JPH0966492A - 複数枚シート材の切断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数層のシート材を切断する際であっても、
切断精度を高く保つことができる複数枚シート材の切断
装置を提供する。 【構成】 実質的に切断幅方向の移動を拘束された刃物
部材と、複数枚のシート材を支持するまな板部材とを具
備しており、刃物部材をまな板部材に対して実質的に垂
直な方向から近接させ、刃物部材とまな板部材との間に
置かれた複数枚のシート材を切断するシート材切断装置
である。具体的にはリンク部材の円弧動作を刃物部材に
伝達して刃物部材をシート材に実質的に垂直に近接させ
て切断するものである。刃物に追従する押さえ板を設け
ても良い。本発明は書籍等の複数枚積層したシート材を
切断する際に切断中のシート材のずれを防止することが
できるものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、紙やフィルム等の
薄板状のプラスチックを切断するシート材切断装置に係
わり、特に雑誌等の端切り切断といった複数枚が積層し
たシート材を正確に切断することが可能な装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】複写機、プリンタ、ファクシミリなどの
記録装置に搭載されているシート材切断装置としては、
例えば特公昭５０−２４４６６号公報に記載されるよう
な切断幅に対応する幅を持つ２つの刃物を使用して、一
方の刃物を旋回動作させ他方の刃物に交差圧接すること
によりシート材を切断する、いわゆるロータリ式切断装
置がある。また、実公昭５８−３７５９４号公報に記載
されるような切断幅に対応する幅を有する２つの刃物を
使用して、一方の刃物を上下動させ他方の刃物と圧接摺
動させてシート材を切断する、いわゆるギロチン式シー
ト材切断装置がある。これらの装置は、切断幅に対応す
る２つの刃物を使用するため、シート材をすばやく切断
できるという利点がある。

【０００３】一方、上述した２つの刃物を使用しない切
断する方法もある。例えば、包丁にまな板の如く、鋭利
な刃物を切断したい材料に押し当てて切断するもの（こ
こでは押し切り式と称する）である。シート材を切断す
る場合、このような押し切り式を適用するものとして
は、例えば実公平３−１８１６０号、実公平１−４４３
１６号等に記載されるように、刃物を複数層となったシ
ート材に対して斜め方向に近接させる切断する装置が知
られている。この装置は、積層されたシート材をそのま
ま切断することができるものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述した押し切り式の
シート材切断装置においては、通常まな板に対して垂直
方向からではなく、斜め方向から刃物を近接させ、切断
開始時点のせん断角を稼ぎつつ、刃物とシート材との摩
擦による相乗効果によって切断するものである。本発明
者は、複数枚のシート材を切断する装置として上述した
押し切り式のシート材切断装置を適用することを試み
た。しかし、刃物を斜め方向から近接させるシート材切
断装置では、複数層のシート材が切断中にずれて、複数
層の端切り切断としては精度が出しにくいことが判明し
た。本発明の目的は、複数層のシート材を切断する際で
あっても、切断精度を高く保つことができるシート材切
断装置を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した押
し切り式のシート材切断装置を検討し、刃物部材を斜め
方向からシート材に接触させるシート材切断装置ではな
く、実質的に垂直な方向から刃物部材を近接させる垂直
押し切り式の複数枚シート材の切断装置を提供すべく検
討した。これは、垂直押し切りでは、シート材にずれを
起こさせる方向の力が作用せず、正確な切断が可能であ
るからである。すなわち、本発明の基本とするところは
実質的に切断幅方向の移動を拘束された刃物部材と、複
数枚のシート材を支持するまな板部材とを具備してお
り、刃物部材をまな板部材に対して実質的に垂直な方向
から近接させ、刃物部材とまな板部材との間に置かれた
複数枚のシート材を切断するシート材切断装置である。

【０００６】上述したように、複数枚シート材の切断装
置においては、多数枚のシート材を一度に切断しなけれ
ばならず、切断途中でシート材同士がずれると切断不良
になる。したがって、複数枚シート材に対して垂直に刃
物を接触させなければならない。本発明の具体的な装置
においては、刃物部材を駆動するために、一端が固定さ
れたリンク部材を切断方向に円弧運動させるとともに、
リンク部材と刃物部材とを固定せず、接触移動させるこ
とで、リンク部材の円弧運動を刃物部材の切断方向の動
作に変換するようにした。こうすれば、円弧運動するリ
ンク部材と刃物部材とは固定されていないため、円弧運
動するリンク部材の位置の変位だけを刃物部材に伝達で
き、まな板部材に対して実質的に垂直に近設させること
が可能となる。

【０００７】また、上述したように、本発明においては
多数枚のシートを一度に切断するため、一枚のシートを
切断する場合よりもはるかに大きな負荷が刃物にかかる
ことになる。このような負荷に対向するために、理論的
には無限大の刃物駆動力を得ることが可能となるリンク
部材の上死点から９０度回転する位置近傍の変位を、刃
物部材に伝達することが望ましい。好ましくは、切断開
始点を上死点から６０度から９０度未満の範囲とする。

【０００８】本発明のより具体的な好ましい構成は支持
部材に回動自在に連結された少なくとも一つのリンク部
材と、リンク部材を往復回動させる駆動装置と、リンク
部材に取り付けた刃物駆動体と、実質的に切断幅方向の
移動を拘束された刃物部材と、複数枚のシート材を支持
するまな板部材と、を有しており、リンク部材を往復回
動させることにより、リンク部材と駆動装置との取付位
置を力点とし、リンク部材と支持部材との取付位置を支
点として、刃物駆動体を切断方向に円弧運動させつつ、
刃物部材に対して刃物駆動体を接触移動させることによ
り、刃物部材をまな板部材に対して実質的に垂直な方向
から近接させ、刃物部材とまな板部材との間に置かれた
複数枚のシート材を切断することを特徴とするシート材
切断装置である。

【０００９】

【発明の実施の態様】本発明の具体的な構成において
は、回動する刃物駆動体の位置の変化を刃物部材に伝達
するものである。刃物移動体と刃物部材とを固定せず、
切断幅方向の移動を拘束させた刃物部材に接触させれ
ば、刃物移動体の円弧動作により刃物駆動体の刃物部材
との接触位置が移動するとともに、刃物部材は切断方向
に移動されるものである。たとえば、図１に示す構成を
有するシート材切断装置にあっては、駆動幹１を往復動
させることにより、リンク２ａが円弧運動し、リンク２
ａに設けたローラである刃物駆動体４は、刃物５と、刃
物５と一体になった台金６で構成される刃物部材上を移
動しつつ、台金５を押し下げる。このとき刃物部材は、
ステー３ｂとホルダ７によって切断幅方向の移動を拘束
されている。したがって、図２に示す側面図に示すよう
に、刃物部材は、まな板部材１４に対して実質的に垂直
に近接され、シート材１３を切断することができるもの
である。

【００１０】また、本発明で使用するリンク部材は、図
１で示すように切断幅方向の両端近傍に２箇所設け、リ
ンク部材同士は、連結幹により回動自在に連結されてい
ることが望ましい。これは、一カ所のリンク部材では、
刃物部材を押しつけるのが不安定となるからである。ま
た、このとき連結幹には例えば図５に示すようにリンク
部材間の幅を調整するアジャストボルト２０ｂ，２０Ｃ
によるアジャスタが設けることが望ましい。リンク部材
が２つあると、２つのリンク部材により同時に同速度で
刃物部材を押し下げないと刃物部材の一端の摩耗等によ
り刃物部材を垂直に移動することができなくなる場合が
ある。そのためにリンク部材間の幅をたとえばアジャス
トボルトで調整して同時に同速度で刃物部材を押し下げ
るように調整できるようにすることが望ましいのであ
る。

【００１１】本発明における刃物駆動体は、刃物部材に
摺動もしくは回転移動が可能なものであればよく、リン
ク部材の変位を刃物部材に伝達するものであれば良い。
好ましくは、回転自在に取り付けたローラとする。ま
た、駆動装置には、まな板による反力を緩衝する弾性部
材が設置されていることが望ましい。本発明の複数枚シ
ート材の切断装置では、刃物部材の動作ストロークが不
足するとシート材の切り残しが発生し、逆に刃物の動作
ストロークが過大だと、刃先がまな板部材に食い込み、
駆動装置の負荷が著しく増加してしまうので、切断方向
における刃物の最大動作位置が、刃先とまな板の当接位
置と正確に合致するように刃物の動作ストロークをコン
トロールすることが理想である。

【００１２】しかし、現実には、動作ストロークにより
完全に刃先とまな板部材の当接位置を決定しておくこと
は難しい。そのため、切断を完全に行うためには動作ス
トロークをまな板部材に微少食い込むように設定するこ
とが多い。このとき刃物受けるまな板部材からの反力を
モータ等の駆動源に直接伝達すると、モータの負荷が急
激に増大し、モータの過熱などの問題が発生する可能性
がある。したがって、まな板部材からの反力を緩衝する
弾性部材を駆動装置に設けることが望ましいのである。
具体的には、図４に示すように駆動装置にバネ２５ｂを
設置し、バネによってまな板からの反力を緩衝するよう
にすることができる。

【００１３】本発明の刃物としては、例えば図１および
図２に示す真直な刃先線を持つ刃物が使用できる。好ま
しい刃先角度は、１５度から２５度であり、真直な切断
を行なうためには片刃とする。また、本発明において
は、刃物部材の移動に追従して切断方向に移動し、複数
枚のシート材を抑えつける押さえ板を有することが望ま
しい。押さえ板を有することにより、切断中の複数枚の
シート材のずれをさらに抑制することができ、切断精度
を向上することが可能となる。押さえ板の構成として
は、独立した駆動機構を持つものであっても良いが、シ
ート材切断装置の構成を簡素化するためには、刃物部材
の動作と連動させるようにすることが望ましい。

【００１４】例えば図６に示すように、ステー３ｂに固
定されたバネ３１ａによって予め押さえ板３０ａに切断
方向の力を加えておくようにし、また刃物部材の上部
に、押さえ板３０ａの上端を曲げて引っかけておくこと
により、刃物部材の下降に追従して、バネが開放され、
シート材との接触時点で押さえ板は、バネによる圧接力
を得ることができる。また、図７に示すように、切断幅
方向に差し渡した回転軸３３と、回転軸の切断幅方向の
両側に回転軸に固定したカム３２ａ，３２ｂとを有する
ものとし、切断方向の力をバネ３１ｃ，３１ｂにより付
与しておくこともできる。カムを切断幅方向の両側に設
けることによって、押さえ板が曲がって下降して切断幅
方向の一方だけ押さえつけることが無くなり、複数枚の
シート材のずれを抑制するのに効果的である。

【００１５】

【実施例】

（実施例１）以下、本発明を実施例と図面に基づいて詳
しく説明する。図１は本発明の複数枚シート材の切断装
置の一例を示す組立て概念図であり、図２は図１に基づ
くシート材切断装置の側面図である。図１および図２に
おいて、モーター２２が回転し、ロータ２３ａが回転す
ると、ローラ２３ｂと長孔２１ｂとの連結によってレバ
ー２１ａは支軸２１ｃを支点に揺動する。すると、レバ
ー２１ａに連結された駆動幹１は長手方向に往復動され
る。この駆動幹１はブッシュ１２ａを介して一端をリン
ク２ａに接続されており、これがリンク２ａを駆動する
本発明の駆動装置となる。

【００１６】なお、図１に示す装置においては、ブッシ
ュ１２ａはリンク２ａおよびレバー２１ａにそれぞれボ
ルト１１ａで固定されており、駆動幹１からブッシュ１
２ａが抜けないよう、ブッシュ１２ａと遊嵌している駆
動幹１の両端の穴はボルト１１ａの頭部より小さくして
ある。なお、図１の装置においては、回動可能な接続部
分にはブッシュ１２ａ，ｂを使用してボルト１１ａ，ｂ
により接続するようにしている。

【００１７】また、支持部材であるステー３ａには、回
動自在にリンク２ａが設置されており、リンク２ａは、
前述した駆動装置の駆動幹１の往復運動によって円弧状
に往復運動される。このリンク２ａには、刃物駆動体４
が設置されており、リンク２ａの円弧運動により、リン
ク部材２ａとステー３ａの設置点を支点とし、リンク部
材２ａと駆動幹１との設置点を力点として刃物駆動体４
が上下方向に円弧動作する。なお、図１においては、リ
ンク２ａを補強するために、ステー３ａおよび刃物駆動
体４を介して反対側にもリンク２ｃを設けている。

【００１８】また、リンク部材２ａには連結幹２０を回
動可能に連結して、切断幅方向の一方端側に設けたリン
ク部材２ｂをリンク部材２ａと同期して円弧状に往復運
動するようにして、リンク部材２ａと同様にステー３ａ
の設置点を支点とし、リンク部材２ｂと駆動装置の一部
となる連結幹１との設置点を力点として刃物駆動体４が
上下方向に円弧動作するものとした。

【００１９】切断幅方向の両側に設けた刃物駆動体４が
円弧運動すると刃物５と台金６で構成される刃物部材の
上面に接触摺動しつつ、刃物部材を押し下げる。刃物部
材は両側、すなわち切断幅方向をホルダ７およびステー
３ｂで幅方向に拘束されており、かつ刃物駆動体４は刃
物部材に固定されていないため、刃物部材は複数枚のシ
ート材に実質的に平行な刃先を維持しつつ、ほぼ垂直に
下降する。

【００２０】図２に示すように、垂直に下降する刃物部
材は、複数枚重ねられたシート材１３に対して、実質的
に垂直に接し、せん断荷重を加えながら複数枚のシート
材を切断していく。切断力は、ベース１５ａに止めネジ
１５ｂで固定され、切断幅以上に延長されたまな板部材
１４によって支持され、シート材が全て切断されると刃
物部材の刃先は、まな板部材１４に接触し停止する。そ
の後駆動幹１の往復動作によって、刃物駆動体４が上方
に上がり、刃物部材上にカラー８を挟んでボルト１１ｃ
で固定し設けたレール１０に接触して、刃物部材を上方
に持ち上げる。これにより切断の一動作が終了する。

【００２１】図１に示す装置においては、刃物駆動体４
を摺動可能な摺動ピンとしたが、図３に示すように、ブ
ッシュ１２ｂにはめ込んだローラとして、台金上面と転
がり接触するするようにしても良い。刃物駆動体４の摩
耗は刃物５の切断動作に直接影響するため摩耗による刃
先の曲がりによる切断不良を防止するためには、図３に
示すような摩耗の少ないローラを使用するのが好ましい
のである。

【００２２】（実施例２）図４は本発明の複数枚のシー
ト材切断装置の駆動装置に、まな板部材からの反力を緩
衝する弾性部材を組み込んだ一例を示す組立て概念図で
ある。図４の駆動装置は、刃物とまな板部材が当接して
駆動幹１の所要動作力が急増すると、バネ２５ｂが圧縮
されてレバー２１ａの余剰動作を吸収構造としたもので
あり、より具体的にはレバー２１ａと、該レバー２１ａ
に支軸２１ｃと嵌合しつつスペーサー２１ｅを挟んでボ
ルト１１ｄで固定されたブラケット２１ｄによって両端
を回転自在に支持されたナックルピン２４に駆動幹１の
円筒部を遊嵌し、駆動幹１の先端にねじ込まれたナット
２５ｃと、ナックピン２４との間に両端をバネ受け２５
ａで挟んだバネ２５ｂを設けたものである。

【００２３】モーター２２が起動してロータ２３ａが回
転すると、レバー２１ａは支軸２１ｃを支点に揺動しつ
つ、ナックルピン２４を介して駆動幹１を長手方向に往
復動させる。駆動幹１が手前に引かれると刃物が切断方
向に移動し、刃物５とまな板部材１４が当接して駆動幹
１をそれ以上引くことができなくなった後は、バネ受け
２５ａを介してナックルピン２４とナット２５ｃで挟ま
れたバネ２５ｂが縮んで、レバー２１ａの余剰動作を吸
収する。図４に示す駆動装置では刃物の動作ストローク
に影響を及ぼす駆動幹やリンク、レバー等の寸法および
取り付け精度を厳しく管理する必要がない上、刃物やま
な板部材の摩耗によって刃物とまな板が当接するまでに
必要な動作ストロークが増加しても、レバー２１ａの余
剰動作によるバネ２５ｂの縮み代が減少するだけで、刃
物の動作ストロークに不足をきたすのを防止できるとい
う利点もある。

【００２４】（実施例３）図５は図１に示す本発明のシ
ート材切断装置のリンク部材２ａ，２ｂ間の間隔を調整
するアジャスターを設けた例を示す図である。すなわ
ち、複数枚のシート材を有効切断幅全域にわたって確実
に切断するためには、まな板部材に対して刃物が平行に
当接することが好ましく、図５はこの点を考慮して刃物
とまな板の平行度を容易に微調整できるよう、連結幹に
アジャスターの機能を設けたものである。

【００２５】具体的には、リンク２ａとリンク２ｂを連
結する連結幹を、一端に右ネジを切り、他端に左ネジを
切ったアジャストナット２０ｄの両端にアジャストボル
ト２０ｂ、アジャストボルト２０ｃをねじ込んみ、ロッ
クナット２０ｅ、ロックナット２０ｆで各々固定してア
ジャスターを構成したものである。アジャストナット２
０ｄを回転させると、リンク２ａとリンク２ｂの間隔が
変化するため、リンク２ａとリンク２ｂの揺動に伴って
切断方向または離間方向に動作する刃物５の、まな板に
対する平行度を容易に調整することができるものであ
る。

【００２６】（実施例４）図６は図１に示す本発明の複
数枚シート材の切断装置に切断中にシート材を押さえる
押さえ板を設けた一例を示す断面図である。図６におい
て刃物５および台金６とステー３ｂの間で刃物５の切断
方向および離間方向に摺動可能に支持された押さえ板３
０ａはバネ３１ａより切断方向の力を付与されつつ、上
端の曲げ部分を台金６に引っ掛かけて静止している。刃
物５が台金６と共に切断方向に下降すると、押さえ板３
０ａは下端がシート材１３と当接する位置まで台金６に
追従して下降し、刃物５が更に切断方向に下降してシー
ト材１３を切断する間、押さえ板３０ａはシート材１３
の切り口近傍をバネ３１ａによって付与された力で押さ
えつける。この押さえ板３０ａによって本例のシート切
断装置では切断中のシート材１３の位置ズレを防いで、
切断位置精度を安定に保つことが可能である。

【００２７】（実施例５）図７は図６とは別の押さえ板
を設けた本発明の複数枚シート材の切断装置の一例を示
す組み立て概念図である。図７において刃物５および台
金６とステー３ｂの間で刃物５の切断方向および離間方
向に摺動可能に支持された押さえ板３０ａは回転軸３３
の両端にボルト１１ａで固定されたカム３２ａ、カム３
２ｂのピン３２ｃに、長穴３０ｂを遊嵌して下端をまな
板と平行に保たれており、カム３２ａ、カム３２ｂのピ
ン３２ｃを介してバネ３１ｂ、バネ３１ｃより刃物５の
切断方向に力を付与されつつ、中央の曲げ部分を台金６
に引っ掛かけて静止している。

【００２８】刃物５が台金６と共に切断方向に下降する
と、押さえ板３０ａは下端がシート材１３と当接する位
置まで台金６に追従して下降し、刃物５が更に切断方向
に下降してシート材を切断する間、押さえ板３０ａはシ
ート材の切り口近傍を、カム３２ａ、カム３２ｂを介し
てバネ３１ｂ、バネ３１ｃによって付与された力で押さ
えつける。図７に示す装置では、押さえ板３０ａの切断
幅方向の両側がカムによって連結されているため、押さ
え板を下端がまな板と平行に保つことができ、幅の狭い
シート材を刃物５の端部近傍で切断する場合でも、押さ
え板３０ａはシート材のを表面を均一に押さえることが
できる。したがって、切断中のシート材の位置ズレを防
いで、切断位置精度をより安定に保つことが可能であ
る。

【００２９】

【発明の効果】本発明によれば、刃物部材を斜め方向か
らシート材に接触させるシート材切断装置ではなく、実
質的に垂直な方向から刃物部材を近接させる垂直押し切
りを行う装置を提供できるため、複数層のシート材を切
断する際であっても、切断精度を高く保つことが可能と
なる。そのため特に、複数枚を積層した書籍の端切りな
どの高い切断寸法精度が必要とされる切断装置として工
業上有効である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の複数枚シート材の切断装置の一例を示
す組立概念図である。

【図２】図１に示す複数枚シート材の切断装置の側面図
である。

【図３】本発明の複数枚シート材の切断装置の別の例を
示す組立概念図である。

【図４】本発明の複数枚シート材の切断装置の駆動装置
に弾性部材を設ける例を示す図である。

【図５】本発明の複数枚シート材の切断装置のリンク部
材間にアジャスターを設ける例を示す図である。

【図６】本発明の複数枚シート材の切断装置に押さえ板
を設ける例を示す図である。

【図７】本発明の複数枚シート材の切断装置に押さえ板
を設ける別の例を示す図である。

【符号の説明】

１ 駆動幹、２ａ，２ｂ，２ｃ リンク、３ａ，３ｂ
ステー、４ 刃物駆動体、５ 刃物、６ 台金、７ ホ
ルダ、８ カラー、１０ レール、１１ａ，１１ｂ，１
１ｃ，１１ｄ ボルト、１２ａ，１２ｂ ブッシュ、２
０ａ，２０ｂ，２０ｃ，２０ｄ アジャストボルト、２
０ｅ，２０ｆ ロックナット、２１ａ レバー、２１ｂ
長穴、２１ｃ 支軸、２１ｅ スペーサ、２２ モー
タ、２３ａロータ、２３ｂ ローラー、２４ ピン、２
５ａ バネ受け、２５ｂ バネ、２５ｃ ナット、３０
ａ 押さえ板、３０ｂ 長穴、３１ａ，３１ｂ，３１ｃ
バネ、３２ａ，３２ｂ カム、３２ｃ ピン、３３ 回
転軸

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 実質的に切断幅方向の移動を拘束された
   刃物と、 複数枚のシート材を支持するまな板部材とを具備してお
   り、刃物部材をまな板部材に対して実質的に垂直な方向
   から近接させ、刃物部材とまな板部材との間に置かれた
   複数枚のシート材を切断することを特徴とする複数枚シ
   ート材の切断装置。
2. 【請求項２】 支持部材に回動自在に連結された少なく
   とも一つのリンク部材と、 リンク部材を往復回動させる駆動装置と、 リンク部材に取り付けた刃物駆動体と、 実質的に切断幅方向の移動を拘束された刃物部材と、 複数枚のシート材を支持するまな板部材と、 を有しており、 リンク部材を往復回動させることにより、 リンク部材と駆動装置との取付位置を力点とし、 リンク部材と支持部材との取付位置を支点として、 刃物駆動体を切断方向に円弧運動させつつ、 刃物部材に対して刃物駆動体を接触移動させることによ
   り、刃物部材をまな板部材に対して実質的に垂直な方向
   から近接させ、刃物部材とまな板部材との間に置かれた
   複数枚のシート材を切断することを特徴とする複数枚シ
   ート材の切断装置。
3. 【請求項３】 リンク部材は、切断幅方向の両端近傍に
   ２箇所設け、リンク部材同士は、連結幹により回動自在
   に連結されていることを特徴とする請求項２に記載の複
   数枚シート材の切断装置。
4. 【請求項４】 刃物駆動体は、リンク部材に回動自在に
   取り付けたローラであることを特徴とする請求項２また
   は３に記載の複数枚シート材の切断装置。
5. 【請求項５】 駆動装置には、まな板による反力を緩衝
   する弾性部材が設置されていることを特徴とする請求項
   ２ないし４のいずれかに記載の複数枚シート材の切断装
   置。
6. 【請求項６】 連結幹にはリンク部材間の幅を調整する
   アジャスターが設けられていることを特徴とする請求項
   ３に記載の複数枚シート材の切断装置。
7. 【請求項７】 刃物部材の移動に追従して切断方向に移
   動し、複数枚のシート材を抑えつける押さえ板を有する
   ことを特徴とする請求項２ないし６の何れかに記載の複
   数枚シート材の切断装置。
8. 【請求項８】 切断幅方向に差し渡した回転軸と、回転
   軸の切断幅方向の両側に回転軸に固定したカムとを有し
   ており、カムにより押さえ板の両側を押しつけることを
   特徴とする請求項７に記載の複数枚シート材の切断装
   置。
9. 【請求項９】 切断の対象となるシート材は、複数枚が
   積層されたものであることを特徴とする請求項１ないし
   ８のいずれかに記載のシート切断装置。