JPH093476A - 金属材料の塑性加工用水系潤滑剤組成物及びその表面処理方法 - Google Patents

金属材料の塑性加工用水系潤滑剤組成物及びその表面処理方法

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JPH093476A
JPH093476A JP17812495A JP17812495A JPH093476A JP H093476 A JPH093476 A JP H093476A JP 17812495 A JP17812495 A JP 17812495A JP 17812495 A JP17812495 A JP 17812495A JP H093476 A JPH093476 A JP H093476A
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政明 藤井
Kazuhiro Arisawa
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Tsutomu Sawada
勉 澤田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 潤滑性に優れた、石灰石けんからなる鉄含有
金属材料の塑性加工用水系潤滑剤組成物及びその表面処
理方法を提供する。 【構成】 石灰石けんを必須成分とする金属材料の塑性
加工用水系潤滑剤組成物において、水分とアルカリ分を
除く石灰石けん固形分の組成が、消石灰60〜80重量
%、カルシウム石けんとアルカリ石けんの総量が20〜
40重量%であり、かつアルカリ石けんとカルシウム石
けんの総量に対するアルカリ石けんの量の比が0.3〜
0.5であることを特徴とする金属材料の塑性加工用水
系潤滑剤組成物及びそれを用いた金属材料の表面処理方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は石灰石けんからなる、鉄
含有金属材料の塑性加工用水系潤滑剤組成物及びその表
面処理方法に関する。特に鉄含有金属材料の表面にりん
酸塩系化成皮膜を形成した後に適用されるのが好まし
い。
【0002】
【従来技術】伸線加工における伸線速度の高速度化はめ
ざましいものがあり、千数百m/分という高速伸線が行
われている。これには伸線設備の進歩もさることなが
ら、潤滑技術の進歩によるところが少なくないとされ、
潤滑剤の果たす役割は非常に大きい。伸線加工の潤滑剤
処理において、石灰石けんは、りん酸塩、硼砂とともに
前処理剤として位置づけられており、比較的炭素含有量
の少ない鋼材の加工における潤滑剤のキャリア(材料表
面に適当な凸凹を付与することによって潤滑剤を運び込
み、工具と被加工材間の接触を阻止する効果を有する成
分)として、乾式潤滑剤と共に使用されている(Tri
bology Metalworking J.A.S
hey,P385、ASM.(1983)、「鉄鋼伸線
用潤滑剤マニュアル」塑性加工学会伸線技術分科会潤滑
剤小委員会編、P18(1982))。石灰石けんは比
較的安価で、一時的な防錆剤としても有用で、前処理で
行われる酸洗液の中和剤のように使用される。一般に石
灰石けんは引き抜き後の残存皮膜が除去し易く、また、
単独でもある程度の滑性を示すため、軽加工の場合には
乾式潤滑剤を併用せずに使用されている。その歴史は昭
和初期にさかのぼるが、これらの多くの長所を有するた
めに現在でも広く用いられている。
【0003】上記のように「鉄鋼伸線用の潤滑剤マニュ
アル」には石灰石けんがキャリアとして位置付けられて
いるが、難加工材を伸線加工する場合、りん酸塩処理し
た後さらに石灰石けん処理が行われる。この場合、石灰
石けんはキャリアとしてでなく、滑り性を付与するため
の乾式潤滑剤として使用されている。
【0004】ところが、これほど広範囲に使用されてい
るにもかかわらず、実際には伸線向上の長年の経験に基
づく方法で独自の石灰石けんが作られている。(「鉄鋼
伸線用潤滑剤マニュアル」、p19)。その要因として
目的によって使用する潤滑剤の性能を使い分ける必要が
ある(潤滑、吉田伸弘、30、709(1985))こ
とがあげられるが、石灰石けんに関する普遍的な知見が
いまなおほとんど無いことも、要因と考えられる。過去
の文献等を見ても石灰石けんの明確な定義づけすらされ
ておらず、製法や使用方法が記載されている程度であ
る。
【0005】例えば、日本塑性加工学会伸線技術分科会
編の「鉄鋼伸線用の潤滑剤マニュアル」にはその製法に
関する記述がなされている。これによれば、アルカリ石
けんに対して過剰の生石灰(酸化カルシウム)を加えて
水中で撹拌すると、先ず反応式(1)によって生石灰の
消化(水和)反応により消石灰(水酸化カルシウム)を
生成し、この時発生する熱によって消石灰と石けんが反
応式(2)により複分解反応し、反応式(2)の反応が
可逆的に起きると考えられている。
【0006】
【化1】
【0007】このため製造された石灰石けん中には、生
成した消石灰、カルシウム石けん及びアルカリ、カルシ
ウム石けんとならなかった未反応のアルカリ石けんと水
が含まれている。このうち、主成分である消石灰とカル
シウム石けんは、潤滑剤組成物において加工材に吸着
し、潤滑剤を保持する(キャリア効果)を担っている。
これとともにカルシウム石けんは、伸線時の摩擦係数を
低下させる役割(滑り効果)を持ち、消石灰は加工時の
金属間接触を防止する役割も有している。
【0008】石灰石けんは使用目的によって異なるが、
「鉄鋼伸線用潤滑剤マニュアル」には標準的な方法とし
て、生石灰100重量部に対して5〜10重量部の脂肪
酸のアルカリ石けん、400部程度の水を加え、複分解
反応が終了したらさらに2〜3倍量の水を加えて放置す
る方法が記されている。使用される原料は脂肪酸のアル
カリ石けん、生石灰、水が使われる。脂肪酸のアルカリ
石けんにはナトリウム、カリウムなどのアルカリ塩が用
いられているが、一般には針状の牛脂肪酸のアルカリ石
けんが多く用いられている。生石灰は「鉄鋼伸線用潤滑
剤マニュアル」にも記されているように、JIS−R9
001記載の生石灰特号が使用されている。
【0009】一般的な潤滑剤処理方法としては線材を塩
酸や硫酸などを用いて酸洗し、化学的に脱スケール処理
した後、水洗し、亜鉛イオン、カルシウムイオン、鉄イ
オン等の二価の金属イオンとりん酸イオン、硝酸イオ
ン、亜硝酸イオン、塩素酸イオン等の酸化剤を含み、p
H2〜3、温度が50〜80℃の処理液に浸漬してりん
酸塩皮膜を形成させる。水洗後、温度50〜60℃、濃
度5〜30重量%の石灰石けんに線材を浸漬処理し、乾
燥して石灰石けん皮膜を形成させる。この際、石灰石け
んははりん酸塩皮膜上に潤滑皮膜を形成するとともに、
りん酸塩処理により酸性化した線材表面を中和して防錆
性を高める作用を有している。これらの処理はバッチ方
法で浸漬処理される。
【0010】潤滑皮膜処理された線材は所定の線径に伸
線されるが、この際、潤滑皮膜に要求される性能は伸線
加工での潤滑性能である。伸線加工用の潤滑剤の実加工
における最終的な潤滑性能は、ダイス寿命で判断されて
いる(「鉄鋼伸線用の潤滑剤マニュアル」、p62)。
具体的には、伸線加工された線材の径を随時測定し、線
径が所定の寸法を超えるまでの加工量で評価されてい
る。
【0011】伸線加工された線材は適当な寸法に切断さ
れ、圧造加工と呼ばれる比較的軽度な鍛造加工法により
二次加工され、ベアリングやボルトの形状に加工され
る。圧造加工では水系エマルションタイプの潤滑油を併
用し、補助的な潤滑性を与えるとともに工具の冷却を行
う。
【0012】しかしながら、上述の従来技術には次のよ
うな問題点があった。潤滑性が不充分のためダイス寿命
が短く、高価なダイスを頻繁に交換しなければならな
い。ダイスの交換の際は伸線加工を中断せざるを得ない
ため生産効率が低下し、大きな損失につながる。この現
象は伸線加工時にダイスと線材表面とが直接接触するこ
とによりダイスが摩耗し、ダイスの内径が大きくなって
しまうことに起因する。
【0013】これを補うために石灰石けんの濃度を上げ
たり、浸漬処理の回数を増やすなどの方法が行われてい
る。しかし、いずれの方法も石灰石けんの付着量がかな
り多くなるためコスト的に不利であり、また付着量が増
えることによって処理後の乾燥性が悪くなり、潤滑性に
悪影響を与える。さらに、付着量を増加させて潤滑性を
補うことは、伸線後の圧造加工で好ましくない要因とな
る。すなわち、圧造加工において過剰な潤滑皮膜が剥離
し、これが工具表面に付着して所定の寸法の加工が行わ
れず不良品となることがある。
【0014】また、石灰石けん以外の潤滑剤として反応
型石けん皮膜があり、りん酸塩皮膜と組み合わせて用い
られている。これも石灰石けんと同様に伸線加工に供さ
れるが(「鉄鋼伸線用の潤滑剤マニュアル」、p2
6)、これを用いて圧造加工を連続して行う場合、加工
に伴って潤滑皮膜の一部が脱落し、その結果、脱落物が
塊となって圧造加工の工具に付着し、加工後に所定の寸
法精度が得られないことになる。
【0015】従って現状では、鉄含有金属材料の塑性加
工用水系潤滑剤で上記全ての要求性能を満たすものは未
だに見い出されていないのである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術の問題点を改善し、石灰石けんの潤滑性能を向上さ
せ、特に金属材料表面をりん酸塩皮膜化成処理した後に
適用する場合に優れた潤滑性を有する潤滑剤組成物の供
給及び表面処理方法を提供することを目的とすることで
ある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
の解決手段について鋭意検討した結果、石灰石けんの主
要成分である消石灰の量、アルカリ石けんとカルシウム
石けんの総量に対するアルカリ石けん量の比を特定する
ことにより上記の問題点が解決されることを新たに見い
出し、本発明を完成するに至った。
【0018】すなわち、本発明は石灰石けんを必須成分
とする金属材料の塑性加工用水系潤滑剤組成物におい
て、水分とアルカリ分を除く石灰石けん固形分の組成
が、消石灰60〜80重量%、カルシウム石けんとアル
カリ石けんの総量が20〜40重量%であり、かつアル
カリ石けんとカルシウム石けんの総量に対するアルカリ
石けんの量の比が0.3〜0.5であることを特徴とす
る金属材料の塑性加工用水系潤滑剤組成物を提供するも
のである。
【0019】さらに、本発明は、りん酸塩系化成処理さ
れた金属材料の表面を、石灰石けんを必須成分とし、水
分とアルカリ分を除く石灰石けん固形分の組成が、消石
灰60〜80重量%、カルシウム石けんとアルカリ石け
んの総量が20〜40重量%であり、かつアルカリ石け
んとカルシウム石けんの総量に対するアルカリ石けんの
量の比が0.3〜0.5である金属材料の塑性加工用水
系潤滑剤組成物に接触させ、次いで加熱乾燥させること
を特徴とする金属材料の塑性加工用水系潤滑剤組成物の
表面処理方法を提供する。
【0020】以下、本発明の構成を詳述する。本発明の
対象となる金属材料は、鉄、ステンレス鋼、クロム鋼、
モリブデン鋼、チタン鋼である。本発明の金属材料の塑
性加工用水系潤滑剤組成物は石灰石けんを必須成分とし
ている。本発明の組成物の必須成分である石灰石けん
は、消石灰、カルシウム石けん、アルカリ、アルカリ石
けんおよび水の混合物であり、消石灰およびカルシウム
石けん及びアルカリ石けんを主成分とする。
【0021】本発明において重要な点は、水分とアルカ
リ分を除く石灰石けん固形分の組成として、消石灰が6
0〜80重量%で、カルシウム石けんとアルカリ石けん
の合計量が20〜40重量%であり、かつアルカリ石け
んとカルシウム石けんの総量に対するアルカリ石けんの
量の比が0.3〜0.5であることである。
【0022】カルシウム石けんとアルカリ石けんの総量
が20%未満では滑り性が低下し、伸線時に傷が発生し
たり、ダイス寿命が短くなったりする。逆にカルシウム
石けんとアルカリ石けんの総量が40%を超えると潤滑
皮膜の乾燥性が低下し、吸湿しやすくなるためにこの場
合も目的とする潤滑性が得られない。
【0023】また、カルシウム石けんとアルカリ石けん
の総量を多くすると、製造時に粘度が上昇し、充分な撹
拌がされ難くなる。その結果、本発明が目的の一つとす
る安定した品質の潤滑剤組成物を供給し得なくなるた
め、石けんの総量をむやみに増加させることは好ましく
ない。製造時の水量を多くすることによって粘度の上昇
は緩和されるが、製造に用いる水の温度をあらかじめあ
げておく必要が生じたり、製造された潤滑剤組成物の固
形分が低くなるために輸送コストが無駄になるなどの不
都合がともなう。
【0024】アルカリ石けんとカルシウム石けんの総量
に対するアルカリ石けん量の比が0.3未満の場合は潤
滑性が不足するために伸線時に傷が発生し易くなり、ダ
イス寿命が極端に短くなる。また、アルカリ石けんとカ
ルシウム石けんの総量に対するアルカリ石けん量の比が
0.5を超えた石灰石けんを製造することは次の理由か
ら極めて困難である。すなわち、該比が0.5を超える
という状態は、消石灰とは反応していないアルカリ石け
んが極めて多量に存在する状態である。このような未反
応のアルカリ石けんが多量に存在する石灰石けんは、極
めて不安定であり、消石灰とアルカリ石けんとの反応が
起き易い状態にある。従って、たとえ一時的に該比が
0.5を超える石灰石けんを製造したとしても、徐々に
消石灰とアルカリ石けんの反応が生じて、該比が0.5
以下となる可能性が大である。このような理由からアル
カリ石けんとカルシウム石けんの総量に対するアルカリ
石けん量の比の上限を0.5以下としたものである。こ
のように、アルカリ石けんとカルシウムの総量に対する
アルカリ石けん量の比が0.3〜0.5である場合、す
なわち、アルカリ石けんが大部分が反応して極めて少量
の状態よりも、むしろ未反応のアルカリ石けんがある程
度残存している状態の方が、本発明の目的とする潤滑性
は良好であり、さらに該比が0.3〜0.5において伸
線加工において目標とする充分な潤滑性が得られ、圧造
加工における寸法精度への悪影響は全くない。
【0025】次に本発明の潤滑油組成物の製造方法につ
いて説明する。実施にあたっては従来と同様の製造方法
で良いが、生石灰の重量に対して25〜60重量%の脂
肪酸のアルカリ石けんと生石灰を水に投入して製造す
る。このとき製造時の反応温度は使用する脂肪酸のアル
カリ石けんの溶解温度以上にすることが必要である。す
なわち、生石灰の消化による水温の上昇によってアルカ
リ石けんが溶解し、反応式(2)の反応が進むが、脂肪
酸のアルカリ石けんは、その炭素数が多いものほど水へ
の溶解温度が高くなる傾向がある。従って、反応時の温
度を使用する脂肪酸のアルカリ石けんの溶解温度以上に
するために、生石灰と水の比率を考慮したり、加熱装置
により予め水温を上げておくなどしなければならない。
石けんが水中で溶解する温度に達すれば複分解反応が進
行し、カルシウム石けんが生成し、石灰石けんが製造さ
れる。
【0026】本発明の潤滑剤組成物に用いられる生石灰
は「鉄鋼伸線用潤滑剤マニュアル」の記載と同様に生石
灰特号(JIS−R9001)を用いることが好まし
く、また、脂肪酸のアルカリ石けんは炭素数12〜24
の脂肪酸で構成されるナトリウム、カリウム、アンモニ
ウム塩あるいはそれらの組み合わせが好ましい。ここで
用いられる脂肪酸は飽和、不飽和脂肪酸あるいはこれら
の2量体、3量体でも良く、その組成は特定されるもの
ではない。例えば、飽和脂肪酸ではラウリン酸、ミリス
チン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、グリ
ノセリン酸、セロチン酸、などが挙げられ、不飽和脂肪
酸ではパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リ
ノレン酸が挙げられる。
【0027】なお、本発明の潤滑剤組成物には必要に応
じて防錆添加剤を加えても良い。これらの添加によって
皮膜形成後の防錆性が向上する。一般に金属材料表面に
発生する錆層は摩擦係数は高く、また、潤滑皮膜の密着
性を低下させるので線材表面の錆の発生を極力抑える必
要がある。ここで用いられる防錆添加剤としては、タン
グステン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリ
ブデン酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、硼砂等の無
機塩、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の
アミン塩が有効である。これらの添加剤は使用する石灰
石けん液の0.1〜2.0重量%の範囲で添加すると良
く、特に防錆性が必要とされる場合にはさらに添加量を
増やしても良い。
【0028】線材の石灰石けん皮膜処理にあたっては線
材を酸洗により化学的に脱スケールした後、本発明の製
法によって得られた石灰石けんを水に分散させ所定の濃
度にし、浸漬処理して石灰石けんの皮膜を形成させるこ
とが好ましい。また、伸線加工に供する前には線材を充
分乾燥させることが必要である。
【0029】本発明の潤滑剤組成物をりん酸塩処理と組
み合わせて使用する場合は、金属材料表面をりん酸塩処
理した後に充分水洗してから石灰石けん処理する。りん
酸塩処理としてはりん酸鉄系、りん酸亜鉛系、りん酸亜
鉛カルシウム系などが適用でき、その種類を特定するも
のではない。また、形成されるりん酸塩皮膜の皮膜重量
についても特に限定しないが、通常では5〜8g/
2、高加工の場合は10g/m2以上で処理するのが好
ましい。
【0030】本発明の石灰石けんは従来のものより高い
潤滑性を有し、これを適用することでよりダイス寿命が
伸びて線材の生産性が向上する。
【0031】
【実施例】次に本発明の詳細について実施例、比較例を
あげて具体的に説明する。実施例、比較例に使用した石
けんの構成脂肪酸、生石灰の投入量を第1表に示す。用
いた潤滑剤組成物の潤滑性評価試験方法、および水分を
除く固形分中の組成の測定方法は以下の通りである。な
お、固形分は105℃にて恒量となるまで乾燥させた時
の残査の重量を測定して行った。潤滑性の評価をパイプ
の引き抜き(外面のみによる空引き)による傷の発生
率、伸線加工でのダイス寿命で評価した。それぞれの評
価方法は以下の通り。
【0032】〔傷の発生率〕外径25.4mm、肉厚
3.0mmt、長さ2000mmの機械構造用炭素鋼管
(STKM13A(S)JIS−G3455)焼鈍材を
外径が20mmとなるように外面のみを引き抜き加工
し、引き抜き後に発生する傷を目視判定によりパイプの
全円周に対する発生率で評価した。例えば、0%は全く
傷の発生が認められなかったことを示し、100%は全
面に傷が発生したことを示す。なお、パイプの引き抜き
はチェーン式ドローベンチを用い、速度17.8m/分
にて引き抜きを行った。
【0033】潤滑皮膜処理は室温、17.5%の塩酸に
10分間浸漬して脱スケール処理し、水洗した後、コロ
イダルチタン系表面調整剤プレパレンZ、常温3%液に
一分間浸漬した。その後、80℃、10%のりん酸亜鉛
系処理液(日本パーカライジング(株)製パルボンド4
21WD)に浸漬してりん酸塩皮膜を生成させた。充分
に水洗を行った後、60℃、固形分5%に調整した実施
例ならびに比較例の石灰石けんに3分間浸漬し、110
℃の加熱炉内で1時間乾燥した。
【0034】処理した材料を80℃、5%のクロム酸水
溶液に浸漬し剥離液中の亜鉛、鉄ならびにカルシウム量
からりん酸塩皮膜と石灰石けん皮膜量を算出した結果、
りん酸塩皮膜量は4.2g/m2で、石灰石けん皮膜量
はいずれの場合も約5g/m2であった。
【0035】〔ダイス寿命〕直径5mmの高炭素クロム
軸受鋼鋼材(SUJ2 JIS−G4805)を直径
4.7mmに伸線加工し、随時マイクロメーターで線径
を測定した。線径が0.005mm変化したときの加工
量で評価し、加工量が多いほど良好であることを示す。
潤滑皮膜処理は室温、17.5%の塩酸に7分間浸漬
し、水洗する工程を4回繰り返して脱スケール処理した
後、80℃、濃度10%のりん酸亜鉛カルシウム系のり
ん酸塩皮膜処理液(日本パーカライジング(株)製 商
標:パルボンドー3670X)に浸漬してりん酸塩皮膜
を生成させ、充分に水洗を行った後、60℃、固形分を
5%に調整した実施例、比較例の石灰石けん処理液に3
分間浸漬し、130℃の加熱炉内で乾燥して皮膜を潤滑
皮膜に形成させた。この時りん酸塩皮膜は皮膜重量が約
10g/m2で、石灰石けん皮膜量はいずれの場合も約
3g/m2であった。伸線は単頭式伸線機を用いて伸線
速度は150m/分で行った。
【0036】〔石灰石けんの組成算出方法〕製造された
石灰石けんに同量程度のエタノール水(50容量%)を
加え、50℃で約30分間撹拌を行う。アルカリ石けん
をエタノールに溶解させ、濾紙を用いてエタノール水可
溶成分とエタノール水不溶成分に分離する。このとき濾
過される成分はアルカリとアルカリ石けんであり、濾過
されない成分はカルシウム石けんと消石灰である。これ
らの分離物に塩酸を適量添加して酸分解することにより
脂肪酸を得、これをジエチルエーテルで溶解させ、重量
測定によってエタノール水可溶成分とエタノール水不溶
成分に含まれている脂肪酸をそれぞれ定量した。続い
て、エタノール水不溶成分中のカルシウム分、可溶成分
中のナトリウムを原子吸光法を用いて定量した。また、
第1表の脂肪酸組成の平均分子量とエタノール不溶成分
中の脂肪酸量からカルシウム石けん分を算出し、エタノ
ール不溶成分中の脂肪酸量からナトリウム石けん分を算
出した。原子吸光で得られたカルシウムからカルシウム
石けんを生成しているカルシウム分を差し引き、消石灰
分を算出した。同様の方法にてアルカリ分を算出した。
【0037】なお、構成脂肪酸の次の略号で示される。 C12 :ラウリン酸(飽和脂肪酸) C14 :ミリスチン酸(飽和脂肪酸) C16 :パルミチン酸(飽和脂肪酸) C18 :ステアリン酸(飽和脂肪酸) C16F1 :パルミトレイン酸(不飽和脂肪酸) C18F1 :オレイン酸(不飽和脂肪酸) C18F2 :リノール酸(不飽和脂肪酸) C18F3 :リノレン酸(不飽和脂肪酸)
【0038】実施例1 反応槽に15℃の水を300重量部入れ、撹拌機で強撹
拌しながら第1表に示す組成のナトリウム石けん40重
量部を投入し、生石灰(JIS−R9001、特号、以
下同様)150重量部を徐々に加えて、潤滑剤組成物を
製造した。得られた石灰石けんについて潤滑性を評価し
た。
【0039】以下、実施例2〜6、比較例1〜5につい
ては表1に示す組成の物を用いて実施例1と同様の方法
で潤滑剤組成物を作製し、実施例1と同様の評価試験を
行った。ただし、パイプの引き抜きによる評価で明らか
に潤滑性が劣っていた比較例2、3については伸線試験
を実施しなかった。また、実施例1と同様のアルカリ石
けんを用いて石けんを150部、生石灰を150部とし
て組成物の製造を試みたが著しく増粘し、製造は不可能
であった。製造した潤滑剤組成物中の水を含まない石灰
石けんの組成、ならびにアルカリ石けんとカルシウム石
けんの総量に対するアルカリ石けん量の測定結果、皮膜
量の測定結果、潤滑性試験結果を第2表に示した。
【0040】第2表に示された各評価結果から次のこと
が言える。 〔組 成〕製造された潤滑剤組成物の固形分は40〜5
0%であった。 実施例1〜6の潤滑剤組成物は消石灰分が62.0〜
78.0重量%で、アルカリ石けんとカルシウム石けん
の総量に対するアルカリ石けん量が0.30〜0.48
であった。 一方、比較例1の潤滑剤組成物はアルカリ石けんとカ
ルシウム石けんの総量に対するアルカリ石けん量が0.
32であったが、消石灰分が85.6重量%で適切な範
囲を超えていた。 また、比較例2〜4は消石灰分が70.2〜71.1
重量%であったが、アルカリ石けんとカルシウム石けん
の総量に対するアルカリ石けん量が0.02〜0.23
で適切な範囲を超えていた。
【0041】〔傷の発生率〕 実施例1〜6の潤滑剤組成物は、傷の発生率が何れも
20%以下であった。また、消石灰分が少ないほど傷の
発生率は減少した。 一方、比較例1〜4の潤滑剤組成物は、傷の発生率が
何れも70%以上であり、明らかに潤滑性が劣ってい
た。
【0042】〔ダイス寿命〕 実施例1〜6の潤滑剤組成物は、4トン以上の伸線が
可能であった。実施例1〜3、実施例4及び5は消石灰
分が少なくないほど傷の発生率が低下していることに対
応してダイス寿命も長くなった。 傷発生率が高かった比較例1はダイス寿命が1トンに
とどまった。また、本発明の潤滑剤組成物を使用して伸
線された線材を6カ月間圧造加工に供したが、加工品の
品質は常に一定で寸法精度に悪影響を及ぼすことはなか
った。
【0043】
【発明の効果】本発明の石灰石けんを必須成分とする金
属材料の塑性加工用水系潤滑剤組成物を用いることによ
り潤滑性が向上し、伸線加工の生産性を向上させること
が可能となった。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 40:24 80:00 (72)発明者 有澤 一洋 滋賀県坂田郡山東町大字長岡1780番地 近 江鉱業株式会社内 (72)発明者 澤田 勉 滋賀県坂田郡山東町大字長岡1780番地 近 江鉱業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石灰石けんを必須成分とする金属材料の
    塑性加工用水系潤滑剤組成物において、水分とアルカリ
    分を除く石灰石けん固形分の組成が、消石灰60〜80
    重量%、カルシウム石けんとアルカリ石けんの総量が2
    0〜40重量%であり、かつアルカリ石けんとカルシウ
    ム石けんの総量に対するアルカリ石けんの量の比が0.
    3〜0.5であることを特徴とする金属材料の塑性加工
    用水系潤滑剤組成物。
  2. 【請求項2】 りん酸塩系化成処理された金属材料の表
    面を、石灰石けんを必須成分とし、水分とアルカリ分を
    除く石灰石けん固形分の組成が、消石灰60〜80重量
    %、カルシウム石けんとアルカリ石けんの総量が20〜
    40重量%であり、かつアルカリ石けんとカルシウム石
    けんの総量に対するアルカリ石けんの量の比が0.3〜
    0.5である金属材料の塑性加工用水系潤滑剤組成物に
    接触させ、次いで加熱乾燥させることを特徴とする金属
    材料の塑性加工用水系潤滑剤組成物の表面処理方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009191334A (ja) * 2008-02-15 2009-08-27 Kobe Steel Ltd 塑性加工用鋼材およびその製造方法、並びに塑性加工製品
JP2010018829A (ja) * 2008-07-09 2010-01-28 Sumitomo Metal Ind Ltd 潤滑処理鋼板および潤滑皮膜形成用処理液
JP2010024546A (ja) * 2008-06-20 2010-02-04 Kobe Steel Ltd 塑性加工用鋼材およびその製造方法、並びに塑性加工製品
JP2021007955A (ja) * 2019-06-28 2021-01-28 日本パーカライジング株式会社 冷間引抜加工用加湿装置及び加工システム

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