JPH09287021A - 加工性に優れた高純フェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法 - Google Patents
加工性に優れた高純フェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法Info
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- JPH09287021A JPH09287021A JP9886696A JP9886696A JPH09287021A JP H09287021 A JPH09287021 A JP H09287021A JP 9886696 A JP9886696 A JP 9886696A JP 9886696 A JP9886696 A JP 9886696A JP H09287021 A JPH09287021 A JP H09287021A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 加工性に優れた高純フェライト系ステンレス
熱延鋼帯を冷延・焼鈍を行うことなく省工程で製造す
る。 【解決方法】 重量%で、C:0.01%以下、Si:
0.8%以下、Mn:0.8%以下、Cr:10〜13
%、Al:0.05〜0.3%、Ti:10(C+N)
〜0.2%、N:0.01%以下を含み、C+N≦0.
015%を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる高純フェライト系ステンレス鋼帯を熱間圧延する
に際し、1100℃以下、1000℃以上の温度域で圧
下率80%以上の圧延を行い、950℃以上、1050
℃以下で5分以上保熱後、仕上げ圧延すること及び必要
に応じ上記鋼帯を800℃以上、1000℃以下で焼鈍
することを特徴とする加工性に優れた高純フェライト系
ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
熱延鋼帯を冷延・焼鈍を行うことなく省工程で製造す
る。 【解決方法】 重量%で、C:0.01%以下、Si:
0.8%以下、Mn:0.8%以下、Cr:10〜13
%、Al:0.05〜0.3%、Ti:10(C+N)
〜0.2%、N:0.01%以下を含み、C+N≦0.
015%を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる高純フェライト系ステンレス鋼帯を熱間圧延する
に際し、1100℃以下、1000℃以上の温度域で圧
下率80%以上の圧延を行い、950℃以上、1050
℃以下で5分以上保熱後、仕上げ圧延すること及び必要
に応じ上記鋼帯を800℃以上、1000℃以下で焼鈍
することを特徴とする加工性に優れた高純フェライト系
ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車排気系材料
や電気器具、建築材料などとして使用される、比較的安
価で加工性に優れた高純フェライト系ステンレス熱延鋼
帯を冷延・焼鈍を行うことなく省工程で製造する方法に
関する。
や電気器具、建築材料などとして使用される、比較的安
価で加工性に優れた高純フェライト系ステンレス熱延鋼
帯を冷延・焼鈍を行うことなく省工程で製造する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】Crを10〜13%含有し、Tiで炭窒
化物を固定したいわゆる高純フェライト系ステンレス鋼
帯は、ステンレス鋼としては比較的安価なことから、一
般に、自動車の排気系材料として使用されており、最近
では、家電製品や建築用の金物に用途が広がりつつあ
る。フェライト系ステンレス鋼は、一般的には、熱延
後、熱延板焼鈍、酸洗、冷延、焼鈍、酸洗の工程を経て
製造されている。Crを10〜13%含有する高純フェ
ライト系ステンレス鋼は、SUS430に代表される通
常のフェライト系ステンレス鋼に比較して安価であるこ
とが市場から強く要求されるため、高い生産性をもって
製造するために、従来より、様々な工夫が凝らされてい
る。
化物を固定したいわゆる高純フェライト系ステンレス鋼
帯は、ステンレス鋼としては比較的安価なことから、一
般に、自動車の排気系材料として使用されており、最近
では、家電製品や建築用の金物に用途が広がりつつあ
る。フェライト系ステンレス鋼は、一般的には、熱延
後、熱延板焼鈍、酸洗、冷延、焼鈍、酸洗の工程を経て
製造されている。Crを10〜13%含有する高純フェ
ライト系ステンレス鋼は、SUS430に代表される通
常のフェライト系ステンレス鋼に比較して安価であるこ
とが市場から強く要求されるため、高い生産性をもって
製造するために、従来より、様々な工夫が凝らされてい
る。
【0003】加工性を損なうことなく製造工程を簡略化
する目的では、熱延板焼鈍を省略することに努力が払わ
れている。熱延板焼鈍を省略する方法として、熱延後鋼
帯を高温で巻き取る方法が既に開示されている(特開昭
52−95527号公報)。本従来方法によれば、熱延
板焼鈍を省略することが可能となるが、良好な加工性を
得るためには、引き続いて冷延、焼鈍が必要である。上
記従来方法によって熱延板焼鈍を省略しただけでは、熱
延鋼帯の金属組織は、熱間圧延工程で充分に再結晶して
いないため、冷延・焼鈍して得られた再結晶組織に比
べ、延性、深絞り性が低下し、リジングが大きくなる。
従って、熱延に引き続き、冷延・焼鈍による金属組織の
調整が必要となる。
する目的では、熱延板焼鈍を省略することに努力が払わ
れている。熱延板焼鈍を省略する方法として、熱延後鋼
帯を高温で巻き取る方法が既に開示されている(特開昭
52−95527号公報)。本従来方法によれば、熱延
板焼鈍を省略することが可能となるが、良好な加工性を
得るためには、引き続いて冷延、焼鈍が必要である。上
記従来方法によって熱延板焼鈍を省略しただけでは、熱
延鋼帯の金属組織は、熱間圧延工程で充分に再結晶して
いないため、冷延・焼鈍して得られた再結晶組織に比
べ、延性、深絞り性が低下し、リジングが大きくなる。
従って、熱延に引き続き、冷延・焼鈍による金属組織の
調整が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、冷延
・焼鈍を行うことなく熱延まま、あるいは熱延・焼鈍
で、良好な加工性を得るための成分、熱間圧延、熱延板
焼鈍に関する条件を提供することにある。
・焼鈍を行うことなく熱延まま、あるいは熱延・焼鈍
で、良好な加工性を得るための成分、熱間圧延、熱延板
焼鈍に関する条件を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、高純フェライ
ト系ステンレス鋼帯の熱延に際し、素材のC及びN添加
量を限定した上、熱延のいわゆる粗圧延において圧延温
度、圧下率、粗圧延終了後の保熱温度及び時間を設定す
ることにより、熱延ままで、また必要に応じ、熱延後熱
延板焼鈍を行い、良好な加工性を得るものである。
ト系ステンレス鋼帯の熱延に際し、素材のC及びN添加
量を限定した上、熱延のいわゆる粗圧延において圧延温
度、圧下率、粗圧延終了後の保熱温度及び時間を設定す
ることにより、熱延ままで、また必要に応じ、熱延後熱
延板焼鈍を行い、良好な加工性を得るものである。
【0006】すなわち、本発明が要旨とするところは、
重量%で、 C :0.01%以下、 Si:0.8%以下、 Mn:0.8%以下、 Cr:10〜13%、 Al:0.05〜0.3%、 Ti:10(C+N)〜0.2%、 N :0.01%以下を含み、 C+N≦0.015%を満足し、 残部がFeおよび不可避的不純物からなる高純フェライ
ト系ステンレス鋼帯を熱間圧延するに際し、1100℃
以下、1000℃以上の温度域で圧下率80%以上の圧
延を行い、950℃以上、1050℃以下で5分以上保
熱後、仕上げ圧延することを特徴とする加工性に優れた
高純フェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法、或い
はさらに上記鋼帯を800℃以上、1000℃以下で焼
鈍することを特徴とする加工性に優れた高純フェライト
系ステンレス熱延鋼帯の製造方法にある。
重量%で、 C :0.01%以下、 Si:0.8%以下、 Mn:0.8%以下、 Cr:10〜13%、 Al:0.05〜0.3%、 Ti:10(C+N)〜0.2%、 N :0.01%以下を含み、 C+N≦0.015%を満足し、 残部がFeおよび不可避的不純物からなる高純フェライ
ト系ステンレス鋼帯を熱間圧延するに際し、1100℃
以下、1000℃以上の温度域で圧下率80%以上の圧
延を行い、950℃以上、1050℃以下で5分以上保
熱後、仕上げ圧延することを特徴とする加工性に優れた
高純フェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法、或い
はさらに上記鋼帯を800℃以上、1000℃以下で焼
鈍することを特徴とする加工性に優れた高純フェライト
系ステンレス熱延鋼帯の製造方法にある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明者らは、高純フェライト系
ステンレス鋼を冷延する前の、熱延ままの金属組織を観
察し、鋳片で生じた粗大なフェライト粒が熱延過程でほ
とんど再結晶することなく、粗大な延伸フェライト系粒
となったフェライト単相組織であることを観察した。こ
のような粗大な変形フェライト粒の組織では、加工硬化
により強度が高く、伸び、r値が低く、リジングが大き
い。また、熱延板焼鈍を行っても、延性は改善するが、
リジングが大きく、良好な加工性は得られないことを確
認した。
ステンレス鋼を冷延する前の、熱延ままの金属組織を観
察し、鋳片で生じた粗大なフェライト粒が熱延過程でほ
とんど再結晶することなく、粗大な延伸フェライト系粒
となったフェライト単相組織であることを観察した。こ
のような粗大な変形フェライト粒の組織では、加工硬化
により強度が高く、伸び、r値が低く、リジングが大き
い。また、熱延板焼鈍を行っても、延性は改善するが、
リジングが大きく、良好な加工性は得られないことを確
認した。
【0008】以上の観察、試験結果に基づき、本発明者
らは、鋳片に存在するフェライトを熱延過程で再結晶さ
せれば、熱延板の加工性を改善し得ると考えた。本発明
者らは熱延工程の中でも、いわゆる粗圧延と仕上げ圧延
の間の保熱効果に着目し、この間で再結晶が生じる成分
と粗圧延条件及び保熱条件を検討した。その結果、重量
%で、11Cr−0.5Si−0.4Mn−0.05A
l−0.1Tiをベースに1000℃で保熱した場合、
図1に示すように、C,Nの低減が再結晶の進行を促進
し、1100〜1000℃におけるトータル圧下率を8
0%以上とすれば、保熱後に80%以上の再結晶率が得
られるという知見を得た。
らは、鋳片に存在するフェライトを熱延過程で再結晶さ
せれば、熱延板の加工性を改善し得ると考えた。本発明
者らは熱延工程の中でも、いわゆる粗圧延と仕上げ圧延
の間の保熱効果に着目し、この間で再結晶が生じる成分
と粗圧延条件及び保熱条件を検討した。その結果、重量
%で、11Cr−0.5Si−0.4Mn−0.05A
l−0.1Tiをベースに1000℃で保熱した場合、
図1に示すように、C,Nの低減が再結晶の進行を促進
し、1100〜1000℃におけるトータル圧下率を8
0%以上とすれば、保熱後に80%以上の再結晶率が得
られるという知見を得た。
【0009】図1は、C,Nを種々変化した鋼を実験室
で溶解し、厚さ110mmのインゴットを作製し、これを
1175℃に加熱後、1100〜1000℃で、仕上げ
厚さを変えることにより圧下率を変化させた熱間圧延を
行い、圧延終了後1000℃で10分間保熱し、直ちに
水冷した鋼板の金属組織中の再結晶率とC+N量、圧下
率の関係を示したものである。
で溶解し、厚さ110mmのインゴットを作製し、これを
1175℃に加熱後、1100〜1000℃で、仕上げ
厚さを変えることにより圧下率を変化させた熱間圧延を
行い、圧延終了後1000℃で10分間保熱し、直ちに
水冷した鋼板の金属組織中の再結晶率とC+N量、圧下
率の関係を示したものである。
【0010】図1に示した検討に加え、保熱温度、時間
の影響を検討した結果、C+N量を0.015%以下に
した上、粗圧延のトータル圧下率を80%以上にし、粗
圧延後950℃以上、1050℃以下で5分以上保熱す
れば、80%以上の再結晶組織が得られることが判明し
た。また、本発明者らは、上記のように80%以上の再
結晶組織とした場合、熱延ままでも、伸び、r値が大き
く、またリジングが小さくなり、良好な加工性が得られ
ることも確認し、本発明の完成に至った。
の影響を検討した結果、C+N量を0.015%以下に
した上、粗圧延のトータル圧下率を80%以上にし、粗
圧延後950℃以上、1050℃以下で5分以上保熱す
れば、80%以上の再結晶組織が得られることが判明し
た。また、本発明者らは、上記のように80%以上の再
結晶組織とした場合、熱延ままでも、伸び、r値が大き
く、またリジングが小さくなり、良好な加工性が得られ
ることも確認し、本発明の完成に至った。
【0011】次に、本発明の成分限定理由を述べる。C
は、深絞り性を表す指標であるr値を低下させる。ま
た、耐食性を低下させる。特に、溶接熱影響によりCr
の炭化物を形成し、粒界腐食感受性が高くなり鋭敏化の
原因となる。従って、Cは低いほど望ましい。さらに、
本発明においては、熱延の粗圧延後に粗大なフェライト
粒の再結晶を図る目的からCはNとともに低い方が望ま
しく、前述のようにC+N≦0.015%に低減するこ
とが必要である。Cの低減は、一般にVODなどの二次
精錬で行うが、極端にCを下げることはいたずらに精錬
コストを上昇させるだけなので、本発明ではCの上限を
0.01%とする。
は、深絞り性を表す指標であるr値を低下させる。ま
た、耐食性を低下させる。特に、溶接熱影響によりCr
の炭化物を形成し、粒界腐食感受性が高くなり鋭敏化の
原因となる。従って、Cは低いほど望ましい。さらに、
本発明においては、熱延の粗圧延後に粗大なフェライト
粒の再結晶を図る目的からCはNとともに低い方が望ま
しく、前述のようにC+N≦0.015%に低減するこ
とが必要である。Cの低減は、一般にVODなどの二次
精錬で行うが、極端にCを下げることはいたずらに精錬
コストを上昇させるだけなので、本発明ではCの上限を
0.01%とする。
【0012】Siは耐酸化性を高めるために有効な元素
であり、望ましくは0.5%程度の添加が効果的である
が、過度に添加すると靭性を低下するので、上限を0.
8%とする。Mnは脱酸元素として用いるだけでなく、
強度を高めるために添加するが、多量に添加すると加工
性を損なうために、上限を0.8%とする。
であり、望ましくは0.5%程度の添加が効果的である
が、過度に添加すると靭性を低下するので、上限を0.
8%とする。Mnは脱酸元素として用いるだけでなく、
強度を高めるために添加するが、多量に添加すると加工
性を損なうために、上限を0.8%とする。
【0013】Crは耐熱性、耐酸化性、耐食性を得るた
めに必須の元素である。本発明では、比較的安価な自動
車排気系材料や石油燃焼装置用材料として必要とされる
耐熱性、および加工性を勘案して、10〜13%とす
る。Alは脱酸生成物が残存したものであり、脱酸の目
的で0.01%以上添加するが、過剰に添加すると、鋼
の清浄度を低下し、加工性に悪影響をもたらすので上限
を0.1%とする。
めに必須の元素である。本発明では、比較的安価な自動
車排気系材料や石油燃焼装置用材料として必要とされる
耐熱性、および加工性を勘案して、10〜13%とす
る。Alは脱酸生成物が残存したものであり、脱酸の目
的で0.01%以上添加するが、過剰に添加すると、鋼
の清浄度を低下し、加工性に悪影響をもたらすので上限
を0.1%とする。
【0014】Tiは溶接熱影響部の耐食性低下を防止す
る目的で、10(C+N)%以上添加する。しかし、多
量に添加すると、固溶Tiにより靭性が低下するので上
限を0.2%とする。NはCと同じ理由で低いほど望ま
しいが、粗圧延後の再結晶挙動に及ぼす影響および精錬
コストを勘案して、上限を0.01%とする。
る目的で、10(C+N)%以上添加する。しかし、多
量に添加すると、固溶Tiにより靭性が低下するので上
限を0.2%とする。NはCと同じ理由で低いほど望ま
しいが、粗圧延後の再結晶挙動に及ぼす影響および精錬
コストを勘案して、上限を0.01%とする。
【0015】次に、本発明における、圧延条件の限定理
由を述べる。本発明では、熱延粗圧延の歪を利用して、
粗圧延後の保熱中に粗大なフェライトの再結晶化を図る
ために、粗大なフェライト粒でも十分に再結晶し得るだ
けの歪を付加する必要がある。粗圧延温度が1100℃
を超えると、圧延後にフェライトは回復するだけで、再
結晶に必要な歪が蓄積しない。一方、粗圧延温度が低す
ぎて、1000℃を下回ると、保熱温度まで昇温するの
に時間がかかる。従って、圧延温度を1100〜100
0℃とする。ここで言う圧延温度は、粗圧延の内で再結
晶に寄与する圧延に関するもので、粗圧延温度全部を規
定するのではない。形状を得るために粗圧延開始を11
00℃を超える温度で行っても全く問題ない。
由を述べる。本発明では、熱延粗圧延の歪を利用して、
粗圧延後の保熱中に粗大なフェライトの再結晶化を図る
ために、粗大なフェライト粒でも十分に再結晶し得るだ
けの歪を付加する必要がある。粗圧延温度が1100℃
を超えると、圧延後にフェライトは回復するだけで、再
結晶に必要な歪が蓄積しない。一方、粗圧延温度が低す
ぎて、1000℃を下回ると、保熱温度まで昇温するの
に時間がかかる。従って、圧延温度を1100〜100
0℃とする。ここで言う圧延温度は、粗圧延の内で再結
晶に寄与する圧延に関するもので、粗圧延温度全部を規
定するのではない。形状を得るために粗圧延開始を11
00℃を超える温度で行っても全く問題ない。
【0016】本発明の圧延温度で、本発明に関わる成分
を有する鋼組成において、粗大なフェライトの再結晶を
得るためには、上述のようにトータルの圧下率で80%
以上の歪の付加が必要である。圧下率の上限は、スラブ
厚、熱延仕上げ厚により決めればよいので、特に規定し
ない。
を有する鋼組成において、粗大なフェライトの再結晶を
得るためには、上述のようにトータルの圧下率で80%
以上の歪の付加が必要である。圧下率の上限は、スラブ
厚、熱延仕上げ厚により決めればよいので、特に規定し
ない。
【0017】また、本発明では粗圧延後保熱し、再結晶
を行わせるが、再結晶の進行に少なくとも950℃、5
分以上の保熱が必要である。しかし、1050℃を超え
て保熱するとスケール生成量が増し、仕上圧延で表面疵
の原因となるので、保熱温度の上限を1050℃とす
る。保熱時間の上限も、スラブ厚、熱延仕上げ厚等を考
慮して決めればよいので、特に規定しない。
を行わせるが、再結晶の進行に少なくとも950℃、5
分以上の保熱が必要である。しかし、1050℃を超え
て保熱するとスケール生成量が増し、仕上圧延で表面疵
の原因となるので、保熱温度の上限を1050℃とす
る。保熱時間の上限も、スラブ厚、熱延仕上げ厚等を考
慮して決めればよいので、特に規定しない。
【0018】粗圧延後再結晶した鋼板は、仕上げ圧延に
より再び加工を受けるため、その加工の影響を除き必要
な加工性を得るために、本発明では、必要に応じ熱延後
焼鈍を行う。焼鈍温度の下限は、ほぼ完全な再結晶組織
が得られる下限の800℃とする。また、焼鈍温度が高
すぎると、結晶粒が粗大化し、製品加工時の肌荒れの原
因となるので焼鈍の上限温度は、1000℃とする。焼
鈍方法は、いわゆる箱焼鈍、連続焼鈍いずれでもよく、
従って、加熱、保持、冷却方法は問わない。
より再び加工を受けるため、その加工の影響を除き必要
な加工性を得るために、本発明では、必要に応じ熱延後
焼鈍を行う。焼鈍温度の下限は、ほぼ完全な再結晶組織
が得られる下限の800℃とする。また、焼鈍温度が高
すぎると、結晶粒が粗大化し、製品加工時の肌荒れの原
因となるので焼鈍の上限温度は、1000℃とする。焼
鈍方法は、いわゆる箱焼鈍、連続焼鈍いずれでもよく、
従って、加熱、保持、冷却方法は問わない。
【0019】
【実施例】表1に示す成分の鋼を実験室で溶製し、50
kgのインゴットを作製した。1175℃に加熱後、タン
デム式の熱間圧延機で表2に示す条件で1100〜10
00℃で圧延を行い保熱後、仕上圧延を行った。圧延仕
上温度は、860〜840℃、仕上板厚は2mmとした。
圧延後、直ちに巻取を再現するための電気炉に挿入し、
750℃に1時間保持後炉冷した。一部の鋼板につい
て、表2の条件で熱延板焼鈍を行った。得られた鋼板か
ら圧延方向に平行に、JIS13B号引き張試験辺およ
びJIS5号引張試験片を作製した。JIS13B号引
張試験片を用い引張試験を行い、降伏応力、伸びを測定
した。また、JIS5号引張試験片を用い、15%、2
0%までの引張を行い、それぞれ、r値、リジング高さ
を測定した。
kgのインゴットを作製した。1175℃に加熱後、タン
デム式の熱間圧延機で表2に示す条件で1100〜10
00℃で圧延を行い保熱後、仕上圧延を行った。圧延仕
上温度は、860〜840℃、仕上板厚は2mmとした。
圧延後、直ちに巻取を再現するための電気炉に挿入し、
750℃に1時間保持後炉冷した。一部の鋼板につい
て、表2の条件で熱延板焼鈍を行った。得られた鋼板か
ら圧延方向に平行に、JIS13B号引き張試験辺およ
びJIS5号引張試験片を作製した。JIS13B号引
張試験片を用い引張試験を行い、降伏応力、伸びを測定
した。また、JIS5号引張試験片を用い、15%、2
0%までの引張を行い、それぞれ、r値、リジング高さ
を測定した。
【0020】本発明の条件に従う場合、伸び、r値に優
れ、リジング高さも低く、冷延・焼鈍を行わなくても良
好な加工性を有している。しかし、比較例1,2,3で
は、それぞれ、1100〜1000℃の圧下率、110
0〜1000℃の圧延後の保熱温度、保熱時間が本発明
の範囲を逸脱するため、本発明による場合に比べ、伸
び、r値およびリジング高さに劣る。比較例4は熱延板
焼鈍を行って良好な伸びを得ているが、C+N量が本発
明の範囲を逸脱するため、r値に劣り、リジング高さが
大きい。比較例5の圧延・保熱条件は本発明に従うが、
熱延板焼鈍の温度が本発明の範囲を逸脱するため、伸
び、r値およびリジング高さが劣る。
れ、リジング高さも低く、冷延・焼鈍を行わなくても良
好な加工性を有している。しかし、比較例1,2,3で
は、それぞれ、1100〜1000℃の圧下率、110
0〜1000℃の圧延後の保熱温度、保熱時間が本発明
の範囲を逸脱するため、本発明による場合に比べ、伸
び、r値およびリジング高さに劣る。比較例4は熱延板
焼鈍を行って良好な伸びを得ているが、C+N量が本発
明の範囲を逸脱するため、r値に劣り、リジング高さが
大きい。比較例5の圧延・保熱条件は本発明に従うが、
熱延板焼鈍の温度が本発明の範囲を逸脱するため、伸
び、r値およびリジング高さが劣る。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】本発明により、自動車排気系材料や電気
器具、建築材料などとして使用される、比較的安価で加
工性に優れた高純フェライト系ステンレス熱延鋼帯を冷
延・焼鈍を行うことなく省工程で製造できるため工業的
効果は非常に大きい。
器具、建築材料などとして使用される、比較的安価で加
工性に優れた高純フェライト系ステンレス熱延鋼帯を冷
延・焼鈍を行うことなく省工程で製造できるため工業的
効果は非常に大きい。
【図1】11Cr−0.5Si−0.4Mn−0.05
Al−0.1Ti鋼を1175℃に加熱後、1100〜
1000℃で仕上げ厚さを変えることにより圧下率を変
化させた熱間圧延を行い、圧延終了後1000℃で10
分間保熱後、直ちに水冷した鋼板の金属組織中の再結晶
率とC+N量、圧下率の関係を示し、C+N量を0.0
15%以下にした上、1100〜1000℃のトータル
圧下率を80%以上にすれば、80%以上の再結晶組織
が得られることを示す図である。
Al−0.1Ti鋼を1175℃に加熱後、1100〜
1000℃で仕上げ厚さを変えることにより圧下率を変
化させた熱間圧延を行い、圧延終了後1000℃で10
分間保熱後、直ちに水冷した鋼板の金属組織中の再結晶
率とC+N量、圧下率の関係を示し、C+N量を0.0
15%以下にした上、1100〜1000℃のトータル
圧下率を80%以上にすれば、80%以上の再結晶組織
が得られることを示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.01%以下、 Si:0.8%以下、 Mn:0.8%以下、 Cr:10〜13%、 Al:0.01〜0.1%、 Ti:10(C+N)〜0.2%、 N :0.01%以下を含み、 C+N≦0.015%を満足し、残部がFeおよび不可
避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼帯を熱間
圧延するに際し、1100℃以下、1000℃以上の温
度域で圧下率80%以上の圧延を行い、950℃以上、
1050℃以下で5分以上保熱後、仕上げ圧延すること
を特徴とする加工性に優れた高純フェライト系ステンレ
ス熱延鋼帯の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1の鋼帯を800℃以上、100
0℃以下で焼鈍することを特徴とする加工性に優れた高
純フェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9886696A JPH09287021A (ja) | 1996-04-19 | 1996-04-19 | 加工性に優れた高純フェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9886696A JPH09287021A (ja) | 1996-04-19 | 1996-04-19 | 加工性に優れた高純フェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09287021A true JPH09287021A (ja) | 1997-11-04 |
Family
ID=14231124
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9886696A Withdrawn JPH09287021A (ja) | 1996-04-19 | 1996-04-19 | 加工性に優れた高純フェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09287021A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3239335A4 (en) * | 2014-12-26 | 2017-11-29 | Posco | Ferritic stainless steel having excellent ductility and method for manufacturing same |
CN109072372A (zh) * | 2016-03-24 | 2018-12-21 | 日新制钢株式会社 | 韧性良好的含有Ti的铁素体系不锈钢板和法兰 |
CN110366601A (zh) * | 2017-02-28 | 2019-10-22 | 日本制铁株式会社 | 铁素体系不锈钢板、热轧卷材和汽车排气***法兰构件 |
-
1996
- 1996-04-19 JP JP9886696A patent/JPH09287021A/ja not_active Withdrawn
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP3434800A4 (en) * | 2016-03-24 | 2019-11-13 | Nippon Steel Stainless Steel Corporation | FERRITIC STAINLESS STEEL SHEET CONTAINING IT HAVING GOOD TENACITY, AND FLANGE |
TWI715739B (zh) * | 2016-03-24 | 2021-01-11 | 日商日鐵不銹鋼股份有限公司 | 韌性良好之含有Ti之肥粒鐵系不鏽鋼板及凸緣件 |
CN109072372B (zh) * | 2016-03-24 | 2021-02-12 | 日铁不锈钢株式会社 | 韧性良好的含有Ti的铁素体系不锈钢板和法兰 |
CN110366601A (zh) * | 2017-02-28 | 2019-10-22 | 日本制铁株式会社 | 铁素体系不锈钢板、热轧卷材和汽车排气***法兰构件 |
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