JPH0978360A - 気相成長炭素繊維の製造方法 - Google Patents

気相成長炭素繊維の製造方法

Info

Publication number
JPH0978360A
JPH0978360A JP7229918A JP22991895A JPH0978360A JP H0978360 A JPH0978360 A JP H0978360A JP 7229918 A JP7229918 A JP 7229918A JP 22991895 A JP22991895 A JP 22991895A JP H0978360 A JPH0978360 A JP H0978360A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction tube
supply nozzle
carrier gas
raw material
gas supply
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7229918A
Other languages
English (en)
Inventor
Minoru Harada
稔 原田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikkiso Co Ltd
Original Assignee
Nikkiso Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikkiso Co Ltd filed Critical Nikkiso Co Ltd
Priority to JP7229918A priority Critical patent/JPH0978360A/ja
Publication of JPH0978360A publication Critical patent/JPH0978360A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アスペクト比が特に大きい気相成長炭素繊維
を高収率で製造することができる気相成長炭素繊維の製
造方法を提供することを課題とする。 【解決手段】 原料ガスと、特定割合の二酸化炭素ガス
とを、原料ガス供給ノズルから反応管内に供給すること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は気相成長炭素繊維
の製造方法に関し、さらに詳しくは、アスペクト比の大
きい気相成長炭素繊維を高収率で製造することができる
気相成長炭素繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】気相法による炭素繊維(以下、気相成長
炭素繊維と略称する。)は、結晶配向性に優れているの
で、機械的特性、電気的特性、生化学的特性等におい
て、従来の炭素繊維には見られない優れた特性を有して
いる。
【0003】従来、気相成長炭素繊維は、基板法あるい
は流動気相法と称される方法により製造されている。こ
の流動気相法と称される方法は、メタン、エタン、ベン
ゼン等の炭素化合物のガスと、フェロセン等の有機遷移
金属化合物のガスと、キャリアガスとを予め混合するこ
とにより混合ガスを得、その混合ガスを加熱炉に注入す
ることにより、気相中で金属触媒を生成させ、連続的に
炭素繊維を製造する方法である。気相成長炭素繊維の製
造方法として、特開昭60ー54998号公報等に記載
された方法が、連続生産が可能で生産性の高い方法と評
価され、主流となっている。
【0004】ところで、近年においては、このような方
法により気相成長炭素繊維が工業的に量産可能となり、
航空宇宙産業、スポーツ・レジャー産業等に限らず幅広
い分野に気相成長炭素繊維が使用されるに至った結果、
気相成長炭素繊維の特性・形状等に対するニーズが多様
化している。
【0005】しかしながら、従来の製造方法では前述の
ニーズに対応することが困難であったので、従来よりも
効率的かつ高収率である気相成長炭素繊維の製造方法が
待ち望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、ア
スペクト比の大きい気相成長炭素繊維を効率的に高収率
で製造することができる気相成長炭素繊維の製造方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の請求項1に記載の発明は、原料ガス供給ノズルから反
応管内に原料ガスを、かつ前記原料ガス供給ノズルの周
囲に配置されたキャリヤガス供給ノズルから反応管内に
キャリヤガスを供給することにより、加熱された反応管
内で気相成長炭素繊維を生成する気相成長炭素繊維の製
造方法において、前記原料ガス供給ノズルから反応管内
に原料ガスと二酸化炭素とを供給し、前記二酸化炭素の
供給量が、原料ガス供給ノズルから供給されるガス量に
対して多くとも10容量%であり、かつ反応管内に供給
される全ガス量に対して多くとも5容量%であることを
特徴とする気相成長炭素繊維の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明における反応管として
は、内部を雰囲気と遮断することができること、およ
び、加熱により内部を、特に気相成長炭素繊維生成領域
を所定の温度に維持することができる限り特に制限がな
いのであるが、反応管内を気体が、ピストンフローに近
い状態で、ガスの流通に実質的な乱れのない状態で、流
通することができるように形成されているのが好まし
い。
【0009】この反応管内が所定の温度に加熱されるた
めに、この反応管には、管内加熱手段が併設される。好
適な管内加熱手段として、たとえば、反応管の外部に設
けられた電気炉を挙げることができる。
【0010】この管内加熱手段により加熱される管内の
温度、特に管内の気相成長炭素繊維生成領域の温度とし
ては、600〜1,500℃、好ましくは800〜1,
300℃である。さらに、後述するように、この反応管
が縦型反応管、特に気体を上から下へと流通可能に形成
してなる縦型反応管であるときには、気相成長炭素繊維
生成領域の温度が、前記温度範囲において、原料ガスの
気体が流通する風上から風下に向かって、順次に温度低
下するように温度勾配を設けるのが好ましい。どのよう
に温度勾配を設けるかは、反応管の規模等に応じて適宜
に決定される。
【0011】前記ピストンフローとしては、流体の微小
部分が同じ方向に同じ速度で移動している状態を挙げる
ことができ、流体がシリンダー内でピストンにより押し
出されるときのような流通状態とも称することができ
る。また、ピストンフローに近い流通状態という表現
を、対流や乱流の実質的に生じていない流通状態と言う
こともできる。この発明においては、反応管中における
気相成長炭素繊維生成領域において、対流を生じさせな
いようにしてピストンフローに近い気流を実現して気相
成長炭素繊維を製造するのが好ましい。反応管中を原料
ガスがピストンフローとなって流通すると、ピストンフ
ローではない気流の乱れにより反応管中で生成した気相
成長炭素繊維が反応管内壁に付着することが防止され、
連続的に生成した気相成長炭素繊維を気流とともに容易
に取り出すことができるようになる。
【0012】反応管内を流通する気体がピストンフロー
に近い流通状態を形成するためには、反応管中に気流を
整流する整流手段を設けるのが好ましい。整流手段とし
ては、反応管内を流通する気体がピストンフローに近い
流通状態となり得るように構成されている限り種々の構
成あるいは手段を採用することができ、たとえば、反応
管の中心線に直交する断面全体を覆い、しかも内部孔を
反応管軸に平行となるように配置されたハニカム板、多
孔質板および多数枚の平行に配列されたフィンの集合体
などを挙げることができる。また、このように配置され
た整流手段と共に、あるいは整流手段に代えて、後述す
る原料ガス供給ノズルと、キャリヤガス供給ノズルとの
少なくともいずれかに他の整流手段を設けても良い。
【0013】反応管はその中心線が垂直になっている縦
型反応管、その中心線が水平になっている横型反応管お
よびその中心線が傾斜している傾斜型反応管のいずれも
採用することができる。もっとも、反応管の中心線に直
交する断面において均一な温度分布を有するように反応
管内を良好に加熱すると言う観点よりすると、反応管は
縦型反応管が好ましい。
【0014】縦型反応管を採用する場合に、原料ガスを
初めとする気流を下から上へと流通させることにより気
相成長炭素繊維を製造することも技術的に可能ではある
が、気流を上から下へと流通させ、しかも、前記管内加
熱手段により、反応管の上部が高温であり、反応管の下
部が低温であるように、反応管の上部から下部へと温度
勾配を設けると、反応管内で対流が起きにくくなるの
で、好ましい。反応管の上部の温度と反応管の下部の温
度差は、反応管内で上下方向の対流が生じないようにす
ることができる限り特に制限はない。もし縦型の反応管
中で上部温度と下部温度とに他の理由により温度勾配が
生じていないときには、反応管中の上部温度と下部温度
とに温度勾配を特に設ける必要はない。
【0015】反応管の形状についても特に制限がなく、
その中心線に直交する断面が方形、長方形、多角形、楕
円形、および円形のいずれであっても良い。もっとも、
中心線に直交する断面が円形である円筒状反応管が好適
であり、また汎用的でもある。
【0016】反応管の一端部には、原料ガス供給ノズ
ル、およびキャリヤガス供給ノズルが設けられる。
【0017】原料ガス供給ノズルは、反応管の一端部で
あって、反応管の中心線に一致するように配置するのが
好ましい。反応管の中心線に一致するように原料ガス供
給ノズルを配置しておくと、その原料ガス供給ノズルの
先端開口部から吹き出すガスが反応管の軸に平行な方向
に流通し、反応管中の気相成長炭素繊維生成領域へと均
一に流通するからである。
【0018】原料ガス供給ノズルから供給されるガスは
原料ガス供給ノズル内で凝縮し、あるいは分解したりせ
ずに、ガスを形成する各成分が良好に混合した状態であ
るのが好ましい。そのためには、原料ガス供給ノズルに
は、これによって反応管中に供給されるガスを所定の温
度に制御する温度調整手段およびガス中の成分の混合状
態を良好に調整する混合調整手段などの調整手段を備え
ているのが好ましい。
【0019】前記調整手段の取り付け位置は、原料ガス
供給ノズルから供給されるガスが実質的なピストンフロ
ーもしくはピストンフローに近い状態となって反応管中
を流通するように噴出することが阻害されない限り、特
に制限がなく、たとえば原料ガス供給ノズル内にガス加
熱手段またはガス冷却手段が設けられる。
【0020】もっとも、原料ガス供給ノズルにガス加熱
手段およびガス冷却手段のいずれを設けるかは、原料ガ
ス供給ノズルの反応管中での長さによって決定されるこ
ともある。たとえば、原料ガス供給ノズルの先端部が反
応管中の気相成長炭素繊維生成領域に到達するように十
分長く原料ガス供給ノズルの反応管中での長さが設定さ
れているときには、原料ガス供給ノズルが前記管内加熱
手段により加熱されるので、原料ガス供給ノズルから反
応管中に供給されるガスの温度が後述する炭素源のガス
および触媒源のガス等の分解温度以上になるから、この
ときには原料ガス供給ノズルにガス冷却手段が設けられ
ることがある。
【0021】また、原料ガス供給ノズルの先端部が反応
管中の気相成長炭素繊維生成領域よりも遠い位置にある
ときには、気相成長炭素繊維の生成反応が円滑に行われ
るように、原料ガス供給ノズルに補助的にガス加熱手段
が設けられることもある。
【0022】原料ガス供給ノズルから供給されるガスの
温度は、通常200〜800℃であり、たとえば原料ガ
ス中のたとえば有機遷移金属化合物がフェロセンなどの
メタロセンなどであるときには、この原料ガス供給ノズ
ルから供給されるガスは300〜600℃に加熱される
のが好ましい。換言すると、300〜600℃に維持さ
れた原料ガスが反応管中に供給されるのが、好ましい。
【0023】この原料ガス供給ノズルには原料ガス用整
流手段を設けておくのが好ましい。原料ガス用整流手段
としては、原料ガス供給ノズルから吹き出す原料ガスを
整流することができる限りその構造等については特に制
限がなく、たとえば原料ガス供給ノズルの開口部に装着
するハニカム板、多孔質板および平行に配置された多数
枚のフィンの集合体等を挙げることができる。
【0024】この発明においては、反応管の一端部にお
いて、原料ガス供給ノズルの周囲に、好ましくは原料ガ
ス供給ノズルを囲繞するようにして原料ガス供給ノズル
の外側にキャリヤガス供給ノズルが設けられる。
【0025】原料ガス供給ノズルに対してキャリヤガス
供給ノズルをこのような配置関係で設けることにより、
管内加熱手段により反応管内に供給される熱が直ちに原
料ガス供給ノズルに伝導するのを防止するという効果が
奏される。もっとも、原料ガス供給ノズルにガス冷却手
段を設けておくことにより、管内加熱手段により原料ガ
ス供給ノズルから供給されるガスがオーバーヒートされ
ることがさらに有効に防止される。
【0026】かくしてキャリヤガス供給ノズルは、原料
ガス供給ノズルの外周に設けられるのであるが、このキ
ャリヤガス供給ノズルの外側にこれを囲繞するように、
キャリヤガスを反応管内に供給する第2キャリヤガス供
給ノズルを設けるのも良い。
【0027】キャリヤガス供給ノズルから反応管内に供
給されるところのキャリヤガスが所定の温度、たとえば
600〜1700℃、好ましくは800〜1500℃の
温度範囲から選択される適宜の温度に調整され、反応管
内での対流を有効に防止することができるように、キャ
リヤガスの温度を調整する第1温度調整手段を設けるの
も好ましい。
【0028】第1温度調整手段の取付位置は、キャリヤ
ガス供給ノズルから反応管内に供給されるキャリヤガス
が所定の温度になるように決定され、たとえばキャリヤ
ガス供給ノズル内に第1温度調整手段を設けても良く、
またキャリヤガス供給ノズルの上流側に第1温度調整手
段を設けても良い。
【0029】キャリヤガス供給ノズルにおいて前記第1
温度調整手段により調整されるキャリヤガスの温度は、
反応管内の気相成長炭素繊維生成領域における温度と同
じかそれよりも高い温度に調整されるのが好ましい。こ
れによって、(1) 反応管内での対流の発生の防止、(2)
原料ガス供給ノズルより供給される低温度の原料ガスに
熱を供給することにより触媒源の分解、触媒の形成、お
よび気相成長炭素繊維の生成が円滑に行われる、等の効
果が奏されて気相成長炭素繊維の迅速な生成が達成され
る。
【0030】この発明においては、反応管内の気相成長
炭素繊維生成領域において気流がピストンフローとなる
ようにしむけることが好ましい。前記したように、キャ
リヤガス供給ノズルから供給されるガスの温度を原料ガ
ス供給ノズルから供給されるガスの温度よりも高くする
ことによる対流発生の防止が、気流のピストンフローの
形成に寄与している。
【0031】キャリヤガス供給ノズルおよび原料ガス供
給ノズルから反応管内に供給されるガスが反応管中で良
好なピストンフローとなるように、キャリヤガスを整流
する第1整流手段を設けるのが好ましい。第1整流手段
としてはたとえば、ハニカム板、多孔質板、平行に配列
された複数枚のフィンの集合体等を挙げることができ
る。このような第1整流手段は、キャリヤガス供給ノズ
ルを覆うように装着するのが好ましい。
【0032】第2キャリヤガス供給ノズルを設ける場
合、これは、前記キャリヤガス供給ノズルを第1キャリ
ヤガス供給ノズルとしてこの第1キャリヤガス供給ノズ
ルの外側に設けられる。
【0033】この第2キャリヤガス供給ノズルは、反応
管壁に沿ってキャリヤガス(以下において、第2キャリ
ヤガスと称することがある。)が流通するようにこれを
噴出させる機能を有する。
【0034】この発明においては、この第2キャリヤガ
スによって、反応管内における気相成長炭素繊維生成領
域で生成する気相成長炭素繊維あるいは黒鉛成分ないし
炭素成分等の付着成分が反応管の内壁に付着するのを防
止する。この付着成分が反応管の内壁に付着するのを有
効に防止するには、第2キャリヤガス供給ノズルから噴
出する第2キャリヤガスを、気相成長炭素繊維の生成反
応を阻害するガスにし、または第2キャリヤガスが気相
成長炭素繊維の生成反応に影響を与えないガスであると
きにはその第2キャリヤガスの流速を第1キャリヤガス
供給ノズルから噴出する第1キャリヤガスの流速よりも
大きくするのが、好ましい。こうすることにより、気相
成長炭素繊維生成領域で生成した気相成長炭素繊維およ
びその他の物質が反応管内壁に付着するのが有効に防止
される。したがって、このような機能が達成される限
り、この第2キャリヤガス供給ノズルの形状、構造ある
いは配置について特に制限がない。
【0035】第2キャリヤガスの流速を第1キャリヤガ
スの流速よりも大きくする場合、第2キャリヤガスの流
速を混合ガスの流速に対して1.01〜3倍程度に大き
くするのが好ましい。
【0036】第2キャリヤガス供給ノズルから反応管内
に供給される第2キャリヤガスが所定の温度に調整され
るように、第2キャリヤガスの温度を調整する第2温度
調整手段を設けるのが好ましい。第2温度調整手段は、
気相成長炭素生成領域における温度よりも低い温度の第
2キャリヤガスが供給されることにより反応管中で対流
が発生することを有効に防止するために、気相成長炭素
生成領域での反応温度もしくはそれよりも高い温度に第
2キャリヤガスを維持することができるように、構成さ
れる。また、この第2温度調整手段は、低い温度に維持
された原料ガスを迅速に反応温度にまで高めるようにも
作用する。
【0037】第2温度調整手段の取付位置は、第2キャ
リヤガス供給ノズルから反応管内に供給される第2キャ
リヤガスが所定の温度になるように調整することのでき
る位置であれば特に制限がなく、たとえば第2キャリヤ
ガス供給ノズル内に第2温度調整手段を設けても良く、
また第2キャリヤガス供給ノズルの上流側に第2温度調
整手段を設けても良い。
【0038】第2キャリヤガス供給ノズルにおいて前記
第2温度調整手段により調整される第2キャリヤガスの
温度は、第1キャリヤガス供給ノズルから吹き出す第1
キャリヤガスの温度よりも高く設定することもできる
し、また場合によっては、原料ガス供給ノズルから供給
されるガスの温度よりも高いが第1キャリヤガスの温度
よりも低い温度に設定することもできる。第2キャリヤ
ガスの温度を前記いずれの温度に設定しても、原料ガス
供給ノズルから供給されるガス、第1キャリヤガスおよ
び第2キャリヤガスによる流体が実質的にピストンフロ
ーに近い流通状態になり、対流の発生を防止することが
できて気相成長炭素繊維の製造を良好に行うことができ
る。特に、第2キャリヤガスの温度が第1キャリヤガス
の温度よりも高い場合には、原料ガス供給ノズルから供
給されるガスの周囲を第1キャリヤガスと共に第2キャ
リヤガスが包み込み、しかも第2キャリヤガスの温度が
原料ガス供給手段より供給されるガスの温度よりも高い
値になっているので、第2キャリヤガスと第1キャリヤ
ガスと原料ガス供給ノズルより供給されるガスとの間で
の対流発生が防止される。その結果、気相成長炭素繊維
生成領域における気流の乱れが防止され、気相成長炭素
繊維が良好に生成される。
【0039】前記したように、第2キャリヤガスの温度
を第1キャリヤガスの温度よりも高く、第1キャリヤガ
スの温度を原料ガスの温度よりも高くすることにより、
あるいは第1キャリヤガスの温度を第2キャリヤガスの
温度よりも高く、第1キャリヤガスの温度を原料ガスの
温度よりも高くすることにより、反応管内での対流発生
が防止され、気流のピストンフローに近い流通状態が良
好に形成される。
【0040】第2キャリヤガス供給ノズルから反応管内
に供給される第2キャリヤガスが原料ガスおよび第1キ
ャリヤガスと共に反応管中で良好なピストンフローに近
い流通状態が形成されるようにするには、第2キャリヤ
ガスを整流する第2整流手段を第2キャリヤガス供給ノ
ズルに設けるのが好ましい。第2整流手段としてはたと
えば、ハニカム板、多孔質板、および平行に配列された
複数のフィン集合体等を挙げることができる。このよう
な第2整流手段は、第2キャリヤガス供給ノズルを覆う
ように装着するのが好ましい。
【0041】原料ガス供給ノズル、第1キャリヤガス供
給ノズルおよび第2キャリヤガス供給ノズルの好適例を
述べると以下のようである。
【0042】すなわち、原料ガス供給ノズルは、縦型反
応管の中心線に一致するように配置され、かつ縦型反応
管の上端に設けられた円筒体であり、第1キャリヤガス
供給ノズルは前記原料ガス供給ノズルを形成する円筒体
の外周を囲繞するように、縦型反応管の上端に設けられ
た円筒管すなわち内筒管と、前記円筒体とで形成され、
したがって、この第1キャリヤガス供給ノズルは、縦型
反応管の内部下方から見ると環状に開口した状態にな
り、第2キャリヤガス供給ノズルは、第1キャリヤガス
供給ノズルにおける内筒管と縦型反応管の内壁とで形成
され、この第2キャリヤガス供給ノズルを縦型反応管の
内部下方から見ると環状に開口した状態に形成される。
【0043】もっとも、原料ガス供給ノズル、第1キャ
リヤガス供給ノズルおよび第2キャリヤガス供給ノズル
の好適例は上記の例に限られない。
【0044】要は、原料ガス供給ノズルから反応管中に
拡散するガスを気相成長炭素繊維生成領域にピストンフ
ローに近い流通状態にして流通させることができるよう
に、また、第1キャリヤガス供給ノズルは前記原料ガス
供給ノズルから噴出するガスを囲繞するように、あるい
は包み込むように噴出して、原料ガス供給ノズルからの
ガスを気相成長炭素繊維生成領域に同伴することができ
るように、また第2キャリヤガス供給ノズルは、反応管
内壁に沿って流通し、気相成長炭素繊維生成領域におい
ては気相成長炭素繊維が反応管内壁に付着するのを防止
するように流通することができるように形成されていれ
ば良い。
【0045】したがって、原料ガス供給ノズルは、縦型
反応管の上端に、縦型反応管の中心線に一致するよう
に、配置された円筒体であり、第1キャリヤガス供給ノ
ズルは、前記原料ガス供給ノズルの外周を囲繞するよう
に配置された多数の小口径ノズルの集合体であり、第2
キャリヤガス供給ノズルは反応管の内壁と前記小口径ノ
ズルの集合体とで形成される環状の空間であっても良
い。
【0046】原料ガス供給ノズルから反応管内には、原
料ガス、二酸化炭素および必要に応じて添加されるキャ
リヤガスが供給される。
【0047】前記原料ガスは、気相成長炭素繊維を形成
する炭素源と気相成長炭素繊維生成の触媒となり得る遷
移金属を含有する触媒源とを少なくとも含有し、好適に
は助触媒源をも含有する。炭素源と触媒源とをガス状に
して原料ガス供給ノズルを経由して反応管中に供給する
ことができるのであれば、原料ガスには特にキャリヤガ
スを必須とはしないけれど、炭素源と触媒源とが原料ガ
ス供給ノズル中で、あるいはそれ以前に分解してしまう
のを防止し、かつ円滑に反応管中に炭素源と触媒源とを
供給するには、多くの場合、原料ガス中にキャリヤガス
が含まれているのが望ましい。すなわち、好適な原料ガ
スは、炭素源と、触媒源と、必要に応じて添加される助
触媒源と、キャリヤガスとを含有する。
【0048】前記炭素源としては、触媒源を構成する化
合物中の炭素成分および有機化合物を挙げることができ
る。触媒源を構成する炭素成分の含有量が気相成長炭素
繊維を生成するのに十分な量であるときには、触媒源は
反応中に触媒となる遷移金属を供給する機能のほかに気
相成長炭素繊維となる炭素の供給源としての機能を有す
る。したがって、原料ガスは炭素源でもある触媒源から
なることもある。また、原料ガスは炭素源と触媒源とを
共に含有してなることもある。
【0049】触媒源としては有機遷移金属化合物を挙げ
ることができる。この有機遷移金属化合物は、反応管内
で分解することにより触媒としての遷移金属を発生させ
ることのできる有機金属化合物である限り特に制限がな
い。有機遷移金属化合物を構成する好適な遷移金属は、
周期律表第VIII族に属する金属を挙げることができる、
特に好適な遷移金属は、鉄、ニッケルおよびコバルトよ
りなる群から選択される少なくとも一種であり、更に好
適な遷移金属は鉄である。これらの外に有機遷移金属化
合物を構成し得る遷移金属の具体例としては、特公昭6
2−49363号公報の第5欄第14行から第22行ま
でに記載されたスカンジウム、チタン、バナジウム、ク
ロム、マンガン等の金属を挙げることができる。
【0050】炭素源である有機化合物は反応管内で気相
成長炭素繊維を形成するための炭素源となり得る化合物
である限り特に制限がない。この発明の方法に使用され
る炭素源としての有機化合物としては、特公昭62−4
9363号公報の第4欄第14行から第37行までに記
載の化合物を挙げることができる。好適な有機化合物と
しては、ベンゼン、トルエン、スチレン等の芳香族炭化
水素化合物、メタン、エタン、プロパン等の脂肪族炭化
水素化合物を挙げることができる。またこれらはその一
種を単独で使用することもできるし、その二種以上を組
みあわせて使用することもできる。
【0051】助触媒源としては、前記触媒源から発生す
る触媒金属と相互作用して気相成長炭素繊維の生成を促
進することのできるものであれば良く、たとえばベンゾ
チオフェン、チオフェン等の含硫黄複素環式化合物およ
び硫化水素等の硫黄化合物などが好適である。
【0052】この発明において重要なことの一つは、原
料ガス供給ノズルから反応管内に供給するガス中に二酸
化炭素を含有することである。この二酸化炭素の作用に
ついては後述する。
【0053】原料ガス供給ノズルから供給される前記キ
ャリアガスとしては、気相成長炭素繊維の生成反応に影
響を与えない限り特に制限がなく、ヘリウム、ネオン、
アルゴン等の希ガス、窒素ガスおよび水素ガスなどを挙
げることができる。好ましいのは水素ガスである。
【0054】キャリヤガス供給ノズルから反応管内に供
給されるキャリヤガスとしては、気相成長炭素繊維の生
成反応に影響を与えない限り特に制限がなく、ヘリウ
ム、ネオン、アルゴン等の希ガス、窒素ガスおよび水素
ガスなどを挙げることができ、好ましいのは水素ガスで
ある。キャリヤガス供給ノズルから供給されるキャリヤ
ガスと原料ガス供給ノズルから供給されるキャリヤガス
とは同じ種類、たとえば水素ガスであるのが望ましい。
【0055】このキャリヤガス供給ノズルが第1キャリ
ヤガス供給ノズルと第2キャリヤガルとからなるときに
は、この第1キャリヤガス供給ノズルから供給されるガ
スとして、前記キャリヤガスと前記炭素源とを含有する
混合ガス、または前記キャリヤガスと二酸化炭素との混
合ガスを採用することもできる。
【0056】第2キャリヤガス供給ノズルからは前記キ
ャリヤガス供給ノズルから供給するのと同じキャリヤガ
スを供給することが好ましい。
【0057】この発明の方法は以下のようにして使用さ
れることができる。
【0058】すなわち、原料ガス供給ノズルを通じて反
応管内に導入された原料ガスおよび二酸化炭素は、キャ
リヤガス供給ノズルから反応管内に供給されるキャリヤ
ガスにより同伴されて反応管中を流通し、気相成長炭素
繊維生成領域に至る。この気相成長炭素繊維生成領域で
は、原料ガス中の触媒源たとえば遷移金属化合物および
炭素源たとえば有機化合物は、加熱されることにより分
解され、その結果、触媒金属の作用により気相成長炭素
繊維が生成する。
【0059】一方、原料ガス供給ノズルから反応管内に
原料ガスと共に導入された二酸化炭素は高温度たとえば
1,000℃以上になると分解して一酸化炭素と酸素分
子とになる。このようにして生成した酸素分子が、気相
成長炭素繊維の生成に有利に作用する。
【0060】すなわち、気相成長炭素繊維生成領域で生
成している触媒金属表面に炭素が付着して触媒の活性が
低下するところ、生成している酸素が触媒表面の余分な
炭素を除去し、触媒機能の低下を防止する。また、二酸
化炭素は輻射熱を吸収する能力が大きい。原料供給ノズ
ルから供給される原料ガスの温度が迅速に上昇し、触媒
源が分解して触媒が形成され、気相成長炭素繊維の生成
が促進されるように、二酸化炭素は輻射熱を吸収して原
料ガスの温度上昇を助ける作用も有すると考えられる。
【0061】ここで、キャリヤガス供給ノズルに第1温
度調整手段が設けられ、必要に応じて設けられる第2キ
ャリヤガス供給ノズルに第2温度調整手段が設けられて
いると、温度調整されたキャリヤガスが反応管内に供給
されることになり、また温度調整された第2キャリヤガ
スが反応管内に供給されることになり、たとえば加熱さ
れないガスが反応管中に供給されることにより生じる温
度低下による気相成長炭素繊維の生成反応の効率の低下
が防止される。
【0062】しかも、第1キャリヤガスおよび第2キャ
リヤガスの温度を反応管中の気相生成炭素繊維生成領域
の温度と同じかそれよりも高く設定しておくことによ
り、反応管内では、原料ガスの外側に高温の第1キャリ
ヤガスおよび第2キャリヤガスが存在するので、原料ガ
スから第1キャリヤガスおよび第2キャリヤガスに向か
ってのガスの対流が起こらなくなる。この対流の消失に
より、反応管内を流通する気体がピストンフローに近い
流通状態になり、気相成長炭素繊維の生成が良好にな
る。また、第1キャリヤガスおよび第2キャリヤガスの
温度を反応管中の気相成長炭素繊維生成領域の温度と同
じかそれよりも高く設定しておくことにより、たとえば
縦型反応管において反応管の上部に低温領域の発生を防
止することができ、低温領域の発生により反応管中での
上下方向の対流の発生を有効に防止することができる。
【0063】キャリヤガス供給ノズルに第1整流手段が
設けられ、しかも第2キャリヤガス供給ノズルに第2整
流手段が設けられていると、反応管中を流通するガス全
体がピストンフローに近い流通状態になり、気相成長炭
素繊維の生成を阻害する対流の発生が防止される。
【0064】原料ガスの供給量は、ガス総量に対して通
常1〜40モル%であり、好ましくは3〜25モル%で
あり、さらに好ましくは4〜20モル%である。
【0065】この発明において重要なことは、原料ガス
供給ノズル内の二酸化炭素の濃度が多くとも10容量%
であり、好ましくは0.1〜8容量%であり、更に好ま
しくは1〜5容量%である。また、反応管内に供給され
る全ガスに対するこの二酸化炭素の供給量が、多くとも
5容量%であり、好ましくは0.05〜5容量%であ
り、さらに好ましくは0.5〜4容量%であり、特に好
ましくは1〜3容量%であることも重要である。二酸化
炭素の供給量が前記範囲を越えると、気相成長炭素繊維
の収量が低下する。
【0066】キャリヤガス(たとえば水素ガス)の反応
管への供給量は、ガス総量から前記原料ガスおよび二酸
化炭素の量を差し引いた量である。
【0067】
【実施例】次に、この発明の気相成長炭素繊維の製造方
法につき図面を参照しながら更に詳細に説明する。
【0068】図1に示される気相成長炭素繊維の連続製
造装置1は、原料タンク2、ポンプ3、気化器4、ヒー
トブロック5、第1マスフローコントローラ6、第2マ
スフローコントローラ7、第3マスフローコントローラ
8、ヒートチューブ9、原料ガス供給ノズル10、反応
管11、内筒管12、第1キャリヤガス供給ノズル1
3、第2キャリヤガス供給ノズル14、電気炉15、捕
集箱16、および排気管17を備えてなる。
【0069】反応管11は、その中心線が縦になるよう
に立設された円筒管状体であり、その上端部である天井
部には原料ガス供給ノズル10が装着される。なお、こ
の反応管11は縦型反応管とも称される。
【0070】前記原料ガス供給ノズル10は、その下端
先端部に原料ガス供給口18を有する円筒管状体であ
り、その下端先端部を前記反応管11内部に挿入した状
態で前記反応管11の天井部の中心に装着されている。
換言すると、この原料ガス供給ノズル10の中心線は反
応管11の中心線と一致する。
【0071】原料ガス供給ノズルを形成する円筒環状体
の壁体は、内壁と外壁とからなる二重壁となっている。
この内壁と外壁との間隙からは、冷却用窒素ガスが流出
していて、第1温度調整手段によって加熱された第1キ
ャリヤガスの熱により原料ガスがオーバーヒートしない
ようになっている。
【0072】前記原料ガス供給ノズル10には整流装置
(図示せず。)および温度調整装置(図示せず。)が設
けられていて、原料ガス供給ノズル10から噴出する原
料ガスが所定温度に調整され、かつ整流されて流出する
ようになっている。この整流装置はこの発明における整
流手段であり、この温度調整装置はこの発明における温
度調整手段である。
【0073】前記原料ガス供給ノズル10の上端部に
は、原料ガス、二酸化炭素およびキャリヤガスからなる
混合ガスをこの原料ガス供給ノズル10に供給するヒー
トチューブ9が接続される。このヒートチューブ9には
ヒータが倦回されていて、ヒートチューブ9内を流通す
る前記混合ガスが所定温度に維持されるようになってい
る。ヒートブロック5で所定の温度に調整された前記混
合ガスがこのヒートチューブ9を通じてこの原料ガス供
給ノズル10に供給される。
【0074】前記ヒートブロック5は混合ガスを所定温
度に調整する加熱手段たとえばヒータを備えてなる。
【0075】前記ヒートブロック5には、配管20が接
続され、この配管20の途中には分岐管19が接続され
る。また、この配管20の他端には、原料ガスを気化さ
せる気化器4が接続される。前記分岐管19の他端に
は、ガスの流量を調整する第1マスフローコントローラ
6が接続されている。この配管20における前記分岐管
19の分岐点において、気化器4から供給される原料ガ
スと第1マスフローコントローラ6から供給されるキャ
リアガスおよび二酸化炭素とが混合される。
【0076】前記気化器4には、原料供給管21が接続
され、ポンプ3を動作させると、この原料供給管21を
介して原料タンク2内に収容されている液体の原料が前
記気化器4に供給されるようになっている。
【0077】前記第1マスフローコントローラ6にキャ
リヤガスが導入され、第1マスフローコントローラ6で
流量の調整されたキャリヤガスが分岐管19に導出され
る。
【0078】反応管11の内部上端部である天井部に
は、前記原料ガス供給ノズル10の外周を囲繞するよう
に内筒管12が設けられている。この内筒管12と前記
原料ガス供給ノズルである円筒環状体とで環状円柱状に
形成された空間を有する第1キャリヤガス供給ノズル1
3が形成される。この第1キャリヤガス供給ノズル13
の天井部には、キャリヤガスを供給する開口部が開口し
ている。この内筒管12と前記原料ガス供給ノズル10
である円筒環状体とで環状筒状に形成された空間内に
は、前記開口部から導入された前記キャリヤガスの温度
を調整する第1温度調整手段とこの混合ガスが反応室1
1内に流出する気流を整流する第1整流手段としてのハ
ニカム板が装着されている。
【0079】前記内筒管12の外周面と反応管11の内
周面とで、環状円柱状の空間となっている第2キャリヤ
ガス供給ノズル14が形成されており、この環状円柱状
の空間の上端、すなわち反応管11の天井部には第2キ
ャリヤガスを導入する開口部が開口されている。前記内
筒管12の外周面と反応管11の内周面とで環状円柱状
に形成された空間内には、第2キャリヤガスの温度を調
整する第2温度調整手段と第2キャリヤガスを整流して
反応室11内に送出する第2整流手段としてのハニカム
板が装着されている。この第2キャリヤガス供給ノズル
14からは、第2キャリヤガスが、反応管11の内壁に
沿って流通するようになっている。
【0080】前記第1キャリヤガス供給ノズル13に
は、配管22を介して第2マスフローコントローラ7が
接続され、前記第2キャリヤガス供給ノズル14には、
配管23を介して第3マスフローコントローラ8が接続
されている。
【0081】前記第2マスフローコントローラ7には、
第1キャリヤガスが導入され、一定の流量で配管23か
ら導出される。
【0082】前記第3マスフローコントローラ8には、
第2キャリヤガスが導入され、一定の流量で導出され
る。
【0083】反応管11の外周には管内加熱手段である
電気炉15が設けられ、この電気炉15は、熱エネルギ
ーを反応管11内に供給し、反応管11の内部を所定の
温度に加熱することができるようになっている。尚、こ
の電気炉15には、電気炉15の発熱温度を制御するた
めの制御装置(図示しない。)が設けられている。
【0084】前記捕集箱16は、反応管11内に生成し
た気相成長炭素繊維を捕集する機能を有し、前記反応管
11の下端部に結合され、その周側面に排気口17を有
する。気相成長炭素繊維生成領域を通過した残存ガス成
分はこの排気口17から排出され、反応管11中で生成
した気相成長炭素繊維はこの捕集箱16内に収容され
る。
【0085】以上構成の気相成長炭素繊維の連続製造装
置1によると、例えば、以下のようにして気相成長炭素
繊維を連続的に製造することができる。なお、以下に示
す製造方法は、この発明の気相成長炭素繊維の製造法の
一実施態様である。
【0086】電気炉15を作動することにより反応管1
1内、特に気相成長炭素繊維生成領域を所定温度に加熱
する。
【0087】原料タンク2内に貯留されている原料、例
えば遷移金属化合物と有機化合物との混合液は、ポンプ
3により汲み出されて気化器4で気化される。気化した
ガス状混合物と、第1マスフローコントローラ6により
流量の調整されたキャリヤガスおよび二酸化炭素とが、
前記配管20内において混合される。このガス状混合物
とキャリヤガスとの混合ガスは、ヒートブロック5内で
完全にガス化された後、原料ガス供給ノズル10内に導
入される。
【0088】原料ガス供給ノズル10内に導入された混
合ガスは、原料ガス供給ノズル10内を通過する際に、
加熱手段により所定温度に予備調整され、整流手段で整
流された混合ガスが原料ガス供給ノズル10の先端開口
部18から反応管11内の反応領域に導出される。
【0089】第2マスフローコントローラ7において流
量の調整された第1キャリヤガスが配管22を介して第
1ガス供給ノズルである第1キャリヤガス供給ノズル1
3内に導入され、この第1キャリヤガス供給ノズル13
から反応管11内に第1キャリヤガスが導入される。こ
の第1キャリヤガスは、第1キャリヤガス供給ノズル1
3に設けられた第1温度調整手段で所定温度に調整さ
れ、第1整流手段で整流されて、反応管11内の反応領
域へ導入される。
【0090】第1キャリヤガスは、この第1キャリヤガ
ス供給ノズル13から反応領域へ導入される前に第1温
度調整手段で加熱されるので、第1キャリヤガスにより
気相成長炭素生成領域が冷却されることが防止される。
また、第1整流手段により、第1キャリヤガスはピスト
ンフローに近い流通状態となって反応管11内を流通
し、気相成長炭素生成領域における気流速度および気流
の流れ方向が気相成長炭素繊維生成に適した状態に調整
される。
【0091】第1温度調整手段により温度調整される第
1キャリヤガスの温度を原料ガス供給ノズル10から吹
き出す原料ガスの温度よりも高くすると、第1キャリヤ
ガスと前記混合ガスとの間に対流を生じることがなく、
これによっても第1キャリヤガスと前記混合ガスとはピ
ストンフローに近い流通状態となる。
【0092】さらに、第3マスフローコントローラ8に
より流量の調整された第2キャリヤガスが第2キャリヤ
ガス供給ノズル14に導入され、第2キャリヤガス供給
ノズル14から反応管11内に導入される。
【0093】反応管11内に導入された第2キャリヤガ
スは、前記内筒管12の外周面と反応管11の内周面と
の間の形成される間隙を通過し、気相成長炭素繊維生成
領域内に導入される。
【0094】気相成長炭素生成領域内に導入された原料
ガス中の遷移金属化合物、助触媒成分および有機化合物
は、電気炉15から供給されるエネルギーにより分解さ
れ、その結果、触媒金属の作用により気相成長炭素繊維
が生成する。生成した気相成長炭素繊維は、キャリアガ
スに導伴されて捕集箱16に収集される。
【0095】このとき、後述する実験例にも示されるよ
うに、生成した気相成長炭素繊維の反応管11の内壁へ
の付着は発生せず、反応管11内に原料ガス、キャリア
ガス等を連続的に供給することにより気相成長炭素繊維
を連続的に製造することができる。
【0096】(実施例1〜4)図1に示される装置を使
用し、表1に示す条件にて気相成長炭素繊維の製造試験
を行った。結果を表1に示した。
【0097】反応管11には内径85mm、長さ2,0
00mmの炭化けい素管を使用した。
【0098】原料タンク2内には貯留させる原料として
は、ベンゼン98.2重量%、フェロセン1.0重量%
およびチオフェン0.8重量%よりなる混合物を使用し
た。
【0099】気相成長炭素繊維の収率は、反応管11内
に供給されたベンゼン中に含まれる炭素重量に対する生
成物の重量の割合として計算した。
【0100】なお、表1中、電気炉温度とあるのは加熱
手段の設定温度を示す。ガス総流量とあるのは反応管内
を流通するガスを標準状態(0℃、1気圧)で表示した
ものであり、そのガスは原料ガス、第1キャリヤガスお
よび第2キャリヤガスの全てを含む。
【0101】キャリヤガス体積とあるのは、原料ガス中
に含まれるキャリアガス、第1キャリヤガスおよび第2
キャリヤガスそれぞれのこれらガスの総流量に対する体
積割合を示す。CO2 体積とあるのは、前記ガス総流量
に対する二酸化炭素の容積を示す。ノズル内CO2 体積
とあるのは、原料ガス供給ノズルから供給されるガス量
に対する体積割合を言う。運転時間とは、原料ガスを反
応管中に供給し続けている時間を示す。捕集箱堆積比率
とあるのは、捕集容器から回収された生成物の重量の回
収された生成物全体の重量に対する割合を示す。生成物
重量とは、捕集容器から回収された生成物の重量に反応
管内に付着して捕集容器内に収容されなかった生成物の
重量との合計の重量を意味する。
【0102】(比較例1)この比較例は、二酸化炭素を
使用しないで気相成長炭素繊維を製造する例である。
【0103】図1に示される連続製造装置において、二
酸化炭素を使用せず、表1に示されるガスの供給量をも
って前記実施例1におけるのと同様に実施した。結果を
表1に示す。
【0104】(比較例2)この比較例は、二酸化炭素の
供給量が、反応管中に供給される全ガス量に対して5容
量%を越える場合である。
【0105】図1に示される連続製造装置において、表
1に示されるガスの供給量をもって前記実施例1におけ
るのと同様に実施した。結果を表1に示す。
【0106】
【表1】
【0107】上記実施例および比較例の結果から、原料
ガスと二酸化炭素とを原料ガス供給ノズルから反応管内
に供給させると、捕集箱堆積割合を低下させずにアスペ
クト比が特に大きい気相成長炭素繊維を高収率で製造す
ることができることが理解される。
【0108】
【発明の効果】この発明によると、アスペクト比が特に
大きい気相成長炭素繊維を高収率で製造することができ
る気相成長炭素繊維の製造方法を提供することができ
る。
【0109】この発明によると、嵩蜜度の小さい気相成
長炭素繊維を効率的に高収率で製造することができる気
相成長炭素繊維の製造方法を提供することができる。
【0110】この発明によると、アスペクト比が特に大
きい気相成長炭素繊維を収率良く連続的に製造すること
ができる気相成長炭素繊維の連続方法を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の気相成長炭素繊維の製造方
法を好適に実施可能な気相成長炭素繊維の製造装置の概
略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・気相成長炭素繊維の連続製造装置、2・・・原
料タンク、3・・・ポンプ、4・・・気化器、5・・・
ヒートブロック、6・・・第1マスフローコントロー
ラ、7・・・第2マスフローコントローラ、8・・・第
3マスフローコントローラ、9・・・ヒートチューブ、
10・・・原料ガス供給ノズル、11・・・反応管、1
2・・・内筒管、13・・・第1キャリアガス供給ノズ
ル、14・・・第2キャリアガス供給ノズル、15・・
・電気炉、16・・・捕集箱、17・・・排気管、18
・・・先端開口部、19・・・分岐管、20・・・配
管、21・・・原料供給管、22・・・配管、23・・
・配管

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料ガス供給ノズルから反応管内に原料
    ガスを、かつ前記原料ガス供給ノズルの周囲に配置され
    たキャリヤガス供給ノズルから反応管内にキャリヤガス
    を供給することにより、加熱された反応管内で気相成長
    炭素繊維を生成する気相成長炭素繊維の製造方法におい
    て、前記原料ガス供給ノズルから反応管内に原料ガスと
    二酸化炭素とを供給し、前記二酸化炭素の供給量が、原
    料ガス供給ノズルから供給されるガス量に対して多くと
    も10容量%であり、かつ反応管内に供給される全ガス
    量に対して多くとも5容量%であることを特徴とする気
    相成長炭素繊維の製造方法。
JP7229918A 1995-09-07 1995-09-07 気相成長炭素繊維の製造方法 Pending JPH0978360A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7229918A JPH0978360A (ja) 1995-09-07 1995-09-07 気相成長炭素繊維の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7229918A JPH0978360A (ja) 1995-09-07 1995-09-07 気相成長炭素繊維の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0978360A true JPH0978360A (ja) 1997-03-25

Family

ID=16899786

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7229918A Pending JPH0978360A (ja) 1995-09-07 1995-09-07 気相成長炭素繊維の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0978360A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001048282A3 (en) * 1999-11-22 2001-12-13 Applied Sciences Inc Production of high surface energy, high surface area vapor grown carbon fiber (vgcf) utilizing carbon dioxide
EP1277858A1 (en) * 1999-09-01 2003-01-22 Nikkiso Company Limited Carbon fibrous matter, production device of carbon fibrous matter, production method of carbon fibrous matter and deposit prevention device for carbon fibrous matter
EP1407064A1 (en) * 2001-06-28 2004-04-14 Showa Denko K.K. Method and apparatus for producing vapor grown carbon fiber
JP2006225199A (ja) * 2005-02-17 2006-08-31 Japan Science & Technology Agency 仕切構造型カーボンナノ構造物製造装置
CN109941963A (zh) * 2019-03-27 2019-06-28 常州大学 基于浮动催化法化学气相反应的微纳米结构直写装置

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1277858A1 (en) * 1999-09-01 2003-01-22 Nikkiso Company Limited Carbon fibrous matter, production device of carbon fibrous matter, production method of carbon fibrous matter and deposit prevention device for carbon fibrous matter
EP1277858A4 (en) * 1999-09-01 2005-06-15 Nikkiso Co Ltd CARBON FIBER MATERIAL, METHOD AND DEVICE FOR ITS MANUFACTURE AND DEVICE FOR DEPOSITING PREVENTION OF THIS MATERIAL
WO2001048282A3 (en) * 1999-11-22 2001-12-13 Applied Sciences Inc Production of high surface energy, high surface area vapor grown carbon fiber (vgcf) utilizing carbon dioxide
US6506355B1 (en) 1999-11-22 2003-01-14 Applied Sciences, Inc. Production of high surface energy, high surface area vapor grown carbon fiber
JP2003518563A (ja) * 1999-11-22 2003-06-10 アプライド・サイエンシズ・インコーポレーテッド 二酸化炭素を利用して高い表面エネルギーで高い表面積の気相成長炭素繊維を製造する方法
EP1407064A1 (en) * 2001-06-28 2004-04-14 Showa Denko K.K. Method and apparatus for producing vapor grown carbon fiber
EP1407064A4 (en) * 2001-06-28 2005-08-03 Showa Denko Kk PROCESS AND APPARATUS FOR PRODUCING CARBON FIBER OBTAINED FROM STEAM
US7524479B2 (en) 2001-06-28 2009-04-28 Showa Denko K.K. Method for producing vapor grown carbon fiber
JP2006225199A (ja) * 2005-02-17 2006-08-31 Japan Science & Technology Agency 仕切構造型カーボンナノ構造物製造装置
CN109941963A (zh) * 2019-03-27 2019-06-28 常州大学 基于浮动催化法化学气相反应的微纳米结构直写装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101274492B1 (ko) 단층 카본 나노튜브의 제조 방법
JP2662413B2 (ja) 気相成長炭素繊維の製造方法
JP4891267B2 (ja) 炭素ナノチューブ大量合成装置及び大量合成方法
US20210257189A1 (en) Apparatus and method for plasma synthesis of carbon nanotubes
US8557190B2 (en) Carbon nanotube synthesis process apparatus
EA011588B1 (ru) Углеродные наноструктуры и способ получения нанотрубок, нановолокон и наноструктур на основе углерода
US9315386B2 (en) Method and apparatus for producing long carbon nanotubes
KR100376202B1 (ko) 탄소나노튜브 또는 탄소나노섬유 합성용 기상합성 장치 및이를 사용한 합성방법
KR20220147591A (ko) 카본 나노튜브 집합체의 제조 방법
JP4693105B2 (ja) 気相法炭素繊維の製造方法および製造装置
JPH0978360A (ja) 気相成長炭素繊維の製造方法
JP3810394B2 (ja) 内部加熱体装備反応管装置
JPH09324325A (ja) 気相成長炭素繊維製造装置
JP4394981B2 (ja) 原料ガス供給ノズル、カーボンナノファイバー製造装置、およびカーボンナノファイバーの製造方法
CN111348642B (zh) 一种浮动催化法制备单壁碳纳米管的装置及方法
JPH11107052A (ja) 気相成長炭素繊維の連続製造装置及び気相成長炭素繊維の連続製造方法
KR101082833B1 (ko) 탄소나노튜브 합성 장치
JP3927455B2 (ja) 気相法炭素繊維の製造法および製造装置
JP3538474B2 (ja) 気相成長炭素繊維の連続製造装置および気相成長炭素繊維の連続製造方法
KR101016031B1 (ko) 탄소나노튜브 합성 장치
JP4392283B2 (ja) カーボンナノファイバーの製造方法、およびカーボンナノファイバーの後処理方法
JP2007126318A (ja) カーボンナノチューブの製造方法
KR102030215B1 (ko) 탄소나노튜브 합성 장치 및 그 방법
JPH08209456A (ja) 気相成長炭素繊維製造装置

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040702