JPH09328766A - 法面の保護工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブロックが法面に露出せず、しかもブロック
に客土して植生された草花が法面を飾り、自然の景観の
ままに法面の保護工を行うことができる法面の保護工法
を提供すること。 【解決手段】 法面上に基礎コンクリートを打設し、こ
の基礎コンクリート上に前記法面保護用ブロック１１
を、同保護用ブロック１１の底面板１２側の傾斜片１４
ｂが当接するように載置する工程と、前記保護用ブロッ
ク１１の背面板１３側の傾斜片１４ａ上に別の保護用ブ
ロック１１の底面板１２側の傾斜片１４ｂを当接させ
て、前記下側の保護用ブロック１１の傾斜片１４ａ、１
４ｂ端面と上側の保護用ブロック１１の傾斜片１４ａ、
１４ｂ端面とが平面状となるように配置する作業を、法
面の高さ方向及び幅方向に渡って繰り返して法面を被覆
する工程と、保護用ブロック１１に形成されたポケット
に客土して、前記保護用ブロック１１の傾斜片１４ａ、
１４ｂ端面と客土層１７の表面とが平面状となるように
客土層１７を設ける工程とを含むことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ブロックそのものに客
土層を入れるポケットが形成されている法面保護用ブロ
ックを使用した法面の保護工法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、法面の保護工法としては、正方
形、長方形、三角形などの平板で、表面が凹状または凸
状としたコンクリートブロックを用い、これにより法面
全体を被覆し岩盤の風化崩落を防止するという所謂ブロ
ック張り工があった。

【０００３】ところが、ブロック張り工は法面全体をコ
ンクリートブロックで覆ってしまうため、人工的で景観
上問題になることが多く、ブロックを法面全体に張ら
ず、裸地面を作り客土して植生工を施工する余地を作っ
たり、客土層を入れるポケットを形成したブロックを使
用するなどの工夫がなされていた。

【０００４】中でもブロックそのものに客土層を入れる
ポケットを形成したものは、ブロックを法面全体に張ら
ず、植生工を施工する余地を作る方法に比べて施工が容
易であることから、多くの施工実績がある。

【０００５】その一例を挙げる。図６に示した法面保護
用ブロックは、断面四角状のブロック本体１前面にポケ
ット部２を設けたものであり、これを上下左右に積み上
げて法面を覆って保護工を施したとき、ブロック本体１
前面のポケット部２が階段状に法面に露出し、ポケット
部２に客土して植生された草花３が法面を飾り自然感を
もたらすというものであった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、この法面保
護用ブロックを用いた法面の保護工法にあっては、ブロ
ック本体が断面四角状をなし、かつブロック前面にポケ
ット部が設けられているので、ブロック前面のポケット
部を含むブロック前面の大部分が露出した状態にあり、
人工的という感をいなめないところがあった。

【０００７】本発明は、このような事情に鑑みなされた
ものであり、ブロックが法面に露出せず、しかもブロッ
クに客土して植生された草花が法面を飾り、自然の景観
のままに法面の保護工を行うことができる法面の保護工
法を提供することを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１記載の発明は、底面板と、底面板上に断面
略Ｌ字状となるように直立して設けられた背面板と、前
記底面板及び背面板の各端縁より内方に傾斜して延設さ
れた傾斜片と、前記底面板、背面板及び傾斜片の各側端
縁によって形成される形状に設けられた側面板とを有
し、前記背面板、底面板、傾斜片及び側面板によってブ
ロック本体前面に客土層を入れるポケットが形成されて
いる法面保護用ブロックを用いた法面の保護工法であ
り、前記法面上に基礎コンクリートを打設し、この基礎
コンクリート上に前記法面保護用ブロックを、同保護用
ブロックの底面板側の傾斜片が当接するように載置する
工程と、前記保護用ブロックの背面板側の傾斜片上に別
の保護用ブロックの底面板側の傾斜片を当接させて、前
記下側の保護用ブロックの傾斜片端面と上側の保護用ブ
ロックの傾斜片端面とが平面状となるように配置する作
業を繰り返して、法面の高さ方向及び幅方向に渡って法
面を被覆する工程と、保護用ブロックに形成されたポケ
ットに客土して、前記保護用ブロックの傾斜片端面と客
土層の表面とが平面状となるように客土層を設ける工程
とを含むことを特徴とする法面の保護工法をその要旨と
した。

【０００９】請求項２記載の発明は、法面保護用ブロッ
クの側面板及び傾斜片に連結用凹凸部が設けられている
ことを特徴とする法面の保護工法をその要旨とした。

【００１０】請求項３記載の発明は、法面保護用ブロッ
クの側面板に窓が形成されていることを特徴とする法面
の保護工法をその要旨とした。

【００１１】請求項４記載の発明は、法面保護用ブロッ
クの背面板背後に支持足が延設されていることを特徴と
する法面の保護工法をその要旨とした。

【００１２】

【作用】請求項１記載の法面の保護工法に従って、法面
保護用ブロック（以下単にブロックという）１１を法面
を覆うように上下左右に複数配置すると共に、各ブロッ
ク１１のポケット１６内へ客土して客土層１７を設けた
とき、当該ブロック１１自体は露出せず、各ブロック１
１の傾斜片１４ａ、１４ｂの端面及び各ブロック１１の
客土層１７のみが平面状に縦横に並んだ状態となる。

【００１３】このため、各ブロック１１の客土層１７に
植生工を施すことで、各ブロック１１の傾斜片１４ａ、
１４ｂの端面は生い茂る草花１８で覆われるようにな
り、法面は、植生された草花１８によって飾られ、自然
の景観のままの法面が造り出されるようになる。

【００１４】また請求項２記載の法面の保護工法にあっ
ては、ブロックの傾斜片１４ａ、１４ｂ及び側面板１５
に設けた連結用凹凸部２１、２２が複数配置した各ブロ
ック１１相互を上下左右で連結し、より頑強な法面の保
護壁が構築されるようになる。

【００１５】また請求項３記載の法面の保護工法にあっ
ては、ブロック１１のポケット１６に客土して植生され
た草花１８の根が側面板１５に形成された窓１９を通し
て左右に隣接する別のブロック１１の客土層１７内に入
り込むようになる。

【００１６】また請求項４記載の法面の保護工法にあっ
ては、ブロック１１の背面板１３背後に土砂を入れると
きに、背面板１３背後に延設された支持足２３と背面板
１３とが土留め壁として作用するようになっている。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の法面の保護工法を図面に示し
た一実施例に従って詳細に説明する。まず、本発明の法
面の保護工法で使用するブロックについて説明する。こ
のブロック１１は、図１及び図２に示すように、底面板
１２と背面板１３と傾斜片１４ａ、１４ｂと側面板１５
とを有し、前記各部が一体に成形されたコンクリート製
ブロックである。

【００１８】底面板１２は四角状をなし、その上面には
同じく四角状の背面板１３が直立して設けられており、
底面板１２と背面板１３とは断面が略Ｌ字状となってお
り、これら底面板１２及び背面板１３の各端縁には各々
内方に傾斜して傾斜片１４ａ、１４ｂが延設されてい
る。

【００１９】各傾斜片１４ａ、１４ｂは底面板１２及び
背面板１３の各端縁に沿って設けられるのであるが、傾
斜片１４ａ、すなわち背面板１３上端縁に延設される片
は、必ずしも背面板１３の上端縁全部に設けられている
必要はなく、部分的に設けられていてもよい。一方傾斜
片１４ｂは、底面板１２とともにポケット１６の底部を
構成して客土層１７を受け入れるようになっているの
で、底面板１２の前端縁全部に渡って設けられているの
が望ましい。

【００２０】これら傾斜片１４ａ、１４ｂには連結用凹
凸部２１を設けられており、これにより上下に積み重ね
たブロック１１相互が連結され、より頑強な法面の保護
壁構造となっている。これら傾斜片１４ａ、１４ｂの大
きさ及びその傾斜角度としては任意であるが、前述した
如く傾斜片１４ｂが客土層１７を入れるポケット１６の
底部を構成することになり、上下に隣接するブロック１
１の連結面を構成することになるので、客土層１７を入
れ易いよう、また上下に隣接するブロック１１の傾斜片
１４ａ、１４ｂが当接したとき安定するよう、その大き
さ及び角度を決定するのがよい。本実施例では各傾斜片
１４ａ、１４ｂが内容に向かって前記底面板１２及び背
面板１３の各端縁から約４５度の角度をなすように延設
されている。

【００２１】前記底面板１２、背面板１３及び傾斜片１
４ａ、１４ｂの両側端縁には、底面板１２、背面板１３
及び傾斜片１４ａ、１４ｂの各側端縁によって形成され
る形状に側面板１５が設けられている。本実施例では、
各側面板１５が略三角形状に設けられている。この側面
板１５には連結用凹凸部２２、２２が設けられており、
左右に隣接する各ブロック１１相互を連結し、より頑強
な法面の保護壁が構築できるようになっている。また、
側面板１５には窓１９が形成されており、当該ブロック
１１のポケット１６に客土して植生された草花１８の根
が、この窓１９を通して左右に隣接する別のブロック１
１の客土層１７内に入り込むようになり、植物１８の生
育範囲が各ブロック１１の客土層１７ごとに隔離され
ず、植物の育成上からもきわめて良好なものとなる。

【００２２】前記底面板１２、背面板１３、傾斜片１４
ａ、１４ｂ及び側面板１５によってブロック１１前面に
は客土層１７を入れるポケット１６が形成されている。
客土層１７を入れるポケット１６は傾斜片１４ａ、１４
ｂ及び側面板１５によって構成されているが、その大き
さ、形状は任意である。しかしながら、余りにポケット
１６の開口を小さくすると、植生しにくくなるばかり
か、ポケット１６を構成する傾斜片１４ｂ及び側面板１
５が前面側に露出してしまうことから、注意を要する。
また、ポケット１６が大きければ大きいほど多くの客土
層１７をブロック１１内に形成することができ、ブロッ
ク１１内に植生された植物が根を深くしかも広く下ろす
ことができる点で好ましい。

【００２３】また、図面に示しているように、ブロック
本体１１の背面板１３背後には支持足２３を延設するこ
ともでき、背面板１３背後に土砂を入れるときに、背面
板１３背後に延設された支持足２３と背面板１３とが土
留め壁として作用するようになる。

【００２４】次に、図１、図２、図３、図４及び図５に
従って、上記ブロックを使用した法面の保護工について
説明する。まず、法面下端に法面の長さ方向に渡って基
礎コンクリート２４を打設する。次いで、これら基礎コ
ンクリート２４上に当該ブロック１１を横方向、すなわ
ち法面の長さ方向に渡って載置し、隣接する各ブロック
１１の側面板１５の連結用凹凸部２２、２２を噛み合わ
せて相互に連結させながら、またブロック１１の底面板
１２側の傾斜片１４ｂが基礎コンクリート２４上に当接
するように設置する。

【００２５】次に、ブロック１１の底面板１２、背面板
１３、傾斜片１４ａ、１４ｂ及び側面板１５によって同
ブロック１１前面に形成されたポケット１６内に客土し
て客土層１７を設ける。同時にブロック１１の背面側に
土砂を入れて支持足２３を埋め置く。

【００２６】次いで、前記ブロック１１の背面板１３側
の傾斜片１４ａ上に別のブロック１１の底面板１２側の
傾斜片１４ｂを当接させて、上下の各ブロック１１の傾
斜片１４ａ、１４ｂに設けた連結用凹凸部２１、２１を
噛み合わせて相互に連結させる。

【００２７】上記ブロック１１の配置及び連結、ポケッ
ト１６内への客土といった操作を、ブロック１１背後に
土砂、栗石等を投入し、排水材の設置しながら、法面の
高さ方向及び幅方向に渡って繰り返して行う。これによ
り、当該法面において、法面を覆うブロック１１の傾斜
片１４ａ、１４ｂ端面と客土層１７の表面と隣接するブ
ロック１１の傾斜片１４ｂ、１４ａ端面とは平面状とな
り、ブロック１１自体は露出せず、各ブロック１１の傾
斜片１４ａ、１４ｂの端面及び客土層１７のみが平面状
に縦横に並んだ状態となる。

【００２８】この後、各ブロック１１の客土層１７に植
生工を施すことで、各ブロック１１の傾斜片１４ａ、１
４ｂの端面は生い茂る草花１８で覆われるようになり、
法面は、植生された草花１８によって飾られ、自然の景
観のままの法面が造り出されるようになる。

【００２９】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、例えばブロックの配置及び連結という工程
と、各ブロックのポケット内への客土という工程とを平
行して行ったり、ブロックの底面板に水抜き孔を設ける
など、特許請求の範囲に記載した範囲内で適宜変更する
ことができる。

【００３０】

【発明の効果】請求項１記載の法面の保護工法にあって
は、法面を覆うようにブロックを上下左右に複数配置す
る共に、各ブロックのポケット内へ客土して客土層を設
けたとき、当該ブロック自体は露出せず、各ブロックの
傾斜片の端面及び客土層のみが平面状に縦横に並んだ状
態となるため、各ブロックの客土層に植生工を施すこと
で、各ブロックの傾斜片の端面は生い茂る草花で覆われ
るようになり、法面は、植生された草花によって飾ら
れ、自然の景観のままの法面が造り出されるようにな
る。

【００３１】請求項２記載の法面の保護工法にあって
は、ブロックの傾斜片及び側面板に設けた連結用凹凸部
が複数配置した各ブロック相互を上下左右で連結し、よ
り頑強な法面の保護壁が構築されるようになる。

【００３２】請求項３記載の法面の保護工法にあって
は、ブロックのポケットに客土して植生された草花の根
が側面板に形成された窓を通して左右に隣接する別のブ
ロックの客土層内に入り込むようになり、植物の生育範
囲が各ブロックの客土ごとに隔離されず、植物の育成上
からもきわめて良好なものとなる。。

【００３３】請求項４記載の法面の保護工法にあって
は、ブロックの背面板背後に土砂を入れるときに、背面
板背後に延設された支持足と背面板とが土留め壁として
作用するようになっている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の法面の保護工法に使用するブロックを
示した拡大斜視図。

【図２】本発明の法面の保護工法を実施した例を示した
断面図。

【図３】基礎コンクリート上にブロックを設置した状態
を示す拡大断面図。

【図４】ブロックのポケット内に客土層を設けた状態を
示す拡大断面図。

【図５】ブロック上に別のブロックを設置した状態を示
す拡大断面図。

【図６】従来の法面の保護工法の実施例を示した断面
図。

【符号の説明】

１２・・・底面板 １３・・・背面板 １４ａ、１４ｂ・・・傾斜片 １５・・・側面板 １６・・・ポケット １７・・・客土層

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底面板と、底面板上に断面略Ｌ字状とな
   るように直立して設けられた背面板と、前記底面板及び
   背面板の各端縁より内方に傾斜して延設された傾斜片
   と、前記底面板、背面板及び傾斜片の各側端縁によって
   形成される形状に設けられた側面板とを有し、前記背面
   板、底面板、傾斜片及び側面板によってブロック本体前
   面に客土層を入れるポケットが形成されている法面保護
   用ブロックを用いた法面の保護工法であり、 前記法面上に基礎コンクリートを打設し、この基礎コン
   クリート上に前記法面保護用ブロックを、同保護用ブロ
   ックの底面板側の傾斜片が当接するように載置する工程
   と、前記保護用ブロックの背面板側の傾斜片上に別の保
   護用ブロックの底面板側の傾斜片を当接させて、前記下
   側の保護用ブロックの傾斜片端面と上側の保護用ブロッ
   クの傾斜片端面とが平面状となるように配置する作業を
   繰り返して、法面の高さ方向及び幅方向に渡って法面を
   被覆する工程と、保護用ブロックに形成されたポケット
   に客土して、前記保護用ブロックの傾斜片端面と客土層
   の表面とが平面状となるように客土層を設ける工程とを
   含むことを特徴とする法面の保護工法。
2. 【請求項２】 前記法面保護用ブロックの側面板及び傾
   斜片に連結用凹凸部が設けられていることを特徴とする
   請求項１記載の法面の保護工法。
3. 【請求項３】 前記法面保護用ブロックの側面板に窓が
   形成されていることを特徴とする請求項１または２記載
   の法面の保護工法。
4. 【請求項４】 前記法面保護用ブロックの背面板背後に
   支持足が延設されていることを特徴とする請求項１、２
   または４記載の法面の保護工法。