JPH09316280A - ゴム変性スチレン系樹脂組成物とその成形体 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂組成物とその成形体

Info

Publication number
JPH09316280A
JPH09316280A JP7334197A JP7334197A JPH09316280A JP H09316280 A JPH09316280 A JP H09316280A JP 7334197 A JP7334197 A JP 7334197A JP 7334197 A JP7334197 A JP 7334197A JP H09316280 A JPH09316280 A JP H09316280A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
styrene
composition according
weight
block copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7334197A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadashi Teranishi
直史 寺西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP7334197A priority Critical patent/JPH09316280A/ja
Publication of JPH09316280A publication Critical patent/JPH09316280A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形品表面の光沢と耐衝撃性のバランスに優
れたゴム変性スチレン系樹脂組成物を得る。 【解決手段】 スチレン系重合体からなるマトリックス
中に、粒子状のゴム状重合体が分散しており、該ゴム状
重合体が、(A)スチレン系単量体と共役ジエンとのブ
ロック共重合体のエポキシ化物と、(B)無変性合成ゴ
ムとからなり、かつ、(A)スチレンと共役ジエンとの
ブロック共重合体のエポキシ化物と(B)ポリブタジエ
ンゴムとの重量比が(A):(B)=50:50〜1:99の
範囲であることを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は外観特性と耐衝撃性
に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物とその成形体に
関するものである。さらに詳しくは、成形品表面の光沢
と耐衝撃性のバランスに優れたゴム変性スチレン系樹脂
組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】耐衝撃性スチレン系樹脂は、ゴム状重合
体の存在下にスチレン系単量体を重合させて得られるも
のであるが、強度や成形加工性等に優れているため、テ
レビ等の家電製品やOA機器のハウジング用としての成
形材料、包装材料、雑貨等として広く一般に使用されて
いる。
【0003】近年、かかる製品の需要分野が拡大し、同
時にコストダウンの要求及び薄肉化指向が高まるにに伴
い、従来以上の物性、特に耐衝撃性と表面光沢のバラン
スを要求する需要が高まっている。
【0004】一般に、上記重合法で製造された樹脂の耐
衝撃性はゴム状重合体の量を増やすか、又は、分散粒子
の平均粒子径を大きくすることによって改良することが
できるが、これらの場合にはいずれも表面光沢が悪化す
る。一方、ゴム状重合体の量を減らすか、又は、分散粒
子の平均粒子径を小さくすることによって表面光沢を向
上させることができるが、これらの場合にはいずれも耐
衝撃性が著しく低下する。
【0005】このように、耐衝撃性と表面光沢は相反す
る特性であるため高い耐衝撃性を維持し、かつ、優れた
表面光沢を有する耐衝撃性スチレン系樹脂を得ることは
困難であった。
【0006】従来、これらの耐衝撃性スチレン系樹脂の
特性を改良する方法として、特公昭61-50488号、特開昭
59-20334号、特開昭60-203618 号等により、使用するゴ
ム状重合体の溶液粘度、ミクロ構造、分岐構造等の特性
を限定する方法が提案されている。また、特開昭62-178
458 号、特開平4-100810号等では高分子量のポリブタジ
エンゴムと低分子量のポリブタジエンゴムからなるゴム
状重合体を用いることが提案されている。しかし、これ
らの方法について詳細に検討してみると、確かに従来の
方法に比べて改良されてはいるが、表面光沢と耐衝撃性
とのバランスは、まだまだ実用的に満足のゆくものは得
られていない。
【0007】一方、特公昭42-17492号、特公昭48-18594
号、特公平1-33485 号、特開昭63-78317号、特開昭63-1
65413 号等では、ゴム状重合体として、芳香族ビニル系
樹脂と強い親和性を有するスチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体ゴムを単独で使用する方法が、また、特開平
4-88006 号ではゴム状重合体として高分子量のスチレン
−ブタジエンブロック共重合体ゴムと低分子量のスチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体ゴムを混合して用いる
ことが提案されている。これらの方法によると得られる
樹脂の光沢は改良されるが、耐衝撃性が低下することが
多かった。
【0008】特開昭62-280211 号、特開平4-209614号で
はゴム状重合体として、スチレン−ブタジエン共重合体
とポリブタジエンゴムを混合して用いることが提案され
ているが、ポリブタジエンゴムの割合が少ない等のため
に耐衝撃性がまだ不充分であった。
【0009】特開平2-178312号、特開平3-28210 号等で
は製造ライン中にラインミキサー等の粒子分散機を設置
することにより、光沢に優れ、また高い衝撃性を有する
スチレン系樹脂を提案しているが、プラントの使用を変
更する等、多大な投資を必要とするという致命的な問題
点があった。
【0010】また、特公平5-25897 号、特公平4-63099
号等にはゴム変性ポリスチレンとスチレン−ブタジエン
ブロック共重合体をブレンドした耐衝撃性ポリスチレン
樹脂組成物が提案されている。しかしながら、これらの
ゴム変性ポリスチレンはゴム状重合体の小粒子部分を含
有するゴム変性ポリスチレンと大粒子部分を含有するゴ
ム変性ポリスチレンを別々に作り、押出機などでブレン
ドするか、又は、ゴム状重合体の小粒子部分を含有する
ゴム変性ポリスチレンと大粒子部分を含有するゴム変性
ポリスチレンを重合反応機で混合して製造しなければな
らないという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述のスチレン系樹脂
に対する耐衝撃性と表面光沢のバランスを要求する市場
の要望を満たすためには、優れた物性を保持して、か
つ、容易に製造できる必要がある。したがって、本発明
の目的は、これらの耐衝撃性と表面光沢のバランスに優
れたゴム変性スチレン系樹脂組成物を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記ゴム
変性スチレン系樹脂組成物を開発すべく鋭意検討を重ね
た結果、スチレンと共役ジエンとのブロック共重合体の
エポキシ化物(以下、エポキシ変性ブロック共重合体と
称する)とポリブタジエンゴムとを特定の割合で混合し
たゴム状重合体を使用することにより、高い耐衝撃性と
高い表面光沢を有するゴム変性スチレン系樹脂組成物を
完成するに至った。
【0013】この発明は(A)スチレン系単量体と共役
ジエンとのブロック共重合体のエポキシ化物、(B)無
変性合成ゴムおよび(C)スチレン系重合体を含有する
スチレン樹脂組成物およびそれらの成形体を提供する。
【0014】本発明の好ましい態様は、スチレン系重合
体(C)からなるマトリックス中に、粒子状のゴム状重
合体が分散しており、該ゴム状重合体が(A)および
(B)からなる組成物である。
【0015】本発明は、上記組成物からなる成形体を提
供する。
【0016】この態様において、 成分(B)として重合
アルカジエンを用いること、 成分(B)がポリブタジエ
ンまたはスチレン系単量体とブタジエンとの共重合体ゴ
ムであること、 成分(A)がスチレン系単量体と共役ジエ
ンとのブロック共重合体のエポキシ化物であり、成分
(B)がポリブタジエンであること、成分(B)として単
独の無変性ゴムを用いること、(A)と(B)との重量
比が(A):(B)=50:50〜1:99の範囲であるこ
と、(A)が、20〜60重量%のスチレンと80〜40重量%
の共役ジエンとのブロック共重合体のエポキシ化物であ
ること、(A)が、24〜60重量%のスチレンと76〜40重
量%の共役ジエンとのブロック共重合体のエポキシ化物
であること、(A)のエポキシ当量が 140〜7000である
こと、(A)のエポキシ当量が 140〜2700であること、
ゴム状重合体粒子が、(イ)平均粒子径 0.1〜0.6 μm
の小粒子部分と、(ロ)平均粒子径 0.7〜4.0 μmの大
粒子部分とからなること、(イ)小粒子部分と(ロ)大
粒子部分の重量比が75:25〜5:95の範囲であること、
または、(イ)小粒子部分と(ロ)大粒子部分の重量比
が45:55〜5:95の範囲であること、が好ましい。
【0017】本発明の態様において、(A)、(B)および
(C)のためのスチレン系単量体としては、スチレン、ア
ルキル置換スチレン(例えば、o−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、m−メチルスチレン、 2,4−ジメチ
ルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチ
レン等)、α−アルキル置換スチレン(例えば、α−メ
チルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等)、
ハロゲン化スチレン(例えば、o−クロロスチレン、p
−クロロスチレン等)等が挙げられる。これらのスチレ
ン系単量体は、1種で使用してもよいし、又は2種以上
混合して使用してもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。
【0019】本発明で用いられるゴム状重合体は、
(A)エポキシ変性ブロック共重合体50〜1重量%と
(B)ポリブタジエンゴム50〜99重量%との混合物、好
ましくは、(A)エポキシ変性ブロック共重合体40〜20
重量%と(B)ポリブタジエンゴム60〜80重量%との混
合物である必要がある。エポキシ変性ブロック共重合体
の占める割合が50重量%よりも大きくなると耐衝撃性が
低下し、1重量%未満では光沢が低下する。
【0020】本発明で使用する(A)エポキシ変性ブロ
ック共重合体は、20〜60重量%のスチレン系単量体と80
〜40重量%の共役ジエンとのブロック共重合体のエポキ
シ化物であり、好ましくは24〜60重量%のスチレン系単
量体と76〜40重量%の、さらに好ましくは30〜45重量%
のスチレン系単量体と70〜55重量%の共共役ジエンとの
ブロック共重合体のエポキシ化物である。エポキシ変性
ブロック共重合体のスチレン系単量体の割合が20重量%
未満になると光沢が低下し、60重量%よりも大きくなる
と耐衝撃性が低下する。
【0021】エポキシ変性ブロック共重合体を構成しう
る共役ジエン化合物の代表例としては、 1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、 1,3−ペンタジエン、 2,3−ジメチル
− 1,3−ブタジエン、ピペリレン、3−ブチル− 1,3−
オクタジエン、フェニル−1,3−ブタジエン等が挙げら
れる。これらの中で、 1,3−ブタジエン及びイソプレン
が安価であり、かつ入手しやすいので好ましい。これら
の中から1種で又は2種以上を組み合わせて用いること
もできる。
【0022】スチレンと共役ジエンとのブロック共重合
体の構造は特に限定されるものではないが、例えばA-B-
A 、B-A-B 、A-B-A-B-A 等で表されるスチレンと共役ジ
エンとのブロック共重合体であってもよい。また、分子
自体の構造は直鎖状、分岐状、放射状などのいずれの構
造であってもよく、さらにこれらの任意の組合せであっ
てもよい。ブロック共重合体中のスチレンは、均一に分
布していても、またテーパー状に分布していてもよい。
また、共重合部分は、スチレンが均一に分布している部
分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ
複数個共存していてもよい。
【0023】スチレンと共役ジエンとのブロック共重合
体のエポキシ化は、公知のエポキシ化剤との反応によっ
て行うことができる。
【0024】エポキシ化反応に使用し得るエポキシ化剤
としては、過酢酸、過安息香酸、過ギ酸、トリフルオロ
過酢酸等の有機過酸類、過酸化水素、過酸化水素と低分
子の脂肪酸とを組み合わせたもの等を例示することがで
きる。これらの中で、工業的に大量に製造されるため安
価に入手でき、しかも安定度の比較的高い過酢酸が、エ
ポキシ化剤として好ましい。特に好ましくは過酢酸を酢
酸エチル等の溶媒に溶解した溶液として使用する。さら
に過酢酸−酢酸−酢酸エチル溶液系が特に好ましい。
【0025】使用するエポキシ化剤の量は、特に限定さ
れるものではなく、エポキシ化剤の反応性、所望される
エポキシ化度、使用するブロック共重合体中の不飽和炭
素結合量等の条件により任意に適当な量を使用し得る
が、最終的に得られるエポキシ変性ブロック共重合体の
エポキシ当量が140〜7000、好ましくは140〜2700である
ようにエポキシ化剤の量を選択するのが好ましい。
【0026】エポキシ当量は、より好ましくは200〜200
0である。ここで、エポキシ当量は、式:エポキシ当量
=1600/{エポキシ変性ブロック共重合体中のオキシラ
ン酸素濃度(wt%)}で算出され、オキシラン酸素1mo
l あたりのエポキシ変性ブロック共重合体の重量を示
す。
【0027】尚、オキシラン酸素濃度は、臭化水素の酢
酸溶液を用いて滴定して求める。エポキシ当量が大きい
とオシキラン酸素濃度が低くなり、逆にエポキシ当量が
小さいとオキシラン酸素濃度が高くなる。エポキシ当量
が 140より小さいと、重合体の弾性的な性質が発現しに
くくなり好ましくなく、また7000より大きいとエポキシ
化したことによる特異的な物性が発現しにくくなり好ま
しくない。
【0028】成分(C)の無変性合成ゴムとしては重合
アルカジエン例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、
ポリピペリレン、ポリクロロプレンなどが例示され中で
も、ポリブタジエンが特に好ましい。また、スチレンー
ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合
体ゴム、スチレン−イソプレンーブタジエン共重合体ゴ
ム、エチレンープロピレン共重合体ゴムも挙げられ、ス
チレンーブタジエン共重合体ゴムが特に好ましい。
【0029】これらは単独でも用いることができるし2
種以上を混合して用いてもよいが、優れた衝撃強度と光
沢を維持するには単独で用いるのが好ましい。
【0030】本発明で使用するポリブタジエンゴムの25
℃における5%スチレン溶液粘度は特に限定するもので
はないが、好ましくは30〜220 センチポイズ、更に好ま
しくは30〜170 センチポイズである。ポリブタジエンゴ
ムの25℃における5%スチレン溶液粘度が30センチポイ
ズ未満になるとゴム状重合体の取り扱いが煩雑になり、
220センチポイズよりも大きくなると光沢が低下する。
【0031】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物中
のゴム状重合体含量は特に限定しないが、3〜15重量%
の範囲であることが望ましい。ゴム状重合体の含有量が
3重量%未満では耐衝撃性が低下し、15重量%よりも多
いと光沢が低下する。
【0032】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物
は、ゴム状重合体をスチレン系単量体に溶解した後、一
般的な重合方法を用いて製造することができる。一般的
な重合方法の例としては、塊状重合法、溶液重合法、又
は塊状重合後さらに懸濁重合を行う塊状−懸濁重合法を
挙げることができる。中でも塊状重合法が好ましい。
【0033】本発明に使用するスチレン系単量体として
は、例えばスチレン、アルキル置換スチレン(例えば、
o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチル
スチレン、 2,4−ジメチルスチレン、p−エチルスチレ
ン、p−t−ブチルスチレン等)、α−アルキル置換ス
チレン(例えば、α−メチルスチレン、α−メチル−p
−メチルスチレン等)、ハロゲン化スチレン(例えば、
o−クロロスチレン、p−クロロスチレン等)等が挙げ
られる。これらの中でも、スチレン系単量体としては、
スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレンが
好ましく、特にスチレンが好ましい。これらのスチレン
系単量体は、1種で使用してもよいし、又は2種以上混
合して使用してもよい。
【0034】スチレン系単量体には、必要に応じて、例
えばアクリル酸、メタクリル酸等の(メタ)アクリル
酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイ
ン酸、アクリロニトリル等の共重合可能な単量体を、経
済性が劣らない範囲で添加してもよい。
【0035】本発明において、重合開始剤を用いない場
合は90〜200 ℃の温度範囲で、有機過酸化物等の重合開
始剤存在下では50〜180 ℃の温度範囲で重合を行うこと
ができる。
【0036】必要に応じて用いられる重合開始剤として
は、例えば 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロ
ヘキサン、 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,
5 −トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4 −ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシ
ケタール類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、 2,5−ジ
メチル−2,5 −ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等
のジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサ
イド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパー
オキサイド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の
パーオキシエステル類、その他、パーオキシジカーボネ
ート類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサ
イド類を挙げることができ、これらを単独で、又は、2
種類以上の混合物として用いることができる。また、重
合開始剤の添加量としては、スチレン系単量体に対して
10重量%以下が好ましい。重合開始剤の添加量が10重量
%を超えると重合速度の制御が困難となる。
【0037】また、重合時に溶剤を存在させることもで
きる。溶剤としては、芳香族炭化水素類、例えば、トル
エン、キシレン、エチルベンゼン等の1種又は2種以上
の混合物を挙げることができる。溶剤の使用量として
は、重合溶液中0〜50重量%の範囲が望ましい。溶剤の
使用量が50重量%を超えると重合速度が著しく低下し、
また、溶剤の回収に大きなエネルギーを要するため経済
性が劣ってくる。
【0038】本発明においては、必要に応じて連鎖移動
剤、例えばα−メチルスチレンリニアダイマー、n−ド
デシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、1−
フェニルブテン−2−フルオレン、ターピノーレン、ジ
ペンテン、クロロホルム等を用いることができる。連鎖
移動剤の添加量としては、スチレン系単量体に対して10
重量%以下が好ましい。連鎖移動剤の添加量が10重量%
を超えると分子量低下が著しく、充分な衝撃強度が得ら
れない。
【0039】また、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組
成物中に分散したゴム粒子の平均粒子径及びその分布は
特に限定するものではないが、平均粒子径 0.1〜0.6 μ
m、好ましくは0.15〜0.5 μmの小粒子部分と、平均粒
子径 0.7〜4.0 μm、好ましくは 0.8〜2.0 μmの大粒
子部分とに分散されている二峰性の粒子径分布を有する
ことが望ましい。小粒子部分の平均粒子径が 0.1μm未
満では衝撃強度が低下し、0.6 μmを超えると外観不良
が目立つ。また、大粒子部分の平均粒子径が 0.7μm未
満では衝撃強度が低下し、4.0μmを超えると外観特性
が低下する。なお、前記ゴム状重合体の粒子径分布が単
一のピークしか有さない場合には、耐衝撃性、剛性及び
外観特性のいずれかが劣る。ここでいう平均粒子径と
は、超薄切片法を用いて組成物の透過型電子顕微鏡写真
を撮影し、ゴム状重合体粒子1000個の円換算粒子径を測
定して、次式を用いて算出した値である。 平均粒子径=(Σni・Di4)/(Σni・Di3) (式中のni は円換算粒子径Di(μm)を有するゴム
状重合体粒子の個数を表す)。
【0040】また、ゴム状重合体粒子中の総重量に占め
る小粒子部分の比率は特に限定するものではないが、5
〜75重量%、好ましくは5〜45重量%であることが望ま
しい。小粒子部分の比率が75重量%を超えると耐衝撃性
が急激に低下し、5%未満であると外観不良が目立つ。
【0041】ここでいう小粒子部分の比率とは、超薄切
片法を用いて組成物の透過型電子顕微鏡写真を撮影し、
ゴム状重合体粒子1000個の円換算粒子径を測定し、次式
に従って算出した。
【0042】 小粒子部分の比率=Σ(Dsi)3/Σ(Di)3×100 (式中、DおよびDsは粒子径を示す。ただし、Dsは0.6μ
m未満の粒子径を持つ。) 本発明において、二峰性の粒子径分布を有するゴム変性
スチレン系樹脂組成物は種々の方法、例えば、(1) ゴム
状重合体としてエポキシ変性ブロック共重合体とポリブ
タジエンゴムの2種を用い、スチレン系単量体を重合す
る方法、(2) 小粒径のゴム粒子を含有するゴム変性スチ
レン系樹脂組成物と大粒子径のゴム粒子を含有するゴム
変性スチレン系樹脂組成物とを個別に製造し、混合機や
押出機などでブレンドする方法、(3) 二つの重合反応器
を用いて、小粒子のゴム状重合体を含む重合液と大粒子
のゴム状重合体を含む重合液とをそれぞれ別に調製し、
両者を混合して重合を完結させる方法、(4) 粒子分散機
をインターバル運転する等の方法を用い、重合過程で小
粒子と大粒子のゴム状重合体を同時に形成させる方法、
等により製造できるが、コストとプロセスの面から(1)
ゴム状重合体としてエポキシ変性ブロック共重合体とポ
リブタジエンゴムの2種を用い、スチレン系単量体を重
合する方法が望ましい。
【0043】ゴム状重合体の粒子径の制御は、粘度の異
なるゴム状重合体を使用する、又は、スチレン系単量体
とゴム状重合体との混合液を重合する過程で、重合温
度、撹拌速度、開始剤量等を変化させる、等の方法によ
って可能である。
【0044】さらに、本発明のゴム変性スチレン系樹脂
組成物は、必要に応じてステアリン酸亜鉛、ステアリン
酸カルシウム、又は、エチレンビスステアリルアミド等
の滑剤、ミネラルオイルなどの可塑剤、フェノール系や
リン系の酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止
剤、充填剤、着色剤、ジメチルシリコーンオイル等の添
加物を含んでいてもよい。
【0045】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物
は、ビーズ又はペレット状のポリスチレンと混合あるい
は溶融混練した樹脂組成物としても用いることもでき
る。さらに、ポリスチレン以外のポリマー、例えばスチ
レン−ブタジエン共重合ゴム、ポリフェニレンエーテ
ル、ポリカーボネート等と混合あるいは溶融混練した樹
脂組成物としても用いることもできる。
【0046】
【発明の効果】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物
は、複雑なプロセスを用いなくても高い衝撃強度、か
つ、優れた表面光沢を有する品質バランスの優れた成形
物を得ることができる。
【0047】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。なお、実施例及び比較例において、ア
イゾット衝撃強度はJIS K-6871、また、表面光沢はJIS
Z-8742に準拠して測定した。
【0048】実施例1 内容積30リットルの重合反応容器に、スチレンモノマー
91重量%と、ポリブタジエンゴム(日本ゼオン(株)製
BR1220SG、5%スチレン溶液粘度72cps)7重量%、エポ
キシ変性ブロック共重合体(スチレン含量40重量%、エ
ポキシ当量560)2重量%の混合溶液20kgを仕込み、連鎖
移動剤としてターピノーレン5gを添加する。これを撹
拌回転数40rpm で撹拌しながら、 120℃の重合温度で3
時間、続いて 140℃の重合温度で2時間重合させ、さら
に撹拌回転数20rpm で撹拌しながら 150℃の重合温度で
2時間重合させた後、 220℃、20分間の脱揮過程を経
て、ペレット状の樹脂組成物を得た。これを射出成形し
て物性測定用試験片を作成し、アイゾット衝撃強度と表
面光沢を測定した。さらに透過型電子顕微鏡写真を撮影
し、分散ゴム粒子の平均粒子径を測定した。表1に該樹
脂組成物の各特性を示す。
【0049】実施例2 実施例1と同様な条件で仕込んだサンプルに、開始剤と
してt−ブチルパーオキシベンゾエート2gを添加し、
これを撹拌回転数40rpm で撹拌しながら、 115℃の重合
温度で3時間、続いて 135℃の重合温度で2時間重合さ
せ、さらに撹拌回転数20rpm で撹拌しながら 150℃の重
合温度で2時間重合させた後、 220℃、20分間の脱揮過
程を経て、ペレット状の樹脂組成物を得た。樹脂組成物
を評価したところ、表1に示す結果を得た。
【0050】実施例3 実施例1と同様な条件で仕込んだサンプルを、撹拌回転
数40rpm で撹拌しながら、 120℃の重合温度で3時間、
続いて撹拌回転数20rpm で撹拌しながら 140℃の重合温
度で2時間重合させ、さらに撹拌回転数10rpm で撹拌し
ながら 150℃の重合温度で2時間重合させた後、 220
℃、20分間の脱揮過程を経て、ペレット状の樹脂組成物
を得た。樹脂組成物を評価したところ、表1に示す結果
を得た。
【0051】実施例4 スチレンモノマー88.6重量%と、スチレンブタジエン共
重合体ゴム(旭化成(株)製タフデン2100AS、スチレン
含量25%、5%スチレン溶液粘度85cps)9.4重量%、エポ
キシ変性ブロック共重合体(スチレン含量40重量%、エ
ポキシ当量560)2重量%の混合液20kgを仕込み、連鎖移
動剤としてターピノーレン5gを添加した原料溶液を用
いたこと以外は実施例3と同様の方法で樹脂組成物を得
た。
【0052】実施例5 表1に表す原料物質を用いたこと以外は実施例1と同様
の方法で樹脂組成物を得た。
【0053】比較例1 実施例1で使用しているエポキシ変性ブロック共重合体
をスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(旭化成(株)製
アサプレン 670A、スチレン含量40重量%、5%スチレ
ン溶液粘度35cps)に変更した他は実施例1と同様な方法
で樹脂組成物を得た。樹脂組成物を評価したところ、表
1に示す結果を得た。
【0054】比較例2 実施例1で使用していたエポキシ変性ブロック共重合体
を使用せず、ポリブタジエンゴムを8重量%に、スチレ
ンモノマー量を92重量%に変更した他は実施例1と同様
な方法で樹脂組成物を得た。樹脂組成物を評価したとこ
ろ、表1に示す結果を得た。
【0055】比較例3 実施例4で使用したエポキシ変性ブロック共重合体を使
用せず、スチレンブタジエン共重合体ゴムを11重量%
に、スチレンモノマーを89重量%使用したこと以外は実
施例4と同様の方法で樹脂組成物を得た。
【0056】
【表1】
【0057】表1から明らかなように、実施例1〜5
は、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物であり、本
発明の目的とする衝撃強度及び表面光沢が得られてい
る。しかしながら、比較例1ではゴム状重合体が均一な
平均粒子径を持つために、衝撃強度や表面光沢が劣って
いる。また、比較例2では大粒子のゴム状重合体のみが
存在しているために衝撃強度は高いが、表面光沢が大き
く低下している。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系重合体(C)からなるマトリ
    ックス中に、粒子状のゴム状重合体が分散しており、該
    ゴム状重合体が下記(A)および(B)からなるゴム変
    性スチレン系樹脂組成物。 (A)スチレン系単量体と共役ジエンとのブロック共重
    合体のエポキシ化物 (B)無変性合成ゴム
  2. 【請求項2】 成分(B)として重合アルカジエンを用い
    る請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 成分(B)がポリブタジエンまたはスチレ
    ン系単量体とブタジエンとの共重合体ゴムである請求項
    1又は2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 成分(A)がスチレン系単量体と共役ジエン
    とのブロック共重合体のエポキシ化物であり、成分
    (B)がポリブタジエンである請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の組成物。
  5. 【請求項5】成分(B)として単独の無変性ゴムを用い
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 【請求項6】(A)と(B)との重量比が(A):
    (B)=50:50〜1:99の範囲である請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載の組成物。
  7. 【請求項7】(A)が、20〜60重量%のスチレンと80〜
    40重量%の共役ジエンとのブロック共重合体のエポキシ
    化物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成
    物。
  8. 【請求項8】(A)が、24〜60重量%のスチレンと76〜
    40重量%の共役ジエンとのブロック共重合体のエポキシ
    化物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成
    物。
  9. 【請求項9】(A)のエポキシ当量が 140〜7000である
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 【請求項10】(A)のエポキシ当量が 140〜2700であ
    る請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。又は2
    記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 ゴム状重合体粒子が、(イ)平均粒子
    径 0.1〜0.6 μmの小粒子部分と、(ロ)平均粒子径
    0.7〜4.0 μmの大粒子部分とからなる請求項1〜10
    のいずれか1項に記載の組成物。
  12. 【請求項12】(イ)小粒子部分と(ロ)大粒子部分の
    重量比が75:25〜5:95の範囲である請求項11記載の
    組成物。
  13. 【請求項13】(イ)小粒子部分と(ロ)大粒子部分の
    重量比が45:55〜5:95の範囲である請求項11記載の
    組成物。
  14. 【請求項14】 請求項1記載の組成物よりなる成形
    体。
JP7334197A 1996-03-26 1997-03-26 ゴム変性スチレン系樹脂組成物とその成形体 Pending JPH09316280A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7334197A JPH09316280A (ja) 1996-03-26 1997-03-26 ゴム変性スチレン系樹脂組成物とその成形体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8-69733 1996-03-26
JP6973396 1996-03-26
JP7334197A JPH09316280A (ja) 1996-03-26 1997-03-26 ゴム変性スチレン系樹脂組成物とその成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09316280A true JPH09316280A (ja) 1997-12-09

Family

ID=26410894

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7334197A Pending JPH09316280A (ja) 1996-03-26 1997-03-26 ゴム変性スチレン系樹脂組成物とその成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09316280A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002226663A (ja) * 2001-02-05 2002-08-14 Dainippon Ink & Chem Inc 透明スチレン系樹脂組成物及び成形品
KR100375817B1 (ko) * 2000-12-08 2003-03-15 제일모직주식회사 고광택 및 고내충격성을 갖는 열가소성 수지 조성물 및 그제조방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100375817B1 (ko) * 2000-12-08 2003-03-15 제일모직주식회사 고광택 및 고내충격성을 갖는 열가소성 수지 조성물 및 그제조방법
JP2002226663A (ja) * 2001-02-05 2002-08-14 Dainippon Ink & Chem Inc 透明スチレン系樹脂組成物及び成形品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8097680B2 (en) Low gloss thermoplastic resin having excellent heat resistance and impact strength and method of preparing the same
WO1998007783A1 (fr) Caoutchouc de butadiene et compositions a base de resine vinylique aromatique resistantes aux chocs
CN1064975C (zh) 制备用橡胶增强的乙烯基芳族共聚物的方法
JPH09316280A (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物とその成形体
EP2202273B1 (en) Thermoplastic resin having excellent heat resistance and impact strength and method of preparing the same
JP2584211B2 (ja) 耐衝撃性スチレン系樹脂組成物
EP1192195B1 (en) Bimodal rubbers and rubber modified high impact monovinylidene aromatic polymers produced therefrom
JP4260304B2 (ja) ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物の製造方法
JP2001089620A (ja) ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物
JP2001139765A (ja) ポリカーボネート樹脂/abs系樹脂組成物
JPH0597938A (ja) ゴム変性ビニル芳香族系樹脂組成物及びその製造方法
JP4834262B2 (ja) 透明な電子部品包装用成形体
JP3589369B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JP2000178403A (ja) ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物およびその製造方法
JP2002020575A (ja) ゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂組成物
JPH0827234A (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JP3876940B2 (ja) 芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴム、その製造方法、及び樹脂組成物
JP4920145B2 (ja) ゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂組成物およびその製造方法
JP3338325B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製法
JPH06228246A (ja) ゴム変性耐衝撃性スチレン系樹脂組成物及びその製造 方法
JPH08199021A (ja) 成形性に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物
JP3301850B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JPH10330438A (ja) ポリブタジエンゴムを用いたゴム変性芳香族ビニル樹脂及びその製造方法
JPH0680855A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2002179715A (ja) ゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂組成物およびその製造方法