JPH09309722A - ダイアスポアを原料とするα−アルミナ粉体およびその製造方法 - Google Patents

ダイアスポアを原料とするα−アルミナ粉体およびその製造方法

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JPH09309722A
JPH09309722A JP8168159A JP16815996A JPH09309722A JP H09309722 A JPH09309722 A JP H09309722A JP 8168159 A JP8168159 A JP 8168159A JP 16815996 A JP16815996 A JP 16815996A JP H09309722 A JPH09309722 A JP H09309722A
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diaspore
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Shigetada Nakanishi
成忠 中西
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  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 天然ダイアスポア鉱や礬土頁岩等のダイアスポア含有物
質を破砕後、400℃以上で1100℃以下の温度で焼
成し、該ダイアスポア含有物質中のダイアスポアをα−
アルミナに変態させ、その後このα−アルミナを含む焼
成物質を50重量%径が20μm以下に粉砕することを
特徴とする安価で焼結性、反応性に優れたα−アルミナ
粉体および該α−アルミナの製造方法を提供する。 【効果】 安価な天然のダイアスポア含有鉱石等を使用
でき、しかもバイヤー法よりも格段に低い焼成温度でα
−アルミナが製造できるため、製造コストが大幅に改善
できる。更に、本発明方法では比表面積の大きなα−ア
ルミナの製造が可能であるため、焼成後微粉砕処理をす
ることで極めて反応性、焼結性の優れたα−アルミナ粉
体を製造でき、大量に使用される耐火物用途やその他焼
結用セラミックス原料、触媒、触媒担体、精密研磨剤等
々、広範な用途が期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ダイアスポア含有物
質、特に天然のダイアスポア含有物質を原料として造ら
れたα−アルミナ粉体および該α−アルミナ粉体の製造
方法に関する。さらに詳細には、天然のダイアスポア含
有鉱石等のダイアスポア含有物質を400℃以上、11
00℃以下の温度で焼成し、ダイアスポア含有物質中の
ダイアスポアをα−アルミナとなし、該α−アルミナを
含む焼成物を粉砕することによって成し得る、比表面積
が大きく、焼結性、反応性に優れたα−アルミナを主成
分とするα−アルミナ粉体および該α−アルミナ粉体の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミナ質セラミックや耐火物等
に用いられる焼結用のアルミナ(α−アルミナ)は、主
としてボーキサイトを原料とし、バイヤー法で化学的に
精製されたアルミナが使用されている。即ち、ボーキサ
イトからアルミナ分だけを苛性ソーダ溶液で抽出し、水
酸化アルミニウムとして析出分離した後、この水酸化ア
ルミニウムを1200℃またはそれ以上の温度での焼成
により製造される。バイヤー法で使用されるボーキサイ
トは、苛性ソーダへの溶解のし易さから、通常は三水和
物タイプであるギプサイト型のボーキサイトが使用さ
れ、わが国を初め世界の大部分のアルミナ製造プラント
では、この方法が採用されている。しかし、一方では、
ダイアスポアおよびベーマイト等の一水和物タイプの鉱
石が自国に産出する中国、ロシアおよびギリシャ、ルー
マニア等東欧諸国の一部では、苛性ソーダに溶け難く、
しかも熱エネルギー効率の悪さがあるにもかかわらず一
水和物タイプの鉱石によるバイヤー法が行われる場合も
ある。何れにしてもこれらの方法では、化学処理によっ
て精製されるため、α−アルミナの品位は高く、一般に
Al純度は95重量%〜99.9重量%程度の値
である。
【0003】上記のように、一水和物タイプの鉱石はバ
イヤー法原料として使用するには一般に不向きである
が、三水和物タイプのボーキサイトよりも一般に酸化鉄
等の不純物が少なく、LOI即ち灼熱減量が少なくて重
量当たりのアルミナ品位が高いため、従来から耐火物の
骨材用原料として広く用いられ、わが国でも骨材として
輸入され、使用されている。
【0004】一水和物タイプの鉱石は、ダイアスポアを
主体とするダイアスポア型と、ベーマイトを主体とする
ベーマイト型とがあるが、このうち本発明に関わるダイ
アスポア含有物質はダイアスポア型に限定され、ベーマ
イト型や上述の三水和物タイプの鉱石すなわちギプサイ
トを主体とするギプサイト型の鉱石は対象外である。ダ
イアスポア型の鉱石には、ダイアスポリック・ボーキサ
イト(Diasporic Bauxite)と呼ばれ
るもの、中国において礬土頁岩(Aluminous
Shale)と呼ばれるもの、その他高アルミナ粘土、
蝋石等がある。
【0005】これまでの礬土頁岩等ダイアスポア含有鉱
石の用途は、原鉱を約1600℃〜2300℃程度で焼
結または溶融(電融)したα−アルミナを破砕し粒度調
整したものであり、粒子径が0.1〜数mm程度で粗粒
の耐火物配合用骨材である。したがって、礬土頁岩を1
100℃以下で焼成し、微粉砕して耐火物やその他焼結
用α−アルミナとして使用する思想はこれまでには無
く、このような使い方は全く考慮されてこなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来、通常のアルミナ
耐火物をつくる場合、先に述べた礬土頁岩を原料として
造られた骨材に、バイヤー法で造られた純度が高く、か
つ高価な焼結用アルミナ微粉とその他に適当な焼結助剤
(フラックス)を配合して焼結し、耐火物を造る場合が
しばしばある。この場合、骨材としては天然の礬土頁岩
の焼結または溶融品であり、これにバインダーとして添
加されるバイヤー法アルミナ微粉は、その純度において
過剰品質であり、耐火物の原材料費のコストダウンを達
成できない一因でもある。したがって、耐火物等の用途
において、安価で焼結性の良いアルミナ粉体を発明する
ことは極めて有効で価値の大きいことであり、耐火物の
みでなく安価なセラミックス原料を提供することにな
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上のような状況に鑑
み、本発明者は安価で焼結性の良いα−アルミナの製造
法について鋭意検討した結果、ついにダイアスポア含有
物質、特に天然のダイアスポア含有鉱石を焼成し、しか
る後、適切な粉砕処理を施したα−アルミナが、耐火度
を低下させることなく極めて反応性、焼結性に富み、所
期の目的に叶っていることを見い出し、本発明を完成す
るに至った。
【0008】即ち本発明は、ダイアスポア含有物質を4
00℃以上で1100℃以下、好ましくは500℃以上
で1000℃以下、さらに好ましくは600℃以上で8
00℃以下の温度で焼成し、該ダイアスポア含有物質中
のダイアスポアをα−アルミナに変態させ、その後この
α−アルミナを含む焼成物質を50重量%径が20μm
以下、好ましくは50重量%径が5μm以下、さらに好
ましくは50重量%径が1μm以下に粉砕することを特
徴とするα−アルミナ粉体またはα−アルミナ主体の粉
体およびこれらの粉体の製造方法を提供するにある。
【0009】さらに、焼成の前段として、ダイアスポア
含有物質を90重量%径が20メッシュ以下、好ましく
は90重量%径が100メッシュ以下、さらに好ましく
は90重量%径が200メッシュ以下となるように粉砕
し、その後、焼成し粉砕することを特徴とするα−アル
ミナ粉体またはα−アルミナ主体の粉体およびこれらの
粉体の製造方法を提供するものである。
【0010】以下、本発明を更に詳細に説明する。一般
に、アルミニウムの水和物として、三水和物であるギプ
サイト(Gibbsite:γ−Al(OH)または
γ−Al・3HO)、バイアライト(Baye
rite:α−Al(OH)またはα−Al
3HO)、ノルストランダイト(Nordstran
dite:Al・3HO)等があり、また一水
和物としては、ダイアスポア(Diaspore:α−
AlOOHまたはα−Al・HO)、ベーマイ
ト(Boehmite:γ−AlOOHまたはγ−Al
・HO)等があることがよく知られている。こ
れらの水和物は大気雰囲気中で加熱すると、いずれも脱
水し最終的に最も安定なα−アルミナ(コランダム;C
orundum:α−Al)に変態する。この変
態過程でダイアスポア以外の水和物は、その種と外的条
件に固有の中間アルミナを経由しながら変態する変態系
列をもっている。例えば、ギプサイトは、ベーマイトを
経由する場合には、γ−、δ−、θ−アルミナを経て1
100℃〜1200℃前後でα−アルミナになる。
【0011】一方、ダイアスポアは、同様に大気雰囲気
中で加熱すると、中間アルミナを経由することなく直接
α−アルミナに変態する特殊性を有しており、これらも
よく知られた事実である。ダイアスポアの変態温度は、
加温条件や雰囲気等の違いにより一概には言えないが、
一般的には400℃程度の温度から変態が始まり、60
0℃〜800℃がピークで、1000℃〜1100℃で
完了すると考えられている。このα−アルミナへの変態
温度は、他の水和物に比べると格段に低い温度であり、
ダイアスポアだけにみられるこの特殊性は、ダイアスポ
アとコランダムの結晶構造上の類似性に関連があると考
えられている。
【0012】先に述べた一般的なバイヤー法で精製され
るアルミニウム水和物(水酸化アルミニウム)は鉱物上
は三水和物であるギプサイト態であり、これをα−アル
ミナにするためには、1200℃またはそれ以上の温度
での焼成が必要である。例えば、焼成温度が1100℃
程度では、未だ中間アルミナであるθ−アルミナが主体
でありα−アルミナは得られない。一方、ダイアスポア
から出発すると、例えば600℃程度の焼成でα−アル
ミナが生成され、α−アルミナ製造のためのエネルギー
コストが格段に改善され、製品のコストダウンが可能で
ある。
【0013】しかし、ダイアスポアは人工的には、オー
トクレーブによる水熱合成等による方法で合成が可能で
あるが、高圧容器が必要であり、生産性等の点でバイヤ
ー法によるギプサイト生産に比べて遥かにコスト高であ
る。これがダイアスポアがα−アルミナの原料として有
利であるにも関わらず工業化されない理由であった。
【0014】上記のように、工業的にダイアスポアを製
造することはコスト上の問題で可能性が低いが、地球は
天然のオートクレーブであり、ダイアスポアを含む鉱石
は世界各地に分布している。例えば、中国、ロシア、パ
キスタン、フランス、スペイン、イタリア、ギリシャ、
ルーマニア、ハンガリー、トルコ、ミズーリ(US
A)、ペンシルバニア(USA)等々である。これらの
ダイアスポア鉱石は過去の地質時代に地殻中で激しい動
力変成を受け生成され、その後、地表にもたらされたも
のと考えられている。したがって、天然のダイアスポア
鉱石を利用し、焼結性等に優れたα−アルミナの製造法
を考案することで、経済効果の高いα−アルミナおよび
その製造方法を提供し得る。
【0015】以下、ダイアスポア含有物質のうち、ダイ
アスポア鉱石の一例として、中国等に広く賦存する礬土
頁岩(通称、ボーキサイトと呼ばれる場合もある。)の
例について述べる。中国の礬土頁岩は特に北部、東北部
の古生代(二畳紀〜石炭紀)の石炭層の互層中に発達し
ている。この二畳紀〜石炭紀の地層の層序は、中国国内
ではほぼ普遍的で上層から、いわゆるA,B,C,D,
E,FおよびG層に区分される。このうち良質の礬土頁
岩を産出するには、A,F,およびGの各層である。特
に、G層はダイアスポアの多い礬土頁岩がレンズ状に胚
胎しており、G層の主な産地は中国東北部、河北省、山
東省、山西省、河南省、貴州省および遼寧省等に存在す
る。現在、知られている礬土頁岩の鉱床は200近くあ
り、そのうち数千万トン以上の大型鉱床は30ヶ所以上
といわれ、推定埋蔵量は約11億トンを上回ると言われ
ている。
【0016】ボーキサイト鉱床の成因的分類において、
中国の礬土頁岩鉱床は、カルストタイプの鉱床に属し、
ラテライトタイプの鉱床は大河川流域のごく一部の小規
模鉱床に限られる。したがって、ダイアスポア型がその
殆どを占め、ベーマイト型や三水和物であるギプサイト
型の鉱床は少ないと言われている。本発明に関わるα−
アルミナを製造するための原料、すなわちダイアスポア
含有物質はダイアスポアを含有することが必須である。
しかも、本発明の主旨からして、出来る限りダイアスポ
ア含有量の多いものが好ましい。一般に、礬土頁岩はダ
イアスポアを主成分とし、カオリナイトその他イライ
ト、パイロフィライト、雲母類等の粘土鉱物、ヘマタイ
ト、ゲーサイト等の酸化鉄/水酸化鉄、ルチル、アナタ
ーゼ等の酸化チタン等を一部含有する岩石質の天然鉱石
である。礬土頁岩の化学組成は一概には言えないもの
の、乾体ベースで、Al:40〜85重量%、S
iO:40〜2重量%、Fe:20〜1重量
%、およびTiO:15〜3重量%およびLOI(灼
熱減量):7〜15重量%程度である。したがって、A
含有物質であってもカオリナイト、三水和物で
あるギプサイト、一水和物であるベーマイトが存在しな
いか、出来る限り少ない鉱石が適している。尚、LOI
(灼熱減量)とは、105℃程度の乾燥状態と1100
℃程度の灼熱状態との間の重量差であり、結晶水や炭酸
根等のボラタイル成分に由来するものである。
【0017】本発明に関わるダイアスポア含有物質は、
その化学組成において、Alが60重量%以上、
Feが10重量%以下、SiOが20重量%以
下、TiOが10重量%以下およびLOI(灼熱減
量)が7重量%以上である。また、好ましくはAl
が70重量%以上、Feが5重量%以下、Si
が10重量%以下、TiOが5重量%以下および
LOI(灼熱減量)が10重量%以上である。Al
およびLOI(灼熱減量)がそれぞれの値以下の場合
はダイアスポアから生成するα−アルミナの量が少な
く、α−アルミナの特性が発現できず本発明の目的を達
し得ない。また、Fe、SiO及びTiO
量がそれぞれの値を越えると、不純物としての影響が大
きく現れ、この場合もα−アルミナの特性が損なわれる
ため、本発明の目的を果たせない。即ち、例えばアルミ
ナ純度低下により耐火物用のバインダーとして使用した
場合に融点がさがり耐火度が低下する等の理由である。
【0018】また、ダイアスポア含有物質の全Al
含有量の80重量%がダイアスポア起源のAl
、即ちダイアスポアを構成していたAl
であることが必要である。ダイアスポア含有物質中にカ
オリナイト等の粘土鉱物や他のアルミノシリケート等が
存在する場合には、Al含有量が多くても、11
00℃以下の焼成で、目的のα−アルミナは生成されな
い。更に、ギプサイトやベーマイトが多い場合には、A
品位が高くても、1100℃以下の温度ではα
−アルミナには成り得ず、この場合も本発明の目的を達
しえない。本発明による効果を達成するためには、ダイ
アスポア起源のAlが最低、焼成後重量の半量程
度は必要である。尚、化学組成の分析は湿式化学分析、
蛍光X線定量分析等いずれの方法でもよい。また、ダイ
アスポアの量比の定量は、化学組成分析、灼熱減量およ
びダイアスポア標本を標準物質としX線回折強度比から
組成計算により求められる。
【0019】天然のダイアスポア含有物質とは、代表例
として上述した礬土頁岩の他、高アルミナ粘土、ダイア
スポア型ボーキサイト、蝋石鉱等、自然界に存在するダ
イアスポアを含有する物質、岩石、鉱物等を指してい
る。
【0020】現在、選鉱をしない中国産礬土頁岩の工業
的に可能な稼行品位の上限は、乾体ベースで、おおよ
そ、Al:90重量%、Fe:1重量%、
SiO:3重量%およびTiO:4重量%程度であ
る。この品位は耐火物の骨材用としてコマーシャルに稼
行されている礬土頁岩の品位であり、焼結用等のα−ア
ルミナ原料として使用可能の品位である。
【0021】しかし、本発明は出来る限り高品位のダイ
アスポア含有物質を原料として使用することが好まし
い。したがって、鉱石の場合には高品位鉱床を選別し、
場合によっては選鉱や化学処理をおこなうことが好まし
い場合がある。選鉱としては、酸化鉄、磁性鉱物につい
て磁力選鉱や酸による洗浄、シリカ、カオリンについて
は浮遊選鉱(特に第4級アミンによる逆浮選)、その他
微量の重鉱物には比重選鉱等々、通常、鉱石のプロセッ
シングに用いる方法で差し支えない。
【0022】ダイアスポア含有物質中のダイアスポアは
大気中で加熱すると、粉末X線回折法的に、約400℃
からα−アルミナ化が始まり、約600℃で完全にα−
アルミナになる。ここで極めて特徴的かつ注目すべき点
は、約400℃でα化が始まると同時にBET比表面積
が増加しはじめ、600℃〜800℃で最大となり、そ
の値は30〜80m/gを示す。これは、バイヤー法
起源のα−アルミナ(BET:数m/g以下)では考
えられない高値である。この原因はダイアスポア起源の
α−アルミナは、極めて微粒のα−アルミナ粒子から構
成されていることが想像される。したがって、ダイアス
ポア起源のα−アルミナは、その微粉化により、高活性
で極めて優れた反応性、焼結性を示す。さらに1000
℃以上ではBET比表面積は減少し1100℃で5〜6
/gとなり、1200℃ではこれ以下になる。
【0023】したがって、ダイアスポア含有物質の焼成
温度は、400℃以上で1100℃以下、好ましくは5
00℃以上で1000℃以下、さらに好ましくは600
℃以上で800℃以下の温度である。400℃以下では
α−アルミナ化せず、1100℃以上での焼成はα−ア
ルミナであること自体問題はないが、BET比表面積が
低下し、またバイヤー法でのα−アルミナと焼成コスト
の差が無くなり、本発明の主旨から無意味である。
【0024】ダイアスポア含有物質を焼成する方法は、
通常の焼成炉、反射炉、ロータリキルン、流動床炉等既
知の設備方法でよい。焼成時間は焼成温度、炉の種類等
により一概に言えないが、おおよそ数分〜数時間程度で
ある。
【0025】また、ダイアスポア含有物質の性状にもよ
るが、該物質が塊状である場合には前段処理として焼成
の前に、塊状物を破砕または粉砕することが好ましい。
塊状のまま焼成するとα−アルミナの単粒子が焼結し、
焼成後の微粉砕がし難くなるためである。しかも、ダイ
アスポア結晶粒子が大きい場合には、破砕または粉砕の
効果が大きいようである。この破砕または粉砕の粒度は
コストとハンドリングのし易さ等の要素も加えて決定さ
れるが、通常、90重量%径が20メッシュ以下、好ま
しくは90重量%径が100メッシュ以下、さらに好ま
しくは90重量%径が200メッシュである。破砕機
は、ジョークラッシャー、ジャイレトリクラッシャー、
ロールクラッシャー、ハンマーミル、インパクトクラッ
シャー等、また粉砕機は、ボールミル、ジェットミル、
振動ボールミル等、通常の方法および装置でよい。
【0026】焼成後のα−アルミナ含有焼成物は、本発
明の目的を発現するため、微粉砕することを必須とす
る。微粉砕する方法は、湿式、乾式粉砕を問わず、どの
様な粉砕方法であってもよいが、通常はアルミナ製のメ
ディアとライナーをもつ乾式ボールミルや振動ボールミ
ル等が粉砕コストの点で優れている。勿論、このほかの
例えばローラーミル、ジェットミル、遊星ミル、高周波
数振動ミル、タワーミルアニュラーミル等々を使用する
ことも可能である。微粉砕後の粒度は、50重量%径が
20μm以下、好ましくは、50重量%径が10μm以
下、さらに好ましくは50重量%径が1μm以下であ
る。粒径がこれより大きい場合には、本発明の目的とす
るα−アルミナの活性即ち、反応性、焼結性等が十分発
揮できない。粉砕時間は通常の乾式ボールミルで、数時
間〜数十時間程度である。
【0027】さらに本発明におけるα−アルミナ焼成物
質の微粉砕後のBET比表面積は、5m/g以上、好
ましくは、10m/g以上である。この値は、バイヤ
ー法で造られるα−アルミナの比表面積2〜3m/g
以下に比較して大きな値であり、α−アルミナ単粒子の
大きさが小さく、反応性および焼結性等の活性が、バイ
ヤー法で造られるα−アルミナより高いことを示してい
る。α−アルミナの反応性焼結性が高いことは、本発明
の実施例の表2、表3および表4に見られるようにAl
品位はバイヤー法α−アルミナより低いものの、
微粉砕することによってバイヤー法による易焼結性α−
アルミナと同様またはそれ以上の焼結性をもつことを示
している。
【0028】本発明によるα−アルミナの用途として
は、下記に限定されるものではないがその例を挙げる
と、まず高アルミナ質耐火物の焼結用アルミナとしての
用途である。例えば高アルミナ質耐火物では、骨材とし
て粒度配合された電融アルミナに少量のカオリン、アル
ミナセメント、SiC、ヘキサメタリン酸ソーダ等の焼
結助剤としての薬液等を加え、易焼結性のα−アルミナ
をバインダーとして水で混練、成形し焼結する。この場
合の易焼結性α−アルミナとして使用可能である。
【0029】また、反応性が高いことを利用して、固体
反応用のアルミナ原料として使用可能である。例えば、
α−アルミナと炭酸ナトリウムとを粉体で混合し、加熱
し、固相反応によってβ−アルミナを生成させるような
反応に効果的である。さらに触媒担体においては、熱に
よる触媒性能の劣化防止対策として、高比表面積のα−
アルミナが要望されているが、本発明のα−アルミナを
用いることにより解決される場合がある。
【0030】
【発明の効果】以上、高品位または選鉱された礬土頁岩
等の天然ダイアスポア鉱を400℃以上で1100℃以
下の、バイヤー法では到底達成出来ない低温度でα−ア
ルミナを製造し微粉砕処理をすることにより、耐火度を
低下させることなく安価で反応性、焼結性に優れたα−
アルミナ粉体およびその製造方法を提供し得たことは、
耐火物等の用途には極めて大きな意義を持っている。し
かも、大量使用の用途には、絶大な原材料のコストダウ
ンを実現でき、その工業的効果は計り知れないものがあ
る。また、用途としては耐火物のみならず、比表面積が
大きいα−アルミナであることを生かして触媒、触媒担
体等に、更に焼結性、反応性がよいことを利用してセラ
ミックス、固体反応用原料、ガラス原料、研磨剤等々幅
広い応用が期待できる。
【0031】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれにより限定されるものではない。尚、化学成
分の分析は、LOI(灼熱減量)以外の成分は蛍光X線
分析、LOIは105℃乾燥と1100℃焼成による重
量減により求めた。物質の同定は粉末X線回折法によ
り、ダイアスポアの定量は、ダイアスポア標本を標準物
質として粉末X線回折ピーク強度と化学組成値から組成
計算により求めた。また、中心粒子径はX線セディグラ
フで、BET比表面積は窒素吸着BET比表面積計を使
用した。
【0032】実施例1 ダイアスポア含有物質として、表1(a)に示す化学組
成のダイアスポア鉱石(岡山県三石産)および表1
(b)に示す化学組成の礬土頁岩(中国河南省産)のそ
れぞれについて、別々に下記の操作をおこなった。即
ち、それぞれをあらかじめ破砕し、その破砕粒子の90
重量%径が200メッシュとなるよう調整し、大気雰囲
気の電気炉中700℃で4時間焼成した。この焼成物を
さらに粉砕し粉末X線回折法で組成物の同定をした結
果、それぞれについて、初期のダイアスポア鉱中メイン
の物質成分であったダイアスポア回折ピークは完全に消
滅し、メインの物質成分として新たにα−アルミナ(コ
ランダム)の回折ピークが認められた。また、この焼成
物それぞれをアルミナ製メディアとライナーをもつ回転
ボールミルで各30時間乾式粉砕した。その粉砕物の化
学組成をそれぞれ表2(a)および(b)に、粉体物性
をそれぞれ表3(a)および(b)に示す。参考比較の
ため、バイヤー法でつくられた耐火物用易焼結性α−ア
ルミナAMS−5(住友化学製,約1200℃焼成品)
の化学組成を表2(c)に、粉体物性を表3(c)に示
す(いずれも数値は同社のカタログによる。)。
【0033】実施例2 ダイアスポア含有物質として、実施例1の表1(a)の
組成のダイアスポア鉱石(岡山県三石産)を90重量%
径が200メッシュ以下となるよう粒度調整した。該破
砕品をさらに十分に粉砕し、粉末X線回折とBET比表
面積測定を行ったところ、このダイアスポア鉱石の主成
分物質がダイアスポアであることが確認された。また、
粉末X線回折結果と実施例1で行った化学組成分析結果
から、ダイアスポア鉱石の全Alに対するダイア
スポア起源のAl分は80重量%以上であった。
さらに、90重量%径が200メッシュ以下のダイアス
ポア鉱石の破砕品各20グラムを大気雰囲気中、電気炉
で200℃から1200℃まで200℃毎の温度で各2
時間ずつ焼成した。これら6種の焼成物それぞれをさら
にアルミナ製乳鉢でさらに粉砕し、それぞれについてX
線回折とBET比表面積測定を行った。その結果、20
0℃ではダイアスポアのピークが確認され、400℃で
はダイアスポアのピークが殆ど消滅し、替わりにα−ア
ルミナのピークが確認できた。このα−アルミナの回折
パターンのピークは600℃まではそのインテンシティ
が増加し、それ以上の温度では1200℃まで、ほぼ暫
増ないし不変であった。一方、各温度に於けるBET比
表面積は未焼成および200℃では1m/g以下であ
ったが、400℃から増加し、600℃〜800℃で最
大となり、600℃で約52m/gの最大値を示し、
800℃より高温では、しだいに減少して1200℃で
は2m/g以下となった。
【0034】実施例3 実施例1の表1(b)のダイアスポア鉱(中国河南省
産)を700℃×4時間焼成し粉砕処理をおこなった焼
成物質(表2の(b)および表3の(b))について、
焼結用α−アルミナとしての焼結性実験をおこなった。
該焼成物5グラムをフラックス無添加で成形圧力:30
0Kg/cmで乾式プレスにより加圧成形し、このペ
レットを1600℃×3時間焼成した。該ペレットは焼
結体としての強度を持っており、その成形密度と焼結密
度を表4(a)に示す。成形密度と焼結密度は、いずれ
も重量と寸法測定から計算した。比較のため、バイヤー
法起源の耐火物用易焼結α−アルミナの例として、住友
化学社製AMS−5について、同様の処理法で成形密度
と焼結密度を測定した値を表4(b)に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイアスポア含有物質を400℃以上、
    1100℃以下の温度で焼成し、該ダイアスポア含有物
    質中のダイアスポアをα−アルミナに変態させ、その後
    このα−アルミナを含む焼成物質を50重量%径が20
    μm以下となるように粉砕ることを特徴とするα−アル
    ミナ粉体またはα−アルミナ主体の粉体の製造方法。
  2. 【請求項2】 ダイアスポア含有物質を90重量%径が
    20メッシュ以下となるように粉砕後、400℃以上、
    1100℃以下の温度で焼成し、該ダイアスポアをα−
    アルミナに変態させ、その後このα−アルミナを含む焼
    成物質を50重量%径が20μm以下となるよう粉砕す
    ることを特徴とするα−アルミナ粉体またはα−アルミ
    ナ主体の粉体の製造方法。
  3. 【請求項3】 ダイアスポア含有物質の化学組成が、A
    が60重量%以上、Feが10重量%以
    下、SiOが20重量%以下、TiOが10重量%
    以下およびLOI(灼熱減量)が7重量%以上であるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 ダイアスポア含有物質の全Al
    有量の80重量%以上がダイアスポア起源のAl
    であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の
    方法。
  5. 【請求項5】 ダイアスポア含有物質が天然のダイアス
    ポア含有鉱石であることを特徴とする請求項1または請
    求項2記載の方法。
  6. 【請求項6】 ダイアスポア含有物質が、それぞれダイ
    アスポアを主成分とする礬土頁岩、高アルミナ粘土およ
    びボーキサイトの少なくとも1であることを特徴とする
    請求項1または請求項2記載の方法。
  7. 【請求項7】 焼成後粉砕されたα−アルミナ粉体また
    はα−アルミナ主体の粉体が5m/g以上の比表面積
    を有し、反応性および/または焼結性に優れることを特
    徴とする請求項1または請求項2記載の方法。
  8. 【請求項8】 請求項1または請求項2の方法でつくら
    れるα−アルミナ粉体またはα−アルミナ主体の粉体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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