JPH09502500A - ２ストロークｖ型エンジン用クロスヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 大型の２ストロークＶ型エンジン用クロスヘッドは隣接する複数のシリンダ対内にクロスヘッド用案内面（９）を備えた横断方向の補強材（７、８）を有している。各シリンダ対には、連接棒（３）が連接棒結合ピン（２）上に横に並んで支承されて、この結果、クロスヘッドは横断方向補強材の中央に位置決めされない。クロスヘッドハウジングに支承される軸受表面（１５）が長さの異なる第１のピン部分（１８）及び第２のピン部分（１９）を介して２つの関連するクロスヘッドシュー（１６、１７）に結合されるときに、クロスヘッドピン（１４）は前記軸受表面に対して非対称となる。関係するシューを備えた２つのピン部分の質量は、シューを備えたピンの重心がクロスヘッド軸受（４）の中央に位置するようにされる。

Description

【発明の詳細な説明】 ２ストロークＶ型エンジン用クロスヘッド 本発明は、２列に配列されたシリンダを有し、関連した隣接する複数のシリン ダ対内のクロスヘッド用案内面を備える横断補強材を有したクロスヘッドタイプ の大型２ストロークＶ型エンジン用クロスヘッドに関する。各シリンダはそれぞ れの列に配置され、一対のシリンダに関連した２本の連接棒は連接棒結合ピン上 で横に並んで支承されており、且つ、クロスヘッドピンの軸受面は該軸受面を一 方のクロスヘッドシューに結合する第１のピン部分が前記軸受面を他方のクロス ヘッドシューに結合する第２のピン部分より長くなるように前記ピンの長手方向 に非対称に位置決めさる。 斯かるクロスヘッドは本発明出願人のデンマーク特許出願第１４７９／９２号 で公知となっている。クロスヘッドは作動中の信頼性が非常に高いことが要求さ れる不可欠の高負荷のエンジン構成要素である。各シリンダ当たり５０００ｋＷ までの出力を備えた大型クロスヘッド型エンジンでは、クロスヘッドは大きな圧 縮力をピストンロッドから連接棒へ伝達しなければならず、且つ、連接棒が低速 の限定された振幅で往復動揺動運動を起こすと、クロスヘッド軸受の軸受面と周 りを取り囲んだクロスヘッドハウジング内の摺動面との間の潤滑油膜を適当な厚 さに維持するのが困難になる。 本発明の目的は非対称ピンを備えたクロスヘッド軸受の作動信頼性をでき得る 限り高くすることである。 上記目的を達成するために、本発明によるクロスヘッドは関係するクロスヘッ ドシューを備えた第１のピン部分の質量を低減し、及び／または、関係するクロ スヘッドシューを備えた第２のピン部分の質量を増大してクロスヘッドシューを 備えたクロスヘッドピンの重心がクロスヘッド軸受の略中央に位置するようにし たことを特徴とする。 関連したクロスヘッドシューを備えたピン部分の質量を、上記の如く調整すれ ば、非対称クロスヘッドピンが上下動時に慣性力によって影響を受けるのを回避 可能となる。この慣性力は、軸受中央から一定の距離においてピンに加わり、こ れにより、軸受に縁部圧力を生じさせる、即ち、軸受けの一方の端部での負荷を 他方の端部での負荷より大きくする。斯かる縁部圧力は軸受けの最大高負荷端部 における敏感な潤滑油膜厚を低減することになり、その結果、軸受表面が局部的 に負荷過多になり、熱負荷が増大して摩耗が大きくなる。非対称クロスヘッドピ ン及び該ピンに結合される部品をそれらの結合重心がクロスヘッド中央になるよ うに設計することで、ピンが非対称に設計されているにもかからわず、慣性力が 軸受表面の中央に作用するようになり、その結果、クロスヘッドの軸受表面に負 荷が均一にかかるようになって、縁部圧力が発生しなくなる。 第１の実施例では、第１のピン部分の質量が中央に伸長するボア（穴）により 低減され、これにより、製造が簡単であるという点に加えて、ピン部分の材料が ピンの長手方向軸線から一定の距離に配置されてピンの剛性は殆どそのまま維持 される。 第２の実施例では、第１のピン部分の径がその全長の一部に亙り第２のピン部 分の径より小さく形成されている。これは、第１の部分の径を小さくするか、ま たは、第２の部分の径を大きくするか、いずれかにより達成することが可能であ るが、ピンの剛性を高く維持しなければならない場合には後者が好適である。 第３の実施例では、第１のピン部分のクロスヘッドシューの質量が第２のピン 部分のクロスヘッドシューの質量より小さくされる。クロスヘッドシューの質量 を調整してバランスを取ることで、クロスヘッドピン自体を通常の方法で製造す ることが可能となる。 本発明によるクロスヘッドの実施例中の例を大まかな略図を参照しつつ下記に 更に詳細に説明するが、同図中、 図１は、本発明によるクロスヘッドを有するシリンダユニットの長手方向断面 図であり、 図２は、２つの関係した隣接するシリンダ内のクロスヘッドの図１の線II−II に沿った断面図であり、 図３及び図４はそれぞれ本発明の第２及び第３実施例のクロスヘッドピンの長 手方向断面図である。 図１は例えば船舶の推進エンジンまたは固定発電エンジン等のクロスヘッドタ イプの大型低速Ｖ型エンジン内のクランクシャフトのクランクスロー１を示して いる。クランクスローは連接棒ピン２を有し、該ピン上には２本の均一な連接棒 ３が横に並んで支承されている。連接棒はベッドプレートとシリンダ部分との間 に配置されたエンジンフレームボックス内の横断方向補強材を形成する２枚の横 断方向壁７及び８内の関連する隣接した２本のシリンダ内に配置される、クロス ヘッド４、ピストンロッド５及びピストン６のそれぞれのセットに至る。 横断方向壁７、８は平らで、フレームボックスの横断方向に貫通して該フレー ムボックスの剛性を高めている。横断方向壁は単一層の補強板壁であっても、ま たは、異形材及び板部から構成されるフレーム部分であっても良い。クロスヘッ ドの案内面９は、例えば、溶接により横断方向壁に固定され、該案内面の裏面に は適当な数の補強材１０が固定されている。案内面はエンジンフレームボックス の略全高に亙って伸長しており、且つ、フレームボックスの長手方向二等分面に 対して斜めにされて、関連するシリンダライナ１１の長手方向軸線に平行に伸長 する。一対の隣接するシリンダ内の２つのシリンダライナの長手方向軸線はクラ ンクシャフトの長手方向軸線と同一面または該軸線の下方に位置された頂点と一 定の角度を形成している。 横断方向壁７、８が互いに平行且つエンジンの長手方向軸線に対して直角に伸 長するので、該壁間の距離は略一定しており、また、連接棒が連接棒ピン上で横 に並んで位置決めされ、且つ、一対の隣接するシリンダ内の２つのクロスヘッド が同一の２枚の横断方向壁間に配置されているので、クロスヘッドは横断方向壁 の一方に他方より近くなっている。 クロスヘッド４は２ピースの軸受ハウジングからなり、該ハウジングの下方部 分１２は連接棒と一体となり、該ハウジングの上方部分は上方に開口した切り口 を有し、ピストンロッドが、軸受部１５により軸受ハウジング内に支承されるク ロスヘッドピン１４上にピストンロッドを固定するため、該切り口を貫通する。 クロスヘッドピンは、２つのクロスヘッドシュー１６、１７を備え、案内面に沿 って摺動してクロスヘッドをエンジンの横断方向に案内する。 クロスヘッドピン１４は軸受部分の一方の端部から該ピンの一方の端部へ伸長 する第１のピン部分１８と、軸受部分の他方の端部からピンの他方の端部まで伸 長する第２のピン部分１９を有しており、前記第１のピン部分において一方のシ ュー１６がピン上に支承されており、且つ、前記第２のピン部分において第２の シュー１７がピン上に支承されている。クロスヘッドが一方の横断方向壁の直近 に位置する結果、第１のピン部分１８は第２のピン部分１９より長くなって軸受 表面または部分がピンの長手方向に非対称に配置されることになる。 図１及び図２に示した第１の実施例では、第１のピン部分１８が中央に伸長す るボア（穴）２０を有しており、該ボアはピン端部に開口し、また、該ボアの径 及び長さはピンの重心２１が軸受表面の中央に位置するような径及び長さにされ ている。下記に説明する別の実施例では、上記と同一のタイプの要素には同一の 符号を用いてある。 図３に示す第２の実施例では、第１のピン部分１８がその全長の一部２２に亙 り径が小さく形成されており、ここでピンの質量の重心がジャーナル表面の中央 に位置するように質量低減する深さ及び位置に設定される。勿論、第２のピン部 分１９の径を大きくして製造することも可能である。 図４に示す第３の実施例では、第１及び第２のピン部分が同一径となるように 設計されているが、第１のピン部分１８上のクロスヘッドシュー１６の質量が第 ２のピン部分１９上のクロスヘッドシュー１７の質量より小さく、関連したクロ スヘッドシューを備えたピンの重心２１′が軸受表面の中央に位置する。第２の シュー１７の質量は該シューの径を図示の如く大きくすることにより増大しても 良いが、その結果、関係する案内面が更に離れて隔置されることになる。製造面 ではエンジンフレームボックス内の全ての関係する案内面を同一距離にすること は効果的であるので、前記とは別に、第２のシューの質量を、該シューに１個又 はそれ以上の分離した重りを例えば摺動面間で該シュー上の中央ジャーナル部分 の上方及び／または下方の所定位置に固定することにより増大することも可能で ある。 具体的なエンジンの第１及び第２のピン部分１８、１９の長さを、横断方向壁 ７、８間の距離及び軸受部分１５の長さ及び位置から決定した時には、クロスヘ ッドピン及び該ピンに支持される部材の重心を決定することが可能であり、また 一般的な質量モーメント計算の使い、本発明による質量増大または質量低減手段 の寸法及び位置を、関連する部材を備えたクロスヘッドピンの重心がクロスヘッ ド軸受の中央に位置するように決定することが可能である。 上記の実施例を組み合わせて重心を所望の位置に配置することが可能なことは 明らかである。クロスヘッドピンに案内面の潤滑用の油分配チャネルを設ける場 合には、第１のピン部分のボアの径を油の分配が可能なまでに拡径することが可 能であり、不釣り合いが残存する場合には第２のピン部分及び／または第２のク ロスヘッドシューの質量を比較的限られた範囲で増大することにより排除するこ とが可能である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． ２列に配列されたシリンダを有し、且つ、関連した隣接する複数のシリン ダ対内にクロスヘッド用案内面（９）を備えた横断補強材（７、８）を有したク ロスヘッドタイプの大型２ストロークＶ型エンジン用クロスヘッド（４）であっ て、各シリンダはそれぞれの列に位置決めされ、一対のシリンダに関係した２本 の連接棒（３）が連接棒結合ピン（２）上で横に並んで支承されており、且つ、 クロスヘッドピン（１４）の軸受面（１５）が、該軸受面を一方のクロスヘッド シュー（１６）に結合する第１のピン部分（１８）が前記軸受面を他方のクロス ヘッドシュー（１７）に結合する第２のピン部分（１９）より長くなるように、 前記ピンの長手方向に非対称に位置決めされているクロスヘッドタイプの大型２ ストロークＶ型エンジン用クロスヘッドにおいて、関連するクロスヘッドシュー を備えた第１のピン部分（１８）の質量を低減し、及び／または、関連するクロ スヘッドシューを備えた第２のピン部分（１９）の質量を増大してクロスヘッド シュー（１６、１７）を備えたクロスヘッドピン（１４）の重心（２１、２１′ ）がクロスヘッド軸受の略中央に位置するようにしたことを特徴とするクロスヘ ッドタイプの大型２ストロークＶ型エンジン用クロスヘッド（４）。 ２． 前記第１のピン部分（１８）が前記第２のピン部分（１９）に対して前記 第１のピン部分の質量を低減する中央に伸長するボア（２０）を有することを特 徴とする請求項１に記載のクロスヘッド（４）。 ３． 前記第１のピン部分（１８）の径がその全長の一部（２２）に亙り前記第 ２のピン部分の径より小径にされていることを特徴とする請求項１に記載のクロ スヘッド（４）。 ４． 前記第１のピン部分のクロスヘッドシュー（１６）の質量が第２のピン部 分（１７）のクロスヘッドシューの質量より小さいことを特徴とする請求項１に 記載のクロスヘッド（４）。