JPH09241595A - 表面保護フィルム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造された表面保護フィルムをロール状巻物
又はシート状で積層して保管しても、部分的に粘着力が
低下することがなく、被着体に貼り付けて使用した後に
剥がしても被着体に糊残りせず容易に剥離することがで
きる表面保護フィルムを提供する。 【解決手段】 ポリオレフィン樹脂からなる基材フイル
ムの片面に、一般式Ａ−Ｂ−Ａで表されるブロック共重
合体（但し、Ａはスチレン系重合体ブロック、Ｂはブタ
ジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、ま
たはそれらを水素添加して得られるオレフィン重合体ブ
ロックである）を主成分とし、これに粘着付与樹脂と、
ブリード性添加剤とが配合された粘着剤層が積層されて
なる表面保護フィルムにおいて、粘着剤層又は基材フィ
ルムの露出したいずれかの表面に凹凸が設けられてな
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、合成樹脂板、化粧
合板、金属板、塗装鋼板などの表面に仮着し、塵の付着
や傷つきがないように、その表面を保護するのに使用す
る表面保護フィルムに関する。

【０００２】

【従来の技術】合成樹脂板、化粧合板、金属板、塗装鋼
板などの表面保護、即ち、を加工時や搬送時に傷付きや
汚れを防止するために表面保護フィルムが賞用されてい
る。表面保護フィルムは、熱可塑性樹脂や紙からなる基
材層の片面に粘着層が形成された構造であり、適度の粘
着力（仮着性）を有するとともに、使用後に各種被着体
の表面を粘着剤で汚染することなく容易に剥がすことが
できなければならない。

【０００３】この種の表面保護フィルムとして、一般式
Ａ−Ｂ−Ａで表されるブロック共重合体（但し、Ａはス
チレン系重合体ブロック、Ｂはブタジエン重合体ブロッ
ク、イソプレン重合体ブロック、またはそれらを水素添
加して得られるオレフィン重合体ブロックである）を主
成分とし、これに粘着付与樹脂と、脂肪酸アミド、ポリ
エチレンイミンアルキルカルバミド及びポリビニルアル
コールアルキルカルバミドの群から選ばれるブリード性
添加剤とが配合された粘着剤層が、ポリオレフィン樹脂
からなる基材フィルムの片面に積層されてなる表面保護
フィルムが提案されている（特願平６−１４６４００
号）。

【０００４】このものは、表面保護フィルムを溶融成膜
時の高温、製品をロール状巻物やシート状で保管中、及
び被着体に貼り付けた後で、粘着剤中のブリード性添加
剤が粘着剤からブリードすることにより接着昂進を抑
え、被着体から表面保護フィルムを剥がす際に糊残りや
粘着剤による汚染がなく、容易に剥がすことができると
するものである。

【０００５】また、特開平７−８９４６８号公報には、
表面保護フィルムに設けられた粘着剤層に凹凸を設け、
曲面形状の被着体に貼付される際に表面保護フィルムと
被着体との間に入る空気が抜け易くてされたものが記載
されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記特願平６−１４６
４００号で提案されているものは、製造された表面保護
フィルムをロール状巻物又はシート状で積層して保管す
る際、粘着剤層とこれに重なる基材フィルムとの界面に
部分的に気泡が巻き込まれていると、その部分だけがブ
リード性添加剤のブリードが促進されて表面の濃度が高
くなり、その部分の粘着力が特に低下して被着体に貼り
付けたとき、浮き上がりや剥離が発生するという問題が
ある。

【０００７】気泡の巻き込みを防止する方法として、表
面保護フィルムの製造時に、ロール状巻物とする場合は
巻取り部で、シート状積層物とする場合は積層するとき
にゴムロール等で押さえればよいと考えられる。しか
し、通常の押さえ圧力では気泡の巻き込みを防止するこ
とはできず、過度に圧力を与えるとフィルムの厚みの大
きい部分が過度に押さえられ、フィルムが部分的に伸び
るという問題がある。

【０００８】また、特開平７−８９４６８号公報に記載
のものは、表面保護フィルムと被着体との界面の空気が
抜け易くすることを目的とし、粘着力の低下を防止する
という手段ではない。

【０００９】本発明は上記従来の問題点を解消し、製造
された表面保護フィルムをロール状巻物又はシート状で
積層して保管しても、部分的に粘着力が低下することが
なく、被着体に貼り付けて使用した後に剥がしても被着
体に糊残りせず容易に剥離することができる表面保護フ
ィルムを提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の表面保護フィル
ムは、ポリオレフィン樹脂からなる基材フィルムの片面
に、一般式Ａ−Ｂ−Ａで表されるブロック共重合体（但
し、Ａはスチレン系重合体ブロック、Ｂはブタジエン重
合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、またはそれ
らを水素添加して得られるオレフィン重合体ブロックで
ある）を主成分とし、これに粘着付与樹脂と、ブリード
性添加剤とが配合された粘着剤層が積層されてなる表面
保護フィルムにおいて、粘着剤層又は基材フィルムの露
出したいずれかの表面に凹凸が設けられてなることを特
徴とするものである。

【００１１】本発明で使用されるポリオレフィン系の樹
脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エ
チレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフ
ィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチル
メタクリレート共重合体、エチレン−ｎブチルアクリレ
ート共重合体、ポリプロピレン（ホモポリマー、ランダ
ムコポリマー、ブロックコポリマー）等が挙げられる。
又、上記のものの任意の組合せによる混合物も使用でき
る。

【００１２】粘着剤の主成分である一般式Ａ−Ｂ−Ａで
表されるブロック共重合体（但し、Ａはスチレン系重合
体ブロック、Ｂはブタジエン重合体ブロック、イソプレ
ン重合体ブロック、またはそれらを水素添加して得られ
るオレフィン重合体ブロックである）には、副成分とし
て一般式Ａ−Ｂで表されるブロック共重合体が含まれて
もよい。

【００１３】本発明で使用される粘着付与樹脂は、例え
ば、脂肪族系石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン・イン
デン樹脂、芳香族系石油樹脂、ロジン樹脂、脂環族系石
油樹脂等が好適に用いられる。粘着付与樹脂の添加量は
１２０重量部を超えると粘着剤層の凝集力がなくなり、
被着体に糊残りするので１２０重量部以下とする。好ま
しくは１０〜１００重量部、さらに好ましくは１０〜６
０重量部である。

【００１４】ブリード性添加剤とは、表面保護フィルム
を被着体に貼り付けて剥がすまでの間の接着昂進を抑制
するために添加するものであり、長鎖アルキル基の導入
されたポリエチレンイミンやポリビニルアルコール、脂
肪酸アミド類が挙げられ、これらは単独または複数の組
合せで併用してもよい。

【００１５】長鎖アルキル基の導入されたポリエチレン
イミンやポリビニルアルコールは数平均分子量が１，０
００〜１００，０００の範囲であることが好ましい。数
平均分子量が１，０００未満ではブリード性が高すぎて
粘着力が低下するばかりで接着昂進の抑制効果がなく、
数平均分子量が１００，０００以上のものはブリード性
が低く、接着昂進の抑制効果がない。付加されるアルキ
ル基の炭素数は８以上のものが好ましく、７以下のもの
ではブリード性が低く、接着昂進の抑制効果がない。

【００１６】ポリエチレンイミンのイミノ基又はポリビ
ニルアルコールの水酸基に付加される長鎖アルキル基の
付加率は５０モル％以上のものが好ましい。５０モル％
未満ではブリード性が低く、接着昂進の抑制効果がな
い。

【００１７】脂肪酸アミドとしては、分子量が１，００
０以下で融点が１８０℃以下のものが好ましい。分子量
が１，０００を超えるとブリード性が低く、接着昂進の
抑制効果がない。融点が１８０℃を超えると押出し成形
時の熱では溶融しないのでブリード性がなく、接着昂進
の抑制効果がない。

【００１８】ブリード性添加剤の添加量は概ね０．１〜
５重量％の範囲であることが好ましい。０．１重量％未
満ではブリード量が不足し、接着昂進の抑制効果がな
い。また、５重量％を超えるとブリード量が過剰とな
り、粘着力の低下を招くことになる。

【００１９】本発明において使用される上記基材層、粘
着剤層には、更に必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防
止剤、着色顔料等が添加されてもよい。

【００２０】本発明において、基材フィルムに粘着剤層
を積層する方法は特に限定しないが、共押出成形による
方法が製造装置及び製造工程が簡単であり、積層強度が
高く、製造能率もよいので好ましい。

【００２１】本発明では、基材フィルムに粘着剤層が積
層された表面保護フィルムの露出した基材フィルムもし
くは粘着剤層の表面に凹凸が設けられる。凹凸を設ける
手段としては、溶融または半溶融状態で凹凸のついたロ
ールに押し当てる方法や、成膜時の条件（温度、溶融粘
度、層比、ライン速度、リップクリアランス等）により
メルトフラクチャーのような流動特性を利用して凹凸を
つける方法を用いることもできる。

【００２２】凹凸の形状は、該表面保護フィルムをロー
ル状巻物又はシート状積層物とした状態で、直径が２ｍ
ｍ以下の大きさである気泡が均一に入る程度のものが好
ましい。気泡の大きさが２ｍｍよりも大きいと、その部
分の粘着力低下の影響が大きく、被着体からの浮き上が
りや剥離が発生し易くなる。

【００２３】（作用）本発明は、ポリオレフィン樹脂か
らなる基材フィルムの片面に、一般式Ａ−Ｂ−Ａで表さ
れるブロック共重合体（但し、Ａはスチレン系重合体ブ
ロック、Ｂはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重
合体ブロック、またはそれらを水素添加して得られるオ
レフィン重合体ブロックである）を主成分とし、これに
粘着付与樹脂と、ブリード性添加剤とが配合された粘着
剤層が積層されてなる表面保護フィルムであり、粘着剤
層又は基材フィルムの露出したいずれかの表面に凹凸が
設けられてなるので、この表面保護フィルムをロール状
の巻物やシート状の積層物として保管しても重ねられた
界面の一部に気泡が集中せず、ブリード性添加剤のブリ
ード状態が均一に分散される。そのため全体に平均した
剥離性が得られ、又、被着体から剥離したとき糊残りな
く剥離することができる。

【００２４】

【発明の実施の形態】以下に本発明表面保護フィルムの
実施例を説明する。 （実施例１）粘着剤層としてスチレン−ブタジエン−ス
チレンブロック共重合体の水素添加物（ＳＥＢＳ）（シ
ェル化学社製 商品名：クレイトンＧ１６５７）１００
重量部に粘着付与樹脂（ト−ネックス社製、商品名：エ
スコレッツ５３００）１０重量部、ポリエチレンイミン
のオクタデシルイソシアネート付加物（日本触媒社製，
商品名「ＲＰ２０」，分子量１０，０００，アルキルイ
ソシアネート付加率７５モル％）１．５重量部を配合し
たものを金型温度１８０℃で厚み１０μｍで、基材フィ
ルムとして低密度ポリエチレン（三井石油化学社製，商
品名「ミラソン１２」，ＭＦＲ３．０）を厚み５０μｍ
で２層共押出成形により成膜し、エンボスロールを通過
させて粘着剤層面に凹凸を設けてロール状に巻き取っ
た。

【００２５】（実施例２）粘着剤のポリエチレンイミン
のオクタデシルイソシアネート付加物の代わりに、エチ
レンビスステアリルアミド（日本油脂社製，商品名「ア
ルフローＨ５０ＴＦ」，分子量５９２，融点１４３℃）
１．５重量部配合した以外は実施例１と同様にして表面
保護フィルムを得た。

【００２６】（実施例３）エンボスロールによる凹凸を
粘着剤層面でなく基材フィルムに設けた以外は実施例１
と同様にして表面保護フィルムを得た。

【００２７】（実施例４）基材フィルムの材料を線状低
密度ポリエチレン（三井石油化学社製，商品名「ウルト
ゼックス２０２１Ｌ」，ＭＦＲ２．１）とし、粘着剤層
にメルトフラクチャーによる凹凸を設けた以外は実施例
１と同様にして表面保護フィルムを得た。

【００２８】（実施例５）粘着剤としてスチレン−ブタ
ジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物（ＳＥ
ＢＳ）（シェル化学社製 商品名：クレイトンＧ１６５
７）１００重量部に粘着付与樹脂（ト−ネックス社製、
商品名：エスコレッツ５３００）１０重量部、粘着剤粘
度調整剤（理化ハーキュレス社製，商品名「エンデック
ス１５５」）２０重量部、ポリエチレンイミンのオクタ
デシルイソシアネート付加物（日本触媒社製，商品名
「ＲＰ２０」，分子量１０，０００，アルキルイソシア
ネート付加率７５モル％）１．５重量部を配合したもの
とし、粘着剤層面にメルトフラクチャーによる凹凸を設
けた以外は実施例１と同様にして表面保護フィルムを得
た。

【００２９】（比較例１）粘着剤層面にエンボスロール
による凹凸を設けない以外は実施例１と同様にして表面
保護フィルムを得た。このものはメルトフラクチャーに
よる凹凸もなく、基材フィルム、粘着剤層とも平滑な表
面であった。

【００３０】上記実施例１〜５及び比較例１で得た表面
保護フィルムをロール状巻物とし、これの気泡巻き込み
の有無、初期粘着力（製造３日後）、経時粘着力（初期
粘着力測定後４０℃で２週間後）を下記の方法で評価し
た。その結果を表１に示す。 （１）気泡巻き込みの有無 表面保護フィルム１ｍ² について直径５ｍｍ以上の気泡
の有無を目視で観察した。 （２）初期粘着力 表面保護フィルムの製造３日後に、ステンレス板（＃３
０４ＢＡ）を被着体としてＪＩＳ Ｚ−０２３７に準じ
て１８０度剥離力を測定した。 （３）経時粘着力 初期粘着力を測定した表面保護フィルムを４０℃で２週
間保管した後、初期粘着力と同様にして１８０度剥離力
を測定した。

【００３１】

【表１】

【００３２】表１から明らかなように、実施例１〜５の
ものは基材フィルム又は粘着剤層に凹凸が設けられてい
るので目視できる気泡はなく、経時粘着力の低下も少な
いが、比較例のものは凹凸がないので気泡が発生し、そ
の周辺で経時的に粘着力が著しく低下した。

【００３３】

【発明の効果】本発明表面保護フィルムの構成は以上の
とおりであり、製造された表面保護フィルムをロール状
巻物又はシート状で積層して保管しても、部分的に粘着
力が低下することがなく、被着体に貼り付けて使用した
後に剥がしても被着体に糊残りせず容易に剥離すること
ができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ０９Ｊ 7/02 ＪＫＥ Ｃ０９Ｊ 7/02 ＪＫＥ ＪＫＫ ＪＫＫ ＪＫＭ ＪＫＭ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポリオレフィン樹脂からなる基材フィル
   ムの片面に、一般式Ａ−Ｂ−Ａで表されるブロック共重
   合体（但し、Ａはスチレン系重合体ブロック、Ｂはブタ
   ジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、ま
   たはそれらを水素添加して得られるオレフィン重合体ブ
   ロックである）を主成分とし、これに粘着付与樹脂と、
   ブリード性添加剤とが配合された粘着剤層が積層されて
   なる表面保護フィルムにおいて、粘着剤層又は基材フィ
   ルムの露出したいずれかの表面に凹凸が設けられてなる
   ことを特徴とする表面保護フィルム。