JPH0958223A

JPH0958223A - 重荷重用空気入りラジアルタイヤ

Info

Publication number: JPH0958223A
Application number: JP7215576A
Authority: JP
Inventors: Atsushi Gojo; 淳志五條
Original assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Current assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date: 1995-08-24
Filing date: 1995-08-24
Publication date: 1997-03-04

Abstract

(57)【要約】【課題】偏平化或いはワイドトレッド化した重荷重用
空気入りラジアルタイヤにおいて、ベルト端部における
耐エッジセパレーション性を改善する。【解決手段】ショルダーリブ６にタイヤの軸方向に沿
って延びる複数のサイプ８をタイヤ周方向Ｔに所定の間
隔で配置すると共に、そのサイプ８の深さｈをショルダ
ー端６ａに向かう程深くし、トレッド面１が接地した際
のショルダー端６ａ側の接地長さｍを、主溝１に面する
ショルダーリブ６の内側エッジ６ｂ側の接地長さＬより
も短くしたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、トラックやバス等
に用いられる重荷重用空気入りラジアルタイヤに関し、
更に詳しくは、偏平化或いはワイドトレッド化した重荷
重用空気入りラジアルタイヤにおいて、ベルト端部に発
生するエッジセパレーションを抑制するようにした重荷
重用空気入りラジアルタイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、トラックやバス等に使用される重
荷重用空気入りラジアルタイヤは、偏平化の傾向にあ
る。このように偏平率を下げることにより、タイヤ断面
高さが低くなって、サイドウォール部のボリュームが大
きく減少すると共に、トレッド幅が広がり、その肉厚が
低減した構造となる。

【０００３】そのため、ハンドルを切った際の旋回走行
時等に、路面からショルダー部に大きな力が加わると、
その応力を十分に吸収することができず、その結果、タ
イヤ内部において剛性差の大きいベルト端部に応力が集
中し、エッジセパレーションが発生し易くなる。特に、
偏平率が７０％以下の重荷重用空気入りラジアルタイヤ
において、この傾向が顕著である。また、トレッド幅と
タイヤ幅との比を小さくしたワイドトレッド化した重荷
重用空気入りラジアルタイヤにおいても、上記と同様の
問題があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、偏平
化或いはワイドトレッド化した重荷重用空気入りラジア
ルタイヤにおいて、ベルト端部における耐エッジセパレ
ーション性を改善することが可能な重荷重用空気入りラ
ジアルタイヤを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、トレッド面にタイヤ周方向に延在する主溝を設
け、該主溝によりショルダー部に区画形成されたショル
ダーリブを有する偏平またはワイドトレッド化した重荷
重用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ショルダー
リブにタイヤの軸方向に沿って延びる複数のサイプをタ
イヤ周方向に所定の間隔で配置すると共に、該サイプの
深さをショルダー端に向かう程深くし、トレッド面が接
地した際の前記ショルダー端側の接地長さｍを、前記主
溝に面するショルダーリブの内側エッジ側の接地長さＬ
よりも短くしたことを特徴とする。

【０００６】このようにショルダーリブにタイヤの軸方
向に延びるサイプを所定の間隔でタイヤ周方向に配置す
ることにより、ショルダー部のリブ剛性を低減すること
ができるので、その剛性差を小さくしてベルト端部に応
力が集中するのを回避して分散させることができる一
方、サイプの深さをショルダー端に向かう程深くして、
接地時のショルダー端側の接地長さｍをショルダー部を
区画する主溝に面する内側エッジ側の接地長さＬよりも
短くしたので、ショルダー端側程変形が起こり易くな
り、ショルダー部を容易に滑らせるようにすることがで
き、そのため、ハンドルを切った際の旋回走行時に、路
面からショルダー部に大きな力が加わるのを避けること
が可能となる。その結果、ベルト端部の耐エッジセパレ
ーション性の改善が可能となる。また、サイプがタイヤ
の軸方向に沿って延在しており、タイヤ幅方向に傾斜し
ていないので、ショルダーリブに大きな偏摩耗が発生す
ることがない。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付
の図面を参照しながら詳細に説明する。図１において、
１は重荷重用偏平空気入りラジアルタイヤのトレッド面
であり、このトレッド面１には、タイヤ周方向Ｔに沿っ
てストレート状に延在する複数（図では４本）の主溝２
が形成され、タイヤセンターＣＬを挟んで左右内側に形
成された２本の主溝２間には、タイヤ周方向Ｔに延びる
センターリブ３が設けられている。

【０００８】タイヤ内側の両主溝２とこれに隣接するタ
イヤ外側の両主溝２との間には、それぞれタイヤ幅方向
に傾斜して延びる複数の細溝４が形成され、これら主溝
２と細溝４とにより、多数のブロック５が区画形成され
ている。外側の両主溝２により区画されたトレッド面１
の両ショルダー部には、タイヤ周方向Ｔに沿って延在す
るショルダーリブ６がそれぞれ配設されている。

【０００９】本発明では、上記のような構成の重荷重用
偏平空気入りラジアルタイヤにおいて、ショルダーリブ
６にタイヤの軸方向（タイヤ周方向Ｔと直交するタイヤ
幅方向）に沿って延びる複数の切込み状のサイプ８が設
けられている。この複数のサイプ８は、タイヤ周方向Ｔ
に沿って所定の間隔で配置され、各サイプ８の深さｈ
は、図２に示すように、ショルダーリブ６のタイヤ外側
に面したショルダー端６ａに向かうにつれて深くした構
成になっている。

【００１０】また、サイプ８は、外側の主溝２に面する
ショルダーリブ６の内側エッジ６ｂから次第に深く形成
され、その外側端８ａはサイドウォール部Ｗ側に開口す
るようにしている。サイプ８の内側端８ｂは、外側の主
溝２に開口せずに閉じた状態になっている。図３に示す
ように、トレッド面１が路面に接地した際（各タイヤ毎
の基準空気圧を充填）に、ショルダー端６ａ側の接地長
さｍが内側エッジ６ｂ側の接地長さＬよりも短く構成さ
れている。

【００１１】このようにショルダーリブ６にタイヤ幅方
向に延びる複数のサイプ８を所定の間隔でタイヤ周方向
に配置することにより、ショルダーリブ６の剛性を下げ
て、ショルダーリブ６のタイヤ内径側に配設されたベル
ト１０の端部１０ａに集中する応力を分散させる一方、
サイプ８の深さｈをショルダー端に向かう程深くして、
接地時のショルダー端６ａ側の接地長さｍを、外側の主
溝２に面する内側エッジ６ｂ側の接地長さＬよりも短く
したことにより、ショルダー端６ａ側程変形し易くし
て、ハンドルを切った際の旋回走行時に、ショルダー部
を滑り易くすることができ、それによって、路面からシ
ョルダー部に大きな力が加わるのを回避することができ
る。従って、ベルト端部１０ａにエッジセパレーション
が発生するのを抑制することが可能になる。

【００１２】また、サイプ８がタイヤの軸方向に沿って
延在する構成であり、タイヤ幅方向に対して傾いて配置
されていないため、ショルダーリブ６に大きな偏摩耗が
発生するのを回避することができる。上記サイプ８は、
ショルダー端６ａ側の接地長さｍと、内側エッジ６ｂ側
の接地長さＬとの比ｍ／Ｌが０．７〜０．９となるよう
に、サイプの数を適宜選択して設けることが好ましい。
ｍ／Ｌが０．７よりも小さいと、ショルダー端６ａ側の
肩落ち摩耗が大きくなるため、エッジセパレーションの
改善効果を得ることができない。また、ｍ／Ｌが０．９
を越えると、接地長さｍ，Ｌの差が小さくなるので、エ
ッジセパレーションの改善効果が低減する。

【００１３】また、サイプ８のショルダー端６ａにおけ
る深さｈとしては、ショルダーリブ６を区画する外側の
主溝２の溝深さＤに対して、２０〜８０％の範囲にする
のがよい。本発明は、偏平化した重荷重用空気入りラジ
アルタイヤであれば特に限定されるものではないが、好
ましくは、エッジセパレーションが顕著に発生する偏平
率が７０％以下のものに好適に用いることができる。

【００１４】また、上述した実施例では、偏平化した重
荷重用空気入りラジアルタイヤについて説明したが、本
発明は、両ショルダー端間の長さで定義されるトレッド
幅Ａと両サイドウォール部Ｗ間におけるタイヤ幅方向の
最大幅で示されるタイヤ幅Ｓとの比を従来よりも小さく
したワイドトレッド化した重荷重用空気入りラジアルタ
イヤにおいても、そのショルダーリブに上記のようなサ
イプ８を設けることにより、同様の効果を得ることがで
きる。特に、トレッド幅Ａとタイヤ幅Ｓとの比Ａ／Ｓで
示されるワイドトレッド比が０．７以下にしたものに好
ましく適用することができる。

【００１５】

【実施例】タイヤサイズを２９５／７０Ｒ２２．５で共
通にし、図１に示すサイプをショルダーリブに設けた本
発明タイヤと、図１においてサイプを設けていない従来
タイヤとをそれぞれ製作した。本発明タイヤはｍ／Ｌ＝
０．８、従来タイヤはｍ／Ｌ＝１．０である。また、本
発明タイヤにおけるサイプのショルダー端における深さ
ｈは、外側の主溝の溝深さＤの５０％である。

【００１６】これら各試験タイヤを以下に示す測定条件
により、ベルト端部の耐エッジセパレーション性と耐偏
摩耗性の評価試験を行ったところ、表１に示す結果を得
た。耐エッジセパレーション性各試験タイヤをリムサイズ２２．５×９．００のリムに
装着し、空気圧８２５kPa として室内ドラム試験機に取
付け、荷重を３１．８７kN負荷した状態で、スリップ角
±２°のスラローム走行を行い、ベルト端部にエッジセ
パレーションが発生するまでの走行距離を測定し、その
結果を従来タイヤを１００とする指数値で評価した。こ
の値が大きい程耐エッジセパレーション性が優れてい
る。

【００１７】

【表１】

【００１８】表１から明らかなように、本発明タイヤ
は、耐エッジセパレーション性を有効に改善することが
できるのが判る。また、タイヤサイズ、サイプのショル
ダー端における深さｈを上記と同様にし、図１に示す構
成のタイヤにおいてｍ／Ｌを表２に示すように変えた試
験タイヤ１〜５をそれぞれ製作した。

【００１９】これら各試験タイヤを上記に示す測定条件
により、ベルト端部の耐エッジセパレーション性の評価
試験を行うと共に、以下に示す測定条件により、ショル
ダーリブの耐偏摩耗性の評価試験を行ったところ、表２
に示す結果を得た。耐偏摩耗性各試験タイヤをリムサイズ２２．５×９．００のリムに
装着し、空気圧８２５kPa として１０ｔのトラックの前
輪に取付け、１万km走行した後、ショルダーリブの肩落
ち摩耗量を測定し、従来タイヤを１００とする指数値で
評価した。この値が大きい程耐偏摩耗性が優れている。

【００２０】

【表２】

【００２１】表２から明らかなように、ショルダー端６
ａ側の接地長さｍと内側エッジ６ｂ側の接地長さＬとの
比ｍ／Ｌを０．７〜０．９にするのがよいことが判る。
耐偏摩耗性の低下が１０以内であれば、特に問題はな
い。

【００２２】

【発明の効果】上述したように本発明は、ショルダーリ
ブにタイヤの軸方向に沿って延びる複数のサイプをタイ
ヤ周方向に所定の間隔で配置すると共に、該サイプの深
さをショルダー端に向かう程深くし、トレッド面が接地
した際のショルダー端側の接地長さｍを主溝に面するシ
ョルダーリブの内側エッジ側の接地長さＬよりも短くし
たので、偏平化或いはワイドトレッド化した重荷重用空
気入りラジアルタイヤにおいて、ベルト端部における耐
エッジセパレーション性の改善を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤのト
レッドパターンの一例を示す要部平面図である。

【図２】本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤの子
午線半断面図である。

【図３】接地時のトレッド面の状態を示す説明図であ
る。

【符号の説明】

１トレッド面２主溝６ショルダーリブ６ａショルダー端６ｂ内側エッジ８サイプＴタイヤ周方向Ｗサイドウォール
部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】トレッド面にタイヤ周方向に延在する主
溝を設け、該主溝によりショルダー部に区画形成された
ショルダーリブを有する偏平またはワイドトレッド化し
た重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ショルダーリブにタイヤの軸方向に沿って延びる複
数のサイプをタイヤ周方向に所定の間隔で配置すると共
に、該サイプの深さをショルダー端に向かう程深くし、
トレッド面が接地した際の前記ショルダー端側の接地長
さｍを、前記主溝に面するショルダーリブの内側エッジ
側の接地長さＬよりも短くした重荷重用空気入りタイ
ヤ。
【請求項２】前記接地長さの比ｍ／Ｌを０．７〜０．
９となるように前記サイプを設けた請求項１に記載の重
荷重用空気入りタイヤ。
【請求項３】前記サイプがサイドウォール部側に開口
する請求項１または２に記載の重荷重用空気入りラジア
ルタイヤ。
【請求項４】偏平率が７０％以下、またはトレッド幅
とタイヤ幅との比で示されるワイドトレッド比が０．７
以下である請求項１乃至３に記載の重荷重用空気入りラ
ジアルタイヤ。