JPH0947638A - 酸回収方法 - Google Patents

酸回収方法

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JPH0947638A
JPH0947638A JP7203662A JP20366295A JPH0947638A JP H0947638 A JPH0947638 A JP H0947638A JP 7203662 A JP7203662 A JP 7203662A JP 20366295 A JP20366295 A JP 20366295A JP H0947638 A JPH0947638 A JP H0947638A
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JP
Japan
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acid
stock solution
membrane
water
recovered
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Withdrawn
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JP7203662A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Naganuma
力 長沼
Junjiro Iwamoto
純治郎 岩元
Tamao Okuya
珠生 奥屋
Hisanori Tanaka
久敬 田中
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】拡散透析による酸回収において、酸回収率を飛
躍的に向上させ、透析後廃液を低減する。 【解決手段】隔膜の一方の側に酸を含有した原液を供給
し、隔膜を介した拡散透析によって隔膜の他方の側から
酸を回収する方法において、原液供給側室を酸回収側室
よりも0.1kg/cm2 以上の高圧状態に保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、拡散透析による酸
回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】拡散透析による酸回収方法、すなわち酸
の濃度差を物質移動の駆動力として、隔膜を介して目的
とする酸を分離回収する操作は近年盛んに用いられるよ
うになってきた。隔膜として陰イオン交換膜を用いる方
法が特に好んで用いられている。すなわち、陰イオン交
換膜を水素イオンは比較的透過しやすいが、金属陽イオ
ンは透過しにくいので、この現象を利用して酸を共存す
る不純物金属塩から選択的に分離して回収するものであ
る。
【0003】以上に述べた拡散透析による酸回収方法
は、アルミニウム陽極酸化浴廃液からの硫酸回収、ステ
ンレス鋼酸洗廃液からのフッ硝酸の回収、種々メッキ廃
液からの酸回収等に広く利用されている。
【0004】拡散透析法は先に述べたように濃度差を物
質移動の駆動力とするものであり、当然回収対象である
原液側の酸および金属塩濃度の方が、回収される側すな
わち回収側の酸および金属塩濃度よりも高いわけであ
る。したがって原液側と回収側の濃度差に基づく浸透圧
が発生しようとし、溶媒である水が回収側から原液側へ
移動する現象が生ずる。
【0005】隔膜を透過して回収側から原液側へ移動す
る水の移動速度は、隔膜の水透過係数に依存し、陰イオ
ン交換膜の場合、酸透過速度の大きな陰イオン交換膜ほ
ど高い水透過係数を有する傾向にある。酸回収側から原
液側への水移動量が増すと、原液側からの透析廃液量が
増すとともに原液側の濃度が低下し物質移動の駆動力で
ある濃度差が低下するため、回収側への酸透過量が低下
する。したがって、原液からの酸回収率が低下する。
【0006】工業的には酸透過速度の向上が望まれてお
り、それに応えるべく酸透過速度の高い陰イオン交換膜
を隔膜として用いると、原液側への水移動量が増し酸回
収率が低下するとともに透析廃液が増加する。このバラ
ンスを取るのが難しいのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は拡散透析法に
よる酸回収方法において、高い酸透過速度を有する陰イ
オン交換膜を用い、かつ回収側から原液側への水移動量
を低減させ、高い酸回収率を達成する方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、隔膜の一方の
側に酸を含有した原液を供給し、隔膜を介した拡散透析
によって隔膜の他方の側から酸を回収する方法におい
て、原液供給側室を酸回収側室よりも0.1kg/cm
2 以上の高圧状態に保持する酸回収方法を提供する。
【0009】本発明では、原液供給側室の圧力を酸回収
側室の圧力よりも高圧にすることによって、効率的に酸
を回収する。たとえば、酸廃液から酸を回収し再利用す
る場合に、高い酸回収率を達成できる。この作用機構は
必ずしも明確ではないが、次のような要因が複合的に寄
与しているものと考えられる。
【0010】(1)浸透圧の差による酸回収側から原液
供給側への水の移動量を低減して、原液供給側室の濃度
を高い濃度に維持する。この結果、原液供給側と酸回収
側の濃度差が高い値に維持されるので、濃度差に基づく
酸透過量が低下せず酸回収率が高く維持できる。
【0011】(2)圧力差による原液供給側から酸回収
側への酸移動が発生して酸回収率が向上する。
【0012】(3)酸回収側から原液供給側への水移動
が減少し、原液供給側室からの透析後廃液が減少する。
【0013】
【発明の実施の形態】原液供給側室と酸回収側室の隔膜
を介しての圧力差は、0.1kg/cm2 以上であるこ
とが必要である。圧力差が1kg/cm2 以上である場
合はさらに好ましい。この圧力差が50kg/cm2
超える場合は、隔膜および装置の耐圧性の観点から好ま
しくない。耐圧性に優れた隔膜および装置であればこの
値以上の圧力差をかけても支障ない。実際の操作で原液
供給側と酸回収側の隔膜を介しての差圧をどの程度にす
るかは、使用する隔膜の水透過係数、耐圧性、使用条
件、求められる性能などによって適宜決められる。差圧
を浸透圧より大きくすることにより、水移動の方向を原
液側から回収側にすることもでき、水移動量で回収側酸
濃度を制御することもできる。
【0014】隔膜を用いた拡散透析により酸を回収する
には、隔膜の一方に酸成分を含む原液を供給し、酸を選
択的に隔膜中を拡散させ、隔膜の反対側からこれを回収
する。酸回収側には、好ましくは水を一定量供給し酸を
ある濃度の水溶液として回収する。
【0015】原液供給側と酸回収側との間に圧力差を設
ける手段としては、原液供給側を気密構造にして空気圧
または原液供給の動圧力などによって加圧する方法、酸
回収側を気密構造にして減圧する方法、またはこれらを
併用する方法などが挙げられる。
【0016】本発明により回収できる酸は、特に限定さ
れず、硫酸、硝酸、リン酸、塩酸、フッ化水素酸、クロ
ム酸などの無機酸、酢酸、シュウ酸などの有機酸を回収
できる。これらの酸と種々の金属塩が含まれる溶液から
なる酸廃液からの酸の回収処理に好適に使用できる。
【0017】隔膜としては、膜内に固定イオンを持たな
い単なる多孔質膜も使用できるが、陰イオン交換膜を用
いる場合は、金属塩を含んだ溶液からも高純度の酸を選
択的に回収できるので好ましい。
【0018】本発明は、酸透過速度の大きい隔膜を用い
た拡散透析の場合に特に有効である。酸透過速度の大き
い隔膜の場合、上述した浸透圧などの影響などを受けや
すい。すなわち、酸透過速度の大きい隔膜ほど水透過係
数が大きくなる傾向があり、そのため浸透圧に基づく水
移動量が大きく、拡散透析操作における酸回収率が低下
し膜本来の酸透過性能が有効に発揮されにくい。そこ
で、原液供給側を加圧することによって浸透圧の影響を
低減し高い酸回収率を発現させる。
【0019】ここで酸透過速度とは、隔膜単位面積当た
り、単位時間当たり、隔膜を介しての単位酸濃度差当た
りの隔膜を透過する酸の量である。酸透過速度は酸の種
類に依存する物性であり、本発明における隔膜の酸透過
速度としては硫酸透過速度が3mol・m-2・h-1
(mol/リットル)-1以上であることが好ましい。特
に好ましくは10mol・m-2・h-1・(mol/リッ
トル)-1以上である。酸透過速度は高いほうが好ましい
が、現状の膜ではその上限は30mol・m-2・h-1
(mol/リットル)-1程度である。
【0020】水透過係数とは透過隔膜単位面積当たり、
単位時間当たり、隔膜を介しての単位圧力差当たりの隔
膜を透過する水の量である。スチレン−ジビニルベンゼ
ン共重合体系の陰イオン交換膜では硫酸透過速度は3〜
6mol・m-2・h-1・(mol/リットル)-1、水透
過係数は0.1〜1.0mol・m-2・h-1・atm-1
程度である。高酸透過型陰イオン交換膜では硫酸透過速
度は10〜20mol・m-2・h-1・(mol/リット
ル)-1、水透過係数は1.0〜10mol・m-2・h-1
・atm-1程度である。
【0021】本発明においては、加圧することにより酸
回収側から原液供給側への隔膜を通しての水の移動を抑
制するものであり、具体的には水移動量を10mol・
-2・h-1以下にして運転するのが好ましい。さらに好
ましくは5mol・m-2・h-1以下である。拡散透析に
おける水移動量とは、透過隔膜単位面積当たり、単位時
間当たりの隔膜を透過する水の量である。なお、原液供
給側からの加圧を充分大きくした場合、原液供給側から
酸回収主側への水移動が生ずる、すなわち上記水移動量
は負の値になるが、これは目的によっては好ましいこと
である。
【0022】陰イオン交換膜としては、スチレン(また
はビニルピリジン)−ジビニルベンゼン共重合体をアミ
ノ化または4級ピリジニウム化した陰イオン交換膜を使
用できる。この場合、イオン交換容量は0.5〜5.0
meq/g乾燥樹脂が好ましい。イオン交換容量が5.
0meq/g乾燥樹脂を超える場合は、膜含水率が高く
なるため、水透過係数も高くなり、さらに金属陽イオン
排除性が低下するので好ましくない。イオン交換容量が
0.5meq/g乾燥樹脂に満たない場合は、膜含水率
が低くなるため酸透過速度が低下するので好ましくな
い。イオン交換容量が1.0〜4.0meq/g乾燥樹
脂である場合は特に好ましい。
【0023】このようなスチレン−ジビニルベンゼン共
重合体系の陰イオン交換膜は、陰イオン交換膜としては
中程度以下の酸透過速度を有し、硫酸透過速度が6mo
l・m-2・h-1・(mol/リットル)-1以上のものは
得にくい。陰イオン交換膜として芳香族ポリスルホン系
陰イオン交換膜を用いる場合は、10mol・m-2・h
-1・(mol/リットル)-1以上の高い硫酸透過速度の
ものが得られるので好ましい。
【0024】芳香族ポリスルホン系陰イオン交換膜とし
て、具体的には、一般式(1)で示される繰り返し単位
を有する芳香族ポリスルホン系重合体のクロロメチル化
物をモノアミンでアミノ化した陰イオン交換膜、また
は、さらにポリアミンで架橋した陰イオン交換膜が好ま
しい。
【0025】
【化1】
【0026】芳香族ポリスルホン系陰イオン交換膜の母
材構造としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリフェニルスル
ホン、ポリチオエーテルスルホンからなる群から選ばれ
る1種以上の繰り返し単位を持つ共重合体が挙げられ
る。なかでも特に一般式(2)で示される芳香族ポリス
ルホン系ブロック共重合体が好ましい。
【0027】
【化2】
【0028】アミノ化する際に使用されるモノアミンと
しては、一般式(3)で示されるものが好ましく、特に
トリメチルアミンが好適である。
【0029】
【化3】
【0030】架橋アミノ化を行う際に使用されるポリア
ミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミ
ン、ポリエチレンイミン、フェニレンジアミンなどの1
〜2級アミンからなるポリアミン化合物や、N,N,
N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N,N,
N’,N’−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、
N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ
プロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6
−ジアミノヘキサン、N,N,N’,N’−テトラメチ
ルベンジジン、p,p’−テトラメチルジアミノジフェ
ニルメタンなどが挙げられる。ポリビニルピリジンまた
はポリクロロメチルスチレンなどの1〜2級アミノ化化
合物なども使用できる。
【0031】なかでも一般式(4)で示されるアミノ基
を分子末端に2個有するジアミンは、入手が容易であ
り、アミノ化反応性が高く、メチレン基の数(p)を変
えることにより、膜物性の制御が容易に行えることなど
から特に好ましいポリアミンである。とりわけ、一般式
(4)において分子末端が3級アミノ基である場合は特
に好ましい。
【0032】
【化4】
【0033】芳香族ポリスルホン系陰イオン交換膜の場
合は、架橋度が上記スチレンまたはビニルピリジン−ジ
ビニルベンゼン系の陰イオン交換膜より低いことから
1.0〜3.0meq/g乾燥樹脂であることが、酸透
過速度、水透過係数および金属陽イオン排除性の観点で
好ましい。
【0034】陰イオン交換膜は、補強体層として多孔質
膜を積層して複合化することにより、膜強度を高め、耐
圧性を向上させうる。多孔質膜としては、ポリオレフィ
ン系多孔質膜、特にポリフルオロオレフィン系多孔質膜
が好ましい。
【0035】ポリオレフィン系多孔質膜としては、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン
等がある。ポリフルオロオレフィン系多孔質膜として
は、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレ
ン共重合体、パーフルオロプロピルビニルエーテル−テ
トラフルオロエチレン共重合体、フルオロオレフィン系
モノマー−オレフィン系モノマー共重合体等のポリフル
オロオレフィンが挙げられる。なかでもテトラフルオロ
エチレンは、耐食性、耐酸化性、加工性に優れ、特に好
ましい補強体層の素材である。
【0036】膜の形態としては、平膜のまま使用しても
よく、スパイラルモジュールまたは中空糸膜モジュール
として使用してもよい。
【0037】スパイラルモジュールは、公知の技術を採
用できる。たとえば、隔膜を、透水性膜支持材(たとえ
ばポリエステル製布)およびスペーサ(たとえばポリプ
ロピレン製メッシュ)とともにのり巻き状に巻き込み、
中心に酸回収液を集める集水管を配し、これを耐圧性の
管内に格納したものを用いればよい。
【0038】中空糸膜モジュールも、公知の技術を採用
できる。中空糸膜は、たとえば芳香族ポリスルホン系陰
イオン交換性ポリマーを溶融防糸または湿式防糸によっ
て中空糸状に賦形して作製できる。また、先に述べた補
強体用多孔質膜を円筒状に加工し、芳香族ポリスルホン
系陰イオン交換性ポリマー溶液中に浸漬し、その後乾燥
によって溶媒を除くことによっても作製できる。中空糸
膜は、耐圧性の管内に格納し、ポッティング材で供給液
および回収液の入口と出口をシールすることによって中
空糸膜モジュールとすることができる。
【0039】
【実施例】 実施例1 隔膜としてスチレン−ジビニルベンゼン共重合体系の陰
イオン交換膜(旭硝子株式会社社製、商品名セレミオン
DSV、膜厚120μm、イオン交換容量2.0meq
/g乾燥樹脂)を用いて、拡散透析による酸回収を行っ
た。原液供給側を密封構造とし、空気にて気相部を加圧
することにより、原液供給側と酸回収側との圧力差をつ
けた。この陰イオン交換膜の硫酸の酸透過速度は5mo
l・m-2・h-1・(mol/リットル)-1であった。運
転条件は下記のとおりである。
【0040】 圧力差 3.0 kg/cm2 、 透過膜面積 0.1 m2 、 原液組成 H2 SO4 317 g/リットル、 Fe 34 g/リットル、 原液供給量 86 ml/h、 回収側組成 H2 SO4 262 g/リットル、 Fe 1 g/リットル。
【0041】酸回収側には、上記酸回収側組成となるよ
うに水を供給した。水移動量は4mol・m-2・h-1
酸回収率は82.5%であった。ここで酸回収率は、数
1で定義される。
【0042】
【数1】
【0043】比較例1 実施例1において、原液供給側と酸回収側との圧力差を
0kg/cm2 とした以外は同様にして、拡散透析によ
る酸回収を行った。水移動量は12mol・m-2
-1、酸回収率は77.6%であり、実施例1と比較し
て酸回収率が低下した。
【0044】実施例2 隔膜として用いる高い酸透過速度を有する芳香族ポリス
ルホン系陰イオン交換膜を次のようにして製造した。ま
ず、4,4’−ジフェノールとジハロジフェニルスルホ
ンとを反応させ芳香族ポリスルホンのユニットからなる
m=10のプリカーサを合成し、次に該プリカーサとジ
ハロジフェニルスルホンと硫化ナトリウムを反応させ式
(5)(m/n=1/1、zは固有粘度が0.62dl
/gとなる値)で示される芳香族ポリスルホン−ポリチ
オエーテルスルホン共重合体Aを得た。
【0045】
【化5】
【0046】共重合体Aを、1,1,2,2−テトラク
ロロエタンに溶解後、クロロメチルエーテル、無水塩化
スズを添加し、110℃で4時間反応させ、メタノール
で沈殿後洗浄し、クロロメチル化共重合体Bを得た。ク
ロロメチル基の導入率は、芳香族ポリスルホン1ユニッ
トに対し約1.9個であった。共重合体Bをすべてトリ
メチルアミンで反応させた場合のイオン交換容量は2.
2meq/g乾燥樹脂であった。
【0047】共重合体Bを、N,N−ジメチルホルムア
ミドに溶解し、1規定のトリメチルアミンのN,N−ジ
メチルホルムアミド溶液を、イオン交換容量が1.2m
eq/g乾燥樹脂になるように添加し、モノアミンでア
ミノ化したアミノ化溶液Cを得た。アミノ化溶液Cをポ
リエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、50℃
で2時間乾燥し、膜厚10μmのキャスト膜Dを得た。
【0048】一方、孔径1μm、多孔度80%、膜厚1
40μmのポリテトラフルオロエチレン製多孔質膜にエ
タノールを含浸後、水に浸漬し、さらに0.5重量%の
ポリビニルアルコール水溶液に浸漬し、60℃×30分
乾燥した。さらにグルタルアルデヒドで架橋処理し、親
水化架橋多孔質膜Eを得た。
【0049】先のアミノ化溶液CをN,N−ジメチルホ
ルムアミド/2−メトキシエタノールの混合溶媒(重量
比で97:3)にて5重量%に希釈して得た接着液F
を、キャスト膜Dの上に液膜厚20μmで塗布し、素早
く親水化架橋多孔質膜Eを積層した後、50℃×2時間
乾燥して積層膜Gを得た。積層膜Gは、さらに5規定の
N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ
プロパンのエタノール溶液に50℃×16時間浸漬し、
ポリアミン架橋複合膜Hを得た。
【0050】この複合膜Hを用い、実施例1と同様にし
て拡散透析による酸回収を行った。複合膜Hの硫酸の酸
透過速度は13mol・m-2・h-1・(mol/リット
ル)-1である。運転条件は下記のとおりである。
【0051】 圧力差 5.5 kg/cm2 、 透過膜面積 0.1 m2 、 原液組成 H2 SO4 289 g/リットル、 Fe 25 g/リットル、 原液供給量 52 ml/h、 回収側組成 H2 SO4 251 g/リットル、 Fe 1.5 g/リットル。
【0052】酸回収側には、上記酸回収側組成となるよ
うに水を供給した。水移動量は5mol・m-2・h-1
酸回収率は92.0%であった。
【0053】比較例2 実施例2と同じポリアミン架橋複合膜Hを隔膜として、
原液供給側と酸回収側との圧力差を0kg/cm2 とし
て拡散透析による酸回収を行った。水移動量は60mo
l・m-2・h-1、酸回収率は、75.0%であり、実施
例2と比較して酸回収率が低下した。
【0054】実施例3 実施例2と同じポリアミン架橋複合膜Hを、ポリエステ
ル製の透水性支持材およびポリプロピレン製のスペーサ
ーメッシュとともにのり巻き状に巻き、巻き中心にポリ
塩化ビニル製の集水管を配し、さらにポリ塩化ビニル製
の円筒管内に格納してスパイラルモジュールを作成し
た。このモジュールにおいて、複合膜H間のスペーサー
メッシュによって形成された隙間に原液が供給される。
複合膜Hを透過した酸水溶液は、複合膜H間の透水性膜
支持材によって形成された隙間を通って徐々に巻き中心
に移動していき、最終的には中心の集水管に集められ、
スパイラルモジュール外に抜き出されることになる。
【0055】このスパイラルモジュールを用いて、拡散
透析による酸回収を行った。運転条件は下記のとおりで
ある。原液供給用のポンプ吐出圧力を調整することによ
って中空糸膜内部を加圧し、中空糸内部(原液供給側)
と中空糸外部(酸回収側)との圧力差を調整した。
【0056】 圧力差 6.0 kg/cm2 、 透過膜面積 0.05 m2 、 原液組成 H2 SO4 289 g/リットル、 Fe 25 g/リットル、 原液供給量 35 ml/h、 回収側組成 H2 SO4 251 g/リットル、 Fe 1.5 g/リットル。
【0057】酸回収側(スパイラルチューブの透水性膜
支持材側)には、上記酸回収側組成となるようにに水を
供給した。水移動量は4mol・m-2・h-1、酸回収率
は94.0%であった。
【0058】比較例3 実施例4のスパイラルモジュールを用い、原液供給側と
酸回収側との圧力差を0.05kg/cm2 に調整し
て、同様に拡散透析による酸回収を行った。その結果、
水移動量は58mol・m-2・h-1、酸回収率は76.
0%であった。圧力差が0.1kg/cm2 未満である
と加圧の効果がほとんど発現しなかった。
【0059】実施例4 空孔率80%、膜厚100μm、内径300μmのポリ
エチレン製多孔質中空糸膜を、実施例2で用いたアミノ
化溶液C中に浸漬後引き上げ、50℃で2時間乾燥する
ことにより陰イオン交換性の中空糸膜を得た。この中空
糸膜を用いて、図1に示す陰イオン交換性中空糸モジュ
ールを作製した。このモジュールは、有効膜面積1.2
2 、モジュール内径8cm、中空糸有効長15cmで
あった。
【0060】この中空糸膜モジュールを用いて、拡散透
析による酸回収を行った。図1において、中空糸膜1は
ポッティング材6によってハウジング7内に固定され
る。原液は原液供給口2から中空糸膜1内部に供給さ
れ、回収酸水溶液が中空糸膜を透過してその外側に集め
られ、回収液出口5よりモジュールの外に出される。希
釈用水供給口1からは水が中空糸の外側に供給され回収
酸濃度を一定に保つことができる。酸が回収された原液
は原液出口3から排出される。運転条件は下記のとおり
である。原液供給用のポンプ吐出圧力を調整することに
よって中空糸内部を加圧し、中空糸内部(原液供給側)
と中空糸外部(酸回収側)との圧力差を調整した。
【0061】 圧力差 6.5 kg/cm2 、 透過膜面積 1.2 m2 、 原液組成 H2 SO4 289 g/リットル、 Fe 25 g/リットル、 原液供給量 120 ml/h、 回収側組成 H2 SO4 251 g/リットル、 Fe 1.5 g/リットル。
【0062】酸回収側(中空糸膜の外側)には、上記酸
回収側組成となるようにに水を供給した。水移動量は2
mol・m-2・h-1、酸回収率は95.0%であった。
【0063】比較例4 実施例4の中空糸膜モジュールを用い、原液供給側と酸
回収側との圧力差を0.05kg/cm2 に調整して、
同様に拡散透析による酸回収を行った。その結果、水移
動量は56mol・m-2・h-1、酸回収率は75.5%
であった。圧力差が0.1kg/cm2 未満であると加
圧の効果がほとんど発現しなかった。
【0064】
【発明の効果】拡散透析によって、高純度の酸を回収で
きる。本発明における酸回収率は、従来技術と比較して
飛躍的に向上させることができる。透析後の廃液量が少
なくなるという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で用いた中空糸膜モジュールの断面図
【符号の説明】
1:中空糸膜 2:原液供給口 3:原液出口 4:希釈用水供給口 5:回収酸出口 6:ポッティング材 7:ハウジング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 久敬 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】隔膜の一方の側に酸を含有した原液を供給
    し、隔膜を介した拡散透析によって隔膜の他方の側から
    酸を回収する方法において、原液供給側室を酸回収側室
    よりも0.1kg/cm2 以上の高圧状態に保持する酸
    回収方法。
  2. 【請求項2】隔膜が、陰イオン交換膜である請求項1の
    酸回収方法。
  3. 【請求項3】陰イオン交換膜が、芳香族ポリスルホン系
    陰イオン交換膜である請求項1または2の酸回収方法。
  4. 【請求項4】隔膜の硫酸透過速度が3mol・m-2・h
    -1・(mol/リットル)-1以上である請求項1、2ま
    たは3の酸回収方法。
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