時間で済む。したがって、本構成によれ
ば、前述の第6構成の効果に加えて、破壊耐圧の高い半
導体力学量センサ(第1構成)の生産が極めて安価に行
えるという効果がある。
【0021】(第10構成)本発明の第10構成は、上
記第9構成において、前記ウェットエッチング工程は、
前記異方性エッチング液に接触する電極を用い、該電極
と前記基板との間に電圧を印加して該基板を異方性エッ
チング処理する工程であることを特徴とする。
【0022】本構成では、基板に電圧を印加しながら異
方性エッチング処理するので、空乏層の位置制御が可能
になり、精密にストップ・エッチングをして底面を所定
の位置(深さ)に形成することができる。したがって、
本構成によれば、前述の第9構成の効果に加えて、極め
て精密な位置精度で底面が形成され、品質がより安定し
た半導体力学量センサ(第1構成)の生産が可能にな
り、さらに生産能率が向上するという効果がある。
【0023】(第11構成)本発明の第11構成は、上
記第10構成において、前記第1エッチング工程および
前記第2エッチング工程は、前記ウェットエッチング工
程であり、前記第2エッチング工程で印加される第2電
圧は、前記第1エッチング工程で印加される第1電圧と
は異なる電圧であって、該第2エッチング工程では、前
記空乏層の前記境界部が、該第1エッチング工程での該
境界部の位置から前記主面に向かって所定距離移動して
おり、移動している該境界部に沿って前記段差部が形成
されることを特徴とする。
【0024】本構成では、第1電圧と第2電圧とが異な
り電圧差があるので、第2エッチング工程では、エッチ
ング速度が極めて遅い空乏層が主面に向かって迫り出し
て来る。それゆえ、段差部の段差をより高く形成して耐
圧性をより高めることが可能になる上に、電圧差を調整
することにより、段差部の高さ(段差)を調整すること
ができる。
【0025】したがって、本構成によれば、前述の第1
0構成の効果に加えて、さらにいっそう高い破壊耐圧を
持つ半導体力学量センサ(第1構成)を製造することが
できるという効果がある。 (第12構成)本発明の第12構成は、上記第11構成
において、前記第1エッチング工程および前記第2エッ
チング工程は連続的に処理され、該第2エッチング工程
は、前記第1電圧を概略初期値として、前記第2電圧を
徐々に連続的または多段階的に変化させていく工程であ
ることを特徴とする。
【0026】本構成では、第1電圧から徐々に移行した
第2電圧が、徐々に連続的または多段階的に変化してい
くので、空乏層の境界部が主面に対して近づいてくるの
で、段差部は連続的または多段階的に形成される。それ
ゆえ、底面と斜面とが角度をもって接合する部分の表面
は、応力集中がより少ない段々形状または曲面形状に形
成される。また、第1エッチング工程から連続する第2
エッチング工程では、印加電圧を変化させるだけで済
み、特殊な操作を行わないので加工コストが増加するこ
ともない。
【0027】したがって、本構成によれば、前述の第1
1構成の効果に加えて、製造コストをほとんど増加させ
ることなく、いっそう高い破壊耐圧を有する半導体力学
量センサを製造することが可能になるという効果があ
る。 (第13構成)本発明の第13構成は、上記第6構成に
おいて、前記第2エッチング工程が終了した後、前記基
板を等方性エッチング液に所定時間浸して、前記底面の
前記辺縁部の複数の面が接する隅部を曲面で形成する第
3エッチング工程を有することを特徴とする。
【0028】本構成では、底辺辺縁部で複数の面が接す
る隅部が、角度をもって交わる面が交差する線分として
形成されず、曲面でなだらかに形成されている。通常、
角張った凹部(隅部)には、応力が集中してその部分か
ら亀裂が発生して内部に進行するが、逆に隅部が曲面で
形成されていれば応力集中は極めて少なくなり、亀裂の
発生および成長が防止される。
【0029】したがって、本構成によれば、前述の第6
構成の効果に加えて、破壊耐圧が極めて高い(ほぼ倍増
している)半導体力学量センサ(第5構成)を製造する
ことができるという効果がある。
【0030】
〔実施例1〕
(実施例1の半導体力学量センサの構成)本発明の実施
例1としての半導体力学量センサは、圧力センサであっ
て、図1(a)〜(d)に示すように、半導体(シリコ
ン)単結晶の基板を有し、該基板には、主面1の中央部
に開口している凹部10が形成されている。
【0031】凹部10は、中央の矩形の底面2と、底面
2の四周に接している四面の斜面3,4と、底面2と斜
面4とが交差する辺24に沿う段差部5とから形成され
ている。斜面3および斜面4は、四方向で互いに接して
浅い交角の隅部43を形成するとともに、主面1に八角
形の開口周縁11をもつて開口している。凹部10の底
面2と上記基板の裏面6との間には、薄肉部21が形成
されており、圧力センサのダイヤフラムとして機能す
る。底面2の一対の対向する辺24には所定の幅の段差
部5が形成されており、底面2は、段差部5を介して斜
面4と約45°の交角で接している。
【0032】より詳しくは、図2に示すように、主面1
は面方位(110)の平面であり、凹部10を形成して
いる各斜面は、斜面3が面方位(111)で主面に対す
る傾斜角約35°、斜面4が面方位(100)で傾斜角
約45°の平面である。斜面3,4は、互いに浅い角度
をもって放射状の隅部43で接するとともに、各々主面
1に所定の長さの辺縁を形成して接している。それゆ
え、垂直面41は、底面2から離れて形成されており、
当該部分は上記基板中で十分な厚みを有する。凹部10
の八角形の開口周縁11の図1(a)中斜めの四辺に
は、小さな三角形の垂直面41が各々形成されている。
【0033】底面2の面方位は主面1と同じ(110)
方位であり、底面2の形状は0.6mm角の正方形であ
る。底面2の四辺のうち、辺23は軸方位<110>、
辺24は軸方位<100>であり、辺24に接して20
μm程度の幅の段差部5が形成されている。辺23で
は、底面2と斜面3とが接しており、隅部を形成してい
る。一方、辺24では、底面2と段差部5の表面の一部
の斜面とが接しており、段差部5は底面2と背向する側
で斜面4と接している。
【0034】各部の厚みは、図2(b)に示すように、
センサ基板が300μm、薄肉部21が10〜15μ
m、段差部5が15〜20μmである。その他の寸法
は、図2(a)および図2(b)の記載を参照された
い。 (実施例1の半導体力学量センサの作用効果)前述の構
成のセンサ基板を有する本実施例の半導体力学量センサ
では、段差部5が発揮する応力集中を緩和する作用と、
底面2の面方位、形状および各辺の軸方位により生じる
亀裂の発生を防止する作用とがある。両作用の相乗効果
により、圧力センサである本実施例の半導体力学量セン
サは、極めて高い破壊耐圧を有するに至っている。
【0035】第1に、段差部5は、図3に示すように、
底面2と斜面4とが接合する部分で応力集中を緩和する
作用がある。すなわち、斜面4の底面2に対する傾斜角
は約45°であり、仮に、底面2と斜面4とが段差部5
を介さずに(図中破線のように)接合したとすると、傾
斜角が接合部(隅部)Eで急変するので大きな応力集中
が生じる。それゆえ、隅部Eから亀裂Cが入って、薄肉
部21の破壊強度に達しない低い圧力でも、薄肉部21
は周縁部から破裂し、低い破壊耐圧しか持ち得ない。
【0036】そこで、本実施例のように段差部5が形成
されていれば、仮想的な隅部Eは段差部5の肉厚に埋没
しているので、強い応力集中が発生しない。その結果、
段差部5が形成されている底面2の周縁部の二辺24か
らの亀裂の発生は防止され、より高い圧力に耐えること
ができる。第2に、段差部5が、傾斜角約35°の斜面
3と接する二辺23にではなく、傾斜角45°の斜面4
と接する二辺24に形成されていることも、破壊耐圧の
向上に寄与している。
【0037】すなわち、底面2と斜面3とが接合してい
る辺23では、傾斜角は急激に変化しているものの、そ
の絶対値は35°程度であり、45°には及ばない。わ
ずか10°程度の違いではあるが、応力集中の程度に与
える影響は少なくないので、傾斜角の高い斜面4との接
合部分に段差部5が形成されて、応力集中を緩和してい
る効果は、顕著に破壊耐圧の向上に反映される。
【0038】このことは、逆に傾斜角約35°の斜面3
との隅部の辺23にだけ段差部5が形成されていた場合
を仮想すると、理解が容易である。この場合には、段差
部5がない場合と変わりなく、傾斜角が45°と深い斜
面4と接合する辺24で先に亀裂が入るから、破壊耐圧
の向上には寄与しない。第3に、図4に示すように、底
面2の面方位(110)および四辺23,24の軸方位
<110>,<100>も、破壊耐圧の向上に寄与して
いる。
【0039】すなわち、底面2に生じる亀裂が走り易い
方位は、軸方位<111>であり、亀裂の入る線を仮想
的に底面2上に描くと、亀裂線(仮称)B1,B2の二
通りの場合がある。亀裂線B1のように、亀裂線の両端
が辺24で段差部5に接している場合には、亀裂線の両
端部が段差部の応力集中緩和作用で亀裂が入りにくくな
っているので、容易に亀裂が発生することがない。それ
ゆえ、薄肉部2の破壊耐圧は向上する。
【0040】また、亀裂線B2のように、亀裂線の一端
は辺24で段差部5に接しており、他端は辺23に接し
ている場合もある。この場合にも、上記一端では段差部
5の応力集中緩和作用で亀裂が入りにくい。一方、上記
他端では、斜面3に接する辺23に段差部は形成されて
いないが、辺23に対する亀裂線B2の入射角が約35
°と浅い。それゆえ、亀裂線B2に沿う斜面3の傾斜角
は、35.3°×sin(35.3°)=20.4°
と、約20°にしかならないので、亀裂線B2に沿う辺
23付近での応力集中による亀裂の発生は、抑制されて
いる。
【0041】したがって、本実施例の半導体圧力センサ
では、センサ基板の底面2の周辺からの亀裂が発生しに
くいので、薄肉部21の破壊耐圧が向上するという効果
がある。 (実施例1の半導体力学量センサの製造方法)前述の本
実施例の半導体力学量センサに使用するセンサ基板は、
以下のマスキング工程、第1エッチング工程および第2
エッチング工程を順に実施する製造方法により、製造す
ることができる。
【0042】(マスキング工程)上記基板の出発材料
は、シリコン半導体の単結晶からなる厚さ300μmの
ウエハであり、該ウエハの主面1および裏面6は、面方
位(110)の平面である。該ウエハは、図5に示すよ
うに、主面1側のP型半導体層Pと裏面側のN型半導体
層Nとから構成されている。N型半導体層Nは厚さ10
μm程度のエピタキシャル層であり、PN接合面PNを
挟んで空乏層Dが主面1に沿って該ウエハ内部に形成さ
れている。
【0043】マスキング工程では、窒化シリコン膜(S
iN)からなるマスクを主面1上に形成する。該マスク
は、縦(<100>方位)1.42mm×横(<110
>方位)0.74mmの矩形の開口部を複数個有する。
該開口部は縦横に配列されており、一つのウエハから開
口部の数だけ凹部10が形成されるようになっている。
【0044】なお、該ウエハの裏面6には金属膜(図示
せず)が形成されており、裏面6に均一に電圧を印加で
きるようになっている。 (第1エッチング工程)第1エッチング工程では、前述
のようにマスクが主面1に形成された基板を、エッチン
グ容器(図示せず)に満たした異方性エッチング液(図
示せず)に浸して異方性ウェット・エッチング処理を行
い、前述のマスク開口部から凹部を形成する上記容器
は、上記エッチング液、純水および窒素ガスを注入・排
出できるようになっており、精密なエッチング液の温度
管理と攪拌を行うことができる。上記エッチング液とし
ては、アルカリ異方性エッチング液であるKOH水溶液
(33wt%)を使用し、本工程中、液温は110°C
に保たれる。
【0045】本工程では、図5に示すように、直流電源
9により所定電圧(10V)を印加しながら、異方性エ
ッチング処理が行われる。上記電圧は、エッチング液中
に浸した白金電極8とウエハ裏面6の上記金属膜(図示
せず)との間に、印加される。印加電圧の向きは、N型
半導体層N側に正、P型半導体層P側に負であって、P
N接合面PNには逆バイアス電界がかかっている。その
結果、空乏層Dは厚みを増し、空乏層Dの境界部(境界
面)Fは、電圧無印加時よりも主面1側へ迫り出してき
ている。
【0046】したがって、本工程では、該ウエハを空乏
層Dとの境界部Fまで異方性エッチングして、全周囲が
斜面に囲まれており主面1および裏面6と平行な底面
2’をもつ凹部を形成する。境界部Fまで異方性エッチ
ングが進むと、底面に平行なエッチング面2’はエッチ
ング速度が極端に落ち、ストップ・エッチング状態にな
る。この状態に至るまで(すなわち第1エッチング工
程)の処理時間は、35分間程度である。
【0047】この段階で、底面2に平行なエッチング面
2’と斜面4に平行なエッチング面4’とが形成されて
おり、エッチング面2’の四方の辺には、周囲の斜面
(4’等)が接合する隅部Eが形成されている。なお、
この段階での凹部の底面にあたるエッチング面2’は、
上記マスク開口部の四辺に平行に、略<100>方位お
よび略<110>方位の四辺で囲まれた矩形形状に形成
されている。
【0048】(第2エッチング工程)第2エッチング工
程では、前述の第1エッチング工程に連続して、同じ条
件でエッチング処理が続けられる。すなわち、本工程で
は、上記ウエハをさらに所定時間(3分間程度)、異方
性エッチングする。すると、図5に示すように、面方位
(110)の底面2に向かうエッチング速度S2は極め
て遅く、エッチング面はあまり進まずに底面2が形成さ
れる。
【0049】一方、面方位(100)の斜面4に向かう
エッチング速度S4はあまり低下しないので、エッチン
グ面は比較的深くまで進行して斜面4が形成される。た
だし、エッチング面が空乏層Dにかかると途端にエッチ
ング速度が低下するので、凹部10の空間に対してゆる
やかな凸の曲面を表面51に有する段差部5が、底面2
と斜面4との接合部に形成される。こうして、凹部10
の底面2を囲む辺縁部の一対の対向する辺24(軸方位
<100>)に隣接して、所定の幅(20μm程度)の
段差部5が形成される。
【0050】なお、面方位(111)の斜面3に向かう
エッチング速度は、面方位(110)の底面2に向かう
エッチング速度S2と同様に極めて遅い。それゆえ、底
面2と斜面3との間には段差部はほとんど形成されず、
底面2と斜面3とは辺23で直接接合する(図1参
照)。 (その後の工程)以上の処理を経て所定形状の凹部10
が形成されたウエハは、純水で洗浄されたのち、マスク
の除去処理、台座との接合、およびダイシングなどが施
される。これらの公知の工程を経て、前述の半導体力学
量センサ(圧力センサ)が完成する。
【0051】(実施例1の製造方法の作用効果)以上詳
述したように、本実施例の半導体力学量センサの製造方
法によれば、ストップ・エッチングを利用した異方性エ
ッチングを施すことにより、破壊耐圧が飛躍的に向上し
ている半導体圧力センサを容易に製造することが可能に
なる。また、本実施例の製造方法の応用で、加速度セン
サや角速度センサ等の(ダイヤフラムの代わりに)カン
チレバー状の薄肉部を有する半導体力学量センサを製造
することができる。その際、段差部は、上記カンチレバ
ーの根元部分に形成されていることが望ましい。
【0052】(実施例1の製造方法の変形態様1)変形
態様1の製造方法においては、第1エッチング工程まで
は、前述の実施例1と同様であり、図6に示すように、
エッチング面2’,4’が形成される。この際の印加電
圧(第1電圧)V1も、実施例1の第1エッチング工程
での印加電圧と同じである。
【0053】第2エッチング工程で印加される第2電圧
は、同工程の始めのうちは第1電圧と同じであり、空乏
層Dの境界面Fの位置でのストップ・エッチングによ
り、エッチング面21,41’が形成される。この時点
で第2電圧はより高い電圧V21に切り替わり、空乏層
Dの境界面はF1の位置に上昇(主面1へ向かって移
動)して、新たな段差部5”を伴うエッチング面22,
42が形成される。同様に、この時点で第2電圧はさら
に高い電圧V22に切り替わり、空乏層Dの境界面はF
2の位置に上昇して、新たな段差部52を伴うエッチン
グ面2,4が形成される。
【0054】こうして、第2エッチング工程で多段階に
印加電圧を増加させることにより、多段の段差部5’,
5”,52が形成される。段差部が多段階に形成される
ことにより、当該部分での応力集中はよりいっそう緩和
されるので、基板の破壊耐圧はよりいっそう向上する。
したがって、本変形態様の製造方法によれば、よりいっ
そう破壊耐圧が向上している半導体力学量センサを製造
することが可能になるという効果がある。
【0055】なお、第2エッチング工程で、印加電圧を
第1電圧V1からより高い第2電圧V2に一度変更する
だけでも、破壊耐圧の向上効果は得られる。 (実施例1の製造方法の変形態様2)変形態様2の製造
方法も、第1エッチング工程までは実施例1と同様であ
り、第2エッチング工程のみが異なる。
【0056】すなわち、第2エッチング工程で印加され
る第2電圧V2は、第1電圧V1を初期値V2iとして
徐々に連続的に増加するように制御される。第2エッチ
ング工程の全ての時間にわたって、第2電圧は連続的に
上昇し、最終的には相当程度高い終端値V2fにまで達
して本工程を終了する。第2電圧の増加に伴い、図7に
示すように、空乏層Dの境界面Fも連続的にF’の位置
にまで上昇する。
【0057】それゆえ、ストップ・エッチングにより形
成される段差部51’も、ほとんど無段階に連続して形
成される。したがって、本変形態様の製造方法によれ
ば、さらに高い破壊耐圧を有する基板、ひいては半導体
力学量センサの製造が可能になるという効果がある。 (実施例1の製造方法の変形態様3)変形態様3は、第
1エッチング工程では電圧印加せずに異方性エッチング
を基板に施し、第2エッチング工程で印加電圧(第2電
圧)V2を与えて段差部5の形成を行う製造方法であ
る。本変形態様は、前述の変形態様1および変形態様2
において、第1電圧V1をゼロとした特殊な場合として
実施することができるので、変形態様1,2と同様のエ
ッチング装置で実施することが可能である。
【0058】本変形態様の製造方法によっても、前述の
変形態様1,2と同様の効果を上げることができる。 (実施例1の製造方法のその他の変形態様)本実施例の
本質に係わらない多数の変形態様があり得る。まず、異
方性エッチング液として、アルカリ異方性エッチング液
である水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMA
H:(CH3 4 NOH)やエチレンジアミンなど、他
の異方性エッチングを使用してもよい。
【0059】次に、半導体としてはシリコンのみに限定
されるものではなく、異方性エッチングが可能であれば
他の半導体を使用してもよい。また、P型半導体層Pと
N型半導体層Nとが、実施例1と逆転している基板の構
成でもよい。この場合、PN逆転に伴い、印加電圧も逆
にする。なお、段差部5が形成されるメカニズムとし
て、底面2に向かうエッチング面2’に陽極酸化皮膜が
形成されて、エッチング速度が落ちるせいであるとする
考察もあることを付記しておく。
【0060】〔実施例2〕 (実施例2の半導体力学量センサの構成)本発明の実施
例2としての半導体力学量センサは、図8に示すよう
に、段差部50が底面2”と斜面4”との境界に形成さ
れているセンサ基板を有する。本実施例の基板は、前述
の実施例1の基板と結晶方位は同一であり、形状寸法も
ほぼ同一である。本実施例が実施例1と最も異なる点
は、段差部50を含む底面2”周縁部など、およそ凹部
10”(実施例1の凹部10より各面が1〜2μm拡
大)を形成している複数の面が接する隅部は、すべて曲
面から形成されていることである。すなわち、正方形の
底面2”の四方の辺23”(図示せず),24”は曲面
で形成されている。段差部50の付近においても、図8
に示すように、二つの面が角度をもって接している隅部
e1,e2は、曲率半径Rが1〜2μmの凹曲面で形成
されている。凹部10”内の他の全ての隅部でも、同程
度の曲率で凹曲面が形成されている。
【0061】(実施例2の半導体力学量センサの作用効
果)本実施例の基板の構成では、底面2”の四辺2
3”,24”を含めて、凹部10”に角張った凹部(隅
部)が無く、いずれの隅部でも応力集中がいっそう緩和
されている。したがって、本実施例ではセンサ基板の薄
肉部21”の四方から亀裂の入る破壊耐圧がいっそう高
くなり、ほとんど薄肉部21”本体の破裂強度に近づく
までになっている。それゆえ、本実施例の半導体力学量
センサによれば、実施例1に優って飛躍的に破壊耐圧を
向上させることができるという効果がある。
【0062】(実施例2の半導体力学量センサの製造方
法)本実施例の基板(図8参照)は、実施例1で製造し
た基板を出発材料とする。すなわち、前述の実施例1で
第2エッチング工程が終了した後、本実施例では、さら
に第3エッチング工程で、基板を等方性エッチング液に
約20秒だけ浸して1〜2μm程度エッチングする。そ
の際、エッチング液はHNO3 (70%):HF(49
%):CHCOOH(99.5%)の各水溶液を、4
5:2:3の割合で混合したものが使用され、エッチン
グ液の温度は22°である。
【0063】前述の第3エッチング工程により、基板の
凹部10は1〜2μm程度等方性エッチングされ、全て
の隅部に曲率R=1〜2μmの凹曲面が形成される。そ
の結果、前述の飛躍的に高い破壊耐圧を持つ基板が製造
される。したがって、本実施例の製造方法によれば、前
述のように飛躍的に高い破壊耐圧を持つ半導体力学量セ
ンサを製造することが可能になるという効果がある。
【0064】〔実施例1および実施例2の評価〕前述の
実施例1および実施例2のセンサ基板の破壊耐圧を評価
する目的で、静水圧による破壊試験を行った。その際、
比較対象として従来技術(特開平4−119672号)
によるセンサ基板をも複数個製造し、同試験に供した。
従来技術のセンサ基板は、図9に示すように、八角形の
薄肉部20をもつ。同図そのまま(等方性エッチングな
し)の基板を「従来1」、これに本発明の実施例2の第
3エッチング工程と同様の等方性エッチング処理を施し
た基板を「従来2」と名付けて試験データをとった。
【0065】その結果、図10に示すように、本発明の
実施例1および実施例2には、破壊耐圧の向上において
顕著な効果が認められた。同図中で、一点は一試験デー
タに対応しており、従来1,2の試料数は各10点、実
施例1の試料数は20点、実施例2の試料数は23点で
ある。すなわち、従来1の試料の破壊耐圧は15〜20
〔kgf/cm2 〕程度しかなく、等方性エッチングさ
れた従来2の試料の破壊耐圧でも40〜45〔kgf/
cm2 〕程度である。しかし、実施例1の試料の破壊耐
圧は、50〜80〔kgf/cm2 〕程度に向上してお
り、実施例2の試料の破壊耐圧に至っては、140〜1
95〔kgf/cm2 〕程度にまで飛躍的に向上してい
る。
【0066】以上の試験結果から、本発明の半導体力学
量センサおよびその製造方法による効果は明らかであ
り、従来にない極めて高い破壊耐圧(破壊負荷)をもつ
半導体力学量センサを提供することができるようになっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のセンサ基板の形状を示す組図 (a)主面から見た平面図 (b)横端面図 (c)縦端面図 (d)斜端面図
【図2】 実施例1のセンサ基板の寸法および結晶方位
を示す組図 (a)主面から見た平面図 (b)横端面図
【図3】 実施例1の基板の段差部の応力集中緩和作用
を示す部分端面図
【図4】 実施例1の基板の底面での亀裂発生防止作用
を示す部分平面図
【図5】 実施例1のセンサ基板の製造方法を示す部分
端面模式図
【図6】 変形態様1のセンサ基板の製造方法を示す部
分端面模式図
【図7】 変形態様2のセンサ基板の製造方法を示す部
分端面模式図
【図8】 実施例2のセンサ基板の製造方法を示す部分
端面模式図
【図9】 従来技術のセンサ基板の寸法形状および結晶
方位を示す組図 (a)主面から見た平面図 (b)横端面図 (c)縦端面図 (d)斜端面図
【図10】実施例1,2のセンサ基板の破壊耐圧の向上
を示すグラフ
【符号の説明】
1:主面 10:凹部10 11:開口周縁 2:矩形の底面 21:薄肉部(ダイヤフラム) 23:辺(略<110>方位、隅部でもある) 24:辺(略<110>方位、隅部でもある) 3:斜面(面方位は略(111)、主面との交角約35
°) 4:斜面(面方位は略(100)、主面との交角約45
°) 41:垂直面 43:隅部 5,5’,5”,52:段差部 51:段差部表面 6:裏面 8:白金電極 9:直流電源 B1,B2:亀裂進行方位<111> E:隅部(交
角) C:亀裂 D:空乏層 F:空乏層の境界部(境界面) R:
曲率半径 P:P型半導体層 N:N型半導体層 PN:PN
接合面 S2,S4:エッチング速度 V1,V2:第1電圧
および第2電圧 2’,4’:第1エッチング工程終了時の底面および斜
面 (変形態様1)21,22,41’,42:第2エッチ
ング工程途中の底面および斜面 V21,V22:第2電圧 F1,F2:空乏層の境
界部(第2電圧対応) (変形態様2)51’:段差部曲面 F’:第2エッ
チング工程終了時の空乏層の境界部 V2i,V2f:第2電圧の初期値および終端値 (実施例2)2”,4”,51”:第3エッチング工程
終了時の底面、斜面、段差部表面 10’:凹部 21”:薄肉部 24”:辺 5
0:段差部 S:等方性エッチング速度 R:曲率半径 e1,
e2:隅部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 康利 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主面と該主面に略平行な多角形状の底面と
    を持つ半導体単結晶である基板を有し、該底面は複数の
    斜面により全周囲を囲まれていて、該底面および全該斜
    面により該主面に開口する凹部が形成されている半導体
    力学量センサにおいて、 前記底面を囲む周縁部の少なくとも一対の対向する辺
    に、所定の幅の段差部が形成されていることを特徴とす
    る半導体力学量センサ。
  2. 【請求項2】前記主面の面方位は略(110)であり、 前記底面は、各辺の方位が略<100>方位または略<
    110>方位である矩形形状をしている請求項1記載の
    半導体力学量センサ。
  3. 【請求項3】前記段差部は、前記略<100>方位の対
    向する一対の辺に形成されている請求項2記載の半導体
    力学量センサ。
  4. 【請求項4】前記底面を囲む前記斜面は、 該底面の略<100>方位の対向する一対の辺にそれぞ
    れ接している面方位(100)の斜面と、 該底面の略<110>方位の対向する他の一対の辺にそ
    れぞれ接している面方位(111)の斜面とであり、 両該斜面は、所定の長さで互いに角度をもって接してい
    る請求項2記載の半導体センサ。
  5. 【請求項5】前記段差部を含む前記底面の前記周縁部に
    おいて、複数の面が接する隅部は曲面から形成されてい
    る請求項1記載の半導体力学量センサ。
  6. 【請求項6】主面を持ち該主面に沿って内部に空乏層を
    有する半導体単結晶からなる基板の該主面に、所定の開
    口部を有するマスクを形成するマスキング工程と、 該基板を該空乏層との境界部まで異方性エッチングし
    て、全周囲が斜面に囲まれており該主面と略平行な底面
    をもつ凹部を形成する第1エッチング工程と、 該基板をさらに所定時間の異方性エッチングして、該凹
    部の該底面を囲む辺縁部の少なくとも一対の対向する辺
    に、所定の幅の段差部を形成する第2エッチング工程と
    を有することを特徴とする半導体力学量センサの製造方
    法。
  7. 【請求項7】前記マスキング工程は、面方位が略(11
    0)である前記主面に、略<100>方位および略<1
    10>方位の四辺で囲まれた矩形の前記開口部を有する
    マスクを形成する工程であり、 前記第1エッチング工程は、前記基板を異方性エッチン
    グして、前記底面を略<100>方位および略<110
    >方位の四辺で囲まれた矩形形状に形成する工程である
    請求項6記載の半導体力学量センサの製造方法。
  8. 【請求項8】前記第2エッチング工程は、前記略<10
    0>方位の対向する一対の辺に前記段差部を形成する工
    程である請求項7記載の半導体力学量センサの製造方
    法。
  9. 【請求項9】前記第1エッチング工程および前記第2エ
    ッチング工程のうち少なくとも一方は、前記基板を異方
    性エッチング液に浸してエッチング処理するウェットエ
    ッチング工程である請求項6記載の半導体力学量センサ
    の製造方法。
  10. 【請求項10】前記ウェットエッチング工程は、前記異
    方性エッチング液に接触する電極を用い、該電極と前記
    基板との間に電圧を印加して該基板を異方性エッチング
    処理する工程である請求項9記載の半導体力学量センサ
    の製造方法。
  11. 【請求項11】前記第1エッチング工程および前記第2
    エッチング工程は、前記ウェットエッチング工程であ
    り、 前記第2エッチング工程で印加される第2電圧は、前記
    第1エッチング工程で印加される第1電圧とは異なる電
    圧であって、 該第2エッチング工程では、前記空乏層の前記境界部
    が、該第1エッチング工程での該境界部の位置から前記
    主面に向かって所定距離移動しており、移動している該
    境界部に沿って前記段差部が形成される請求項10記載
    の半導体力学量センサの製造方法。
  12. 【請求項12】前記第1エッチング工程および前記第2
    エッチング工程は連続的に処理され、該第2エッチング
    工程は、前記第1電圧を概略初期値として、前記第2電
    圧を徐々に連続的または多段階的に変化させていく工程
    である請求項11記載の半導体力学量センサの製造方
    法。
  13. 【請求項13】前記第2エッチング工程が終了した後、 前記基板を等方性エッチング液に所定時間浸して、前記
    底面の前記辺縁部の複数の面が接する隅部を曲面で形成
    する第3エッチング工程を有する請求項6記載の半導体
    力学量センサの製造方法。
JP23992795A 1994-03-14 1995-09-19 半導体力学量センサおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP3551337B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23992795A JP3551337B2 (ja) 1995-09-19 1995-09-19 半導体力学量センサおよびその製造方法
US08/637,128 US5949118A (en) 1994-03-14 1996-04-24 Etching method for silicon substrates and semiconductor sensor
US09/247,908 US6194236B1 (en) 1994-03-14 1999-02-11 Electrochemical etching method for silicon substrate having PN junction

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23992795A JP3551337B2 (ja) 1995-09-19 1995-09-19 半導体力学量センサおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0982984A true JPH0982984A (ja) 1997-03-28
JP3551337B2 JP3551337B2 (ja) 2004-08-04

Family

ID=17051915

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23992795A Expired - Fee Related JP3551337B2 (ja) 1994-03-14 1995-09-19 半導体力学量センサおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3551337B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002107254A (ja) * 2000-09-28 2002-04-10 Kyocera Corp 圧力検出装置用パッケージ
WO2004114416A1 (ja) * 2003-06-20 2004-12-29 Hokuriku Electric Industry Co.,Ltd. 半導体センサ
US7107847B2 (en) 2003-06-25 2006-09-19 Matsushita Electric Works, Ltd. Semiconductor acceleration sensor and method of manufacturing the same
JPWO2005108946A1 (ja) * 2004-05-12 2008-07-31 エプソントヨコム株式会社 圧力センサ
KR20140001233A (ko) * 2010-11-26 2014-01-06 오웬 포터 기체 입자 프로세서
JP2018011080A (ja) * 2017-09-26 2018-01-18 日亜化学工業株式会社 光学部材の製造方法、半導体レーザ装置の製造方法及び半導体レーザ装置
US10122147B2 (en) 2015-07-29 2018-11-06 Nichia Corporation Method for manufacturing optical member and method for manufacturing semiconductor laser device

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002107254A (ja) * 2000-09-28 2002-04-10 Kyocera Corp 圧力検出装置用パッケージ
WO2004114416A1 (ja) * 2003-06-20 2004-12-29 Hokuriku Electric Industry Co.,Ltd. 半導体センサ
JP4913408B2 (ja) * 2003-06-20 2012-04-11 北陸電気工業株式会社 半導体センサ
US7107847B2 (en) 2003-06-25 2006-09-19 Matsushita Electric Works, Ltd. Semiconductor acceleration sensor and method of manufacturing the same
JPWO2005108946A1 (ja) * 2004-05-12 2008-07-31 エプソントヨコム株式会社 圧力センサ
JP2012063363A (ja) * 2004-05-12 2012-03-29 Seiko Epson Corp 圧力センサー
JP5217163B2 (ja) * 2004-05-12 2013-06-19 セイコーエプソン株式会社 圧力センサ
KR20140001233A (ko) * 2010-11-26 2014-01-06 오웬 포터 기체 입자 프로세서
US10122147B2 (en) 2015-07-29 2018-11-06 Nichia Corporation Method for manufacturing optical member and method for manufacturing semiconductor laser device
US10581219B2 (en) 2015-07-29 2020-03-03 Nichia Corporation Semiconductor laser device
JP2018011080A (ja) * 2017-09-26 2018-01-18 日亜化学工業株式会社 光学部材の製造方法、半導体レーザ装置の製造方法及び半導体レーザ装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3551337B2 (ja) 2004-08-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6629465B1 (en) Miniature gauge pressure sensor using silicon fusion bonding and back etching
KR101012248B1 (ko) 정전용량식 센서
US7214324B2 (en) Technique for manufacturing micro-electro mechanical structures
KR0182291B1 (ko) 개선된 반도체 압력 센서 수단 및 방법
JPS6197572A (ja) 半導体加速度センサの製造方法
US5354716A (en) Method for forming a DRAM memory cell with tapered capacitor electrodes
US5949118A (en) Etching method for silicon substrates and semiconductor sensor
JPH0982984A (ja) 半導体力学量センサおよびその製造方法
CN109391240A (zh) 晶体振子及其制造方法
JPS62149153A (ja) 埋込型素子分離溝の構造とその形成方法
JP2000155030A (ja) 角速度センサの製造方法
JP5692099B2 (ja) 半導体圧力センサおよびその製造方法
US10832920B2 (en) Insulator semiconductor device-structure
CN108760100A (zh) 一种差压压力传感器的制备方法
JP2803321B2 (ja) 半導体感歪センサ
JPH023956A (ja) 半導体装置の製造方法
JP2003156509A (ja) 半導体加速度センサおよびその製造方法
Prochaska et al. Production of silicon diaphragms by precision grinding
JPH07101743B2 (ja) 半導体圧力センサの製造方法
JP2000055758A (ja) 半導体圧力センサの製造方法
JPS6267880A (ja) 半導体装置の製造方法
JPH0298972A (ja) 半導体圧力センサの製造方法
JPH01261872A (ja) 半導体圧力センサの製造方法
JPH06260660A (ja) 半導体歪みセンサ
JPS5852882A (ja) 半導体圧力センサ

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20031222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040123

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040415

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110514

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120514

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120514

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140514

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees