JPH0930108A - 被記録材 - Google Patents

被記録材

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JPH0930108A
JPH0930108A JP7178686A JP17868695A JPH0930108A JP H0930108 A JPH0930108 A JP H0930108A JP 7178686 A JP7178686 A JP 7178686A JP 17868695 A JP17868695 A JP 17868695A JP H0930108 A JPH0930108 A JP H0930108A
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JP
Japan
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dye
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JP7178686A
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Inventor
Toshio Fukuda
敏生 福田
Kengo Ito
謙吾 伊東
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 染料受容層形成溶液の保存安定性を高め、画
像の定着性、特に耐水性を向上させることを可能とす
る。 【解決手段】 支持体上に少なくとも層間化合物と非イ
オン性界面活性剤を含有する染料受容層を形成する。さ
らに、染料受容層中に層間化合物及び非イオン性界面活
性剤の他、樹脂が含有されていることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクにより形成
される画像を被着させる被記録材に関する。詳しくは、
被記録材の染料受容層中に層間化合物及び非イオン性界
面活性剤を含有させた被記録材に係るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータ等の普及
に伴い、該パーソナルコンピュータの表示画像等を銀塩
写真と同じように印画紙に表示することが要求されてい
る。そして、印画紙に印刷する手段として、電界や熱、
圧力等を駆動源としてノズルより溶液状のインクを印画
紙上に吐出させ、インクにより画像を形成して印刷を行
うインクジェット記録方式等が使用されている。
【0003】このようにインクジェット記録方式により
印画紙に印刷を行う場合、印画紙としては、支持体上に
染料受容層の形成された印画紙を使用するのが一般的で
ある。そして、上記インクジェット記録方式において
は、インクとして水溶性の直接染料や酸性染料が主に使
用される。なお、上記印画紙の染料受容層には、染料と
の親和性に優れた水溶性高分子、有機若しくは無機填
料、その他補助的物質が染料浸透性や画像のにじみを制
御するべく配合されている。
【0004】ところで、上記のようなインクジェット記
録方式において使用されている染料は、直接染料の染色
理論に代表されるように染料受容層に移行した後におい
ては、染料受容層成分とのファンデルワールス力、水素
結合等の相互作用をすることによって受容層中に保持さ
れている。
【0005】従って、上記のような染料を含むインクに
より形成される画像の染料に対してより親和力の優れた
溶媒や樹脂等が接した場合、或いは染料と染料受容層と
の相互作用を打ち消すだけの熱エネルギーが供給された
場合には、染料の溶出や移行が誘発されたり、画像のボ
ケが発生する。
【0006】そこで、例えば特公昭62−798号公報
に示すように、水性インク用染料に反応性染料を用い、
染料受容層中の活性基と共有結合を形成する方法、或い
はUSP4694302に示すように、染料アニオンと
染料受容層中の有機高分子カチオン間にイオン接合を形
成させる方法、特公昭63−11158号公報に示すよ
うに、染料アニオンと染料受容層中の無機低分子カチオ
ン間にイオン結合を形成させる方法等のような化学結合
に基づく手段が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような方法では、インクや染料受容層の反応性が非常
に高くなり、インク或いは染料受容層を形成するために
被記録材の支持体上に塗布する染料受容層形成溶液の保
存性を確保することが困難となり、長期間保存できず、
コストを高める要因となるといった不都合が生じてい
る。
【0008】また、染料と染料受容層の反応が短時間で
終了しないため染料の染料受容層への吸着速度が遅く、
画像が安定に形成されるまで長時間を要する、若しくは
安定に画像を形成するために加熱処理を要し、印刷に要
する時間或いは手間がかかり、生産性の低下を引き起こ
すといった不都合も生じている。
【0009】さらには染料の調整が困難で使用可能な色
相が限られてしまうという不都合も生じている。
【0010】さらにまた、これら手段により画像の耐水
性を向上させることができても、耐溶剤性や耐光性が十
分ではなく、画像の定着性を十分なものとすることは困
難である。
【0011】このようなことから、従来のインクジェッ
ト記録技術により形成される画像は証明写真や屋外展示
用写真等の高度な画像耐久性が要求される分野において
は実用化が難しいとされている。しかし、このような分
野においてもインクジェット記録方式により形成される
画像を実用化できるように、耐水性に代表される画像の
定着性の改善が望まれている。
【0012】そこで、本発明は従来の実情に鑑みて提案
されたものであり、印刷時のコスト,時間,手間を低減
でき、画像の定着性、特に耐水性が向上される被記録材
を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明者等は鋭意検討した結果、染料として水溶性
染料を使用し、特に直接染料及び酸性染料を使用し、染
料受容層中に交換性陰イオンが水吸着性若しくは水に対
する膨潤性に優れた層間化合物を用いて直接染料若しく
は酸性染料を画像的に移行せしめた場合には、染料像に
変換されて強固に定着されることを見い出した。一方、
水溶性染料のうち塩基性染料を使用し、染料受容層中に
交換性陽イオンが水吸着性若しくは水に対する膨潤性に
優れた層間化合物を用いて塩基性染料を画像的に移行せ
しめた場合にも、染料像に変換されて強固に定着される
ことを見い出した。
【0014】また、本発明者等は鋭意検討を重ねた結
果、染料受容層形成溶液に層間化合物とともに非イオン
性界面活性剤を含有させることによりその保存安定性を
高め、これによって染料受容層を形成し、染料受容層中
に上記のような層間化合物とともに非イオン性界面活性
剤を含有させることにより水溶性染料を含有するインク
が該染料受容層に付着した場合のインクの吸収速度を高
めることが可能であることを見い出した。
【0015】さらに本発明者等は鋭意検討を重ねた結
果、染料受容層中に層間化合物及び非イオン性界面活性
剤の他に樹脂を含有させることにより、染料受容層に高
度の透明性を発現させることが可能であることも見い出
した。さらにまた、上記非イオン性界面活性剤が層間化
合物の樹脂に対する分散性を向上させる効果も有するこ
とを見い出した。
【0016】すなわち本発明は、支持体上に少なくとも
層間化合物と非イオン性界面活性剤を含有する染料受容
層を形成することを特徴とするものである。
【0017】そして、染料受容層中の非イオン性界面活
性剤の含有量は層間化合物の含有量に対して5部〜30
部であることが好ましく、5部未満であると染料受容層
形成溶液の保存安定性を十分に確保することが難しく、
30部よりも多いと染料受容層を形成する際の染料受容
層形成溶液の乾燥性が低くなることから好ましくない。
【0018】さらに、本発明の被記録材においては染料
受容層中に層間化合物及び非イオン性界面活性剤の他、
樹脂が含有されていることが好ましい。
【0019】そして、染料受容層中の樹脂の含有量は層
間化合物の含有量に対して10部〜90部であることが
好ましく、10部未満であると、染料受容層形成溶液を
支持体上に塗布する場合に柔軟性に富んだ皮膜を形成す
ることが出来ず、90部よりも多いと、画像の染料受容
層への定着性を損なう可能性があることから好ましくな
い。
【0020】上記層間化合物としては、層間に交換性陽
イオンを有する層状無機高分子材料が好ましく、3−八
面体型スメクタイト構造を有する層状珪酸塩であるモン
モリロナイト群鉱物、中でも化5で示される構造を有す
るものが好ましい。
【0021】
【化5】
【0022】このとき、XとYの組合わせと置換数の違
いにより、モンモリロナイト,マグネシアンモンモリロ
ナイト,鉄モンモリロナイト,鉄マグネシアンモンモリ
ロナイト,バイデライト,アルミニアンバイデライト,
ノントロナイト,アルミニアンノントロナイト,サポナ
イト,アルミニアンサポナイト,ヘクトライト,ソーコ
ナイト等の多くの種類が天然物として存在する。
【0023】さらに、上記層間化合物としては、層間に
交換性陰イオンを有する層状無機高分子材料も好まし
く、0:1型粘土鉱物のAlO6 八面体シートからなる
層状塩であるハイドロタルサイト群鉱物、中でも化6で
示される構造を有するものが好ましい。
【0024】
【化6】
【0025】また、上記非イオン性界面活性剤として
は、下記化7に示すような構造を有するポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル類,下記化8に示すよう
な構造を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル
類,下記化9〜化11に示すような構造を有するポリオ
キシエチレン脂肪酸エステル類が好ましく、これらのう
ちの少なくとも一種類を使用することが好ましい。
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
【化11】
【0031】さらにまた、上記樹脂としては、ビニルア
ルコールのアセタール化物,セルロース系樹脂,ポリビ
ニルピロリドン系樹脂のうちの少なくとも1種類である
ことが好ましい。
【0032】すなわち、本発明の被記録材においては、
支持体上に少なくとも層間化合物と非イオン性界面活性
剤を含有する染料受容層を形成するため、染料を含有す
るインクが上記染料受容層に付着した場合のインクの吸
収速度が非イオン性界面活性剤により高められるととも
に、上記インクに含まれる染料が層間化合物により染料
受容層中に強固に定着される。また、非イオン性界面活
性剤を含有していることから、染料受容層形成溶液の保
存安定性も良好となる。
【0033】さらに、上記染料受容層中に樹脂を含有さ
せれば、染料受容層に高度の透明性が発現する。なお、
このとき、染料受容層中には非イオン性界面活性剤が含
有されていることから樹脂に対する層間化合物の分散性
も良好となる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について示す。すなわち、本発明の被記録材は、支持
体上に染料受容層が形成されてなる被記録材において、
染料受容層中に少なくとも層間化合物と非イオン性界面
活性剤を含有するものである。
【0035】なお、上記支持体としては、例えば印画紙
の支持体として一般的に用いられるものが挙げられ、普
通紙,合成紙等の紙類、或いはポリエチレンテレフタレ
ート等のプラスチックフィルム類、さらには紙類上にプ
ラスチック類をコーティングしたもの等が挙げられる。
【0036】染料として水溶性染料を使用し、特に直接
染料及び酸性染料を使用し、染料受容層中に交換性陰イ
オンが水吸着性若しくは水に対する膨潤性に優れた層間
化合物或いは交換性陰イオンの一部が有機アニオンに置
き換えられた層間化合物を用いて直接染料若しくは酸性
染料を画像的に移行せしめた場合には、染料像に変換さ
れて強固に定着される。一方、水溶性染料のうち塩基性
染料を使用し、染料受容層中に交換性陽イオンが水吸着
性若しくは水に対する膨潤性に優れた層間化合物或いは
交換性陽イオンの一部が第4アンモニウムイオン、ホス
ホニウムイオンなどに置き換えられた層間化合物を用い
て塩基性染料を画像的に移行せしめた場合にも、染料像
に変換されて強固に定着される。
【0037】従って、本発明の被記録材においては、イ
ンクに含まれる染料が層間化合物により染料受容層中に
強固に定着され、該染料により画像が形成され、その定
着性は良好となる。
【0038】また、本発明の被記録材においては、染料
を含有するインクが上記染料受容層に付着した場合のイ
ンクの吸収速度が非イオン性界面活性剤により高めら
れ、印刷に要する時間が短縮され、印刷時に特別な工程
を実施する必要もなく、生産性が向上する。
【0039】上記層間化合物としては、前述のように層
間に交換性陽イオンを有する層状無機高分子材料が好ま
しく、3−八面体型スメクタイト構造を有する層状珪酸
塩であるモンモリロナイト群鉱物、中でも化12で示さ
れる構造を有するものが好ましい。
【0040】
【化12】
【0041】このとき、XとYの組合わせと置換数の違
いにより、モンモリロナイト,マグネシアンモンモリロ
ナイト,鉄モンモリロナイト,鉄マグネシアンモンモリ
ロナイト,バイデライト,アルミニアンバイデライト,
ノントロナイト,アルミニアンノントロナイト,サポナ
イト,アルミニアンサポナイト,ヘクトライト,ソーコ
ナイト等の多くの種類が天然物として存在する。
【0042】さらに、上記層間化合物としては、前述の
ように層間に交換性陰イオンを有する層状無機高分子材
料も好ましく、0:1型粘土鉱物のAlO6 八面体シー
トからなる層状塩であるハイドロタルサイト群鉱物、中
でも化13で示される構造を有するものが好ましい。
【0043】
【化13】
【0044】ところで、上記層間化合物としては、次の
ようなものも挙げられる。層間に交換性陽イオンを有す
る層間化合物としては、上述のモンモリロナイト群鉱物
の天然物の他に上記化12中のOH基がフッ素で置換さ
れた合成品等も挙げられる。また、その他のものとし
て、例えば、ナトリウムシリシックマイカ,ナトリウム
テニオライト,リチウムテニオライト等の雲母群鉱物が
挙げられる。ただし、層状構造を有していても層間に交
換性陽イオンを持たないカオリナイト,タルク,パイロ
フィライト等は不適当である。なお、ゼオライトはアル
カリ金属イオン或いはアルカリ土類金属イオンを交換性
陽イオンとして有しているが、組織が網目状であって孔
径も小さいため、性能は著しく劣り、好ましくない。
【0045】本発明に用いられる層間化合物は、その層
間に水やアルコール等の高誘電率媒体に溶媒和し易い無
機イオン、例えばLi+ ,Na+ ,K+ 等のアルカリ金
属若しくはMg2+等或いはH+ を有するものであっても
(いわゆる粘土酸となる)塩基性染料の受容体として用
いる場合は構わない。これに対しCa2+,Ba2+等のア
ルカリ土類金属イオンは溶媒和し難い層間を与えるので
好ましくない。
【0046】さらに本発明では後述の樹脂への分散性を
考慮してこれらの交換性無機イオンの一部を有機陽イオ
ンで置換させて用いる場合もある。その有機陽イオンと
して好適なものは、第4アンモニウムイオンやホスホニ
ウムイオン、例えばアルキルホスホニウムイオン、アリ
ールホスホニウムイオン等である。
【0047】ただし、例えば第4アンモニウムイオンの
場合、4つのアルキル基のうち少なくとも3つは各々炭
素数4以上、好ましくは8以上である。長鎖アルキルの
数が少ないと、ピラーとしての効果が少なく、定着反応
座席(交換性無機イオン)としての層間を確保すること
が困難となる。例えばn−オクチルトリメチルアンモニ
ウムイオンを用いると定着座席を殆ど占めても層間隔は
4オングストローム程度以上には増大せず、しかも疎水
的表面を与えるので本発明には全く適さない。
【0048】上記合成層間化合物以外にも塩基性染料と
強い親和性を示す合成珪酸塩として無定形の合成シリカ
等があるが水等の高誘電率媒体中での定着性能、つまり
イオン交換能力は著しく劣り、非実用的である。また、
合成粘土鉱物と同様に層状構造を有し、なおかつ交換性
陽イオンを有する無機高分子として燐酸ジルコニウム等
の酸性塩、層状含水酸化チタン等がある。そして形態的
に層状でないが、同様なイオン交換能を有するヘテロポ
リ酸類、ヘキサシアノ鉄塩等が存在するが、その光学的
陰ぺい性若しくは固有の着色のために透明性,光沢性,
白色性が要求される被記録材の受容層中に含有させるに
は不適当である。
【0049】一方、層間に交換性陰イオンを有する層間
化合物としては、上述のハイドロタルサイト群鉱物の天
然鉱物の他、若干組成の異なる合成品が挙げられる。こ
の合成品は天然品のように夾雑物を含まず純白色を呈
し、結晶そのものが光学的に透明である。さらには、ハ
イドロタルサイト群鉱物のイオン交換部位に水やアルコ
ール等の高誘電率媒体に溶媒和し易い無機イオン、例え
ばNO3 - ,SO4 2 -,ClO4 - ,Fe(CN)6 4
- ,ヘテロポリリン酸イオン等或いは低級カルボキシ
レートイオンのような親水性有機アニオンを有するもの
が挙げられ、これらは染料受容層に含有させる場合には
構わない。これに対し、高級カルボキシレートイオンの
如く水和し難い層間を与えるイオンを有するものは、親
水性染料の定着座席を奪うので好ましくない。
【0050】さらに上記層間化合物としては、後述の樹
脂への分散性を考慮してこれらの交換性イオンの一部を
有機アニオンで置換させているものも挙げられる。この
有機アニオンとして好適なものは、カルボン酸アニオン
類,スルホン酸アニオン類,硫酸エステルアニオン類,
燐酸エステルアニオン類であり、炭素数5〜20のアル
キル基若しくはアルケニル基を有することが好ましい。
炭素数が少ないとピラーとしての効果が少なく、定着反
応座席(交換性無機イオン)としての層間を確保するこ
とが困難となる。
【0051】上記ハイドロタルサイト類以外にも交換性
陰イオンを有する無機高分子としてチタンやジルコニウ
ム,ランタン,ビスマス等の含水酸化物或いは水酸化燐
酸塩等が存在するが、その光学的隠ぺい性若しくは固有
の着色のために透明性,光沢性,白色性が要求される被
記録材の染料受容層中に含有させるには不適当である。
【0052】特にこれらの中でも本発明に好ましく用い
られるのは天然品のように夾雑物を含まず、純白色を呈
する合成珪酸塩であり、結晶そのものが光学的に透明で
ある。
【0053】また、上記非イオン性界面活性剤として
は、下記化14に示すような構造を有するポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル類,下記化15に示す
ような構造を有するポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル類,下記化16〜化18に示すような構造を有するポ
リオキシエチレン脂肪酸エステル類が好ましく、これら
のうちの少なくとも一種類を使用することが好ましい。
【0054】
【化14】
【0055】
【化15】
【0056】
【化16】
【0057】
【化17】
【0058】
【化18】
【0059】なお、非イオン性界面活性剤としては、上
述のようなものの他、化19に示されるような構造を有
するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック
ポリマーや化20,化21に示されるようなソルビタン
脂肪酸エステル類、化22に示されるような構造を有す
るポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル類、化2
3に示されるような構造を有する脂肪酸ジエタノールア
ミド類、化24に示されるような構造を有するショ糖脂
肪酸エステル類が使用可能である。
【0060】
【化19】
【0061】
【化20】
【0062】
【化21】
【0063】
【化22】
【0064】
【化23】
【0065】
【化24】
【0066】また、本発明の被記録材においては染料受
容層中に層間化合物及び非イオン性界面活性剤の他、樹
脂が含有されていることが好ましい。
【0067】上記樹脂としては、ポリビニルブチラール
などのビニルアルコールのアセタール化物,エチルセル
ロースやセルロースアセテートブチレート等や吸水性を
向上させる機能を有するヒドロキシプロピルセルロース
のセルロース系樹脂,ポリビニルピロリドンやポリビニ
ルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等の吸水性を向上さ
せる機能を有するポリビニルピロリドン系樹脂のうちの
少なくとも1種類であることが好ましい。
【0068】上記樹脂としては、上述のようなものの他
に、一般の熱可塑性樹脂が適用可能であるが、本発明に
おいては層間化合物の分散性を高める作用を有するもの
が好ましい。具体的には分子内にOH基等を有する樹脂
が挙げられる。逆に凝集を引き起こしたり画像の定着作
用を阻害するような置換基、例えばイオン染料よりも相
対的にイオン交換し易いようなイオンを含むものは好ま
しくない。
【0069】このような樹脂としては、上述のものの他
に、ポリアミド樹脂、デンプン−ポリアクリルアミド,
ポリアクリル酸等のアクリル系樹脂等が挙げられる。
【0070】上述の本発明の被記録材を製造するには、
染料受容層形成溶液を調整し、これを支持体に塗布すれ
ば良い。なお、染料受容層形成溶液は、溶媒に層間化合
物と非イオン性界面活性剤、必要に応じて樹脂を加え、
これを混合して調整するが、上記のように非イオン性界
面活性剤を含有させることで保存安定性が良好となり、
印刷時のコストを低減することが可能となる。
【0071】なお、画像の定着性を阻害しない限り、染
料受容層形成溶液中には、樹脂のガラス転移点を制御す
るための可塑剤を添加しても良く、それ以外の目的で例
えば溌水性制御のための補助的添加剤、耐光性改善のた
めの紫外線吸収剤或いは品位改善のために蛍光増白剤を
添加しても良い。
【0072】このとき、染料受容層中の非イオン性界面
活性剤の含有量が層間化合物の含有量に対して5部〜3
0部となるように染料受容層形成溶液を調整することが
好ましく、5部未満であると染料受容層形成溶液の保存
安定性を十分に確保することが難しく、30部よりも多
いと染料受容層を形成する際の染料受容層形成溶液の乾
燥性が低くなってしまう。
【0073】また、染料受容層中に樹脂を含む場合に
は、染料受容層中の樹脂の含有量が層間化合物の含有量
に対して10部〜90部となるように染料受容層形成溶
液を調整することが好ましく、10部未満であると、染
料受容層形成溶液を支持体上に塗布する場合に柔軟性に
富んだ皮膜を形成することが出来ず、90部よりも多い
と、画像の染料受容層への定着性を損なう可能性がある
ことから好ましくない。このとき、非イオン性界面活性
剤は層間化合物の樹脂に対する分散性を高める効果も有
する。
【0074】なお、本発明の被記録材は、染料を層間化
合物により染料受容層中に強固に定着させることがで
き、インクの吸収速度が高められているため、インクジ
ェット記録方式,昇華記録方式等の一般的な記録方式を
適用したプリンターの記録紙として適用可能である。
【0075】ところで、画像を形成する染料としては、
水溶性染料が挙げられ、上記水溶性染料としては水溶性
カチオン染料(水溶性塩基性染料)と水溶性アニオン染
料(水溶性直接染料及び水溶性酸性染料)が挙げられ
る。
【0076】上記水溶性カチオン染科としては、アミン
塩または第4級アンモニウム基を有するアゾ染料、トリ
フェニルメタン染料、アジン染料、オキサジン染料、チ
アジン染料等を使用することができる。
【0077】具体的には、イエロー系として、C.I.
ベーシックイエロー1、同2、同11、同13、同1
4、同19、同21、同25、同28、同32、同3
3、同34、同35又は同36、マゼンタ系として、
C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同
13、同14、同15、同17、同18、同22、同2
3、同24、同27、同29、同32、同38、同3
9、同40、C.I.ベーシックバイオレット7、同1
0、同15、同21、同25、同26、同27又は同2
8、シアン系として、C.I.ベーシックブルー1、同
3、同5、同7、同9、同19、同21、同22、同2
4、同25、同26、同28、同29、同40、同4
1、同44、同45、同47、同54、同58、同5
9、同60、同64、同65、同66、同67、同68
又は同75、ブラック系として、C.I.ベーシックブ
ラック2又は同8等を例示することができる。
【0078】特に、好ましい染料としては、C.I.ベ
ーシックイエロー21、同36、同67、同73、及び
化25,化26,化27,化28,化29,化30,化
31,化32で示すものが挙げられる。
【0079】
【化25】
【0080】
【化26】
【0081】ただし、化25,化26中、R1 、R2
3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R
11及びR12は、独立的に水素原子、ハロゲン原子、シア
ノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、
アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラル
コシキ基、アルケニル基、アルケノキシ基、アルコキシ
カルボニル基、アシルオキシ基又はアシル基であり、こ
れらは置換されていてもよく、また、R1 とR2 、R3
とR4 、R7 とR8 、R9 とR10、R10とR11、及びR
11とR12とはそれぞれ互いに連結して環を形成してもよ
く、そしてZ-は対イオンである。
【0082】
【化27】
【0083】ただし、化27中、R13、R14、R15及び
16は、独立的に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、
アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルコシキ
基、アルケニル基、アルケノキシ基、アルコキシカルボ
ニル基、アシルオキシ基又はアシル基であり、これらは
置換されていてもよく、そしてZ- は対イオンである。
【0084】
【化28】
【0085】ただし、化28中、R17、R18、R19、R
20及びR21は、独立的に水素原子、ハロゲン原子、シア
ノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、
アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラル
コシキ基、アルケニル基、アルケノキシ基、アルコキシ
カルボニル基、アシルオキシ基又はアシル基であり、こ
れらは置換されていてもよく、また、R20とR21とは互
いに連結してもよく、そしてZ- は対イオンである。
【0086】
【化29】
【0087】ただし、化29中、R22、R23、R24、R
25及びR26は、独立的に水素原子、ハロゲン原子、シア
ノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、
アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラル
コシキ基、アルケニル基、アルケノキシ基、アルコキシ
カルボニル基、アシルオキシ基又はアシル基であり、こ
れらは置換されていてもよく、また、R25とR26とは互
いに連結してもよく、そしてZ- は対イオンである。
【0088】
【化30】
【0089】ただし、化30中、R27は置換もしくは非
置換のアリール基又は置換もしくは非置換のへテロ環で
あり、R28及びR29は、独立的に水素原子、ハロゲン原
子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコ
キシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル
基、アラルコシキ基、アルケニル基、アルケノキシ基、
アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基又
はアシルアミノ基であり、これは置換されていてもよ
く、R30は置換もしくは非置換のアルキル基であり、R
31及びR32は、独立的に水素原子、置換もしくは非置換
のアルキル基又は置換もしくは非置換のアラルキル基で
あり、あるいはR31とR32とは互いに連結してもよく、
そしてZ- は対イオンである。
【0090】
【化31】
【0091】ただし、化31中、R33、R34、R35及び
36は、独立的に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、
アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルコシキ
基、アルケニル基、アルケノキシ基、アルコキシカルボ
ニル基、アシルオキシ基又はアシル基であり、これらは
置換されていてもよく、また、R35とR36とは互いに連
結してもよく、そしてZ- は対イオンである。
【0092】
【化32】
【0093】ただし、化32中、R37、R38、R39及び
40は、独立的に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、
アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルコシキ
基、アルケニル基、アルケノキシ基、アルコキシカルボ
ニル基、アシルオキシ基又はアシル基であり、これらは
置換されていてもよく、また、R39とR40とは互いに連
結してもよく、そしてZ- は対イオンである。
【0094】これらの水溶性カチオン染料は、通常、無
機アニオンを対イオンとして有し、その多くは強酸の塩
として存在する。従って、その水溶液は一般に酸性を示
すので、このような水溶性カチオン染料を含むインク組
成物と接触する金属部材の腐食を防ぐには塩基性塩で中
和することが好ましい。例えば、対イオンとしての無機
アニオンを、カルボン酸イオンなどの有機アニオンのソ
ーダ塩等で処理して有機アニオンに置換することが好ま
しい。この場合、層間化合物の水溶性カチオン染料に対
する親和性を減じないようにするために、有機アニオン
との造塩により層間化合物との親和性を減じないように
することが好ましい。
【0095】一方、水溶性アニオン染料としては、発色
団としてモノアゾ基、ジズアゾ基、アントラキノン骨
格、トリフェニルメタン骨格などを有し、更に分子中に
1〜3個のスルホン酸基又はカルボキシル基などの陰イ
オン性の水溶性基を有するものを使用することができ
る。
【0096】具体的には、イエロー系直接染料として、
C.I.ダイレクトイエロー1、同8、同11、同1
2、同24、同26、同27、同28、同33、同3
9、同44、同50、同58、同85、同86、同8
7、同88、同89、同98、同100、同110、マ
ゼンタ系の直接染料としてC.I.ダイレクトレッド
1、同2、同4、同9、同11、同13、同17、同2
0、同23、同24、同28、同31、同33、同3
7、同39、同44、同46、同62、同63、同7
5、同79、同80、同81、同83、同84、同8
9、同95、同99、同113、同197、同201、
同218、同220、同224、同225、同226、
同227、同228、同229、同230、同321、
シアン系の直接染料として、C.I.ダイレクトブルー
1、同2、同6、同8、同15、同22、同25、同4
1、同71、同76、同77、同78、同80、同8
6、同90、同98、同106、同108、同120、
同158、同160、同163、同165、同168、
同192、同193、同194、同195、同196、
同199、同200、同201、同202、同203、
同207、同225、同226、同236、同237、
同246、同248、同249、ブラック系の直接染料
として、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同
22、同32、同38、同51、同56、同62、同7
1、同74、同75、同77、同94、同105、同1
06、同107、同108、同112、同113、同1
17、同118、同132、同133、同146が好ま
しく例示される。
【0097】また、イエロー系の酸性染料として、C.
I.アシッドイエロー1、同3、同7、同11、同1
7、同19、同23、同25、同29、同36、同3
8、同40、同42、同44、同49、同59、同6
1、同70、同72、同75、同76、同78、同7
9、同98、同99、同110、同111、同112、
同114、同116、同118、同119、同127、
同128、同131、同135、同141、同142、
同161、同162、同163、同164、同165、
マゼンタ系の酸性染料として、C.I.アシッドレッド
1、同6、同8、同9、同13、同14、同18、同2
6、同27、同32、同35、同37、同42、同5
1、同52、同57、同75、同77、同80、同8
2、同83、同85、同87、同88、同89、同9
2、同94、同97、同106、同111、同114、
同115、同117、同118、同119、同129、
同130、同131、同133、同134、同138、
同143、同145、同154、同155、同158、
同168、同180、同183、同184、同186、
同194、同198、同199、同209、同211、
同215、同216、同217、同219、同249、
同252、同254、同256、同257、同262、
同265、同266、同274、同276、同282、
同283、同303、同317、同318、同320、
同321、同322、シアン系の酸性染科として、C.
I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、
同23、同25、同27、同29、同40、同41、同
43、同45、同54、同59、同60、同62、同7
2、同74、同78、同80、同82、同83、同9
0、同92、同93、同100、同102、同103、
同104、同112、同113、同117、同120、
同126、同127、同129、同130、同131、
同138、同140、同142、同143、同151、
同154、同158、同161、同166、同167、
同168、同170、同171、同175、同182、
同183、同184、同187、同192、同199、
同203、同204、同205、同229、同234、
同236、ブラック系の酸性染科として、C.I.アシ
ッドブラック1、同2、同7、同24、同26、同2
9、同31、同44、同48、同50、同51、同5
2、同58、同60、同62、同63、同64、同6
7、同72、同76、同77、同94、同107、同1
08、同109、同110、同112、同115、同1
18、同119、同121、同122、同131、同1
32、同139、同140、同155、同156、同1
57、同158、同159、同191等を好ましく例示
することができる。
【0098】
【実施例】以下、本発明を適用した好適な実施例につい
て実験結果に基づいて説明する。
【0099】実験例1 本実験例においては、本発明を適用した被記録材の染料
受容層を形成する染料受容層形成溶液の保存安定性を調
査した。
【0100】〔サンプルの作製〕 〈染料受容層形成溶液実施サンプル1〉先ず、エタノー
ル80gに層間化合物として合成ハイドロタルサイト
(商品名:DHT−4A 協和化学工業(株)社製)1
6gと樹脂としてビニルアルコールのアセタール化物で
あるポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックB
L−S 積水化学工業(株)社製)2gを加え、さらに
非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル類であるポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル系非イオン性界面活性剤(商品名:ノ
イゲンEA120第一工業製薬(株)社製)0.8gを
加えて2週間ロールミルで分散させて懸濁溶液を得た。
続いて、上記懸濁溶液に、エタノール10gに樹脂とし
てポリビニルピロリドン系樹脂であるポリビニルピロリ
ドン−酢酸ビニル共重合体(商品名:ルビスコールVA
64E BASF(株)社製)を2g溶解させた溶液を
加え、均一に攪拌し、染料受容層形成溶液実施サンプル
1とした。
【0101】〈染料受容層形成溶液実施サンプル2〉次
に、エタノール80gに層間化合物として合成ハイドロ
タルサイト(商品名:DHT−4C 協和化学工業
(株)社製)16gと樹脂としてセルロース系樹脂であ
るエチルセルロース樹脂(信越化学工業(株)社製)2
gを加え、さらに非イオン性界面活性剤としてポリオキ
シエチレン脂肪酸エステル類であるポリオキシエチレン
オレイン酸エステル系非イオン性界面活性剤(商品名:
ノイゲンES129 第一工業製薬(株)社製)4.8
gを加えて2週間ロールミルで分散させて懸濁溶液を得
た。続いて、上記懸濁溶液に、エタノール20gに樹脂
としてセルロース系樹脂であるヒドロキシプロピルセル
ロース(日本曹達(株)社製)を4g溶解させた溶液を
加え、均一に攪拌し、染料受容層形成溶液実施サンプル
2とした。
【0102】〈染料受容層形成溶液実施サンプル3〉さ
らに、イソプロピルアルコール80gに層間化合物とし
て合成スメクタイト(商品名:SWN コープケミカル
社製)10gと樹脂としてポリビニルピロリドン系樹脂
であるポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(商
品名:ルビスコールVA64 BASF(株)社製)1
0gを加え、さらに非イオン性界面活性剤としてポリオ
キシエチレン脂肪酸エステル類である下記化33に示す
ような構造を有する非イオン性界面活性剤(商品名:リ
オノンDT−600 ライオン(株)社製)0.5gを
加えて2週間ロールミルで分散させて懸濁溶液を得、こ
れを染料受容層形成溶液実施サンプル3とした。
【0103】
【化33】
【0104】〈染料受容層形成溶液実施サンプル4〉さ
らにまた、エタノール80gに層間化合物として合成ス
メクタイト(商品名:SWN コープケミカル社製)1
8gと樹脂としてセルロース系樹脂であるヒドロキシプ
ロピルセルロース樹脂(日本曹達(株)社製)2gを加
え、さらに非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチ
レンアルキルエーテル系非イオン性界面活性剤(商品
名:レオックスLC−70 ライオン(株)社製)5.
4gを加えて2週間ロールミルで分散させて懸濁溶液を
得、これを染料受容層形成溶液実施サンプル4とした。
【0105】〈染料受容層形成溶液比較サンプル1〜
4〉また、比較のために、上述の染料受容層形成溶液実
施サンプル1〜4中の非イオン性界面活性剤を除いた配
合の染料受容層形成溶液をそれぞれ製造し、これらを染
料受容層形成溶液比較サンプル1〜4とした。
【0106】〔保存安定性試験〕次に上記染料受容層形
成溶液実施サンプル1〜4及び染料受容層形成溶液比較
サンプル1〜4の保存安定性試験を行った。すなわち、
これらを密封状態で温度5℃の冷暗所にて1ヶ月間保存
し、分散状態の変化を目視で確認した。そして、容器の
底に層間化合物等の沈澱物が確認されないものを○、容
器の底に層間化合物等の沈澱物が確認されるものを△、
容器の底に沈澱物が確認されるとともにその上部に透明
な部分(上澄み液)が存在するものを×として評価し
た。結果を表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】表1の結果から、非イオン性界面活性剤を
含有する染料受容層形成溶液実施サンプル1〜3におい
ては、非イオン性界面活性剤を含有していない染料受容
層形成溶液比較サンプル1〜3と比較して保存安定性が
大きく向上しており、非イオン性界面活性剤により染料
受容層形成溶液中の層間化合物の樹脂に対する分散性も
向上することが確認された。
【0109】実験例2 本実験例においては、本発明の被記録材として記録紙を
形成し、該記録紙のインク吸収性及びこの記録紙に形成
される画像の耐水性を調査した。
【0110】〔サンプルの作製〕先ず、厚さ125μm
のポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、この
上に染料受容層形成溶液実施サンプル1を乾燥厚10μ
mとなるようにバーコーターを使用して塗布して染料受
容層を形成して記録紙を製造し、記録紙実施サンプル1
とした。
【0111】同様に、染料受容層形成溶液実施サンプル
2,3,4を使用して記録紙を製造し、それぞれ記録紙
実施サンプル2,3,4とした。
【0112】また、比較のために、染料受容層形成溶液
比較サンプル1〜4を使用して前述のように記録紙を製
造し、記録紙比較サンプル1〜4とした。
【0113】さらに、染料受容層形成溶液比較サンプル
1〜4から層間化合物を除いた配合の染料受容層形成溶
液もそれぞれ用意し、これらを使用して前述のように記
録紙を製造し、これらをそれぞれ記録紙比較サンプル5
〜8とした。
【0114】〔インク吸収性及び画像耐水性試験〕次
に、上記記録紙実施サンプル1〜4及び記録紙比較サン
プル1〜8にインクジェットプリンターで画像を形成し
た場合にインクが染料受容層に浸透するのに要する時
間、及び形成された画像の耐久性を調査した。
【0115】すなわち、ヒューレッドパッカード社製の
プリンター(機種名:DESKJET1200C)の専
用インクであるインクサンプル1及び下記に示すような
配合のインクサンプル2をそれぞれ上記プリンターのイ
ンクとして使用し、上記プリンターにより記録紙実施サ
ンプル1,2及び記録紙比較サンプル1,2,5,6に
フルカラー印刷を行い、画像を形成した。
【0116】 (インク配合) 染料 2部 グリセリン 2部 ジエチレングリコール 6部 水 30部 (ただし、染料としては、イエローのC.I.ダイレク
トイエロー87、マゼンタのC.I.ダイレクトレッド
227、シアンのC.I.ダイレクトブルー199を使
用し、各色のインクを用意するものとする。) また、上記インクサンプル1,2の代わりに、インクサ
ンプル1の染料をイエローのC.I.ベーシックイエロ
ー2、マゼンタのC.I.ベーシックレッド46、シア
ンのC.I.ベーシックブルー3に変更した配合のイン
クサンプル3を用意し、これを上記プリンターのインク
として使用、上記プリンターにより記録紙実施サンプル
3,4及び記録紙比較サンプル3,4,7,8にフルカ
ラー印刷を行い、画像を形成した。
【0117】そして、画像を形成する際にインクが受容
層に浸透するのに要した時間を調査し、10秒以内を○
とし、10秒〜30秒を△とし、30秒以上を×として
評価した。ただし、この試験は記録紙実施サンプル1〜
4と記録紙比較サンプル1〜4のみについて行った。結
果を表1中に併せて示す。
【0118】さらに、画像の形成された各記録紙を画像
形成面が水に接するように水中に24時間浸漬させ、染
料の溶出の有無を調査し、水中への染料の溶出がなく、
画像の滲みも生じていないものを○とし、水中への染料
の溶出は無いが、画像の滲みが生じているものを△と
し、水中への染料の溶出が生じているものを×として評
価した。結果を表1中に併せて示す。
【0119】表1の結果から、非イオン性界面活性剤を
含有する染料受容層形成溶液により染料受容層が形成さ
れている記録紙実施サンプル1〜4においては、非イオ
ン性界面活性剤を含有しない染料受容層形成溶液により
染料受容層が形成されている記録紙比較サンプル1〜4
よりもインクが浸透するのに要する時間が大幅に短縮さ
れており、非イオン性界面活性剤により染料受容層のイ
ンク吸収性が向上することが確認された。
【0120】また、表1の結果から、層間化合物を含有
する染料受容層形成溶液により染料受容層が形成されて
いる記録紙実施サンプル1〜4及び記録紙比較サンプル
1〜4においては、層間化合物を含有しない染料受容層
形成溶液により染料受容層が形成されている記録紙比較
サンプル5〜8よりもその上に形成される画像の耐水性
が大幅に向上しており、層間化合物により染料受容層中
に染料が強固に定着され、画像の定着性が向上し、耐水
性も向上することが確認された。
【0121】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の被記録材においては、支持体上に少なくとも層間化
合物と非イオン性界面活性剤を含有する染料受容層を形
成するため、染料を含有するインクが上記染料受容層に
付着した場合のインクの吸収速度が非イオン性界面活性
剤により高められ、生産性が向上し、上記インクに含ま
れる染料が層間化合物により染料受容層中に強固に定着
され、該染料により画像が形成され、その定着性は良好
となる。また、非イオン性界面活性剤を含有しているこ
とから、染料受容層形成溶液の保存安定性も良好とな
り、これを用いれば印刷時のコストが低減され、生産性
が良好となる。
【0122】さらに、上記染料受容層中に樹脂を含有さ
せれば、染料受容層に高度の透明性が発現する。なお、
このとき、染料受容層中には非イオン性界面活性剤が含
有されていることから樹脂に対する層間化合物の分散性
も良好となる。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に染料受容層が形成されてなる
    被記録材において、 染料受容層中に少なくとも層間化合物と非イオン性界面
    活性剤を含有することを特徴とする被記録材。
  2. 【請求項2】 染料受容層中の非イオン性界面活性剤の
    含有量は層間化合物の含有量に対して5部〜30部であ
    ることを特徴とする請求項1記載の被記録材。
  3. 【請求項3】 層間化合物が層間に交換性陽イオンを有
    する層状無機高分子材料であることを特徴とする請求項
    1記載の被記録材。
  4. 【請求項4】 層状無機高分子材料がモンモリロナイト
    群鉱物であることを特徴とする請求項3記載の被記録
    材。
  5. 【請求項5】 モンモリロナイト群鉱物が下記化1で示
    される構造を有することを特徴とする請求項4記載の被
    記録材。 【化1】
  6. 【請求項6】 層間化合物が層間に交換性陰イオンを有
    する層状無機高分子材料であることを特徴とする請求項
    1記載の被記録材。
  7. 【請求項7】 層状無機高分子材料がハイドロタルサイ
    ト群鉱物であることを特徴とする請求項6記載の被記録
    材。
  8. 【請求項8】 ハイドロタルサイト群鉱物が下記化2で
    示される構造を有することを特徴とする請求項7記載の
    被記録材。 【化2】
  9. 【請求項9】 非イオン性界面活性剤がポリオキシエチ
    レンアルキルフェニルエーテル類,ポリオキシエチレン
    アルキルエーテル類,ポリオキシエチレン脂肪酸エステ
    ル類のうちの少なくとも一種類であることを特徴とする
    請求項1記載の被記録材。
  10. 【請求項10】 染料受容層中に樹脂が含有されている
    ことを特徴とする請求項1記載の被記録材。
  11. 【請求項11】 染料受容層中の樹脂の含有量は層間化
    合物の含有量に対して10部〜90部であることを特徴
    とする請求項10記載の被記録材。
  12. 【請求項12】 樹脂がビニルアルコールのアセタール
    化物,セルロース系樹脂,ポリビニルピロリドン系樹脂
    のうちの少なくとも1種類であることを特徴とする請求
    項10記載の被記録材。
  13. 【請求項13】 層間化合物が層間に交換性陽イオンを
    有する層状無機高分子材料であることを特徴とする請求
    項10記載の被記録材。
  14. 【請求項14】 層状無機高分子材料がモンモリロナイ
    ト群鉱物であることを特徴とする請求項13記載の被記
    録材。
  15. 【請求項15】 モンモリロナイト群鉱物が下記化3で
    示される構造を有することを特徴とする請求項14記載
    の被記録材。 【化3】
  16. 【請求項16】 層間化合物が層間に交換性陰イオンを
    有する層状無機高分子材料であることを特徴とする請求
    項10記載の被記録材。
  17. 【請求項17】 層状無機高分子材料がハイドロタルサ
    イト群鉱物であることを特徴とする請求項16記載の被
    記録材。
  18. 【請求項18】 ハイドロタルサイト群鉱物が下記化4
    で示される構造を有することを特徴とする請求項17記
    載の被記録材。 【化4】
  19. 【請求項19】 非イオン性界面活性剤がポリオキシエ
    チレンアルキルフェニルエーテル類,ポリオキシエチレ
    ンアルキルエーテル類,ポリオキシエチレン脂肪酸エス
    テル類のうちの少なくとも一種類であることを特徴とす
    る請求項10記載の被記録材。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003097369A1 (fr) * 2002-05-15 2003-11-27 Kiwa Chemical Industry Co., Ltd. Stratifie pour impression, procede d'impression et matiere imprimee correspondants

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