JPH0979240A - 磁性を有するナット体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】構造体に被締結体を締結する場合、作業スペー
スの狭い場所でも容易に締結でき、かつ構造体のねじ穴
が不要となるナット体を提供する。 【構成】締結片と非締結片の少なくても二辺を有する構
造体の裏側にナット体を当接してねじ締結するものにお
いて、ナット体を磁力を有する多角体で構成し、さらに
このナット体のねじ穴は、多角体の各角部に対してその
非中央点の偏芯位置に設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、構造物の締結用に使用
されるナット体の構成に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ナット体を使用してボルト体を締
結するには、締結される構造体の合計板厚寸法より長い
ボルト体のねじ部分にナット体を締め込むか、ナット体
をスパナ等の道具で回り止めをしながらボルトの頭部を
締め付けるのが普通であり、このナット体は六角鋼にタ
ップ穴をあけたものが用いられていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の締結方法で
は、ナット体部分に道具を使用するための作業スペース
が必要となるため、被締結構造体の裏側が隠れていて道
具の操作スペースが足りない場所では締結作業が困難で
あった。また、ボルト体を構造体にねじ込む構造では、
ねじ込みと緩めの繰りかえしにより、ねじ穴の摩耗が進
行し、その寿命が問題となっていた。

【０００４】本発明の目的は、作業スペースの狭い場所
でも容易に締結でき、かつ構造体にはねじ穴が不要とな
るナット体を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達するために
本発明は、ボルト等のねじ体を締結するために設けられ
る構造体が、ねじ体側の締結片と非締結片の少なくても
二辺を有し、この締結片の裏側にナット体を当接してね
じ体を締結するものにおいて、前記ナット体を、磁力を
有する多角体で構成し、さらにこのナット体のねじ穴
は、多角体の角部に対してその非中央点の偏芯位置に設
けてある。また、前記ナット体は、前記締結片のねじ通
し穴の裏側において、このねじ通し穴の中心に、前記ね
じ穴の中心を一致させる一方、前記多角体の一つの角部
が前記非締結片に接触する取り付け状態としたものであ
る。また、ナット体の回転方向に、それの回転を止める
ロックピンを構造体の一部に取り付け、これにナット体
の一部を接触させるようにしたものである。

【０００６】

【作用】本発明のナット体は、磁性を有しているため構
造体のねじ通し穴位置にナット体のねじ穴を合わせれ
ば、その磁力によって構造体に吸着する。このため、構
造体やナット体の周囲に作業スペースがない場合でもね
じ体を締結することができ、この点は特に、構造体やナ
ット体がほとんど隠れるような締結条件に対して有効で
ある。また、構造体には、ねじ穴を設けない構造である
ため、それの摩耗寿命を心配する必要はない。

【０００７】さらに、このナット体は、多角体で構成さ
れ、その各角部に対してねじ穴が非中央点の偏芯位置に
あって、ねじ穴から各角部の寸法が異なることから、少
なくても一つの角部を構造体の非締結片に接触させるこ
とが出来、ねじ体に強い締結回転力を与えてもナット体
が空転したり、緩む方向の悪作用が生じることはない。
また、前記ロックピンを取り付けたことにより、ナット
体の回転をより確実に抑制することができる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１、図２及び図
３により説明する。図１において、本発明の一実施例の
ナット体１は、幅Ｗ，縦Ｈが数ｍｍ〜数ｃｍ，板厚Ｔが
数ｍｍで符号Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄの各角部を面取りした多角
体で、各角部からは距離ａ，ｂ，ｃ，ｄと各々異なる位
置にねじ穴１Ａがあけられている。ここで、ナット体１
を使って構造体２に例えば断面コ字形の被締結体３をね
じ固定する場合を図２のような組み合わせの例で説明す
れば、締結片２Ａのねじ通し穴２ａから被締結片２Ｂま
での寸法を目測し、この寸法に近い距離である例えば距
離ｂの角部Ｂを非締結片２Ｂに接触させ、この状態でね
じ通し穴２ａの穴中心にねじ穴１Ａを合わせてから磁力
で吸着させる。次に、被締結体３のねじ通し穴３ａにね
じ体４を差し込み、ねじ込むとねじ体４の先端がねじ穴
１Ａにねじ込まれて締結、固定されるものである。この
図２の状態を裏側から見ると図３のようになる。すなわ
ち、ねじ体４の回転力である矢印Ｘの力が作用し、この
時角部Ｂが非締結片２Ｂに接触してロック状態となって
回転力が阻止され、ねじ込みが確実に行われる。なお、
図２に点線で図示したロックピン５を構造体２に固定し
ておいて、図３の矢印Ｙのようにねじ体４の回転力を止
めて締結、固定する方法でも、上記と同様の効果が得ら
れるので何ら不都合はない。

【０００９】

【発明の効果】本発明によれば、ねじ込み作業スペース
の狭い場所でも容易に締結でき、かつ構造体のねじ穴が
不要となるナット体を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のナット体の単体斜視図であ
る。

【図２】本発明の一実施例のナット体の組込み状態の断
面図である。

【図３】図２のＡ矢視の裏面を示す断面図である。

【符号の説明】

１……ナット体、２……構造体、２Ａ……締結片、２Ｂ
……非締結片 ２ａ，３ａ……ねじ通し穴、４……ねじ体、５……ロッ
クピン Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ……角部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ホルト等のねじ体を締結するために設けら
   れる構造体が、ねじ体側の締結片と非締結片の少なくて
   も二辺を有し、この締結片のねじ通し穴の裏側にナット
   体を当接してねじ体を締結するものにおいて、前記ナッ
   ト体を、磁力を有する多角体で構成し、さらにこのナッ
   ト体のねじ穴は、多角体の各角部に対してその非中央点
   の偏芯位置に設けられていることを特徴とする磁性を有
   するナット体。
2. 【請求項２】前記ナット体は、前記締結片のねじ通し穴
   の裏側において、このねじ通し穴の中心に、前記ねじ穴
   の中心を一致させる一方、前記多角体の一つの角部が前
   記非締結片に接触する取付け状態とすることを特徴とす
   る請求項１記載の磁性を有するナット体。
3. 【請求項３】ボルト等のねじ体を締結するために設けら
   れる構造体が、ねじ体側の締結片と非締結片の少なくて
   も二辺を有し、この締結片の裏側にナット体を当接して
   ねじ体を締結するものにおいて、前記ナット体を磁力を
   有する多角体で構成する一方、このナット体のねじ穴
   は、多角体の各角部に対してその非中央点の偏芯位置に
   設け、さらに前記構造体の一部にロックピンを設けてこ
   のロックピンに前記ナット体を接触させて取付けるよう
   にしたことを特徴とする磁性を有するナット体。