JPH09312901A - 電気自動車の電力制御装置 - Google Patents

電気自動車の電力制御装置

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JPH09312901A
JPH09312901A JP8127399A JP12739996A JPH09312901A JP H09312901 A JPH09312901 A JP H09312901A JP 8127399 A JP8127399 A JP 8127399A JP 12739996 A JP12739996 A JP 12739996A JP H09312901 A JPH09312901 A JP H09312901A
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battery
power
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Tadashi Tsuji
匡 辻
Naoki Amada
直樹 天田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池の充放電電力を最適に制御する。 【解決手段】 放電電流増加時に測定した電池の電圧と
電流に基づいて電池の第1の電圧における放電電流を推
定し、この推定放電電流に基づいて電池の最大放電電力
を演算するとともに、推定放電電流よりも小さい所定の
放電電流に基づいて電池の放電電力を演算し、これらの
電力演算結果の内の小さい値に電池の放電電力を制限す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車に搭載
される電池の放電電力と回生充電電力を制御する装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】電気自動車のエネルギー源となる電池
は、放電反応あるいは充電反応の時間経過につれて放電
または充電可能な電力が変動するという特性を有してい
る。一方、電気自動車において、走行負荷に応じて必要
な充放電電力は走行パターンに応じて時々刻々変化す
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電気自動車の走行パタ
ーンに応じて必要な電力を常に電池から供給できれば問
題はないが、電池の放電深度、充放電電流、充放電時間
などの条件によっては走行パターンに応じた電力を供給
できないことがある。このような場合には、電池の端子
電圧が最大許容電圧Vmaxを越えたり、放電終止電圧Vm
inより低くならないように、充放電電力を制御する必要
がある。
【0004】本発明の目的は、電池の充放電電力を最適
に制御する電気自動車の電力制御装置を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1) 請求項1の発明は、電池の電圧を測定する電圧
測定手段と、電池に流れる電流を測定する電流測定手段
と、電圧測定手段と電流測定手段により測定された放電
電流増加時の電圧と電流に基づいて、電池の第1の電圧
における放電電流を推定する電流推定手段と、第1の電
圧における放電電流に基づいて電池の放電電力を演算す
る第1の演算手段と、第1の電圧における放電電流より
も小さい所定の放電電流に基づいて電池の放電電力を演
算する第2の演算手段と、電池の放電電力を、第1およ
び第2の演算手段により演算された電力の内の小さい方
に制限する電力制御手段とを備える。放電電流増加時に
測定した電池の電圧と電流に基づいて電池の第1の電圧
における放電電流を推定し、この推定放電電流に基づい
て電池の放電電力を演算するとともに、推定放電電流よ
りも小さい所定の放電電流に基づいて電池の放電電力を
演算し、これらの電力演算結果の内の小さい値に電池の
放電電力を制限する。 (2) 請求項2の電気自動車の電力制御装置は、電流
推定手段によって、電圧測定手段と電流測定手段により
測定された放電電流増加時の電圧と電流に基づいて、電
池の第2の電圧における充電電流を推定し、第1の演算
手段によって、第2の電圧における充電電流に基づいて
電池の充電電力を演算し、第2の演算手段によって、第
2の電圧における充電電流よりも小さい所定の充電電流
に基づいて電池の充電電力を演算し、電力制御手段によ
って、電池の充電電力を、第1および第2の演算手段に
より演算された電力の内の小さい値に制限する。放電電
流増加時に測定した電池の電圧と電流に基づいて電池の
第2の電圧における充電電流を推定し、この推定充電電
流に基づいて電池の充電電力を演算するとともに、推定
充電電流よりも小さい所定の充電電流に基づいて電池の
充電電力を演算し、これらの電力演算結果の内の小さい
値に電池の充電電力を制限する。 (3) 請求項3の電気自動車の電力制御装置は、所定
の放電電流と所定の充電電流を電気自動車の電動機の最
大定格電流に基づいて決定するようにしたものである。 (4) 請求項4の電気自動車の電力制御装置は、第1
の電圧を電池の放電終止電圧としたものである。 (5) 請求項5の電気自動車の電力制御装置は、第2
の電圧を前記電池の最大許容電圧としたものである。
【0006】
【発明の効果】
(1) 請求項1の発明によれば、電動機の最大定格電
流を低減することができるから、電動機およびインバー
タを小型化することができ、モータおよびインバータの
コストおよび重量を低減できる。 (2) 請求項2の発明によれば、請求項1と同様な効
果が得られる。 (3) 請求項3の発明によれば、請求項1の効果に加
え、電池が放電末期状態になっても電動機の最大定格電
流いっぱいまで放電することができ、大きな出力を維持
できる。 (4) 請求項4の発明によれば、電池の最大放電電流
を推定でき、正確な最大放電電力を求めることができ
る。 (5) 請求項5の発明によれば、電池の最大充電電流
を推定でき、正確な最大充電電力を求めることができ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は、一実施形態の電気自動車
の走行駆動機構の構成を示すブロック図である。力行時
には、電池11が放電してインバータ12に直流電力を
供給し、インバータ12は直流電力を交流電力に変換し
てモータ13に印加する。これにより、モータ13が走
行エネルギーを発生して車両が走行する。一方、回生時
には、車両の走行エネルギーがモータ13およびインバ
ータ12を介して電気エネルギーに逆変換され、電池1
1が充電されるとともに、車両に回生ブレーキがかか
る。電圧センサー14は電池11の両端電圧Vを検出
し、電流センサー15は電池11に流れる電流Iを検出
する。なお、電流Iは、モータ駆動時に電池11からイ
ンバータ12へ流れる方向を正とし、回生充電時にイン
バータ12から電池11へ流れる方向を負とする。コン
トローラ16は、電圧センサー14および電流センサー
15により検出された電圧Vと電流Iとに基づいて、電
池11の最大放電電力と最大充電電力を演算し、演算結
果に基づいてインバータ12の出力制御および回生制御
を行なう。
【0008】《電池の特性について》ここで、電池の特
性について説明する。ある種類の電池、例えばリチウム
イオン電池やニッケル水素電池は次のような特性を有し
ている。 (1) 図2に示すように、電池の放電深度(以下、D
OD(Depth of Discharge)と呼ぶ)が低い状態(〜60
%)では充電時と放電時の内部抵抗がほぼ一致する。 (2) 充放電時の電圧V−電流I特性の直線性がよ
い。この種の電池のこのような特性を利用すれば、DO
Dや温度などの電池の状態に応じた正確な最大放電電力
と最大充電電力を演算することが可能である。なお、電
池はリチウムイオン電池やニッケル水素電池に限定され
ず、上記特性を有する電池であればよい。
【0009】一般に、電池は、一定電流で放電した時に
放電反応の時間経過につれて電圧が低下し、一定電流で
充電した時に充電反応の時間経過につれて電圧が上昇す
るという特性を有している。図3は一定電流で放電した
時の電池の端子電圧Vの変化を示す。時刻t1からt3
までの期間、一定電流I1で放電を行なうと端子電圧V
は図のように変化する。放電開始時刻t1において、端
子電圧VはV0からV1まで0.1mS以下の瞬時に低下
する。この過渡電圧VXは電池の液抵抗や接触抵抗など
による電圧降下である。次に、時刻t1からt2までの
期間T1において、端子電圧VはV1からV2まで急激に
低下する。この低下時間は100mS以下であり、過渡
電圧VYは電池の電荷移動抵抗による電圧降下である。
さらに、時刻t2からt3までの期間T2において、端
子電圧VはV2からV3まで緩やかに低下する。この過渡
電圧VZは電解液の濃度分極による電圧降下であり、一
般にこの領域は拡散領域と呼ばれる。その後、放電停止
時刻t3を過ぎると、端子電圧Vは急激に回復する。期
間T1とT3は短時間に推移する過渡状態であり、期間
T2は電池の通常の使用状態である。このように、電池
の端子電圧は、放電電流に応じて変化するとともに、放
電反応の時間経過にともなって変化する。したがって、
放電反応の過渡状態における端子電圧に基づいて電池の
最大放電電力を演算すると誤差を生じ、場合によっては
放電時の端子電圧が電池の放電終止電圧以下に低下する
おそれがある。なお、放電終止電圧とは、これ以上放電
を継続できない電池の許容最小電圧である。
【0010】《最大充放電電力の演算方法》次に、電池
の最大放電電力と最大充電電力の演算方法を説明する。
まず、放電中の電池のV−I特性をサンプリングし、図
4に示すように、サンプリング結果をV−Iグラフにプ
ロットする(図中に×印で示す)。上述したように、こ
の種の電池では充放電時の内部抵抗がほぼ一致し、且つ
V−I特性の直線性がよいので、サンプリング結果のV
−I特性を直線回帰することができ、さらに回帰直線を
充電側および放電側に延長することができる。図におい
て、回帰直線のV軸切片Eoは電池の開放電圧を表わ
し、回帰直線の傾きは電池の内部抵抗Rを表わす。回帰
直線は、
【数1】V=Eo−I・R と表わすことができる。
【0011】回帰直線と充電時の最大許容電圧Vmaxと
の交点Aの電流ICmaxは充電許容値を与え、交点Aでは
次式が成立する。
【数2】Vmax=Eo−ICmax・R 同様に、回帰直線と放電時の放電終止電圧Vminとの交
点Bの電流IDmaxは放電許容値を与え、交点Bでは次式
が成立する。
【数3】Vmin=Eo−IDmax・R
【0012】最大充電電力PCは、上記数式2により、
【数4】 PC=Vmax・ICmax=Vmax・(Eo−Vmax)/R また、最大放電電力PDは、数式3により、
【数5】 PD=Vmin・IDmax=Vmin・(Eo−Vmin)/R となる。放電中のV−I特性のサンプリング値は、電池
のDODや温度などの電池の状態に応じた値であり、こ
のようなサンプリング値を直線回帰して求められる最大
充電電力PCと最大放電電力PDは、当然ながらDODや
温度などの電池の状態に応じた電力である。
【0013】ところで、電気自動車に搭載される電池の
放電終止電圧Vminは、通常、
【数6】Vmin≧Eo/2 の関係にある。一方、一般に電池の最大出力P、すなわ
ち最大放電電力Pは、
【数7】V=Eo/2 にて得られることが知られている。このため、電気自動
車用電池の放電終止電圧Vminが、
【数8】Vmin>Eo/2 の範囲に設定されると、上述した方法で演算された最大
放電電力PDは、一般の電池の最大放電電力よりも小さ
くなる。この明細書では、放電終止電圧Vminを数式6
の範囲内で設定し、設定した放電終止電圧Vminに対し
て演算された放電電力を電池の最大放電電力とする。
【0014】ところで、電気自動車のモータ13は、最
大定格電圧と最大定格電流を供給した時に最大出力を発
生し、電圧または電流が小さくなるにつれて出力が低下
する。電池11の端子電圧Vが放電終止電圧Vmin近く
まで低下した時には、最大出力を維持するために電圧が
低下した分だけ電流を増加する必要がある。ところが、
無制限に電流を増加することはできず、モータ13の最
大定格電流以下に制限しなければならない。このような
放電末期まで電池11を放電することは、実際には頻繁
に起きることではないと考えられるから、放電末期に一
次的に出力を制限することは十分に許容されることであ
る。その出力制限によって、モータ13の最大定格電流
を低減することができるから、モータ13およびインバ
ータ12を小型化することができ、コストおよび重量が
低減される。そこで、この実施形態では、最大充放電電
力の演算に際して最大充放電電流IDmaxをIDmax’に低
減する。
【数9】IDmax’<IDmax この低減電流IDmax’は、モータ13の最大定格電流に
基づいて決定する。
【0015】図5、図6は最大放電電力PDの演算に際
して最大放電電流IDmaxを低減しなかった場合のV−I
特性および最大電力特性を表わし、図7、図8は最大放
電電流IDmaxを低減した場合のV−I特性および最大電
力特性を表わす。これらの図において、PDは数式5に
より演算した最大放電電力であり、電池の能力を表わ
す。PI,PI’はそれぞれ最大放電電流IDmax,IDma
x’に基づいて次式により演算した最大放電電力であ
り、モータの能力を表わす。
【数10】PI=IDmax(Eo−IDmax・R), PI’=IDmax’(Eo−IDmax’・R) また、PMはモータ13の最大出力を表わし、PM’は規
定モード走行を保証可能なモータ出力を表わす。電流I
Dmaxを低減せずに電力PDを演算した場合には、図6に
示すJ1点周辺において、モータ能力PIが電池能力P
Dより大きくなるようにして、電池能力PDいっぱいまで
出力を維持しようとすると、上述したようにモータ電流
を大きくしなければならず、モータおよびインバータが
大型になって重量およびコストが増加する。
【0016】しかし、図7に示すように電流IDmaxをI
Dmax’まで低減して電力PDを演算した場合には、図8
に示すJ2点からJ3点までの範囲の放電末期領域にお
いて出力がわずかに制限されるだけで、モータおよびイ
ンバータのコスト、重量、大きさを増加させずにすむ。
もちろん、規定モード走行を保証するためのモータ出力
PM’は確保される。この実施形態では、数式5により
最大放電電力PDを演算するとともに、数式10により
最大放電電力PI’を演算し、いずれか小さい方を最終
的な最大放電電力PD’とする。なお、最大充電電力の
演算においても同様に、最大充電電流ICmaxをモータ1
3の最大定格電流に基づいて決定した電流ICmax’に低
減し、これらの最大充電電流ICmax,ICmax’に基づい
て演算した最大放電電力(モータ能力)を演算するとと
もに、上記数式4により最大充電電力PC(電池能力)
を演算する。そして、いずれか小さい方を最終的な最大
充電電力PC’とする。
【0017】《電池のV−I特性のサンプリング方法》
次に、電池のV−I特性のサンプリング方法を説明す
る。電池の電圧Vと電流Iとの関係は上記数式1により
表わされる。ところが、上述したように、電池の端子電
圧Vは放電反応の時間経過につれて変化し、同一の放電
電流において電圧をサンプリングしても反応段階が違え
ば同一の電圧が得られない。逆に、同一の電圧において
電流をサンプリングしても反応段階が違えば同一の電流
は得られない。つまり、電池自体の化学反応の段階によ
って端子電圧Vと放電電流Iが変化するので、時々刻々
の電池の能力を正確に推定するためには、電池の反応段
階を考慮してV−I特性のサンプリングを行なう必要が
ある。
【0018】図9は、放電中の端子電圧Vと放電電流I
のサンプリングタイミングを説明する図である。一般
に、電池は、放電電流の減少時には電流の変化に対して
電圧の変化が遅れるという性質がある。そのため、端子
電圧Vと放電電流Iのサンプリングに際しては放電反応
から充電反応、放電反応から放電停止、あるいは平衡状
態から放電反応または充電反応というような、異なる反
応形態間の過渡現象と放電電流の減少時とを除くため
に、放電電流の立ち上がりを検出し、放電電流増加時の
端子電圧Vと放電電流Iをサンプリングする。また、過
渡領域(図3の過度電圧VX,VYを生じる期間T1)に
おける不安定な端子電圧Vと放電電流Iのサンプリング
を避けるために、放電電流の立ち上がりから所定時間Δ
t後の端子電圧Vと放電電流Iをサンプリングする。
【0019】ここで、放電電流の立ち上がりは電流Iと
その変化率dI/dtが共に正となった時点とする。な
お、この放電電流の立ち上がり点は電池の放電反応の開
始点である。図9の例では、t1,t3,t5が放電電
流の立ち上がり点になり、それらの時点から所定時間Δ
t後のt2,t4,t6時点においてそれぞれ、端子電
圧V1,V2,V3と放電電流I1,I2,I3をサン
プリングする。これにより、電池の状態が急激に変化す
る不安定な過渡領域における測定が避けられ、安定な拡
散領域における電池の端子電圧Vと放電電流Iを測定す
ることができる。なお、V−I特性のサンプリングに際
しては、放電電流の立ち上がりから所定時間内に新たに
放電電流の立ち上がりがあった場合には、その時点から
改めて計時を開始し、所定時間後に端子電圧Vと放電電
流Iをサンプリングする。
【0020】ところで、V−I特性のサンプリングタイ
ミングを放電電流の立ち上がりから所定時間後の1点だ
けにすると、次のような問題が生じる。図10は、放電
電流の立ち上がりから所定時間Δt後に放電電流Iと端
子電圧Vをサンプリングした時の様子を示す。また、図
11はサンプリング結果をV−Iグラフにプロットし、
直線回帰したものである。この電池の最大放電電力P
D’は上述した方法により求められる。演算された最大
放電電力PD’は、放電電流の立ち上がりから所定時間
Δt後のサンプリング結果に基づいて得られたものであ
るから、所定時間Δtだけ放電可能な最大電力である。
ところが、この最大放電電力PD’でΔt時間を越える
放電を行なうと、図11に直線Cで示すように、放電途
中で端子電圧Vが放電終止電圧Vmin以下になってしま
う。
【0021】つまり、電池の放電可能な電力は反応段階
により異なるので、必要な放電時間に応じたV−Iデー
タのサンプリングを行なう必要がある。そこで、放電電
流の立ち上がり後、複数の時点でV−I特性のサンプリ
ングを行なうことにする。図12は、放電電流の立ち上
がりから所定時間Δt1後とΔt2後に放電電流Iと端
子電圧Vをサンプリングした時の様子を示す。また、図
13はサンプリング結果をV−Iグラフにプロットし、
直線回帰したものである。図13において、直線Dは放
電電流の立ち上がりから所定時間Δt1後のサンプリン
グデータ(×印)に基づく回帰直線であり、直線Eは放
電電流の立ち上がりから所定時間Δt2後のサンプリン
グデータ(○印)に基づく回帰直線である。また、直線
Fは、放電電流の立ち上がりから所定時間Δt1後とΔ
t2後のサンプリングデータ(×と○の両方)に基づく
回帰直線である。この回帰直線Fにより最大放電電力P
D’を求めれば、放電電流と放電時間が異なる種々の放
電形態に対する平均的な最大電力を得ることができる。
【0022】図14は、電気自動車の通常の走行パター
ンにおいて複数の時点でV−I特性のサンプリングをし
た例を示す。この例では、放電電流の立ち上がりから1
秒後と3秒後にサンプリングを行なう。また、図15は
サンプリング結果をV−Iグラフにプロットし、直線回
帰したものである。図15において、直線Gは放電電流
の立ち上がりから1秒後のサンプリングデータ(×印)
に基づく回帰直線であり、直線Hは放電電流の立ち上が
りから3秒後のサンプリングデータ(○印)に基づく回
帰直線である。また、直線Jは、放電電流の立ち上がり
から1秒後と3秒後のサンプリングデータ(×と○の両
方)に基づく回帰直線である。
【0023】図16は、図14と図15に示すサンプリ
ングデータをサンプリングタイミングΔtと放電電流I
により分類したものである。1秒後のサンプリングでは
5個のデータが採取され、3秒後のサンプリングでは3
個のデータが採取された。しかし、図15に示すよう
に、Δtが小さい1秒後のサンプリングデータは低電流
領域に集中しやすく、したがってこれらのデータによる
回帰演算精度は低い。一方、Δtが大きい3秒後のサン
プリングデータは広い電流範囲に分布するものの、デー
タ数が少なくなりやすく、やはり回帰演算精度が低い。
ところが、放電電流の立ち上がりから複数の時点、すな
わち1秒後と3秒後のサンプリングデータは当然データ
数が多く、また電流Iと電圧Vの広い範囲に分布してい
るので、回帰演算精度が高くなる。したがって、これら
のデータによる回帰直線Jから最大放電電力PD’を演
算すれば、放電電流と放電時間が異なる種々の放電形態
に対する理想的な平均最大電力を得ることができる。ま
た、複数の時点のサンプリングデータに基づいて回帰演
算精度が向上すれば、図4に示すように、算出された回
帰直線を充電側に延長して正確な最大充電電力PC’を
求めることができる。
【0024】なお、図12〜図15に示すサンプリング
例では、放電電流の立ち上がり後の2時点でサンプリン
グを行なう例を示したが、サンプリングタイミングは3
つ以上としてもよい。また、V−I特性のサンプリング
に際しては、放電電流の立ち上がりから所定時間内に新
たに放電電流の立ち上がりがあった場合には、その時点
から改めて計時を開始し、所定時間後に端子電圧Vと放
電電流Iをサンプリングする。
【0025】《V−I特性のサンプリングデータの記憶
方法》上述した複数のタイミングでサンプリングしたデ
ータは、次の方法でストックする。放電電流Iの範囲を
複数の領域に分割し、各領域ごとに所定個数のストック
メモリを用意する。例えば図17に示すように、放電電
流の範囲を5つの領域に分割し、各領域ごとに3個ずつ
ストックメモリを用意する。そして、所定のサンプリン
グ時間中に、上述したタイミングで電流inと電圧vn
(nはサンプリング順位を示す)とをサンプリングし、
電流領域ごとに分類してストックする。電流領域におけ
るデータが所定個数に達したら、最も古いデータを消去
して最新のデータをストックする。例えば図17の例に
おいて、(i8,v8)のデータがサンプリングされ、そ
のデータがI2〜I3領域に含まれる場合には、その領域
の最も古いデータ(i3,v3)を消去し、代りに最新の
データ(i8,v8)を記憶する。このサンプリングデー
タのストック方法によれば、各分割電流領域ごとに一次
回帰するのに充分な所定個数のデータしかストックしな
いので、特定の分割電流領域に集中したサンプリングデ
ータに基づくV−I特性の直線回帰が避けられ、端子電
圧と放電電流の広い範囲のサンプリングデータに基づい
て正確な直線回帰が可能となり、正確な最大充放電電力
PD’,PC’を推定できる。また、分割電流領域ごとに
所定個数のサンプリングデータをストックするので、放
電電流範囲内の広い範囲のサンプリングデータを用いて
正確な直線回帰を行なうことができ、正確な最大充放電
電力PD’,PC’を推定できる上に、コントローラに膨
大なメモリ容量を確保する必要もなくなる。
【0026】V−I特性のサンプリングは所定時間内ま
たは所定の放電電気量ごとに行ない、上記方法でストッ
クしたデータに基づいて最大放電電力PD’と最大充電
電力PC’を演算する。最大放電電力PD’と最大充電電
力PC’の演算を終了したらメモリにストックされてい
るサンプリングデータをすべて消去し、次のサンプリン
グ時間には改めてデータをストックする。これにより、
電池の最新の状態における端子電圧Vと放電電流Iをサ
ンプリングすることができ、最新の電池状態におけるサ
ンプリングデータに基づいて正確な最大放電電力PD’
と最大充電電力PC’を演算できる。
【0027】《充放電電力の演算処理》図18は、コン
トローラ16の電力演算処理を示すフローチャートであ
る。コントローラ16は、電気自動車の運行中はこの処
理を繰り返し実行する。ステップ1において、放電電流
増加時の複数の時点で電圧Vと電流Iをサンプリング
し、上述した方法でサンプリングデータをストックす
る。このサンプリングは所定時間内、または所定の放電
電気量ごとに行なう。サンプリングが終了したら、ステ
ップ2で狭い電流範囲における回帰演算を防止して演算
精度を上げるため、3つ以上の分割電流領域にサンプリ
ングデータがストックされているか否かを確認する。3
つ以上の領域にデータがストックされていればステップ
3へ進み、ストックデータによりV−I特性を直線回帰
する。一方、ステップ2において3つ以上の分割電流領
域にサンプリングデータがストックされていなかった時
は、最大充放電電力PD’,PC’の演算は行なわない。
ステップ4において、回帰直線により放電終止電圧Vmi
nにおける電流IDmaxを求め、上記数式5により最大放
電電力PDを演算するとともに、低減した電流IDmax’
に基づいて数式10により最大放電電力PI’を演算
し、いずれか小さい方を最終的な最大放電電力PD’と
する。また、最大許容電圧Vmaxにおける電流ICmaxを
求め、上記数式4により最大充電電力PCを演算すると
ともに、低減した電流ICmax’に基づいて最大放電電力
を演算し、いずれか小さい方を最終的な最大放電電力P
C’とする。
【0028】《出力制限処理》力行時の車両の走行パタ
ーンによっては、最大放電電力PD’を越える走行負荷
がかかることがある。最大放電電力PD’は、放電電流
の立ち上がりから比較的、短時間の間にサンプリングさ
れたデータに基づいて演算された電力であり、短時間に
放電可能な電力ということができる。例えば、電力演算
時のサンプリング間隔よりも長い時間、大電流の放電が
行なわれると、最大放電電力PD’を越えてしまい、端
子電圧Vが放電終止電圧Vmin以下になる。また、放電
深度DODが増加すれば最大放電電力PD’は低下する
ので、最大放電電力PD’の演算間隔よりも長い時間、
大電流の放電が行なわれた時も同様な結果になる。な
お、放電電流の立ち上がりから所定時間後、長時間にわ
たって複数の時点でV−I特性をサンプリングし、その
ようなサンプリング結果に基づいて最大放電電力PDを
演算すれば、長時間の放電に対する最大放電電力PD’
を演算することができる。しかし、長時間の放電が行な
われることは少ないので、放電電流の立ち上がりから長
時間後のデータの数は少なくなり、そのようなデータを
含めて回帰直線の演算を行なうと回帰直線の精度を低下
させるおそれがあり、好ましくない。一方、演算された
最大放電電力PD’は多少の誤差を含むことがある。車
両の走行パターンに応じて最大出力が要求され、最大放
電電力PD’まで放電を行なった時に、最大放電電力P
D’に誤差があるとその分だけ端子電圧Vが放電終止電
圧Vminを下回ってしまう。
【0029】そこで、図19に示すように、端子電圧V
が基準電圧V1以下になった時に制限係数Kにより最大
放電電力PD’を補正し、出力制限を行なう。この出力
制限は所定時間T2ごとに繰り返し、端子電圧Vが基準
電圧V1以上になるまで行なう。図19において、時刻
t1で放電を開始し、放電電力が最大放電電力PD’を
越えたとする。端子電圧Vが基準電圧V1以下になった
時刻t2で、制限係数Kを1からkに更新する。制御遅
延時間T1後の時刻t3で、最大放電電力はk・PD’
に制限される。この結果、放電電流Iが減少し、端子電
圧Vが増加する。時刻t2からT2時間後の時刻t4に
おいて、端子電圧Vと基準電圧V1を比較し、V<V1で
あれば制限係数Kを更新して出力を制限し、V≧V1で
あれば制限係数Kおよび最大放電電力PD’を変更しな
い。この例では、時刻t4でV<V1であるから、制限
係数Kをk2とする。制御遅延時間T1後の時刻t5
で、最大放電電力がk2・PD’に制限され、放電電流I
が減少し、端子電圧Vが増加する。次に、時刻t4から
T2時間後の時刻t6においても、V<V1であるから
制限係数Kをk3に更新する。制御遅延時間T1後の時
刻t7で、最大放電電力がk3・PD’に制限される。そ
の結果、放電電流Iが減少し、端子電圧Vが増加する。
時刻t6からT2時間後の時刻t8では、端子電圧Vが
基準電圧V1よりも高く、したがって制限係数Kを更新
しない。
【0030】放電開始直後の時刻t1からt8までの期
間は、放電電力がオーバーシュートし、最大放電電力P
D’がT2時間ごとに頻繁に制限されている。上述した
ように、この放電開始直後の放電電力のオーバーシュー
トは最大放電電力PD’の演算誤差に起因するものであ
る。一方、定常状態になった時刻t9において、ふたた
びV<V1が検出され、制限係数Kがk4に更新される。
制御遅延時間T1後の時刻t10で、最大放電電力P
D’がk4・PD’に制限され、放電電流Iが減少し、端
子電圧Vが増加する。この定常状態における放電電力の
超過は、上述したように長時間にわたって放電が継続し
たためである。時刻t12において放電モードから回生
充電モードに切り換わると、端子電圧Vは急激に上昇
し、この時点において制限係数Kを1にリセットする。
【0031】なお、基準電圧V1は、
【数11】V1≧Vmin を満たす任意の値を選択することができる。また、出力
制限処理の繰り返し時間T2は制御遅延時間T1よりも
長い時間とし、定数kは放電電力のオーバーシュートが
所定の収束時間内に0になる最適な値を設定する。制限
係数Kの最小値を0.1とし、それ以下は0と見なす。
例えば収束時間を3Sとする。k=0.8とした場合、
n=10でKが0.1よりも小さくなるから、繰り返し
時間T2を300mSに選べば3Sで制限係数Kが0と
なり、出力電力が0となる。
【0032】図20は出力制限処理を示すフローチャー
トである。コントローラ16は放電が開始されるとこの
処理を実行する。ステップ11において、端子電圧Vを
基準電圧V1と比較し、V<V1であればステップ12へ
進み、V≧V1であればステップ18へ進む。V≧V1の
時は、ステップ18で電流Iが負か、すなわち放電モー
ドから回生充電モードに切り換わったかどうかを確認す
る。放電モードのままであればステップ11へ戻り、回
生充電モードに切り換わるとステップ17へ進む。ステ
ップ17では、出力制限回数を示す変数nに0を設定し
て処理を終了する。一方、V<V1の時は、ステップ1
2で出力制限回数を示す変数nをインクリメントする。
なお、変数nの初期値は0である。ステップ13で制限
係数Kを設定する。第1回目の出力制限時にはn=1で
あるから、制限係数Kはkである。ステップ14で、演
算された最大放電電力PD’に制限係数Kを乗じて補正
する。ステップ15では、タイマーにT2時間を設定し
てスタートさせる。このT2時間は、図15で説明した
出力制限処理の繰り返し時間である。ステップ16で、
電流Iが負か、すなわち放電モードから回生充電モード
に切り換わったかどうかを確認し、回生充電モードに切
り換わったらステップ17へ進み、変数nに0を設定し
て処理を終了する。一方、放電モードが継続している時
はステップ19へ進み、タイマーがタイムアップしてT
2時間が経過したかどうかを確認する。T2時間が経過
したらステップ11へ戻り、上記処理を繰り返す。
【0033】《回生制限処理》力行時と同様に回生充電
時においても、車両の走行パターンによっては最大充電
電力PC’を越える回生電力が発生することがある。最
大充電電力PC’は、放電電流の立ち上がりから比較
的、短時間の間にサンプリングされたデータに基づいて
演算された電力であり、短時間に回生充電可能な電力と
いうことができる。例えば、電力演算時のサンプリング
間隔よりも長い時間、大電流の回生充電が行なわれる
と、最大充電電力PC’を越えてしまい、端子電圧Vが
最大許容電圧Vmaxを越える。また、演算された最大充
電電力PC’は多少の誤差を含むことがある。車両の走
行パターンに応じて最大回生ブレーキ力が要求され、最
大充電電力PC’で充電を行なった時に、最大充電電力
PC’に誤差があるとその分だけ端子電圧Vが最大許容
電圧Vmaxを越えてしまう。
【0034】そこで、図21に示すように、端子電圧V
が基準電圧V2を越えた時に制限係数Kにより最大充電
電力PC’を補正し、回生制限を行なう。この回生制限
は所定時間T2ごとに繰り返し、端子電圧Vが基準電圧
V2以下になるまで行なう。図21において、時刻t1
で回生充電を開始し、充電電力が最大充電電力PC’を
越えたとする。端子電圧Vが基準電圧V2を越えた時刻
t2で、制限係数Kを1からkに更新する。制御遅延時
間T1後の時刻t3で、最大充電電力PC’がk・PC’
に制限される。この結果、充電電流Iおよび端子電圧V
が減少する。時刻t2からT2時間後の時刻t4におい
て、端子電圧Vと基準電圧V2を比較し、V>V2であれ
ば制限係数Kを更新して出力を制限し、V≦V2であれ
ば制限係数Kおよび最大充電電力PC’を変更しない。
この例では、時刻t4でV>V2であるから、制限係数
Kをk2とする。制御遅延時間T1後の時刻t5で、最
大充電電力がk2・PC’に制限され、充電電流Iおよび
端子電圧Vが減少する。次に、時刻t4からT2時間後
の時刻t6においても、V>V2であるから制限係数K
をk3に更新する。遅延時間T1後の時刻t7で最大充
電電力がk3・PC’に制限され、放電電流Iおよび端子
電圧Bが減少する。時刻t6からT2時間後の時刻t8
では、端子電圧Vが基準電圧V2よりも低く、したがっ
て制限係数Kを更新しない。
【0035】回生充電開始直後の時刻t1からt8まで
の期間は、充電電力がオーバーシュートし、最大充電電
力PC’がT2時間ごとに頻繁に制限されている。上述
したように、この回生充電開始直後の充電電力のオーバ
ーシュートは最大充電電力PC’の演算誤差に起因する
ものである。一方、定常状態になった時刻t9におい
て、ふたたびV>V2が検出され、制限係数Kがk4に更
新される。制御遅延時間T1後の時刻t10で、最大充
電電力がk4・PC’に制限され、充電電流Iおよび端子
電圧Vが減少する。この定常状態における充電電力の超
過は、上述したように長時間にわたって充電が継続した
ためである。時刻t12において回生充電モードから放
電モードに切り換わると、端子電圧Vは急激に低下し、
この時点において制限係数Kを1にリセットする。
【0036】なお、基準電圧V2は、
【数12】V2≦Vmax を満たす任意の値を選択することができる。また、回生
制限処理の繰り返し時間T2は制御遅延時間T1よりも
長い時間とし、定数kは充電電力のオーバーシュートが
所定の収束時間内に0になる最適な値を設定する。制限
係数Kの最小値を0.1とし、それ以下は0と見なす。
例えば、収束時間を3Sとする。k=0.8とした場
合、n=10でKが0.1よりも小さくなるから、繰り
返し時間T2を300mSに選べば3Sで制限係数Kが
0となり、回生電力が0となる。上述した出力制限処理
と回生制限処理では、同一の時間間隔T2で制限処理を
行なう例を示したが、出力制限と回生制限においてそれ
ぞれ別個の時間間隔でそれぞれの制限処理を行なうよう
にしてもよい。
【0037】図22は回生制限処理を示すフローチャー
トである。コントローラ16は回生充電が開始されると
この処理を実行する。ステップ21において、端子電圧
Vを基準電圧V2と比較し、V>V2であればステップ2
2へ進み、V≦V2であればステップ28へ進む。V≦
V2の時は、ステップ28で電流Iが正か、すなわち回
生充電モードから放電モードに切り換わったかどうかを
確認する。回生充電モードのままであればステップ21
へ戻り、放電モードに切り換わるとステップ27へ進
む。ステップ27では、回生制限回数を示す変数nに0
を設定して処理を終了する。一方、V>V2の時は、ス
テップ22で回生制限回数を示す変数nをインクリメン
トする。なお、変数nの初期値は0である。ステップ2
3で制限係数Kを設定する。第1回目の出力制限時には
n=1であるから、制限係数Kはkである。ステップ2
4で、演算された最大充電電力PC’に制限係数Kを乗
じて補正する。ステップ25では、タイマーにT2時間
を設定してスタートさせる。このT2時間は、図21で
説明した回生制限処理の繰り返し時間である。ステップ
26で、電流Iが負か、すなわち回生充電モードから放
電モードに切り換わったかどうかを確認し、放電モード
に切り換わったらステップ27へ進み、変数nに0を設
定して処理を終了する。一方、回生充電モードが継続し
ている時はステップ29へ進み、タイマーがタイムアッ
プしてT2時間が経過したかどうかを確認する。T2時
間が経過したらステップ21へ戻り、上記処理を繰り返
す。
【0038】なお、図2に示すように、DODが60%
を越えると、放電時の内部抵抗Rと充電時の内部抵抗R
の差が大きくなり、演算される最大充電電力PC’は大
きな誤差を含む。しかし、DODが60%を越える状態
では、電池の真の最大充電電力がインバーター12から
回生される最大電力よりも十分に大きいため、最大充電
電力の演算値PC’に大きな誤差があっても問題になら
ない。
【0039】−発明の実施の形態の変形例− 上述した実施形態では、電圧センサー14により電池1
1の両端の端子電圧Vを測定し、電力演算、出力制限お
よび回生制限を行なう例を示した。通常、電気自動車に
は複数の単セルを直列に接続した組電池が用いられるの
で、各単セルの両端電圧(以下、セル電圧と呼ぶ)を測
定し、セル電圧に基づいて電力演算、出力制限および回
生制限を行なうようにしてもよい。図23は、セル電圧
に基づいて充放電電力の演算と出力制限および回生制限
を行なう場合の変形例の構成を示す。電池11Aはn個
の単セル111〜11nが直列に接続されており、各単
セルには電圧センサー141〜14nが並列に接続され
る。これらの電圧センサー141〜14nの出力はコン
トローラ16Aに接続される。その他の構成は図1に示
す構成と同様である。
【0040】最大充放電電力PD’,PC’の演算に際し
ては、各電圧センサー141〜14nの検出電圧を加算
して電池11Aの両端の端子電圧Vとし、上述した方法
で最大充放電電力PD’,PC’を演算する。出力制限処
理に際しては、上述した基準電圧V1に相当する単セル
の基準電圧V1’を設定し、電圧センサー141〜14
nで検出される最小のセル電圧と基準電圧V1’を比較
しながら上述した方法で出力制限を行なう。また、回生
制限処理に際しては、上述した基準電圧V2に相当する
単セルの基準電圧V2’を設定し、電圧センサー141
〜14nで検出される最大のセル電圧と基準電圧V2’
を比較しながら上述した方法で回生制限を行なう。
【0041】−発明の実施の形態の他の変形例− 上述した図23に示す変形例では、電池のセル電圧と電
流に基づいて最大充放電電力の演算と出力/回生制限を
行なう例を示したが、電池のセル電圧、端子電圧および
電流に基づいて最大充放電電力の演算と出力/回生制限
を行なう他の変形例を説明する。この変形例では、図2
4に示すように、上述した図23に示す変形例の構成に
電池11Aの端子電圧Vを測定する電圧センサー14を
付加する。最大充放電電力PD’,PC’の演算に際して
は、端子電圧センサー14により測定した端子電圧Vと
放電電流Iとに基づいて上述した方法で最大充放電電力
PD’,PC’を演算する。また、出力制限処理に際して
は、基準電圧V1に相当する単セルの基準電圧V1’を設
定し、セル電圧センサー141〜14nで検出される最
小のセル電圧と基準電圧V1’を比較しながら上述した
方法で出力制限を行なう。回生制限処理に際しては、基
準電圧V2に相当する単セルの基準電圧V2’を設定し、
セル電圧センサー141〜14nで検出される最大のセ
ル電圧と基準電圧V2’を比較しながら上述した方法で
回生制限を行なう。
【0042】なお、端子電圧センサー14により測定し
た端子電圧に基づいて最大充放電電力PD’,PC’を演
算した後、セル電圧センサー141〜14nで検出され
る最小のセル電圧と端子電圧センサー14により測定し
た端子電圧の内のいずれかが基準電圧(V1またはV
1’)以下になった時に出力制限を行なうとともに、端
子電圧または最大のセル電圧が基準電圧(V2またはV
2’)以上になった時に回生制限を行なうようにしても
よい。
【0043】以上の一実施形態の構成において、電圧セ
ンサー14が電圧測定手段を、電流センサー15が電流
測定手段を、コントローラ16が電流推定手段、第1の
演算手段、第2の演算手段および電力制御手段をそれぞ
れ構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施形態の電気自動車の構成を示すブロッ
ク図。
【図2】 電池の放電深度(DOD)と内部抵抗との関
係を示す図。
【図3】 一定電流で放電した時の電池の端子電圧の変
化を示す図
【図4】 放電時の端子電圧と放電電流のサンプリング
データによる回帰直線を示す図。
【図5】 最大放電電流を低減せずに最大放電電力を演
算する場合のV−I特性を示す図。
【図6】 最大放電電流を低減せずに最大放電電力を演
算する場合の最大電力特性を示す図。
【図7】 最大放電電流を低減して最大放電電力を演算
する場合のV−I特性を示す図。
【図8】 最大放電電流を低減して最大放電電力を演算
する場合の最大電力特性を示す図。
【図9】 放電中の端子電圧と放電電流のサンプリング
タイミングを説明する図。
【図10】 放電電流の立ち上がりから所定時間後に放
電電流と端子電圧をサンプリングした場合を示す図。
【図11】 図10に示すサンプリングデータをV−I
グラフにプロットし、直線回帰した図。
【図12】 放電電流の立ち上がりから所定時間Δt1
後とΔt2後に放電電流と端子電圧をサンプリングした
場合を示す図。
【図13】 図12に示すサンプリングデータをV−I
グラフにプロットし、直線回帰した図。
【図14】 電気自動車の通常の走行パターンにおいて
複数の時点でV−I特性のサンプリングをした例を示す
図。
【図15】 図14に示すサンプリングデータをV−I
グラフにプロットし、直線回帰した図。
【図16】 図14に示すサンプリングデータをサンプ
リングタイミングと放電電流により分類した図。
【図17】 サンプリングデータのストック方法を説明
する図。
【図18】 電力演算処理を示すフローチャート。
【図19】 出力制限を説明する図。
【図20】 出力制限処理を示すフローチャート。
【図21】 回生制限処理を示す図。
【図22】 回生制限処理を示すフローチャート。
【図23】 電池のセル電圧と電流を測定し、最大充放
電電力の演算と、出力制限および回生制限を行なう変形
例の構成を示す図。
【図24】 電池のセル電圧、端子電圧および電流を測
定し、最大充放電電力の演算と、出力制限および回生制
限を行なう他の変形例の構成を示す図。
【符号の説明】
11,11A 電池 12 インバータ 13 モータ 14,141〜14n 電圧センサー 15 電流センサー 16,16A,16B コントローラ 111〜11n 単セル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H02J 7/10 H02J 7/10 H

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電池の電圧を測定する電圧測定手段と、 前記電池に流れる電流を測定する電流測定手段と、 前記電圧測定手段と前記電流測定手段により測定された
    放電電流増加時の電圧と電流に基づいて、前記電池の第
    1の電圧における放電電流を推定する電流推定手段と、 前記第1の電圧における放電電流に基づいて前記電池の
    放電電力を演算する第1の演算手段と、 前記第1の電圧における放電電流よりも小さい所定の放
    電電流に基づいて前記電池の放電電力を演算する第2の
    演算手段と、 前記電池の放電電力を、前記第1および第2の演算手段
    により演算された電力の内の小さい値に制限する電力制
    御手段とを備えることを特徴とする電気自動車の電力制
    御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電気自動車の電力制御
    装置において、 前記電流推定手段は、前記電圧測定手段と前記電流測定
    手段により測定された放電電流増加時の電圧と電流に基
    づいて、前記電池の第2の電圧における充電電流を推定
    し、 前記第1の演算手段は、前記第2の電圧における充電電
    流に基づいて前記電池の充電電力を演算し、 前記第2の演算手段は、前記第2の電圧における充電電
    流よりも小さい所定の充電電流に基づいて前記電池の充
    電電力を演算し、 前記電力制御手段は、前記電池の充電電力を、前記第1
    および第2の演算手段により演算された電力の内の小さ
    い値に制限することを特徴とする電気自動車の電力制御
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の電気自
    動車の電力制御装置において、 前記所定の放電電流と前記所定の充電電流を電気自動車
    の電動機の最大定格電流に基づいて決定することを特徴
    とする電気自動車の電力制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの項に記載の電
    気自動車の電力制御装置において、 前記第1の電圧を前記電池の放電終止電圧とすることを
    特徴とする電気自動車の電力制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれかの項に記載の電
    気自動車の電力制御装置において、 前記第2の電圧を前記電池の最大許容電圧とすることを
    特徴とする電気自動車の電力制御装置。
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