JPH09303232A - コモンレール式ディーゼルエンジンの噴射管接続構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は燃料噴射弁に接続された噴射管を蓄圧
室として機能するコモンレールに接続するコモンレール
式ディーゼルエンジンの噴射管接続構造に関し、コモン
レールの配設位置に制限を受ける構成のディーゼルエン
ジンであってもコモンレールを容易に車両へ搭載するこ
とを可能とすることを課題とする。 【解決手段】燃料が所定圧に蓄圧されると共にフィルタ
ホルダ４１により保持されたフィルタ４０が配設される
コモンレール２２に、燃料噴射弁１８にコモンレール２
２内の燃料をフィルタ４０を介して供給する噴射管２１
を接続するに際し、前記フィルタホルダ４１の前記噴射
管２１と反対側への移動を規制する移動規制機構（テー
パ面４５）を設け、噴射管２１をこのフィルタホルダ４
１に形成されたテーパ面４５に直接接続する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はコモンレール式ディ
ーゼルエンジンの噴射管接続構造に係り、燃料噴射弁に
接続された噴射管を蓄圧室として機能するコモンレール
に接続するコモンレール式ディーゼルエンジンの噴射管
接続構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般のディーゼルエンジンは、エンジン
本体近傍位置に別個の燃料噴射ポンプを設け、この燃料
噴射ポンプからエンジンの各気筒に設けられた燃料噴射
弁に向け燃料が圧送される構成とされている。

【０００３】これに対し近年では、例えば特開昭６３−
５０６４９号公報に開示されるように、燃料供給ポンプ
をコモンレール（燃料供給通路）に接続すると共に、こ
のコモンレールと燃料噴射弁とを噴射管を介して接続
し、燃料供給ポンプによりコモンレール内に一旦蓄積さ
れた燃料を燃料噴射弁から噴射するよう構成したディー
ゼルエンジンが提案されている。

【０００４】このコモンレール式ディーゼルエンジン
は、上記のように燃料供給ポンプで昇圧された燃料をコ
モンレール内に蓄積し、均圧化した上で各燃料噴射弁に
供給するため、精度の高い燃料噴射を行うことができ
る。ところで、このコモンレール式ディーゼルエンジン
では、燃料噴射弁とコモンレールとの間に噴射管を配設
し、この噴射管を介してコモンレール内の燃料を燃料噴
射弁に供給する構成とされている。従って、噴射管をコ
モンレールと接続する必要がある。

【０００５】噴射管とコモンレールとを接続する構造と
しては、例えば図４に示される構造が用いられている。
同図において、１はコモンレールであり、その内部には
図示しない燃料噴射ポンプに接続された蓄圧室１ａが形
成されている。また、コモンレール１の噴射管２が取り
付けられる位置には、フィルタ装着孔１ｂ及びユニオン
装着部１ｃが形成されている。このフィルタ装着孔１ｂ
及びユニオン装着部１ｃは蓄圧室１ａと連通しており、
蓄圧室１ａの延在方向に対し直角方向に延出形成された
構成とされている。

【０００６】フィルタ装着孔１ｂにはフィルタ３が配設
される。フィルタ３は、燃料内に異物が含まれていた場
合、この異物が燃料噴射弁に侵入し誤動作を行うのを防
止するために設けられている。このフィルタ３は筒状の
フィルタホルダ４に固定されており、フィルタホルダ４
をフィルタ装着孔１ｂに圧入することにより蓄圧室１ａ
内に取り付けられる。これにより、蓄圧室１ａ内の燃料
はフィルタ３を介して噴射管２に流入することとなり、
異物が燃料噴射弁に侵入するのを防止することができ
る。

【０００７】一方、コモンレール１と噴射管２との間に
はユニオン５が配設されている。このユニオン５は、コ
モンレール１のユニオン装着部１ｃに螺着される構成と
されており、その下部には噴射の脈動を抑制するテーパ
オリフィス５ａが形成されると共に、上部には噴射管接
続部５ｂが形成されている。また、ユニオン５の上部外
周部には、ナット６が螺合されるネジ部５ｃが形成され
ている。更に、テーパオリフィス５ａと噴射管接続部５
ｂとの間には連通孔５ｄが形成されている。

【０００８】噴射管２の先端部には、鍔部２ａ及び球状
部２ｃが形成されている。また、この噴射管２には予め
ナット６が挿通されている。更に、ナット６の内部には
噴射管２に形成された鍔部２ａと係合する係合段部６ａ
が形成されている。上記構成において、コモンレール１
に噴射管２を接続するには、先ずフィルタ３が固定され
ているフィルタホルダ４をフィルタ装着孔１ｂに圧入
し、続いてユニオン５をユニオン装着孔１ｃに螺着す
る。次に、噴射管２の球状部２ｃを噴射管接続部５ｂに
当接させ、ナット６をユニオン５のネジ部５ｃに螺着す
る。これにより、噴射管２はフィルタ３及びユニオン５
を介してコモンレール１に接続される構造とされてい
た。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】ところで、ディーゼル
エンジンのコモンレール１が配設される部位には、この
コモンレール１の他にも吸気マニホルド，過給機等の種
々の装置，機器が配設されるため、コモンレール１の配
設位置に制限を受ける。

【００１０】しかるに、上記した噴射管２の接続構造で
は、コモンレール１と噴射管２との間に長く延出するユ
ニオン５が介在するため、コモンレール１と噴射管２の
構造が大型してしまい、上記のようにコモンレール１の
配設位置に制限を受ける場合、コモンレール１を車両に
搭載することが困難であった。

【００１１】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、噴射管とフィルタホルダとを直接接続する構成と
することにより、コモンレールの配設位置に制限を受け
る構成のディーゼルエンジンであってもコモンレールを
容易に車両へ搭載することを可能とすることを目的とす
る。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記の課題は、次に述べ
る手段を講じることにより解決することができる。請求
項１記載の発明では、燃料が所定圧に蓄圧されると共に
フィルタホルダにより保持されたフィルタが配設される
コモンレールに、燃料噴射弁に一端が接続されることに
より前記コモンレール内の燃料を前記フィルタを介して
前記燃料噴射弁に供給する噴射管を接続するコモンレー
ル式ディーゼルエンジンの噴射管接続構造であって、前
記フィルタホルダの前記噴射管と反対側への移動を規制
する移動規制機構を設けると共に、前記噴射管を前記フ
ィルタホルダに直接接続したことを特徴とするものであ
る。

【００１３】また、請求項２記載の発明では、前記請求
項１記載のコモンレール式ディーゼルエンジンの噴射管
接続構造において、前記移動規制機構を前記フィルタホ
ルダの噴射管側端部を径方向にテーパ状に広がるテーパ
部により構成し、前記噴射管を前記テーパ部に直接接続
したことを特徴とするものである。

【００１４】上記の各手段は次のように作用する。請求
項１記載の発明によれば、噴射管はコモンレールに保持
されたフィルタホルダに直接接続される。この際、接続
位置に所定のシール性を持たせるためには、噴射管を強
くフィルタホルダに押圧する必要がある。従って、この
押圧力によりフィルタホルダにずれが発生することが考
えられ、ずれが発生した場合には所定のシール性を確保
できなくなるおそれがある。

【００１５】しかるに、フィルタホルダは移動規制機構
により噴射管と反対側への移動が規制されているため、
フィルタホルダに押圧力が印加されてもフィルタホルダ
にずれが発生することはない。よって、噴射管を直接フ
ィルタホルダに接続することが可能となり、従来用いら
れていたユニオンを廃止することができる。

【００１６】これにより、噴射管とコモンレールとを直
接接続する構造としても、接続構造の小型化及び簡単化
を図ることができ、搭載スペースが限られている場合で
あっても、コモンレールの車両への搭載が可能となる。
また、請求項２記載の発明によれば、フィルタホルダの
噴射管側端部にテーパ部を設け、このテーパ部に噴射管
を直接接続することにより、噴射管に対するテーパ部の
位置は一義的に決まるため、フィルタホルダの移動規制
を行うことができる。また、フィルタホルダと噴射管と
はテーパ結合となるため、フィルタホルダと噴射管との
接続位置におけるシール性を向上させることができる。

【００１７】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
図面と共に説明する。図２は、本発明の一実施例である
噴射管接続構造を用いたコモンレール式ディーゼルエン
ジン１０を示す概略構成図であり、図３はディーゼルエ
ンジン１０の断面図である。

【００１８】このディーゼルエンジン１０は、大略する
とディーゼル機関本体１１，シリンダブロック１２，シ
リンダヘッド１３，ピストン１４，燃焼室１５，吸気弁
１６，排気弁１７，燃焼室１５内に配置された燃料噴射
弁１８，吸気マニホルド１９を備え、また吸気マニホル
ド１９の入口部は過給機２０に接続されている。

【００１９】燃料噴射弁８は、噴射管２１を介して各気
筒に共通のコモンレール２２（燃料蓄圧管）に連結され
ている。コモンレール２２は、その内部に容積一定の蓄
圧室２３を有し、この蓄圧室２３内の燃料が噴射管２１
を介して燃料噴射弁１８に供給される。

【００２０】本発明の要部となる噴射管接続装置３５
は、この噴射管２１とコモンレール２２との接続部に配
設されているが、噴射管接続装置３５の詳細については
説明の便宜上、後述するものとする。一方、蓄圧室２３
は、配管２９を介して燃料噴射ポンプ２４の吐出口に連
結されている。燃料噴射ポンプ２４の吸入口は、流量制
御弁２５を介して補助燃料ポンプ２６の吐出口に連結さ
れ、この補助燃料ポンプ２６の吸入口は燃料リザーバタ
ンク２７に連結されている。また、各燃料噴射弁１８は
燃料リターン配管２８を介して燃料リザーバタンク２７
に連結されている。

【００２１】本実施例における燃料噴射弁１８は電磁弁
であり、エンジンコントロールユニット３０（ＥＣＵと
いう）により駆動制御される構成とされている。ＥＣＵ
３０は、ディーゼルエンジン１０の運転状態を検出する
図示しない各種センサが接続されており、現在の運転状
態に最も適した燃料噴射量を演算し、所定の噴射タイミ
ングで当該燃料噴射量が燃焼室１５に噴射されるよう燃
料噴射弁１８を制御する。

【００２２】また、補助燃料ポンプ２６は燃料リザーバ
タンク２７内の燃料を燃料噴射ポンプ２４内に送り込む
ために設けられており、補助燃料ポンプ２６がなくても
燃料噴射ポンプ２４内に燃料を吸い込むことが可能な場
合には補助燃料ポンプ２６を特に設ける必要はない。

【００２３】これに対して燃料噴射ポンプ２４は、例え
ばラジアルピストン型のポンプであり、高圧の燃料を吐
出するために設けられている。この燃料噴射ポンプ２４
から吐出された高圧の燃料は、配管２９を介してコモン
レール１２の蓄圧室２３に圧送される。

【００２４】また、燃料噴射ポンプ２４と補助燃料ポン
プ２６との間には流量制御弁２５が配設されており、こ
の流量制御弁２５により燃料噴射ポンプ２４に流入する
燃料量を制御する構成となっている。上記した燃料噴射
ポンプ２４，流量制御弁２５，及び補助燃料ポンプ２６
は、前記したＥＣＵ３０に接続されており、ＥＣＵ３０
により駆動制御される構成とされている。

【００２５】一方、コモンレール１２には蓄圧室２３内
の圧力を検出する圧力センサ３１が配設されており、圧
力センサ３１で検出された蓄圧室内圧力はＥＣＵ３０に
送信される構成とされている。そして、ＥＣＵ３０は圧
力センサ３１で検出された蓄圧室内圧力に基づき燃料噴
射ポンプ２４及び流量制御弁２５を駆動制御し、蓄圧室
２３内の圧力を運転状態に対応した所定圧力となるよう
制御する。

【００２６】続いて、本発明の要部となる噴射管接続装
置３５の構造について説明する。前記したように、噴射
管接続装置３５は噴射管２１とコモンレール２２との接
続部に配設されている。図１は噴射管接続装置３５を拡
大して示す断面図である。尚、図１は図２におけるＡ−
Ａ線に沿う断面に相当する。

【００２７】前記したように、コモンレール２２の内部
には図２における上下方向に延在する蓄圧室２３が形成
されており、またコモンレール２２の噴射管２１が取り
付けられる所定位置には夫々フィルタ装着孔３６及びナ
ット装着孔３７が形成されている。

【００２８】このフィルタ装着孔３６は蓄圧室２３と連
通しており、ナット装着孔３７はフィルタ装着孔３６と
連通した構成とされている。また、フィルタ装着孔３６
はナット装着孔３７より小径とされると共に、ナット装
着孔３７の内周には、後述するナット３８が螺着するネ
ジ部３９が上端部より所定範囲にわたり形成されてい
る。

【００２９】フィルタ装着孔３６にはフィルタ４０が配
設される。フィルタ４０は例えばナイロンメッシユで形
成されており、燃料内に異物が含まれていた場合にこの
異物が燃料噴射弁１８に侵入し誤動作を行うのを防止す
るために設けられている。周知のようにディーゼルエン
ジン１０では、高圧の燃料が燃料噴射弁１８に供給さ
れ、また燃料噴射弁１８は精密な噴射量制御を行うため
に高精度に構成されている。従って、燃料中の異物が燃
料噴射弁１８に侵入するとエンジン性能に多大な影響を
及ぼす。

【００３０】そこで、フィルタ４０を設け、燃料内に含
まれている異物をフィルタ４０で除去することにより、
燃料噴射弁１８に異物が侵入することを防止でき、よっ
てエンジン性能の低下を抑制することができる。このフ
ィルタ４０はフィルタホルダ４１に取り付けられた上で
コモンレール２２に装着される。具体的には、フィルタ
４０は有底筒状形状を有しており、その先端部がフィル
タホルダ４１の下端部に形成されたかしめ部４２にかし
め固定されることによりフィルタ４０はフィルタホルダ
４１に取り付けられる。そして、フィルタホルダ４１と
一体化されたフィルタ４０は、フィルタホルダ４１をフ
ィルタ装着孔３６に挿入することによりコモンレール２
２に形成された蓄圧室２３内に装着される。

【００３１】フィルタホルダ４１は略円錐台形状を有し
た部材であり、図１に示す下端部より、かしめ部４２，
胴体部４６，袴部４７を一体的に形成した構成とされて
いる。前記したように、かしめ部４２はフィルタ４０が
取り付けられる部位であり、また胴体部４６は円筒形状
とされている。このかしめ部４２及び胴体部４６は、コ
モンレール２２に形成されたフィルタ装着孔３６に挿入
される部位である。

【００３２】また、かしめ部４２及び胴体部４６の外径
寸法は、フィルタ装着孔３６の内径寸法と等しいか、或
いは若干小さく設定されている。この構成とすることに
より、コモンレール２２に対してフィルタホルダ４１は
着脱可能な構成となる。よって、例えばフィルタ４０が
異物が付着し燃料の噴射管２１への流入が円滑に行われ
なくなったような場合には、容易にフィルタ４０の交換
を行うことが可能となり、メンテナンス性を向上させる
ことができる。

【００３３】一方、袴部４７はその外面に第１のテーパ
面４４を形成すると共に、内面に第２のテーパ面４５を
形成した構成とされている。この第１及び第２のテーパ
面４４，４５は、共に図１における上方向に向かうに従
い径寸法が大きくなるテーパ形状を有した構成とされて
いる。

【００３４】また、フィルタホルダ４１をコモンレール
２２に装着した状態で、第１のテーパ面４４は、ナット
装着孔３７の下端部に形成されたコモンレール側テーパ
面５１と当接するよう構成されている。第１のテーパ面
４４のテーパ角とコモンレール側テーパ面５１のテーパ
角は、等しいか或いは第１のテーパ面４４のテーパ角の
方がコモンレール側テーパ面５１のテーパ角に対して若
干鋭角となるよう設定されている。

【００３５】また、袴部４７の内面に上記形状とされた
第２のテーパ面４５が形成されることにより、フィルタ
ホルダ４１の上部には円錐台状凹部４８が形成される。
後述するように、噴射管２１はこの円錐台状凹部４８の
内部に装着される。更に、フィルタホルダ４１の内部に
は、噴射の脈動を抑制するためのテーパオリフィス４３
が形成されている。このテーパオリフィス４３は大径部
４３ａ，テーパ部４３ｂ，小径部４３ｃとにより構成さ
れており、機械加工により形成される。上記のようにテ
ーパオリフィス４３は複雑な形状を有しているため、コ
モンレール２２に直接テーパオリフィス４３を形成する
ことはできない。このため、従来ではユニオン５を別個
に設け、このユニオン５にテーパオリフィス５ｂを形成
する構成としていた（図４参照）。

【００３６】しかるに、本実施例のようにフィルタホル
ダ４１はコモンレール２２と別部材であるため、フィル
タホルダ４１に大径部４３ａ，テーパ部４３ｂ，小径部
４３ｃよりなるテーパオリフィス４３を加工形成するこ
とは可能である。このように、フィルタホルダ４１にテ
ーパオリフィス４３を形成することが可能となることに
より、従来必要とされていたユニオン５を不要とするこ
とができる。

【００３７】ところで、従来の噴射管接続構造で用いら
れていたユニオン５は、上記のようにテーパオリフィス
５ｂを設けることにより噴射脈動を抑制する機能に加
え、噴射管２をコモンレール２に接続する際のシール機
能を有している。従って、本実施例のようにユニオン５
を用いない構成とすることにより、噴射管２１をコモン
レール２２接続する際のシール構造をユニオン５以外の
部位に設ける必要が生じる。以下、本実施例における噴
射管２１をコモンレール２２に接続する際のシール構造
について説明する。

【００３８】まず、噴射管２１の構造について説明す
る。噴射管２１の先端部には鍔部５２及び球状部５３が
形成されている。また、この噴射管２１には予めナット
３８が挿通されている。このナット３８は断面形状が略
Ｔ字形状を有しており、外周部にはコモンレール２２の
ナット装着孔３７に形成されたネジ孔３９と螺合するネ
ジ部３８ａが形成されている。また、ナット３８の先端
部４９は噴射管２１に形成された鍔部５２と係合するよ
う構成されている。

【００３９】上記構成された噴射管２１をコモンレール
２２に接続するには、先ずフィルタ４０が固定されたフ
ィルタホルダ４１をフィルタ装着孔３６に装着する。続
いて、噴射管２１の先端に形成されている球状部５３を
フィルタ４０の円錐台状凹部４８内に当接させた上で、
ナット３８をナット装着孔３７に螺着する。

【００４０】前記したように、ナット３８の先端部４９
は噴射管２１に形成された鍔部５２と係合するよう構成
されているため、ナット３８をナット装着孔３７に螺着
する螺着力により、噴射管２１はフィルタホルダ４１に
押圧される。これにより、噴射管２１はフィルタホルダ
４１をを介してコモンレール２２に接続される。

【００４１】上記構成とすることにより、噴射管２１は
コモンレール２２に保持されたフィルタホルダ４１に直
接接続される。この際、噴射管２１とフィルタホルダ４
１との接続位置に所定のシール性を持たせるためには、
噴射管２１を強くフィルタホルダ４１に押圧する必要が
ある。従って、この押圧力によりフィルタホルダ４１に
ずれが発生することが考えられ、ずれが発生した場合に
は所定のシール性を確保できなくなるおそれがある。

【００４２】しかるに本実施例では、フィルタホルダ４
１に設けられた円錐台状凹部４８には第２のテーパ面４
５が形成されているため、噴射管２１の球状部５３は第
２のテーパ部４５に押圧され接続する構造となる。この
ように、噴射管２１が第２のテーパ部４５に押圧接続さ
れる構造とすることにより、噴射管２１とフィルタホル
ダ４１との接続はいわゆるテーパ接続となり、その接続
位置は一義的に決まりフィルタホルダ４１の噴射管２１
に対する位置ずれの発生を防止することができる。

【００４３】また、噴射管２１が第２のテーパ部４５に
押圧されることにより、第１のテーパ面４４はコモンレ
ール側テーパ面５１に押圧される。この際、前記したよ
うに第１のテーパ面４４のテーパ角とコモンレール側テ
ーパ面５１のテーパ角は、等しいか或いは第１のテーパ
面４４のテーパ角の方がコモンレール側テーパ面５１の
テーパ角に対して若干鋭角となるよう構成されているた
め、第１のテーパ面４４はコモンレール側テーパ面５１
との接続位置もテーパ接続となる。

【００４４】従って、第２のテーパ部４５はフィルタホ
ルダ４１の位置ずれを規制する移動規制機構として機能
し、フィルタホルダ４１は噴射管２１と反対側への移動
及び径方向に対する移動が共に規制される。よって、フ
ィルタホルダ４１に押圧力が印加されてもフィルタホル
ダ４１にずれが発生することを防止することができる。
更に、第１のテーパ面４４がコモンレール側テーパ面５
１に押圧されることにより、フィルタホルダ４１に押圧
力が印加された際のコモンレール２２に対するフィルタ
ホルダ４１のずれも防止することができる。

【００４５】上記のように、本実施例に係る噴射管接続
装置３５では、噴射管２１を強くフィルタホルダ４１に
押圧しても、フィルタホルダ４１の噴射管２１に対する
ずれ及びフィルタホルダ４１のコモンレール２２に対す
るずれの発生が抑制されるため、噴射管２１を直接フィ
ルタホルダ４１に接続することが可能となる。

【００４６】よって、従来用いられていたユニオンを廃
止することが可能となり、これにより噴射管２１とコモ
ンレール２２とを接続する接続構造の小型化及び簡単化
を図ることができる。従って、コモンレール２２の搭載
スペースが限られている場合であっても、コモンレール
２２を車両へ搭載が可能となる。

【００４７】また、上記のように噴射管２１とフィルタ
ホルダ４１との接続はテーパ接続となるため、フィルタ
ホルダ４１と噴射管２１との接続位置におけるシール性
を高めることができ、よって噴射管２１とフィルタホル
ダ４１を直接する構造としても高圧圧送される燃料が接
続位置において漏洩するようなことはない。

【００４８】尚、上記した実施例においては、噴射管２
１とフィルタホルダ４１との接続位置において、フィル
タホルダ４１に第２のテーパ面４５を形成することによ
り、噴射管２１とフィルタホルダ４１とのシール性を向
上させる構成としたが、この接続位置におけるフィルタ
ホルダ４１の形状は必ずしもテーパ面とする必要はな
く、例えば噴射管２１とフィルタホルダ４１との接続面
を球面形状とすることによってもシール性を向上させる
ことができる。

【００４９】

【発明の効果】上述の如く本発明によれば、次に述べる
各種効果を実現することができる。請求項１記載の発明
によれば、フィルタホルダにずれが発生することなく噴
射管を直接フィルタホルダに接続することができるた
め、従来用いられていたユニオンを廃止することができ
る。よって、噴射管とコモンレールとを接続する接続構
造の小型化及び簡単化を図ることができ、搭載スペース
が限られている場合であっても、コモンレールの車両へ
の搭載が可能となる。

【００５０】また、請求項２記載の発明によれば、噴射
管に対するテーパ部の位置は一義的に決まるためフィル
タホルダの移動規制を行うことができると共に、フィル
タホルダと噴射管とはテーパ結合となるため、フィルタ
ホルダと噴射管との接続位置におけるシール性を向上さ
せることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例である噴射管接続構造を示す
断面図である。

【図２】本発明の一実施例である噴射管接続構造を採用
したコモンレール式ディーゼルエンジンの概略構成図で
ある。

【図３】本発明の一実施例である噴射管接続構造を採用
したコモンレール式ディーゼルエンジンの断面図であ
る。

【図４】従来の噴射管接続構造の一例を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１０ ディーゼルエンジン １５ 燃焼室 １８ 燃料噴射弁 ２１ 噴射管 ２２ コモンレール ２３ 蓄圧室 ２４ 燃料噴射ポンプ ２５ 流量制御弁 ３０ ＥＣＵ ３５ 噴射管接続装置 ３６ フィルタ装着孔 ３７ ナット装着孔 ３８ ナット ４０ フィルタ ４１ フィルタホルダ ４３ テーパオリフィス ４４ 第１のテーパ面 ４５ 第２のテーパ面 ４６ コモンレール側テーパ面 ４７ 鍔部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料が所定圧に蓄圧されると共にフィル
   タホルダにより保持されたフィルタが配設されるコモン
   レールに、燃料噴射弁に一端が接続されることにより前
   記コモンレール内の燃料を前記フィルタを介して前記燃
   料噴射弁に供給する噴射管を接続するコモンレール式デ
   ィーゼルエンジンの噴射管接続構造であって、 前記フィルタホルダの前記噴射管と反対側への移動を規
   制する移動規制機構を設けると共に、前記噴射管を前記
   フィルタホルダに直接接続したことを特徴とするコモン
   レール式ディーゼルエンジンの噴射管接続構造。
2. 【請求項２】 請求項１記載のコモンレール式ディーゼ
   ルエンジンの噴射管接続構造において、 前記移動規制機構を前記フィルタホルダの噴射管側端部
   を径方向にテーパ状に広がるテーパ部により構成し、前
   記噴射管を前記テーパ部に直接接続したことを特徴とす
   るコモンレール式ディーゼルエンジンの噴射管接続構
   造。