JPH09272312A

JPH09272312A - 重荷重用空気入りタイヤ

Info

Publication number: JPH09272312A
Application number: JP8082862A
Authority: JP
Inventors: Osamu Takahashi; 修高橋; Keita Rachi; 啓太良知
Original assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Current assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date: 1996-04-04
Filing date: 1996-04-04
Publication date: 1997-10-21

Abstract

(57)【要約】【課題】サイプの底にクラックが発生するのを抑制す
ると共に、ブロック前後の耐偏摩耗性にも優れた重荷重
用空気入りタイヤを提供する。【解決手段】トレッド面１にタイヤ周方向Ｔに延びる
主溝２を設けると共にタイヤ幅方向に延びる横溝３を配
置し、それら主溝２と横溝３により多数のブロック４を
形成し、それらブロック４にタイヤ幅方向に延びるスト
レート状のサイプ５を成形した重荷重用空気入りタイヤ
において、少なくともトレッドセンター部のブロック４
Ａに配置されたサイプ５における幅を、サイプ５の両端
部５ａを含めた少なくとも３か所でトレッド面１からサ
イプ底５ｃまで幅広にしたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、トラックやバス等
に用いられる重荷重用空気入りタイヤに関し、更に詳し
くは、ブロックにタイヤ幅方向に延びるストレート状の
サイプを設けた、特にスタッドレスタイヤとして用いら
れる重荷重用空気入りタイヤにおいて、サイプ底の耐ク
ラック性とブロック前後の耐偏摩耗性とを両立するよう
にした重荷重用空気入りタイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】トラックやバス等に用いられる重荷重用
空気入りタイヤでは、高い雪上及び氷上性能（制駆動
性）を確保するため、ブロックにタイヤ幅方向に延びる
ストレート状のサイプを設けるようにしている。このよ
うなスタッドレスタイヤは、近年、冬期シーズン終了後
もそのまま使用し続け、シーズンを通して使用する傾向
にある。

【０００３】そのため、冬期シーズン以外では、舗装さ
れた路面に直接タイヤが接触するので、ブロックに大き
な荷重が作用し、細いサイプの底に応力集中を招く。特
に、トレッドセンター部のブロックに高い荷重がかかる
ため、そこのブロックに配置されたサイプ底に高い応力
集中を来し、そのサイプ底両端からクラックが発生する
という問題があった。

【０００４】そこで、上記解決策として、トレッドセン
ター部のブロックに設けられたサイプの底全域にわたっ
て筒状の底広部を形成し、それによってサイプ底に応力
が集中するのを回避し、クラックを抑制する提案があ
る。しかし、このようにサイプ底に筒状の底広部を設け
ると、ブロックが座屈変形し易くなるため、ブロック前
後に偏摩耗が生じるという問題があった。

【０００５】また、サイプ底両端からクラックが発生す
るため、サイプ底の両端部にのみ、筒状の底広部を配置
する提案もある。これにより、サイプの中間部は同じ切
込み幅になっているので、ブロックが容易に座屈変形す
ることがなく、ブロック前後の耐偏摩耗性は良好である
が、しかし、そうすると今度はサイプ底の中央部からク
ラックが発生するという問題があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、少な
くともトレッドセンター部のブロックにタイヤ幅方向に
延びるストレート状のサイプを設けた制駆動性に優れた
重荷重用空気入りタイヤにおいて、サイプの底にクラッ
クが発生するのを抑制すると共に、ブロック前後の耐偏
摩耗性にも優れた重荷重用空気入りタイヤを提供するこ
とにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の重荷重用空気入りタイヤは、トレッド面にタイヤ周
方向に延びる主溝を設けると共にタイヤ幅方向に延びる
横溝を配置し、それら主溝と横溝により区画された多数
のブロックを形成し、該ブロックにタイヤ幅方向に延び
るストレート状のサイプを成形した重荷重用空気入りタ
イヤにおいて、少なくともトレッドセンター部のブロッ
クに配置されたサイプにおける幅を、該サイプの両端部
を含めた少なくとも３か所でトレッド面からサイプ底ま
で幅広にしたことを特徴とする。

【０００８】また、本発明の他の重荷重用空気入りタイ
ヤは、トレッド面にタイヤ周方向に延びる主溝を設ける
と共にタイヤ幅方向に延びる横溝を配置し、それら主溝
と横溝により区画された多数のブロックを形成し、該ブ
ロックにタイヤ幅方向に延びるストレート状のサイプを
成形した重荷重用空気入りタイヤにおいて、少なくとも
トレッドセンター部のブロックに配置されたサイプの底
側部をその底面が離間する複数の底側部分から構成し、
かつ該底側部分を交互にタイヤ周方向逆向きとなるよう
に傾斜させたことを特徴とする。

【０００９】上記のようにタイヤ幅方向に延びるストレ
ート状のサイプの底幅を、クラックが発生し易いサイプ
底両端部と、その間の中間部の少なくとも３か所で幅広
にしたことにより、ブロックに大きな荷重が加わって
も、その幅を広くしたサイプの底面に従来の細いサイプ
のような大きな応力が集中するのを回避させることがで
きるため、サイプ底にクラックが容易に発生することが
ない。

【００１０】また、サイプの幅を少なくとも３か所でト
レッド面からサイプ底まで幅広に形成することにより、
細いサイプの切込み幅の箇所を維持しながら、サイプの
深さ方向において、ブロックが屈曲し易くなるような変
曲点が何ら存在しないので、ブロックが容易に座屈変形
することがない。そのため、ブロック前後における耐偏
摩耗性も良好である。

【００１１】一方、サイプの底側部を底面が離間した複
数の底側部分から構成し、それらを交互にタイヤ周方向
逆向きとなるように傾斜する配置にしたことにより、サ
イプの底面を分断してタイヤ周方向の前後に分散させる
ようにするので、ブロックに大きな荷重が作用しても、
サイプの底面に高い応力が集中することがない。従っ
て、サイプ底の耐クラック性を良好にすることができ
る。

【００１２】また、サイプの底側部分を交互に逆向きに
傾斜させるだけでよく、細い切込み状のサイプの幅を局
部的に大きくするようなことがないので、ブロックの座
屈変形が容易に起こることがない。そのため、ブロック
前後における良好な耐偏摩耗性を確保することができ
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付
の図面を参照しながら詳細に説明する。図１は本発明の
重荷重用空気入りタイヤの一例を示し、１はトレッド面
で、このトレッド面１にはタイヤ周方向Ｔに沿って延び
る複数（図では７本）の主溝２が設けられると共に、タ
イヤ幅方向に延びる複数の横溝３が配設され、それら主
溝２と横溝３により多数のブロック４が区画形成されて
いる。

【００１４】各ブロック４には、そのタイヤ周方向中央
部に、タイヤ幅方向に延び両端が主溝２に連通するスト
レート状のサイプ５が１本形成されている。タイヤ両外
側から２番目の主溝２Ａ間に位置するトレッドセンター
部１Ａには、４列のブロック列が配置され、それらの各
ブロック４Ａには、サイプ５の前後に各１本のブロック
幅の１／２よりも短いサイプ６が設けられている。これ
らサイプ５，６は、タイヤ径方向に沿って切込まれ、そ
の深さは主溝２よりも浅くなっている。

【００１５】タイヤ赤道線ＣＬ上に配置された中央の主
溝２Ｂに面する両ブロック列の各ブロック４A₁に形成さ
れたサイプ６はその一端が主溝２Ｂに連通している。２
番目の主溝２Ａに面する各ブロック列の各々のブロック
４A₂に形成されたサイプ６はその一端が主溝２Ａに連通
するようになっている。７はタイヤ両外側から３番目の
主溝２Ｃにそれぞれ設けれた細リブ、８はタイヤ両外側
の主溝２Ｄに沿って設けられた小ブロックである。

【００１６】本発明では、上記のようにタイヤ幅方向に
延びるストレート状のサイプ５を設け、雪氷上での制駆
動性を高めるようにした重荷重用空気入りタイヤにおい
て、少なくともトレッドセンター部１Ａのブロック４Ａ
に配置されたサイプ５が、図２に示すように、その幅
を、サイプ５の両端部５ａと中央部５ｂの３か所でトレ
ッド面１からサイプ底５ｃまで略同じ幅広に形成され、
広幅部５Ａになっている。この広幅部５Ａの底面は円弧
状に形成され、これら各広幅部５Ａ間（２か所）には、
トレッド面１からサイプ底５ｃまで幅の狭い切込み状の
狭幅サイプ部５Ｂが位置している。

【００１７】このようにタイヤ幅方向に延設したストレ
ート状のサイプ５において、クラックが発生するサイプ
底の両端部５ａとその間の中央部５ｂとの３か所を幅広
にしたので、ブロック４に大きな荷重が作用しても、サ
イプ５の底面に応力を分散させ、高い応力集中を招くの
を回避することができ、それによってサイプ底にクラッ
クが発生するのを防ぐことができる。

【００１８】また、広幅部５Ａをトレッド面１からサイ
プ底５ｃまで幅広に形成する一方、各広幅部５Ａ間に
は、底まで幅の狭い切込み状の従来同様の狭幅サイプ部
５Ｂが位置するので、そのサイプ５により前後に区分さ
れるブロック４が屈曲し易くなるような変曲点を形成す
ることがなく、そのため、ブロック４が容易に座屈変形
せず、ブロック前後における耐偏摩耗性を良好にするこ
とができる。

【００１９】上記広幅部５Ａは、図２では、その幅Ｗ’
を狭幅サイプ部５Ｂの幅（サイプ５の幅）Ｗに対し、
Ｗ’＝２Ｗの関係にしてあり、これによってサイプを成
形する金型のサイプ成形刃を広幅部５Ａに対応する箇所
を折り曲げ形状にすることで、容易にサイプ成形刃を構
成することができるが、その幅Ｗ’は、ブロック４の大
きさやサイプ５を配置する間隔により適宜設定すること
ができる。

【００２０】また、図２では、サイプ５の両端部５ａに
設けられた両広幅部５Ａが、タイヤ周方向の一方側に凸
となるように幅広に形成される一方、中央部５ｂの広幅
部５Ａは、タイヤ周方向の他方側に凸となるよう形成さ
れ、広幅部５Ａの偏りを少なくしてブロックの耐偏摩耗
性により配慮した配置にしたが、これに限定されず、広
幅部５Ａを共に同じ方向に凸となるようにしてもよく、
更に、広幅部５Ａをサイプ５のタイヤ周方向両側に同じ
割合で凸となるようにしてもよい。

【００２１】また、広幅部５Ａは、上記実施形態のよう
に、サイプ５の両端部５ａと中央部５ｂの３か所に均等
的に配置するのが好ましいが、それに限定されることが
なく、サイプ５の両端部５ａを含めたその中間部分との
少なくとも３か所に広幅部５Ａを形成するようにして
も、上記と同様の効果を得ることができる。図３は、本
発明の重荷重用空気入りタイヤに用いられる他のサイプ
の例を示す。この実施形態では、上記のようなサイプ形
状に代えて、サイプ５が、その底側部５Ｍをその底面が
離間する複数の底側部分５M1から構成されている。これ
らの各底側部分５M1は、交互にタイヤ周方向逆向きとな
るように（サイプ５の切込み方向に対し逆向きに）傾斜
させた傾斜部に形成されている。サイプ底面は、タイヤ
幅方向で分断されると共に、それら分断されたサイプ底
面５ｎは、サイプ５の切込み方向に対して、タイヤ周方
向の前後の２位置に交互に配置された構成になってい
る。底側部５Ｍは少なくとも３個の底側部分５M1から構
成するのがよい。図では、サイプ５の底側部５Ｍが５個
の底側部分５M1から構成され、両端部と中央部の各底側
部分５M1が、その底部をタイヤ周方向の一方側に向けて
同じ割合で傾斜する一方、両端部と中央部の底側部分に
挟まれた中間部の両底側部分５M1は、その底部をタイヤ
周方向の他方側に向けて同じ傾斜割合で傾斜するように
なっている。サイプ底面がタイヤ幅方向で５つに分断さ
れ、その分断された５つのサイプ底面５ｎがサイプ５の
切込み方向を中心にタイヤ周方向の前後で交互にタイヤ
幅方向に２列に並んでいる。

【００２２】このようにサイプ５の底面が離間する複数
の底側部分５M1を交互にタイヤ周方向逆向きとなるよう
に傾斜させる構成にすることにより、サイプ５の底面を
分断してタイヤ周方向の前後に分散させることができる
ので、ブロック４に大きな荷重が負荷された場合であっ
ても、分断されたサイプ底面５ｎに高い応力集中が作用
するのを避けることができ、そのため、サイプ底にクラ
ックが容易に発生することがない。

【００２３】また、サイプ５の底側部分５M1をサイプの
切込み方向に対し交互に逆向きに傾斜させるだけでよ
く、細いサイプ５の幅を局部的に広くするようなことが
ないため、従来の細い切込み幅のストレート状サイプを
設けた場合と同じようにブロック４が容易に座屈変形す
ることがなく、従って、ブロック前後の耐偏摩耗性を良
好にすることができる。

【００２４】

【実施例】タイヤサイズを１１Ｒ２２．５１４ＰＲで
共通にし、図１に示すトレッドパターンを有する試験タ
イヤＡ，Ｂをそれぞれ各５本作製した。試験タイヤＡ，
Ｂのトレッド面をタイヤ周上で前後に２分割し、試験タ
イヤＡ，Ｂの一方のトレッド面のセンター部に配置した
ブロックの両主溝に連通する各サイプの形状を一方の試
験タイヤＡが図２（実施例１）、他方の試験タイヤＢが
図３（実施例２）とする一方、図２の形状のサイプを配
置した試験タイヤＡの他方のトレッド面のセンター部に
配置したブロックの両主溝に連通する各サイプの形状
を、サイプ底全域にわたって筒状の底広部に形成（従来
例１）し、また、図３の形状のサイプを配置した試験タ
イヤＢの他方のトレッド面のセンター部に配置したブロ
ックの両主溝に連通する各サイプの形状を、サイプ底の
両端部にのみ、筒状の底広部を形成（従来例１）した。
サイプの深さは共に２０mmである。

【００２５】これら試験タイヤＡ，Ｂ各５本をリムサイ
ズ２２．５×７．５０のリムに装着し、空気圧を７００
kPa 、試験タイヤＡ５本を車両右側、試験タイヤＢ５本
を車両左側にして、１０ｔ積載した１０ｔの車両（２−
Ｄ・４）に取付け、以下に示す測定条件により、サイプ
底の耐クラック性及びブロック前後の耐偏摩耗性の評価
試験を行ったところ、表１に示す結果を得た。

【００２６】測定条件一般車道（高速路４０％、一般舗装路６０％）を３万km
走行後、各試験タイヤのサイプ底に発生したクラックの
数と、ブロック前後の摩耗量差を測定した。これらの数
値は、５本のタイヤの平均である。なお、１．５万km走
行時に、回転方向が変わらないように、左右の試験タイ
ヤを入替え、３万km走行した。

【００２７】

【表１】表１から明らかなように、本発明は、サイプ底にクラッ
クの発生がなく、また、ブロック前後における偏摩耗量
も小さく、サイプ底の耐クラック性及びブロック前後の
耐偏摩耗性に優れ、それらを両立させることができるの
が判る。

【００２８】

【発明の効果】上述のように本発明は、少なくともトレ
ッドセンター部のブロックにタイヤ幅方向に延びるスト
レート状のサイプを設けた制駆動性に優れた重荷重用空
気入りタイヤにおいて、そのサイプにおける幅を、該サ
イプの両端部を含めた少なくとも３か所でトレッド面か
らサイプ底まで幅広にし、或いは、サイプの底側部をそ
の底面が離間する複数の底側部分から構成し、その底側
部分を交互にタイヤ周方向逆向きとなるように傾斜させ
たので、ブロックに大きな荷重が加わっても、サイプ底
に高い応力集中が発生するのを回避し、サイプ底にクラ
ックが発生するのを抑制することができると共に、該サ
イプによりブロックが座屈変形することがないので、ブ
ロック前後における耐偏摩耗性も良好にすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の重荷重用空気入りタイヤの一例を示す
トレッド面の要部展開図である。

【図２】本発明の重荷重用空気入りタイヤに用いられる
サイプの形状を示し、（ａ）は要部斜視図、（ｂ）は要
部平面図である。

【図３】本発明の重荷重用空気入りタイヤに用いられる
サイプの他の形状を示し、（ａ）は要部斜視図、（ｂ）
は要部平面図である。

【符号の説明】１トレッド面１Ａトレッドセ
ンター部２主溝３横溝４，４Ａブロック５サイプ５Ａ広幅部５ａ両端部５ｂ中央部５ｃサイプ底５Ｍ底側部５M1 底側部分５ｎ底面Ｔタイヤ周方向

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】トレッド面にタイヤ周方向に延びる主溝
を設けると共にタイヤ幅方向に延びる横溝を配置し、そ
れら主溝と横溝により区画された多数のブロックを形成
し、該ブロックにタイヤ幅方向に延びるストレート状の
サイプを成形した重荷重用空気入りタイヤにおいて、少なくともトレッドセンター部のブロックに配置された
サイプにおける幅を、該サイプの両端部を含めた少なく
とも３か所でトレッド面からサイプ底まで幅広にした重
荷重用空気入りタイヤ。
【請求項２】前記サイプの幅を幅広にした広幅部を３
か所に設け、それら広幅部をサイプの両端部と中央部に
配置した請求項１記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項３】トレッド面にタイヤ周方向に延びる主溝
を設けると共にタイヤ幅方向に延びる横溝を配置し、そ
れら主溝と横溝により区画された多数のブロックを形成
し、該ブロックにタイヤ幅方向に延びるストレート状の
サイプを成形した重荷重用空気入りタイヤにおいて、少なくともトレッドセンター部のブロックに配置された
サイプの底側部をその底面が離間する複数の底側部分か
ら構成し、かつ該底側部分を交互にタイヤ周方向逆向き
となるように傾斜させた重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項４】前記底側部分を５個にした請求項３記載
の重荷重用空気入りタイヤ。