JPH09278A - 光学活性リナロールの製造法 - Google Patents

光学活性リナロールの製造法

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JPH09278A
JPH09278A JP14781195A JP14781195A JPH09278A JP H09278 A JPH09278 A JP H09278A JP 14781195 A JP14781195 A JP 14781195A JP 14781195 A JP14781195 A JP 14781195A JP H09278 A JPH09278 A JP H09278A
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Shigemasa Oshikubo
重政 押久保
Michio Nozaki
倫生 野崎
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Takasago International Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 リナロールの脂肪酸エステルに馬肝臓由来の
エステラーゼを作用させ不斉加水分解を行い、分解生成
物である(S)−リナロールと未反応物である(R)−
リナロールの脂肪酸エステルの混合物を得、この混合物
から(S)−リナロールを分離することを特徴とする
(S)−リナロールの製造法、および、未反応物である
(R)−リナロールの脂肪酸エステルを、加水分解する
ことを特徴とする(R)−リナロールの製造法。 【効果】 安価で簡便な方法で、香料素材として有用な
光学活性リナロールを製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学活性リナロールの
製造法に関する。詳しくは、馬肝臓由来のエステラーゼ
を用いて、リナロールの脂肪酸エステルを光学分割する
ことによって、香料素材として有用な光学活性リナロー
ルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リナロールは、香粧品香料や食品香料に
広く利用されている香料素材である。光学活性体である
(S)−リナロールは、プチグレン様、ラベンダー様香
気を有しているのに対し、(R)−リナロールは、ウッ
ディ、ラベンダー様香気を有している。また、(S)−
体の香気のいき値は、(R)−体の3.5〜4倍であること
が報告されている〔山本健、「香料」No.184, pp.57-72
(1994年12月)〕。光学活性リナロールは、これらの特
徴を活かして使い分けられている。
【0003】光学活性リナロールは、通常種々の植物か
ら抽出することによって得られている。たとえば、コリ
アンダー油からは光学純度54.8%e.e.の(S)−リナロ
ールが得られ、ダバナ油中からは95.4%e.e.の(R)−
リナロールが得られることが知られている〔P.Werkhoff
ら、Z.Lebensm Unters Forsch, Vol.196, pp.307〜328
(1993)〕。しかし、植物を原料とする方法では、天候等
の自然条件の変化による生産量の変動をさけることがで
きない。
【0004】化学合成による光学活性リナロールの製造
法としては、(S)−(ベンジルオキシ)メチルマロン
酸エチルを原料として9段階を経て得る方法〔R.Barner
ら、Helv.Chim.Acta, Vol.66, pp.880-890 (1983)〕、
オキサチアンを原料として8段階を経て得る方法〔M.Oh
waら、J.Org.Chem., Vol.51, pp.2599-2601 (1986)〕、
光学活性2,3−エポキシ−3,7−ジメチル−6−オ
クテン−1−オールを原料とし、有機スズ化合物とリン
酸エステルとの縮合生成物を触媒としてアルコールを開
環付加させ、得られた光学活性グルコール誘導体をホル
ムアミド誘導体さらに酸無水物と反応させ、得られた光
学活性リナリルエーテルを加水素分解する方法(特開平
5-170682号公報)等が報告されている。しかし、いずれ
も高価な試薬や複雑な工程を必要とし、実用的であると
は言い難い。
【0005】化学合成法に比べ高価な試薬や複雑な工程
を必要としない方法として、酵素を用いた光学分割法が
あるが、一般に、リナロールのような第三級アルコール
の光学活性体をこの方法によって得ることは困難である
ことが知られている。今までに報告されている酵素を用
いた光学分割法による第三級アルコールの光学活性体の
製造としては、アセチレン鎖を含む第三級炭素鎖を有す
る酢酸エステルをキャンディダ菌由来のリパーゼを用い
て不斉加水分解し第三級アルコールの光学活性体を得る
例〔D.O'Haganら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1, pp.947
-949 (1992)〕、および、ビシクロ基を有する第三級ア
ルコールをシュウ酸エステルやモノクロロ酢酸エステル
に誘導した後、豚膵臓、豚肝臓、馬肝臓およびキャンデ
ィダ菌由来のリパーゼを用いて不斉加水分解する例〔I.
Brackenridgeら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1, pp.1093
-1094 (1993)およびJ.P.Barnierら、J.Org.Chem., Vol.
58, pp.1570-1574 (1993)〕等が知られている程度であ
る。また、トリコデルマ属等の種々の微生物の生産する
エステラーゼを、(±)−テルペンアルコール類のα−
ハロゲン化脂肪酸エステルに作用させ、光学活性なテル
ペンアルコール類とその対掌体のエステルに光学分割す
る方法(特開昭51-35491号公報)が知られているが、こ
の方法で光学分割されるテルペンアルコール類として
は、第二級アルコールであるボルネオール、イソボルネ
オールおよびメントールが記載されているにすぎず、第
三級アルコールである光学活性なリナロールを酵素を用
いた光学分割法によって製造する方法は全く報告されて
いない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
実情に鑑みなされたものであり、光学活性リナロールを
特定な酵素を用いた光学分割法により従来の方法よりも
安価で簡便に製造する方法を提供することを目的として
いる。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者らは、市販されているラセミ混合物のリナ
ロールの脂肪酸エステルを、市販されている種々のエス
テラーゼを用いて不斉加水分解し光学分割することによ
り、光学活性リナロールを製造することを試みた。その
結果、驚くべきことに、馬肝臓由来のエステラーゼを使
用すれば、分解物として(S)−リナロールが得られ、
(R)−リナロールの脂肪酸エステルは分解し難いの
で、これらを容易に分離できることを見いだし、本発明
を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、リナロールの脂肪酸
エステルに馬肝臓由来のエステラーゼを作用させ不斉加
水分解を行うことにより(S)−リナロールを製造する
ことを特徴とする(S)−リナロールの製造法である。
さらに、本発明は、リナロールの脂肪酸エステルに馬肝
臓由来のエステラーゼを作用させ不斉加水分解を行い、
分解生成物である(S)−リナロールと未反応物である
(R)−リナロールの脂肪酸エステルの混合物を得、こ
の混合物から(S)−リナロールを分離することを特徴
とする(S)−リナロールの製造法である。
【0009】さらに、本発明は、上記未反応物である
(R)−リナロールの脂肪酸エステルを、加水分解する
ことを特徴とする(R)−リナロールの製造法である。
上記リナロールの脂肪酸エステルとしては、リナロール
と炭素数1〜10の脂肪酸とのエステルが挙げられる。
本発明は、以下のように図示される。
【0010】
【化1】
【0011】(式中、Rは脂肪酸エステルのアシル基の
脂肪族炭化水素鎖部分を示す) 本発明において、原料として使用するリナロールの脂肪
酸エステルは、公知の合成法、例えば、B. Abramovitch
らの方法〔J. Am. Chem. Soc., Vol. 55, p. 986(194
3)〕により得ることもできるが、市販されているラセミ
混合物をそのまま用いるのが簡便でよい。
【0012】本発明において使用できる脂肪酸エステル
は、特に限定されるものではないが、炭素数1〜10程
度の直鎖または分岐状のアルキルエステル、アルケニル
エステル、アルキニルエステルを挙げることができる。
中でも、炭素数1〜10の直鎖または第二級の分岐状の
アルキルエステルが好ましく用いられ、好ましい具体例
としては、酢酸リナリル、プロピオン酸リナリル、酪酸
リナリル、吉草酸リナリル、ヘキサン酸リナリル、オク
タン酸リナリル、デカン酸リナリル、イソ酪酸リナリ
ル、2−メチル酪酸リナリル、イソ吉草酸リナリル等を
挙げることができる。特に、より高い加水分解活性、か
つ、高い不斉選択率で目的とする光学活性リナロールを
得るためには、炭素数4〜8の直鎖または第二級の分岐
状のアルキルエステルを用いることが好ましい。
【0013】本発明において用いられるエステラーゼ
は、馬肝臓由来のものが選択される。キャンディダ属、
アスペルギルス属などに属する微生物に由来するエステ
ラーゼや、豚肝臓、豚膵臓、子羊舌下腺などの馬以外の
動物の臓器由来のエステラーゼ、馬膵臓のような馬の肝
臓以外の臓器由来のエステラーゼを用いても、加水分解
反応が殆ど進まないか、または、加水分解反応は進んで
も得られるリナロールの光学純度が非常に低いものしか
得られない。
【0014】本発明において用いられる馬肝臓由来のエ
ステラーゼは、種々のものが市販されており、本発明で
は、これらの市販品をそのまま用いることができる。具
体例としては、馬肝臓アセトンパウダー(シグマ社製、
力価測定値=30.8ユニット/g。尚、30℃下で1分間に
オリーブオイルから1マイクロモルのオレイン酸を遊離
する酵素量を1ユニットとした。)を挙げることができ
る。また、馬肝臓由来のエステラーゼとしては、馬肝臓
からゲルろ過やイオンクロマトグラフィ−等の方法によ
って調製したエステラーゼを用いることもできる。
【0015】本発明を実施するには、まず、リナロール
の脂肪酸エステルを反応容器にとり、これに水または緩
衝液を加え混合液を得る。ここで用いられる緩衝液とし
ては、例えばリン酸とそのナトリウム塩またはカリウム
塩のような無機酸とその塩からなる緩衝液、もしくは、
酢酸ナトリウムやクエン酸ナトリウムのような有機酸塩
からなる緩衝液を挙げることができる。混合液中のリナ
ロールの脂肪酸エステルの濃度は、約0.005〜2モル/リ
ットル、好ましくは約0.01〜1.5モル/リットル、特に
好ましくは約0.2〜1モル/リットルとなるように調製す
る。
【0016】次いで、得られた混合液に、馬肝臓由来の
エステラーゼを、力価が約30ユニット/gのもので、約
0.1〜20重量%、好ましくは約0.2〜15重量%となるよう
に加える。力価の異なるエステラーゼを用いる場合に
は、上記濃度に相当するように換算して加える。エステ
ラーゼを添加した混合液を混和し、反応温度約10〜50
℃、好ましくは約20〜40℃、pH約3〜10、好ましくはpH
約6〜9で、必要に応じpHスタットを用いてpHを一定に保
ちながら、マグネットスターラーや攪拌羽等の手段によ
って攪拌または浸盪することにより不斉加水分解反応を
行う。反応時間は、通常約24時間〜25日間であるが、反
応温度を高めたり、酵素量を増加したり、緩衝液やpHス
タットの使用によるpHの調整や界面活性剤の添加等によ
り、反応時間を短縮することも可能である。
【0017】反応後、エステラーゼをろ過除去し、分解
生成物である(S)−リナロールと未反応物である
(R)−リナロールの脂肪酸エステルの混合物を回収す
る。回収方法としては、例えば、反応液に食塩を加え飽
和溶液とした後、有機溶剤で抽出する。ここで用いられ
る有機溶剤としては、酢酸エチルのようなエステル類、
エチルエーテルのようなエーテル類、n−ヘキサンのよ
うな脂肪族炭化水素類、トルエンのような芳香族炭化水
素類を挙げることができる。抽出後分液し有機溶剤層を
得、この有機溶剤層を無水硫酸マグネシウム等を用いて
乾燥した後、減圧下で有機溶剤を留去すればよい。
【0018】得られた分解生成物と未反応物の混合物か
ら(S)−リナロール及び(R)−リナロールの脂肪酸
エステルをそれぞれ分離するには、蒸留あるいはシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー等の操作を適宜採用する
ことができる。得られた(S)−リナロール及び(R)
−リナロールの脂肪酸エステルは、それぞれそのまま香
料素材として用いることができる。
【0019】更に、(R)−リナロールの脂肪酸エステ
ルを常法に従い、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリ
ウム等のアルカリを用いて加水分解すれば、(R)−リ
ナロールを得ることができ、このものも香料素材として
用いることができる。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、馬肝臓由来のエステラ
ーゼを用いてリナロールの脂肪酸エステルを光学分割す
ることによって、安価で簡便な方法で、香料素材として
有用な光学活性リナロールを製造することができる。
【0021】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。尚、実施例中の分析は、次の分析機器を用いて行っ
た。 リナロールの脂肪酸エステルの加水分解率; ガスクロマトグラフィー:5890-A(ヒューレットパッカード社製) カラム:BC-WAX (25m×0.25mm, ID=0.25mm) (ジーエルサイエンス株式会社製) 温度:80〜210℃(5℃/分で昇温) 光学活性リナロールの光学純度; ガスクロマトグラフィー:5890-A(ヒューレットパッカード社製) カラム:CP-Chirasil Dex CB (25m×0.25mm, ID=0.25mm) (クロムパック社製) 温度:110℃(定温) (実施例1)酪酸リナリル1.12g(5.0mmol)および1モ
ル濃度のリン酸緩衝液(pH7.0)16mlをフラスコにと
り、これに馬肝臓アセトンパウダー(シグマ社製、力価
測定値=30.8ユニット/g、以下同様)2.0gを加えて
よく混和し、27℃で5日間攪拌反応を行った。反応後、
反応液をガスクロマトグラフィーを用いて分析したとこ
ろ、酪酸リナリルの分解率は52%と見積もられた。
【0022】得られた反応液から馬肝臓アセトンパウダ
ーをろ過除去し、これに食塩を加え飽和溶液とした後、
酢酸エチル30mlで2回抽出した。抽出後分液し、得られ
た酢酸エチル層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥し
た後、エバポレーターを用いて酢酸エチルを留去し、分
解生成物と未反応物の混合物を得た。得られた混合物か
ら、シリカゲルカラムクロマトグラフィー〔流出液;ヘ
キサン: 酢酸エチル=49:1(容量比)の混合溶媒〕を
用いて分解生成物である(S)−リナロール0.27g(収
率35%)と未反応物である(R)−酪酸リナリル0.47g
(収率42%)をそれぞれ単離精製した。得られた(S)
−リナロールの光学純度は、光学活性カラムを装備した
ガスクロマトグラフィーで分析したところ、63%e.e.で
あった。
【0023】更に、未反応物である(R)−酪酸リナリ
ルを、10%の水酸化カリウムのメタノール溶液中で加水
分解し、(R)−リナロール0.21g(収率27.2%)を得
た。このものの光学純度は、上記と同様にして測定した
ところ、67%e.e.であった。 (実施例2)酪酸リナリル0.2g(0.89mmol)および0.1
モル濃度のリン酸緩衝液(pH7.0)100mlをフラスコにと
り、これに馬肝臓アセトンパウダー0.4gを加えてよく
混和し、27℃で24時間攪拌反応を行った。反応後、反応
液をガスクロマトグラフィーを用いて分析したところ、
酪酸リナリルの分解率は59%と見積もられた。
【0024】得られた反応液から馬肝臓アセトンパウダ
ーをろ過除去し、これに食塩を加え飽和溶液とした後、
酢酸エチル150mlで2回抽出した。抽出後分液し、得られ
た酢酸エチル層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥し
た後、エバポレーターを用いて酢酸エチルを留去し、分
解生成物と未反応物の混合物を得た。得られた混合物
を、実施例1と同様に処理し、分解生成物である(S)
−リナロール18mg(収率13.1%)と未反応物である
(R)−酪酸リナリル23mg(収率11.5%)をそれぞれ単
離精製した。更に、(R)−酪酸リナリルを加水分解
し、(R)−リナロール14mg(収率20.6%)を得た。実
施例1と同様にして光学純度を測定したところ、(S)
−リナロールは55%e.e.、(R)−リナロールは79%e.e.
であった。 (実施例3)酪酸リナリル0.2g(0.89mmol)および0.1
モル濃度のリン酸緩衝液(pH7.0)40mlをフラスコにと
り、これに馬肝臓アセトンパウダー0.4gを加えてよく
混和し、27℃で38時間攪拌反応を行った。反応後、反応
液をガスクロマトグラフィーを用いて分析したところ、
酪酸リナリルの分解率は53%と見積もられた。
【0025】得られた反応液から馬肝臓アセトンパウダ
ーをろ過除去し、これに食塩を加え飽和溶液とした後、
酢酸エチル50mlで2回抽出した。抽出後分液し、得られ
た酢酸エチル層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥し
た後、エバポレーターを用いて酢酸エチルを留去し、分
解生成物と未反応物の混合物を得た。得られた混合物
を、実施例1と同様に処理し、分解生成物である(S)
−リナロール22mg(収率16.0%)と未反応物である
(R)−酪酸リナリル27mg(収率13.5%)をそれぞれ単
離精製した。更に、(R)−酪酸リナリルを加水分解
し、(R)−リナロール17mg(収率12.4%)を得た。実
施例1と同様にして光学純度を測定したところ、(S)
−リナロールは58%e.e.、(R)−リナロールは66%e.e.
であった。 (実施例4)酪酸リナリル30g(133.7mmol)および蒸
留水120gをフラスコにとり、これに馬肝臓アセトンパ
ウダー15gを加えてよく混和した。得られた混合液をマ
グネットスターラーで撹拌し、pHスタットを用いてpHを
7に保ちながら、27℃で7日間反応を行った。反応後、反
応液をガスクロマトグラフィーを用いて分析したとこ
ろ、酪酸リナリルの分解率は35%と見積もられた。
【0026】得られた反応液から馬肝臓アセトンパウダ
ーをろ過除去し、実施例1と同様に処理して(S)−リ
ナロール4.2g(収率20.4%)を単離精製した。このも
のの光学純度は、72%e.e.であった。 (実施例5)ヘキサン酸リナリル1.3g(5.1mmol)およ
び1モル濃度のリン酸緩衝液(pH7.0)4mlをフラスコに
とり、これに馬肝臓アセトンパウダー0.4gを加えてよ
く混和し、27℃で15日間攪拌反応を行った。反応後、反
応液をガスクロマトグラフィーを用いて分析したとこ
ろ、ヘキサン酸リナリルの分解率は20%と見積もられ
た。
【0027】得られた反応液から馬肝臓アセトンパウダ
ーをろ過除去し、実施例1と同様に処理して(S)−リ
ナロール0.12g(収率15.3%)を単離精製した。このも
のの光学純度は、88%e.e.であった。 実施例6〜12 表1に示す種々のリナロール脂肪酸エステルを用いて、
実施例1に準じて加水分解を行った。すなわち、各リナ
ロール脂肪酸エステル5mmolをそれぞれフラスコにと
り、1モル濃度のリン酸緩衝液(pH7.0)4mlおよび馬肝
臓アセトンパウダー0.5gを加えてよく混和し、27℃で6
日間攪拌反応を行った。
【0028】反応後の各反応液をガスクロマトグラフィ
ーで分析して求めた各リナロール脂肪酸エステルの分解
率、および、得られた各反応液から単離生成した(S)
−リナロールの光学純度を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】実施例13および比較例1〜3 酪酸リナリル1.12g(5.0mmol)および0.1モル濃度のリ
ン酸緩衝液(pH7.0)4mlをフラスコにとり、これに馬肝
臓アセトンパウダー0.5gを加えてよく混和し、27℃で2
2日間攪拌反応を行った(実施例13)。同条件で、馬
肝臓アセトンパウダーの代わりに豚肝臓アセトンパウダ
ー(シグマ社製)(比較例1)、アスペルキルス・ニガ
ー由来のリパーゼ(Aspergillusniger lipase, APF12,
天野製薬株式会社社製)(比較例2)およびキャンディ
ダ・ルゴサ由来のリパーゼ(Candida rugosa lipase, L
ipase Type VII, シグマ社製)(比較例3)を用いて、
酪酸リナリルの加水分解を行った。
【0031】反応後の各反応液をガスクロマトグラフィ
ーで分析して求めた酪酸リナリルの分解率、および、得
られた各反応液から単離生成した(S)−リナロールの
光学純度を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】表2から明らかなように、馬肝臓アセトン
パウダーを用いた場合は、他の動物由来のエステラーゼ
や他の微生物由来のエステラーゼを用いた場合に比べ、
高い加水分解活性を示し、かつ、非常に高い不斉選択率
で目的とする光学活性リナロールを得ることができた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リナロールの脂肪酸エステルに馬肝臓由
    来のエステラーゼを作用させ不斉加水分解を行うことに
    より(S)−リナロールを製造することを特徴とする
    (S)−リナロールの製造法。
  2. 【請求項2】 リナロールの脂肪酸エステルが、リナロ
    ールと炭素数1〜10の脂肪酸とのエステルである請求
    項1記載の(S)−リナロールの製造法。
  3. 【請求項3】 リナロールの脂肪酸エステルに馬肝臓由
    来のエステラーゼを作用させ不斉加水分解を行い、分解
    生成物である(S)−リナロールと未反応物である
    (R)−リナロールの脂肪酸エステルの混合物を得、こ
    の混合物から(S)−リナロールを分離することを特徴
    とする(S)−リナロールの製造法。
  4. 【請求項4】 リナロールの脂肪酸エステルが、リナロ
    ールと炭素数1〜10の脂肪酸とのエステルである請求
    項3記載の(S)−リナロールの製造法。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の未反応物である(R)−
    リナロールの脂肪酸エステルを加水分解することにより
    (R)−リナロールを製造することを特徴とする(R)
    −リナロールの製造法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100390276C (zh) * 2006-04-11 2008-05-28 修志明 一种从动物肝脏中提取酯酶的方法
WO2012070203A1 (ja) * 2010-11-26 2012-05-31 株式会社 資生堂 富貴蘭様香料組成物
US10941420B2 (en) 2015-09-25 2021-03-09 Ajinomoto Co., Inc. Linalool composition and method of producing therefor

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