JPH09288489A - 車室内騒音低減装置 - Google Patents

車室内騒音低減装置

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JPH09288489A
JPH09288489A JP8101198A JP10119896A JPH09288489A JP H09288489 A JPH09288489 A JP H09288489A JP 8101198 A JP8101198 A JP 8101198A JP 10119896 A JP10119896 A JP 10119896A JP H09288489 A JPH09288489 A JP H09288489A
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JP
Japan
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noise
sound
error signal
vehicle interior
vehicle
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Pending
Application number
JP8101198A
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English (en)
Inventor
Yuji Kurata
雄司 倉田
Yasuji Akiyoshi
靖二 秋好
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Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型、低コストで車室内騒音の消音に対して
追従性が良く、空間内における広い周波数領域の騒音に
対応して十分な騒音低減効果を得られる車室内騒音低減
装置を提供する。 【解決手段】 車室内騒音低減装置は、車室内1での騒
音制御点6近傍の騒音特性と相関関係となる周波数が発
生する制御点6よりも上流側に配置され、この周波数を
検出する車室内騒音検出手段2と、車室内1に向けて騒
音と逆位相音を制御点6近傍で発生させる音波出力手段
7と、音波出力手段7の近傍に設置され車室内1の残留
騒音を検出して誤差信号Errorを出力する誤差信号検出
手段4と、車室内騒音検出手段2からの参照信号Refと
誤差信号検出手段4からの誤差信号Errorを基に、誤差
信号Errorが最小となるように逆位相音を制御する適応
フィルタ22を有する制御手段14とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車室内等の特定空
間内の騒音低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】アクティブノイズコントロールシステム
と称する空間内の騒音低減装置が種々提案されている。
この装置を車両等に適応した特開平6−282280号
公報に記載の発明では、騒音源をエンジンやサスペンシ
ョン等の入力系としており、それらの振動音をマイク等
で検出したり、点火パルス信号やクランク角信号で検出
して参照信号として制御手段に入力している。車室内に
は騒音マイクが設けられ、制御点付近の騒音状態を検出
して制御手段に誤差信号として入力している。制御手段
では、この入力された参照信号と誤差信号とをLMS等
の適応アルゴリズムと適応フィルタを介して二次音源出
力手段(スピーカ)から二次音として車室内に出力し
て、車室内の制御点での特定周波数を収束させて室内騒
音が小さくなるように制御している。つまり、車室内騒
音低減装置では、スピーカから車室内の特定の周波数帯
域の騒音(周期音成分)に対して同振幅、逆位相の音
(逆位相音)を発生させて、車室内騒音を低減するよう
になっている。
【0003】また、特開平5−61485号公報には、
制御部に入力される参照信号を基に適応フィルタの収束
係数を変化させる騒音低減装置が開示され、特開平6−
95694号公報には、制御手段に入力される非定常的
な音声信号や定常的な騒音信号によって適応フィルタの
フィルタ係数の更新速度を変化させる騒音低減回路が開
示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した車室内騒音低
減装置や回路では、参照信号を騒音の入力系から検出し
ているので、そこで測定した騒音が車室内の制御点での
騒音(周波数)特性とは限らない。乗員が騒音を聴く位
置は車室内の座席近傍であり、その位置での騒音は、騒
音の伝達系となる車体等の固定部や空気伝播や気柱共
鳴、あるいは、放射系となる車室内を囲むパネル等を介
して制御点で聞こえるものである。つまり、騒音源で発
生した騒音と車室内で聞こえる騒音との間には、時間的
な関数が入って両者の相関が低くなるので、車室内騒音
と入力系での騒音との特性が異なってしまい十分な騒音
低減が難しい。車室内騒音が、エンジンの振動に伴う周
期音であれば発生源が比較的特定しやすいので、パッシ
ブな騒音低減対策を施したり上述した騒音低減装置でも
ある程度の消音効果は期待できるが、ロードノイズや風
切り音などのように、その周波数特性が環境によって大
きく変化する非周期音であると十分な消音効果を得られ
にくい。
【0005】制御時間に制限がなければ、適応フィルタ
の係数はLMSアルゴリズムによって適切な係数に順次
更新されるので、騒音に対して逆位相音を発生させるこ
とはできるが、これでは、車室内騒音に対する適応フィ
ルタの追従性が良くなく十分な騒音低減までに時間がか
かってしまう。また、周期音である入力系の騒音を参照
信号として用いて騒音に対する2次音となる逆位相音を
発生させる場合には、信頼性を高めるために多くの情報
を入力系から検出したり、消音したい騒音の成分(周期
音や非周期音)に対応する適応フィルタを設けて複雑な
制御処理が必要となり、制御手段の大型化や演算処理能
力の高い制御手段が必要となりコスト高となってしま
う。
【0006】一方、特開平5−61485号公報に記載
の発明では、制御手段に入力される入力系からの参照信
号の変化に応じて適応フィルタのフィルタ係数を変化さ
せるので、フィルタの追従性が良く騒音の変化に対応し
た二次音をスピーカから出力できるが、この場合におい
ても車室内騒音と相関の低い周期音やそれに類似する信
号を参照信号としているので、参照信号の精度が粗く制
御手段における基本的な演算回数が多くなって制御遅れ
を含むと共に、周期音を起因とする騒音しか低減できな
いと思われる。また、この公報に記載の構成では、入力
系の騒音の変化量を検出するハード的な手段が必要とな
る。
【0007】他方、特開平6−95694号公報に記載
の発明では、制御手段に入力される非定常的な音声信号
か定常的な騒音信号かを判断して適応フィルタのフィル
タ係数の更新速度を変化させるので、適応フィルタの追
従性が向上して車室内騒音の変化に対応した二次音をス
ピーカから出力できるが、この場合も入力系から検出し
た参照信号を基にフィルタ係数の更新速度を変えている
ので、参照信号の精度が粗く基本的な制御手段での演算
回数が多くなって制御遅れを含むと共に、周期音を起因
とする騒音しか低減できないと思われる。つまり、従来
技術における騒音の発生源近傍となる入力系からの情報
を基にした参照信号は、車室内騒音と相関が低いので、
騒音低減の周波数領域が狭くなる傾向となる。
【0008】本発明の目的は、小型、低コストで車室内
騒音の消音に対して追従性が良く、空間内における広い
周波数領域の騒音に対応して十分な騒音低減効果を得ら
れる車室内騒音低減装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、請求項1記載の
発明では、車室内での騒音の制御点近傍の騒音特性と相
関関係となる周波数が発生する音の伝達経路における上
記制御点よりも上流側に配置され、上記周波数を検出す
る車室内騒音検出手段と、上記車室内に向けて上記騒音
と逆位相音を上記制御点近傍で発生させる音波出力手段
と、上記音波出力手段の近傍に設置され、上記車室内の
残留騒音を検出して誤差信号を出力する誤差信号検出手
段と、上記車室内騒音検出手段からの参照信号と上記誤
差信号検出手段からの誤差信号をもとに、上記誤差信号
が最小となるように上記音源出力手段からの逆位相音を
制御する適応フィルタを有する制御手段とを備えてい
る。
【0010】請求項2記載の発明では、制御手段が、誤
差信号検出手段からの誤差信号の大きさに応じて適応フ
ィルタの係数更新ピッチを変更する更新ピッチ変更手段
を備えている。請求項3記載の発明では、音波出力手段
を、車両のヘッドレストに内蔵されたスピーカーとし
た。請求項4記載の発明では、車室内騒音検出手段を音
の伝達経路となるリアピラー空間内あるいはリアデッキ
パネルにそれぞれ配置した。請求項5記載の発明では、
参照信号をロードノイズを中心とした非周期音を基に生
成した。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明にかかる車室内騒音低減装
置は、車室内での騒音の制御点近傍の騒音特性と相関関
係となる周波数が発生する音の伝達経路における制御点
よりも上流側に、車室内騒音検出手段を配置して音の伝
達経路内の周波数を検出して参照信号を出力している。
参照信号は、車室内に向けて騒音と同振幅、逆位相な音
を逆位相音(2次音)として制御点近傍で発生させる音
波出力手段の近傍に設置され、車室内の残留騒音を検出
して誤差信号を出力する誤差信号検出手段からの誤差信
号と共に、適応フィルタを有する制御手段に入力され
る。制御手段では、参照信号と誤差信号をもとに、誤差
信号が最小となるように適応アルゴリズムを用いて適応
フィルタの係数を更新して音源出力手段からの逆位相音
を制御している。このように、車室内騒音検出手段を、
車室内での騒音の制御点近傍の騒音特性と相関関係とな
る周波数が発生する音の伝達経路における制御点よりも
上流側に配置すると、制御点近傍の騒音特性と相関関係
となる周波数を検出できるので、参照信号をより制御点
近傍の騒音特性に近づけることができ、参照信号の精度
が良くなる。
【0012】誤差信号検出手段からの誤差信号の大きさ
に応じて適応フィルタの係数更新ピッチを変更する更新
ピッチ変更手段を制御手段に設けると、誤差信号の大き
さに対応して係数更新ピッチが設定できる。例えば、騒
音が大きい場合には係数更新ピッチを大きく更新させ、
騒音が小さい場合には係数更新ピッチを小さく更新させ
るように設定すると、騒音の大小による騒音低減時間
(収束時間)の差が小さくなる。
【0013】音波出力手段をヘッドレストに内蔵された
スピーカーとすると、騒音を聞き取る乗員の近傍から逆
位相音を出力できるので、大きな音を出さずに済むと共
に逆位相音の乗員に到達するまでの時間が短くなり、乗
員の聞こえる騒音のみを低減できる。
【0014】車室内騒音検出手段を、音の伝達経路とな
るリアピラー空間内あるいはリアデッキパネルに配置す
ると、リアピラー内やリアデッキパネルで観測できる騒
音であるロードノイズ等の非周期音を基にした参照信号
を出力できる。
【0015】また、車室内の騒音をロードノイズ等の非
周期音を主とすると、この非周期音は車両の走行状態に
よって様々に変化するので、周期音を用いて騒音低減す
る場合よりも単位時間当たりに対応できる騒音範囲(周
波数領域)が広くなり、騒音低減領域が広くなる。
【0016】
【実施例】本発明の一実施例としての車室内騒音低減装
置では、図1に示す車室内1の騒音と相関する参照信号
Refを出力する車室内騒音検出手段となる第一マイク2
を車室内1に侵入する騒音Dの放射系を構成するリアピ
ラー3内に配置している。第一マイク2は、図4に示す
ように、リアピラー3の下部に設けられる開口部3Aか
らピラー内部に挿入され、粘着性の高いテープ等の適宜
な手段によってリアピラー3内に固定される。板金や樹
脂製のブラケットを用いて第一マイク2を取り付けても
良いが、この場合、ブラケットが共振しないように取り
付けることが大切である。
【0017】図1に示す車室内1に侵入する騒音Dは、
トランクルーム9からリアピラー3を介して侵入するロ
ードノイズを主としている。ロードノイズは、車両の走
行状態や路面状態によって大きく左右される非周期音で
あるが、一般的な周波数特性として100Hzから25
0Hzの範囲で発生する。非周期音としては、この他に
500Hz程度から始まる風切り音等も含まれてくる。
このように、放射系に配置した第一マイク2で非周期音
を検出して車室内1の騒音を低減させる参照信号Refと
して用いることが基本的な構成となる。つまり、第一マ
イク2は、リアピラー3内の騒音(周波数)を取り込ん
で参照信号Refを出力するようになっている。
【0018】また、車室内1に侵入する騒音には、エン
ジン等の入力系から伝達される周期音Xがある。この周
期音Xは、主に伝達系となる車体固定部、空気伝播、気
柱共鳴、あるいは放射系となる車室内1を囲むパネル等
を介して車室内1の騒音となる。本実施例における車室
内1の騒音とは、車室内1に配置されるリアシート5近
傍における周期音と非周期音の合成された音を指す。
【0019】リアシート5のヘッドレスト6には、車室
内1の残留騒音を検出して誤差信号Errorを出力する誤
差信号検出手段としての第二マイク4が内蔵されてい
る。第二マイク4の後方に位置するヘッドレスト6内に
は、車室内1に向けて逆位相音となる二次音を出力する
音波出力手段となるスピーカ7が内蔵されている。二次
音は、第二マイク4で検出する車室内1の残留騒音と基
本的に同振幅、逆位相の周波数特性を有する音波信号で
構成され、制御点近傍での騒音を打ち消すようになって
いる。残留騒音とは、二次音によって打消しきれなかっ
た車室内1の騒音である。
【0020】制御点とは、放射系となる車室内1を囲む
車体パネル1Aから離れた車室内1空間の任意の点のこ
とをいい、ここでは第二マイク4の設置位置としてい
る。制御点近傍とは、ヘッドレスト6の周辺の空間のこ
とをいい、この実施例においては、図6に示す乗員の頭
部Mの周りの空間K内を示す。
【0021】つまり、本実施例では、図示しないタイヤ
を騒音源とした場合、図1のトランクルーム9からリア
ピラー3を、制御点近傍での騒音(周波数特性)と大き
な相関関係となる周波数が発生する音の伝達経路として
いる。そして、第二マイク4の位置を音の伝達経路にお
ける制御点としてとらえ、音の伝達経路の上流側のエリ
アとなるリアピラー3内に車室内騒音検出手段となる第
一マイク1を配置し、第二マイク4の近傍に音波出力手
段となるスピーカ7を設置した構成を採っている。
【0022】第一マイク2は、図2のシステムブロック
図に示すようにローパスフィルタ(LPF)10、A/
D変換器11とで参照信号入力部12を構成している。
参照信号入力部12では、第一マイク2で検出したリア
ピラー3内の騒音Dを、ローパスフィルタ10によりD
C成分や不要な低周波数域をカットし、A/D変換器1
1によってデジタル信号化し、パワーレベル算出手段1
3を介して参照信号Refとして制御手段14に入力して
いる。
【0023】第二マイク4は、ローパスフィルタ(LP
F)15、A/D変換器16とで誤差信号入力部17を
構成している。誤差信号入力部17では、第二マイク4
で検出するスピーカ7近傍のアナログな残留騒音を、ロ
ーパスフィルタ15によりDC成分や不要な低周波数域
をカットし、A/D変換器16によってデジタル信号化
し、誤差信号Errorとして制御手段14に入力している
スピーカ7は、D/A変換器18とローパスフィルタ
(LPF)19と相まって制御信号出力部20を構成し
ている。制御信号出力部20では、制御手段14から出
力されるデジタル信号をD/A変換器18でアナログ信
号化し、ローパスフィルタ19でろ波してからスピーカ
7に制御信号Yとして伝達している。スピーカ7は、制
御信号Yを受けて二次音を車室内1に出力するようにな
っている。D/A変換器18とローパスフィルタ19と
の間には、スピーカ7への制御信号Yの伝達を選択する
制御スイッチ21が配置されている。制御スイッチ21
は、オン状態となると制御手段14とスピーカ7とを接
続する回路をつなぎ、オフ状態となるとこの回路を切断
するようになっている。
【0024】パワーレベル算出手段13は、第一マイク
2で検出される参照信号RefのベクトルPWR(N-1)を
積算して単位時間当たりのパワーレベルPWR(N)とし
て、参照信号Refの瞬時値を平均化するもので、下記式
によって求めている。
【0025】 PWR(N)=PWR(N-1)・α+SIG(N-1)・SIG(N)β ・・・(13) SIG(N) ;今回の参照信号値 SIG(N-1);前回の参照信号値 α ;設定値 β ;(1−α) 制御信号出力部20には、車室内1の乗員の話し声やオ
ーディオ音等を考慮した上限閾値と下限閾値とが設定さ
れており、算出したパワーレベルPWR(N)がこの閾値
範囲内から外れるとスピーカ7へ制御信号Yを出力しな
いようになっている。この実施例での下限閾値は30d
Bとされ、上限閾値は70dBに設定されている。つま
り、車両の走行に伴い発生する騒音以外の騒音となる乗
員の話し声やオーディオ音によって車室内1の騒音が大
きくなる場合や、車室内1が静粛なときには敢えて騒音
低減を行わないように設定されている。
【0026】なお、ここでは2つの閾値を設けているが
下限閾値や上限閾値だけを設定したり、あるいは算出さ
れるパワーレベルPWR(N)を基準として上限及び下限
閾値を設定し、パワーレベルPWR(N)の状態に応じて
常に一定の幅で制御するようにしても良い。
【0027】制御手段14は、周知のマイクロコンピュ
ータで構成されたコントローラで、第一マイク2からの
参照信号Refと第二マイク4からの誤差信号Errorとを
受けて誤差信号Errorが最小(望ましくは0)となるよ
うに、スピーカ7から出力される二次音を制御するフィ
ルタ係数Wを有する適応フィルタ22と周知の適応アル
ゴリズム23とから主に構成される制御信号演算部24
と、誤差信号Errorのレベルに応じて適応フィルタ22
のフィルタ係数Wの更新速度となる更新ピッチMuを変
更させる更新ピッチ変更手段25とを備えている。この
実施例での適応アルゴリズム23には、演算処理が容易
なことから最小自乗誤差推定法(LMS法)を用いる
が、その他の適応アルゴリズムを用いても良い。適応フ
ィルタ22は、この適応アルゴリズム23により、その
フィルタ係数Wが適時更新されるようになっている。
【0028】本実施例では、図3に示すように、騒音低
減制御を行う前に予めスピーカ7から車室内の制御点
(第二マイク位置)までの伝達関数Cと、スピーカ7か
ら第一マイク2までの伝達系を含む消音伝達系の特性と
なる伝達関数Hとを測定して伝達関数Hの同定を行う。
具体的には、スピーカ7からM系列ランダム音を出力し
て、第一マイク2及び第二マイク4で検出して伝達関数
Cと消音伝達系の伝達関数Hとをそれぞれ設定してい
る。
【0029】図2の制御信号演算部24は、スピーカ7
から出力された二次音が第二マイク4で拾われてハウリ
ングが発生するのを防止するために所定のフィルタ係数
HRを有するFIRフィルタ26と、二次音が第二マイ
ク4に入力されるのに要する伝播時間だけ第一マイク2
の参照信号Refを予め所定時間遅延させる所定の伝達関
数C’を有すフィルタ27とを備えている。FIRフィ
ルタ26のフィルタ係数HRは、制御出力Yと伝達関数
Hとの畳み込み演算がY・H=0となるように設定され
ている。ここでは、信号出力が安定するFIRフィルタ
26を用いているが、信号出力の時間遅れの少ない周知
のIIRフィルタを適用しても良い。
【0030】更新ピッチ変更手段25は、誤差信号入力
部17から出力される誤差信号Errorの変化に応じて適
応フィルタ22のフィルタ係数Wの更新ピッチMuを変
更して騒音の収束速度を調整するものである。具体的に
は、誤差信号ErrorのベクトルE_PWR(N-1)を積算し
て単位時間当たりのパワーレベルE_PWR(N)として、
誤差信号Errorの瞬時値を平均化し、その値を用いて誤
差信号Errorの単位時間当たりの角度変化勾配ΔE、す
なわち、更新される適応フィルタ22の更新ピッチμを
求める。誤差信号ErrorのパワーレベルE_PWR(N)は
式1で求められ、角度変化勾配(最新の適応フィルタの
更新ピッチμ)ΔEは式2によって求められる。式1、
式2では、それぞれ畳み込み演算処理を行う。
【0031】 E_PWR(N)=E_PWR(N-1)・α+err(N-1)・err(N)・β ・・・式1 err(N) ;今回の誤差信号 err(N-1);前回の誤差信号 α ;設定値 β ;(1−α) ΔE=Mu・E_PWR・G ・・・式2 G ; 定数 err ; 誤差信号レベル Mu ; 更新ピッチ なお、定数Gと更新ピッチMuは、初期設定しておく。
【0032】次に、第二マイク4で検出する騒音信号D
は、入力系からの周期音Xと放射系の伝達関数Pとを畳
み込んで第一マイク2が検出する参照信号Refを加算し
て求める。 D=X・P+Ref ・・・式3 参照信号Refの信号レベルRは、制御信号Yとスピーカ
7から第一マイク2までの伝達関数Hの畳み込みによっ
て求める。 R=Y・H ・・・式4 制御信号Yは式5、誤差信号Errorの信号レベルEは式
6によりそれぞれ畳み込み演算されて求められる。 Y=(X+Ref)・W ・・・式5 E=D−Y・C ・・・式6 そして、この算出された誤差信号Erroの信号レベルE
と参照信号Refの信号レベルRとを式7で畳み込み演算
し、最新のフィルタ係数WN+1を算出する。 WN+1=WN+2・μ・E・R ・・・式7 WN+1;適応フィルタの更新後(最新)のフィルタ係数 WN ;適応フィルタの更新前の最新のフィルタ係数 μ ;適応フィルタの更新ピッチ E ;誤差信号レベル R ;参照信号レベル これにより、適応フィルタ22は誤差信号Errorの信号
レベルEを最小とする最適なフィルタ係数Wに逐次更新
され、スピーカ7に向かって出力される制御信号Yが最
適な信号に制御される。
【0033】図5に示す車室内騒音低減装置の制御フロ
ーに沿って装置の動作を説明する。図示しないイグニッ
ションキーがオンされると、参照信号入力部12、制御
手段14、制御信号出力部20及び誤差信号入力部17
を動作可能状態となる。そして、S1ステップにおいて
第一マイク2からリアシート5近傍の騒音と相関のある
騒音(非周期音)を検出すると検出した騒音を参照信号
Refとして、S2ステップに進んでA/D変換器11で
A/D変換してデジタル信号とする。
【0034】次に、S3ステップでパワーレベル算出手
段13によって参照信号RefのパワーレベルR_PWR
を算出して平均化して制御手段14に出力し、S4ステ
ップにおいて、FIRフィルター26でハウリング補正
されてフィードバックされてS5ステップに進む。S5
ステップでは、フィルタ27と適応アルゴリズム23の
式7とで、最適フィルター22のフィルタ係数Wが設定
されて制御信号Yの演算が行われ、S6ステップで制御
信号出力部18のD/A変換器18によってアナログ信
号とされる。
【0035】つまり、制御点近傍となるリアシート5近
傍の騒音と相関するリアピラー3内のロードノイズを主
成分とする非周期音を基にして参照信号Refを生成す
る。従って、エンジン回転パルス等の周期音を基に参照
信号を生成する場合よりも制御点(音を聴く場所)まで
の騒音の伝達時間が短くなって参照信号Refと低減させ
たい車室内1の騒音との相関が高くなり、制御手段14
における演算初期のインパルス応答が良くなる。このこ
とは、制御手段14の各フィルター22,26,27の
個数やタップ数を抑えることになって、装置の小型化や
演算回数が低減する。
【0036】参照信号Refが平均化された値PWR(N)
は、ステップS7で設定された閾値と比較される。ここ
で、PWR(N)が下限閾値である30dBよりも大きく
上限閾値である70dBよりも小さいと、車室内1の騒
音が制御対象領域の騒音レベルにあるとし、S8ステッ
プにおいて制御スイッチ21の状態が判断される。制御
スイッチ21がオン状態であると騒音低減意志があると
見做し、S9ステップで制御手段14からスピーカ7に
制御信号Yを出力して二次音を車室内1に出力(放射)
する。
【0037】参照信号Refの平均化された値PWR(N)
が下限敷値として設定された30dBよりも小さく上限
閾値として設定された70dBよりも大きいと、制御手
段14から制御信号Yを出力しない。すなわち、車室内
1で観測されるロードノイズを中心とする非周期音や図
示しないエンジンからの周期音から構成される騒音より
も、車室内1の乗員の声が大きく騒音が消音されること
で人の声が大きく聞こえてしまう場合や、車両自体の持
つ音場環境よりも騒音レベルが低い場合には制御信号Y
を出力しないで騒音低減を実行しない。
【0038】一方、スピーカ7から二次音が出力される
と、S11ステップにおいて誤差信号入力部17の第二
マイク4がこの二次音を検出して誤差信号Errorが出力
される。この時の誤差信号ErrorはA/D変換器16で
デジタル信号化されて更新ピッチ変更手段25と適応ア
ルゴリズム23に入力される。
【0039】更新ピッチ変更手段25では、S3ステッ
プで誤差信号ErrorのパワーレベルE_PWRの算出と
平均化を式1によって行い、S12ステップで予め入力
されたフィルタ係数Wの更新ピッチ(収束ピッチ)Mu
と固定値Gを読み出し、誤差信号Errorのパワーレベル
に応じた単位時間当たりの角度変化勾配ΔE、すなわ
ち、最新の更新ピッチμを求める。
【0040】ここでは、角度変化勾配ΔEが大きいと、
変更ピッチMuが速く更新され、誤差信号Eのパワーレ
ベルE_PWRef(N)が小さい場合には、角度変化勾配Δ
Eが小さく変更ピッチMuが遅く更新されることにな
る。よって、誤差信号レベルEが大きいと適応フィルタ
22のフィルタ係数Wの更新ピッチが大きく変更されて
収束時間が短かくなるので、誤差信号レベルが大小変化
しても消音割合を同じようにでき、騒音の収束度合いに
対して違和感がなくなる。特に、騒音が大きい場合に
は、係数の更新ピッチMuが大きく更新されるので、適
応フィルタ22の応答が良くなって騒音低減速度が速く
なり、制御遅れを防止できる。
【0041】すなわち、ヘッドレスト6に設けた誤差信
号検出手段となる第二マイク4からの誤差信号Errorの
レベルに応じて適応フィルタ22のフィルタ係数Wの変
更ピッチMuを変更すると、エンジン等の騒音の入力系
からの周期音を基に生成される参照信号のレベルに応じ
てフィルタ係数Wの更新ピッチMuを変えるよりも極め
細かで迅速な更新ピッチ制御が可能となる。また、これ
まで得られた更新ピッチ(収束ピッチ)Muに任意の定
数Gを畳み込むことで、従来の更新ピッチを基に角度変
化勾配ΔEで表される最新の更新ピッチμを自動更新で
きる。
【0042】次に、スピーカ7の特性と騒音低減の関係
について説明する。本実施例で使用するスピーカ7は、
図7に示すように、布製の表皮材6Aの内側に厚さ20
mm以上ウレタン材6Bが設けられたヘッドレスト6の
内部に設けられる。スピーカ7は、木材で形成されたス
ピーカボックス70の正面70aに矢印で示す車両の前
方に向かって配置されている。騒音の計測領域は、図6
に示す頭部Mを略中心とした800mm平方のエリアK
とし、スピーカ7から二次音を出力してある特定の周波
数(400Hz)のデータを計測した。
【0043】図8は、ヘッドレスト6にスピーカ7を1
つ設けた場合のエリアK内の位相変化と振幅変化を示す
もので、図9はヘッドレスト6にスピーカを2つ設けた
場合の位相と振幅の変化を示すものである。白抜け部位
が騒音の低減エリアを示し、ハッチング部位が増音エリ
アを示している。図8、図9からスピーカ7の数が増え
ると位相並びに振幅変化を少なくさせることが可能であ
ることが明らかであり、二次音による騒音低減エリアが
大きくなる。つまり、制御点近傍の騒音低減領域が安定
するので、乗員が動いて頭部Mの位置が変化しても騒音
低減を感じる範囲がある程度確保され、静粛性が高くな
る。
【0044】図10(a)、(b)及び図11(a)、
(b)は、スピーカ7の取付け角度によるエリアK内の
位相変化と振幅変化を示すものである。図10,図11
からスピーカ7の取り付け角度による位相並びに振幅の
変化は少ないので、スピーカ7の取付け角度に関して許
容幅を持たせることができる。また、この実施例のスピ
ーカ7は、ヘッドレスト6に内蔵されているので、乗員
と直接接触することがなくスピーカ7による乗員のケガ
が極めて少なく、かつ、ヘッドレスト6の小型化に貢献
する。
【0045】図12はスピーカ7の口径と最低共振周波
数の関係、図13はスピーカ7のボックス容量と最低共
振周波数の関係を示す図である。図12、図13からス
ピーカ口径やボックス容積が大きくなるほど、最低共振
周波数が下がることが明らかだが、余りに口径を大きく
したり容積を大きくするとヘッドレスト6に内蔵できな
かったり、あるいは内蔵しようとした場合にはヘッドレ
スト6が大型化して見栄えや後方視認性の問題も出てく
る。
【0046】図14(a)は、スピーカ7の出力音圧特
性を示し、図14(b)は消費電力とスピーカ7の周波
数特性を示す図である。図14(a)において、太い実
線は3速全開時の車室内騒音相当の騒音レベルを示すも
ので、細い実線は電力0.8W供給時におけるスピーカ
7からの二次音の出力レベルを示すものである。本実施
例におけるスピーカ口径を直径80mm、ボックス容量
を2000ccに設定すると最低共振周波数が200H
z近傍となるが、消費電力を多くすることでスピーカ性
能が向上することが判る。特に、図14(a)に示すよ
うに、消費電力が0.8Wであっても3速全開時の騒音
レベルやその時の周波数範囲もカバーできる。
【0047】また、スピーカ7には、上述した特性の他
に制御信号Yを受けてから実際に二次音が鳴るまでの時
間であるレスポンスという要件がある。このレスポンス
が良くないと、幾ら制御系で適応フィルタ22のフィル
タ係数Wを適切に選択したり、係数の更新ピッチMuを
迅速に更新して処理時間を短縮して制御信号Yを出力し
ても、応答遅れとなって騒音低減作用が遅れてしまうこ
とになるので、レスポンスの良いスピーカを選択するこ
とは重要なことである。
【0048】このような構成の車室内騒音低減装置の効
果を図15を用いて説明する。図15は、ピッチ面路を
40km/hで走行したときの車室内1の騒音レベルを
計測したものである。図中実線は騒音低減装置のオフ状
態、破線は騒音低減装置のオン状態をそれぞれ示す。計
測によると、特に100Hz、200Hz前後での騒音
低減が目だって観測されるが、500Hzまでの周波数
領域において全体的に騒音低減効果が見られる。
【0049】100Hz、200Hz前後での騒音が特
に低減するのは、ロードノイズを参照信号Refとして用
いたためであると思われる。仮に、エンジン等の入力系
からの周期音を用いて参照信号とした場合、単位時間当
たりの参照信号の変化が少ないので、周期音の周波数近
傍の騒音が周期的に低減することとなり、騒音低減領域
が限られてしまう。本実施例では、ロードノイズに代表
される不規則な非周期音を基に参照信号Refを出力する
ので、単位時間当たりの参照信号Refの変化幅が大きく
騒音低減領域が広くなる。
【0050】また、リアピラー3は車両の図示しない排
気マフラーに近いことから、エンジンの周期音の伝達経
路にもなるので、リアピラー3内に第一マイク2を配置
することで、エンジン側から車室内1に侵入する周期音
よりも相関の高い周期音を検出することができる。例え
ば、4気筒エンジンが3000rpmで回転している
と、その周期音は100Hz前後となるので、車室内1
の騒音中の100Hz前後の騒音を構成している周期音
成分を低減できる。
【0051】上述した実施例では、第一マイク2を図1
に示すようにリアピラー3内に配置して、その内部の騒
音を参照信号Refとしているが、第一マイク2に変えて
リアデッキパネル28の振動を加振機等の手段で検出し
て参照信号としたり、あるいは図16に示すように、リ
アデッキパネル28に設けたハイマウントストップラン
プ29内に車室内騒音検出手段となるマイク30を設け
て、騒音低減装置を構成しても良い。リアデッキパネル
28はトランクルーム9と車室内1との間に配置されて
いるので、非周期音であるロードノイズがトランクルー
ム9内から車室内1に侵入する音の伝達経路となる。マ
イク30をハイマウントストップランプ29内に設ける
のは、できるだけロードノイズ以外の音、例えば、乗員
の声やオーディオ音等を検出しないためである。
【0052】このようにリアデッキパネル28上のスト
ップランプ29内に第一マイク2と同様の作用をするマ
イク30を設けると、非周期音であるロードノイズや排
気マフラー31からの周期音となる排気音等の、車室内
1の制御点となるヘッドレスト6近傍の騒音と相関の高
い騒音を検出して参照信号Refとして出力できる。
【0053】よって、上述した実施例同様、参照信号R
efの精度が良くなるので制御信号Yの精度も良くなると
共に、制御対象となる騒音領域が広くなる。加えて、信
号精度が良いことから適応フィルタ22のフィルタ係数
Wの更新等も少なくなり、制御手段14にかかる演算処
理負荷を低減でき、制御手段14の大型化やコストアッ
プを抑えて騒音低減を行うことができる。
【0054】加えて、この場合でもヘッドレスト6に設
けた誤差信号検出手段となる第二マイク4からの誤差信
号Errorのレベルに応じて適応フィルタ22のフィルタ
係数Wの変更ピッチMuを変更するので、エンジン等の
騒音の入力系からの周期音を基に生成される参照信号の
レベルに応じてフィルタ係数Wの更新ピッチMuを変え
る場合よりも、極め細かな更新ピッチ制御が可能とな
る。すなわち、参照信号Refの精度が良くなることは、
誤差信号Errorの精度も良くなることにつながるからで
ある。
【0055】なお、本実施例では、図1に示す車両の片
側のリアシート5のヘッドレスト6近傍の騒音低減制御
を行ったが、左側のリアシート5’のヘッドレスト6’
に、右側のリアシート5と同一構成の第二マイク4’及
びスピーカ7’を内蔵し、左方のリアピラ3’内に第一
マイク2’を並設しても良い。この場合、左右のシート
5,5’毎に個別に制御手段を設けて各スピーカ7,
7’から出力される二次音を制御しても良いし、あるい
は上述した1つの制御手段14で双方のスピーカ7,
7’を周知の多点制御しても良い。
【0056】また、本実施例における騒音低減装置で
は、リアシート側の騒音低減をメインに説明したが、図
示しないフロントシート側の騒音低減に用いることでも
無論構わない。この場合、フロントシート側近傍の騒音
と相関する騒音(非周期音)の発生場所を実測して発見
し、その部位に車室内騒音検出手段となるマイクや加振
機を配置し、フロントシート側の騒音と相関する参照信
号Refを出力する音波出力手段となるスピーカから出力
される、騒音と同振幅、逆位相となる二次音を制御する
と良い。ここでも無論、誤差信号出力手段となるマイク
を制御点近傍となるフロントシート側のヘッドレストに
設けて車室内1の誤差信号Errorを制御手段にフィード
バックして適応フィルタ22のフィルタ係数Wの演算に
用いると共に、上述した式1,式2を用いてフィルタ更
新ピッチを演算することで、適応フィルタ22の更新ピ
ッチMuを誤差信号Errorに応じて変更でき、騒音低減
の応答性を良くすることができる。
【0057】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、車室内騒
音検出手段を、車室内での騒音の制御点近傍の騒音特性
と相関関係となる周波数が発生する音の伝達経路におけ
る制御点よりも上流側に配置することで、制御点近傍の
騒音特性と相関関係となる周波数が検出されるので、参
照信号をより制御点近傍の騒音特性に近づけることがで
きて参照信号の精度が良くなる。この結果、参照信号精
度が細かくなって信頼度が上がると共に制御演算回数も
低減し、高価な制御手段を用いなくとも低コストで小型
な装置で適応フィルタの係数更新を行え、車室内騒音を
安定して低減できる。
【0058】請求項2記載の発明によれば、誤差信号検
出手段からの誤差信号の大きさに対応して適応フィルタ
の係数の更新ピッチが設定できるので、誤差信号のレベ
ルに起因せずに短時間で誤差信号を最小レベルまで減衰
できると共に、騒音の減衰制御の応答遅れを極めて少な
くできる。
【0059】請求項3記載の発明によれば、音波出力手
段をヘッドレストに内蔵されたスピーカーとすること
で、騒音を聞き取る乗員の近傍から逆位相音を出力で
き、大きな音を出さずに済むと共に逆位相音の乗員に到
達するまでの時間が短くなって、乗員の聞こえる騒音の
みを低減できる。
【0060】請求項4記載の発明によれば、車室内騒音
検出手段を音の伝達経路となるリアピラー空間内あるい
はリアデッキパネルにそれぞれ配置することで、リアピ
ラー内やリアデッキパネルで検出できる騒音であるロー
ドノイズ等の非周期音をもとにした参照信号が出力され
るので、周期音に比べて単位時間当たりに制御する周波
数領域を広くでき、騒音低減領域の安定及び拡大を図れ
る。
【0061】請求項5記載の発明によれば、車室内の騒
音を車両の走行状態によって様々に変化するロードノイ
ズ等の非周期音を主とすることで、周期音を用いて騒音
低減する場合よりも単位時間当たりに対応できる周波数
領域が広くなり、騒音低減領域を広く、かつ安定させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す車室内騒音低減装置の
概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す車室内騒音低減装置の
システムブロック図である。
【図3】本発明の制御アルゴリズムを説明するブロック
図である。
【図4】第一マイクの取付け部近傍の拡大斜視図であ
る。
【図5】制御要領の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明による騒音低減領域の一例を示す平面図
である。
【図7】ヘッドレストの構成とスピーカの取付状態を示
す一部破断斜視図である。
【図8】1スピーカの時の騒音低減領域の変化を示す図
である。
【図9】2スピーカの時の騒音低減領域の変化を示す図
である。
【図10】スピーカの取付け角度による騒音低減領域の
位相変化を示す図である。
【図11】スピーカの取付け角度による騒音低減領域の
振幅変化を示す図である。
【図12】スピーカ口径とスピーカ最低共振周波数の関
係を示す図である。
【図13】スピーカボックスとスピーカ最低共振周波数
の関係を示す図である。
【図14】(a)は騒音周波数と騒音レベルの関係を示
す図、(b)はスピーカからの発生周波数と消費電力の
関係を示す図である。
【図15】本発明の騒音低減効果を示す測定図である。
【図16】第一マイクの取付け位置の変形例を示す斜視
図である。
【符号の説明】
1 車室内 2、2’30 車室内騒音検出手段 3、3’ リアピラー 4、4’ 誤差信号検出手段 6 制御点近傍(ヘッドレスト) 7,7’ 音波出力手段(スピーカ) 14 制御手段 22 適応フィルタ 25 更新ピッチ変更手段 28 リアデッキパネル Ref 参照信号 Error 誤差信号 W 適応フィルタ Mu 係数更新ピッチ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車室内での騒音の制御点近傍の騒音特性と
    相関関係となる周波数が発生する音の伝達経路における
    上記制御点よりも上流側に配置され、上記周波数を検出
    する車室内騒音検出手段と、 上記車室内に向けて上記騒音と逆位相音を上記制御点近
    傍で発生させる音波出力手段と、 上記音波出力手段の近傍に設置され、上記車室内の残留
    騒音を検出して誤差信号を出力する誤差信号検出手段
    と、 上記車室内騒音検出手段からの参照信号と上記誤差信号
    検出手段からの誤差信号をもとに、上記誤差信号が最小
    となるように上記音源出力手段からの逆位相音を制御す
    る適応フィルタを有する制御手段とを備えたことを特徴
    とする車室内騒音低減装置。
  2. 【請求項2】上記制御手段は、上記誤差信号検出手段か
    らの誤差信号の出力状態に応じて上記適応フィルタの係
    数更新ピッチを変更する更新ピッチ変更手段を備えたこ
    とを特徴とする請求項1記載の車室内騒音低減装置。
  3. 【請求項3】上記音波出力手段は、車両のヘッドレスト
    に内蔵されたスピーカーであることを特徴とする請求項
    1記載の車室内騒音低減装置。
  4. 【請求項4】上記車室内騒音検出手段は、音の伝達経路
    となるリアピラー空間内またはリアデッキパネルに配置
    されていることを特徴とする請求項1記載の車室内騒音
    低減装置。
  5. 【請求項5】上記参照信号は、ロードノイズを中心とし
    た非周期音を基に生成されることを特徴とする請求項1
    記載の車室内騒音低減装置。
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