JPH093124A - 改質された非晶質ポリオレフィンおよびその連続製造 方法 - Google Patents

改質された非晶質ポリオレフィンおよびその連続製造 方法

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JPH093124A
JPH093124A JP15175295A JP15175295A JPH093124A JP H093124 A JPH093124 A JP H093124A JP 15175295 A JP15175295 A JP 15175295A JP 15175295 A JP15175295 A JP 15175295A JP H093124 A JPH093124 A JP H093124A
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amorphous polyolefin
acid
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modified amorphous
polyolefin
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JP15175295A
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Hidemasa Okamoto
秀正 岡本
Masaru Kunimura
勝 国村
Yoshiichi Yamamoto
芳一 山本
Iwao Tsuruya
巌 鶴谷
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UBE REKISEN KK
Ube Corp
Original Assignee
UBE REKISEN KK
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 酸変性非晶質ポリオレフィンのカルボン酸基
および/またはカルボン酸無水物基がイオン性金属化合
物で部分的または完全に中和されてなる改質された非晶
質ポリオレフィン。 【効果】 本発明の酸変性非晶質ポリオレフィンは柔軟
性に加え接着性、強靱性、耐熱性、耐ピンホール性に優
れ、包装材、成形加工材、各種接着剤、改質剤として広
く使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な改質された非晶
質ポリオレフィンに関し、さらに詳しくは、接着性、強
靱性、耐熱性、耐ピンホール性に優れた包装材、成形加
工材、接着剤および各種樹脂の改質剤として広く使用す
ることのできる改質された非晶質ポリオレフィンに関す
る。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】α−
オレフィン含量が20〜40モル%のエチレン・α−オ
レフィン共重合体ゴムに不飽和ジカルボン酸無水物をグ
ラフト共重合させ、次いでそのジカルボン酸無水物基を
ナトリウムイオンもしくはカリウムイオンで部分的に中
和することにより、引張強さ、永久伸びなどが改良され
ることは知られている(特公昭62−17602号)。
一方、特定の非晶質低分子量ポリオレフィンへの不飽和
カルボン酸誘導体のグラフト共重合体は特開平1−28
2207号に開示されているが、該グラフト共重合体の
カルボン酸基および/またはカルボン酸無水物基がさら
に金属イオンで中和されたものは未だ知られていない。
すなわち、特開平1−282207号では、プロピレン
成分が71〜95モル%、エチレン成分が29〜5モル
%で、数平均分子量が3,500〜30,000である
非晶質低分子量プロピレン−エチレン共重合体に炭素数
3〜10の不飽和カルボン酸、その酸無水物およびその
エステルからなる不飽和カルボン酸誘導体成分が該ポリ
マー100重量部あたり0.1〜40重量部グラフト共
重合したものは各種樹脂の改質剤として、あるいは接着
性、印刷性および染色性に優れた樹脂として使用するこ
とができると記載されているのみである。ところで、上
記のような炭素数3〜8のα−オレフィンを50モル%
以上含有する非晶質低分子量ポリオレフィンは軟質系ホ
ットメルト接着剤の主原料として多用されている。上記
のグラフト共重合体は接着性の向上という点では確かに
十分に改質されているが、柔軟性、接着性という特徴に
加えて、さらに強靱性と耐熱性が求められていた。した
がって、本発明の目的は、柔軟性、接着性、強靱性、耐
熱性、耐ピンホール性に優れた包装材、成形加工材、接
着剤、および各種樹脂の改質剤として広く使用すること
のできる改質された非晶質ポリオレフィンを提供するこ
とにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
を重ねた結果、酸変性非晶質ポリオレフィンのカルボン
酸基および/またはカルボン酸無水物基がイオン性金属
化合物で部分的または完全に中和された重合体が上記目
的を達成することを見出した。
【0004】以下本発明について詳細に説明する。本発
明における酸変性非晶質ポリオレフィンの非晶質ポリオ
レフィンは、炭素数3〜8のα−オレフィンを50モル
%以上含有する単独重合体、二元共重合体、または多元
共重合体である。特に好ましくは、プロピレンの単独重
合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブ
テン−1共重合体、ブテン−1・エチレン共重合体、プ
ロピレン・ヘキセン−1共重合体、プロピレン・4−メ
チル−ペンテン−1共重合体、ブテン−1・ヘキセン−
1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン−1三元共
重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセン−1三元共重
合体、プロピレン・エチレン・4−メチル−ペンテン−
1三元共重合体、プロピレン・ブテン−1・ヘキセン−
1三元共重合体、プロピレン・ヘキセン−1・オクテン
−1三元共重合体、プロピレン・ヘキセン−1・4−メ
チル−ペンテン−1三元共重合体などのプロピレン成分
あるいはブテン−1成分を主成分とした非晶質ポリオレ
フィンが挙げられる。
【0005】ポリプロピレンの非晶質のものとしては、
結晶質ポリプロピレン製造時に副生するアタクチックポ
リプロピレンを用いてもよいし、直接プロピレン原料か
ら生産してもよい。また、プロピレンあるいはブテン−
1と他のα−オレフィンとの共重合体は所定のプロピレ
ンあるいはブテン−1成分を含有するように原料から目
的生産して用いることができる。このような生産をする
場合、例えば塩化マグネシウムに担持したチタン担持型
触媒とトリエチルアルミニウムを用いて水素の存在下ま
たは不存在下で原料モノマーを重合して得ることができ
る。供給の安定性および品質の安定性の観点から目的生
産された非晶質ポリオレフィンを使用することが望まし
い。また該当する好適な市販品も適宜選択して用いるこ
ともできる。上記非晶質ポリオレフィンは、結晶融解熱
量が20 Joule/g以下であることが好ましい。結晶融
解熱量が上記範囲外では本発明の改質物において、常温
付近での柔軟性が劣り好ましくない。
【0006】なお、結晶融解熱量は下記のように測定し
た。すなわち、この結晶融解熱量は、示差走査型熱量計
による重合体の完全溶融状態の比熱曲線を低温側に直接
外挿して得られる直線をベースラインとして計算される
値である。その測定は、示差走査型熱量計として、島津
製作所製:DSC−50を用い、サンプル量を約10m
g、測定雰囲気を窒素雰囲気とし、熱量標準としてイン
ジウムを使用して行なった。また、加熱プログラムは次
の通りであった。すなわち、サンプルを50℃/分の昇
温速度で210℃まで昇温し210℃で5分間放置後、
10℃/分の降温速度で−42℃まで冷却し、−42℃
で5分間放置する。その後20℃/分の昇温速度で−4
0℃から200℃まで測定を行なった。
【0007】また、上記非晶質ポリオレフィンの数平均
分子量は2,000〜40,000好ましくは、3,0
00〜30,000である。数平均分子量が2,000
未満ではポリマーとしての特性が発揮されず、本発明の
改質物において、強靱さを欠くものになる。また、数平
均分子量が40,000を超えると本発明の改質物にお
いて、常温付近での柔軟性と接着性が劣り好ましくな
い。なお、数平均分子量は、例えば、ゲル・パーミエー
ション・クロマトグラフィ(GPC)などの周知の方法
によって測定することができる。
【0008】さらに上記非晶質ポリオレフィンは、沸騰
n−ヘプタン不溶分、すなわち、沸騰n−ヘプタンによ
るソックスレー抽出不溶分が70重量%以下、好ましく
は60重量%以下、特に好ましくは10重量%以下のも
のが望ましい。沸騰n−ヘプタン不溶分が70重量%よ
り大きいと、非晶質部分の比率が少なくなり本発明の改
質物において常温付近での十分な柔軟性が得られない。
【0009】本発明の酸変性非晶質ポリオレフィンは、
前記非晶質ポリオレフィンに不飽和カルボン酸および/
またはその酸無水物がグラフト共重合したものである。
上記不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物の炭
素数は3〜10の範囲であり、より好ましくは4〜8で
ある。炭素数が3未満ではポリマーへの着臭が強く、炭
素数が10を超えるとグラフト反応が起こりにくい。炭
素数が3ないし10の不飽和カルボン酸および/または
その酸無水物としては、例えばアクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン
酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ(2,2,1)ヘ
プト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などの不飽和カ
ルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シト
ラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ(2,
2,1)ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水
物などの不飽和カルボン酸の無水物が挙げられる。
【0010】グラフト共重合は公知の方法で実施され
る。例えば、非晶質ポリオレフィンと不飽和カルボン酸
および/またはその酸無水物との溶融混合物にあるいは
トルエン、キシレンなどの溶媒を用いた溶液に有機過酸
化物を添加して行なう。また、有機過酸化物を添加しな
いでγ線などの電離放射線を照射してもよい。いずれの
場合もこのグラフト共重合は空気、酸素の混入は避ける
のが好ましく、窒素ガス、炭酸ガスなど不活性ガス雰囲
気下で行なうのが望ましい。
【0011】有機過酸化物としては、その半減期が1分
となる分解温度が70〜270℃の範囲のものが好まし
く、例えば、アセチルシクロヘキシルスルホニルペルオ
キシド、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイル
ペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−
ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,4
−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベ
ンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペ
ルオキシアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−
ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペル
オキシラウレート、tert−ブチルペルオキシイソブ
チレート、tert−ブチルペルオキシピバレート、ク
ミルペルオキシオクトエート、tert−ブチルペルオ
キシ(2−エチルヘキサノエート)、tert−ブチル
ヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルオキシイソ
プロピルモノカーボネート、クメンヒドロペルオキシド
などが挙げられる。
【0012】有機過酸化物を用いる場合のグラフト共重
合温度は、非晶質ポリオレフィンの軟化点、有機過酸化
物の分解温度により決まるが、一般に80〜300℃で
ある。
【0013】不飽和カルボン酸および/またはその酸無
水物と有機過酸化物の配合量、グラフト共重合の温度・
時間は、得られた酸変性非晶質ポリオレフィンの酸価が
1〜400mgKOH/g、好ましくは1〜200mg
KOH/gとなるよう適宜選択される。ここで、酸価と
は、ポリマー1g当りの中和に要するKOHのmg数で
あり、この場合には酸変性非晶質ポリオレフィン中のカ
ルボン酸基および/またはカルボン酸無水物基の濃度の
目安に相当する。酸変性非晶質ポリオレフィンの酸価が
1未満では極性が不十分であり、本発明の改質物におい
て接着性などは発現しない。また、400を超えるもの
を得ようとすると、非晶質ポリオレフィンの主鎖切断あ
るいは架橋などの副反応も起こって効果的な変性になら
ないので、400を超えるものは実際上好ましくない。
もちろん、本発明の酸変性非晶質ポリオレフィンとして
は、該当する好適な市販品も適宜選択して用いることが
できる。
【0014】本発明の改質された非晶質ポリオレフィン
は、前記酸変性非晶質ポリオレフィンのカルボン酸基お
よび/またはカルボン酸無水物基をイオン性金属化合物
で部分的または完全に中和して得られる。本発明のイオ
ン性金属化合物は、周期律表のI、II、III 、IV−Aお
よびVIII族の1〜3価の原子価を有する金属の化合物か
ら選ばれたものである。これらのうち、好適な化合物は
蟻酸塩、酢酸塩、酸化物、水酸化物、メトキシド、エト
キシド、炭酸塩および重炭酸塩である。また、好適な金
属イオンはNa+ 、K+ 、Ca++、Mg++、Zn++、B
++、Fe++、Co++、Ni++、Fe+++ 、およびAl
+++ である。これらのうち、とくにNa+ 、Mg++およ
びZn++が有効に使用される。これら各種のイオン性金
属化合物は必要に応じ組合わせて用いることができる。
【0015】前記酸変性非晶質ポリオレフィンのカルボ
ン酸基および/またはカルボン酸無水物基は前記イオン
性金属化合物によって中和されるが、該カルボン酸基お
よび/またはカルボン酸無水物基の中和度は10%以上
である。この中和度が10%未満では、本発明の改質物
において、強靱性と耐熱性が発現しない。したがって、
前記イオン性金属化合物の種類・量、中和反応の温度・
時間は、中和度が10%以上となるよう適宜選択され
る。なお、この中和度は赤外吸収スペクトルにおけるカ
ルボン酸金属イオン塩に基づく特性吸収から測定するこ
とができる。中和反応は、前記イオン性金属化合物が前
記酸変性非晶質ポリオレフィンに均一に分散するような
条件下で行なわれることが必要である。また、中和によ
って生成する副生物を容易に除去できるような措置も必
要である。このために、一般に酸変性非晶質ポリオレフ
ィンとイオン性金属化合物とを350℃以下の温度で溶
融混合することによって行なうことが望ましい。また、
溶媒を用いて溶液状態で中和することもできる。
【0016】本発明の改質された非晶質ポリオレフィン
を工業的に製造するには、押出機が好適に用いられる。
押出機としてはベント口付単軸、多軸押出機が使用でき
る。この場合、あらかじめ酸変性非晶質ポリオレフィン
として好適なものがあれば、そのまま押出機に供給して
イオン性金属化合物と溶融混練すればよい。また、下記
のように非晶質ポリオレフィンを押出機中で酸変性し、
引続き押出機中でこれとイオン性金属化合物とを溶融混
練してもよい。
【0017】(酸変性工程)複数のベント口付二軸押出
機を使用し、非晶質ポリオレフィン、有機過酸化物、不
飽和カルボン酸および/またはその酸無水物をホッパー
またはベント口より同時または別途投入する。シリンダ
ー温度は非晶質ポリオレフィンの軟化点、有機過酸化物
の分解温度により決まる。一般的に80〜220℃であ
り、20秒〜数分の溶融混練でグラフト共重合はほぼ完
了する。
【0018】一般に非晶質ポリオレフィンは粘着性が強
くペレット化が困難であるため、直接ホッパーから投入
することはできない。したがって加熱溶融して定量ポン
プでホッパーまたはベント口から供給するのが好まし
い。この際の溶融、供給温度は非晶質ポリオレフィンの
軟化点より20℃以上、約120〜220℃が好まし
い。また、この場合、不飽和カルボン酸および/または
その酸無水物が、例えば無水マレイン酸(融点53℃、
沸点202℃の室温で白色のフレーク状ないし顆粒状)
では、高温になるとその昇華が著しくなるため、溶融非
晶質ポリオレフィンに配合して供給することは避け、溶
融非晶質ポリオレフィンとは別にC0 ないしC1 から供
給するのが好ましい。
【0019】有機過酸化物は使用する非晶質ポリオレフ
ィンの軟化点に応じて選択する。有機過酸化物の分解半
減期は温度により定まった値を有しているため、低軟化
点の非晶質ポリオレフィンにグラフト共重合する場合に
は、分解半減期温度の低い有機過酸化物、例えばter
t−ブチルペルオキシ(2−エチルヘキサノエート)
〔パーブチルO、日本油脂(株)製、分解半減期1分温
度:135℃〕が、また、高軟化点の非晶質ポリオレフ
ィンにグラフト共重合する場合には、分解半減期温度の
高い有機過酸化物、例えばtert−ブチルペルオキシ
ベンゾエート〔パーブチルZ、日本油脂(株)製、分解
半減期1分温度:170℃〕が選ばれる。有機過酸化物
は、均一なグラフト共重合を確保するために、非晶質ポ
リオレフィンおよび不飽和カルボン酸および/またはそ
の酸無水物が押出機中で相互に溶融混練混合された状態
に至る位置から定量供給されるのが好ましい。
【0020】なお、この間中間のベント口は未反応の不
飽和カルボン酸および/またはその酸無水物を除去する
ため、減圧脱気する。脱気はトラップ付きの真空ポンプ
を用いて、20mmHg程度にまで減圧して行なう。な
お、この除去を効率的に行なうために、系は溶融状態に
保っておくことが必要である。通常、非晶質ポリオレフ
ィンの軟化点より20℃以上、約120〜220℃が好
ましい。
【0021】(中和工程)次いで、イオン性金属化合物
を、酸変性ゾーンのあとにあるベント口より供給して、
酸変性非晶質ポリオレフィンとイオン性金属化合物とを
溶融混練する。イオン性金属化合物は、一般に粉末状で
あり、定量フィーダーを用いてベント口に垂直に設けら
れた管より供給される。上記酸変性非晶質ポリオレフィ
ンとイオン性金属化合物の溶融混練ゾーンの温度は、酸
変性非晶質ポリオレフィンの軟化点、イオン性金属化合
物の種類によって変化するが、通常約120〜300℃
である。この操作により、酸変性非晶質ポリオレフィン
のカルボン酸基および/またはカルボン酸無水物基は、
イオン性金属化合物で中和される。なお、この間ダイス
側に最も近いベント口は中和反応で副生する水などを除
去するため、減圧脱気する。脱気はトラップ付きの真空
ポンプを用いて、20mmHg程度にまで減圧して行な
う。なお、この除去を効率的に行なうために、系は溶融
状態に保っておくことが必要である。通常、酸変性非晶
質ポリオレフィンの軟化点より20℃以上、約120〜
220℃が好ましい。
【0022】本発明においては、所望に応じて各種添加
剤、補強材、充填材、例えば、耐熱安定剤、酸化防止
剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、核剤、難燃剤、顔料
または染料、ガラス繊維、硫酸マグネシウム繊維(MO
S)、ゾノトライト繊維、炭素繊維、炭酸カルシウム、
硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、
マイカ、タルク、クレーなどを添加することができる。
本発明の改質された非晶質ポリオレフィンは、柔軟性、
接着性、強靱性、耐熱性、耐ピンホール性に優れた包装
材、成形加工材、接着剤および各種樹脂の改質剤として
広く使用することができる。
【0023】
【実施例および比較例】
実施例1 シリンダーブロックC0 〜C17を有する二軸押出機(宇
部興産(株)製 二軸押出機、内径55mm、L/D=
60)を使用した。非晶質ポリオレフィンとしての非晶
質プロピレン・ブテン−1共重合体、ウベタックUT−
2780〔宇部レキセン(株)製、プロピレン含量71
モル%、数平均分子量6500、結晶融解熱量7 Joule
/g、軟化点110℃〕を150℃に溶融し、シリンダ
ーブロックC0 に設けた注入口より毎時10kgで供給
した。また、不飽和カルボン酸として70℃の溶融無水
マレイン酸(クリスタルマン、日本油脂(株)製)およ
び有機過酸化物として常温のパーブチルI(日本油脂
(株)製、tert−ブチルペルオキシイソプロピルモ
ノカーボネート、分解半減期1分温度:155℃)を各
々シリンダーブロックC0 、C3 に設けた注入口から、
各々毎時0.3kg、0.3kgで供給した。なお、シ
リンダーブロックC11に設けられたベント口は約20m
mHgに減圧脱気し、未反応無水マレイン酸を除去し
た。
【0024】次いで、シリンダーブロックC12に設けた
ベント口より、無水酢酸亜鉛を毎時0.15kgで供給
した。なお、ダイス出口側に最も近いC16のベント口は
真空ポンプに直結し、20mmHgで減圧脱気した。ノ
ズルからはゴム弾性のある半透明の吐出物が棒状で得ら
れた。得られた改質物の酸価は20mgKOH/g、中
和度は30%であり、赤外吸収スペクトルでは、178
0cm-1と1720cm-1にグラフト共重合した無水マ
レイン酸に起因する吸収と、1580cm-1にグラフト
共重合した無水マレイン酸が酢酸亜鉛のZn++で中和さ
れた構造に起因する吸収とが明瞭に観察され、本共重合
体に無水マレイン酸がグラフト共重合し、次いでグラフ
ト共重合した無水マレイン酸の30%がZn++で中和さ
れていることが判明した。
【0025】得られた改質物を用いて、引張強さをJI
S K7113により、また溶融粘度(190℃)をE
型粘度計によりそれぞれ測定した。さらに、ナイロン6
フィルム(UBEナイロン1024B、厚さ50μm)
どおしの接着強さを測定した。すなわち、ナイロン6フ
ィルム間に改質物を挟み、160℃、加圧力5kg/c
2 で10秒間熱プレスしたのち、室温まで放冷した。
接着剤(改質物)層の厚さは約50μmであった。次い
で、これを巾25mmに断裁し、23℃恒温室中引張速
度200mm/分でT剥離強さを測定した。組成配合、
シリンダーの設定温度および結果を表1に示す。
【0026】実施例2 実施例1において、非晶質ポリオレフィンを非晶質プロ
ピレン・エチレン共重合体、ウベタックUT−2585
〔宇部レキセン(株)製、プロピレン含量80モル%、
数平均分子量6200、結晶融解熱量12 Joule/g、
軟化点129℃〕に代えた以外は、実施例1と同様に行
なった。結果を表1に示す。
【0027】実施例3 実施例1において、非晶質ポリオレフィンを非晶質プロ
ピレン・エチレン共重合体、ウベタックUT−2280
〔宇部レキセン(株)製、プロピレン含量95モル%、
数平均分子量6000、結晶融解熱量15 Joule/g、
軟化点146℃〕に代えてその供給温度を変え、有機過
酸化物をパーブチルZ〔日本油脂(株)製、tert−
ブチルペルオキシベンゾエート、分解半減期1分温度:
170℃〕に代え、無水酢酸亜鉛を酸化亜鉛に代えてそ
の供給量を変え、シリンダー設定温度を変えた以外は、
実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
【0028】実施例4 実施例3において、非晶質ポリオレフィンを非晶質ポリ
プロピレン、ウベタックUT−2115〔宇部レキセン
(株)製、プロピレン含量100モル%、数平均分子量
3400、結晶融解熱量18 Joule/g、軟化点152
℃〕に代えた以外は、実施例3と同様に行なった。結果
を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】比較例1 実施例1において、非晶質プロピレン・ブテン−1共重
合体、ウベタックUT−2780を改質することなく、
そのまま実施例1と同様に物性を測定した。結果を表2
に示す。
【0031】比較例2 実施例1において、イオン性金属化合物を供給しなかっ
た以外は、実施例1と同様に行なった。結果を表2に示
す。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】本発明の酸変性非晶質ポリオレフィンは
柔軟性に加え接着性、強靱性、耐熱性、耐ピンホール性
に優れ、包装材、成形加工材、各種接着剤、改質剤とし
て広く使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 国村 勝 大阪府枚方市中宮北町3番10号 宇部興産 株式会社枚方研究所内 (72)発明者 山本 芳一 山口県宇部市大字小串字沖の山1980番地 宇部興産株式会社樹脂加工機研究所内 (72)発明者 鶴谷 巌 東京都品川区東品川2丁目3番11号UBE ビル5F 宇部レキセン株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸変性非晶質ポリオレフィンのカルボン
    酸基および/またはカルボン酸無水物基がイオン性金属
    化合物で部分的または完全に中和されてなる改質された
    非晶質ポリオレフィン。
  2. 【請求項2】 酸変性非晶質ポリオレフィンの非晶質ポ
    リオレフィンが、炭素数3〜8のα−オレフィンを50
    モル%以上含有する重合体である請求項1に記載の改質
    された非晶質ポリオレフィン。
  3. 【請求項3】 酸変性非晶質ポリオレフィンが、請求項
    2の非晶質ポリオレフィンに不飽和カルボン酸および/
    またはその酸無水物をグラフト共重合したものであっ
    て、その酸価が1〜400mgKOH/gである請求項
    1に記載の改質された非晶質ポリオレフィン。
  4. 【請求項4】 イオン性金属化合物が、周期律表のI、
    II、III 、IV−A、VIII族の1〜3価の原子価を有する
    金属の化合物である請求項1に記載の改質された非晶質
    ポリオレフィン。
  5. 【請求項5】 押出機中で、(1)請求項2の非晶質ポ
    リオレフィンを不飽和カルボン酸および/またはその酸
    無水物、有機過酸化物により酸変性非晶質ポリオレフィ
    ンとする酸変性工程と(2)酸変性非晶質ポリオレフィ
    ンをイオン性金属化合物で部分的または完全に中和する
    中和工程とを連続して行なうことを特徴とする改質され
    た非晶質ポリオレフィンの連続製造方法。
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