JPH09302438A - Ni/YSZサーメット及びその製造方法 - Google Patents

Ni/YSZサーメット及びその製造方法

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JPH09302438A
JPH09302438A JP8143427A JP14342796A JPH09302438A JP H09302438 A JPH09302438 A JP H09302438A JP 8143427 A JP8143427 A JP 8143427A JP 14342796 A JP14342796 A JP 14342796A JP H09302438 A JPH09302438 A JP H09302438A
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JP
Japan
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ysz
calcination
cermet
powder
nio
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JP8143427A
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English (en)
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Hiroyuki Nagayama
博之 永山
Masanobu Aizawa
正信 相沢
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間高温にさらされた場合にもNiの凝集
がほとんど生じることがなく、固体電解質型燃料電池の
燃料電極のクラックや剥離及び電気抵抗の増大といっ
た、Ni凝集に起因する燃料電極の特性劣化を防止する
ことのできるNi/YSZサーメットを提供する。 【解決手段】 本発明のNi/YSZサーメットは、以
下の特性を有する。 Ni/YSZ組成比が24/76〜64/36wt%
である。 粒子の平均粒径が2μm 以下である。 該サーメットを貫通する線分(長さ100μm 以
上)が横切る粒界の数において、(NiとYSZとの粒
界数/全粒界数)≧0.4である。すなわち、粒子の平
均粒径が細かいとともに、Ni粒とYSZ粒がよく分散
している構造を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質型燃料
電池の燃料電極材料として好適なNi/YSZサーメッ
ト及びその製造方法に関する。特には、長時間高温にさ
らされた場合にもNiの凝集がほとんど生じることがな
く、燃料電極のクラックや剥離及び電気抵抗の増大とい
ったNi凝集に起因する燃料電極の特性劣化を防止する
ことのできるNi/YSZサーメットに関する。
【0002】
【従来の技術】円筒型セルタイプの固体電解質型燃料電
池(以下T−SOFCとも言う)の燃料電極を例にとっ
て従来技術を説明する。T−SOFCは、特公平1−5
9705等に開示されている固体電解質型燃料電池(以
下SOFCとも言う)の一タイプである。T−SOFC
は、多孔質支持管−空気電極−固体電解質−燃料電極−
インターコネクターで構成される円筒型セルを有する。
空気電極側に酸素(空気)を流し、燃料電極側にガス燃
料(H2 、CO等)を流してやると、このセル内でO2-
イオンが移動して化学的燃焼が起り、空気電極と燃料電
極の間に電位が生じ発電が行われる。なお、空気電極が
支持管を兼用する形式のものもある。T−SOFCの実
証試験は、1993年段階で25kw級のもの(セル有効
長50cm、セル数1152本) までが進行中である。
【0003】現状の代表的なT−SOFCの構成材料、
厚さ及び製造方法は以下のとおりである(Proc. of the
3rd Int. Symp. on SOFC, 1993 )。 支持管:ZrO2 (CaO)、厚さ1.2mm、押し出し 空気電極:La(Sr)MnO3 、厚さ1.4mm、スラ
リーコート 固体電解質:ZrO2 (Y23 )、厚さ40μm 、E
VD インターコネクター:LaCr(Mg)O3 、厚さ40
μm 、EVD 燃料電極:Ni−ZrO2 (Y23 )、厚さ100μ
m 、スラリーコート−EVD
【0004】上述の代表的な燃料電極材料であるNi−
ZrO2 (Y23 )(Ni/YSZサーメット)は、
各成分(NiとYSZ)が交錯した微構造を有するが、
Niが網目のようにつながっているものは導電性が良
く、NiやYSZ粒の凝集が生じて、Niの網目が切断
されているものは導電性が悪い。SOFCの燃料電極の
導電性が悪いとSOFCの発電効率は低下する。したが
って、NiやYSZの凝集がなく、Niの網目構造がし
っかりと形成されうるようなNi/YSZサーメットが
求められる。さらに、NiはSOFCの運転中にも焼結
凝集を起こそうとするので、Niの網目は細く均一でな
ければならないという要請もある。なおNiが凝集する
と、Ni、固体電解質、気相(燃料ガス)の三相界面が
減少して酸素イオンと燃料ガスとの反応が低下するとい
う不利も伴う。
【0005】このようなNi/YSZサーメットの微構
造に関しては、次のような2つの提案がなされている。 特開平4−133264:このNi/YSZサーメット
の構造では、Niが多孔質骨格として存在し、そのNi
の骨格がYSZ薄膜によって覆われており、さらにNi
骨格とYSZ薄膜との間に間隙が存在する。その製造方
法は、まずNiOの多孔質膜を固体電解質層上に形成
(実施例はスクリーン印刷)しておいて、このNiO多
孔質膜にYSZの前駆液を含浸させ、その後熱分解によ
りYSZをNiO骨格上に生成させ、さらにその後に還
元処理によりNiOをNiに還元し、この時にNiO骨
格の体積収縮によりNi骨格とYSZ薄膜の間に間隙を
形成するというものである。
【0006】特開平4−192261:このNi/YS
Zサーメットの構造は、Niの多孔質骨格が存在し、こ
の骨格の表面に接してYSZ粒子が散在している、とい
うものである。その製造方法は、平均粒径2μm のNi
O粉末と平均粒径0.3μm のYSZ粉末をペースト化
し、スクリーン印刷により固体電解質上に燃料電極膜を
形成し、その後1,200℃焼成、1,000℃還元処
理を行うというものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平4−133
264号の技術には次のような問題点がある。 NiO骨格の表面をYSZで覆いきってしまうと、
NiOの還元が不可能となり、また集電抵抗を下げるた
めに燃料電極表面を機械的に研削するなどの後処理が必
要となる。 YSZ前駆液の含浸・熱分解の回数がきわめて多い
(実施例15回)。
【0008】上記特開平4−192261号の技術には
次のような問題点がある。 YSZ粉がNi骨格上に散在する程度ではNiの焼
結・凝集を抑制する効果は小さく耐久性に劣る燃料電極
となる。 上記と同じ。本発明は、長時間高温にさらされた
場合にもNiの凝集がほとんど生じることがなく、SO
FCの燃料電極のクラックや剥離及び電気抵抗の増大と
いった、Ni凝集に起因する燃料電極の特性劣化を防止
することのできるNi/YSZサーメットを提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、Ni/YS
Zサーメットの構成成分であるNiとYSZの骨格が互
いに三次元的に接触していれば、Niの焼結がYSZの
骨格によって抑制されるためNiの凝集が起こり難く、
耐久性に優れた燃料電極を製造し得るとの着想を得た。
このためには、お互いの成分粒子が均一に混合され、且
つ焼結状態が均一であるように粒径分布幅の狭い状態に
あることが必要と考え、種々の粉末合成方法を検討する
とともにそのキャラクタリゼーションを行った結果、本
発明を完成するに至った。
【0010】上記課題を解決するため、本発明のNi/
YSZサーメットは、NiとYSZ(イットリア安定化
ジルコニア)の粒子の焼結体からなるNi/YSZサー
メットであって; Ni/YSZ組成比が24/76〜
64/36wt%であり、 粒子の平均粒径が2μm 以下
であり、 該サーメットを貫通する線分が横切る粒界の
数において、 (NiとYSZとの粒界数/全粒界数)
≧0.4、 ここで全粒界数=NiとYSZとの粒界数
+YSZとYSZとの粒界数+NiとNiとの粒界数、
であることを特徴とする。すなわち、粒子の平均粒径
が細かいとともに、Ni粒とYSZ粒がよく分散してい
る構造を有している。ここで、粒子とは基本的に一次粒
子を指し、これらの凝集した二次粒子においては、二次
粒子内に粒界が存在すると定義する。粒界は一次粒子間
の接合部界面を指し、一次粒子が結合して粒成長した様
な大きな粒子はその単体が1個の粒子であって、その粒
内に粒界は存在しないと考える。
【0011】また、本発明のNi/YSZサーメットの
製造方法は、NiとYSZの粒子の焼結体からなるNi
/YSZサーメットを製造する方法であって; 湿式法
により、Ni、Zr、Y及び酸素を含む混合物を得る湿
式混合工程と、 該混合物を分解して上記各金属の酸化
物を含む粉粒体を得る分解工程と、 該粉粒体を仮焼す
る一次仮焼工程と、 仮焼後の粉粒体(NiO/YSZ
複合粉末)を粉砕する粉砕工程と、 この粉砕工程で得
られた粉砕粉を再度仮焼する二次仮焼工程と、二次仮焼
したNiO/YSZ複合粉末を、スラリーコート法によ
り基体上に成膜する工程と、 このNiO/YSZ複合
粉末膜を1,200〜1,450℃で焼成する工程と、
このNiO/YSZ複合粉末膜を還元する工程と、を
含むことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の一態様のNi/YSZサ
ーメットの製造方法は、 NiとYSZの粒子の焼結体
からなるNi/YSZサーメットを製造する方法であっ
て; Niイオン、Zrイオン、Yイオンを所望割合で
含む原料溶液を調整する溶液調整工程と、 共沈溶液を
上記原料溶液に混合して、上記各金属の1種以上及び酸
素を含む固体物質(共沈物質)を上記原料溶液から共沈
させる共沈工程と、 該共沈物質を分解して上記各金属
の酸化物を含む粉粒体を得る分解工程と、 該粉粒体を
仮焼する仮焼工程と、 仮焼後の粉粒体(NiO/YS
Z複合粉末)を粉砕する粉砕工程と、 この粉砕工程で
得られた粉砕粉を再度仮焼する二次仮焼工程と、二次仮
焼したNiO/YSZ複合粉末を、スラリーコート法に
より基体上に成膜する工程と、 このNiO/YSZ複
合粉末膜を1,200〜1,450℃で焼成する工程
と、 このNiO/YSZ複合粉末膜を還元する工程
と、を含むことを特徴とする。なお、前述のとおり、湿
式混合工程→熱分解によりNi、Zr、Yの酸化物を含
む粉粒体を得ることとしてもよい。
【0013】この態様(共沈法)のNi/YSZサーメ
ットの製造方法においては、原料溶液として硝酸水溶液
をベースとする溶液を用い、共沈溶液として蓚酸水溶液
を用いることができる。この場合、以下のような共沈反
応が生じる。 Ni2++(COOH)2 →Ni(COO)2 ↓+2H+ Zr4++2(COOH)2 →Zr(COO)4 ↓+4H
+ 2Y3++3(COOH)2 →Y2 (COO)6 ↓+6H
+
【0014】上記態様のNi/YSZサーメットの製造
方法においては、原料溶液及び共沈溶液をあらかじめ6
0℃〜沸点に昇温させてから混合することが好ましい。
上記反応のうち蓚酸Niの沈降反応は、一般的には、常
温においては生じにくい。そのため、均一な組成の共沈
物質を得にくい。それに対して、上記温度域において
は、上述の3反応がほぼ均等に起こるため、均一な組成
の共沈物質を能率よく得ることができる。
【0015】本発明のNi/YSZサーメットは、Ni
/YSZ組成比が24/76〜64/36wt%である。
YSZの比が76を越えると粉末の焼成膜の導電率が低
くなる。このような観点からは、Ni/YSZ組成比
は、45/55〜64/36であることがより好まし
い。しかし、固体電解質膜と燃料電極との間の傾斜層用
としては、低Niのものが、膜そのものの導電率は小さ
いが、高Ni含有層と電解質との間の熱膨張差に起因す
る応力を緩和できるので好ましい。
【0016】本発明のNi/YSZサーメットをSOF
Cの燃料電極材として用いる場合には、Ni/YSZサ
ーメット原料粉末の粒径を0.1〜10μm とすること
が好ましい。ガス透過性と導電率とのバランスが良好だ
からである。この際、燃料電極の上層を比較的粗い粒を
用い、下層を比較的細かい粒を用いて形成することもで
きる。
【0017】本発明のNi/YSZサーメットの製造方
法においては、二次仮焼した後に、所望の粒度やBET
値が得られないときには、さらに粉砕、三次仮焼、粉
砕、四次仮焼、粉砕、五次仮焼へと進んでもよい。ただ
し、回数を繰り返しても粉砕によって微粒化されるので
粉体特性はある粒度、BET値に収束するので大きな変
化は現れなくなり、その処理効果は小さいものとなる。
また、工程数が増えるので製造条件上コスト高となって
くる。さらに、粉体の焼結性が劣るものとなってくるの
で成膜焼成温度を上げなければならず、SOFCセルを
構成する他の部材の焼結をも引き起こすことで、セル特
性が変化する危険性が生じる。したがって、通常条件で
セル作製の可能な工程繰り返し数は5回以下が好まし
い。
【0018】仮焼条件については一次仮焼の条件が(8
00〜1,250℃)×(2〜10Hr)であり、二次仮
焼の条件が(700〜1,050℃)×(2〜10Hr)
が好ましい。さらには一次仮焼の仮焼条件が(900〜
1,200℃)×(2〜10Hr)であり、二次仮焼の仮
焼条件が(800〜1,000℃)×(2〜10Hr)が
より好ましい。その理由は、一次仮焼の際には、800
℃以下の熱処理(仮焼)温度であると、硝酸成分が残る
可能性があって原料粉末の純度が落ちることと、熱処理
をしても焼結が進まずに微粒子のままの状態で残り、後
のSOFC燃料電極成膜(焼成)の際に過剰に焼結して
しまうからである。また、1,250℃以上の仮焼では
仮焼粉が固くなるので次工程での粉砕効率が低下し、製
造工程上好ましくない。二次仮焼の際には、温度が70
0℃以下では、粉末が殆ど焼結しないので二次仮焼の効
果が小さい。また、1,050℃以上であると、焼結が
進んで再び粒径の大きな粉体となり易い。したがって、
二次仮焼後の粒径がSOFCセルへの成膜に好ましい粒
度範囲に納まるように制御することが重要である。二次
仮焼の温度は一次仮焼の温度よりも低くする、つまり一
次仮焼よりも二次仮焼の条件を穏やかにすることが一般
的である。なぜならば、二次仮焼条件が高温、長時間で
あれば、一次仮焼終了粉よりも粒径の大きな粒子が生成
し、SOFCセルへの成膜に好ましくないからである。
【0019】また、本発明のNi/YSZサーメットを
SOFCの燃料電極材として用いる場合には、原料粉末
の一次仮焼後の粉砕時に粒径を2μm 以下とすることが
好ましい。このとき、粉砕粒径が大きいと次工程の二次
仮焼にてより大きな粒子が生成し、SOFCセルへの成
膜材料として好ましくない。仮焼後あるいは粉砕後に必
要に応じて分級を行ってもよい。
【0020】
【実施例】
(1)原料粉末作製:共沈法、粉末混合法、蒸発乾固法
の3方法により原料粉末を作製した。 (1.1)共沈法 (1.1.1) 原料溶液調整:YSZ原料としての硝酸ジルコ
ニウム・イットリウム水溶液(8mol%Y23含有、酸
化物換算含有量23.4wt% )、NiO原料としての硝
酸ニッケル6水和物結晶、共沈物質濃度を調整するため
の純水をNiO/YSZ組成が70/30wt% となるよ
うに混合し、よく攪拌した。
【0021】(1.1.2) 共沈溶液調整:本実施例において
は、共沈溶液として蓚酸水溶液を用いた。容器に純水を
取り、約80℃程度に加熱する。この温水を攪拌しなが
ら蓚酸2水和物結晶を徐々に添加して溶解し、80℃〜
90℃に保持した。蓚酸水溶液の量については、共沈工
程において金属イオンが完全に沈殿するように、蓚酸量
を化学量論比よりもわずかに過剰となるようすることが
好ましい。今回の過剰量は約5mol%とした。
【0022】(1.1.3) 溶液混合→共沈:原料溶液(Ni
O/YSZ複合粉末水溶液)を80℃〜90℃に加熱
し、これを80℃〜90℃に加熱保持した硝酸水溶液中
に、よく攪拌しながら徐々に添加していくことで、蓚酸
共沈法による沈殿生成を行った。反応により、粉体が生
成するので、溶液の攪拌にはトルクのある攪拌機を使用
することが好ましい。この共沈反応により溶液は発熱反
応を起こすので、反応後は溶液温度が初期状態よりも1
0〜20℃程度上昇することが普通である。全溶液を混
合し終えた後、室温まで攪拌を継続しながら自然冷却し
た。
【0023】(1.1.4) 乾燥:乾燥機内に反応物を静置
し、120℃の熱風を送り沈殿物の水分を蒸発させた。 (1.1.5) 熱分解:乾燥後の試料は500℃、5時間の熱
処理により、硝酸成分と残留蓚酸を除去した。その際の
反応は以下と推定される。 2Ni(COO)2+O2 →2NiO+4CO2 Zr(COO)4+O2 →ZrO2 +4CO2 2Y2(COO)6+3O2 →2Y23 +12CO2
【0024】(1.1.6) 粉砕(解砕):2φと3φのPS
Zボールを用いた湿式粉砕処理を行った。これは、二次
粒子の紛砕と均一化を目的とする。ただし、本共沈法に
よる粉末は、湿式レーザー回折粒度分布測定によれば、
1μm 以下の粒子が全体の約80%を占め、二次粒子の
大きなものでさえその粒径は10〜20μm にあること
から、このボールミル粉砕処理を省略することも可能で
ある。
【0025】(1.1.7) 一次仮焼:得られた粉末を、1,
150℃×5hrで一次仮焼(熱処理)を行った。仮焼時
には、主にNiOの微粉が焼結現象により他のNiO粉
に合体する。また、Y23 がZrO 2に徐々に固溶し
て結晶化する。一次仮焼後の粉粒径は平均粒径で90〜
110μm 、BET値は2.5〜2.8m2/gであった。
【0026】(1.1.8) 粉砕:以下諸元の気流粉砕により
一次仮焼した粉を径2μm 以下に粉砕した。粉砕後の粒
径及びBET値は平均粒径0.54μm 、BET値3.
3m2/gであった。なお、粉砕方法は、微粉砕が可能であ
れば、ボールミル粉砕等の他の手段を用いることができ
る。 気流粉砕諸元: 粉砕機;日清製粉(株) 圧力=6kgf/cm2G 空気量=0.8m3/min
【0027】(9) 二次仮焼:粉砕した粉を1,000℃
×5hrの条件で二次仮焼した。この二次仮焼は、粉砕粉
を再び軽く焼結させることにより、粉砕粉の焼結性を抑
制することを目的とする。二次仮焼後の粒径及びBET
値は平均粒径1.2μm 、BET値2.4m2/gであっ
た。
【0028】(1.2)粉末混合法:出発原料のNiO
粉末としては市販の平均粒径2μm のNiO粉体を用い
た。YSZ粉末としては第一稀元素化学工業製を用い
た。NiOの平均粒径は2μm、YSZの平均粒径は
0.4μm であった。両者のNiO/YSZ比=70/
30となるようボールミル(ボール材質:ジルコニアボ
ール)で水を媒体として混合した。この混合粉を乾燥、
解砕し、その後900℃×10Hr、大気雰囲気中で仮焼
してNiO/YSZ複合粉末を得た。
【0029】(1.3)蒸発乾固法 出発原料として上記NiO粉末及びジルコニウム・イッ
トリア硝酸水溶液(8mol%Y23 (換算)、酸化物
換算含有量23.4wt%)を用いた。これらをスターラ
ーで混合し、その後200℃で蒸発乾固させた。この乾
固粉を解砕後、上記(1.1)と同じ条件で仮焼してN
iO/YSZ複合粉末を得た。
【0030】(2)成膜・焼成:得られたNi/YSZ
サーメット原料粉末28部と、有機溶剤としてのエタノ
ールを68部、分散剤としてのポリカルボン酸エステル
を1部、消泡剤としての高分子界面活性剤を1部、バイ
ンダーとしてのエチルセルロースを2部混合してスラリ
ーを作製した。このスラリーをYSZ基板上にディッピ
ングによりスラリーコートした。これを乾燥後1,40
0℃で焼成した。得られたサーメット膜の厚さは80μ
m 、気孔率は28%であった。また、同様な手法で、緻
密なYSZ薄膜が表面にコーティングされたYSZ多孔
質基板上に上記スラリーをコートして、乾燥後1,40
0℃で焼成した。
【0031】(3)還元、導電率測定:焼成により得ら
れたサーメット膜を、H2 10%含有N2 雰囲気、1,00
0 ℃×10Hrで還元した。その後、四端子法により導電
率を測定した。その結果を表1に示す。また、耐久性試
験として、1,050℃、15%H2 含有N2 雰囲気で
1,000時間保持した後の導電率も測定した。それら
の結果については後述する。
【0032】(4)組織観察:試料断面を研磨して、粒
子径と粒界数の測定を行った。この際研磨方法は次のと
おりである。まず、試料を樹脂に含浸させ、気孔部に樹
脂を浸透させて固化させた。次に試料断面が表面に出て
くるまで#200で荒削りし、次いで、#600、#1
000で表面研磨を行い、最終的に1μm 、0.25μ
m のダイヤモンドペーストで仕上げの研磨を行った。こ
の研磨試料について、SEM観察及びEDXによりZr
及びNiの元素分布のマッピングを行った。SEM写真
(図1参照)より粒子の分布をトレースし、それにマッ
ピング図を重ね合わせて元素分布図(図2参照)を作成
した。この元素分布から線分(長さ24.2μm 、各試
料18本)の横切る粒界数を求めた。粒界数及びNi/
YSZ粒界割合の測定結果は表1及び表2に示す。
【0033】(5)試験結果:結果を表1及び表2に示
す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】平均粒径は共沈法≪蒸発乾固法<粉末混合
法であった。また、Ni/YSZ粒界数の割合は共沈法
>蒸発乾固法≫粉末混合法であった。この理由は共沈法
では微細で均一な粒子が生成するので熱処理工程や粉砕
工程によっても各成分の極端な凝集や分離が起こり難い
ので、粒径が小さくしかも各成分が均一に混ざりあった
組織が得られる。その結果、平均粒径が小さくしかも各
成分間の粒界数が多い。蒸発乾固法では液相からの固相
析出が徐々に起こるために粗粒子が生成し易く、その結
果、共沈法よりは大きな粒径を有した構造となり易い。
NiOとYSZの粒径がNiO>YSZとなっている
が、これは析出時に粒生長のし易いことによる。この粒
子径の違いによって、粒界数が減少するとともに、組織
の均一性が共沈法の場合よりも劣るために、Ni/YS
Z粒界数が少なくなったと考えられる。粉末混合法では
粒子の凝集が解けないことや、溶媒乾燥時の粒子沈降に
よって成分の分離が起こり、局所的に粗粒子が存在する
構造となった。この結果、粒界数が少なくなったと考え
られる。
【0037】初期導電率は、共沈法≫蒸発乾固法>粉末
混合法であった。この理由は共沈法の組織は均一分散型
で、Niの結合が三次元的に均一にネットワークされて
いるために導電パスの切れが少なく良好な特性が得られ
る。蒸発乾固法では粒子が大きくなり三次元的な結合が
切断される様になるために、導電率が低くなる。また、
粉末混合法では、局所的なNiの分布が起こる構造とな
り、導電パスがより少なくなるために導電率が小さくな
ったものと考えられる。1,000時間後の導電率は、
共沈法では初期状態よりも特性がやや向上したのに対し
て、蒸発乾固法ではやや低下、粉末混合法では大きく低
下した。試料表面を観察すると、共沈法による成膜体で
は変化が観られないのに対して、蒸発乾固法による試料
では少しのクラックが、粉末混合法による試料では多く
のクラックが膜表面に発生していることが確認され、こ
れが導電率の低下をもたらしたと容易に推測された。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は以下の効果を発揮する。 長時間高温にさらされた場合にもNiの凝集がほと
んど生じることがないNi/YSZサーメットを提供で
きる。そのため、クラックや剥離等の燃料電極の破壊や
電気抵抗の増大といったNi凝集に起因する燃料電極の
特性劣化を改善することができる。 製法に関係なく、初期特性のみならず耐久性をも含
んだ燃料電極の状態を判断できる。また、原料粉末のロ
ット間の特性ばらつきも判断でき、製品の特性を安定さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例及び比較例のNi/YSZサー
メット膜のSEM組織写真である。
【図2】本発明の実施例及び比較例のNi/YSZサー
メット膜のEDX観察結果を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 NiとYSZ(イットリア安定化ジルコ
    ニア)の粒子の焼結体からなるNi/YSZサーメット
    であって;Ni/YSZ組成比が24/76〜64/3
    6wt%であり、 粒子の平均粒径が2μm 以下であり、 該サーメットを貫通する線分が横切る粒界の数におい
    て、 (NiとYSZとの粒界数/全粒界数)≧0.4 ここで全粒界数=NiとYSZとの粒界数+YSZとY
    SZとの粒界数+NiとNiとの粒界数、 であることを特徴とするNi/YSZサーメット。
  2. 【請求項2】 NiとYSZの粒子の焼結体からなるN
    i/YSZサーメットを製造する方法であって;湿式法
    により、Ni、Zr、Y及び酸素を含む混合物を得る湿
    式混合工程と、 該混合物を分解して上記各金属の酸化物を含む粉粒体を
    得る分解工程と、 該粉粒体を仮焼する一次仮焼工程と、 仮焼後の粉粒体(NiO/YSZ複合粉末)を粉砕する
    粉砕工程と、 この粉砕工程で得られた粉砕粉を再度仮焼する二次仮焼
    工程と、 二次仮焼したNiO/YSZ複合粉末を、スラリーコー
    ト法により基体上に成膜する工程と、 このNiO/YSZ複合粉末膜を1,200〜1,45
    0℃で焼成する工程と、 このNiO/YSZ複合粉末
    膜を還元する工程と、を含むことを特徴とするNi/Y
    SZサーメットの製造方法。
  3. 【請求項3】 NiとYSZの粒子の焼結体からなるN
    i/YSZサーメットを製造する方法であって;Niイ
    オン、Zrイオン、Yイオンを所望割合で含む原料溶液
    を調整する溶液調整工程と、 共沈溶液を上記原料溶液に混合して、上記各金属の1種
    以上及び酸素を含む固体物質(共沈物質)を上記原料溶
    液から共沈させる共沈工程と、 該共沈物質を分解して上記各金属の酸化物を含む粉粒体
    を得る分解工程と、 該粉粒体を仮焼する仮焼工程と、 仮焼後の粉粒体(NiO/YSZ複合粉末)を粉砕する
    粉砕工程と、 この粉砕工程で得られた粉砕粉を再度仮焼する二次仮焼
    工程と、 二次仮焼したNiO/YSZ複合粉末を、スラリーコー
    ト法により基体上に成膜する工程と、 このNiO/YSZ複合粉末膜を1,200 〜1,450 ℃で焼
    成する工程と、 このNiO/YSZ複合粉末膜を還元する工程と、を含
    むことを特徴とするNi/YSZサーメットの製造方
    法。
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