JPH09505555A - TGF−βの活性を刺激および阻害する方法および組成物 - Google Patents

TGF−βの活性を刺激および阻害する方法および組成物

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JPH09505555A JP7507120A JP50712095A JPH09505555A JP H09505555 A JPH09505555 A JP H09505555A JP 7507120 A JP7507120 A JP 7507120A JP 50712095 A JP50712095 A JP 50712095A JP H09505555 A JPH09505555 A JP H09505555A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、TGF-βの活性を刺激する方法であって、潜在型TGF-βを、潜在型TGF-βを活性型TGF-βに変換するのに有効な量のTSPまたはTSP由来の活性化ペプチドと接触させる工程を含む方法を提供する。本発明はまた、TGF-βの活性の刺激を阻害する方法であって、潜在型TGF-βを、TSPに結合してTGF-βの活性化を予防するのに有効なTSPに特異的なリガンドと、または、潜在型TGF-βの活性型TGF-βへの変換を阻害するのに有効な量のTSPの4つの連続したアミノ酸の配列に対応する配列を有する阻害ペプチドと、接触させる工程を含む方法を提供する。本発明はまた、創傷の治癒を増強する方法であって、創傷部位に、潜在型TGF-βを活性型TGF-βに変換するのに有効な量のTSPまたはTSP由来の活性化ペプチドを投与する工程を含み、TGF-βの活性化が結果として創傷の治癒を増強する方法を提供する。病的状態でTGF-βによって刺激される線維症を予防する方法もまた、提供される。この方法は、線維症を生じ得る部位に、TSPに結合してTGF-βの活性化を阻害するのに有効な量のTSPに特異的なリガンド、または潜在型TGF-βの活性型TGF-βへの変換を阻害するのに有効な量のTSP由来の阻害ペプチドを投与する工程を含み、結果として線維症が抑制される。本発明はまた、TGF-β仲介型の内皮細胞の増殖の阻害を遮断する方法であって、内皮細胞を、TSPに結合してTGF-βの活性化を阻害するのに有効なTSPに特異的なリガンド、または潜在型TGF-βの活性型TGF-βへの変換を阻害するのに有効なTSP由来の阻害ペプチドと接触させる工程を含み、結果として内皮細胞を増殖させる方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 TGF-βの活性を刺激および阻害する方法および組成物 発明の背景 技術分野 本発明は、TGF-βの活性を制御する方法に関する。特に、本発明は、TSPもし くはTGF-βの活性を刺激するTSP由来の特定のペプチドの適用によってTGF-βの 活性を刺激する方法、またはTSPに対する抗体もしくはTGF-βの活性を阻害するT SP由来の特定のペプチドの適用によってTGF-βの活性を阻害する方法に関する。 背景技術 トランスフォーミング成長因子−β(TGF-β)は、成長、分化、および形態形 成オートクリンおよびパラクリン因子のファミリーの一員である(3、26)。TGF -βは、ほとんど全ての細胞タイプにおいて、広範な細胞機能に影響し得る。細 胞タイプおよびその細胞外環境に依存して、これらの影響は正でも負でもあり得 る。TGF-βは、インビトロで内皮細胞の増殖を阻害する(31)が、インビボで血管 形成を刺激する(39)。TGF-βはまた、存在する基質および***促進因子の性質に 依存して、線維芽細胞の増殖を増強または阻害することが示されている(3)。筋 芽細胞の分化もまた、***促進因子が利用できるか否かに依存して、TGF-βによ って誘発または遮断され得る(25、45)。 TGF-β1は、潜在型前駆体分子の一部として合成される、ジスルフィド結合し たホモダイマーである。この潜在型前駆体分子は、長さが390アミノ酸であって 、N−末端278アミノ酸の潜在性会合ペプチド(LAP)およびC−末端112アミノ酸 の活性ドメインからなる(15〜17)。TGF-βのプロ領域は、細胞内のタンパク質分 解型プロセシングおよび分泌の後も活性領域に非共有結合的に付着したままでい るという点でユニークである(15)。LAPの成熟ペプチド領域との会合が、潜在性 を付与する:LAP会合型の成長因子は、その細胞レセプターと相互作用し得ない 。LAPは、3つのN−結合グリコシル化部位を含み、そのうち2つはマンノース −6−リン酸残基を有する(8、28、38)。これらの炭水化物構造は、潜在性のため に重 要であり得る。なぜなら、エンドグリコシダーゼFでの処理がTGF-βの活性化を 導くからである(28)。LAPのジスルフィド結合したダイマー構造は、潜在性のた めに極めて重要である。なぜなら、LAP内の極めて重要なシステイン残基(cys223、 225)の部位特異的変異誘発が潜在性機能を消失させるからである(9)。活性 ドメインは、鎖の間および鎖内でのジスルフィド結合に関与する9つの保存され たシステイン残基を含む(27)。 TGF-βは、大抵の細胞タイプによって、潜在型複合体として分泌される(27、37 )。TGF-βの合成およびTGF-βレセプターの発現は高度には制御されていないの で、TGF-βの活性の主たる制御は、潜在型TGF-β複合体の活性分子への変換の調 節による。物理化学的な活性化が、極端なpH、熱、カオトロピック剤および脱 グリコシル化によって起こり得る(6、27、28、37)。インビボでの活性化はより複雑 であって、良くは理解されていない。細胞培養モデルからの証拠によれば、活性 化は、潜在型分子のマンノース−6−リン酸レセプターへの結合を通じて(12、21 )、プラスミン仲介型のタンパク質分解型プロセシングによって(4、23、40、41)、 および/または酸性の細胞微小環境でのプロセシングによって(20)起こり得る。 若干のシステムにおいては、プラスミンによる潜在型TGF-βの活性化は比較的非 効率的である(41)。さらに、TGF-βの活性化がこれらの機構とは独立して起こる という報告もある(19)。これらの結果は、潜在型TGF-βの活性化のさらなる機構 が存在し得ることを示唆する。 TGF-βは、多数の研究を通じて、創傷の治癒および線維症において重要な役割 を果たすことが示されている。炎症、肉芽組織の形成および細胞外マトリックス の生合成という3つのフェーズは、創傷の治癒のプロセスおよび線維症の発達の 両者において同一である。細胞外マトリックスの生合成に関与する生合成および 分解経路の微妙なバランスが、適切な創傷の治癒もしくは線維症のどちらを生じ るかを決定するようである。TGF-βは、細胞外マトリックスの形成に極めて重要 な関与をする遺伝子を制御するというその機能のゆえに、組織再生のこのフェー ズ(その最終的な結果は創傷の治癒または線維症のいずれかである)に著しく影 響を与える(46)。従って、このプロセスにおけるTGF-βの活性の高感度の制御は 、創傷の治癒および線維症のプロセスの調節を可能にする。 トロンボスポンジン(TSP)は、マルチドメイン糖タンパク質の増加しつつあ るファミリーである(5、30、48、49)。TSP1が最も良く特徴付けられており、プロ トタイプのTSP分子として役立つ。TSPは、結合組織および血小板のα顆粒中に存 在するジスルフィド結合したトリマー(450,000ダルトン)であって、刺激され た血小板の放出物中で、活性複合体としてTGF-βと会合している(5、4、30、34)。T SPは分泌されて、多数の培養細胞の細胞外マトリックスへと取り込まれる(1〜5) 。TSPは、TGF-β同様、細胞タイプごとに異なる細胞の機能に対して広範な影響 を与える。TSPは、内皮細胞の増殖および移動を阻害し得る(2、34、42、51)が、平 滑筋細胞および皮膚の線維芽細胞の成長を刺激する(36、52)。TSPはまた、内皮細 胞の集中性(focal)接着の分離を生じるその能力によって示されるように、付 着タンパク質および抗接着分子の両方として役立ち得る(33)。TSPはまた、血管 形成、線維素溶解、血小板凝集および炎症において役割を果たす(1〜5)。 TSPは創傷環境において一時的に存在し、その合成は、TGF-βを含む成長因子 によって急速に誘発される(50)。TSPは切創の周縁で2〜7日間検出可能であり 、その後は創傷近傍の血管路の周囲に局在化する。TSPの役割は未だ明確には理 解されていないが、TSPが創傷部位への細胞の移動を容易にし得るか、もしくは 局在化した成長促進因子として作用するかもしれないと推測されている(49)。 TSPには、タイプ1リピートとして知られる3つの配列がある。それぞれのリ ピートは約60アミノ酸からなり、6つの保存されたシステイン残基を有し、ヒト の補体成分であるプロペルジンにおいて見いだされる同様なリピートと約47%の 配列相同性がある。TSPのタイプ1リピート中には、2つの良く定義されたコン センサス配列であるCSVTCG(配列番号1)およびWSXW(配列番号2) がある。CSVTCG(配列番号1)は、ネズミ肺コロナイゼーション・アッセ イにおいてメラノーマ細胞の転移を阻害し(47)、そして細胞接着を促進する(53、 54)。Tolsmaらは、角膜の新生血管形成アッセイを用いて、CSVTCG(配列 番号1)がインビボで血管形成を阻害することを示した(55)。 配列WSXW(配列番号2)は、硫酸化された糖接合体(glycoconjugates) に特異的に結合し、細胞接着および走化性を促進する(56)。フィブロネクチンの ゼラチン結合ドメインへのTSPの結合は、ペプチドGGWSHW(配列番号3) を用いて遮断し得る(57)。この配列はまた、TGF-βの複数のメンバーおよびサイ トカインレセプターのスーパーファミリーの間で保存されている(58、59)。 本発明は、TSPによる潜在型TGF-βの活性化の方法、およびTSPを特定のリガン ドに結合させることによる潜在型TGF-βの活性化を阻害する方法を提供する。本 発明はまた、潜在型TGF-βを活性化させる特定のTSPペプチド、および潜在型TGF -βの活性化を阻害するTSPペプチドを提供する。TSP由来のこれらのペプチドは 、ナノモルからマイクロモルの濃度でTGF-βレベルを正および負の両方に調整し 得る。従って、これらのペプチドは、創傷の治癒の促進および線維症の阻害のた めに、インビボで、治療剤として使用され得る。 発明の要旨 本発明は、TGF-βの活性を刺激する方法であって、潜在型TGF-βを、潜在型TG F-βを活性型TGF-βに変換するのに有効な量のTSPまたはTSP由来の活性化ペプチ ドと接触させる工程を含む方法を提供する。本発明はまた、TGF-βの活性の刺激 を阻害する方法であって、潜在型TGF-βを、TSPに結合してTGF-βの活性化を予 防するのに有効なTSPに特異的なリガンドと、または、潜在型TGF-βの活性型TGF -βへの変換を阻害するのに有効な量のTSPの4つの連続したアミノ酸の配列に対 応する配列を有する阻害ペプチドと、接触させる工程を含む方法を提供する。 本発明はまた、創傷の治癒を増強する方法であって、創傷部位に、潜在型TGF- βを活性型TGF-βに変換するのに有効な量のTSPまたは活性化ペプチドを投与す る工程を含み、TGF-βの活性化が結果として創傷の治癒を増強する方法を提供す る。 病的状態でTGF-βによって刺激される線維症を予防する方法もまた、提供され る。この方法は、線維症を生じ得る部位に、TSPに結合してTGF-βの活性化を阻 害するのに有効な量のTSPに特異的なリガンド、または潜在型TGF-βの活性型TGF -βへの変換を阻害するのに有効な量のTSP由来の阻害ペプチドを投与する工程を 含み、結果として線維症が抑制される。 本発明はまた、TGF-β仲介型の内皮細胞の増殖の阻害を遮断する方法であって 、内皮細胞を、TSPに結合してTGF-βの活性化を阻害するのに有効なTSPに特異的 なリガンド、または潜在型TGF-βの活性型TGF-βへの変換を阻害するのに有効な TS P由来の阻害ペプチドと接触させる工程を含み、結果として内皮細胞を増殖させ る方法を提供する。 好適態様の説明 本発明は、下記の特定態様の詳細な説明および本明細書中に含まれる実施例を 参照することにより、より容易に理解され得る。 ひとつの態様において、本発明は、TGF-βの活性を刺激する方法であって、潜 在型TGF-βを、潜在型TGF-βを活性型TGF-βに変換するのに有効な量の精製され たTSPまたはTSP由来の精製された活性化ペプチドと接触させる工程を含む方法を 提供する。本明細書において用いられる「活性型TGF-β」または「TGF-βの活性 」とは、TGF-βタンパク質がそれに曝された細胞に影響を及ぼすような構造で存 在するTGF-βタンパク質をいう(その影響とは、増殖、分化、血管形成等である )。本明細書において用いられる「潜在型TGF-β」とは、TGF-βタンパク質の活 性ドメインがLAPと複合体化して、そのためにそれに曝された細胞には影響を 及ぼさないような構造で存在するTGF-βタンパク質をいう。本明細書において用 いられる用語「活性化ペプチド」は、少なくとも3アミノ酸を含み、潜在型TGF- βに曝されたとき潜在型TGF-βを活性型TGF-βに変換する、合成または天然タン パク質からもしくは組換え法により生成されるペプチド配列またはペプチド類似 体(mimetic)として定義される。本発明のペプチドはTSPの配列に対応するかま たはTSPの機能的配列から誘導され得る。本明細書において用いられる用語「精 製された」は、他のタンパク質、ペプチドおよび夾雑物から分離されていること をいう。 潜在型TGF-βをTSP由来の相当量の活性化ペプチドと接触させることによって 、TGF-βの活性を刺激する方法において、活性化ペプチドはTSPの第1、第2お よび第3のタイプ1リピート領域に由来し得る。例えば、配列番号5、9、14、 15および16は、第2のタイプ1リピート領域に由来する。本明細書において用い られる「第2のタイプ1リピート領域」とは、第2のタイプ1の反復する配列単 位 をいい、3つのタイプ1リピートのアミノ末端から数えられ、ヒトTSP1のアミ ノ酸412〜473からなる。活性化ペプチドは以下からなる群から選択され得る: または、アミノ酸配列RFK(配列番号18)からなり得る。活性化ペプチドは 、その配列の部分的または完全なレトロ−インベルソ(retro-inverso)の改変 、または適切な非天然アミノ酸を含み得る。このような配列およびTSPに対応す るまたはTSPから誘導される他の配列は、実施例に記載のように軟寒天NRKコ ロニー形成アッセイおよび内皮細胞増殖アッセイにおいて、TGF-βの活性化機能 についてスクリーニングすることによって、活性化配列であると決定される。 TGF-βを産生する細胞を、TSPに結合してTGF-βの活性化を予防するのに有効 な量のTSPに特異的なリガンドと接触させることによって、TGF-βの活性の刺激 を阻害する方法もまた提供される。本明細書において用いられる「特異的」とは 、特定された部分(ここではTSP)以外のいかなる部分(moiety)とも実質的に 交差反応しない、抗体または他のリガンドをいう。本明細書において意図される ものとして、リガンドはTSPと結合する任意の試剤、例えばそのままの抗体、抗 体の断片、またはTSPとの特異的反応性を有する他の試剤を含む。リガンド、例 えば抗体は、実施例において提供されているものであり得、または慣用的な手法 を用いて、当該分野で記載されているようにして作製され得る(61)。 他の態様において、本発明は、TGF-βの活性の刺激を阻害する方法であって、 潜在型TGF-βを、潜在型TGF-βの活性型TGF-βへの変換を阻害するのに有効な量 のTSP由来の精製された阻害ペプチドと、接触させる工程を含む方法を提供する 。本明細書において用いられる「阻害ペプチド」とは、TSPの機能性領域から誘 導 される少なくとも4つのアミノ酸を含み、潜在型TGF-βに曝されたとき潜在型TG F-βの活性型TGF-βへの変換を阻害するペプチド配列をいう。精製された阻害ペ プチドは、TSPの4つの連続したアミノ酸の配列に対応する、潜在型TGF-βの活 性型TGF-βへの変換を阻害するのに有効な配列を有し得る。 TGF-βの活性の刺激を阻害する方法において、阻害ペプチドはTSPの第1、第 2および第3のタイプ1リピート領域に由来し得る。例えば、配列番号25、26、 27および3が、第2のタイプ1リピートに由来する。TSPから誘導される阻害ペ プチドは、アミノ酸配列GGWSHW(配列番号3)からなり得、または以下か らなる群から選択され得る: 活性化ペプチドは、その配列の部分的または完全なレトロ−インベルソの改変、 または適切な非天然アミノ酸を含み得る。このような配列およびTSPから誘導さ れる他の配列は、実施例に記載のように軟寒天NRKコロニー形成アッセイにおい て、TGF-βの活性化機能の阻害についてスクリーニングすることによって、阻害 配列であると決定される。 TGF-βは創傷の治癒を制御することが知られている。従って、本発明はまた、 創傷部位に、潜在型TGF-βを活性型TGF-βに変換するのに有効な量の精製された TSPまたはTSP由来の精製された活性化ペプチドを投与することによって、創傷の 治癒を増強する方法であって、TGF-βの活性化が結果として創傷の治癒を増強す る方法を提供する。活性化ペプチドは、本明細書に記載されたものであり得る。 本明細書において用いられる「増強された創傷の治癒」とは、創傷の治癒の速度 における統計学上有意な増加として定義され、相当量のTSPまたはTSP由来の活性 化ペプチドで処置した創傷についての、同様な未処置の創傷または非活性化コン トロールで処置した同様な創傷と比較した場合の、組織学的分析、引っ張り強度 および全タンパク質およびコラーゲン含量によって決定される。組織学的分析は 、 創傷の治癒の初期兆候である、線維芽細胞および毛細管の(capillary)内皮細 胞の存在について検査することを含む。ペプチドKRFK(配列番号5)を用い た本法の一例が、実施例において提供される。 創傷の治癒を増強する方法において、活性化ペプチドは以下からなる群から選 択され得る: または、アミノ酸配列RFK(配列番号18)からなり得る。このような配列は 、実施例に記載のようにラットの創傷治癒モデルにおける増強された創傷の治癒 についてスクリーニングすることによって、創傷の治癒を増強する活性化配列で あると決定される。 TGF-βは線維症の発達において役割を果たすので、本発明はまた、線維症を生 じ得る部位に、潜在型TGF-βの活性型TGF-βへの変換を阻害するのに有効な量の TSP由来の精製された阻害ペプチドを投与することによって、病的状態でTGF-β によって刺激される線維症を予防する方法であって、結果として線維症が抑制さ れる方法を提供する。阻害ペプチドは、本明細書に記載されたものであり得る。 本明細書において用いられる「線維症」とは、繊維状組織の異常な形成を意味す る(60、64)。本明細書において用いられる「抑制された線維症」とは、繊維状組 織の異常な形成のレベルおける統計学上有意な抑制(reduction)として定義さ れ、TSP由来の阻害ペプチドで処置した創傷における、同様な未処置の創傷また は(線維症の発達が予期される条件下で)活性を有さないペプチドで処置した同 様な創傷における繊維状組織の異常な形成のレベルと比較した場合の、組織学的 分析、引っ張り強度および全タンパク質およびコラーゲン含量によって決定され る。TSPペプチドGGWSHW(配列番号3)を用いた本法の一例が、実施例に おいて提供される。 病的状態でTGF-βによって刺激される線維症を予防する方法において、阻害ペ プチドもまた以下からなる群から選択され得る: このような配列は、実施例に記載のようにラットの線維症形成モデルにおける線 維症の予防についてスクリーニングすることによって、線維症を予防する阻害配 列であると決定される。 線維症を生じ得る部位に、TSPに結合するのに有効な量のTSPに特異的なリガン ドを投与することによって、ある種の病的状態でTGF-βによって刺激される過剰 な線維症を予防する方法であって、これによりTGF-βの活性化を阻害して、結果 として線維症が抑制される方法もまた、提供される。 活性型TGF-βは、内皮細胞および上皮細胞の増殖を阻害する。従って、他の態 様において本発明は、TGF-β仲介型の内皮細胞または上皮細胞の増殖の阻害を遮 断する方法であって、細胞を、潜在型TGF-βの活性型TGF-βへの変換を阻害する のに有効な量のTSPまたはTSP由来の精製された阻害ペプチドと接触させる工程を 含み、結果として細胞を増殖させる方法を提供する。本明細書において用いられ る「増殖」とは、細胞の数の増加を意味する。 TGF-β仲介型の内皮細胞または上皮細胞の増殖の阻害を遮断する方法であって 、細胞を、TSPに結合してTGF-βの活性化を阻害するのに有効なTSPに特異的なリ ガンドと接触させる工程を含み、結果として細胞を増殖させる方法もまた提供さ れる。 TGF-β仲介型の細胞の増殖の阻害を遮断する方法において、細胞は動脈の内皮 細胞であり得る。本法に応答して増殖し得る他の細胞は、毛細管の内皮細胞であ る。阻害ペプチドは、以下からなる群から選択され得る: または、アミノ酸配列GGWSHW(配列番号3)からなり得る。このような配 列は、実施例に記載のようにTGF-β仲介型の細胞の増殖の阻害についてスクリー ニングすることによって、阻害配列であると決定される。 本発明は、TSPの機能的配列から誘導される、TGF-β活性化および阻害ペプチ ドを提供する。本発明はまた、3から30アミノ酸を有する精製されたペプチドを 提供し、ここで、このペプチドはサブ配列R1−X1−X2−X3−R2を含み、X1 はArgおよびLysからなる群から選択され、X2はProおよびPheからなる群から選 択され、X3はLysおよびArgからなる群から選択され、R1はH2、アシル、また は1から26アミノ酸のペプチド、R2はH、NH2、または1から26アミノ酸の ペプチドであり、そして、このペプチドは、潜在型TGF-βを活性型TGF-βに変換 する。 精製されたペプチドは、以下からなる群から選択され得る: または、アミノ酸配列RWRPWTAWSE(配列番号10)からなり得る。 精製されたペプチドは、標準的なタンパク質接合のプロトコール(61)を用 いて、水溶性ポリマーに接合(conjugate)され得る。例えば、適切な水溶性ポ リマーには、ポリスクロース、デキストラン、ポリエチレングリコールおよびポ リビニルアルコールが含まれる。 精製されたペプチドはまた、部分的および完全にレトロ−インベルソ(retro- inverso)のペプチド配列からなる群から選択され得る。本明細書において用い られる「部分的および完全にレトロ−インベルソのペプチド配列」とは、活性化 または阻害配列であると決定されたペプチド配列であって、若干のD−アミノ酸 を含むか(部分的)または完全にD−アミノ酸からなり(完全)、gem-ジアミノ アルキル残基、およびアルキルマロヒル(alkylmalohyl)残基を含むものを意味 する。これらは、未改変末端を有し得るか、または末端アミノ酸残基の電荷を改 変する適切なアルキル、アシルまたはアミン置換を含み得る。 本発明はさらに、アミノ酸配列LSKL(配列番号21)およびアセチル-WH SWAA-NH2(配列番号28)からなる、精製されたペプチド、ならびにその部 分的または完全にレトロ−インベルソのペプチド配列を提供する。 インビボにおけるペプチドの半減期は比較的短いので、より長い半減期を有す る改変されたペプチドの効果を調べ得る。例えば、本明細書に記載のペプチドの レトロ−インベルソの(すなわち、D−アミノ酸から構成される)アミノ酸配列 、例えば、KRFKQDGGWSHWSPWSS(配列番号15)およびGGW SHW(配列番号3)ペプチドを、記載されるように用い得る。これらは、より 長い半減期を有することが予期される。なぜなら、D−アミノ酸は、タンパク質 中の天然に存在するL−型のアミノ酸のようには、細胞によって代謝され得ない からである(65)。このようなレトロ−インベルソのペプチドは、市販のD−アミ ノ酸を用いる標準的なペプチド合成法(74)によって合成し得る。ペプチド類似体 (mimetics)は、確立された方法に基づいて、天然のペプチド配列の代替物とし て用い得る(75)。 記載されたペプチドは、インビボのモデルにおいて、TGF-β仲介型の創傷の治 癒および線維症の形成への影響の、それらによる調整を確認するために適用し得 る。例えば、ラットの創傷治癒モデルを、KRFK(配列番号5)の、活性型TG F-βと比較しての、創傷の治癒の刺激における有効性を評価するために用い得る (62、63)。不活性ペプチドを、陰性コントロールとして用い得る(例えば、TR IR(配列番号30)、KRAK(配列番号35))。 GGWSHW(配列番号3)ペプチドまたは本明細書において提供される他の 阻害ペプチドはまた、TGF-βの活性化を遮断することによる創傷の治癒の阻害へ のあらゆる効果について、またはケロイド形成におけるあらゆる効果について調 べ得る。このペプチドの不活性なアナログを、陰性コントロールとして用い得る 。 Spornらのインビボのプロトコール(62)を、TSPまたは本明細書に記載の活性化 ペプチドの創傷の治癒に対する相対的な有効性を決定するために用い得る。例え ば、2cm×1cmのワイヤ・メッシュの創傷チャンバーをラットの背部に移植し得 る。創傷の治癒の応答が始まった後(4日目)に、ラットに、創傷部位において 注射部位ごとに、毎日の注射で1000ngのTGF-β、100〜1000nMの活性化ペプチド 、100〜1000nMのTSP、1000ngのアルブミンまたはベヒクル・コントロールを与え 得る。9日目に、ラットを屠殺して、創傷チャンバー内の組織を組織学的に検査 し、全タンパク質およびコラーゲン含量について(ヒドロキシプロリン含量の測 定によって)アッセイし、そして創傷組織中のTGF-βの相対レベルを免疫組織化 学的手法によって検査し得る。 あるいは、ラットの切創の治癒のモデルを、Cromackらによる記載(63)の ように用い得る。このシステムでは、ラットの背の皮膚に6cmの直線上の切り傷 をつくり得、創傷は外科用クランプで癒合させ得、そしてベヒクルとしての3% メチルセルロース中、100〜1,000nMのTSP、100〜1000nMの活性化ペプチドを創傷 部位に注射し得る。7〜10日後、創傷切片を採取して、張力計を用いての引っ張 り強度、および本明細書中に記載のような組織学的分析について評価し得る。 上記のプロトコールはヒトに適用し得る。なぜなら、ラット、ウサギおよびブ タにおける創傷の治癒および線維症の形成は、ヒトにおける創傷の治癒および線 維症の形成の研究のためのモデルとして一般的に用いられているからである(66 〜69)。 臨床上の適用においては、1μgから100mgのTSPまたはTSP由来の活性化ペプチ ドを、創傷の治癒を増強するかまたは線維症を予防する目的で、包帯に含浸させ または創傷部位に施用すべき軟膏の一部として用い得る。当該分野の臨床医師は 、創傷の治癒を増強するかまたは線維症を予防するために必要なペプチドの量お よび処置の期間をより具体的に決定することができる。 リガンド、TSPまたはTSP由来のペプチドは、非経口的に(例えば、静脈内に) 、筋肉内注射により、腹腔内注射により、局所的に、経皮的にまたはその他によ って、投与し得るが、代表的には局所投与が好ましい。そのような化合物の要求 さ れる正確な量は被験体ごとに異なり、被験体の種、年齢、体重および一般的健康 状態、処置される創傷または疾病の重篤度、用いられる特定の化合物、その投与 形態などに依存する。従って、正確な量を特定することは不可能である。しかし 、適切な量は、当業者が当該分野で周知の方法を用いて決定し得る。 局所投与のためには、本発明の化合物は薬学的組成物中にあり得、固形状、半 固形状または液状の用量形態、例えば、粉末、液体、懸濁液、ローション、クリ ーム、ゲル、またはその他であって、好ましくは正確な用量の単回投与に適した 単位用量形態である。組成物は、上述のように、有効な量の選択された化合物を 薬学的に受容し得るキャリヤと組み合わせて含み、これに加えて、他の医療剤、 薬剤、キャリヤ、アジュバント、希釈剤等も含み得る。「薬学的に受容し得る」 とは、生物学的にまたは他の意味で望ましくないものではない物質を意味する。 すなわち、その物質は、望ましくない生物学的効果を何ら生じることなく、ある いはその物質が含まれる薬学的組成物の他のいずれの成分とも害になるような相 互作用をすることなく、選択された化合物と共に個体に投与し得る。 非経口投与は、用いられる場合は、概して注射によることを特徴とする。注射 用剤は、液体溶液または懸濁液、注射前に液体に溶解または懸濁するのに適した 固形、または乳濁液のいずれかとして、慣用的な形態に調製される。非経口投与 はまた、一定レベルの用量が維持されるような、遅延放出もしくは持続放出シス テムを使用し得る(例えば、米国特許第3,710,795号を参照)。 有用性 本発明はまた、TSPの活性を調整する能力について物質をスクリーニングする バイオアッセイを提供する。例えば、本発明は、TSPの活性を増強する能力につ いて、例えば、創傷の治癒を促進する治療における使用のために、物質をスクリ ーニングするバイオアッセイを提供する。他の例においては、本発明は、TSPの 活性を阻害する能力について、例えば、線維症の予防のための治療における使用 のために、物質をスクリーニングするバイオアッセイを提供する。手短に言えば 、これらのバイオアッセイは、インビトロにおいて、TSPまたはTSP由来のペプチ ドおよび潜在型TGF-βを伴うNRK細胞に物質を投与し、そして実施例に記載のよ う に軟寒天コロニー形成についてアッセイすることによって行い得る。あるいは、 これらのバイオアッセイは、インビトロにおいて、BAE細胞に物質を投与し、そ して実施例に記載のように細胞増殖を測定することによって行い得る。このよう なスクリーニング法の現在の使用は、実施例に記載されている。実施例は、ペプ チドKRFK(配列番号5)がTGF-βを活性化し、そしてペプチドGGWSHW (配列番号3)がTSP仲介型の潜在型TGF-βの活性化を阻害することを示す。イ ンビボにおいては、これらのバイオアッセイは、創傷の治癒および線維症におい て役割を果たす物質についてスクリーニングするために、本明細書に記載のよう に創傷チャンバーまたは創傷部位に物質を投与することによって行い得る。 本発明はさらに、TGF-βを活性化および阻害するペプチドであって、TGF-βの 活性を調整する能力について物質をスクリーニングするインビトロのバイオアッ セイにおいて、コントロールとして用い得るペプチドを提供する。例えば、物質 およびTGF-βをNRK細胞に投与し得、この細胞を次に実施例に記載のように軟 寒天コロニー形成についてアッセイし得る。活性化および阻害ペプチドをNRK 細胞に投与し得、この細胞を次に、TGF-βの活性化および阻害についての陽性コ ントロールとして、軟寒天コロニー形成についてアッセイし得る。これらの活性 化および阻害ペプチドはまた、TGF-βの活性を調整する能力について物質をスク リーニングするインビボのバイオアッセイにおいて、コントロールとして用い得 る。例えば、実施例に記載のアッセイにおいて、物質を創傷および線維症を生じ 得る部位に施用し得、そして創傷の治癒を増強しおよび線維症を抑制する能力に ついて評価し得る。活性化および阻害ペプチドを、記載された実施例においてコ ントロールとして用い得る。 本発明は、TSPまたは本発明のペプチドと特異的に反応性である精製された抗 体を生成する方法を提供する。作製された抗体は、TSPの存在を検出するために 用い得る。抗体は当該分野で記載されているように(61)作製され得る。手短に言 えば、精製されたTSP、精製されたペプチド単独またはキャリヤタンパク質に接 合されたペプチドを、免疫応答を誘起するのに十分な量および間隔で、動物に注 射し得る。抗体は直接的に精製し得、または、モノクローナル抗体については、 動物から脾臓細胞を取り出し得る。この細胞は次に不死化細胞系と融合させ、そ して抗体分泌についてスクリーニングする。 以下の実施例は、本発明を例示すること意図し、本発明を限定することは意図 していない。これらは、使用され得るものの典型ではあるが、当業者に公知の他 の手法を代わりに用い得る。 本発明は、以下の実施例においてより具体的に記載される。数多くの修正およ び変更が当業者に自明である以上、これらは例示のみを意図している。 実施例 トロンボスポンジン精製 TSPを以前に記載(34)されているようにして精製した。簡単に述べると、8〜1 0単位の新鮮なヒト血小板をBirmingham American Red Crossから購入し、Hepes 洗浄バッファー(10%ACD、0.05M Hepes、0.15M NaCl、および5mMデキストロース )、pH7.6で洗浄した。この血小板をトロンビン刺激し、そして血小板からの放 出物を、TBS-C(0.01M Tris-HCl、0.15M NaCl、0.1mM CaCl、pH 7.4)であらかじ め平衡化したヘパリン−セファロースTMCL-6B(Pharmacia、Piscataway、New Jer sey)アフィニティーカラムに供した。結合したTSPを、1mM CaClを含む0.55M NaC l/TBSで溶出させ、TBS-C、pH 11であらかじめ平衡化したA0.5Mゲル濾過カラム(B io-Rad、Richmond、California)に供し、会合したTGF-βを除去し、TGF-β活性 をストリップした(stripped)TSP(sTSP)を得た。ドデシル硫酸ナトリウムポリア クリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)およびクーマシーブルーまたは銀染色によ って、純度を評価した。正常ラット腎臓(NRK)軟寒天コロニー形成アッセイにお いて、sTSPに会合したTGF-β活性の混入は見られなかった。 細胞 ウシ大動脈内皮(BAE)細胞を地方の屠殺場から入手した大動脈から単離し、そ してアセチル化された低密度リポタンパク質(Dil-AcLDL)の取り込みおよび第VII I因子抗原についての染色によって特徴付けを行った。以前に記載(33)されたよ うに、4.5g/Lのグルコース、2mMのグルタミン、および20%のウシ胎児血清(FBS;H yclone Laboratories、Logan、UT)を補充したDulbecco改変Eagle培地(DMEM;Cell -Gro、Mediatech、Herndon、VA)中で細胞を培養した。記載(1)されたように、4. 5g/Lのグルコース、2mMのグルタミン、および10%の仔ウシ血清(Hyclone Laborat ories、Logan、UT)を補充したDMEM中でNRKクローン49F細胞(ATCC受託番号CRL 15 70)を培養した。仔ウシ血清を試験し、低レベルの活性TGF-βについて選択した 。4.5g/Lのグルコース、2mMのグルタミン、および10%のFBSを補充した最少Eagle 培地(MEM;Cell-Gro、Mediatech、Herndon、VA)中でミンク肺上皮細胞(ATCC受託 番号CCL 64)(Mν1Lu)を培養した。10% FBSを補充したF-12(Cell-Gro、Mediatec h、Herndon、VA)中でストックを培養した。試験したすべての細胞はMycoplasma の混入について陰性であった。 抗体 マウス抗TSP 133はsTSPに対し誘起され、Birminghamのアラバマ大学のモノク ローナル抗体コア施設(Monoclonal Antibody Core facility)において開発され た。この抗体はIgG2bであり、これウェスタンブロッティングによってsTSPの50k Daのキモトリプシンフラグメントを認識する。Mab TSP-B7腹水がヒト血小板放出 物に対して誘起され、そしてこれはTSPに特異的である(11)(Sigma Chemical、St .Louis、Missouri)。 ニワトリ抗TGF-β抗体をOncomembrane、Seattle、Washingtonから購入し、そ してマウスモノクローナル抗TGF-β抗体をGenzyme、Cambridge、Masschusettsか ら購入した。抗ビトロネクチンモノクローナルおよびポリクローナル抗体をTeli os、San Diego、Californiaから購入した。ポリクローナル抗血小板第4因子抗 体をAtlantic Antibodies、Scarborough、MEから購入した。マウスモノクローナ ル抗塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)をUpstate Biotech.Inc.、Lake Placid、 New Yorkから入手した。 ペプチド合成 TSP1についてのcDNA配列(70)から推定されるヒトTSP1の配列に対応するペプチ ドを、標準Merifield固相合成プロトコルおよびt-Boc化学(56、57、71)を用いて 、Model 9600ペプチド合成機(Biosearch、San Rafael、California)によって 合成した。逆相HPLCによって、ペプチドを純度について分析した。より長いペプ チドはまた、アミノ酸配列決定によって特徴付けた。 第2のタイプ1リピート融合構築物の生成 エキソン8-9および9-10のイントロン−エキソン境界に対応するPCRプライ マーを作製することによって、エキソン9に対応するTSP1の第2のタイプ1リピ ートを生成した。cDNA鎖をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって伸長し、そして グルタチオン-S-トランスフェラーゼを用いて、E.coli細胞中で発現させた。発 現したタンパク質を配列分析およびゲル電気泳動によって特徴付けた。 軟寒天におけるNRKコロニー形成 24ウェル組織培養プレートでアッセイを行ったこと以外は記載(34)と同様にし て、軟寒天アッセイにおけるNRK細胞のコロニー形成を測定することよってTGF- β活性をアッセイした。簡単に述べると、5%Noble寒天(Difco、Detroit、Mich igan)を10%仔ウシ血清/DMEMで10倍希釈し、そしてこの0.5%寒天希釈物を24ウェ ルの組織培養プレートにベース層として各ウェル0.5mlずつ加え、硬化させた。5 ngの上皮成長因子(EGF)を含む試料0.2mlを、0.6mlの0.5%寒天および10%仔ウシ血 清/DMEM中のNRK細胞懸濁液0.2ml(2×103)と合わせた。この0.3%寒天試料溶液の0 .5mlアリコートを冷却した寒天ベース層に添加し、そしてプレートを37℃、5% C O2で、7日間インキュベートした。直径62μmより大きいコロニー(>8-10細胞) を数えた。実験は3つ組で行った。 BAE細胞増殖アッセイ BAE細胞を、24ウェル組織培養プレート中の20%FBSを含むDMEMの1ml中に、1 ウェル当たり5000細胞で接種し、そして37℃、5% CO2で、一晩インキュベートし た。細胞を無血清DMEMで一回すすいだ。0.5mlの2.5%FBS DMEM中の試験試料を各 ウェルに3つ組で添加した(0日目)。2日目に、0.5mlの新鮮な試験試料アリ コートを、元の培地を除去せずに細胞に与えた(最終容量1mlとなる)。細胞を さらに2日間増殖させ、次いで培地を除去し、そして0.5mlのトリプシン-EDTA(G ibco、Grand Island、NY)によって細胞をトリプシン処理し、そして採取した。Z M型コールターカウンター(Coulter Electronics、Hialeah、FL)を用いて採取し た細胞の数を測定した。 BAE馴化培地の調製 BAEを、20%または0.2%FBS/DMEM中に、25cm2フラスコ中100,000細胞の密度で接 種し、37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。この密度を、sTSPが、まばらなB AE培養物、準集密なBAE培養物、および集密なBAE培養物における潜在型TGF-βを 活性化する能力を比較することによって決定した。この細胞密度は、コントロー ルとTSP処理培地との間で活性TGF-βのレベルにおける最大の違いを示した。フ ラスコを2mlの無血清DMEMで1回すすぎ、次いで、0.2%または20%FBSのいずれか を含むDMEM 2.5ml中に試験試料を添加した。フラスコを37℃、5% CO2でさらに数 回インキュベートした。馴化培地を採集し、1200rpmで5分間遠心分離して細胞 デブリを除去し、そしてポリプロピレンチューブ中4℃で保存し、TGF-β活性を 測定するためにNRK軟寒天アッセイで試験するまでに3日を超えないようにした 。 TSPまたはペプチドによる精製された潜在型組換えTGF-βの活性化 種々の濃度のsTSPまたは合成ペプチドを、2nM(200ng/ml)の精製した少量の潜 在型組換えTGF-β(LTGF-β)(Bristol-Myers Squibb、Seattle、WA)と共に、最終 容量0.5mlのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で37℃にて1時間インキュベートし た。ポジティブコントロールとして、4mMのHCLをTGF-β活性化について用いた 。PBSを細胞に加え、細胞増殖のベースラインを確立した。ウシ血清アルブミン( BSA)(0.1%)をすべての試料に添加して、TGF-βのチューブへの非特異的結合を 減少させた。TGF-β活性についての軟寒天NRKコロニー形成アッセイで試料を試 験した。 TGF-β活性のsTSP仲介刺激の感受性に対するプロテアーゼ阻害剤の影響 BAE細胞を1×105細胞/25cm2フラスコで20%FBSを含むDMEM中に播種し、一晩イ ンキュベートした。細胞をDMEMで洗浄し、以下のプロテアーゼ阻害剤(ε-アミ ノカプロン酸(EACA、0.3mM)、アプロチニン(6mM)、およびアルファ2-抗プラスミ ン(0.6μM))のうちの1つを、1μgのsTSP(0.4μg/ml)と共に、各フラスコ中、 2.5mlの0.2%または20%FBSのいずれかを含むDMEM中に加え、次いで、さらに48 時間、細胞と共にインキュベートした。馴化培地のアリコートをNRKコロニー形 成軟寒天アッセイにおいて試験してTGF-β活性を測定した。組換えTGF-β(5ng/m l)もまた阻害剤と共にインキュベートし、そしてコロニー形成活性についてアッ セイした。阻害剤単独もまた、この馴化培地に加えた。 成熟rTGF-β活性に対するsTSPの影響およびFBS中におけるTGF-β活性の刺激 NRKコロニー形成アッセイを本明細書に記載のようにして行った。EGFが0.2%FB Sに入っている試料以外の試料はすべて、10%仔ウシ血清/DMEM中に5ng/mlのEGFを 含んでいた。ストリップされたTSP(1μg/ml)を1ng/mlのrTGF-βと共に、37℃で 2時間、あらかじめインキュベートし、1ng/mlのrTGF-βまたは1μg/mlのsTSPに 対する相対活性について比較した。軟寒天にNRK細胞を添加する前に、抗sTSP抗 体Mab133(10μg/ml)を組換えTGF-β(rTGF-β)(Bristol Myers Squibb、Seattle 、WA)と共に37℃で2時間、あらかじめインキュベートした。sTSP(3μg/ml)もま た0.2%FBSと共に37℃で2時間インキュベートし、sTSP(3μg/ml)または0.2%FBS に対する相対活性について試験した。すべての試料をNRK軟寒天で、37℃、5%CO2 で7日間試験した。 TGF-β活性をストリップされたTSPはBAE細胞の増殖を阻害する 関連するTGF-β活性をストリップされたTSP(sTSP)がBAE増殖を阻害するかどう かを試験するために、sTSPを用いて細胞増殖アッセイを行った。2.5%FBSを補充 した培地中で、BAE細胞を、濃度を高めた天然TSP(TSPと関連するTGF-β活性)ま たはsTSP(関連するTGF-β活性なし)のいずれかに、4日間曝し、その時点で細 胞数を測定した。天然TSPおよびsTSPは2.5%FBS単独と比べて、BAE細胞の増殖を 顕著に阻害した。さらに、用量応答曲線は天然とsTSPとでほとんど同一であった 。顕著な細胞死は観察されなかった。TSPによるBAE増殖の阻害は濃度依存性であ り、1μg/mlのsTSPが増殖を75%阻害した。sTSP存在下において増殖した細胞は 、よ り長く、繊維芽的な形状をしており、そして2.5%FBS培地コントロール中の多角 形細胞と比べると突出した核小体(nucleoli)を有していた。同様に、TGF-β処理 細胞は、伸長して、多数の突起および突出した核小体を有していた。 TGF-βに対する中和抗体はsTSPの増殖阻害効果を42%逆転させた。sTSPが入っ たウェルにTGF-βに対する中和抗体を添加することによってもまた、部分的な逆 転が生じ、正常なBAE細胞の特徴である、より小さい、より多角形の細胞となる 。同様の結果が、マウスおよびニワトリの抗TGF-β抗体の両方で得られた。対照 的に、天然TSPに特異的なポリクローナル抗体および種々のモノクローナル抗体 はsTSP仲介増殖阻害を中和することはできなかった。抗体単独では細胞増殖に影 響を与えなかった。従って、関連するTGF-β活性をストリップされたTSPによるB AE細胞の増殖阻害は、少なくとも一部はTGF-β依存成分に起因し得る。 ストリップされたTSPはBAE馴化培地(CM)中でTGF-βを活性化する sTSP仲介BAE増殖阻害は部分的にTGF-β依存性なので、BAE細胞と共にsTSPをイ ンキュベートすることにより内因性の潜在型TGF-βの活性化が引き起こされる。 TGF-βは内皮細胞から不活性分子として分泌され(18)、そして内皮細胞潜在型TG F-βがどのように活性化されるかについては完全には明らかではない。sTSPが潜 在型TGF-βの内皮細胞による分泌を活性化するという仮説を検証するために、sT SPを0.2%FBSを含むDMEM中のBAE細胞に0〜48時間かけて、添加した。 この馴化培地のアリコートをNRKコロニー形成軟寒天アッセイで、TGF-β活性 の存在について試験した。ストリップされたTSPは0.4μg/ml(0.9nM)で、馴化培 地中のコロニー形成活性を馴化培地単独の場合と比べて2〜3倍増加させた。TG F-β活性の増加はsTSPの細胞への添加から早くて15分後には観察され、そして少 なくとも48時間はコントロールレベルを超えて持続した。同様の活性レベルは、 血清レベルを0.2%から20%へと上昇させた培地中で細胞を馴化させた培地で観察 され、このことはsTSP仲介のTGF-β活性の刺激が血清因子とは無関係であること を示唆している。 TGF-β活性の刺激はsTSP濃度に依存する BAE馴化培地におけるTGF-β活性の刺激が、存在するsTSP濃度に依存するかど うかを評価するために、10ngから10μgまでの範囲の異なる用量のsTSPを2.5mlの 培地中のBAE細胞に加えた。40〜400ng/ml(100〜1000ng添加)のsTSP濃度が、軟寒 天中でのNRKコロニー形成の刺激に有効であった。最大応答は、1μg sTSP/25cm2 フラスコ(0.4μg/ml、または0.9nM)で繰り返し観察された。rTGF-βと比較す ると、sTSPによって誘発されるNRKコロニー形成の最大レベルは、TGF-β活性の 約0.1ng/mlに対応する。 ストリップされたTSPは成熟rTGF-βの活性に影響せず、FBS中のTGF-β活性を刺 激もしない NRK軟寒天アッセイにおけるTGF-β活性の増加がそのNRK細胞レベルで作用する sTSPに起因することを除外するために、sTSPが成熟rTGF-β活性に影響するか否 か、および、馴化培地中でsTSPがTGF-β活性を刺激することを阻害する抗sTSP抗 体133がNRKアッセイにおいてTGF-β活性に影響を与えるか否かを測定する実験を 行った。rTGF-β活性はsTSPまたは抗TSP抗体のいずれによっても調整されず、sT SPそれ自身もコロニー形成を刺激しなかった。ストリップされたTSPはまた0.2%F BS中に存在する潜在型TGF-βを活性化しなかった。 BAE馴化培地中のTGF-β活性の刺激はsTSPに特異的である 他の細胞外マトリックスタンパク質を、内皮細胞の潜在型TGF-βの分泌を活性 化する能力について試験した。等モル量のテネイシン、フィブロネクチン、BSA 、またはラミニンはTGF-β活性化を刺激しなかった。塩基性FGFは以前の報告(13 )とは対照的に、我々の系においてはTGF-βの活性の増大を刺激しなかった。こ れらの結果は、BAE馴化培地におけるTGF-β活性の刺激はフィブロネクチンのよ うなTGF-β結合分子を包含する細胞外マトリックス分子の一般的な性質ではない ことを示し、従ってsTSPに特異的な性質であることを示す。 sTSPに対する抗体はsTSPによるTGF-β活性の刺激を阻害する TGF-β活性の観察される増加がsTSPに会合する可能性のある成分に起因すると いう可能性を除去するため、TSPに対する抗体によって刺激を遮断する試みが成 された。sTSPの50kDaのキモトリプシンフラグメントにおけるエピトープを認識 するモノクローナル抗体133腹水は、sTSPによるTGF-β活性の刺激を完全に阻害 した。血小板TSPの70kDaコアに特異的な(11)Mab TSP-B7腹水もまたsTSPのこの効 果を遮断した。しかし、天然TSPの70kDaフラグメントのエピトープを認識する他 のモノクローナル抗体は、潜在型TGF-βのsTSPによる活性化を32%阻害したに過 ぎない。抗体単独では、これらのアッセイに影響を与えず、そして軟寒天中でrT GF-βがコロニーを形成する能力を妨害しなかった。 コロニー形成もまたTGF-β依存性である。なぜなら、ポリクローナルニワトリ 抗TGF-β抗体およびモノクローナルマウス抗TGF-β中和抗体は完全にコロニー形 成を阻害したからである。これらの結果は、BAE馴化培地におけるsTSPによって 活性化される因子はTGF-βであることを示している。 対照的に、ビトロネクチン(モノクローナルおよびポリクローナルの両方)、 血小板第4因子、bFGF、およびコントロール腹水に対する抗体は、sTSPによる刺 激を阻害しなかった。これらのデータは、NRK軟寒天アッセイにおいて観察され るTGF-β活性の増加が通常関連するマトリックスおよび血小板タンパク質の存在 に起因せず、sTSPおよびTGF-βに依存することを示した。 BAE馴化培地におけるTGF-β活性のストリップされたTSPによる刺激は、細胞表面 への結合とは無関係に生じる インビボにおける潜在型TGF-β活性化の提唱される機構は、マンノース-6-ホ スフェートレセプターによる潜在型TGF-βの結合およびインターナリゼーション (internalization)、続いて酸性化ベシクルにおける処理または細胞表面でのプ ラスミンによる処理による機構である(12、20、21)。潜在型TGF-βを活性化する ためにsTSPが細胞表面分子と相互作用することが必要かどうかを決定するために 実験を行った。0.2%FBSを含むDMEM中でBAE細胞を一晩インキュベートした後、培 地を培養フラスコから取り出し、そしてsTSP(0.4μg/ml)の存在下または非存在 下、ポリプロピレンチューブ中で所定時間インキュベートした。これを細胞存在 下でインキュベートしたsTSPと直接比較した。次に馴化培地のアリコートをNRK コロニー形成軟寒天アッセイで、sTSP仲介のTGF-β活性化について試験した。こ れらのデータは、sTSPが細胞の非存在下でも、細胞の存在下でsTSPをインキュベ ートする場合と同様の程度および同様の動力学でTGF-βを活性化することができ ることを示した。細胞非存在下でsTSPと共にインキュベートした細胞馴化培地は 、sTSP添加から早くも15分後にはTGF-β活性を増加させることを示した。最大レ ベルは2時間で達成され、そしてベースラインを超えて少なくとも48時間持続し た。従って、いままで報告されてきた活性化の機構とは対照的に、TSP仲介の潜 在型TGF-β活性化は細胞表面分子との相互作用を必要としない。 ストリップされたTSP仲介のTGF-β活性の刺激はセリンプロテアーゼ阻害剤に非 感受性である 以前の研究は、プラスミンはインビトロで潜在型TGF-βを活性化し得ることを 示した(22、23)。内皮細胞および平滑筋細胞の共培養において、プラスミンレベ ルは上向きに制御される(upregulated)ことが示され、従って、潜在型TGF-βを 活性化している(40、41)。共通のモチーフは、潜在型TGF-βの活性化にセリンプ ロテアーゼが関与することである。従って、BAE馴化培地におけるsTSPによるTGF -βの活性化に対する異なるセリンプロテアーゼ阻害剤の影響を試験した。BAE細 胞をsTSP(0.4μg/ml)と、それに加えてε-アミノカプロン酸(EACA、0.3mM)、ア プロチニン(6mM)、またはアルファ2-抗プラスミン(0.6μM)のいずれかとをイン キュベートした。これらの阻害剤の濃度は、以前の研究(40)および用量応答アッ セイに基づいて選択した。これらの阻害剤はsTSP仲介のTGF-β活性化を阻害せず 、軟寒天アッセイにおけるrTGF-β活性に影響を与えなかった。阻害剤単独もま た馴化培地に加えたが、アッセイに影響を与えなかった。 TSPがこれらのセリンプロテアーゼと相互作用し得る(7)という証拠に基づいて 、特異的基質(Boehringer-Mannheim、Indianapolis、IN)からの色素原の生成を 測定する酵素アッセイを用いて、関連するプラスミンおよびトロンビン活性につ いてもまたsTSPを試験した。sTSPにおいて関連するプラスミンまたはトロンビン 活性は検出されず、コントロール馴化培地と比べてsTSP馴化培地においてプラス ミン活性は生成されなかった。 これらのデータは、bFGFによる、または共培養系における内皮細胞誘導潜在型 TGF-βの活性化と対照的に、sTSPによる潜在型TGF-β活性化はセリンプロテアー ゼを伴わないことを示した。 ストリップされたTSPは精製された組換え潜在型TGF-β(LTGF-β)を活性化し得る 細胞分泌因子が関与することなくsTSPが潜在型TGF-βを活性化していたかどう かを決定するために、sTSPをLTGF-βと共に2時間インキュベートし、次いでTGF -β活性についてアッセイした。ストリップされたTSPはLTGF-βを37℃および4 ℃の両方で活性化することができた。濃度13nMでのストリップされたTSPは、酸 活性化可能なLTGF-βの約半分を活性化し得た。これらの結果は、sTSPが、プロ テアーゼのような細胞分泌因子を伴うことなくLTGF-βを直接活性化し得ること を示した。 第2のタイプ1リピート中の独特のペプチドが潜在型TGF-βを活性化する TGF-β活性化がタイプ1コンセンサス配列、CSVTCG(配列番号1)およ びWSXW(配列番号2)のいずれかに起因するかどうかを決定するために、ペ プチドVTCGGGVQKRSRL(配列番号29)およびKRFKQDGGWS HWSPWSS(配列番号15)を構築しそして分析して、TGF-βの活性化に対す るこれらの配列の影響を決定した。 潜在型TGF-βを等モル濃度のsTSPまたは上記ペプチドと共にインキュベートし 、TGF-βの活性化を軟寒天NRKコロニー形成によってアッセイした。表Iに示す ように、11nMのsTSPと共にインキュベートされたTGF-βの添加はNRKコロニーの 形成をPBSベースラインコントロールのおよそ2倍に増加させた。VTCGGG VQKRSRL(配列番号29)ペプチドは、11μMまでの濃度で試験したとき、 潜在型TGF-βを活性化させなかった。KRFKQDGGWSHWSPWSS(配 列番号15)ペプチドはコロニー形成をsTSPで観察されるのと等しいレベルまで増 加させた。これらのデータは、TSPが潜在型TGF-βを活性化させる機構がCSV TCG(配列番号1)細胞接着モチーフと無関係であり、そしてKRFKQDG GWSHWSPWSS(配列番号15)ペプチドと関連していることを示した。 アミノ酸配列、Arg-Phe-Lysは潜在型TGF-βを活性化する 潜在型TGF-βを活性化するKRFKQDGGWSHWSPWSS(配列番号15 )配列内の領域をさらに特定するために、このペプチドのカルボキシ末端に欠失 を含む以下のペプチドを構築した:KRFKQDGGWSHWSP(配列番号14 )、KRFKQDGGWSHW(配列番号16)、KRFKQDGGWWSP(配 列番号17)、KRFKQDGG(配列番号9)、KRFK(配列番号5)、およ びRFK(配列番号18)。組換え潜在型TGF-βを当モル濃度のペプチド、sTSPま たはKRFKQDGGWSHWSPWSS(配列番号15)ペプチドとインキュベ ートし、そしてTGF-β活性についてテストした。表Iに示すように、KRFKQ DGGWSHWSPWSS(配列番号15)のアミノ末端に塩基性残基を含む全て のペプチドは、潜在型TGF-βをsTSPに匹敵するレベルまで活性化した。トリペプ チドRFK(配列番号18)は、TGF-βを活性化するために必要な最小配列を示し た。このペプチドからのWSHW(配列番号2)配列の欠失は、TGF-βを活性化 する能力を弱めなかった。このことは、コンセンサス配列WSXWがTSPによる 潜在型TGF-βの活性化に直接的な役割を果たし得ないことを示す。 これらのデータは、エクソン9によってコードされるアミノ酸の融合構築物が 潜在型TGF-βを活性化し得ないことを示す実験結果と一致した。エクソン9は、4 15位のLysから473位のIleまでのアミノ酸残基をコードし、TSP1の第2のタイプ1 リピート配列全体を含む。しかし、産生される融合タンパク質はKRF配列を欠 いている。これらの与えられたデータはさらに、配列(K)RFKが潜在型TGF- βの活性化に必要とされることを支持する。 KRFK配列内の特定のアミノ酸が活性に必要である (K)RFK配列内のどのアミノ酸が潜在型TGF-βの活性化に必要であるかを決 定するために、アミノ酸置換を含むペプチドを合成し、それらが潜在型TGF-βを 活性化する能力についてテストした。この実験の結果を表IIに示す。 表IIに示すように、ペプチドKRFK(配列番号5)は、潜在型TGF-βをベー スラインコントロールの2倍に活性化した。ペプチドTRIR(配列番号30)(T SP2の第2のタイプ1リピート内の対応する配列)は潜在型TGF-βを活性化しなか った。このことは、潜在型TGF-βの活性化がTSP1に特異的な機能であることを示 す。 412位のLysをアミン基含有残基、Gln(QRFK(配列番号8))またはHis(H RFK(配列番号6))で置換しても活性は弱まらなかった。412位のLysを、ア ミン基を欠いているAla(ARFK(配列番号31))で置換すると活性はなくなっ た(表II)。 413位のArgもまた活性には重要である。Argは活性を落とさずにLys(KKFK (配列番号32))で置き換えられたが、正に帯電したアミン基を欠くGln(KQF K(配列番号33))による置換は活性を完全に失った。このことは、正に帯電し た413位のアミン基またはグアニジノ基が活性に必要であることを示唆する。同 様に、415位のLysをGln(KRFQ(配列番号34))で置換すると活性を失った。 表IIにさらに示されるように、414位のPheが活性には必要であった。414位のP heをAla(KRAK(配列番号35))で置換すると活性を失った。Tyr(KRYK( 配列番号36))またはTrp(KRWK(配列番号37))のような他の芳香族残基は41 4位のPheと置換され得ない。なぜなら、これらのアミノ酸による置換はペプチド を不活化したからである。これらの実験は、この位置にPheが特に必要であるこ とを示した。 トリペプチドRFK(配列番号18)は潜在型TGF-βをベースラインコントロー ルより2.5倍活性化させた。しかし、415位のLysをArg(RFR(配列番号43))で 置換すると活性は破壊され、同様に414位のPheおよび415位のLysをそれぞれTrp およびArg(RWK(配列番号44))で置換すると活性は破壊された(表II)。 さらに、KRFKQDGGWSHWSPWSS(配列番号15)の逆方向配列(i nverted sequence)を含むペプチド(D-アミノ酸から構成され、そしてN-末端を アセチルで、C-末端をアミドで修飾されている)を合成して生理学的半減期がよ り長いペプチドを得た。このレトロ−インベルソペプチド(retro-inverso pepti de)は、sTSPと当モル濃度で潜在型TGF-βを活性化した。これらのデータは、こ のペプチドが生理学的条件下(インビボ)では標準的ペプチドよりTGF-β調整活 性を良く維持し得ることを示した。 表IIIに挙げたペプチドは、本明細書の実施例に記載された実験プロトコルを 用いた分析によって、潜在型TGF-βの活性を活性化するか阻害するかのいずれか であることが決定された。 (K)RFKによる潜在型TGF-βの活性化はヘパリン結合活性とは独立している BBxBは、周知のヘパリン結合モチーフである。ここで、Bは塩基性アミノ酸(K 、R、H)を示し、そしてxは任意のアミノ酸(72)を示す。TSPのKRFKQDGG WSHWSPWSS(配列番号15)ペプチドはヘパリンに結合することが示され たが、この活性はこのペプチドのWSHW(配列番号4)の領域に存在する(56、 71)。TSPによる潜在型TGF-βの活性化がBBxBモチーフと関連しているかどうかを 調べるために、TSPペプチドHep II、すなわちBBxBモチーフを含みヘパリンに結 合する(73)ASLRQMKKTRGTLLALERKDHS(配列番号38)(残 基74〜95位)、およびこのコンセンサスモチーフを欠く第2のヘパリン結合TSP ペプチドHep I、すなわちELTGAARKGSGRRLVKGPD(アミノ酸1 7〜35位)(配列番号39)をTGF-β活性化能力に関して分析した。Hep IもHep II もどちらも11μMまでの濃度でアッセイされた場合には潜在型TGF-βを活性化し なかった。これらの結果は、潜在型TGF-βの活性化が、TSPのKRFK(配列番 号5)配列の特異的機能であり、BBxBモチーフに依存していないことを示した。 ヘパリンがアニオン性多糖であるため、ヘパリンがTGF-βの活性化をsTSPまた はペプチドのいずれかによって遮断するのかどうかを決定するために実験が行わ れた。それが何の効果も持たないことが見出された。これらの結果に基づくと、 潜在型TGF-βのsTSPまたはペプチドによる結合/活性化は炭水化物の相互作用に よって仲介されないことが決定された。 他のタンパク質に存在するRFK配列はTGF-β活性化機能を持たない カルシニューリン(calcineurin)(Sigma Chemicals,St.Louis,Missouri)お よびBSAはいずれもRFK(配列番号5)配列を含むが、これらは、この配列に よる潜在型TGF-βの活性化が他のタンパク質中のこのペプチド配列の機能である かどうかを決定するために検査された。潜在型TGF-βを当モル量のsTSP、カルシ ニューリン、またはBSAと一緒にインキュベートし、活性化についてアッセイし た。軟寒天NRKコロニー形成によって測定すると、sTSPのみがTGF-βを活性化し 、このことは、カルシニューリン(KRFK(配列番号5))およびBSA(HRFK( 配列番号6))タンパク質内に存在するRFK(配列番号5)配列がTGF-β活性機 能を欠いていることを示す。 より大きなペプチド中のTrp残基の改変は活性損失を生じる 上記の結果は、配列(K)RFKがsTSPによる潜在型TGF-βの活性化の直接的な 原因であることを示した。より大きなペプチド中の他の残基がTGF-βの活性化に 重要であるかどうかを決定するために、KRFKQDGGWSHWSPWSS( 配列番号15)ペプチドおよびKRFKQDGGWSHWSP(配列番号14)内で 、アミノ酸残基420位のTrp、423位のTrp、および426位のTrpを全てAla残基に置 換してペプチドKRFKQDGGASHASPASS(配列番号12)およびKR FKQDGGASHASP(配列番号13)を作製し、これらをそれぞれTGF-β活 性化能力についてテストした。潜在型TGF-βを4つのペプチドまたはTSPのそれぞ れの濃度を増加させながら一緒にインキュベートし、NRKコロニー形成活性につ いてアッセイした。Trp残基のAla残基による置換は、改変されていないペプチド またはsTSPには効果的であることが先に示されたナノモル濃度で、Trp含有ペプ チドのTGF-β活性化機能を破壊する。しかし、Trp残基を欠くペプチドは、1μM より高い濃度で適用された場合にTGF-βを活性化した。これらのデータは、(K) RFK配列が単独で潜在型TGF-βを活性化するに十分であるが、より大きなペプ チド内では、同様に完全なTSP内では、(K)RFK配列を適切に方向付ける(orie nt)ためには他のアミノ酸特異性が必要であるようであることを示す。 配列GGWSHWは潜在型TGF-βのsTSP仲介性活性化を阻害する GGWSHW(配列番号3)配列がTSP三量体によるTGF-βの活性化を競合的 に遮断するかどうかを決定するために、累積濃度のペプチドGGWSHW(配列 番号3)存在下で潜在型TGF-βをsTSPと一緒にインキュベートし、活性化につい てアッセイした。軟寒天NRKコロニー形成アッセイにおいて、11nMまでの濃度のs TSPのみと組み合わせされたTGF-βは、PBSベースラインコントロールの約2倍コ ロニー形成を増加させた。しかし、100倍モル過剰(1.1μM)のGGWSHW(配 列番号3)ペプチド存在下で潜在型TGF-βを11nMのsTSPとインキュベートした場 合、TGF-β活性は完全に阻害された。GGWSHW(配列番号3)ペプチドによる潜在 型TGF-βのsTSP仲介性活性化の阻害は、ペプチド濃度に依存し、ペプチドを1.1 μMの濃度で適用した後では100%の阻害が観察された。 TGF-βレセプタースーパーファミリーのメンバーもまた配列WSXW(配列番 号2)を含み、観察される活性の減少は、TSP-TGF-βの相互作用の物理的な遮断 によると言うよりむしろ、TGF-βレセプター結合部位に関してこのペプチドが活 性型TGF-βと競合することに起因するということができる。この可能性を検査す るために、ヒト血小板TGF-β(R&D Systems,Minneapolis,Minnesota)を製造者 の指示に従って4mMのHClで活性化し、そして1.1μMのGGWSHW(配列番号3 )ペプチドと30分間プレインキュベートしてペプチドとTGF-βとの間の可能な相 互作用を最大にした。このサンプルのTGF-β活性を軟寒天NRKコロニー形成アッ セイによってアッセイし、ペプチドなしでインキュベートされた活性化ヒト血小 板TGF-βのTGF-β活性と比較した。GGWSHW(配列番号3)ペプチドは、ヒ ト血小板TGF-β単独の場合と比べてTGF-βの活性化に何の効果も及ぼさなかった 。従って、GGWSHW(配列番号3)ペプチドの阻害的効果は、TGF-βレセプ ター結合部位の競合的遮断レベルにはないようである。 配列GGWSHWは内皮細胞成長のTGF-β仲介性阻害を遮断する BAE細胞を24ウェルのプレート(Corning,Corning,New York)に5×103細胞/ウ ェルで接種し、37℃、5%CO2で一晩付着させた。このウェルをFBSを含まないDME Mで1回洗浄した。記載したペプチドまたは完全なsTSPのサンプルを0.5mlの2.5% FBS/DMEMに添加し、37℃、5%CO2で4日間インキュベートした。細胞には48時間 後にさらなるsTSPまたはペプチドを与え、そして総容量1mlの培地中でさらに48 時間インキュベートした。次いで、細胞をトリプシン処理し、Coulter Cell Cou nter model ZM(Coulter Electronics,Hialeah,Florida)上で計数した。阻害ペ プチドは、活性を持たないペプチドより高いレベルの細胞増殖を生じた。 これらの実験において、1000〜10,000倍モル過剰のGGWSHW(配列番号3 )は、36〜47%のTSP仲介性BAE成長阻害を遮断した(表IV)。これらの実験は、 阻害的GGWSHW(配列番号3)ペプチドは細胞環境において潜在型TGF-βの TSP活性化を遮断するに効果的な試剤であり得るということを示唆する。他の阻 害ペプチドは、それらのTGF-βに対する同様の作用のために、細胞増殖に対して 同じ効果を有することが予想される。 配列KRFKQDGGWSHWSPWSSC(配列番号45)は内皮細胞の増殖を 阻害する 2代から8代継代させたウシ角膜内皮細胞(BCE細胞)を用いた(76)。BCE細胞 培養物を、10%FCS、4mMGln、2.5μg/mlアンフォテリシンB、およびそれぞれ500 U/mlのペニシリンGカリウムおよび硫酸ストレプトマイシンを含むDMEM(低グル コース)中で維持した(全ての培地成分はBiofluides Inc.,Rockville,Maryla ndから入手した)。BCE細胞を5%CO2内で34℃で生育させた。培地を2〜3日毎に交 換した。 内皮細胞増殖をCELL TITER 96TMアッセイ(Promega,Madison,Wisconsin)を用 いて測定した。示された濃度の成長エフェクターとともに0.5または5%FCS含有 培地を含む96ウェル培養プレートの各ウェルに5×103細胞を接種した。72時間後 、15μlの色素溶液を各ウェルに添加し、そしてそのプレートをさらに4時間イン キュベートした。製造者によって記載されたように、可溶化溶液を添加して570n mでの吸光度を24時間後に測定した。 FICOLLと結合した活性化ペプチドKRFKQDGGWSHWSPWSSC(配 列番号45)は、1μMより堅実に低い阻害濃度50(IC50)を有する内皮細胞増殖の強 力なインヒビターであった。ペプチドを有さないFICOLLキャリヤは不活性であっ た。活性化ペプチドGGWSHWSPWSSC(配列番号46)(アミノ末端の塩 基性アミノ酸を欠いている)のFICOLL結合物もまた、内皮細胞増殖の阻害に関し て強力に活性である。同様の阻害的活性は、0.5%または5%ウシ胎児血清中で生 育した細胞を用いて観察された。TGF-βを活性化する他のペプチドはそれらのTG F-βに対する作用のために同じ効果を有するはずである。 KRFKペプチドの投与による創傷治癒の増強 2cm×1cmのワイヤーメッシュ創傷チャンバーをラットの背中に移植する。創傷 治癒の反応が開始した後(第4日目)、ラットに毎日1注入部位当たり100〜1000 nMのKRFK(配列番号5)、1000ngのTGF-β、1000ngのアルブミンまたはベヒ クルコントロールを創傷部位に与える。第9日目に動物を屠殺し、創傷チャンバ ー内の組織を組織学的に検査し総タンパク質およびコラーゲン含有量について( ヒドロキシ-プロリン含有量の測定により)アッセイする。TGF-βの相対レベル を免疫組織化学的技法によって創傷組織において検査する。 あるいは、6cmの直線状の切開をラットの背中側の皮膚に作り、その創傷を外 科用クランプで癒合させて1注射部位当たり100〜1000nMのKRFK、1000ngのT GF-β、1000ngのアルブミン(ベヒクルとしての3%メチルセルロース中)また はベヒクルコントロールを創傷部位に注射した。他のコントロールは、KRFK (配列番号5)の不活性アナログ、例えば、KRAK(配列番号35)、TRIR (配列番号30)、またはKRWK(配列番号37)を含み得る。7〜10日後、創傷 片を回収し、そして張力計を用いて引っ張り強さについて、および上述の組織学 的分析について評価する。増強された創傷の治癒は、創傷部位の細胞性の組織学 的評価(DNA含有量の測定)、コラーゲン原繊維の存在、および創傷表面の再上皮 形成の存在によって決定した。この状態に慣れている臨床医達は、統計的に有意 な創傷治癒速度の増加が生じたという決定をなし得る。例えば、当業者は、どれ だけのDNA含有量の変化が、処置されない創傷に比べて処置された創傷における 治癒の増強を示すかを評価し得る。また、当業者は、創傷治癒の増強に必要な再 上皮形成の量を容易に決定し得る。さらに、当業者は、創傷治癒の増強の評価に おいて創傷の引っ張り強さを容易に評価し得る。 GGWSHWペプチドの投与による線維症の予防 2cm×1cmのワイヤーメッシュ創傷チャンバーをラットの背中に移植する。創傷 治癒の反応が開始した後(第4日目)、ラットに毎日1注射部位当たり100〜100 0nMのGGWSHW(配列番号3)ペプチド、100〜2000ngのTGF-β、100〜2000n gのアルブミンまたはベヒクルコントロールを創傷部位に与える。第9日目に動 物を屠殺し、創傷チャンバー内の組織を組織学的に検査し、総タンパク質および コラーゲン含有量について(ヒドロキシ-プロリン含有量の測定により)アッセ イする。免疫組織化学的技法によりTGF-βの相対レベルを創傷組織内で検査する 。 あるいは、6cmの直線状の切開をラットの背側の皮膚に作り、その創傷を外科 用クランプで癒合させて1注射部位当たり100〜1000nMのGGWSHW(配列番 号3)、100〜2000ngのTGF-β、100〜2000ngのアルブミン(ベヒクルとしての3 %メチルセルロース中)またはベヒクルコントロールを創傷部位に注射した。他 のコントロールは、GGWSHW(配列番号3)の不活性アナログ、例えば、S HWWSS(配列番号40)、GGWSHY(配列番号41)、およびGGWSKW (配列番号42)を含み得る。7〜10日後、創傷片を回収し、そして張力計を用い て引っ張り強さについて、および上述の組織学的分析について評価した。線維症 の主な尺度は、結合組織のトリクローム染色を用いる組織学的分析による、およ びパンチバイオプシーで得た規定の創傷面積中のヒドロキシプロリン含有量の測 定による創傷のコラーゲン含有量の評価である。この状態に慣れている臨床医達 は、統計的に有意な線維症の減少が起きたという決定をなし得る。例えば、当業 者は、処置された創傷のコラーゲン含有量のどれだけの変化が、処置されない創 傷に比べて線維症の減少を示すかを評価し得る。また、当業者は、線維症の減少 を示すヒドロキシプロリンの量を容易に決定し得る。 創傷治癒を増強するためのTSPまたはTSP由来のペプチドによる創傷の局所的処置 臨床的適用において、1μg〜100mgの精製TSPまたはTSP由来の活性化ペプチド を直接創傷に当てる包帯(bandage)に含浸させるか、または直接創傷に塗る軟膏 に混合する。熟練した臨床医は、患者の年齢、体格、ならびに創傷の部位および 状態に応じて、創傷の治癒を増強するのに必要なTSPまたはTSP由来の活性化ペプ チドの量および処置の長さを決定し得る。 線維症を減少させるためのTSPペプチドによる線維症を生じ得る部位の局所的処 置 臨床的適用において、TSPの1μg〜100mgの精製阻害ペプチドを直接線維症を生 じ得る部位に当てる包帯に含浸させるか、または直接線維症を生じ得る部位に塗 る軟膏に混合する。熟練した臨床医は、患者の年齢、体格、および線維症を生じ 得る部位の状態に応じて、線維症を減少させるのに必要なペプチドの量およびペ プチドによる処置の長さを決定し得る。 この出願を通して種々の刊行物を参照した。本発明が属する分野の状態をより 十分に記載するために、これらの刊行物の開示を全体として本出願の明細書に参 考として援用する。 本プロセスは、その特定の態様の特定の詳細な説明に関して記載されているが 、それらが添付の請求の範囲に含まれる限りは、そのような詳細な説明が本発明 の範囲に関する制限とみなされることを意図しない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07K 17/08 A61K 37/465 ADD 17/10 ABN C12N 5/06 9281−4B C12N 5/00 E (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD),AM,AT, AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C Z,DE,DK,ES,FI,GB,GE,HU,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LT,LU, LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SI,SK,TJ ,TT,UA,UZ,VN (71)出願人 ユーエイビー リサーチ ファウンデイシ ョン アメリカ合衆国 アラバマ 35294―0111, バーミングハム,サウス 20ティーエイチ ストリート 701 スイート 1120ジー ―エイビー (72)発明者 マーフィー−ウーリッヒ,ジョアン イ ー. アメリカ合衆国 アラバマ 35222,バー ミングハム,ランデール ロード 939 (72)発明者 ロバーツ,デイビッド ディー. アメリカ合衆国 メリーランド 20817, ベセスダ,パーシモン トゥリー ロード 6808 (72)発明者 クルッツ,ヘンリー シー. アメリカ合衆国 メリーランド 20817, ベセスダ,ドゥ ポール ドライブ 9704 (72)発明者 シュルツ−チェリー,ステイシー アメリカ合衆国 アラバマ 35209,バー ミングハム,バリー ビュー ドライブ 1501

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.被験体においてトランスフォーミング成長因子−βの活性を刺激する方法で あって、該被験体中の潜在型トランスフォーミング成長因子−βを、潜在型トラ ンスフォーミング成長因子−βを活性型トランスフォーミング成長因子−βに変 換するのに有効な量のトロンボスポンジンと接触させる工程を包含する、方法。 2.被験体においてトランスフォーミング成長因子−βの活性を刺激する方法で あって、該被験体中の潜在型トランスフォーミング成長因子−βを、潜在型トラ ンスフォーミング成長因子−βを活性型トランスフォーミング成長因子−βに変 換するのに有効な量の、トロンボスポンジンの精製された活性化ペプチドと接触 させる工程を包含する、方法。 3.被験体においてトランスフォーミング成長因子−βの活性を刺激する方法で あって、該被験体中の潜在型トランスフォーミング成長因子−βを、相当量の、 3から30アミノ酸を有する精製された活性化ペプチドと接触させる工程を包含 し、 ここで、該ペプチドはサブ配列R1−X1−X2−X3−R2を含み、X1はArgお よびLysからなる群から選択され、X2はProおよびPheからなる群から選択され、 X3はLysおよびArgからなる群から選択され、R1はH、アシル、または1から2 6アミノ酸のペプチド、R2はH、NH2、または1から26アミノ酸のペプチド であり、そして、 該ペプチドは、潜在型トランスフォーミング成長因子−βを活性型トランスフ ォーミング成長因子−βに変換する、方法。 4.被験体においてトランスフォーミング成長因子−βの活性を刺激する方法で あって、該被験体中の潜在型トランスフォーミング成長因子−βを、相当量の、 以下からなる群から選択される精製された活性化ペプチドと接触させる工程を包 含する、方法: 5.前記精製された活性化ペプチドが、アミノ酸配列RFK(配列番号18)か らなる、請求項2に記載の方法。 6.被験体においてトランスフォーミング成長因子−βの活性の刺激を阻害する 方法であって、該被験体中のトロンボスポンジンを、トロンボスポンジンに結合 して潜在型トランスフォーミング成長因子−βの活性型トランスフォーミング成 長因子−βへの変換を予防するのに有効な量の、トロンボスポンジンに特異的な 抗体と接触させる工程を包含する、方法。 7.被験体においてトランスフォーミング成長因子−βの活性の刺激を阻害する 方法であって、該被験体中の潜在型トランスフォーミング成長因子−βを、潜在 型トランスフォーミング成長因子−βの活性型トランスフォーミング成長因子− βへの変換を阻害するのに有効な量の、トロンボスポンジンの4つの連続したア ミノ酸の配列に対応する配列を有する、精製された阻害ペプチドと接触させる工 程を包含する、方法。 8.被験体においてトランスフォーミング成長因子−βの活性の刺激を阻害する 方法であって、該被験体中の潜在型トランスフォーミング成長因子−βを、相当 量の、以下からなる群から選択される精製された阻害ペプチドと接触させる工程 を包含する、方法: 9.被験体において創傷の治癒を増強する方法であって、該被験体の創傷部位に 、潜在型トランスフォーミング成長因子−βを活性型トランスフォーミング成長 因子−βに変換するのに有効な量のトロンボスポンジンを投与する工程を包含し 、トランスフォーミング成長因子−βの該活性化が結果として創傷の治癒を増強 する、方法。 10.被験体において創傷の治癒を増強する方法であって、該被験体の創傷部位 に、潜在型トランスフォーミング成長因子−βを活性型トランスフォーミング成 長因子−βに変換するのに有効な量の、TSP由来の精製された活性化ペプチドを 投与する工程を包含し、トランスフォーミング成長因子−βの該活性化が結果と して創傷の治癒を増強する、方法。 11.前記精製された活性化ペプチドが以下のアミノ酸配列からなる、請求項1 0に記載の方法: 12.前記精製された活性化ペプチドが、アミノ酸配列RFK(配列番号18) から実質的になる、請求項10に記載の方法。 13.被験体において病的状態でトランスフォーミング成長因子−βによって刺 激される線維症を予防する方法であって、該被験体の線維症を生じ得る部位に、 トロンボスポンジンに結合するのに有効な量の、トロンボスポンジンに特異的な 抗体を投与する工程を包含し、これによりTGF-βの活性化を予防して、結果とし て線維症が抑制される、方法。 14.被験体において病的状態でトランスフォーミング成長因子−βによって刺 激される線維症を予防する方法であって、該被験体の線維症を生じ得る部位に、 潜在型トランスフォーミング成長因子−βの活性型トランスフォーミング成長因 子−βへの変換を阻害するのに有効な量の、TSP由来の精製された阻害ペプチド を投与する工程を包含し、結果として線維症が抑制される、方法。 15.前記精製された阻害ペプチドが以下からなる群から選択される、請求項1 4に記載の方法: 16.前記精製された阻害ペプチドが、アミノ酸配列GGWSHW(配列番号3 )から実質的になる、請求項14に記載の方法。 17.被験体においてトランスフォーミング成長因子−β仲介型の内皮細胞の増 殖の阻害を遮断する方法であって、該被験体の内皮細胞を、トロンボスポンジン に結合するのに有効な量の、トロンボスポンジンに特異的な抗体と接触させる工 程を包含し、これによりトランスフォーミング成長因子−βの活性化を予防して 、結果として内皮細胞を増殖させる、方法。 18.被験体においてトランスフォーミング成長因子−β仲介型の内皮細胞の増 殖の阻害を遮断する方法であって、該被験体の内皮細胞を、潜在型トランスフォ ーミング成長因子−βの活性型トランスフォーミング成長因子−βへの変換を阻 害するのに有効な量の、TSP由来の精製された阻害ペプチドと接触させる工程を 包含し、結果として内皮細胞を増殖させる、方法。 19.前記精製された阻害ペプチドが以下からなる群から選択される、請求項1 8に記載の方法: 20.前記精製された阻害ペプチドが、アミノ酸配列GGWSHW(配列番号3 )から実質的になる、請求項18に記載の方法。 21.3から30アミノ酸を有する精製されたペプチドであって、 ここで、該ペプチドはサブ配列R1−X1−X2−X3−R2を含み、X1はArgお よびLysからなる群から選択され、X2はProおよびPheからなる群から選択され、 X3はLysおよびArgからなる群から選択され、R1はH、アシル、または1から2 6アミノ酸のペプチド、R2はH、NH2、または1から26アミノ酸のペプチド であり、そして、 該ペプチドは、潜在型トランスフォーミング成長因子−βを活性型トランスフ ォーミング成長因子−βに変換する、ペプチド 22.前記ペプチドが以下からなる群から選択される、請求項21に記載のペプ チド: 23.配列表において配列番号10で定義されるアミノ酸配列RWRPWTAW SEから実質的になる、ペプチド。 24.前記ペプチドが水溶性ポリマーに接合された、請求項21に記載のペプチ ド。 25.前記ペプチドが部分的および完全にレトロ−インベルソのペプチド配列か らなる群から選択される、請求項21に記載のペプチド。 26.配列表において配列番号28で定義されるアミノ酸配列アセチル-WHS WAA-NH2から実質的になる、精製されたペプチド。 27.前記ペプチドが部分的または完全にレトロ−インベルソのペプチド配列の 群から選択される、請求項26に記載のペプチド。
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