JPH0932797A - ポンプ軸封部のシール構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プロセス流体の逆侵入を防止し、シール機能
を長期間にわたって維持できるポンプ軸封部のシール構
造を提供することを目的とする。 【構成】 一方の軸方向端部にインペラが、他方の軸方
向端部に駆動用モータがそれぞれ取付けられたポンプシ
ャフトを軸封メカニカルシール部でポンプ軸封部を形成
するとともに、前記メカニカルシール部のインペラ側に
ラビリンス部を隣接配設し、前記ポンプの軸封部にパー
ジ水を注入する注入空間を画成し、前記注入空間と前記
ラビリンス部を介して前記インペラ側に連通させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、外部から導入したパー
ジ水でメカニカルシール部摺動面で発生した熱除去と、
メカニカルシール部に侵入するスラリ流体の侵入を阻止
するようにしたポンプ軸封部のシール構造に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】図４は従来のスラリ用ポンプ軸封部のシ
ール構造断面図を示す。図４に示すように、ポンプシャ
フト２を軸封するメカニカルシール部３を備えている。
このメカニカルシール部３は固定環５、第１回転環６、
スプリング７、ドライプピン８、コンプリング９、シャ
フトパッキン１０および第２回転環１１から構成されて
いる。

【０００３】まず、符号５で示す固定環はポンプケーシ
ング４に固設されている。一方、符号６で示す第１回転
環は固定環５から離間したインペラ側の位置にセットス
クリュ（図示略）でポンプシャフト２の半径方向外方か
らポンプシャフト２に螺合結合されている。

【０００４】前記固定環５のインペラ側端面には断面が
逆Ｌ字状の第２回転環１１が固定環５と当接配設されて
いる。そして、この第２回転環１１を第１回転環６のモ
ータ側端面に一端部が固着され、他端部が自由端を形成
する複数個のスプリング７がポンプシャフト２の周辺に
配設されており、この各々のスプリング７の自由端に設
けられたドライプピン８に遊嵌されてポンプシャフト２
の軸心方向に移動自在なコンプリング９が設けられてい
る。

【０００５】さらに、コンプリング９の先端部と第２回
転環１１間で画成される空間部にはＶ字状のシャフトパ
ッキン１０がポンプシャフト２の軸心方向に重量配列さ
れており、前記スプリング７のモータ側への押圧力を付
加されたコンプリング９を介して固定環５と第１回転環
６間のポンプシャフト２のシール部を形成している。

【０００６】符号１４はセルフフラッシング注入口を示
し、インペラ（図示略）で吐出側から送出されたプロセ
ス液の一部を自己循環し、ポンプシャフト２の回動時に
固定環５と第２回転環１１間の摺動面Ａで発生する摺動
熱を除去する働きを有するものである。

【０００７】また、符号１３はスラリ用ポンプ１の外方
から清浄なパージ用の冷却水を導入するための冷却用パ
ージ水供給口であり、前述した摺動面Ａから漏れ出した
プロセス流体を洗い流し、シール機能を長期にわたって
維持できるようにしたものである。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところが、セルフフラ
ッシング構造の場合、プロセス流体側から逆侵入するプ
ロセス中に溶解した固体分やゴミなどの異物によりメカ
ニカルシール部３のシール面が損傷を受け、シール機能
が損われたり、低下するなどの問題があった。

【０００９】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
で、少量のプロセス流体の逆侵入を防止し、シール機能
を長期間にわたって維持できるポンプ軸封部のシール構
造を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、一方の軸方向端部にインペラが、他方
の軸方向端部に駆動用モータがそれぞれ取付けられたポ
ンプシャフトを軸封メカニカルシール部でポンプ軸封部
を形成するとともに、前記メカニカルシール部のインペ
ラ側にラビリンス部を隣接配設し、前記ポンプの軸封部
にパージ水を注入する注入空間を画成し、前記注入空間
と前記ラビリンス部を介して前記インペラ側に連通させ
た。

【００１１】

【作用】本発明はスラリ用ポンプなどの流体ポンプのポ
ンプシャフトを軸封するポンプ軸封部をメカニカルシー
ルとラビリンス部を組み合わせて構成する。上記ポンプ
軸封部にパージ水を注入する注入空間を形成し、メカニ
カルシール部の摺動面Ａで発生した熱を除去してシール
機能を維持する。そして、ラビリンス部からメカニカル
シール部側にプロセス流体の侵入を防止し、メカニカル
シール部の損傷や破損を有効かつ未然に防止できる。

【００１２】

【実施例】以下に、本発明に係るポンプ軸封部のシール
構造の実施例を図面に用いて詳細に説明する。

【００１３】図１は本発明の実施例に係るスラリ用ポン
プの縦断面図、図２は本発明のシール構造の要部断面
図、図３は本発明のスラリ用ポンプを用いたガス中のＮ
Ｏｘ除去プロセスを示す系統図である。

【００１４】図１は排ガス中に含有されるＮＯｘガスを
苛性ソーダ洗浄塔１６で向流接触させ、排ガス中のＮＯ
ｘを除去するようにしたプロセスである。

【００１５】すなわち、ＮＯｘガスは、まず、ＮＯ．１
苛性ソーダ洗浄塔１６ａの底部から導入される。一方、
ソーダ循環バック１７には純水で希釈された苛性ソーダ
溶液が貯留されており、ＮＯ．１スラリ用ポンプ１８ａ
によってソーダ循環バック１７に貯留された苛性ソーダ
溶液をＮＯ．１苛性ソーダ洗浄塔１６ａの上部に揚液
し、多段状に形成された棚段塔状のＮＯ．１苛性ソーダ
洗浄塔１６ａ内でＮＯｘガスと気液向流接融が行なわ
れ、排ガス中のＮＯｘガスが苛性ソーダ溶液に吸収され
除去される。

【００１６】こうして一部のＮＯｘガスの除去された排
ガスはＮＯ．１苛性ソーダ洗浄塔１６ａの頂部から排出
され、引続きＮＯ．２苛性ソーダ洗浄塔１６ｂの底部に
導入される。そして、一方ＮＯ．２スラリ用ポンプ１８
ｂによってＮＯ．２苛性ソーダ洗浄塔１６ｂの上部に揚
液され、前記ＮＯ．２苛性ソーダ洗浄塔１６ｂ内で気液
向流接触が行なわれ、排ガス中に残留するＮＯｘガスが
引続き除去される。

【００１７】さらに、引続きＮＯ．３苛性ソーダ洗浄塔
１６ｃにおいてもＮＯ．２苛性ソーダ洗浄塔１６ｂから
排出された排ガス中のＮＯｘガスの除去が行なわれる。
そして、ＮＯ．１からＮＯ．３苛性ソーダ洗浄塔１６
ａ、１６ｂ、１６ｃ内で苛性ソーダ溶液によって向流接
触による洗浄が行なわれた排ガスは、ＮＯ．３苛性ソー
ダ洗浄塔１６ｃの頂部から排出され次工程へ送られる。

【００１８】また、ＮＯ．１からＮＯ．３までの各苛性
ソーダ洗浄塔１６ａ、１６ｂ、１６ｃの上部へ揚程され
た苛性ソーダ溶液は排ガス中のＮＯｘガスと向流接触に
よってＮＯｘガスを吸収しつつ各塔底部へ落下し、さら
に、塔底部からソーダ循環バック１７へと落下する。

【００１９】こうしたソーダ循環バック１７に貯留され
た苛性ソーダ溶液は長時間の循環使用により、ソーダ循
環バック１７内は亜硝酸分を多量に含むスラリ循環液と
なる。

【００２０】本実施例ではこうしたスラリ循環液を長時
間送給するスラリ用ポンプについて説明する。図２は前
記図４に相当する部分と同一構成部分については同一符
号を付すにとどめ、繰り返しの説明を省略する。

【００２１】図１に示すように、スラリ用ポンプ１は本
体ケーシング２２にインペラ２１を収容したポンプケー
シング４が取付けられている。インペラ２１は電動機な
どのモータ駆動のポンプシャフト２に固定され、このポ
ンプシャフト２の駆動により回転駆動され、吸入口２３
から吸い込まれたスラリ循環液を吐出口２４から吐出さ
せるようになっている。

【００２２】前記ポンプシャフト２はポンプケーシング
カバー２５内に形成されるメカニカルシール部３とラビ
リンス部２０とで構成されるポンプ軸封部２６を貫いて
図１中左方へ延び、電動機などのモータ出力軸に連結さ
れる。

【００２３】一方、ポンプ軸封部２６のメカニカルシー
ル部３へ供給される冷却用パージ水には、清浄な冷却水
が用いられ、図２中実線矢印ａで示すように、冷却用パ
ージ水供給口１３から注入空間１５内に導入される。

【００２４】導入された冷却用パージ水により、固定環
５と第２回転環１１間の摺動面Ａで発生する摺動熱を除
去する役目を有するとともに、Ｏリングなどのシール部
品を冷却しシール機能を維持している。

【００２５】冷却用パージ水の圧力は３Ｋｇｆ／ｃｍ²
で、純水が使用される。そして、パージ水の圧力はポン
プ内部のプロセス流体（１．５Ｋｇｆ／ｃｍ² ）より若
干高めに設定されているため、プロセス流体がラビリン
ス部２０に侵入しようとしても圧力の高いパージ水によ
り侵入を防止されるようになっている。

【００２６】このため、冷却用パージ水供給口１３から
導入されたパージ水は最終的には注入空間１５からラビ
リンス部２０を通ってプロセス流体に混合されるように
なっている。

【００２７】なお、前記したこのようなラビリンス部２
０は市販のものに簡単な加工を加えるか、あるいはその
まま適宜な長さに切断加工したものを用いることがで
き、装脱着が簡単であって、かつプロセス流体の侵入阻
止に大きな役割を有する。

【００２８】さらに、本実施例ではラビリンス部２０を
ポンプケーシング４に装着すると、プロセス流体が侵入
する場合に大きな流動圧損が生じることから、パージ水
量は従来と比べて約１／１０の１リットル／ｍｉｎでよ
くプロセス流体濃度を希釈し過ぎることがなくなるなど
パージ水量の減少はスラリ循環液に対して好適である。

【００２９】次に、スラリ用ポンプを用いてスラリ溶液
を苛性ソーダ洗浄塔へ揚液する場合の作用について述べ
る。

【００３０】スラリ用ポンプ１を駆動するとともに、冷
却用パージ水供給口１３を介して注入空間１５にパージ
水を導入すると、このスラリ用ポンプ１はポンプ軸封部
２６が上述したシール構造をとることにより、メカニカ
ルシール部３にはシール機能を良好に維持するととも
に、ラビリンス部２０からのプロセス流体の侵入を阻止
するのである。

【００３１】次いで、スラリ用ポンプ１を起動し、ソー
ダ循環バック１７が各スラリ用ポンプ１８ａ、１８ｂ、
１８ｃを介して各苛性ソーダ洗浄塔１６ａ、１６ｂ、１
６ｃの上部に揚液し、前記苛性ソーダ洗浄塔１６ａ、１
６ｂ、１６ｃの底部から導入したＮＯｘを含む排ガスと
向流接触させるのである。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したことからも明らかなよう
に、本発明では、メカニカルシール部のインペラ側に隣
接してラビリンス部を配設したことにより、パージ水流
量の減少を図ることができるとともに、摺動面やシール
部材の冷却により長時間安定したシール機能を維持でき
る。さらに、プロセス流体がメカニカルシール部に侵入
するのを防止できるので、スラリ用ポンプの運転が安定
し、信頼性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係るスラリ用ポンプの縦断面
図である。

【図２】本発明のシール構造の要部断面図である。

【図３】本発明のスラリ用ポンプを用いたガス中のＮＯ
ｘ除去プロセスを示す系統図である。

【図４】従来のスラリ用ポンプのポンプ軸封部のシール
構造の断面図である。

【符号の説明】

１ スラリ用ポンプ ２ ポンプシャフト ３ メカニカルシール部 ４ ポンプケーシング ５ 固定環 ６ 第１回転環 ７ スプリング １０ シャフトパッキン １１ 第２回転環 １３ 冷却用パージ水供給口 １５ 注入空間 １６ 苛性ソーダ洗浄塔 １７ ソーダ循環バック １８ スラリ用ポンプ ２０ ラビリンス部 ２１ インペラ ２２ 本体ケーシング ２３ 吸入口 ２４ 吐出口 ２６ ポンプ軸封部 Ａ 摺動面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方の軸方向端部にインペラが、他方の
   軸方向端部に駆動用モータがそれぞれ取付けられたポン
   プシャフトを軸封メカニカルシール部でポンプ軸封部を
   形成するとともに、前記メカニカルシール部のインペラ
   側にラビリンス部を隣接配設し、前記ポンプの軸封部に
   パージ水を注入する注入空間を画成し、前記注入空間と
   前記ラビリンス部を介して前記インペラ側に連通させた
   ことを特徴とするポンプ軸封部のシール構造。