JPH09278803A - 医療用手当材 - Google Patents

医療用手当材

Info

Publication number
JPH09278803A
JPH09278803A JP8111893A JP11189396A JPH09278803A JP H09278803 A JPH09278803 A JP H09278803A JP 8111893 A JP8111893 A JP 8111893A JP 11189396 A JP11189396 A JP 11189396A JP H09278803 A JPH09278803 A JP H09278803A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alginic acid
gel
medical dressing
acid gel
dressing material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8111893A
Other languages
English (en)
Inventor
Masao Tanihara
正夫 谷原
Yoshimi Kakimaru
好海 柿丸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP8111893A priority Critical patent/JPH09278803A/ja
Publication of JPH09278803A publication Critical patent/JPH09278803A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カルシウム含有率が少なくて細胞毒性が低
く、生理食塩液吸収率が高くて体液の吸収性に優れ、柔
軟性、透明性、機械的特性に優れるアルギン酸ゲルおよ
びそれよりなる医療用手当材を提供すること。 【解決手段】 カルシウム含有率が2.5重量%以下で
あって且つゲル化がカルシウム分によらずになされてい
るアルギン酸ゲルから主としてなる本発明の医療用手当
材によって上記の課題が解決でき、特に本発明の医療用
手当材は、(A)アルギン酸及び/又はその水溶性の塩と
ジアミン及び/又はポリアミンとの反応生成物からなる
本発明のアルギン酸ゲル;並びに(B)アルギン酸中の水
酸基及び/又はカルボキシル基の少なくとも一部を疎水
性基に変性した生成物からなる本発明のアルギン酸ゲル
を用いることにより好ましく形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルギン酸ゲルか
ら主としてなる医療用手当材、および該医療用手当材に
用いるのに適するアルギン酸ゲルに関する。より詳細に
は、本発明は、天然物に由来することにより安全性に優
れ、カルシウム含有率が低いことにより細胞毒性が低
く、生理食塩液吸収率が高くて体液の吸収性に優れ、柔
軟性、透明性、機械的特性にも優れるアルギン酸ゲル、
該アルギン酸ゲルよりなる医療用手当材に関するもので
ある。そして、本発明のアルギン酸ゲルおよびそれより
なる医療用手当材は、前記した特性を備えていることに
よって、交換回数が少なくてすむために患者の苦痛、看
護の手間、患部へのダメージを低減することが可能であ
り、患部に良好に密着し、患部に対する物理的刺激が小
さく、外部からの患部の観察が容易であり、患部からの
浸出液中の治癒促進因子を良好に保持しながら、創傷な
どの患部に治癒をはかることができる。
【0002】
【従来の技術】外傷、熱傷、潰瘍、褥瘡などの創傷の治
療には、従来からガーゼや軟膏類が広く用いられてお
り、これらは浸出液を吸収し、しかも外部からの細菌等
の侵入を防ぐ効果を有している。近年、創傷部からの滲
出液中に治癒を促進する種々の増殖因子(例えばbFG
F、TGFβ等)が存在することが明らかになり[How
ell, J.M., Currentand Future Trends in Wound
Healing, Emerg. Med. Clin. North Amer., 10,
655-663(1992)等を参照]、これらの増殖因子を創傷
部に保持することにより創傷部の治癒を促進する効果を
示す、閉鎖性の創傷被覆材が注目されるようになってき
た[Eaglstein, W.E., Experience with biosynthe
tic dressings, J. Am. Acad. Dermatol., 12、434
-440 (1985)参照]。そして、そのような閉鎖性の創傷
被覆材としては、ポリウレタンフイルム、ハイドロコロ
イド、アルギン酸塩、ポリビニルアルコールスポンジ、
ポリビニルアルコール含水ゲル、ポリエチレングリコー
ル含水ゲル、ポリアクリルアミド含水ゲルなどからなる
創傷被覆材が知られている。
【0003】上記した創傷被覆材のうちで、ポリウレタ
ンフイルムよりなる創傷被覆材は透明性および閉鎖性の
点ではある程度満足できるが、吸水性がないために滲出
液が多い創傷部には使用できないという欠点がある。ま
た、ハイドロコロイド系創傷被覆材およびポリビニルア
ルコールスポンジ創傷被覆材の中には、10g/g程度
の生理食塩液吸収率を有するものもあるが、不透明であ
るために創傷部の観察ができないという欠点がある。し
かも、ハイドロコロイド系創傷被覆材ではその主要成分
が生体組織中に長期間残存して慢性的な炎症を引き起こ
すということも報告されている[Young, S.R. et a
l., Comparison of the effect of semi-occlusive po
lyurethane dressings and hydrocolloid dressings on
dermal repair:1. Cellular changes, J. Inves
t.Dermatol., 97、 586-592(1991)参照]。また、ポ
リエチレングリコール含水ゲルおよびポリアクリルアミ
ド含水ゲルには透明なものもあるが、吸水性がほとんど
なく、ハイドロコロイド系創傷被覆材の場合と同様に、
創傷部に残存して慢性的な炎症反応を生ずる心配があ
り、しかも両者の原料モノマーは毒性が強く、含水ゲル
中に含まれる残存モノマーや分解成分による毒性の発現
の心配がある。しかも、これらの創傷被覆材を使用した
場合は、一旦細菌感染を起こすとその湿潤環境が細菌に
とって好適な培地となるため、細菌が急激に増殖して重
度の感染に発展する恐れがある。
【0004】また、上記したアルギン酸塩系の創傷被覆
材としては、 (i) アルギン酸カルシウムのゲルを球状、フイルム
状、繊維状、ガーゼ状に加工して熱傷等の治療に用いる
もの(G.Blainne,Ann.Surg.,125,102−114(1
974)]; (ii) アルギン酸カルシウムのゲルを塩酸や硫酸など
の酸で処理してそのカルシウム含有率を3〜5重量%ま
で低下させたものからなるガーゼ状の外科用被覆材(Wa
lles Camcron,英国特許第1231506号明細書); (iii) アルギン酸カルシウムのゲルを酢酸ナトリウ
ムや酢酸アンモニウムなどの塩で処理してそのカルシウ
ム含有率を3〜5重量%まで低下させた外科用被覆材
(Medical Alginates,英国特許第1394741号
及び同第1394742号明細書); (iv) 不溶性アルギン酸塩を形成するカルシウムなど
のカチオンと可溶性アルギン酸塩を形成するナトリウム
などのカチオンを40:60〜90:10の比率で含有
する裏当て材を有する傷手当て具(特表平4−5010
67号公報); (v) アルギン酸として2〜11重量%のアルギン酸
塩を含有する繊維状パスタの形態をもつ創傷被覆材(特
開平6−1819787号公報); (vi) 生理食塩液の吸収率が20〜50g/gである
アルギン酸カルシウム繊維からなる医療用被覆材(特開
平5−209318号公報);などが知られている。
【0005】そして、上記した(i)〜(vi)のアルギ
ン酸塩系の創傷被覆材では、カルシウムの含有率が多い
ものと少ないものがあるが、いずれも、アルギン酸ゲル
の形成をカルシウムに依存しているため、カルシウムに
よる細胞毒性の問題を多かれ少なかれ有している(A.
Sank,M.Chi et al,Surgery,106,1141−1148
(1989)]。特に、上記(i)および(iv)のようなカ
ルシウム含有率が高いものや、アルギン酸のカルシウム
塩とナトリウム塩とを含むものでは、生理食塩液の吸収
率が低い(10g/g以下)ために体液の吸収性や患部
への密着性に劣っており、しかも不透明で外部からの観
察ができず、組織中に取り込まれて慢性炎症を生ずる
(S.E.Barnett and S.I.Varley,Ann.Royal
Coll.Surg.Eng.,69,153−155(1987)]などの
問題がある。アルギン酸ゲル中のカルシウムの含有率を
低減させれば上記したような問題が解決できるが、従来
カルシウム含有率が2.5重量%以下のアルギン酸カル
シウムゲルは、ゲル強度が極めて小さく、創傷被覆材と
しては実用的ではない。例えば、上記(vi)の医療用被
覆材では、アルギン酸ゲルの生理食塩液吸収率を増加さ
せるためにカルシウム濃度の低い凝固浴を用いてゲル化
を行って、カルシウム含有率の低いアルギン酸ゲルを形
成させているが、その結果ゲルの架橋度が低下して機械
的強度が小さいものとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アル
ギン酸カルシウムに起因する細胞毒性を解消して、カル
シウムを含まないか又はカルシウム含有率を低減させた
アルギン酸ゲルよりなる医療用手当材およびそれに適す
るアルギン酸ゲルを提供することである。さらに、本発
明の目的は、生理食塩液吸収率が高くて、創傷部などの
患部からの浸出液の吸収性および患部への密着性に優れ
ていて、交換回数が少なくてすみ、患者の苦痛、看護の
手間、創傷の損傷を低減することができ、しかも細菌の
感染および繁殖を防止して、創傷などを円滑に治癒でき
るアルギン酸ゲル系の医療用手当材およびそれに適する
アルギン酸ゲルを提供することである。さらに、本発明
の目的は、柔軟性に優れていて患部への刺激が少なく、
透明性に優れ外部から患部を観察することができ、機械
的特性が良好で、取り扱い性、保形性などに優れるアル
ギン酸ゲル系の医療用手当材およびそれに適するアルギ
ン酸ゲルを提供することである。そして、本発明は、擦
過創、切創、挫創などの一般外傷;採皮創、削皮創など
の手術創;熱傷;潰瘍;褥瘡;前記以外の各種の創傷に
対して有効に使用することのできるアルギン酸ゲル系医
療用手当材およびそれに適するアルギン酸ゲルを提供す
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らが検討を重ねてきた。その結果、アルギン酸
のゲル化を上記した従来技術におけるようにカルシウム
分で行わずに、他の形態で行うことによって、カルシウ
ム含有率の低減されたアルギン酸ゲルが得られること、
そしてカルシウム含有率の低減したそのアルギン酸ゲル
は医療用手当材として極めて適しており、上記した種々
の目的を達成できることを見いだして本発明を完成し
た。
【0008】すなわち、本発明は、カルシウム含有率が
2.5重量%以下であって且つゲル化がカルシウム分に
よらないでなされているアルギン酸ゲルから主としてな
ることを特徴とする医療用手当材である。
【0009】そして、本発明は、(A)アルギン酸およ
び/またはその水溶性の塩と、ジアミンおよび/または
ポリアミンとの反応生成物からなるアルギン酸ゲル;及
び、(B)アルギン酸における水酸基および/またはカ
ルボキシル基の少なくとも一部を疎水性基に変性した生
成物からなるアルギン酸ゲル;のうちの少なくとも1種
から主としてなることを特徴とする医療用手当材であ
る。
【0010】さらに、本発明は、 ○ アルギン酸および/またはその水溶性の塩と、ジア
ミンおよび/またはポリアミンとの反応生成物よりなる
アルギン酸ゲル;ならびに ○ アルギン酸における水酸基および/またはカルボキ
シル基の一部を疎水性の基に変性した生成物よりなるア
ルギン酸ゲル;を包含する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の医療用手当材は、カルシウム含有率が
2.5重量%以下、好ましくは1.7重量%以下であっ
て且つカルシウムによらずにゲル化しているアルギン酸
ゲルから主としてなるものであって、医療用に用いられ
るものであるという点から生体に対して安全であるもの
であればいずれでもよい。本発明でいう「ゲル化がカル
シウム分によらないでなされているアルギン酸ゲル」と
は、アルギン酸のゲル化がカルシウム分以外の要因だけ
で、またはカルシウム分以外の要因によって主としてな
されているアルギン酸ゲルをいう。
【0012】また、本発明でいう「医療用手当材」と
は、擦過創、切創、挫創などの一般外傷;採皮創、削皮
創などの手術創;熱傷;潰瘍;褥瘡;前記以外の各種の
創傷などによる患部に当てて用いる(患部に接触させて
用いる)ことによって、患部からの浸出液の吸収、該浸
出液の保持、患部への菌類の感染や増殖の防止、患部の
治癒促進などをはかるための材の総称をいい、本発明の
医療用手当材はアルギン酸ゲルのみからなっていても、
アルギン酸ゲルと他の材料との複合材であってもよい。
【0013】本発明の医療用手当材およびアルギン酸ゲ
ルの基本をなすアルギン酸は、海藻の一種であるコンブ
などの褐藻類から得られる多糖類である。アルギン酸で
は、その分子量、性質、組成(例えばマンニュロン酸残
基とグルロン酸残基の比率)などは調製法(抽出法等)
によって異なる場合が多いが、本発明のアルギン酸ゲル
および医療用手当材は、いずれのアルギン酸に基づくも
のであってもよい。そのうちでも、アルギン酸ゲルの強
度などの点から、アルギン酸ナトリウムの1重量%水溶
液にしたときに、その20℃における粘度が100cp
(センチポイズ)以上であるアルギン酸に基づくものが
好ましく、前記の粘度が300cp以上であるアルギン
酸に基づくものがより好ましい。しかしながら、前記の
粘度があまり高すぎると(一般に1000cpを超える
と)、本発明のアルギン酸ゲルの製造が行いにくくなる
ので、前記の粘度が1000cp以下のアルギン酸に基
づくものであるのが好ましい。
【0014】また、アルギン酸を構成するマンニュロン
酸残基(M)とグルロン酸残基(G)のモル比(M/G
値)が大きいほど、それから得られるアルギン酸ゲル
(医療用手当材)の生理食塩液吸収率は高くなるが、あ
まり大きすぎるとアルギン酸ゲルの強度が低下し実用性
が低下し易い。一方、M/G値が小さいほどアルギン酸
ゲルの強度が増大するが、小さすぎると生理食塩液吸収
率が低くなり、医療用手当材として用いた場合に創傷部
などからの浸出液の吸収性や患部への密着性が低くなり
易い。したがってそれらの点を考慮すると、本発明のア
ルギン酸ゲルおよび医療用手当材の基本をなすアルギン
酸は、そのM/G値が0.6〜1.5の範囲のものであ
るのが好ましく、0.8〜1.2の範囲のものであるの
がより好ましい。
【0015】カルシウム含有率が2.5重量%以下であ
る本発明の医療用手当材は、特に、(A) アルギン酸
および/またはその水溶性の塩と、ジアミンおよび/ま
たはポリアミンとの反応生成物からなる本発明のアルギ
ン酸ゲル[以下これを「アルギン酸ゲル(A)」とい
う];および(B) アルギン酸における水酸基および
/またはカルボキシル基の少なくとも一部を疎水性基に
変性した生成物からなる本発明のアルギン酸ゲル[以下
これを「アルギン酸ゲル(B)」という];のうちの少
なくとも1種を主として用いることによって好ましく形
成される。
【0016】アルギン酸ゲル(A)の形成に用いるジア
ミンおよび/またはポリアミン(以下これらを総称して
「ポリアミン類」という)は低分子ポリアミン類であっ
てもまたは高分子ポリアミン類であってもよく、或いは
両者の併用であってもよい。 アルギン酸ゲル(A)において、アルギン酸またはその
水溶性の塩と低分子ポリアミン類との反応生成物からな
るゲル[以下これを「アルギン酸ゲル(A1)というこ
とがある]は、アルギン酸またはその水溶性の塩とポリ
アミン類との間の脱水縮合反応が主として行われること
によって得られる生成物であるのが好ましい。しかしな
がら、それに限定されるものではなく、場合によっては
アルギン酸と低分子ポリアミン類との間のイオン反応
(イオン結合)が一部で生じていてもよい。また、アル
ギン酸ゲル(A)が、アルギン酸またはその水溶性の塩
と高分子ポリアミン類との反応生成物からなるゲル[以
下これを「アルギン酸ゲル(A2)ということがある]
は、アルギン酸と高分子ポリアミン類との間のイオン反
応(イオン結合)による生成物であってもおよび/また
は両者間の脱水縮合反応による生成物であってもよい。
したがって、本発明の「アルギン酸ゲル(A)」は、ア
ルギン酸またはその水溶性の塩と、ジアミンおよび/ま
たはポリアミンとの脱水縮合反応によるゲル状生成物、
イオン反応(イオン結合)によるゲル状生成物、および
両方の反応によるゲル状生成物のいずれであってもよ
い。
【0017】アルギン酸ゲル(A1)の形成に用いる低
分子ポリアミン類としては、特に、下記の一般式
(I);
【0018】
【化3】 R1HN−(CH2)m−NHR2 (I) [式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素または
式;−COCH(NH2)−(CH2)n−NH2(式中
nは2〜8の整数)で表される基、そしてmは1〜18
の整数を示す]で表される化合物、すなわち下記の一般
式(Ia)〜(Ic);
【0019】
【化4】 H2N−(CH2)m−NH (Ia) H2N−(CH2)m−NH−COCH(NH2)−(CH2)n−NH (Ib) H2N−(CH2)n−(NH2)CHCO−NH−(CH2)m−NH−COCH(NH2)−(CH2)n−NH2 (Ic) (式中、mおよびnは上記と同じ)で表されるポリアミ
ン類が好ましく用いられる。上記の一般式(Ia)〜(I
c)において、mは2〜12の整数であり、そしてnが
3〜6の整数であるのが、アルギン酸とポリアミン類と
の間の反応が円滑に行われて、目的とするアルギン酸ゲ
ルを円滑に生成させることができるのでより好ましい。
低分子ポリアミン類におけるアミノ基の数が多いほど、
アルギン酸との間の反応が強く行われるが、あまり多い
と反応に関与しないアミノ基の割合が多くなって架橋度
が低下し、しかもゲルを形成する前に凝集沈殿などが生
じ易くなるので、低分子ポリアミン類におけるアミノ基
数は上記の一般式(I)で表される化合物におけるよう
に2〜4個であるのが好ましい。
【0020】上記の一般式(I)で表される低分子ポリ
アミン類の具体例としては、ジアミノエタン、ジアミノ
プロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミ
ノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジ
アミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノドデカン、ジ
アミノオクタデカンなどのジアミノアルカン類;N−
(リジル)−ジアミノエタン、N,N’−(ジリジル)
−ジアミノエタン、N−(リジル)−ジアミノヘキサ
ン、N,N’−(ジリジル)−ジアミノヘキサンなどの
モノまたはジリジルジアミノアルカン類などを挙げるこ
とができ、これらの低分子ポリアミン類は単独で使用し
てもまたは2種以上を併用してもよい。そのうちでも、
ジアミノエタン、ジアミノヘキサン、N,N’−(ジリ
ジル)−ジアミノエタン、N−(リジル)ジアミノヘキ
サンが好ましく用いられる。
【0021】上記したジアミノアルカン類は市販試薬と
して容易に入手できる。また、上記したモノまたはジリ
ジルアミノアルカン類も市販のものを使用しても、また
合成して用いてもよい。合成する場合は通常の有機合成
法に準じて行えばよい。何ら限定されるものではない
が、モノまたはジリジルアミノアルカン類の製法として
は、例えば、 (1) リジンのα−アミノ基とε−アミノ基を保護し
た状態で、カルボジイミド等の脱水縮合剤の存在下にリ
ジンのカルボキシル基とジアミノアルカン類のアミノ基
と反応させた後、α−アミノ基とε−アミノ基の保護基
を除去する方法; (2) α−アミノ基とε−アミノ基を保護し且つN−
ヒドロキシコハク酸イミドなどとの塩を形成しているリ
ジン塩を活性エステルとした後、ジアミノアルカン類と
反応させ、次いでα−アミノ基とε−アミノ基の保護基
を除去する方法;などを挙げることができる。
【0022】上記(1)および(2)の合成法におい
て、[アミノ基を保護したリジンまたはその塩]:[ジ
アミノアルカン類]のモル比を1:1にすると上記の一
般式(Ib)で表される化合物を得ることができ、また前
記のモル比を2:1にすると上記の一般式(Ic)で表さ
れる化合物を得ることができる。また、上記(1)およ
び(2)の合成法において、リジンのα−アミノ基およ
びε−アミノ基の保護基としては、t−ブチルオキシカ
ルボニル基およびフルオレニルメチルオキシカルボニル
基などを用いることができ、前者の保護基の場合はトリ
フルオロ酢酸や塩化水素を溶解したジオキサンで処理す
ると保護基の除去が可能であり、また後者の保護基の場
合はピペリジンのジメチルホルムアミド溶液で処理する
ことによって保護基の除去が可能である。
【0023】そして、上記した一般式(I)で表される
低分子ポリアミン類を用いてアルギン酸ゲル(A1)を
形成するに当たっては、アルギン酸ゲル(A1)を短時
間に円滑に形成させるために、アルギン酸をアルギン酸
ナトリウムなどのような水溶性の塩の形態にしておき、
さらに低分子ポリアミン類も水溶性の塩の形態にしてお
いて、水溶液中でアルギン酸と低分子ポリアミン類との
間に脱水縮合反応を行わせるようにすると、反応が速や
かに行われるので好ましい。低分子ポリアミン類を塩の
形態にするに当たっては、N−ヒドロキシコハク酸イミ
ドの塩の形態にしておくと、N−ヒドロキシコハク酸イ
ミドが脱水縮合助剤として作用して、アルギン酸と低分
子ポリアミン類との脱水縮合反応が一層円滑に行われ
て、目的とするアルギン酸ゲルを速やかに形成させるこ
とができる。低分子ポリアミン類をN−ヒドロキシコハ
ク酸イミドの塩の形態にする場合は、低分子ポリアミン
類中に含まれるアミノ基のすべてをN−ヒドロキシコハ
ク酸イミドの塩の形態にしておくのが、脱水縮合反応の
促進などの点から一層好ましい。低分子ポリアミン類を
N−ヒドロキシコハク酸イミドの塩の形態にする方法は
特に制限されないが、例えば酢酸エチルを溶媒として低
分子ポリアミン類とN−ヒドロキシコハク酸イミドを反
応させたり、低分子ポリアミン類の塩酸塩やトリフルオ
ロ酢酸塩の水溶液をN−ヒドロキシコハク酸イミドで平
衡化した陰イオン交換樹脂カラムに通してN−ヒドロキ
シコハク酸イミドの塩の形態に変換する方法などが挙げ
られる。
【0024】上記したアルギン酸の水溶性塩および低分
子ポリアミン類の水溶性塩を用いて水溶液中でアルギン
酸ゲル(A)を生成させる反応は脱水縮合剤の存在下
に行うことができる。その場合の脱水縮合剤としては、
例えば、2−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)−カルボジイミド塩酸塩などの水溶性カルボジイミ
ドが好ましく用いられる。脱水縮合剤は、一般に、アル
ギン酸の水溶性の塩の重量に基づいて約100〜200
重量%程度の割合で用いればよい。アルギン酸ゲル(A
1)を生成させる際の反応条件は特に制限されないが、
一般に、水溶液の温度を約20〜30℃にして、常圧下
で行うのがよい。
【0025】アルギン酸ゲル(A1)は、アルギン酸と
低分子ポリアミン類との間の上記した脱水縮合反応によ
って、アルギン酸が低分子ポリアミン類により架橋され
て生成するものと考えられる。しかし、場合によっては
部分的にアルギン酸と低分子ポリアミン類との間にイオ
ン反応(イオン結合)が生じていてもよい。アルギン酸
ゲル(A1)では、低分子ポリアミン類の使用量を多く
して架橋度を高くすると強固で水分含有率の低いゲルが
得られ、一方低分子ポリアミン類の使用量を少なくして
架橋度を低くすると柔軟で生理食塩液吸収率の高いゲル
が得られる。そのため、アルギン酸ゲル(A1)の用
途、医療用手当材としての使用態様などに応じて、低分
子ポリアミン類の使用量を調節すればよい。一般に、ア
ルギン酸の有する全カルボキシル基の1〜50モル%、
好ましくは10〜40モル%が低分子ポリアミン類のア
ミノ基との反応に関与するような量で低分子ポリアミン
類を用いるのよい。アミノ基と反応したカルボキシル基
の割合は、例えば、アルギン酸ゲル(A)中の窒素原子
の元素分析、アルギン酸ゲル(A)のプロトンNMRに
おけるアルギン酸のメチンプロトンと低分子ポリアミン
類中のメチレンプロトンのシグナル強度比などにより調
べることができる。
【0026】また、アルギン酸またはその水溶性の塩と
高分子ポリアミン類との反応生成物からなる本発明のア
ルギン酸ゲル(A2)では、高分子ポリアミン類として
2個以上のアミノ基および/またはイミノ基を有する種
々の高分子ポリアミンを用いることができ、例えばポリ
リジン、ポリエチレンイミン、キトサン、アリルアミン
の単独重合体または共重合体などを挙げることができ、
これらの高分子ポリアミン類は単独で使用してもまたは
2種以上を併用してもよい。
【0027】上述したように、アルギン酸ゲル(A2
は、アルギン酸と高分子ポリアミン類との間のイオン反
応(イオン結合)、脱水縮合反応、またはその両方の反
応によって形成することができる。一般的には、アルギ
ン酸ナトリウムなどのようなアルギン酸の水溶性塩の水
溶液に高分子ポリアミン類を加えることによって、アル
ギン酸のカルボキシル基と高分子ポリアミン類のアミノ
基および/またはイミノ基との間にイオン反応(イオン
結合)が生じて、そのままゲルを形成させることができ
る。その際の反応温度や反応圧力などは特に制限されな
いが、一般に、水溶液の温度を0〜30℃程度にして常
圧下で反応させればよい。
【0028】アルギン酸ゲル(A2)の場合も、高分子
ポリアミン類の使用量を多くするアルギン酸と高分子ポ
リアミン類との間の結合が密になって強固で水分含有率
の低いゲルが得られ、一方高分子ポリアミン類の使用量
を少なくするとアルギン酸と高分子ポリアミン類との間
の結合が疎になって柔軟で生理食塩液吸収率の高いゲル
が得られる。そのため、アルギン酸ゲル(A2)の用
途、医療用手当材としての使用態様などに応じて、高分
子ポリアミン類の使用量を調節すればよい。また、アル
ギン酸ゲル(A2)の強度、生理食塩液吸収率などは、
高分子ポリアミン類の種類や分子量(粘度)などによっ
ても影響を受けるので、アルギン酸ゲル(A2)の用途
などに応じて、使用する高分子ポリアミン類の種類や分
子量などを選択するとよい。高分子ポリアミン類の種類
や分子量によって種々異なり得るが、一般に、アルギン
酸の有するカルボキシル基の1〜100モル%、好まし
くは10〜90モル%が高分子ポリアミン類のアミノ基
および/またはイミノ基との反応に関与するような量で
高分子ポリアミン類を用いるのがよい。アルギン酸ゲル
(A2)の場合も、アミノ基および/またはイミノ基と
反応したカルボキシル基の割合は、アルギン酸ゲル(A
1)について上記で述べたのと同様にして調べることが
できる。
【0029】そして、アルギン酸における水酸基および
/またはカルボキシル基の少なくとも一部を疎水性基に
変性した生成物からなる本発明のアルギン酸ゲル(B)
は、アルギン酸中の水酸基および/またはカルボキシル
基の部分に疎水性基を導入して疎水化してゲルを形成さ
せたものである。アルギン酸の水酸基および/またはカ
ルボキシル基の変性に用いる疎水性基としては種々の疎
水性基を挙げることができ、特に炭化水素基を何らかの
形態で有する疎水性基が好ましい。
【0030】限定されるものではないが、アルギン酸中
の水酸基および/またはカルボキシル基を疎水性基に変
性し得る化合物としては、例えば炭化水素基などの疎水
性基を有するアミン類、アルコール類、ハライド類、カ
ルボン酸類、カルボン酸エステル類などを挙げることが
できる。より具体的には、例えば、ブチルアミン、ヘキ
シルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリル
アミンなどのアルキルアミン類;ベンジルアミン、ナフ
チルエチルアミンなどの芳香族アミン類;ロイシンメチ
ルエステル、グリシンベンジルエステル、フェニルアラ
ニンブチルエステルなどのアミノ酸アルキルエステル
類;ホスファチジルエタノールアミンなどのリン脂質の
アミン誘導体類;ブチルアルコール、ヘキシルアルコー
ル、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリル
アルコールなどの脂肪族アルコール類;ベンジルアルコ
ール、ナフチルエタノールなどの芳香族アルコール類;
ホスファチジルグリセロールなどのリン脂質のアルコー
ル誘導体;ブチルクロライド、ヘキシルブロマイド、オ
クチルブロマイド、デシルアイオダイド、ラウリルブロ
マイドなどの脂肪族ハライド類;ベンジルクロライドな
どの芳香族ハライド類;酪酸、ピバリン酸、ブチル酢
酸、カプロン酸、ラウリン酸などの脂肪族カルボン酸
類;フェニル酢酸、ナフチル酢酸などの芳香族カルボン
酸類;t−Boc−ロイシン、ベンゾイルグリシンなど
のN置換アミノ酸類;前記した脂肪族カルボン酸、芳香
族カルボン酸、N置換アミノ酸の酸無水物、酸ハライド
などを挙げることができる。アルギン酸中の水酸基およ
び/またはカルボキシル基を疎水性基に変性するにあた
っては、前記した化合物の1種を用いてもまたは2種以
上を併用してもよい。
【0031】アルギン酸中の水酸基および/またはカル
ボキシル基を上記した化合物と反応させて疎水性基に変
性するに当たっては、水酸基および/またはカルボキシ
ル基を有する化合物と上記した疎水化のための化合物と
を反応させるのに一般に採用されている方法に従って行
えばよい。例えば、アルギン酸のカルボキシル基を上記
した疎水性基を有するアミン類および/またはアルコー
ル類と反応させる場合には、アルギン酸ナトリウムなど
のアルギン酸の水溶性塩の水溶液中で、1−エチル−3
−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドな
どの脱水縮合剤の存在下にアルギン酸のカルボキシル基
とアミン類および/またはアルコール類との間の脱水縮
合反応を行うとアルギン酸のカルボキシル基を疎水性基
に変性することができる。また、例えば、アルギン酸の
水酸基を脂肪族ハライドおよび/または芳香族ハライド
と反応させて疎水性基に変性する場合は、アルギン酸ナ
トリウムなどのアルギン酸の水溶性塩の水溶液中で、ア
ルカリの存在下に反応を行うことによって、アルギン酸
の水酸基を疎水性基に変性することができる。さらに、
例えば、アルギン酸の水酸基を上記したカルボン酸類と
反応させて疎水性基に変性する場合は、アルギン酸ナト
リウムなどのアルギン酸の水溶性塩の水溶液中で、1−
エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボ
ジイミドなどの脱水縮合剤の存在下に反応を行うと、ア
ルギン酸の水酸基を疎水性基に変性することができる。
また、例えば、アルギン酸の水酸基を上記したカルボン
酸の酸無水物や酸ハライド類と反応させて疎水性基に変
性する場合は、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸
の水溶性塩の水溶液中で、アルカリの存在下に行うこと
によってアルギン酸の水酸基を疎水性基に変性すること
ができる。
【0032】アルギン酸ゲル(B)では、アルギン酸中
の水酸基および/またはカルボキシル基の疎水性基への
変性割合が高くなるほど生理食塩液吸収率の低いゲルが
得られ、一方疎水性基への変性割合が低くなるほど生理
食塩液吸収率の高いゲルが得られるので、アルギン酸ゲ
ル(B)の用途、医療用手当材としての使用態様などに
応じて、水酸基および/またはカルボキシル基の疎水性
基への変性割合を調節すればよい。また、アルギン酸の
疎水化の程度は、アルギン酸中の水酸基および/または
カルボキシル基の変性割合だけではなく、変性により導
入された疎水性基の種類などによっても影響を受けるの
で、アルギン酸ゲル(B)の用途などに応じて、疎水性
基の種類を選択することが必要である。一般的には、ア
ルギン酸中の水酸基およびカルボキシル基の合計モル数
に基づいて、その約1〜50モル%が上記したような疎
水性基に変性されているのが、得られるアルギン酸ゲル
(B)の強度、生理食塩液吸収率、透明性などの点から
好ましい。
【0033】また、本発明のアルギン酸ゲルは、上記し
た低分子ポリアミン類との反応、高分子ポリアミン類と
の反応および疎水性基の導入反応のうちの2種以上を併
用して形成されたものであってもよい。
【0034】上記した本発明のアルギン酸ゲルは、ゲル
の形成がカルシウムを用いずに行われているので、当然
ながらそのカルシウム含有率が極めて低く、特に上記し
たような方法でゲルを形成したものをカルシウム分を含
む溶液で処理せずにそのまま用いる場合にはアルギン酸
ゲルにおけるカルシウム含有率は0%であるので、カル
シウムに起因する細胞毒性がない。そのため、本発明の
アルギン酸ゲルはカルシウム含有率が低いという特性を
活かして、医療用手当材をはじめとして、それ以外にも
例えば薬剤の担体、外用剤基材などの種々の用途に有効
に使用することができる。
【0035】また、上記した本発明のアルギン酸ゲルを
医療用手当材として用いる場合は、その水分含有率を1
0重量%以下にしておくことが好ましい。アルギン酸ゲ
ルの水分含有率が10重量%以下であるとその生理食塩
液吸収率が高くなり、医療用手当材として用いたときに
患部からの浸出液の吸収性および保持性が良好になり治
癒効果が一層高いものとなる。アルギン酸ゲルの水分含
有率を10重量%以下にする方法は特に制限されず、ゲ
ルの変質などを生じない方法であればいずれも採用で
き、例えば凍結乾燥法、溶媒置換乾燥法、減圧乾燥法、
加温乾燥法、温風乾燥法などによって行うことができ
る。ここで、本願明細書でいうアルギン酸ゲルまたは医
療用手当材の「水分含有率」は、下記の数式に従う重
量法またはカールフィッシャー試薬を用いる滴定による
水分定量法などによって求めることができる。
【0036】
【数1】 水分含有率(重量%)={(Wa−Wb)/Wa}×100 (式中、Wa=アルギン酸ゲルまたは医療用手当材の重
量、Wb=アルギン酸ゲルまたは医療用手当材の絶乾時
の重量を表す)
【0037】また、本発明のアルギン酸ゲルを医療用手
当材として用いる場合は、その生理食塩液吸収率が20
〜60g/gであることが好ましく、30〜50g/g
であることがより好ましい。アルギン酸ゲル(医療用手
当材)の生理食塩液吸収率が前記した範囲にあると、患
部からの浸出液の吸収性、保持性、細菌感染などに対す
る封鎖性、機械的特性などが良好になる。生理食塩液吸
収率が20g/g未満であると、受傷直後、潰瘍や褥瘡
などの深い創などのような浸出液が多い患部に用いた場
合に、浸出液を充分に吸収できず、浸出液の漏れによる
細菌感染などの危険を生じ易い。その結果、生理食塩液
吸収率の低い医療用手当材を用いる場合は前記した浸出
液の漏れを防ぐために医療用手当材を頻繁に交換するこ
とが必要になり、看護側および患者の負担、患部の損傷
などが大きくなり易い。一方、生理食塩液吸収率が60
g/gを超える医療用手当材(アルギン酸ゲル)は、一
般に機械的強度がひくく、しかも外部からの細菌感染に
対する封鎖性が充分なものになりにくい。 ここで、本願明細書でいうアルギン酸ゲルまたは医療用
手当材の「生理食塩液吸収率」は、下記の数式に従っ
て求めたときの値をいう。
【0038】
【数2】 生理食塩液吸収率(g/g)=(Wc−Wd)/Wd (式中、Wc=アルギン酸ゲルまたは医療用手当材を3
7℃の生理食塩液中に所定の時間浸漬した後の重量、W
d=アルギン酸ゲルまたは医療用手当材の絶乾時の重量
を表す)
【0039】上述した従来のポリウレタンフイルム、ハ
イドロコロイド、ポリビニルアルコールスポンジ、ポリ
ビニルアルコール含水ゲル、ポリエチレングリコール含
水ゲル、ポリアクリルアミド含水ゲルなどの創傷被覆材
および上記した従来のアルギン酸塩繊維の不織布からな
る創傷被覆材は、いずれもその生理食塩液吸収率が20
g/gよりも小さく、かかる点で創傷被覆材として充分
に良好な特性を備えているとは言えないが、本発明の医
療用手当材において、その生理食塩液吸収率を上記した
20〜60g/gにしたものでは、充分な強度を保ちな
がら、患部からの浸出液を充分に吸収し且つ細菌感染な
どを防止しながら、創傷などの治癒を促進でき、かかる
点でそれらの従来の創傷被覆材に比べて優れた特性を有
している。
【0040】本発明のアルギン酸ゲルよりなる医療用手
当材は、必要に応じて、その生理食塩液吸収率(患部か
らの浸出液などの吸収度)の調整や粘着性の付与などの
目的で、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどの
無機イオン;エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、グリセリン、ポリエチレングリコールなどの多価ア
ルコール類;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸な
どの高分子化合物を含有していてもよい。また、本発明
の医療用手当材は、患部やその周辺部分の治癒の促進、
細菌感染の防止などの目的で、消毒剤、抗生剤、抗菌
剤、血行改善薬(例えばアクトシン、PGEIなど)、
増殖因子(例えばPDGF、FGFなど)、構造蛋白質
(例えばフィブリン、コラーゲンなど)、各種アミノ酸
類、ビタミン類の1種または2種以上を含有していても
よく、さらに薬理学的に許容し得る他の添加剤を含有し
てもよい。本発明の医療用手当材にカルシウムを含有さ
せることによって止血効果が期待でき、また上記したよ
うに生理食塩液吸収率の調整が可能であるが、カルシウ
ムを含有させる場合は、その含有率を本発明で規定して
いる2.5重量%以下にすることが必要である。
【0041】本発明の医療用手当材中への上記した各種
の剤や成分の含有方法は特に制限されず、例えばアルギ
ン酸ゲルを形成させる前にアルギン酸ゲル形成用原料中
に添加しておく方法、アルギン酸ゲルを形成した後にゲ
ルを上記した剤や成分を含む液中に浸漬し、必要に応じ
て乾燥してゲルに担持させる方法などにより行うことが
でき、アルギン酸ゲル中に含有させる剤や成分の性質に
応じてそれぞれ適した方法を採用すればよい。
【0042】本発明の医療用手当材の形状、構造などは
特に制限されず、例えば、平板状(フイルム状、シート
状、膜状など)、織編物状、不織布状、網状、粒子状、
塊状、スポンジ状などにして用いることができる。ま
た、本発明の医療用手当材は、アルギン酸ゲルのみから
形成しても、または他の素材と組み合わせて形成しても
よく、例えばポリウレタンフイルム、シリコン樹脂フイ
ルムなどの他の材料と積層して形成しても、アルギン酸
ゲルの形成時に他の材料からなる織編物や不織布などを
存在させておいてアルギン酸ゲルとそれらの他の材料が
一体となった医療用手当材を形成してもよい。本発明の
医療用手当材の滅菌方法も特に制限されず、アルギン酸
ゲルの変質を生じない方法であればいずれも採用でき、
例えばエチレンオキサイドガス滅菌、オートクレーブ滅
菌(例えば121℃で20分間)、γ線滅菌、電子線滅
菌などが挙げられる。特に、本発明の医療用手当材はオ
ートクレーブにより湿熱滅菌処理が可能であるため安全
性にも優れている。
【0043】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより何ら制限されない。
【0044】《実施例 1》 (1) メタノール150mlにN−ヒドロキシコハク
酸イミド[(株)ペプチド研究所製]2.3g(20m
mol)を溶解し、これに、エチレンジアミン(和光純
薬株式会社製)0.6g(10mmol)をメタノール
10mlに溶解した溶液を室温で撹拌しながら滴下し
た。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けた。析出した
結晶を濾取し、減圧下に乾燥してエチレンジアミン2N
−ヒドロキシコハク酸イミド塩の2.6g(収率約90
%)を得た。 (2) アルギン酸ナトリウム(フナコシ株式会社製、
M/G値1.0)の1重量%水溶液(粘度550cp,
20℃)30mlに、上記(1)で調製したエチレンジ
アミン2N−ヒドロキシコハク酸イミド塩66mg、お
よび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)
−カルボジイミド塩酸塩[(株)ペプチド研究所製]
0.48gを溶解し、得られた溶液を10cm×10c
mのテフロン被覆トレイに流延し25℃で48時間静置
して、アルギン酸ゲルを形成させた。 (3) 上記(2)で得られたアルギン酸ゲルを、まず
2.5mMの塩化カルシウムと143mMの塩化ナトリ
ウムを溶解した注射用水(大塚製薬製)で充分に洗浄
し、その後塩化カルシウムおよび塩化ナトリウムを含ま
ない前記の注射用水で洗浄した。洗浄後のアルギン酸ゲ
ルを凍結乾燥した後、25kGyのγ線照射により滅菌
して医療用手当材とした。 (4) 上記(3)で得られた医療用手当材の一部を白
金るつぼ中で乾式分解した後、原子吸光法で定量したカ
ルシウム含有率は1.6重量%であり、このカルシウム
分は上記(3)の洗浄工程でアルギン酸ゲル中に取り込
まれたものであった。
【0045】(5) 上記(3)で得られた医療用手当
材の0.31gを量りとり、デシケーター中で48時間
減圧乾燥したところ、絶乾時の重量は0.30gであっ
た。絶乾前の医療用手当材の重量0.31gおよび絶乾
時の医療用手当材の重量0.30gの値から、上記した
数式にしたがって求めた医療用手当材の水分含有率は
3.2重量%であった。 (6) 上記(3)で得られた医療用手当材をデシケー
ター中で48時間減圧乾燥した。これを0.43g量り
とり、生理食塩液(大塚製薬製)を充分に含ませたポリ
ウレタンスポンジ上に置き、37℃の恒温槽中に静置
し、1時間間隔で4時間目まで生理食塩液を吸収させて
その吸収量を測定し、上記の数式から生理食塩液吸収
率を求めた。その結果、1時間目は42g/g、2時間
目は50g/g、3時間目は49g/g、そして4時間
目は48g/gであった。
【0046】《実施例 2》 (1) 実施例1の(2)で得られたアルギン酸ゲルを
生理食塩液(大塚製薬製)で充分に洗浄し、その後注射
用水で洗浄した。洗浄後のアルギン酸ゲルを凍結乾燥し
た後、25kGyのγ線照射により滅菌して医療用手当
材とした。 (2) 上記(1)で得られた医療用手当材の一部を量
りとり、実施例1の(4)と同様にしてそのカルシウム
含有率を求めたところ0%であり、カルシウム分を全く
含有していなかった。 (3) 上記(1)で得られた医療用手当材の一部を量
りとり、実施例1の(5)と同様に減圧乾燥して、その
水分含有率を実施例1の(5)と同様にして上記した数
式にしたがって求めたところ4.5重量%であった。 (4) 上記(1)で得られた医療用手当材について、
その生理食塩液吸収率を実施例1の(6)と同様にして
上記の数式にしたがって求めたところ、1時間目は2
9g/g、2時間目は33g/g、3時間目は41g/
g、そして4時間目は45g/gであった。
【0047】《実施例 3》 (1) アルギン酸ナトリウム(フナコシ株式会社製、
M/G値1.0)の1重量%水溶液(粘度550cp,
20℃)30mlに、ロイシンベンジルエステルトシレ
イト[(株)ペプチド研究所製]0.2g、および1−エ
チル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジ
イミド塩酸塩[(株)ペプチド研究所製]0.11gを
溶解し、得られた溶液を10cm×10cmのテフロン
被覆トレイに流延し25℃で48時間静置して、アルギ
ン酸ゲルを形成させた。 (2) 上記(1)で得られたアルギン酸ゲルを、まず
2.5mMの塩化カルシウムと143mMの塩化ナトリ
ウムを溶解した注射用水(大塚製薬製)で充分に洗浄
し、その後塩化カルシウムおよび塩化ナトリウムを含ま
ない前記の注射用水で洗浄した。洗浄後のアルギン酸ゲ
ルを凍結乾燥した後、25kGyのγ線照射により滅菌
して医療用手当材とした。 (3) 上記(2)で得られた医療用手当材の一部を量
りとり、実施例1の(4)と同様にしてそのカルシウム
含有率を求めたところ1.5%であり、このカルシウム
分は上記(2)の洗浄工程でアルギン酸ゲル中に取り込
まれたものであった。 (4) 上記(2)で得られた医療用手当材の一部を量
りとり、実施例1の(5)と同様に減圧乾燥して、その
水分含有率を実施例1の(5)と同様にして上記した数
式にしたがって求めたところ3.8重量%であった。 (5) 上記(2)で得られた医療用手当材について、
その生理食塩液吸収率を実施例1の(6)と同様にして
上記の数式にしたがって求めたところ、1時間目は2
3g/g、2時間目は27g/g、3時間目は25g/
g、そして4時間目は24g/gであった。
【0048】《実施例 4》 (1) アルギン酸ナトリウム(フナコシ株式会社製、
M/G値1.0)の1重量%水溶液(粘度550cp,
20℃)30mlと、1重量%のキトサンを溶解した2
%酢酸水溶液30mlを混合した後、速やかに10cm
×10cmのテフロン被覆トレイに流延し25℃で48
時間静置して、アルギン酸ゲルを形成させた。このアル
ギン酸ゲルを60℃で48時間熱風乾燥した後、25k
Gyのγ線照射により滅菌して医療用手当材とした。 (2) 上記(1)で得られた医療用手当材の一部を量
りとり、実施例1の(4)と同様にしてそのカルシウム
含有率を求めたところ0重量%であり、カルシウム分を
全く含有していなかった。 (3) 上記(1)で得られた医療用手当材の一部を量
りとり、実施例1の(5)と同様に減圧乾燥して、その
水分含有率を実施例1の(5)と同様にして上記した数
式にしたがって求めたところ8.6重量%であった。 (4) 上記(1)で得られた医療用手当材について、
その生理食塩液吸収率を実施例1の(6)と同様にして
上記の数式にしたがって求めたところ、1時間目は4
5g/g、2時間目は60g/g、3時間目は61g/
g、そして4時間目は63g/gであった。
【0049】《比較例 1》 (1) 市販のアルギン酸塩系創傷被覆材(医療用手当
材)(ブリストルマイヤーズスクウィブ社製「カルトス
タット」)について、そのカルシウム含有率を実施例1
の(4)と同様にして求めたところ6.5重量%であっ
た。 (2) また、この市販の創傷被覆材について、その水
分含有率を実施例1の(5)と同様にして上記した数式
にしたがって求めたところ3.5重量%であった。 (3) さらに、この市販の創傷被覆材について、その
生理食塩液吸収率を実施例1の(6)と同様にして上記
の数式にしたがって求めたところ、1時間目は13g
/g、2時間目は12g/g、3時間目は12g/g、
そして4時間目は12g/gであった。
【0050】《比較例 2》 (1) 市販のポリウレタンフォーム系創傷被覆材(医
療用手当材)(スミスアンドネヒュー社製「アレビン」)
について、そのカルシウム含有率を実施例1の(4)と同
様にして求めたところ0重量%であった。 (2) また、この市販の創傷被覆材について、その水
分含有率を実施例1の(5)と同様にして上記した数式
にしたがって求めたところ0.5重量%であった。 (3) さらに、この市販の創傷被覆材について、その
生理食塩液吸収率を実施例1の(6)と同様にして上記
の数式にしたがって求めたところ、1時間目は2.4
g/g、2時間目は2.6g/g、3時間目は2.8g
/g、そして4時間目は3.0g/gであった。
【0051】《試験例 1》 (1) 実施例1の医療用手当材[実施例1の(3)で
得られた医療用手当材;以下同様]、実施例2の医療用
手当材[実施例2の(1)で得られた医療用手当材;以
下同様]、および比較例1の市販の医療用手当材をそれ
ぞれ0.2g量りとり、各々を牛胎児血清を10重量%
の割合で含有するイーグルの最小必須培地(10%FC
S-MEM)(日水製薬社製)40ml中に入れて、5
%炭酸ガス存在下に37℃の温度で24時間静置した。
その後上澄み液を5μmフィルター(ミリポア社製「マ
イレクスSV」)で濾過して濾液を採取して試験液とし
た。 また、医療用手当材を加えないで上記した10%FCS
-MEMを用いて同様に処理して空試験液とした。 (2) 10%FCS-MEMで継代維持しているL9
29細胞(大日本製薬株式会社より入手した「NCTC
CLONE 929」)を、0.25%トリプシン(D
IFCO社製,1:250)・リン酸塩緩衝液(0.1
4Mの食塩を含む10mMリン酸塩緩衝液;pH7.
4)と0.02%EDTA・リン酸塩緩衝液で分散させ
た後、位相差顕微鏡により生細胞数を数えた。10%F
CS-MEMで細胞を順次希釈し、最終濃度2×102
/mlに調整した。これを、10%FCS-MEMを5
mlずつ分注した直径6cmのシャーレ(ファルコン社
製「3002])に1mlずつ添加し(試験液および空
試験液ともシャーレを10枚ずつ使用)、5%炭酸ガス
存在下に37℃で7日間培養した。
【0052】(3) 培養後、上澄みを静かに除去し、
メタノール(和光純薬工業株式会社製;特級)を5ml
ずつ静かに分注した。室温で30分間静置して細胞を固
定した。メタノールを捨て、リン酸塩緩衝液(pH7.
4)で10倍に希釈したギムザ染色液(メルク社製)を
5mlずつ分注した。室温で30分間静置した後、精製
水で数回洗浄し、ついで乾燥して50個以上の細胞から
なるコロニーの数を数えた。 (4) その結果、空試験液におけるコロニー数を10
0としたときに、実施例1の医療用手当材を加えた試験
液のコロニー数は99.7および実施例2の医療用手当
材を加えた試験液のコロニー数は94.7であり、一方
比較例1の医療用手当材を加えた試験液のコロニー数は
0.0であった。 (5) 上記(4)の結果から、実施例1および実施例
2の医療用手当材は、L929細胞に対して細胞毒性を
殆ど示さず、L929細胞を円滑に増殖し得るのに対し
て、比較例1の医療用手当材はL292細胞に対する細
胞毒性が強く、L929細胞の増殖を阻害することがわ
かる。
【0053】《試験例 2》 (1) 国内産の雄ブタ2匹の背部に直径2.5cmの
円形の全層欠損創をそれぞれ9個作製し、前記の欠損創
に、一辺が2.5cmの正方形の実施例1の医療用手当
材、実施例2の医療用手当材、および比較例1の市販の
医療用手当材の各3カ所ずつ、18日間に亙って貼付し
た。 (2) 貼付18日後に医療用手当材を剥離して創傷部
の治癒状態を肉眼で観察したところ、実施例1の医療用
手当材を貼付した創の創閉鎖率は100%(6/6)、
実施例2の医療用手当材を貼付した創の創閉鎖率は67
%(4/6)、そして比較例1の医療用手当材を貼付し
た創の創閉鎖率は50%(3/6)であった。 (3) また、貼付18日後に医療用手当材を剥離した
それぞれの創部の組織を固定染色後に顕微鏡で観察した
ところ、実施例1および実施例2の医療用手当材を貼付
した箇所では異物の残存、異物巨細胞は全く観察されな
かった。これに対して、比較例1の医療用手当材を貼付
した箇所ではアルギン酸塩繊維が創部組織中に取り込ま
れており、しかも異物巨細胞が多数存在した。 (4) したがって、この試験例2の結果から、実施例
1および実施例2の本発明の医療用手当材は、従来市販
のアルギン酸塩系の医療用手当材(創傷被覆材)に比べ
て、創傷部の治癒促進効果において大幅に優れているこ
とがわかる。
【0054】
【発明の効果】本発明のアルギン酸ゲルはそのゲル化を
カルシウム分によって行っておらず、カルシウム含有率
がゼロであるかまたは極めて少ないので、そのようなア
ルギン酸ゲルから主としてなる本発明の医療用手当材
は、細胞毒性が低く、患部に施したときに正常細胞を円
滑に増殖させることができて、創傷などの治癒効果が極
めて高い。特に、水分含有率が10重量%以下である本
発明の医療用手当材および生理食塩液吸収率が20〜6
0g/gである本発明の医療用手当材は、創傷部などか
らの浸出液の吸収性および保持性に優れているので、医
療用手当材の交換回数が少なくてすみ、医療用手当材の
交換に伴う患者の苦痛、看護の手間、患部へのダメージ
の低減、細菌感染の防止などをはかることができ、医療
用手当材中に患部からの浸出液中に含まれる治癒促進因
子を医療用手当材中に良好に保持しながら、患部の治癒
を促進することができる。
【0055】さらに、本発明の医療用手当材は柔軟性、
透明性、機械的特性に優れるので、患部に対する物理的
な刺激が少なく、患部によく密着させることができ、患
部の状態を外部から簡単に観察することができ、しかも
取り扱い性に優れている。また、本発明の医療用手当材
は、オートクレーブなどによっても湿熱蒸気滅菌を行う
ことができるので、その場合には安全性の高い医療用手
当材を提供することができる。本発明の医療用手当材
は、擦過創、切創、挫創などの一般外傷;採皮創、削皮
創などの手術創;熱傷;潰瘍;褥瘡;前記以外の各種の
創傷に対して、その治療のために有効に使用することが
できる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウム含有率が2.5重量%以下で
    あって且つゲル化がカルシウム分によらないでなされて
    いるアルギン酸ゲルから主としてなることを特徴とする
    医療用手当材。
  2. 【請求項2】 アルギン酸ゲルのカルシウム含有率が
    1.7重量%以下である請求項1の医療用手当材。
  3. 【請求項3】 (A)アルギン酸および/またはその水
    溶性の塩と、ジアミンおよび/またはポリアミンとの反
    応生成物からなるアルギン酸ゲル;並びに、(B)アル
    ギン酸における水酸基および/またはカルボキシル基の
    少なくとも一部を疎水性基に変性した生成物からなるア
    ルギン酸ゲル;のうちの少なくとも1種から主としてな
    ることを特徴とする医療用手当材。
  4. 【請求項4】 アルギン酸ゲル(A)が、(A1) ア
    ルギン酸および/またはその水溶性の塩と、下記の一般
    式(I); 【化1】 R1HN−(CH2)m−NHR2 (I) [式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素または
    式;−COCH(NH2)−(CH2)n−NH2(式中
    nは2〜8の整数)で表される基、そしてmは1〜18
    の整数を示す]で表される化合物との反応生成物からな
    るゲル;および(A2) アルギン酸および/またはそ
    の水溶性の塩と、2個以上のアミノ基および/またはイ
    ミノ基を有する重合体との反応生成物からなるゲル;の
    うちの少なくとも1種である請求項3の医療用手当材。
  5. 【請求項5】 アルギン酸ゲル(B)が、アルギン酸に
    おける水酸基および/またはカルボキシル基の少なくと
    も一部を、炭化水素基を有する疎水性基に変性したもの
    である請求項3の医療用手当材。
  6. 【請求項6】 アルギン酸ゲルの水分含有率が10重量
    %以下である請求項1〜5のいずれか1項の医療用手当
    材。
  7. 【請求項7】 生理食塩液吸収率が20〜60g/gで
    ある請求項1〜6のいずれか1項の医療用手当材。
  8. 【請求項8】 アルギン酸および/またはその水溶性の
    塩と、ジアミンおよび/またはポリアミンとの反応生成
    物よりなるアルギン酸ゲル。
  9. 【請求項9】 ジアミンおよび/またはポリアミンが、
    (a1) 下記の一般式(I); 【化2】 R1HN−(CH2)m−NHR2 (I) [式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素または
    式;−COCH(NH2)−(CH2)n−NH2(式中
    nは2〜8の整数)で表される基、そしてmは1〜18
    の整数を示す]で表される化合物;および(a2) 2
    個以上のアミノ基および/またはイミノ基を有する重合
    体;のうちの少なくとも1種である請求項8のアルギン
    酸ゲル。
  10. 【請求項10】 アルギン酸における水酸基および/ま
    たはカルボキシル基の一部を疎水性の基に変性した生成
    物よりなるアルギン酸ゲル。
  11. 【請求項11】 アルギン酸における水酸基および/ま
    たはカルボキシル基の一部を、炭化水素基を有する疎水
    性基に変性したものである請求項10のアルギン酸ゲ
    ル。
JP8111893A 1996-04-09 1996-04-09 医療用手当材 Pending JPH09278803A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8111893A JPH09278803A (ja) 1996-04-09 1996-04-09 医療用手当材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8111893A JPH09278803A (ja) 1996-04-09 1996-04-09 医療用手当材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09278803A true JPH09278803A (ja) 1997-10-28

Family

ID=14572786

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8111893A Pending JPH09278803A (ja) 1996-04-09 1996-04-09 医療用手当材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09278803A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000198738A (ja) * 1998-10-27 2000-07-18 Kuraray Co Ltd 神経再生用材料
EP1120428A2 (en) * 2000-01-24 2001-08-01 Kuraray Co., Ltd. Water-swellable polymer gel and process for preparing the same
JP2002529549A (ja) * 1998-11-11 2002-09-10 アクイジティオ ソチエタ ペル アツィオニ カルボキシル化多糖の架橋方法
JP2005075815A (ja) * 2003-09-03 2005-03-24 Masao Tanihara 止血性組織修復材
WO2008105452A1 (ja) * 2007-02-28 2008-09-04 Tokuyama Dental Corporation 歯科用アルジネート印象材と印象用トレーとの接着剤およびそれを含むキット
JP2009254292A (ja) * 2008-04-17 2009-11-05 Tosoh Corp 細胞融合装置及び細胞融合方法
JP2010057905A (ja) * 2008-08-08 2010-03-18 Tokuyama Dental Corp アルジネート印象材と印象用トレーとの接着剤
JP5155294B2 (ja) * 2007-06-29 2013-03-06 株式会社トクヤマデンタル 歯科用アルジネート印象材と印象用トレーとの接着剤およびそれを含むキット
CN113574096A (zh) * 2019-02-04 2021-10-29 日清纺控股株式会社 疏水性海藻酸粒子群及其制造方法
CN114437246A (zh) * 2022-02-18 2022-05-06 山东海基生物科技有限公司 一种提高海藻酸钠粘度的方法

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4531887B2 (ja) * 1998-10-27 2010-08-25 株式会社クラレ 神経再生用材料
JP2000198738A (ja) * 1998-10-27 2000-07-18 Kuraray Co Ltd 神経再生用材料
JP2002529549A (ja) * 1998-11-11 2002-09-10 アクイジティオ ソチエタ ペル アツィオニ カルボキシル化多糖の架橋方法
EP1120428A2 (en) * 2000-01-24 2001-08-01 Kuraray Co., Ltd. Water-swellable polymer gel and process for preparing the same
EP1120428A3 (en) * 2000-01-24 2001-08-22 Kuraray Co., Ltd. Water-swellable polymer gel and process for preparing the same
US6486285B2 (en) 2000-01-24 2002-11-26 Kuraray Co., Ltd. Water-swellable polymer gel and process for preparing the same
KR100721752B1 (ko) * 2000-01-24 2007-05-25 쿠라레 메디카루 가부시키가이샤 수팽윤성 고분자 겔 및 그 제조법
JP2005075815A (ja) * 2003-09-03 2005-03-24 Masao Tanihara 止血性組織修復材
US8686065B2 (en) 2007-02-28 2014-04-01 Tokuyama Dental Corporation Adhesive agent for adhesion between alginate impression material and impression tray for dental applications, and kit comprising the adhesive agent
WO2008105452A1 (ja) * 2007-02-28 2008-09-04 Tokuyama Dental Corporation 歯科用アルジネート印象材と印象用トレーとの接着剤およびそれを含むキット
JP5155294B2 (ja) * 2007-06-29 2013-03-06 株式会社トクヤマデンタル 歯科用アルジネート印象材と印象用トレーとの接着剤およびそれを含むキット
JP2009254292A (ja) * 2008-04-17 2009-11-05 Tosoh Corp 細胞融合装置及び細胞融合方法
JP2010057905A (ja) * 2008-08-08 2010-03-18 Tokuyama Dental Corp アルジネート印象材と印象用トレーとの接着剤
CN113574096A (zh) * 2019-02-04 2021-10-29 日清纺控股株式会社 疏水性海藻酸粒子群及其制造方法
CN113574096B (zh) * 2019-02-04 2024-05-28 日清纺控股株式会社 疏水性海藻酸粒子群及其制造方法
CN114437246A (zh) * 2022-02-18 2022-05-06 山东海基生物科技有限公司 一种提高海藻酸钠粘度的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3107726B2 (ja) 水膨潤性高分子ゲル
US11744926B2 (en) Anti-adhesive barrier membrane using alginate and hyaluronic acid for biomedical applications
EP0712635B1 (en) Medical polymer gel
US20180022833A1 (en) Microspheres of Hydrolysed Starch with Endogenous, Charged Ligands
JP4986273B2 (ja) アルギン酸を含む創傷被覆材
US20190202998A1 (en) Visible light-curable water-soluble chitosan derivative, chitosan hydrogel, and preparation method therefor
US20070009580A1 (en) Non-adhesive hydrogels
US10836872B2 (en) Visible light-curable water-soluble chitosan derivative, chitosan hydrogel, and preparation method therefor
JP6716841B2 (ja) 止血材
US11938230B2 (en) Hemostatic material and wound dressing containing same
JPH09278803A (ja) 医療用手当材
CN115400260A (zh) 一种含重组人源化胶原蛋白的修复凝胶及其制备方法
CN112007201B (zh) 一种可粘附抗菌止血海绵及其制备方法
JP3492951B2 (ja) 医療用高分子ゲル
CN111875822A (zh) 一种应用于整形外科的双组分交联复合材料及其制备方法
WO2023206055A1 (zh) 丝素蛋白的改性及应用
RU2372944C2 (ru) Покрытие для лечения ран
KR102271980B1 (ko) 콜라겐-알지네이트 창상피복재 및 이의 제조방법
CN112957519A (zh) 用于制备促进创口愈合的水凝胶的组合物、水凝胶及其制备方法
JP2005075815A (ja) 止血性組織修復材
RU2807892C1 (ru) Местное гемостатическое средство
JP2006272002A (ja) 医療用手当材
CN114832144A (zh) 广谱抗菌抗氧化丝素蛋白创可贴及其制备和应用
CN118416289A (zh) 一种用于吻合口的可吸收封合胶及其制备方法和应用

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070116

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070522