JPH0980402A - 光書込み型空間光変調素子の作製方法および光書込み型空間光変調素子 - Google Patents

光書込み型空間光変調素子の作製方法および光書込み型空間光変調素子

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JPH0980402A
JPH0980402A JP24023295A JP24023295A JPH0980402A JP H0980402 A JPH0980402 A JP H0980402A JP 24023295 A JP24023295 A JP 24023295A JP 24023295 A JP24023295 A JP 24023295A JP H0980402 A JPH0980402 A JP H0980402A
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Japan
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resin
transparent electrode
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laminated
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JP24023295A
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Inventor
Hideo Fujikake
英夫 藤掛
Yoshinori Yokozawa
美紀 横澤
Kuniharu Takizawa
國治 滝沢
Hiroshi Kikuchi
宏 菊池
Takanori Fujii
孝憲 藤井
Masahiro Kawakita
真宏 河北
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Japan Broadcasting Corp
Original Assignee
Nippon Hoso Kyokai NHK
Japan Broadcasting Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コントラスト、感度および解像度に優れた光
書込み型空間光変調素子の作製方法および光書込み型空
間光変調素子を提供する。 【解決手段】 第1透明電極1と、光導電層2と、光吸
収層3と、誘電体多層膜4と、液晶・樹脂複合体5と、
第2透明電極6と、透明基板7とが順次積層され、第1
透明電極1と第2透明電極6との間に印加された交流電
圧によって駆動される光書込み型空間光変調素子の作製
方法において、第1透明電極1、光導電層2、光吸収層
3および誘電体多層膜4が積層された基板と、第2透明
電極6が積層された透明基板7との間に液晶・樹脂複合
体5の構成材料である液晶と樹脂との混合液を挟み込
み、中心波長が365nm付近、半値幅が25nm以下
の狭帯域紫外線を透明基板7側から照射することにより
前記混合液を光硬化させて液晶・樹脂複合体5を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、書込み光を用いて
画像やデータパターンのような2次元光情報を入力し、
読出し光により表示する機能を持つ光書込み型空間光変
調素子に係り、光強度変換を用いた投写型画像表示素
子、光画像の波長変換素子およびインコヒーレント光・
コヒーレント光変換素子などに応用が可能な光書込み型
空間光変調素子の作製方法および光書込み型空間光変調
素子に関する。
【0002】[発明の概要]本発明は、画像などの2次
元光情報を並列的に書込み、読出すことのできる光書込
み型空間光変調素子に関するもので、第1透明電極、光
導電層、光吸収層および誘電体多層膜が積層された基板
と、第2透明電極が積層された透明基板との間に液晶・
樹脂複合体の構成材料である液晶と樹脂との混合液を挟
み込み、中心波長が365nm付近、半値幅が25nm
以下の狭帯域紫外線を透明基板側から照射し前記混合液
を光硬化させて液晶・樹脂複合体を形成することによっ
て、液晶・樹脂複合体を構成する液晶の粒径が、0.5
μmから3μmの範囲でほぼ均一の大きさに形成でき、
これによって、コントラスト、感度および解像度に優れ
た光書込み型空間光変調素子の作製方法および光書込み
型空間光変調素子を提供するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、偏光板を必要とせず光透過率が高
い光散乱性液晶層と光導電層を用いた光書込み型空間光
変調素子の1つとして、図7に示す光書込み型空間光変
調素子が知られている(文献:K.Takizawa, H.Kikuchi,
H.Fujikake, Society forInformation Displays (SID)
International Symposium Digest of TechnicalPapers
Vol.22, p.250-p.253, 1991 )。
【0004】この図に示す光書込み型空間光変調素子
は、In2 3 :Sn等によって構成される第1透明電
極101と、この第1透明電極101に積層されBi12
SiO20等によって構成される光導電層102と、この
光導電層102に積層される光吸収層103と、この光
吸収層103に積層される誘電体多層膜104と、この
誘電体多層膜104に積層される液晶・樹脂複合体10
5と、この液晶・樹脂複合体105に積層されIn2
3 :Sn等によって構成される第2透明電極106と、
この第2透明電極106を積層するための透明基板(ガ
ラス基板)107とを備えている。
【0005】液晶・樹脂複合体105は、エポキシ樹脂
等によって構成される透明樹脂108と、ネマティック
液晶等の液晶によって構成され透明樹脂108内に小滴
状に分散配置される液晶小滴109とを備えている。
【0006】第1透明電極101と第2透明電極106
との間には、リード線110を介して駆動用交流電源1
11が接続されており、この駆動用交流電源111から
交流電圧が印加された状態で、図7の左側から書込み光
112が入射されると、その光強度に応じて液晶・樹脂
複合体105が駆動される。このとき、図7の右側から
読出し光113が照射されると、書込まれた光画像が表
示光(反射光)114として出射される。
【0007】ところで、上述した従来における光書込み
型空間光変調素子の液晶・樹脂複合体103は、以下の
ように形成されていた。
【0008】すなわち、第1透明電極101、光導電層
102、光吸収層103および誘電体多層膜104を積
層した基板を作製し、この基板と、第2透明電極106
が積層された透明基板107との間に、液晶と樹脂との
混合液を挟み込んだ状態で、透明基板107側から図中
破線で示す紫外線115を照射する。この紫外線115
の照射によって樹脂が硬化すると共に、液晶が小滴状に
分散して液晶・樹脂複合体105が形成される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
光書込み型空間光変調素子においては、図7に示されて
いるように、液晶・樹脂複合体105を構成する液晶小
滴109の粒径がばらついているので、次に述べるよう
な問題があった。
【0010】液晶・樹脂複合体105には、様々な大き
さの液晶小滴109が存在するので、各液晶小滴109
の駆動電圧はそれぞれ異なる。そのため、液晶・樹脂複
合体105の光透過率は、印加される電圧に対して、緩
慢な増加を示すこととなる。このため、光照射による光
導電層102と液晶・樹脂複合体105との分圧変化だ
けでは、液晶・樹脂複合体105が十分に透明状態にな
らず、高コントラストな表示画像を得ることができな
い。逆に、十分なコントラストを得るためには、強い書
込み光112を必要とし、感度が低いという問題があ
る。
【0011】また、液晶小滴109の粒径のばらつきが
大きく、最も大きな液晶小滴109の大きさによって液
晶・樹脂複合体105の限界解像度が制限されてしまう
ため、超高精細な表示画像を得ることができないという
問題がある。
【0012】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、コントラスト、感度および解像度
に優れた光書込み型空間光変調素子の作製方法および光
書込み型空間光変調素子を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに請求項1の発明は、第1透明電極と、この第1透明
電極に積層され、入射光の強さに応じてインピーダンス
が変化する光導電層と、この光導電層に積層される光吸
収層と、この光吸収層に積層され、光を反射する誘電体
多層膜と、この誘電体多層膜に積層され、予め設定され
ている屈折率を持つ透明樹脂にこの透明樹脂と同等な常
光屈折率を有するネマティック液晶、コレステリック液
晶、スメクティック液晶のいずれか、またはこれら液晶
の混合液晶が分散された液晶・樹脂複合体と、この液晶
・樹脂複合体に積層される第2透明電極と、この第2透
明電極に積層される透明基板とを少なくとも備え、前記
第1透明電極と第2透明電極との間に印加された交流電
圧によって駆動される光書込み型空間光変調素子の作製
方法において、前記第1透明電極、光導電層、光吸収層
および誘電体多層膜が積層された基板と、前記第2透明
電極が積層された前記透明基板との間に前記液晶・樹脂
複合体の構成材料である液晶と樹脂との混合液を挟み込
み、中心波長が365nm付近、半値幅が25nm以下
の狭帯域紫外線を前記透明基板側から照射することによ
り前記混合液を光硬化させて液晶・樹脂複合体を形成す
ることを特徴としている。
【0014】請求項2の発明は、請求項1に記載の光書
込み型空間光変調素子の作製方法において、前記液晶・
樹脂複合体を構成する透明樹脂は、光照射により重合が
促進されるアクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、ポリスチレン、ポリビニールアルコ
ール、またはこれらの共重合体であることを特徴として
いる。
【0015】請求項3の発明は、請求項1または2に記
載の光書込み型空間光変調素子の作製方法において、前
記液晶・樹脂複合体を構成する液晶として、シアノビフ
ェニル系液晶、ターフェニル系液晶、ピリジン系液晶、
ピリミジン系液晶、またはトラン系液晶のいずれかを用
いることを特徴としている。
【0016】請求項4の発明は、第1透明電極と、この
第1透明電極に積層され、入射光の強さに応じてインピ
ーダンスが変化する光導電層と、この光導電層に積層さ
れる光吸収層と、この光吸収層に積層され、光を反射す
る誘電体多層膜と、この誘電体多層膜に積層され、予め
設定されている屈折率を持つ透明樹脂にこの透明樹脂と
同等な常光屈折率を有するネマティック液晶、コレステ
リック液晶、スメクティック液晶のいずれか、またはこ
れら液晶の混合液晶が分散された液晶・樹脂複合体と、
この液晶・樹脂複合体に積層される第2透明電極とを少
なくとも備え、前記第1透明電極と第2透明電極との間
に印加された交流電圧によって駆動される光書込み型空
間光変調素子において、前記液晶・樹脂複合体を構成す
る液晶の粒径が、0.5μmから3μmの範囲でほぼ均
一の大きさに形成されていることを特徴としている。
【0017】請求項5の発明は、請求項4に記載の光書
込み型空間光変調素子において、前記液晶・樹脂複合体
を構成する透明樹脂は、光照射により重合が促進される
アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリスチレン、ポリビニールアルコール、また
はこれらの共重合体であることを特徴としている。
【0018】請求項6の発明は、請求項4または5に記
載の光書込み型空間光変調素子において、前記液晶・樹
脂複合体を構成する液晶として、シアノビフェニル系液
晶、ターフェニル系液晶、ピリジン系液晶、ピリミジン
系液晶、またはトラン系液晶のいずれかを用いることを
特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
《全体構造》図1は本発明に係る光書込み型空間光変調
素子の実施の一形態を示す構成図である。この図に示す
光書込み型空間光変調素子は、第1透明電極1と、光導
電層2と、光吸収層3と、誘電体多層膜4と、液晶・樹
脂複合体5と、第2透明電極6と、透明基板7とを備え
ており、リード線8を介して駆動用交流電源9から交流
電圧が印加されている状態で、図1の左側から光導電層
2の光導電効果を誘起する書込み光10が入射される
と、この書込み光10の光強度に応じて液晶・樹脂複合
体5が駆動される一方、図1の右側から読出し光11が
照射されると、書き込まれた光画像が表示光(反射光)
12として出射される。
【0020】第1透明電極1は、蒸着等の手法によって
光導電層2の一面に密着されたIn2 3 :Snなどの
薄膜であり、リード線8を介して駆動用交流電源9の一
方の電圧出力端子に接続されている。
【0021】光導電層2は、書込み光10の入射に対し
て電気的インピーダンスが減少するBi12SiO20、B
12GeO20、CdS、Se、アモルファスSe、S
i、アモルファスSi、アモルファスSiC、SeT
e、アモルファスSeTe、SeAs、アモルファスS
eAs、GaAsやGaPなどの材料によって構成され
る層であり、その一面側が第1透明電極1に密着され、
他面側が光吸収層3に密着されている。
【0022】光吸収層3は、CdTe膜、ダイヤモンド
ライクカーボン膜、珪素と炭素とゲルマニウムとから実
質的に構成されたアモルファス膜によって構成される群
から選択された1つ以上の膜、あるいは無機顔料、有機
顔料、カーボン、染料によって構成される群から選択さ
れた1つ以上の材料を樹脂中に分散させた樹脂複合体な
どで構成される。
【0023】誘電体多層膜4は、SiO2 膜、TiO2
膜、HfO2 膜、Ta2 5 膜、ZnS膜、Al2 3
膜、Na2 AlF6 膜、MgF2 膜、LaF3 膜、Gd
3膜、SmF3 膜、CeF3 膜、ZrO2 膜およびC
eO2 膜のいずれか、またはこの中から選択された2つ
以上の膜を積層した多層膜によって構成される。
【0024】また、液晶・樹脂複合体5は、板状に形成
される透明樹脂13と、この透明樹脂13内にほぼ均一
に分散される液晶小滴14とを備えており、この光書込
み型空間光変調素子の光変調層として機能する。
【0025】特に、この実施の形態においては、液晶・
樹脂複合体5を構成する液晶小滴14の粒径は、0.5
μmから3μmの範囲でほぼ均一の大きさに制御されて
いる。均一な液晶小滴を形成するための液晶・樹脂複合
体5の作製方法については後述する。
【0026】また、液晶小滴14を構成する液晶として
は、常光屈折率no が透明樹脂13の屈折率np と同等
の値のものが良い。さらに、この液晶の屈折率異方性Δ
n(=ne −no )は可能な限り大きいものが望まし
い。
【0027】このような条件を満たす液晶としては、屈
折率異方性Δnの大きなネマティック液晶、コレステリ
ック液晶、スメクティック液晶、またはこれら液晶の混
合液晶が用いられる。ただし、高速性を得るには、低粘
性かつ高弾性のネマティック液晶が適している。その中
でも特に、屈折率異方性Δnの大きなシアノビフェニル
系、ターフェニル系、ピリジン系、ピリミジン系および
トラン系のネマティック液晶が最適である。
【0028】また、透明樹脂13としては、紫外線によ
り重合が促進し、しかも硬化時の屈折率np が1.52
程度のアクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、
ウレタン樹脂、ポリスチレン、ポリビニールアルコー
ル、またはこれらの共重合体(例えばアクリル・ウレタ
ン共重合体)などが好適である。
【0029】第2透明電極6は、蒸着等の手法によって
透明基板7の一面に密着されたIn2 3 :Snなどの
薄膜であり、リード線8を介して駆動用交流電源9の他
方の電圧出力端子に接続される。
【0030】透明基板7は、この光書込み型空間光変調
素子の基板となる部分であり、透明度が高く、かつ平坦
性に優れたガラスや、アクリル等の合成樹脂により形成
されている。その一面側には前記第2透明電極6が積層
されている。
【0031】《液晶・樹脂複合体5の作製方法》次に、
液晶・樹脂複合体5の作製手順について説明する。先
ず、第1透明電極1と、光導電層2と、光吸収層3と、
誘電体多層膜4とを順次積層した基板を作製するととも
に、透明基板7上に透明電極6を積層する。次に、作製
された基板と、第2透明電極6が積層された透明基板7
との間に液晶・樹脂複合体5の構成材料である液晶と樹
脂との混合液を挟み込み、中心波長が365nm付近、
半値幅が25nm以下の狭帯域紫外線を透明基板7側か
ら照射することにより前記混合液を光硬化させて液晶・
樹脂複合体5を形成する。
【0032】すなわち、図2に示すように、高圧水銀キ
セノンランプ15より照射された紫外線16Aからバン
ドパスフィルタ17によって、樹脂材料が最も重合しや
すい365nmを中心波長とする狭帯域の紫外線16B
が抜き出され、透明基板7側から照射される。これによ
り、透明樹脂13の成分を重合させ、均一かつ微細な液
晶小滴14を透明樹脂13内に析出・固定し、液晶液晶
・樹脂複合体5を形成する。
【0033】この時、中心波長を大きく外れた紫外線が
入射された場合には、重合反応が影響を受けて、均一か
つ微小な液晶小滴14を形成することが困難となる。特
に、中心波長よりも短い波長の紫外光は、透明樹脂13
での吸収が強く、大きな影響を及ぼすと考えられる。そ
のため、365nmの中心波長よりも大きく外れた短い
波長の紫外線を除去することはもとより、照射する紫外
線16Bの波長帯域は、樹脂材料が最も重合しやすい波
長を中心にして、狭いほど良い。
【0034】そこで、トータルな紫外線パワーの低下も
考慮に入れると、照射される紫外線16Bの半値幅は2
5nm以下が良いとの結論を得た。
【0035】このような条件での液晶・樹脂複合体5の
作製方法では、液晶小滴14の大きさは、樹脂材料が最
も感応する中心波長での紫外線強度が強く、透明樹脂1
3の硬化が速いほど微細になる。高い解像度を得るため
には、微小な液晶小滴14が不可欠であり、しかも液晶
小滴14が小さいほど粒径の均一性が高まるので、液晶
・樹脂複合体5の急速な形成が望ましい。
【0036】しかし、様々な波長の可視光をほぼ均一に
散乱させるには、液晶小滴14の粒径を0.5μm以上
に設定する必要があり、一方、大きすぎると解像度や散
乱量が減少するため、実用的には0.5〜3μmが好適
である。また、液晶・樹脂複合体5の膜厚は、十分な光
散乱を得るために3μm以上が好ましい。実用的には、
5〜20μm程度が適当である。
【0037】なお、液晶・樹脂複合体5の作製時に、透
明樹脂13に対して液晶小滴14を構成する液晶の構成
比が大きい場合には、液晶小滴14が互いに連結してし
まい、透明樹脂13の形状が海綿体状、または3次元の
網目構造を成すこともある。また、液晶が分散された液
晶・樹脂複合体5の多くは自己支持性であるため、膜厚
の制御が容易であり、大面積化することも可能である。
ただし、透明樹脂13が軟質の場合には、液晶・樹脂複
合体5を支えるためにこの複合体5の側面または全面に
球状、またはファイバ状のスペーサを配設することもあ
る。
【0038】
【実施例】一例として試作した液晶・樹脂複合体のサン
プルでは、2枚の透明電極(In2 3 :Snから成
る)の間に、屈折率異方性の大きなネマティック液晶
(メルクジャパン社BL−008、no =1.527、
e =1.807)および光硬化性アクリルウレタン樹
脂(ノーランドプロダクツ社NOA−65、np =1.
524)を1:1の重量比で混合・攪拌し、10μm径
の球状スペーサを0.1w%添加した後、これを透明電
極が付いたガラス基板の間に挟み込んだ。
【0039】次いで、2kWの高圧水銀キセノンランプ
から、図3に示すような透過率の分光特性(中心周波数
365nm、半値幅24nm)を有する狭帯域のバンド
パスフィルタを用いて、狭帯域紫外線を透明電極側から
照射して液晶・樹脂複合体を形成した。
【0040】このようにして試作した液晶・樹脂複合体
を電子顕微鏡により観察した結果、粒径2μm以下の均
一かつ微細な液晶小滴が形成されていることが確認され
た。
【0041】<比較例>一方、バンドパスフィルタを用
いずに、高圧水銀キセノンランプからの広帯域の紫外線
を直接照射して作製した液晶・樹脂複合体を比較例とし
た。この液晶・樹脂複合体を電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、液晶小滴の粒径は均一でなく、様々な大きさにばら
ついており、4μm以上の大きな液晶小滴も形成されて
いることが判明した。
【0042】図4は、液晶・樹脂複合体5の光透過率
(%)と印加電圧(Vrms )との関係を示しており、実
線は狭帯域バンドパスフィルタを使用して試作した本実
施例の液晶・樹脂複合体のもの、破線はバンドパスフィ
ルタを使用していない比較例の液晶・樹脂複合体5のも
のをそれぞれ示している。
【0043】この図4から理解できるように、バンドパ
スフィルタを用いて紫外線を狭帯域化して照射すること
によって、液晶・樹脂複合体5の立上がり特性を急峻化
できることが示された。さらに、狭帯域の紫外線により
液晶小滴が緻密に分散されるため、消光比(=透明状態
の透過率:不透明状態の透過率)も、約20:1から1
30:1に大幅に向上した。なお、図4に示されるよう
に、本実施例では、液晶小滴の粒径が減少し、光変調に
要する印加電圧が増加するが、光書込む型空間光変調素
子では、素子全体の駆動電圧を増やせば良いので、特に
問題とはならない。
【0044】《光書込み型空間光変調素子の動作》次
に、図1に示す光書込み型空間光変調素子の動作を図5
と図6を用いて説明する。図5に示すように、この光書
込み型空間光変調素子を駆動する場合、第1透明電極1
と第2透明電極6とは、リード線8を介して交流電源9
に接続される。書込み光(入力光)10は、光導電層2
側から入射される。一方、読出し光11は、液晶・樹脂
複合体5側から入射され、液晶・樹脂複合体5で光散乱
を伴う光強度変調を受ける。変調された読出し光11
は、誘電体多層膜4で反射され、表示光12となる。な
お、誘電体多層膜4から漏れた読出し光11は、光吸収
層3で吸収される。
【0045】このとき、書込み光10が極めて弱いか、
または入射しない場合には、液晶・樹脂複合体5よりも
電気的インピーダンスが高い光導電層4側に、駆動電圧
の大半が印加される。このため、液晶・樹脂複合体5の
液晶分子の配列方向(配向)は樹脂界面の規制力を受け
液晶小滴14ごとに不規則になる。
【0046】その結果、読出し光11は、液晶小滴14
と透明樹脂13の屈折率の不整合により、反射や屈折を
繰り返し、強く散乱される。
【0047】一方、図6に示すように、十分な強度の書
込み光10が入射した場合、光導電層2の電気的インピ
ーダンスが低下するため、光導電層2に配分されていた
電圧の一部が液晶・樹脂複合体5側に移る。
【0048】このとき、各液晶小滴14の大きさが均一
であるため、各液晶小滴14内の液晶分子(正の誘電率
異方性)の配向が、一度に電界方向に揃う。このため、
液晶小滴14の屈折率は常光屈折率no に近づき、透明
樹脂13の屈折率np と同等となる。これによって、屈
折率の不整合が解消し、液晶・樹脂複合体5は透明に変
化し、入射した読出し光11は、誘電体多層膜4で反射
されて出射される。
【0049】ここで、正反射されてきた表示光12のみ
を光学系により取り出せば、書込み光10によって変調
された表示光12の光画像を得ることができ、光画像に
おける強度および波長の変換が可能になる。
【0050】その際、液晶・樹脂複合体5の光透過率対
印加電圧曲線の立上がりが急峻であるため、弱い書込み
光10で高いコントラスト比の表示光12を得ることが
できる。
【0051】また、液晶・樹脂複合体5の作製時におい
て、狭帯域紫外線16Bを照射することにより液晶・樹
脂複合体5を構成する液晶小滴14の均一・微小化が可
能となり、光書込み型空間光変調素子の解像度も、同時
に高められる。
【0052】以上説明した光書込み型空間光変調素子
は、光強度変換機能を用いた投写型画像表示素子、光画
像の波長変換素子およびインコヒーレント光・コヒーレ
ント光変換素子などに用いることも可能である。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、コ
ントラスト、感度および解像度に優れた光書込み型空間
光変調素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光書込み型空間光変調素子の実施
の一形態を示す構成図である。
【図2】本発明に係る光書込み型空間光変調素子の作製
方法の一例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る光書込み型空間光変調素子の作製
に用いた紫外線バンドパスフィルタの透過分光特性の実
験結果を示す説明図である。
【図4】図1に示す液晶・樹脂複合体の光透過率と印加
電圧との関係の実験結果を示す説明図である。
【図5】図1に示す光書込み型空間光変調素子の動作例
を示す説明図である。
【図6】図1に示す光書込み型空間光変調素子の動作例
を示す説明図である。
【図7】従来から知られている光書込み型空間光変調素
子の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 第1透明電極 2 光導電層 3 光吸収層 4 誘電体多層膜 5 液晶・樹脂複合体 6 第2透明電極 7 透明基板 8 リード線 9 駆動用交流電源 10 書込み光 11 読出し光 12 表示光 13 透明樹脂 14 液晶小滴 15 高圧水銀キセノンランプ 16A 紫外線 16B 狭帯域紫外線 17 バンドパスフィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊池 宏 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会放送技術研究所内 (72)発明者 藤井 孝憲 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会放送技術研究所内 (72)発明者 河北 真宏 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会放送技術研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1透明電極と、 この第1透明電極に積層され、入射光の強さに応じてイ
    ンピーダンスが変化する光導電層と、 この光導電層に積層される光吸収層と、 この光吸収層に積層され、光を反射する誘電体多層膜
    と、 この誘電体多層膜に積層され、予め設定されている屈折
    率を持つ透明樹脂にこの透明樹脂と同等な常光屈折率を
    有するネマティック液晶、コレステリック液晶、スメク
    ティック液晶のいずれか、またはこれら液晶の混合液晶
    が分散された液晶・樹脂複合体と、 この液晶・樹脂複合体に積層される第2透明電極と、 この第2透明電極に積層される透明基板とを少なくとも
    備え、 前記第1透明電極と第2透明電極との間に印加された交
    流電圧によって駆動される光書込み型空間光変調素子の
    作製方法において、 前記第1透明電極、光導電層、光吸収層および誘電体多
    層膜が積層された基板と、前記第2透明電極が積層され
    た前記透明基板との間に前記液晶・樹脂複合体の構成材
    料である液晶と樹脂との混合液を挟み込み、中心波長が
    365nm付近、半値幅が25nm以下の狭帯域紫外線
    を前記透明基板側から照射することにより前記混合液を
    光硬化させて液晶・樹脂複合体を形成することを特徴と
    する光書込み型空間光変調素子の作製方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光書込み型空間光変調
    素子の作製方法において、 前記液晶・樹脂複合体を構成する透明樹脂は、光照射に
    より重合が促進されるアクリル樹脂、メタクリル樹脂、
    エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリスチレン、ポリビニ
    ールアルコール、またはこれらの共重合体であることを
    特徴とする光書込み型空間光変調素子の作製方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の光書込み型空
    間光変調素子の作製方法において、 前記液晶・樹脂複合体を構成する液晶として、シアノビ
    フェニル系液晶、ターフェニル系液晶、ピリジン系液
    晶、ピリミジン系液晶、またはトラン系液晶のいずれか
    を用いることを特徴とする光書込み型空間光変調素子の
    作製方法。
  4. 【請求項4】 第1透明電極と、 この第1透明電極に積層され、入射光の強さに応じてイ
    ンピーダンスが変化する光導電層と、 この光導電層に積層される光吸収層と、 この光吸収層に積層され、光を反射する誘電体多層膜
    と、 この誘電体多層膜に積層され、予め設定されている屈折
    率を持つ透明樹脂にこの透明樹脂と同等な常光屈折率を
    有するネマティック液晶、コレステリック液晶、スメク
    ティック液晶のいずれか、またはこれら液晶の混合液晶
    が分散された液晶・樹脂複合体と、 この液晶・樹脂複合体に積層される第2透明電極とを少
    なくとも備え、 前記第1透明電極と第2透明電極との間に印加された交
    流電圧によって駆動される光書込み型空間光変調素子に
    おいて、 前記液晶・樹脂複合体を構成する液晶の粒径が、0.5
    μmから3μmの範囲でほぼ均一の大きさに形成されて
    いることを特徴とする光書込み型空間光変調素子。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の光書込み型空間光変調
    素子において、 前記液晶・樹脂複合体を構成する透明樹脂は、光照射に
    より重合が促進されるアクリル樹脂、メタクリル樹脂、
    エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリスチレン、ポリビニ
    ールアルコール、またはこれらの共重合体であることを
    特徴とする光書込み型空間光変調素子。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載の光書込み型空
    間光変調素子において、 前記液晶・樹脂複合体を構成する液晶として、シアノビ
    フェニル系液晶、ターフェニル系液晶、ピリジン系液
    晶、ピリミジン系液晶、またはトラン系液晶のいずれか
    を用いることを特徴とする光書込み型空間光変調素子。
JP24023295A 1995-09-19 1995-09-19 光書込み型空間光変調素子の作製方法および光書込み型空間光変調素子 Pending JPH0980402A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6667824B2 (en) * 2000-11-20 2003-12-23 Alcatel Dynamic spatial equalizer based on a spatial light modulator
JP2004078221A (ja) * 2002-08-16 2004-03-11 Eastman Kodak Co ディスプレイ
KR100955416B1 (ko) * 2002-09-27 2010-05-04 인더스트리얼 테크놀로지 리써치 인스티튜트 디스플레이 시스템
CN110783463A (zh) * 2018-07-30 2020-02-11 咸阳彩虹光电科技有限公司 一种用于太阳能电池的主动层结构及太阳能电池

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