JPH0953611A - 気体保持能を有する表面を形成する方法 - Google Patents

気体保持能を有する表面を形成する方法

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JPH0953611A
JPH0953611A JP20823295A JP20823295A JPH0953611A JP H0953611 A JPH0953611 A JP H0953611A JP 20823295 A JP20823295 A JP 20823295A JP 20823295 A JP20823295 A JP 20823295A JP H0953611 A JPH0953611 A JP H0953611A
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JP
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air
inorganic oxide
film
forming
silane compound
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Application number
JP20823295A
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English (en)
Inventor
Tatsuo Nakatani
龍男 中谷
Toru Iwasaki
徹 岩崎
Kazue Takaoka
一栄 高岡
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Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 船舶の流体摩擦抵抗を減少させ、更に水中
構造物の汚染を防止する手段を提供する。 【解決手段】 没水する構造物の表面に樹脂層Sを形成
し、この樹脂層S中に無機酸化物粒子Rの一部を埋め込
み、一部を樹脂表面上に突出させて形成された微細な凹
凸Tを持つ表面を、疎水基を有するシラン化合物で処理
して気体保持能を有する表面を作製する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶や桟橋やバー
ジのような没水表面を持つ構造物の表面に水中において
気体を保持する表面を形成する方法の改良に関する。更
に船舶のような水中で航走する物体の流体摩擦抵抗を低
減させる効果、あるいは桟橋のような水中の定位置に固
定ないしは係留された物体の生物付着防止効果、また、
液体輸送管のような液体を内部に保持して流動させるよ
うな物体の流体抵抗の減少効果を有する表面を形成する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に船舶や液体輸送管のごとき没水表
面即ち、水と接する表面を有する構造物においては、そ
の表面に沿った水の流れが生じ、このとき剪断抵抗によ
る流体摩擦抵抗が生じる。ところで船舶におけるこの流
体摩擦抵抗の低減を図る方法として、船体の底部に突起
物を枠状に設けて空気室を形成し、この枠体で囲まれた
空気室内に空気を供給して船底表面上に空気層を形成す
る方法、あるいは空気を船体表面に噴出してその船体表
面に多数の気泡を発生させて気泡の水との混合層を形成
する、いわゆるマイクロバブル法等が提案されている。
【0003】一方、船舶の停船時や例えばバージ等の浮
体構造物、または水中鋼管杭などの定置される構造物の
没水表面には水中生物が付着したり、または腐食が生ず
る等の問題があり、この問題を解決する手段としては防
汚・防食塗料を塗布することが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記した船舶の流体摩
擦抵抗低減を図る方法のうち、船底部に空気室を設ける
方法では船体の表面に枠状に突起物が形成されているこ
とから必然的に流体抵抗が増加する上に、この船舶が航
行するとこの空気室内に保有されている空気が簡単に流
出してしまうので、この空気の補給に大きな動力が必要
になるという問題がある。
【0005】また、マイクロバブル法では船側や船底に
設けたノズルより大量の空気を供給しないと摩擦抵抗が
減少するだけの気泡と水との混合層を形成することがで
きないことから、大型のコンプレッサを設置しなければ
ならず設備費の増加と共にこれを駆動するに大きな動力
が必要となる。即ち、供給された空気は気泡となって船
側や船底に沿って流れて流体摩擦抵抗を低減させるが、
下流側に行くにしたがって複数の気泡が合体を繰り返し
ながら次第に大きな気泡となるため船体を覆う気泡の面
積が減少し、流体摩擦抵抗低減効果が小さくなるという
問題がある。そのためいずれも実用に供することができ
ないものであった 一方、従来の防汚・防食塗料の場合、塗膜の維持管理が
面倒なばかりでなく、塗膜中の有害物質が溶出し公害問
題が発生する恐れがあった。
【0006】本発明は、没水部分を有する構造物の没水
表面に薄く気体を保持し、これに空気を供給することに
よって気体膜を形成させることによって、少ない動力で
大幅な流体摩擦抵抗の低減させ、公害を引き起こすこと
なく水中生物の付着防止が図れる膜体の作製方法は提供
することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる膜体の作
製方法は、船体あるいは船体表面に貼着する基板上に樹
脂あるいは接着剤を平滑に塗布し、この樹脂あるいは接
着剤が乾燥する以前に無機酸化物粒子を一様にコーティ
ングし、この無機酸化物粒子の一部を樹脂層あるいは接
着剤層内部に埋め込み、一部を樹脂層あるいは接着剤層
上部に突出させる方法である。その結果、樹脂あるいは
接着剤が固化した後は無機酸化物粒子よりなる微細な凹
凸表面が形成される。
【0008】そして前記微細な凹凸表面を、疎水基を有
するシラン化合物で処理することを特徴としている。本
発明によって作成された膜体表面には、シロキサン結合
を介して疎水基が結合している無機酸化物粒子が膜体表
面上に高密度に突出し、固定化されて微細な凹凸表面を
形成している。
【0009】前記疎水基を有するシラン化合物が、末端
にCF3 基を有するフルオロアルキル基含有シラン化合
物である。微細な凹凸は薄い気体膜を形成する上で重要
な表面構造であり、好ましい微細な凹凸表面の粗さは9
0μm以下で、0.1μm以上である。即ち、この凹凸
表面の粗さが90μmよりかなり大きいと、気体膜を形
成する性能が低下する上に、船体抵抗を増加すると云う
問題がある。また、0.1μmより小さいと実質的に気
体、即ち空気を薄く保持する性能を有しないからであ
る。
【0010】前記基体が没水構造物、あるいは没水構造
物の表面に貼着する薄板状構造物である。前記方法は基
体表面に膜体を形成するのに合成樹脂を塗布あるいはコ
ーテイングする湿式法であるが、強固の凹凸表面を形成
する方法として焼結法がある。この方法は、基体表面に
無機酸化物粒子を分散媒体に分散した処理液を塗布し、
この処理液を乾燥して前記無機酸化物粒子の薄膜を形成
し、この薄膜を焼結して表面に微細な凹凸表面を現出さ
せ、その微細な凹凸表面を疎水基を有するシラン化合物
で処理することを特徴としている。
【0011】前記の方法で微細な凹凸を持ち、疎水性の
膜体を表面に形成した物体を空気中より水中に没すると
凹部内の空気は、水圧と水の表面張力、そして凹凸部を
形成している無機酸化物粒子表面の疎水基の作用によっ
てこの凹部内に封じ込まれ、保持された状態となり、膜
体の表面には空気膜が形成されて銀色を呈する。この銀
色は膜体の表面を観察した際に薄い空気層によって水が
押し上げられ、その水が形成する微細な凹凸面に光りが
乱反射して発するものと考えられる。
【0012】このように、単に水中に膜体表面を没する
だけでその表面に形成される空気膜は簡単に剥離するこ
とがない。そしてこの膜体表面に気体、例えば空気を供
給すると、この空気は水と空気との表面エネルギーを減
少させようとするために、既に存在していた空気と合体
して膜体表面に剥離し難い空気膜を形成する。そしてこ
の空気膜は、外乱(船体部分を流れる水流等)を受けて
膜体表面に形成されている空気膜から気泡として分離し
ようとしても、気泡を引き止める吸引力が作用し、簡単
に剥離することがない。その結果、極めて少ない動力に
より少量の空気を供給するのみで空気膜を保持すること
ができ、この空気膜が水と膜体表面との直接の接触を妨
げるため流体摩擦抵抗を低減することができる。また、
防汚や防食を図ることができる。
【0013】次に本発明に係る気体保持能を有する表
面、即ち、膜体を作成する方法について具体的に説明す
る。 a)本発明の気体保持能を有する表面を形成するための
膜体を作成する際に使用する粒子は無機酸化物粒子であ
るシリカ、アルミナ等が利用できる。 b)膜体に使用する樹脂あるいは接着剤は、基本的に基
体あるいは基板(船体や浮体、更にこれらの表面に貼着
するシート状物等)上に良好に接着あるいは被覆し、更
に前記疎水性粒子を固着できる機能を有していればよ
く、特に限定されるものではない。
【0014】具体的にはシリコーン樹脂、エポキシ樹
脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等が使用できるが、疎水
性が高く、低吸水性のものが好ましい。 c)膜体の作製方法は以下の通りである。 まず、基板上に前記の無機酸化物粒子が固着するため
の樹脂をハケ、ローラー、エアースプレーガン、エアレ
ススプレーガン等を用いて塗布する。
【0015】そして塗布した樹脂が乾燥する前に、前
記の無機酸化物粒子をまだ硬化していない樹脂中に埋め
込む。この場合、樹脂内部に潜り込んだ粒子は樹脂層内
に埋没するが、樹脂層上部に存在する粒子は、その一部
を樹脂層内に埋め込まれ、残りの部分は、樹脂層上部に
突出する。 この無機酸化物粒子を埋め込む方法としては、エアー
ガンによる吹き付け、静電吹き付け等の吹き付けによる
方法か、あるいは樹脂上に無機酸化物粒子を一様に噴霧
した後に無機酸化物粒子の上部より加圧する方法が適用
できる。
【0016】勿論、吹き付け、加圧の方法を組み合わせ
て適用することも可能である。この加圧の方法として
は、プレス機による平面加圧、ローラーによる加圧等の
方法が適用できる。なお、前記一連の工程は、樹脂ある
いは接着剤が固化する前に実施する必要がある。
【0017】樹脂あるいは接着剤が十分に固化したのち
膜体表面のエアーブローあるいは水洗浄を行なう。この
操作により、膜体上の不要な樹脂あるいは接着剤に固着
されていない無機酸化物粒子は膜体表面から取り除か
れ、膜体表面は、その一部を樹脂層あるいは接着剤層内
部に埋め込まれ、残りの部分は、樹脂層あるいは接着剤
層上部に突出した無機酸化物粒子で高密度に覆われた微
細な凹凸表面となる。
【0018】さらに、無機酸化物粒子からなる凹凸表
面を疎水基を有するシラン化合物で処理し疎水化する。
ここで使用する疎水基を有するシラン化合物は、アルキ
ル基含有シラン化合物、例えばCk 2k+1SiX1 (C
3 ) 3-1 (XはOCH3 ,OC 25 のアルコキシ基
またはCl、kは自然数、lは1,2,3)、あるいは
末端にCF3 基を有するフルオロアルキル基含有シラン
化合物、例えばCF3 (CF2 m (CH2 2 SiY
n(CH 33-n (YはOCH3 ,OC2 5 のアルコ
キシ基またはCl、mは0または自然数、nは1,2,
3)やCF3 ( CF2 m R(CH2 3 SiY3 (R
はCOO,COS,CONH,SO2 NH,YはOCH
3、OC2 5 のアルコキシ基またはCl、mは0また
は自然数)等が挙げることができる。
【0019】疎水化処理した表面は、できる限り表面エ
ネルギーを小さくすることが望ましく、末端にCF3
を有するフルオロアルキル基含有シラン化合物での処理
がより好ましい。この時、mは6以上が適当である。但
し、使用できるシラン化合物は基本的にアルキル基また
は末端にCF3 基を有するフルオロアルキル基の疎水基
を有し、無機酸化物粒子表面上の水酸基とシロキサン結
合を形成できる反応基を有しておればよく、上記のシラ
ン化合物に限定されるものではない。
【0020】また、疎水化処理に当っては1種のシラン
化合物だけでなく、複数種のシラン化合物を利用するこ
ともできる。 無機酸化物粒子からなる凹凸表面の疎水化処理方法
は、以下による。即ち、シラン化合物1容積部に対して
溶媒を1〜20容積部、好ましくは2〜10容積部加え
て良く混合する。ここで使用する溶媒に関しては、脂肪
族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、アルコ
ール、エステル、ケトン、およびハロゲン化炭化水素の
中から常温でシラン化合物の分散効果を有する溶媒が利
用できる。特に表面張力の低い溶媒が好ましく、トルエ
ン、ベンゼン、ヘキサン、イソプロピルアルコール等が
利用でき、これらの溶媒を単独、もしくは混合して使用
する。
【0021】また、溶媒に触媒として酸や塩基を添加し
ても良く、この時少量の水を同時に添加するのが好まし
い。使用する酸、塩基には塩酸、酢酸、アンモニア水
(25%〜28%アンモニア)などが用いられる。添加
する触媒量は、シラン化合物に対して0.1〜10wt
%で、特に0.2〜5wt%が好ましい。疎水化処理
は、無機酸化物粒子からなる凹凸表面をシラン化合物と
溶媒並びに触媒からなる混合液に浸漬したり、混合液を
前記凹凸表面に吹き付けてシリカ粒子表面上にシラン化
合物を吸着させた後、室温から150℃、好ましくは2
5℃から110℃で加熱処理することによって、シリカ
粒子表面上の水酸基と前記シラン化合物との間にシロキ
サン結合を形成させるものである。シロキサン結合形成
のための処理時間は1時間以上が適当である。
【0022】前記のように基体の表面に形成された膜体
の表面は微細な凹凸を持つと共にその凹凸表面は疎水性
であり、この基体を水中に没すると膜体の表面に薄い空
気層、即ち下地空気層をを保持する。この下地空気層は
強固なもので、簡単には剥離しない。そこでこの空気層
に向けて更に空気を補充(供給)することによって前記
剥離しがたい下地空気層と合体した空気層が形成され
る。
【0023】後から補充された空気が厚くなると水流と
共に一部は流れ去るが、下地空気層があるために簡単に
は流出せず、膜体の表面、即ち基体の表面に空気層を形
成する性質がある。このような性質を有効に利用するこ
とによって船体の没水表面に少量の空気の供給にもかか
わらず薄い空気層を形成することができるのである。前
記のように船体の没水表面に空気層が形成されることに
よって、その船体が航走する際の流体抵抗が飛躍的に減
少することになる。
【0024】このようにして没水体の表面に形成される
下地空気層に補充空気によって形成される空気層によっ
て一種のバリヤーが形成されることになり、バージのよ
うな浮体や桟橋のような定置水中構造物の没水表面に貝
や海草等が付着するのを防止ないしは低減することがで
きるのである。更に、水を配管によって輸送する際に若
干の空気が混入しても問題がない場合には本発明を適用
することによって送水抵抗を減少することができ、低揚
程のポンプでも送水することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
(実施例1)以下図1〜図6を参照して本発明の第1の
実施例を具体的に説明する。図1は本発明により作製し
た膜体の効果の確認のための試験に使用した模型船の概
略図であり、図2は図1におけるY部の拡大図、図3は
図1に矢印Bで示すノズル部分を拡大して示す底面図で
ある。
【0026】図1において、船体1は水槽中の所定の位
置に保持されており、この水槽の近傍に設けたコンプレ
ッサ2で圧縮された空気aをバルブ3とパイプ4を経由
し、さらに流量計5で流量を監視しながらパイプ6によ
り船体1の底部に導いて底部1aの上流位置に開口され
ているノズル9より噴出させてその噴出流の様子を観察
するようになっている。
【0027】空気aは船体1の底部1aにおいて分岐管
7で多数のパイプに分岐され、各パイプはそれぞれバル
ブ8を介して図2及び図3に示されるように、多数のノ
ズル9(この実施例の場合、直径が0.6mmの細管を使
用した)から後述する底部1aに貼り付けた試験片TP
の表面に沿って噴出するようになっている。なお、ノズ
ル9の吹き出し方向は船体1の進行方向の上流から下流
に向くようにする。また、多数のノズル9は図3に示す
ように直線状に一定の間隔で配置されている。
【0028】この実験に使用した試験片TPは、幅40
0mm、長さ500mm、厚さ1mmのアルミニウム平板上に
以下の方法により膜体を形成している。 −膜体の作成工程− アルミニウム平板上にシリコーン樹脂をエアースプレー
で20μmの膜厚になるように塗布し、そしてこのシリ
コーン樹脂が乾燥する前に平均粒径2μmシリカ粒子を
シリコーン樹脂上に噴霧する。
【0029】さらにこのシリコーン樹脂の表面をローラ
ーで加圧して樹脂中にシリカ粒子の一部を埋め込み、一
部を樹脂表面上に突出させる加工を行う。そして樹脂を
乾燥・固化させた後、この樹脂によって固定化されてい
ないシリカ粒子を水流により洗い流して膜体Mを形成し
た。この膜体Mは図4に示すように、アルミニウム平板
Pの表面にシリコーン樹脂層Sを形成し、これの表面に
シリカ粒子Rを石垣状に積層状態で付着して一部がシリ
コーン樹脂層Sに没入した構造を有しており、シリカ粒
子Rによって微細な凹凸Tが形成されいてる。
【0030】次に、前記膜体Mを疎水化処理する。この
疎水化処理には、イソプロピルアルコール95Vol%
水溶液88容量部に対してパーフルオロアルキルシラン
の一つであるCF3 (CF2 7 2 H 4Si(OC2
5 3を12容量部、更にCF3 (CF2 7 2 H
4 Si(OC2 5 3の1重量部に対して酢酸0.0
06重量部を加えて良く攪拌した溶液を準備し、この溶
液の中に図4に示すようにシリカ粒子Rがシリコーン樹
脂層Sの表面上に突出した膜体Mを形成しているアルミ
ニウム平板Pを浸漬した。
【0031】そして1時間後にこのアルミニウム平板P
を取りだし、3日間室温で乾燥した後に、120℃で1
時間加熱処理した。以上の操作により、シリカ粒子Rの
表面上の水酸基とパーフルオロアルキルシランがシロキ
サン結合を介して結び付き膜体Mの表面は疎水化され
る。この膜体Mの表面に形成されている凹凸表面の微細
な粗さを走査型レーザー顕微鏡により測定したところ1
0μmであり、この膜体Mを水中に浸漬すると膜体Mの
表面に空気膜を形成し銀色を呈することが確認された。
【0032】−模型船における膜体の性能試験− 前記のようにしてアルミニウム平板Pの表面に膜体Mを
形成した試験片TPをつなぎ合わせて幅800mm、長さ
3500mmとした。そしてこの試験片TPを図1に示す
ような全長7.267m、型幅1.28m、型深0.6
mの膜型船の船体1の船底部1aに、船首から1.45
mの位置に前記試験片TPの前縁が一致するように取り
付けた。
【0033】そして、図2及び図3に示すように、この
試験片TPの前縁に幅方向に等間隔(約20mm)に空気
吹き出し用の内径が0.6mmの注射針からなるノズル9
を40本配列した。船体1の吃水はバラストロードの状
態の200mmとした。そしてこの状態では供試船体1の
没水面積Sは9.81m2 、試験片TPの面積Stは
2.82m2で面積比St/Sは0.285であった。
【0034】船体抵抗試験では長さ220m、幅14
m、深さ6.5mの曳航水槽を用い、船体1を牽引車に
セットして、各船速に対して所定流量の空気を40本の
注射針ノズル9全体から微細気泡として船首から船尾方
向へ供給しながら船体1の抵抗を抵抗動力計を用いて測
定した。種々の船速の場合の粘性抵抗基準の抵抗低減量
(DR量)と試験片TP部分の摩擦抵抗低減量(DR′
量)を表1に示す。ここで、DR量及びDR′量は次の
式で示される。
【0035】 DR=−(Ct−CtO )/CvO ×100% DR′=(1+K)・DR/(St/S) 式中、Ct:供試船体の全抵抗係数、Cv:供試船体の
粘性抵抗係数、添字0:本発明による膜体を使用しない
通常の試験の場合、K:形状影響係数でK=0.222 をそ
れぞれ意味する。
【0036】表1に空気量レベル10におけるDR量と
DR′量を示している。DR量は7.5〜18.3%の
範囲で、またDR′量は32.2〜78.5%の範囲で
試験領域全体にわたって高い摩擦抵抗低減効果を示し
た。ここで、空気量レベルとは、膜体の表面凹部に保持
される空気層(下地となる空気膜あるいは空気層)と、
供給される空気(下地上に供給される空気層)とで形成
される空気層が船速と同一の速度で一様に流れると仮定
して計算した場合の平均空気層厚さを示す指標で、船速
U=2.11m/s(フルード数Fr=0.25)の場
合、実際の空気供給量Qaは表2で示される通りであ
る。
【0037】
【0038】 船速2.11m/sの場合のDR量と空気量レベルとの
関係を図5に示す。図5から明らかなとおり、少量の空
気供給によって、摩擦抵抗が著しく低減し、平均空気膜
厚さ0.24mm(空気量レベル5)の空気量を供給すれ
ば、最高レベルのDR量が得られた。
【0039】また、上記の実施例では膜体表面に供給す
る気体は空気を使用したが、水中に置かれた膜体表面上
に気体膜を形成できる気体であれば良く、空気に限定さ
れるものではない。 (実施例2)実施例1で説明したように本発明によって
作製された膜体の表面に気体、特に空気を供給すること
によって、その表面に気体層が形成されることが明らか
であることから、この現象を利用することによって優れ
た防汚・防食効果を発揮させることが可能である。
【0040】この防汚・防食作用は船舶の停船状態にあ
るとき、あるいは水中に定置されて設置される浮消波堤
やバージ、堤防、水中打設杭等にも適用して有効な効果
が期待できるものである。図6は桟橋に本発明の膜体表
面を形成して、この膜体表面に水中生物が付着するのを
防止するようになっている。
【0041】桟橋(水中構造物)10の海底11に植立
された脚部12の下部にリング状に空気噴出装置13を
設け、この空気噴出装置13から空気Gを多数の小孔か
ら噴出するように構成した。脚部12にはプライマーと
してエポキシ樹脂を塗布・乾燥した後、0.2mmのステ
ンレス製薄板の上に気体膜を形成する膜体を以下の方法
により作製して、前記プライマー上に貼り付けた。
【0042】即ち、幅400mm、長さ500mm、厚さ
0.2mmのステンレス平板上にエポキシ樹脂をエアース
プレーで20μmの膜厚になるように塗布した後、この
エポキシ樹脂が乾燥する前に平均粒径2μmのシリカ粒
子を噴霧した。さらにローラーで加圧することにより、
樹脂中にシリカ粒子の一部を埋め込み、一部を突出さ
せ、樹脂を乾燥・固化させた後、樹脂によって固定化さ
れていないシリカ粒子を空気流により除去し、図4の断
面構造を有する膜体Mを得た。
【0043】続いて、イソプロピルアルコール75容量
部、シラン化合物CF3 (CF2 7 2 4 Si(O
2 5 3 25容量部よりなる混合物にさらにCF3
(CF2 7 2 4 Si(OC2 5 3 1重量部に
対して酢酸0.006重量部を加えて良く攪拌した溶液
を前記膜体表面1m2 あたり40mlエアースプレーで
噴霧した後、30℃で3日間養生し、さらに120℃で
1hr加熱した。
【0044】この表面の微細な粗さを走査型レーザー顕
微鏡により測定した結果18μmであり、水中に浸漬す
ると膜体表面に空気層を形成した銀色を呈した。さら
に、コンプレッサ14、制御バルブ15、流量計16と
パイプ17を経由して前記空気噴出装置13と接続し、
制御装置18で制御しながら圧力空気を空気噴出装置1
3のノズルから脚部12の周囲に噴出した。噴出された
空気は、既に膜体表面に形成されていた空気層と合体
し、膜体表面に剥離し難い空気層を形成した。この状態
で6カ月間維持したが、脚部12の表面には海中生物が
付着せず、良好な防汚効果が認められた (実施例3)平均粒径2μmの不定形シリカ粒子を水に
10wt%分散し、スプレーによりアルミ合金からなる金
属薄板の表面に塗膜を形成した。この塗膜を室温にて乾
燥して前記不定形シリカ粒子の薄膜を形成した後、加熱
炉内において450°で約1時間加熱した後に徐々に冷
却して前記塗膜を焼結した。この焼結塗膜の表面には平
均で15μmの微細な凹凸表面を有していた。
【0045】前記のように金属薄板の表面に形成した微
細な凹凸表面をCF3 (CF2 72 4 Si(OC
2 5 3 で処理した。このように形成した微細な凹凸
表面は前記実施例1及び2と同様に気体保持性能を有し
ていることを確認した。前記のようにして形成した金属
薄板を、内径が5×10mm、長さが300mmの矩形
管の内面の上部壁面に固定した。なお、この上部壁面は
面積比で33%である。
【0046】そして前記矩形管の前方内部に少量を空気
を供給するように空気供給口を設け、更に矩形管中央部
と後部(150mm間隔)の圧力を測定する圧力計を設
けて差圧から矩形管の内部を流れる流体の摩擦抵抗を測
定できるようにした。前記のように構成した装置におい
て、水を色々の流速で流して流体摩擦低減量(DR量)
を測定した。その結果は次の通りであった。流速Vm/s 1 2 3 4 5 6 7 DR量 27.4 24.3 26.3 28.4 24.4 19.4 14.7 この実施例において、無機酸化物としてシリカあるいは
アルミナを使用することができる。また、分散媒体とし
ては水が代表的なものであるが、その他にアルコール、
有機溶媒を使用できる。
【0047】処理方法によっては前記分散媒体だけでは
無機酸化物を基体上に固定することが困難な場合があ
る。この場合には必要に応じてバインダーを添加すると
良い。このバインダーとしてはPVAやゼラチン等を使
用することができる。焼結温度は無機酸化物の粉体粒子
が基体表面に固定されて強固な層を形成する範囲であれ
ば良く、その温度範囲は150°〜1800℃程度であ
り、かつ無機酸化物の個々の種類で異なる溶融温度を越
えない温度範囲内とする。しかし、焼結温度が粉体粒子
の溶融温度以上に高い場合はこの粉体粒子によって微細
な凹凸面を形成することができないので、微細な凹凸面
が残る範囲の温度を選定する必要がある。
【0048】
【発明の効果】請求項1の発明により、基体表面に形成
した樹脂層の表面に無機酸化物の粒子による微細な凹凸
が形成されており、この微細な凹凸を疎水基を持つシラ
ン化合物、特に末端にCF3 基を有するフルオロアルキ
ル基含有シラン化合物で処理することによって、無機酸
化物粒子上の水酸基とフルオロアルキル基がシロキサン
結合によって強固に結び付けられ、疎水性があり、低エ
ネルギー表面を簡単に形成することができる。
【0049】この凹凸表面は空気中から水中に没した場
合にその表面上に空気層を形成し、さらに気体をこの表
面上に供給することによって大きな流体摩擦抵抗低減効
果、ならびに水中生物の付着防止効果が得られた。請求
項5の発明により、基体表面に無機酸化物粒子を分散媒
体に分散した処理液を塗布してこの処理液の薄膜を形成
し、この薄膜を乾燥し、焼結して表面に微細な凹凸表面
を現出させ、更にその微細な凹凸表面を疎水基を有する
シラン化合物で処理する気体保持能を有する表面を形成
しており、請求項1の発明と同様な作用効果を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の効果を確認するため模型船の説明図で
ある。
【図2】図1のY部のノズルを拡大して示す側断面図で
ある。
【図3】図1のB部のノズルを拡大して示す正面図であ
る。
【図4】膜体の構造を示す拡大図である。
【図5】空気量レベルと抵抗低減量との関係を示すグラ
フである。
【図6】本発明を適用した桟橋の説明図である。
【符号の説明】
1 船体 1a 底部 2 コンプレッサ 3
バルブ 4 パイプ 5 流量計 6 パイプ 7 分岐管 8 バル
ブ 9 ノズル 10 桟橋 11 海底 12 脚部 13 空
気噴出装置 S 樹脂層 R 無機酸化物の微細粒子 T 凹凸

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体の表面に樹脂層を形成し、この樹脂
    層中に無機酸化物粒子の一部を埋め込み、一部を樹脂表
    面上に突出させて形成された微細な凹凸表面を、疎水基
    を有するシラン化合物で処理することを特徴とする気体
    保持能を有する表面を形成する方法。
  2. 【請求項2】 前記疎水基を有するシラン化合物が、末
    端にCF3 基を有するフルオロアルキル基含有シラン化
    合物である請求項1記載の気体保持能を有する表面を形
    成する方法。
  3. 【請求項3】 前記凹凸表面の微細な粗さが90μm以
    下である請求項1記載の気体保持能を有する表面を形成
    する方法。
  4. 【請求項4】 基体が没水構造物、あるいは没水構造物
    の表面に貼着する薄板状構造物である請求項1記載の気
    体保持能を有する表面を形成する方法。
  5. 【請求項5】 基体表面に無機酸化物粒子を分散媒体に
    分散した処理液を塗布し、この処理液を乾燥して前記無
    機酸化物の薄膜を形成し、更にこの薄膜を焼結して表面
    に微細な凹凸表面を現出し、更にこの凹凸表面を疎水基
    を有するシラン化合物で処理する気体保持能を有する表
    面を形成する方法。
  6. 【請求項6】 基体は金属であり、焼結温度は無機酸化
    物の溶融温度より低い温度である請求項5記載の気体保
    持能を有する表面を形成する方法。
JP20823295A 1995-08-15 1995-08-15 気体保持能を有する表面を形成する方法 Withdrawn JPH0953611A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014005761A (ja) * 2012-06-22 2014-01-16 Chiyuugai Technos Kk 流体圧モーターにおける高速回転装置及びその高速回転方法

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