【発明の詳細な説明】
光学的に変化し得る顔料およびメタリック顔料を含む塗料組成物発明の分野
本発明は、塗料組成物、特にカラー−プラス−クリヤ複合材料塗料に有用な着
色塗料組成物、に関する。発明の背景
光学的に変化し得る薄膜顔料フレークは、この分野で様々な用途、例えば通貨
の偽造防止用途に使用するインク、および一般的に塗料組成物に関して記載され
ている。これらの顔料は、例えば、米国特許第4,434,010号、第4,7
04,356号、第4,779,898号、第4,838,648号、第4,9
30,866号、第5,059,245号、第5,135,812号、第5,1
71,363号、および第5,214,530号各明細書に記載されている。こ
れらの顔料は、柔軟性ウェブの上に無機の透明誘電体層、半透明の金属層、およ
び金属反射層を堆積させ、これらの層を、堆積した薄い被膜層が顔料粒子に粉砕
される様に、ウェブから分離することにより製造される。これらの粒子は、不規
則な形状の平らな顔料フレークの形態にある。これらの顔料は、他の種類の顔料
では観察されない二色効果を含む、劇的な視覚的効果を発揮することができる。
しかし、多くの場合、この顔料の視覚的効果は劇的過ぎて、商業的用途向けの
塗料組成物には適していない。その上、価格およびその他の理由から、塗料組成
物における光学的に変化し得る薄膜顔料の最適水準では、十分な隠蔽性が得られ
ない。そこで本発明の目的は、良好な隠蔽力を有し、光学的に変化し得る薄膜顔
料の観察される視覚的効果の度合いを、その効果の性質を著しく変えずに制御で
きる塗料組成物を提供することである。発明の概要
本発明により、重合体樹脂バインダーおよび光学的に変化し得る薄膜顔料フレ
ークを含んでなる塗料組成物を提供する。これらの顔料フレークは、第一および
第二の平行で平らな表面を有する金属反射層、および該第一および第二の平らな
表面の少なくとも一方の上に配置された少なくとも1個の透明誘電体層を含んで
なる多層薄膜干渉構造を有する。塗料組成物はさらに多層薄膜干渉構造の金属反
射層中の金属と同じ色のメタリック顔料を含んでなる。この塗料組成物は、様々
な塗料、特にカラー−プラス−クリヤ複合材料塗料、例えば自動車業界で使用さ
れる塗料、の製造に使用できる。好ましい実施態様の説明
光学的に変化し得る薄膜顔料フレークは、この分野では良く知られている。そ
れらの特性および製造は、ここにその全体を参考として含める、米国特許第4,
434,010号、第4,704,356号、第4,779,898号、第4,
838,648号、第4,930,866号、第5,059,245号、第5,
135,812号、第5,171,363号、および第5,214,530号各
明細書に記載されている。
光学的に変化し得る薄膜顔料フレークは、柔軟性ウェブの上に、透明誘電体層
、半透明の金属層、および金属反射層の組合せを堆積させて多層薄膜干渉構造を
形成させることにより製造される。干渉構造は一般的に、少なくとも一つの金属
反射層および少なくとも一つの透明誘電体層を有する。これらの層の様々な組合
せを使用して所望の光学的に変化し得る効果を達成することができる。好ましい
実施態様では、干渉構造は二色光学効果を生じ、金属反射層の片側に、順に少な
くとも一つの透明誘電体層および少なくとも一つの半透明金属層を有する。特に
好ましい実施態様では、この層構造は金属反射層の両側で対称的である。
金属反射層としては、様々な理由、例えばその価格および商業的に入手可能で
あること、から、アルミニウムが使用されることが多いが、他の金属、例えば金
、銅、または銀、も使用することができる。半透明金属層は、クロム、ニッケル
またはインコネルの様な金属から形成することができる。透明誘電体層は、二酸
化ケイ素、フッ化マグネシウム、または酸化アルミニウムの様な物質から形成さ
せることができる。層の厚さは、顔料に望まれる特定の性質により変えることが
できる。例えば、米国特許第5,135,812号明細書には、効果的な厚さと
して、金属反射層には80nm、半透明金属層には5nm、および透明誘電体層には
特定の設計波長の半波長の倍数の厚さが有用であることが開示されている。
上記の様に、光学的に変化し得る薄膜顔料フレークは、柔軟性ウェブの上に半
透明金属層、透明誘電体層、および金属反射層を施し、この多層構造からウェブ
を分離して顔料フレークを形成することにより製造される。ウェブは一般的に重
合体物質、例えばポリビニルアルコールまたはポリエチレンテレフタレート、で
ある。分離は、多層構造をウェブから剥離することにより達成されるが、この場
合、この分野で公知の様に、他の層を施す前にウェブ上に剥離層を堆積させてお
くのが好ましい。剥離工程を容易にするために、熱および/または溶剤を使用す
ることができる。あるいは、ウェブを適当な溶剤(ウェブ物質の溶解性に応じて
水性または有機溶剤)に溶解させて分離を達成することもできる。必要に応じて
、溶解工程の前に、容器に入れ易い様に被覆されたウェブを裁断または細かくち
ぎることもできる。
多層構造をウェブから分離すると、その構造は一般的に壊れて不規則な形状お
よびサイズのフレークになる。通常、これらのフレークは、本発明に必要なサイ
ズにするために、さらに処理する必要がある。この処理は、この分野で公知の技
術、例えば超音波攪拌、粉砕、濾過、またはすりつぶし、により達成することが
できる。このサイズを小さくする工程では、この分野で公知の様に、溶剤、界面
活性剤、および/または樹脂の様々な組合せを使用するのが好ましい場合がある
。
好ましい実施態様では、本願と同じ日にKendall ScottおよびDaniel W.Johns
onの名前で出願された、「光学的に変化し得る顔料を含む塗料組成物」と題する
米国特許出願明細書に記載されている様に、上記の技術を使用して、5〜40μ
mの所望の平均粒子径、および粒子径が50μmを超える粒子が10%を越えず、
粒子径が125μmを超える粒子は実質的に存在しない様な所望の粒子径分布が
達成される。しかし、所望の粒子径分布を確実に達成するために、この分野で公
知の様に、微細濾過技術を使用する必要がある場合もある。
本発明で使用するメタリック顔料は、多層薄膜干渉構造の金属反射層と類似の
色および他の視覚的特性(例えば反射率)を有する様に選択する。メタリック顔
料は、組成物中の顔料全体の0〜50重量%の量で存在することができ、好まし
くは3〜25%の量で存在する。メタリック顔料は、多層薄膜干渉構造中の金属
反射層の特性に応じて、アルミニウム、ゴールドブロンズ(銅−亜鉛合金)、銅
、ニッケル、黄銅、マグネシウム、亜鉛、およびこれらの合金からなる。好まし
くは、メタリック粒子はアルミニウム、ゴールドブロンズ、黄銅および亜鉛であ
る。アルミニウムは、反射層およびメタリック顔料の両方に特に好ましい。
本発明で使用するメタリック粒子は、一般的に約0.05〜約15m2/gアルミ
ニウムの表面積を有することができる。本発明の好ましい特徴として特に考えら
れるメタリック粒子は、メタリックフレーク、粉末および顆粒である。フレーク
顔料が特に好ましい。好ましい特徴では、フレークの表面積は約2〜約14.5
m2/gである。フレーク顔料の平均粒子径は、好ましくは1〜70ミクロン、より
好ましくは5〜50ミクロン、である。
本発明で使用するメタリック粒子、例えばアルミニウムフレーク顔料、は、金
属の微小片または顆粒を機械的手段、例えばスタンプミル、乾式ボールミル、湿
式ボールミルアトライター、または振動ボールミル、で粉砕することにより製造
できる。必要に応じて数%の粉砕助剤、または潤滑剤を使用することができる。
有用な粉砕助剤は、この分野で公知であり、高度に飽和した、または不飽和の酸
、例えばステアリン酸、オレイン酸、および高級脂肪族アミン、例えばステアリ
ルアミン、を含む。
メタリック顔料は有機溶剤媒体中で粉砕することができる。適当な有機溶剤と
しては、脂肪族炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、およびミネラルスピリッ
ト、芳香族炭化水素、例えばトルエン、ナフサ、およびキシレン、エステル、例
えば酢酸エチル、酢酸ブチル、およびグリコールエーテルアセテート、例えばプ
ロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エーテル、例えばテトラヒドロ
フラン、がある。粉砕加工工程の後、過剰の溶剤を濾過により除去し、好ましく
は不揮発成分30〜80重量%のペーストを得る。メタリック顔料製造の他の特
徴は、ここにその全体を参考として含める米国特許第4,565,716号明細
書に記載されている。
アルミニウムフレーク顔料ペーストは、Silberline(米国ペンシルバニア州タ
マク)、Aluminum Company of Amerlca(米国ペンシルバニア州ピッツバーグ)
、Obron Atlantic Corp.(米国オハイオ州ペインズヴィレ)、Reynolds Metals
Company(米国バージニア州リッチモンド)、およびToyo Aluminum KK,(日本
国大阪府東区)のような会社から様々な等級、タイプおよび粒子径で市販されて
いる。自動車ベースコートの様なある種の水性塗料用途には、ノンリーフィング
型のアルミニウムフレーク、例えばSilberlineから市販のSparkle SilverR 5245
ARアルミニウムペーストまたはObronから市販の8160 ARアルミニウムペースト
、を使用することができる。
本発明により、光学的に変化し得る薄膜顔料とメタリック顔料の組合せは、バ
インダー樹脂と共に塗料組成物中に使用される。効果的な顔料:バインダーの比
率は0.03:1〜0.30:1、好ましくは0.05:1〜0.15:1、で
ある。本発明に使用するバインダーは、この分野で公知の多くの重合体のいずれ
からでも選択できる。塗料組成物に有用な、この分野で公知の重合体には、アク
リル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、アル
キド樹脂、エポキシ樹脂、およびポリシロキサンが含まれる。好ましい重合体と
してはアクリル樹脂およびポリウレタンがある。樹脂は熱可塑性の樹脂でもよい
が、架橋性の、したがって1種またはそれより多い架橋性官能基を含む樹脂が好
ましい。その様な基には、例えば水酸基、イソシアネート基、アミン基、エポキ
シ基、アクリレート基、ビニル基、シラン基、およびアセトアセテート基がある
。これらの基は例えばマスクまたはブロックされ、望ましい硬化条件下で、一般
的に昇温された温度で、そのブロックが外れ、架橋反応に使用できる(すなわち
熱硬化性)。有用な架橋性官能基には、水酸基、エポキシ基、酸基、無水物基、
シラン基、およびアセトアセテート基がある。好ましい架橋性官能基には、ヒド
ロキシ官能基およびアミノ官能基がある。
上記の重合体が自己架橋性であるか、または塗料組成物が、重合体の官能基と
反応し得る別の架橋剤を含むことができる。重合体がヒドロキシ官能基を含んで
なる場合、例えば架橋剤はアミノプラスト樹脂、イソシアネートおよびブロック
ドイソシアネート(イソシアヌレートを含む)、および酸または無水物官能性架
橋剤でよい。
本発明の塗料組成物は、溶剤系または水系でよい。水系塗料組成物に適当なバ
インダー樹脂は、水分散性または水溶性のイオン系または非イオン系樹脂である
。トップコート用には陰イオン系または非イオン系樹脂が好ましい。トップコー
ト用水分散性重合体の例は、すべてここに参考として含める米国特許第4,79
4,147号、第4,791,168号、および第4,518,724号各明細
書に記載されている。その様な系は、上記の様な架橋剤を含むこともできる。重
合体型のメラミンは強酸触媒を必要としないので、バインダー樹脂が陰イオン的
に安定化されている水系塗料組成物には、この様な重合体型メラミンが好ましい
場合
が多い。被膜形成樹脂が非イオン的に安定化されている場合、重合体型メラミン
を使用できるか、あるいは単量体メラミンを強酸触媒、例えばスルホン酸または
ブロックドスルホン酸、と共に使用することができる。
本発明の塗料組成物には、必要に応じて溶剤を使用することができる。本発明
の組成物は、例えば本質的に固体粉体または分散液として使用できるが、通常は
、溶剤を使用して達成できる、本質的に液体の状態にあるのが好ましい。この溶
剤は、使用するバインダー樹脂ならびに架橋剤の両方に対して溶剤として作用す
べきである。一般的に、この分野で良く知られている様に、塗料組成物中の各成
分の溶解特性に応じて、溶剤は多くの有機溶剤および/または水のいずれでもよ
い。好ましい実施態様では、溶剤は極性有機溶剤である。より好ましくは、溶剤
は極性脂肪族溶剤または極性芳香族溶剤、例えばケトン、エステル、酢酸エステ
ル、非プロトン性アミド、非プロトン性スルホキシド、または非プロトン性アミ
ン、である。効果的な溶剤の例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、酢酸m−アミル、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレン、n−メチルピロ
リドン、または芳香族炭化水素の混合物がある。
別の好ましい実施態様では、溶剤は水または水と少量の水性共溶剤の混合物で
ある。好ましい共溶剤には、酢酸エステル、例えば酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、
および酢酸オクチル、グリコールエーテルおよびグリコールエーテルアセテート
、例えばプロピレングリコールエーテルおよびプロピレングリコールモノメチル
エーテルアセテート、およびケトン、例えばメチルプロピルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、およびメチルヘキシルケトンがある。グリコールエーテルおよび
グリコールエーテルアセテートが特に好ましい。
大部分の液体塗料組成物には、溶剤は約0.01重量%〜約99重量%、好ま
しくは約10重量%〜約60重量%、より好ましくは約30重量%〜約50重量
%、の量で存在する。
少量のレオロジー調整剤、例えばヒュームドシリカ、ヘクトライトクレー、ベ
ントナイトクレー、または酢酸酪酸セルロースの様なセルロース性化合物を含む
のが望ましい場合もある。その様な物質は、反応物の固体総重量に対して通常1
0%未満の量で使用する。レオロジー調整剤は、塗布および硬化工程における組
成物の流動性およびレベリングを調整するために使用する。レオロジー調整剤は
、塗料のメタリック外観の調整にも効果的である。その様な物質は、顔料フレー
ク表面を被覆表面に平行に整列させ、正面から見た時の明るさを最大にし、斜め
から見た時の暗さを最大にする様に「固定」するのに役立つ。
本発明の塗料組成物は、他の顔料をさらに含んでなることができる。好ましい
実施態様では、本発明の塗料組成物はさらに、本願と同じ日にDaniel W.Johnso
nの名前で出願された、「光学的に変化し得る顔料および黒色顔料を含む塗料組
成物」と題する米国特許出願明細書に記載されている様に、黒色顔料を含んでな
る。別の好ましい実施態様では、本願と同じ日にDaniel W.Johnsonの名前で出
願された、「光学的に変化し得る二色顔料および干渉マイカ顔料を含む塗料組成
物」と題する米国特許出願明細書に記載されている様に、光学的に変化し得る薄
膜顔料は二色顔料であり、塗料組成物はさらに光学的に変化し得る薄膜顔料の色
の一つの干渉マイカを含んでなる。さらに塗料組成物は、光学的に変化し得る薄
膜顔料の色を変える、またはその望ましくない色を阻止するために減色作用させ
るために、透明顔料を含むこともできる。例えば、ゴールドからグリーンに移行
する顔料の場合、黄色の染料または透明な黄色の顔料を加えることにより、望ま
しくない色が吸収され、大きな観察角における青色反射光が阻止される。上記の
補足的な顔料を相互に、または他の公知の顔料と組み合わせることも可能である
。
本発明の塗料組成物は、必要に応じて使用する成分、例えば湿潤剤、界面活性
剤、消泡剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、可塑剤、およびその他を含有
することができる。界面活性剤および湿潤剤の例としては、アルキルイミダゾリ
ン、例えばCiba-Geigy Industrial ChemicalsからAmine CR として市販の製品、
Air Products and ChemicalsからSurfynolR 104として市販のアセチレン性アル
コールがある。これらの必要に応じて使用する成分は、存在する場合、樹脂固体
の約0〜20重量%を構成する。
製造された塗料組成物は、多くの通常の手段、例えばスプレー塗布、ブラシ塗
布、ディップ塗布またはフロー塗布、のいずれかにより基材に塗布する。好まし
い塗布方法は、スプレー塗布または静電スプレー塗布である。これらの方法は広
く、特に自動車用塗料の塗布に使用されている。例えば、塗料は、Model 62 サ
イホンスプレーガン(Binks Manufacturing Corp.(米国イリノイ州フランクリ
ンパーク)から市販)により、50〜80psi噴霧空気圧で塗布することもでき
る。
本発明の塗料組成物を塗布する基材は、例えば金属、セラミック、プラスチッ
ク、ガラス、紙、または木でよい。また、基材は、上記の物質のいずれかに本塗
料組成物または他の塗料組成物を予め被覆したものでもよい。本発明の塗料組成
物は、自動車用の予備被覆した鋼またはプラスチック基材に特に有用であること
が分かっている。本発明の塗料組成物は、自動車用のプライマー処理した基材上
に、トップコート組成物として、またはクリヤコート組成物で上塗りするベース
コート組成物として特に適している。
塗料組成物を基材に塗布した後、好ましくは反応基のすべて、またはほとんど
すべてを転化するのに十分な温度および時間で加熱することにより、被覆を硬化
させる。硬化温度は通常115℃〜180℃であり、硬化時間は通常15分〜6
0分間である。好ましくは、被覆は120〜150℃で20〜30分間硬化させ
る。硬化させた被覆の厚さは1〜150ミクロンでよいが、自動車用のベースコ
ートとして使用する場合、被覆厚は一般的に10〜30ミクロンである。
特に好ましい実施態様では、本発明の組成物は、複合物質のカラー−プラス−
クリア被覆の着色ベースコートとして使用する。その様な複合物質組成物は、色
の深みおよび液体の様な光沢のある表面外観が得られるために広く使用されてい
る。これらの組成物は自動車用塗料に特に広く使用されている。ベースコートは
、クリヤコートを塗布する前に硬化させるか、あるいはベースコートにクリヤコ
ートを「ウェット−オン−ウェット」で塗布することができる。用語「ウェット
−オン−ウェット」とは、ベースコートを塗布した後、その中に含まれる水およ
び他の溶剤の大部分をフラッシュ、つまり乾燥させるが、クリヤコート組成物を
塗布する前には硬化させないことを意味する。クリヤコート組成物を塗布した後
、ある時間フラッシュすなわち乾燥させ、次いでベースコートおよびクリヤコー
トを一緒に硬化させる。
クリヤコートは、本発明の塗料組成物でも、この分野でクリヤコートとして使
用できることが公知の他の組成物でもよい、クリヤコートは必ずしもベースコー
トで使用する硬化機構を使用する必要はないが、使用する硬化機構は相互に妨害
してはならない。
ベースコートは1層に、または層の塗布間に溶剤および水を蒸発させるための
短い時間(「フラッシュ」期間)をおいて2層に塗布することができる。塗布後
、好ましくは加熱炉中120°Fの様な僅かに高い温度で5〜20分間、ベース
コートをさらに乾燥させてから、クリヤコート組成物を塗布する。クリヤコート
組成物は、好ましくはスプレーにより1層に、好ましくは層間に短いフラッシュ
時間をおいて2層に、塗布する。クリヤコート組成物は通常の、または加熱条件
下で1〜20分間フラッシュする。次いで、通常は上記の熱硬化方法により未硬
化の塗料を硬化させる。それによって優れた外観および物理特性が得られる。
本発明を下記の例によりさらに説明する。例1
下記の組成を有する塗料組成物を製造した。
樹脂ビヒクル
18.01%のアクリルマイクロゲル
33.99%のメラミン樹脂架橋剤
48.00%のOH官能性アクリル樹脂バインダー
(塗料100重量部あたり50.31重量部の総ビヒクル固体)
を含む。
顔料
75%の光学的に変化し得る薄膜顔料フレーク
25%のSilberlineR 5245アルミニウムフレーク顔料
(塗料100重量部あたり7.55重量部の総顔料)
を含む。
添加剤
ポリアクリル酸ブチル0.20部/100部塗料
TinuvinR 1130 0.50%(ビヒクル固体に対して)
ヒュームドシリカ 0.50%(ビヒクル固体に対して)
NacureR 5225 0.50%(ビヒクル固体に対して)
メタノール 3.0部/100部塗料
これらの塗料組成物を、酢酸n−ブチルで17”#4フォードカップに希釈し
、プライマー処理した金属パネル上にスプレーし、フラッシュ乾燥させ、OH官
能性アクリル樹脂およびメラミン架橋剤を含むクリヤコートで上塗りした。次い
で塗料を121℃で30分間焼き付け、ベースコートの厚さが15〜20μm、
クリヤコートの厚さが41〜46μmである、硬質で耐久性のある被覆に硬化さ
せた。
比較のため、顔料が100%の光学的に変化し得る薄膜顔料からなることを除い
て、同等のパネルを製造した。本発明により製造したパネルは、比較パネルに対
して、よりソフトで、より微妙な二色効果を示したが、二色効果の視覚的特性は
維持していた。
本発明を、その特定の実施態様で説明した。無論、本発明の精神および範囲内
で修正および変形が可能である。