JPH0932737A - ポンプの吸込水槽 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型の予旋回槽に集まってきた汚水をポンプ
で汲み上げるようにしたポンプの吸込水槽において、水
槽の底面上で広い範囲を流れる水流がつくり出されるよ
うにして、その水流で堆積したスカムなどの浮遊物を洗
い流すようにする。 【構成】 水槽Ｈの底部を、第１仕切壁２１で複槽形成
域Ａと貯水域Ｃとに２区画する。貯水域Ｃを、第１流入
路４１で第１予旋回槽１に連通させ、第２流入路４２で
第２予旋回槽２に連通させる。第１流入路４１の流入口
３１と第２流入路４２の流入口３２は、第１仕切壁２１
の一端部２１ａまたは他端部２１ｂと水槽壁Ｈ１との間
に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、個別に運転される
複数のポンプが設置された水槽の下水、排水、汚水など
を汲み上げるに際して、スカムなどの浮遊物が残留する
ことをできるだけ少なくし得るように工夫されたポンプ
の吸込水槽に関する。

【０００２】

【従来の技術】下水管路の途中で汚水を汲み上げるため
に設置されるポンプの吸込水槽として、水槽の底面にポ
ンプの吸込口が個別に配備される２つの予旋回槽を凹入
状に設けることが、特開平３−８４１３６号公報や特開
平６−２８０３００号公報によって示唆されている。

【０００３】図４は特開平３−８４１３６号公報によっ
て示唆されているものを示している。このものは、マン
ホールやピットなどの水槽Ｈの底面の２箇所に並んで凹
入状に設けられた第１および第２の２つの予旋回槽１，
２の周囲に第１仕切壁３，４を設けると共に、２つの予
旋回槽１，２の形成域を区画する第２仕切壁５を設け、
片側の第１仕切壁３と第２仕切壁５との間に形成された
第１流入口６から延び出る第１流入路７を第１予旋回槽
１にポンプの回転方向Ｒ１に沿う接線方向に連通させ、
また、他側の第１仕切壁４と第２仕切壁５との間に形成
された第２流入口８から延び出る第２流入路９を第２予
旋回槽２にポンプの回転方向Ｒ２に沿う接線方向に連通
させてある。

【０００４】図５は特開平６−２８０３００号公報によ
って示唆されているものを示している。このものにおい
ても、マンホールでなる水槽Ｈの底面の２箇所に並んで
凹入状に設けられた第１および第２の２つの予旋回槽
１，２と貯水域（貯留槽）との間に第１仕切壁１９を設
けると共に、２つの予旋回槽１，２の形成域を区画する
第２仕切壁１１を設け、第１予旋回槽１にポンプの回転
方向に沿う接線方向で連なる第１流入路１２の始部（流
入口）１３を第１仕切壁１９の中央部に設け、第２予旋
回槽２にポンプの回転方向に沿う接線方向で連なる第２
流入路１４の始部（流入口）を第１仕切壁１９の端部付
近に設けてある。

【０００５】ところで、図４や図５で説明したような従
来のポンプの吸込水槽では、第１予旋回槽１や第２予旋
回槽２に対応して個別に設置された２基のポンプは一般
的に択一的に運転される。そして、水槽Ｈの汚水の水位
が所定の高さ以下になっているときにいずれかのポン
プ、たとえば第１予旋回槽１に対応するポンプが運転さ
れると、汚水が第１流入路７，１２を通って第１予旋回
槽１に流入して旋回し、そのような旋回によって汚水が
スカムなどの浮遊物を巻き込み、ポンプによって汲み上
げられる。第２予旋回槽２に対応するポンプが運転され
たときには、汚水が第２流入路９，１４を通って第２予
旋回槽２に流入して旋回し、そのような旋回によって汚
水が浮遊物を巻き込み、ポンプによって汲み上げられ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】図４で説明した従来例
では、第１流入口６と第２流入口８とがいずれも水槽Ｈ
の中央付近で第２仕切壁５に接している。そのため、汚
水の水位が第１仕切壁３，４や第２仕切壁５の高さより
も下に位置している場合において、第１予旋回槽１また
は第２予旋回槽２に対応するポンプが個別に運転されて
スカムなどの浮遊物の汲上げが行われているときには、
たとえ水位が水槽Ｈの底面Ｂより上に位置しているとき
でも、図４に斜線で示した領域、すなわち水槽Ｈを形成
している水槽壁Ｈ１と第１仕切壁３，４とで囲まれる底
面Ｂ上の領域では、底面Ｂを流れて第１流入口６または
第２流入口８に流入する汚水の流れＦが形成されにくく
なるか、あるいは流れがまったく形成されなくなる。こ
のように汚水の流れが形成されにくいか、もしくは形成
されない領域を死水領域Ｚと呼ぶことにすると、水位が
底面Ｂより下がって第１流入路７や第２の流入路８に達
したときには、その死水領域Ｚに第１予旋回槽１や第２
予旋回槽２に流入しないスカムなどの浮遊物が残留する
ことになる。

【０００７】図５で説明した従来例では、特に第１流入
路１２の流入口に相当する始部１３が水槽Ｈの中央付近
に位置するため、上記死水領域Ｚが、第２流入口１４の
始部１５の反対側における水槽壁Ｈ１と第１仕切壁１９
とで囲まれる底面Ｂ上の領域に形成されてしまい、第１
予旋回槽１に対応するポンプの運転に伴って底面Ｂから
第１流入口１２を経て第１予旋回槽１に流入する汚水の
流れがその死水領域Ｚでは形成されにくくなったり、ま
ったく形成されなかったりして、死水領域Ｚにスカムな
どの浮遊物が残留してしまう。

【０００８】本発明は、以上の事情に鑑みてなされたも
のであり、水槽の内部を、２つの予旋回槽が形成されて
いる複槽形成域と予旋回槽の形成されていない貯水域と
に２区画し、ポンプの運転によって水位が水槽の底面の
上位からその下位に至るまでの間に、貯水域の中で広い
範囲を流れる水流がつくり出されるような対策を講じる
ことによって、水位が水槽の底面の下に低下したときに
貯水域にスカムなどの浮遊物が残留しないようにするこ
とを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１に係る発明は、
水槽の底面にポンプの吸込口が配備される第１および第
２の２つの予旋回槽が凹入状に設けられたポンプの吸込
水槽において、水槽の底部を２つの予旋回槽が形成され
ている複槽形成域と予旋回槽の形成されていない貯水域
とに２区画する第１仕切壁と、上記複槽形成域を１つず
つの予旋回槽が形成されている２つの単槽形成域に２区
画する第２仕切壁とが水槽の底面に設けられ、上記貯水
域が、第１仕切壁の一端部と水槽壁との間に形成された
第１流入口から延び出て上記ポンプの回転方向に沿う接
線方向で第１予旋回槽に連なる第１流入路によってその
第１予旋回槽に連通されていると共に、第１仕切壁の他
端部と水槽壁との間に形成された第２流入口から延び出
て上記ポンプの回転方向に沿う接線方向で第２予旋回槽
に連なる第２流入路によってその第２予旋回槽に連通さ
れている、というものである。

【００１０】このようなポンプの吸込水槽であれば、水
槽の水位が第１仕切壁の高さよりも下であって水槽の底
面よりも上に位置しているときに、第１予旋回槽に対応
するポンプが運転された場合には、その運転に伴い、汚
水が第１仕切壁の一端部と水槽壁との間に形成された第
１流入口を通って第１流入路に流入する一方、第１予旋
回槽側の水位低下によって、第２予旋回槽側の汚水が第
２予旋回槽の第２流入路を出て第１仕切壁の外側を通
り、第１流入口を通って第１流入路に流入する。さら
に、第２予旋回槽に対応するポンプが運転された場合に
は、その運転に伴い、汚水が第１仕切壁の他端部と水槽
壁との間に形成された第２流入口を通って第２流入路に
流入する一方、第２予旋回槽側の水位低下によって、第
１予旋回槽側の汚水が第１予旋回槽の第１流入路を出て
第１仕切壁の外側を通り、第２流入口を通って第２流入
路に流入する。そのため、各予旋回槽に個別に対応して
いる２基のポンプのどちらが運転された場合でも、貯水
域の底面上の全体に亘る広い範囲で汚水の流れが生じて
上述した死水領域がなくなり、水槽の底面にスカムなど
の浮遊物が堆積していてもそのような汚水の流れによっ
て浮遊物が洗い流されて汚水と共に第１予旋回槽または
第２予旋回槽に流入し、ポンプによって汲み上げられ
る。

【００１１】上記のように構成されるポンプの吸込水槽
においては、第１流入路と第２流入路とが、請求項２に
係る発明のように予旋回槽に向かう下がり勾配を有する
ものであっても、請求項３に係る発明のように水平であ
ってもよい。

【００１２】

【発明の実施の形態】図１は本発明に係るポンプの吸込
水槽を実施するための一形態を示す平面図、図２は図１
のＩＩ−ＩＩ線に相当する箇所での断面図である。

【００１３】この実施の形態において、水槽Ｈは下水や
雑排水や汚水などの水が流入するコンクリート製のピッ
ト又はマンホールによって形成されている。水槽Ｈの底
面Ｂの一方に偏った２箇所に、凹入状の小さな第１予旋
回槽１と第２予旋回槽２とが設けられており、これら２
つの予旋回槽１，２のそれぞれには、個別のポンプＰの
吸込口Ｖ１，Ｖ２が配備される。

【００１４】水槽Ｈの底面Ｂには第１仕切壁２１と第２
仕切壁２２とがＴ字状に形成されている。第１仕切壁２
１は、水槽Ｈの底部を２つの予旋回槽１，２が形成され
ている複槽形成域Ａと予旋回槽の形成されていない貯水
域Ｃとに２区画している。貯水域Ｃに属する上記底面Ｂ
は、複槽形成域Ａに向かう下がり勾配を有している。

【００１５】第１仕切壁２１の滑らかに湾曲した一端部
２１ａと水槽壁Ｈ１との間に第１流入口３１が形成され
ており、また、第１仕切壁２１の滑らかに湾曲した他端
部２１ｂと水槽壁Ｈ１との間に第２流入口３２が形成さ
れている。第２仕切壁２２は上記複槽形成域Ａを１つず
つの予旋回槽１，２が形成されている２つの単槽形成域
Ａ１，Ａ２に２区画している。それぞれの単槽形成域Ａ
１，Ａ２に属する上記底面Ｂは、第１予旋回槽１または
第２予旋回槽２に向かう下がり勾配を有している。

【００１６】そして、第１流入口３１から延び出て上記
ポンプＰの回転方向に沿う接線方向で第１予旋回槽１に
連なる滑らかに曲がった第１流入路４１によって、上記
貯水域Ｃが第１予旋回槽１に連通されている。また、第
２流入口３２から延び出て上記ポンプＰの回転方向に沿
う接線方向で第２予旋回槽２に連なる滑らかに曲がった
第２流入路４２によって、上記貯水域Ｃが第２予旋回槽
２に連通されている。

【００１７】なお、図１および図２において、５１，５
２はポンプＰの吐出ベンド１００を支える台座である。

【００１８】上記のように構成されたポンプの吸込水槽
において、水槽Ｈの汚水の水位が貯水域Ｃの底面Ｂより
も上で第１仕切壁２１の高さよりも下に位置していると
きに、たとえば第１予旋回槽１に対応するポンプを運転
してその吸込口Ｖ１から第１予旋回槽１内の汚水を吸い
上げさせると、貯水域Ｃから第１流入口３１を通り第１
流入路４１を経て第１予旋回槽１に流れ込む汚水が、貯
水域Ｃの底面Ｂ上で、水槽壁Ｈ１や第１仕切壁２１に接
する流れを形成するので、第１仕切壁２１における第１
流入口側部分と水槽壁Ｈ１との間に上記した死水領域が
形成されない。このため、貯水域Ｃの底面Ｂに堆積して
いるスカムなどの浮遊物がその流れによって洗い流さ
れ、汚水と共にポンプの吸込口Ｖ１から汲み上げられ
る。

【００１９】同様のことが第２予旋回槽２に対応するポ
ンプを運転してその吸込口Ｖ２から第２予旋回槽２内の
汚水を吸い上げさせたときにも行われる。すなわち、水
槽Ｈの汚水の水位が貯水域Ｃの底面Ｂよりも上で第１仕
切壁２１の高さよりも下に位置しているときに、第２予
旋回槽２に対応するポンプを運転してその吸込口Ｖ２か
ら第２予旋回槽２内の汚水を吸い上げさせると、貯水域
Ｃから第２流入口３２を通り第２流入路４２を経て第２
予旋回槽２に流れ込む汚水が、貯水域Ｃの底面Ｂ上で、
水槽壁Ｈ１や第１仕切壁２１に接する流れを形成するの
で、第１仕切壁２１における第２流入口側部分と水槽壁
Ｈ１との間に上記した死水領域が形成されなくなり、貯
水域Ｃの底面Ｂに堆積しているスカムなどの浮遊物がそ
の流れによって洗い流され、汚水と共にポンプの吸込口
Ｖ２から汲み上げられる。

【００２０】この実施の形態において、上記した第１流
入路４１や第２流入路４２は、それらが連なる予旋回槽
１，２に向かう下がり勾配を有している。そのため、こ
れらの第１流入路４１や第２流入路４２を通って第１予
旋回槽１や第２予旋回槽２に流入して旋回する汚水の勢
いが強くなって、スカムなどの浮遊物を汚水中に巻き込
む作用が顕著に発揮されるので、ポンプの汲み上げによ
る浮遊物の回収が効果的に行われるという利点がある。

【００２１】第１流入路４１や第２流入路４２は、図３
に示したように水平になっていてもよい。このものによ
っても、第１流入口３１や第２流入口３２は、第１予旋
回槽１や第２予旋回槽２に、ポンプの回転方向Ｒ１，Ｒ
２に沿う接線方向で連なっているので、第１予旋回槽１
や第２予旋回槽２では汚水の旋回流が生じてスカムなど
の浮遊物を汚水中に巻き込む作用が十分に発揮される。

【００２２】図１において、６１は第１予旋回槽１と第
２予旋回槽２とをそれらの底部付近で連通する連通路で
ある。この連通路６１は、一方の予旋回槽から汚水を汲
み上げているときに、他方に残っている汚水や浮遊物を
一方の予旋回槽に導くことに役立つ。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、水槽の底部に区画され
た貯水域の全体に亘る広い範囲で水流が形成されるの
で、従来のように死水領域が生じなくなって水槽の底面
に堆積したスカムなどの浮遊物がその水流によって予旋
回槽の中に洗い流される。そのため、水槽に浮遊物が残
りにくくなるという効果が奏される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るポンプの吸込水槽を実施するため
の一形態を示す平面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線に相当する箇所での断面図
である。

【図３】図２に相応する他の実施の形態を示す断面図で
ある。

【図４】従来例の平面図である。

【図５】他の従来例の平面図である。

【符号の説明】

Ａ 複槽形成域 Ａ１，Ａ２ 単槽形成域 Ｂ 底面 Ｃ 貯水域 Ｈ 水槽 Ｈ１ 水槽壁 Ｐ ポンプ Ｖ１，Ｖ２ 吸込口 １ 第１予旋回槽 ２ 第２予旋回槽 ２１ 第１仕切壁 ２１ａ 第１仕切壁の一端部 ２１ｂ 第１仕切壁の他端部 ２２ 第２仕切壁 ３１ 第１流入口 ３２ 第２流入口 ４１ 第１流入路 ４２ 第２流入路 Ｒ１，Ｒ２ ポンプの回転方向

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 品末 太郎 大阪府枚方市中宮大池１丁目１番１号 株 式会社クボタ枚方製造所内 (72)発明者 松田 政昭 大阪府枚方市中宮大池１丁目１番１号 株 式会社クボタ枚方製造所内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水槽の底面にポンプの吸込口が配備され
   る第１および第２の２つの予旋回槽が凹入状に設けられ
   たポンプの吸込水槽において、 水槽の底部を２つの予旋回槽が形成されている複槽形成
   域と予旋回槽の形成されていない貯水域とに２区画する
   第１仕切壁と、上記複槽形成域を１つずつの予旋回槽が
   形成されている２つの単槽形成域に２区画する第２仕切
   壁とが水槽の底面に設けられ、 上記貯水域が、第１仕切壁の一端部と水槽壁との間に形
   成された第１流入口から延び出て上記ポンプの回転方向
   に沿う接線方向で第１予旋回槽に連なる第１流入路によ
   ってその第１予旋回槽に連通されていると共に、第１仕
   切壁の他端部と水槽壁との間に形成された第２流入口か
   ら延び出て上記ポンプの回転方向に沿う接線方向で第２
   予旋回槽に連なる第２流入路によってその第２予旋回槽
   に連通されていることを特徴とするポンプの吸込水槽。
2. 【請求項２】 第１流入路と第２流入路とが、それらが
   連なる予旋回槽に向かう下がり勾配を有する請求項１に
   記載のポンプの吸込水槽。
3. 【請求項３】 第１流入路と第２流入路とが水平である
   請求項１に記載のポンプの吸込水槽。