JPH09296591A - 畳 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 活性炭等の多孔質カーボン粉粒を畳表の接近
して配設して、多孔質カーボン粉粒の吸着作用を有効に
働かせることができ、しかも、畳表の平面を平面状にす
る。簡単に能率よく、しかも安価に多量生産する。 【解決手段】 畳は、内部に活性炭等の多孔質カーボン
粉粒１を内蔵している。畳は、畳表２の下面に、繊維を
立体的に方向性なく集合した通気性のある緩衝層３を積
層し、緩衝層３の下面に、多孔質カーボン粉粒１を薄い
シート状の袋６に収納してなるカーボン層４を積層して
いる。カーボン層４の袋６は、表面シートと背面シート
を、部分的に線状に連結して、内部を複数の領域に区画
し、複数に区画されたそれぞれの区画室６Ａに多孔質カ
ーボン粉粒１を充填している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、活性炭等の多孔質
カーボン粉粒を内蔵している畳に関する。

【０００２】

【従来の技術】活性炭等の、多孔質カーボン粉粒を内蔵
している畳は、すでに開発されている。活性炭等の多孔
質カーボン粉粒は、臭気や湿気を吸着して、畳を快適な
環境にする特長がある。このため、活性炭等を内蔵する
畳は、表面がじめじめしてカビや微生物等が発生するの
を有効に防止できる。また、室内の悪臭を広い面積で吸
着できる特長もある。さらに、保温性も改善されて、畳
表を理想的な環境にできる特長がある。

【０００３】この特長を実現するために、活性炭を内蔵
している畳が開発されている。活性炭を内蔵する畳は、
下記の公報に記載される。 (1) 実公昭５７−２７８６７号公報 (2) 実公昭６１−２８８３４号公報 (3) 実開昭６０−７２８３７号公報 (4) 実開昭６０−１２２４４７号公報 (5) 実開平２−６８８６４号公報 (6) 実開平２−１０３４４０号公報 (7) 実開平５−２２７５３号公報 (8) 実開平６−１２６３３号公報 (9) 実開平７−４３９３５号公報

【０００４】これ等の公報に記載される畳は、活性炭の
作用を有効に利用するために、活性炭を畳表に接近して
積層することが大切である。畳表に接近して積層される
活性炭は、薄くて通気性のある畳表を通過して、臭気や
湿気を効力よく吸着できる。しかしながら、活性炭は、
平面状でなくて粒状であるために、これを畳表に接近し
て配設すると、畳表の表面を綺麗な平面状とするのが難
しくなる欠点がある。この欠点は、前述の(6)、(7)、
(8)の公報に記載されるように、活性炭を畳表から離し
て、畳床に内蔵して解消できる。しかしながら、活性炭
を畳床に収納した畳は、活性炭が畳表から離れてしまう
ので、活性炭の優れた吸着作用を有効利用するのが難し
くなる。活性炭と畳表との間に介在する部材が、空気の
自由な透過を阻止するからである。

【０００５】このような弊害は、活性炭層を板状に成形
することで解消できる。板状の活性炭層は、上面を平面
状にできるので、これを畳表に接近して積層して、しか
も、畳表の表面を平面状にできる。活性炭層を平面状に
するために、炭化コルクを芯材に使用する畳が開発され
ている。さらに、活性炭を繊維シート状として、畳表の
内面に積層する畳も開発されている（実公昭６３−３２
２５５号公報）。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】炭化コルクを芯材に使
用する畳は、畳表の表面を平面状として、炭素を畳表に
接近して配設できる。ただ、この構造の畳は、活性炭に
代わって炭化コルクを使用するので、製造原価が相当に
高くなる欠点がある。また、活性炭繊維シートを内蔵す
る畳も、特殊な繊維シートを使用するので、製造原価が
高くなる欠点がある。さらに、炭化コルクを内蔵する畳
は、これを畳表に接近して積層すると、畳の局部に強い
荷重が作用すると、炭化コルクが薄く押し潰されて、畳
の表面に凹部ができ、この凹部を復元できない欠点もあ
る。また、活性炭繊維シートは、活性炭の充填量を多く
して、吸着能力を大きくするのが難しい欠点もある。

【０００７】本発明は、さらにこの欠点を解決すること
を目的に開発されたものである。本発明の重要な目的
は、活性炭等の多孔質カーボン粉粒を畳表に接近して配
設して、多孔質カーボン粉粒の吸着作用を有効に働かせ
ることができ、しかも、簡単かつ容易に、能率よく安価
に多量生産して、さらには、畳表の平面を平面状にでき
る畳を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の畳は、前述の目
的を達成するために下記の構成を備える。本発明の畳
は、内部に活性炭等の多孔質カーボン粉粒１を内蔵して
なる畳を改良したもので、下記の独特の構成を有するこ
とを特徴とする。 （ａ） 畳表２の下面に、繊維を立体的に方向性なく集
合した通気性のある緩衝層３を積層している。この緩衝
層３には、ヤシ繊維を集合したものが最適である。 （ｂ） 緩衝層３の下面で、畳床５との間に、多孔質カ
ーボン粉粒１を薄いシート状の袋６に収納しているカー
ボン層４を積層している。 （ｃ） カーボン層４の袋６は、畳表２を透過して、室
内の空気に含まれる臭気や湿気を吸着できるように、少
なくとも上面に通気性をもたせている。 （ｄ） カーボン層４の袋６は、収納する多孔質カーボ
ン粉粒１を均一に分散させて、実質的に均一な厚さとす
るために、表面シートと背面シートを、部分的に線状に
連結して、内部を複数の領域に区画し、複数に区画され
たそれぞれの区画室６Ａに多孔質カーボン粉粒１を充填
している。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明
の技術思想を具体化するための畳を例示するものであっ
て、本発明は畳を下記のものに特定しない。

【００１０】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を
理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番
号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決す
るための手段の欄」に示される部材に付記している。た
だ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に
特定するものでは決してない。

【００１１】図１に示す畳は、畳表２と、緩衝層３と、
カーボン層４と、畳床５を順番に積層している。

【００１２】畳表２は、従来から畳表として使用され、
あるいは、これから畳表として開発される全てのもの、
たとえば、い草を平行に並べてシート状に編組したもの
が使用される。

【００１３】緩衝層３は、繊維を立体的に方向性なく集
合した通気性のある層である。緩衝層３は、カーボン層
４と畳表２との間に配設されて、カーボン層４の表面に
できる凹凸を吸収する。緩衝層３の繊維には、やしがら
繊維が最適である。ただ、やしがら繊維に代わって、あ
るいはこれと一緒に、ナイロン繊維やポリプロピレン繊
維等のプラスチック繊維も使用できる。緩衝層３の厚さ
は、畳に積層された状態で、例えば１〜５ｍｍ、好まし
くは２〜３ｍｍに設計される。緩衝層３の繊維は、交点
を接着してばらばらにならないようにすることもでき
る。ただ、繊維の交点は必ずしも接着する必要はない。
繊維は、方向性なく集合した後、プレスしてシート状に
成形し、これをカーボン層４と畳表２の間に積層する。

【００１４】カーボン層４は、緩衝層３の下であって、
畳床５の上、すなわち、緩衝層３と畳床５の間に積層さ
れる。緩衝層３とカーボン層４は、畳床５の全面に積層
される。ただ、カーボン層４は、畳床５の周縁部分を除
くほぼ全面に積層することもできる。カーボン層４は、
多孔質カーボン粉粒１を薄いシート状の袋６に収納した
ものである。多孔質カーボン粉粒１は、活性炭が最適で
ある。吸着力が優れているからである。活性炭には、た
とえば、やしがら活性炭や、木材あるいは竹を原料とし
て製造された活性炭が使用できる。ただ、多孔質カーボ
ン粉粒１には、活性炭に代わって、多孔質な炭も使用で
きる。炭も、やしがら、木材、竹等を炭化したものが使
用できる。多孔質な炭は、活性炭に比較して安価な特長
がある。

【００１５】多孔質カーボン粉粒１には、たとえば、平
均粒径を０．５〜４ｍｍ、好ましくは１〜３ｍｍとする
大きさのものを使用する。多孔質カーボン粉粒１に平均
粒径の小さいものを使用すると、カーボン層４を通過す
る空気量が少なくなって、実質的な吸着能力が低くな
る。反対に、多孔質カーボン粉粒１の平均粒径が大きす
ぎると、カーボン層４の表面の凹凸が大きくなる。

【００１６】多孔質カーボン粉粒１を収納している袋６
は、上面、あるいは両面に通気性を有する。袋６を製作
する最適なシート材は、プラスチック繊維で製造された
不織布である。不織布には、加熱すると繊維の一部が溶
融して溶着できるものが使用される。この不織布には、
熱可塑性のプラスチック繊維で製造されたもの、あるい
は、繊維の表面を低融点のプラスチックでコーティング
した繊維で製作されたものが使用される。加熱して溶着
できる不織布は、接着剤を使用しないで、表面シートと
背面シートを接着できるので、表面シートを線状に押圧
して、背面シートに接着できる。

【００１７】袋６は、不織布に代わって、ろ紙のように
通気性のある紙で製作することもできる。袋を製作する
紙は、パルプ繊維に合成繊維を添加し、あるいは、合成
樹脂繊維のみで製作して、強度を著しく強くできる。と
くに、湿った状態における強度を著しく強靱にできる。
紙製の袋は、表面シートや背面シートの表面に線状に接
着剤を塗布し、これを表面プレートや背面シートに透過
させて、両面のシートを線状に接着する。

【００１８】袋６は、必ずしも、背面シートを通気性の
シート材とする必要はない。背面シートには、通気性の
ないプラスチックシート等のシート材、あるいは、通気
性のない板材を使用し、表面シートに通気性のシート材
を使用して袋を製造することもできる。

【００１９】カーボン層４の袋６の、表面シートと背面
シートを、部分的に線状に接着して、内部を複数の領域
に区画するのは、カーボン層４の多孔質カーボン粉粒１
を均一に分散させ、また、分散させた多孔質カーボン粉
粒１が移動して局部的なむらができるのを防止するため
である。

【００２０】カーボン層４の袋６は、図１に示す畳の断
面図と、図２に示す袋６の平面図に示すように、表面シ
ートと背面シートを、線状の区画線６Ｂで連結して、内
部を複数の領域に区画し、区画されたそれぞれの区画室
６Ａに多孔質カーボン粉粒１を充填している。図２に示
す袋６は、複数の区画線６Ｂを一定の間隔で平行に、さ
らに、平行の区画線６Ｂを直交するように配設して、内
部を方形状の区画室６Ａに分割している。隣接する区画
線６Ｂの間隔は、たとえば２〜３０ｃｍ、好ましくは５
〜２０ｃｍ、最適には約１０ｃｍに決定される。区画線
６Ｂを接近して区画室６Ａを小さくすると、多孔質カー
ボン粉粒１をより均一に分散できる。ただ、区画室６Ａ
を小さくすると、区画線６Ｂが多くなって製造に手間が
かかる。さらに、区画線６Ｂの部分に多孔質カーボン粉
粒１を充填できないので、充填できる多孔質カーボン粉
粒１の量が少なくなる。反対に区画室６Ａが大き過ぎる
と、多孔質カーボン粉粒１を均一に分散させるのが難し
くなる。

【００２１】袋６は、カーボン層４の厚さが２〜３ｍｍ
となるように、多孔質カーボン粉粒１の充填量を調整す
る。多孔質カーボン粉粒１の充填量を多くすると、臭気
や湿気の吸着量が多くなるが、コストが高くなる。畳
は、全面にカーボン層４を設けているので、カーボン層
４が薄くても、多孔質カーボン粉粒１の充填量は全体で
は相当に多くなる。さらに、２〜３ｍｍと薄いカーボン
層４を内蔵する畳は、畳表２の表面にできる凹凸を少な
くできる。それは、多孔質カーボン粉粒１の移動が区画
線６Ｂで防止され、さらに、たとえ区画室６Ａ内で多孔
質カーボン粉粒１が移動しても、カーボン層４の凹凸が
少なく、また、それが緩衝層３で吸収されるからであ
る。

【００２２】畳床５は、現在の畳と同じもの、あるいは
これから畳の畳床５として開発される全てのもの、たと
えば、藁を板状にプレスしたもの、プラスチック発泡体
が使用される。

【００２３】以上の構造の畳は、下記のようにして製造
される。 ［カーボン層４の製造工程］ (1) 一部を開いた袋６に、多孔質カーボン粉粒１を充
填する。 (2) 袋６の開口部を、接着し、あるいは溶着して閉塞
する。 (3) 袋６の表面シートと背面シートとを区画線６Ｂで
接着して、複数の区画室６Ａに分離する。区画室６Ａに
は、均一に多孔質カーボン粉粒１を充填する。袋６を区
画線６Ｂで区画室６Ａに分離するとき、溶着部分の多孔
質カーボン粉粒１を除いて、表面シートと背面シートと
を加熱しながらプレスして溶着する。また、表面シート
と背面シートの何れかに、表面から線状に接着剤を塗布
し、接着剤を表面シートや背面シートから内部に透過さ
せて接着する。

【００２４】［畳を製造する工程］ (1) 畳床５の上に、カーボン層４と緩衝層３と畳表２
とを積層する。カーボン層４と緩衝層３は、畳床５の全
面に積層する。したがって、カーボン層４と緩衝層３の
外形は、畳床５と同じに形成される。 (2) 従来の畳と同じように、畳表２の両端縁を折り返
し畳の底面に連結し、さらに、畳表２の両側にへり縫着
して、畳床５とカーボン層４と緩衝層３と畳表２の積層
された畳とする。

【００２５】

【発明の効果】本発明の畳は、活性炭等の多孔質カーボ
ン粉粒を畳表に接近して配設して、多孔質カーボン粉粒
の吸着作用を有効に働かせることができ、しかも、畳表
の平面を平面状にできる特長がある。それは、本発明の
畳が、多孔質カーボン粉粒を袋に入れたカーボン層と
し、この袋の表面シートと背面シートを、部分的に線状
に連結して、内部を複数の領域に区画し、複数に区画さ
れたそれぞれの区画室に多孔質カーボン粉粒を充填して
いるからである。さらに、このカーボン層の上で、畳表
との間には、繊維を立体的に方向性なく集合した通気性
のある緩衝層を積層しているので、袋を区画する区画室
の境界等の凹凸は、この緩衝層に吸収されて、畳表の表
面は綺麗な平滑面となる。

【００２６】さらに、本発明の畳は、袋を複数の区画室
に分離して多孔質カーボン粉粒を充填するので、使用状
態においても、多孔質カーボン粉粒の移動が防止され
る。このため、たとえば、畳表の局部が強く押されたと
きに、多孔質カーボン粉粒が移動して、押された部分が
凹部となるのを防止できる特長もある。

【００２７】さらに、本発明の畳は、多孔質カーボン粉
粒を複数に区画された区画室に充填した袋を、畳床と緩
衝層との間に積層し、さらに、緩衝層の上に畳表を積層
して製造できるので、製造するときに多孔質カーボン粉
粒が移動して、不均一な厚さとなるのを有効に防止でき
る。このため、多孔質カーボン粉粒を内部に充填してい
る畳を簡単かつ容易に、しかも畳表の表面に凹凸ができ
ないように、能率よく多量生産できる特長がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の畳を示す断面図

【図２】図１の畳に積層されるカーボン層の平面図

【符号の説明】

１…多孔質カーボン粉粒 ２…畳表 ３…緩衝層 ４…カーボン層 ５…畳床 ６…袋 ６Ａ…区画室 ６Ｂ…区画線

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に活性炭等の多孔質カーボン粉粒
   (1)を内蔵してなる畳であって、下記の全ての構成を有
   することを特徴とする畳。 （ａ） 畳表(2)の下面に、繊維を立体的に方向性なく
   集合した通気性のある緩衝層(3)を積層している。 （ｂ） 緩衝層(3)の下面で、畳床(5)との間に、多孔質
   カーボン粉粒(1)を薄いシート状の袋(6)に収納してなる
   カーボン層(4)を積層している。 （ｃ） カーボン層(4)の袋(6)は、少なくとも上面が通
   気性を有する。 （ｄ） カーボン層(4)の袋(6)は、表面シートと背面シ
   ートを、部分的に線状に連結して、内部を複数の領域に
   区画し、複数に区画されたそれぞれの区画室(6A)に多孔
   質カーボン粉粒(1)を充填している。