JPH09235611A - 清浄性の高い極低硫純鉄の製造方法 - Google Patents

清浄性の高い極低硫純鉄の製造方法

Info

Publication number
JPH09235611A
JPH09235611A JP8042741A JP4274196A JPH09235611A JP H09235611 A JPH09235611 A JP H09235611A JP 8042741 A JP8042741 A JP 8042741A JP 4274196 A JP4274196 A JP 4274196A JP H09235611 A JPH09235611 A JP H09235611A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flux
molten steel
slag
desulfurization
aluminum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8042741A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Tanaka
宏 田中
Masabumi Ikeda
正文 池田
Tadaaki Hino
忠昭 日野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP8042741A priority Critical patent/JPH09235611A/ja
Publication of JPH09235611A publication Critical patent/JPH09235611A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 硫黄濃度が0.0010重量%未満、且つ、
全酸素濃度が0.0030重量%未満である高純度の純
鉄を大量に製造する方法を見出す。 【解決手段】 高炉から出銑され予備処理により脱硫・
脱燐された溶銑を転炉精錬し、転炉出鋼後に未脱酸状態
で除滓して脱酸した後に、脱硫し、その後減圧下で脱炭
し、脱炭後アルミニウムで脱酸する工程からなる純鉄の
製造方法において、脱硫工程後には脱硫時に生成したス
ラグを除滓し、除滓後にはアルミニウムでの脱酸工程終
了時にCaO−Al2 3 −SiO2 の3元系の組成に
換算して、CaOが44〜62重量%、Al2 3 が2
7〜46重量%、SiO2 が2〜20重量%の範囲内と
なる組成のフラックスを溶鋼上に添加し、且つ、脱炭工
程以後にはフラックス中の(T〔Fe〕+MnO)を3
重量%以下に保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、転炉精錬した溶
鋼を二次精錬にて脱硫・脱炭して、硫黄濃度が0.00
10重量%未満、且つ、全酸素濃度が0.0030重量
%未満の高純度の純鉄を大量に製造する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】純鉄は炭素、珪素、マンガン等の不純物
の含有量が少ないため、リレー用鉄心、ヨーク等の電気
・電子部品の素材、又は、真空再溶解炉等での特殊な合
金鋼製造用の鉄源として広く使用されている。そのなか
で、鉄鉱石を原料とした高炉、転炉による銑鋼一貫製鉄
所で製造される純鉄は大量生産が可能で安価なため、鉄
塩水溶液の電解によって得られる電解鉄より不純物が若
干多いにもかかわらず、大量に使用されている。
【0003】高炉、転炉での一貫製鉄法による純鉄の大
量製造方法は、高炉から出銑された溶銑を使用して、溶
銑段階での脱硫・脱燐と、転炉精錬と、転炉出鋼後の溶
鋼段階での脱炭・脱硫とを組み合わせ、不純物を極力低
減させる方法であり、その例が特開平6−145767
号公報(以下、「先行技術」という)に開示されてい
る。
【0004】先行技術による製造方法では、溶銑の脱硫
・脱燐の予備処理を行い、除滓した後、溶銑を転炉に装
入して精錬し、出鋼後、出鋼時流出した転炉スラグを除
滓して、上吹き酸素と粉体上吹きの可能なランスを有す
るRH脱ガス装置にて脱硫・脱炭・脱酸して溶製してい
る。そして、実施例によれば純鉄の成分は、炭素濃度:
0.0012重量%(以下、重量%を単に「%」と記
す)、硫黄濃度:0.0010%、全酸素濃度:0.0
080%である。
【0005】さて近年、鋼に対する需要家の要求は一段
と厳しくなり、従って、再溶解用の鉄源として使用する
純鉄でも、更に不純物の少ない、特に硫黄濃度が0.0
010%未満の極低硫化が要求されるようになった。
【0006】又、特殊な溶解装置では再溶解中に純鉄か
ら発生するスラグが、鋳造時に製品に混入して、品質を
劣化させるため、介在物の少ない、即ち全酸素濃度が
0.0030%未満である清浄性の高い純鉄が要求され
るようになった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、先行技
術にそった方法、即ち、溶銑の予備処理と、転炉精錬
と、取鍋精錬炉での脱硫と、その後のRH脱ガス装置で
の脱炭・脱酸とを組合せた工程からなる方法で純鉄を試
験製造した。
【0008】尚、銑鋼一貫製鉄法による鉄中の一般的な
不純物は、炭素、珪素、マンガン、硫黄、及び燐である
が、これら成分の内、硫黄だけが還元反応により除去さ
れ、他の成分は酸化反応で除去される。そのため、酸化
反応である脱炭工程後に還元反応である脱硫工程を施す
と、脱炭時に酸化物となった不純物が還元されて溶鋼に
戻るため、脱硫工程後に脱炭を実施した。
【0009】先行技術に沿って試験製造した結果、図3
の従来例に示すように取鍋精錬炉での脱硫直後では、硫
黄濃度は0.0003%程度まで低下するが、その後の
RH脱ガス装置での脱炭時に0.0012%まで上昇し
てしまい、硫黄濃度を安定して0.0010%未満に確
保することは困難であった。これは脱炭時において、溶
鋼上に存在するスラグから硫黄が溶鋼に戻る反応(以
下、これを「復硫」という)によるものであり、従っ
て、安定して硫黄濃度を0.0010%未満とするに
は、脱硫後の復硫を防止することが重要であることが判
った。
【0010】又、先行技術に沿って製造した鋳片の全酸
素濃度は0.005%程度と高く、0.0030%未満
を確保することは不可能であった。溶鋼は未脱酸の状態
で脱炭されるので、その後、脱酸が必要となり、アルミ
ニウムで脱酸する。全酸素濃度の高い理由は、アルミニ
ウムの脱酸工程で脱酸生成物として生成したAl2 3
が取鍋内のスラグに吸収されず溶鋼中に懸濁したこと
と、スラグ中のFeOやMnOと溶鋼中のアルミニウム
とが反応(以下、この反応を「再酸化」という)し、A
2 3 が継続的に生成されるためであり、従って、全
酸素濃度を低下するには、アルミニウム脱酸後は取鍋内
スラグをAl2 3 の吸収能が高く、且つ、スラグによ
る再酸化のない組成とすることが必要であることが判っ
た。
【0011】本発明は、上記の知見に基づいてなされた
もので、その目的とするところは極低硫で且つ全酸素濃
度が低く清浄性の高い純鉄を製造する方法を提供するも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明による純鉄の製造
方法は、高炉から出銑され予備処理により脱硫・脱燐さ
れた溶銑を転炉精錬し、転炉出鋼後に未脱酸状態で除滓
して脱酸した後に、脱硫し、その後減圧下で脱炭し、脱
炭後アルミニウムで脱酸する工程からなる純鉄の製造方
法において、脱硫工程後には脱硫時に生成したスラグを
除滓し、除滓後にはアルミニウムでの脱酸工程終了時に
CaO−Al2 3 −SiO2 の3元系の組成に換算し
て、CaOが44〜62%、Al2 3 が27〜46
%、SiO 2 が2〜20%の範囲内となる組成のフラッ
クスを溶鋼上に添加し、且つ、脱炭工程以後はフラック
ス中の(T〔Fe〕+MnO)を3%以下に保持したま
ま溶製を完了するものである。
【0013】硫黄濃度を下げるには、脱硫後の復硫を防
止することが重要である。本発明によれば、脱硫工程後
に脱硫時に生成した硫黄濃度の高いスラグを除滓するの
で、復硫の主原因となるスラグが除去され、復硫が大幅
に減少する。
【0014】しかし、除滓したからといっても完全にス
ラグを除去することは不可能であり、脱硫工程以後にお
いて残留したスラグ及び添加するフラックスに含有され
る硫黄分から復硫が起こる。そのため脱硫時に生成した
スラグの除滓後も、脱硫能を有するフラックスを添加し
て、溶鋼表面を覆い、復硫を防止する必要がある。
【0015】脱硫能は添加するフラックスの塩基度を上
げれば高くなるが、このフラックスには、Al2 3
吸収能が高いことが要求される。フラックスの塩基度を
上げれば、フラックスはアルミニウム脱酸工程の溶鋼温
度(1540℃程度)では凝固してしまう。凝固したフ
ラックスのAl2 3 吸収能は極めて低い。従って、ア
ルミニウム脱酸工程においてフラックスは液体状態で溶
鋼表面を覆っていることが要求される。このように、フ
ラックスが凝固しない範囲で塩基度の上限を決めなけれ
ばならない。
【0016】フラックス組成をCaO−Al2 3 −S
iO2 の3元系の組成に換算して、CaOが44〜62
%、Al2 3 が27〜46%、SiO2 が2〜20%
の範囲とすると、フラックスの融点は1500℃程度の
低融点であり、アルミニウム脱酸工程の溶鋼温度で充分
溶融状態である。又、塩基度も比較的高いので脱硫能も
有している。尚、フラックス組成をCaO−Al2 3
−SiO2 の3元系の組成に換算するという意味は、フ
ラックス組成中の他の成分を除き、CaO、Al
2 3 、SiO2 の3成分だけの和を100%として、
3成分の比率を求めたものである。
【0017】脱硫反応は還元反応であるので、フラック
ス中の酸素ポテンシャルを低下する程、同一塩基度のフ
ラックスにおいても脱硫能は高くなる。アルミニウム脱
酸終了時のフラックス組成をCaO−Al2 3 −Si
2 の3元系の組成に換算して、CaOが52%、Al
2 3 が34%、SiO2 が14%の一定組成とした場
合の、硫黄の分配比に及ぼすフラックス中の(T〔F
e〕+MnO)の影響を調査した結果を図4に示す。こ
こで、T〔Fe〕とはフラックス中の鉄酸化物の総量を
表すもので、分配比とはフラックス中の硫黄濃度(S)
を溶鋼中の硫黄濃度〔S〕で除した値である。
【0018】図4より(T〔Fe〕+MnO)が3%以
下ではフラックスは50〜80の分配比を保持するが、
3%を超えると低下することが判る。フラックスには初
期組成として0.05%程度の硫黄が含まれており、フ
ラックスを添加した後の溶鋼中硫濃度を0.0010%
未満に保持するためには、フラックスの分配比を50以
上確保しなければならない。そのためにはフラックス中
の(T〔Fe〕+MnO)を3%以下に保持する必要が
ある。
【0019】又、図5は溶鋼中の全酸素濃度に及ぼすア
ルミニウム脱酸工程後のフラックス中の(T〔Fe〕+
MnO)の影響を調査した結果を示す。図5より(T
〔Fe〕+MnO)が低い程、再酸化が防止されて全酸
素濃度が低くなることが判る。全酸素濃度を0.003
%未満に維持するには、フラックス中の(T〔Fe〕+
MnO)を3%以下に保持する必要がある。
【0020】
【発明の実施の形態】高炉から出銑された溶銑を、一般
的に行われている予備処理にて脱硫・脱燐し、これを転
炉に装入する。転炉精錬はフラックスを添加しないスラ
グレス精錬でも可能であるが、不純物を除去するために
フラックスを添加する方が望ましい。出鋼後、未脱酸の
状態で出鋼時流入した転炉スラグを除滓する。
【0021】次に、アルミニウム等の脱酸剤を添加して
脱酸し、その後脱硫を実施する。脱硫は脱硫剤であるフ
ラックスと溶鋼とを反応させ行う。脱硫は還元反応であ
るので、脱硫工程までに脱酸を実施する。溶鋼の温度低
下を補償するため、溶鋼加熱を必要により行う。
【0022】脱硫工程後、脱硫時に生成したスラグを除
滓する。除滓後、アルミニウム脱酸工程終了時にCaO
−Al2 3 −SiO2 の3元系の組成に換算して、C
aOが44〜62%、Al2 3 が27〜46%、Si
2 が2〜20%の範囲となる組成のフラックスを溶鋼
上に添加して、次の脱炭工程を開始する。フラックスは
予め所定の組成となるように合成したフラックスでも、
又、石灰、ボーキサイト、珪石等の原材料を所定の組成
となるように溶鋼上に直接添加しても、どちらでも構わ
ない。
【0023】脱炭工程は減圧下で行うので、真空排気装
置を有した精錬設備が必要である。脱炭工程は先ず脱硫
のために添加した鋼中の脱酸剤成分を除去する。脱酸剤
成分を除去しないと脱炭が起こらないからである。脱酸
剤成分の除去は酸素ガス、鉄鉱石、ミルスケール等の酸
素源と溶鋼とを反応させて行う。添加した酸素源が、鉄
及びマンガンを酸化してフラックス中の(T〔Fe〕+
MnO)が3%を超えないようにするためには、酸素源
は溶鋼中のアルミニウム及びシリコンと優先的に反応さ
せることが重要である。アルミニウム及びシリコンとの
優先反応は、酸素ポテンシャルを低く抑え、且つ過剰な
酸素量を添加しなければ達成される。具体的には溶鋼中
の溶解酸素濃度を0.030%以下に制御することで、
フラックス中の(T〔Fe〕+MnO)を3%以下とす
ることができる。
【0024】脱酸剤成分が除去され、溶解酸素濃度が上
昇して所定値となったなら、高真空下とし、溶解酸素と
炭素とのCO生成反応による脱炭を実施する。脱炭終了
後、アルミニウムを添加して溶鋼を脱酸して溶製を完了
し、その後、連続鋳造機等で鋳造して鋳片を得る。
【0025】
【実施例】高炉から出銑された溶銑を脱硫し、更に脱燐
し、炭素濃度が3.8%、硫黄濃度が0.004%、燐
濃度が0.004%の溶銑を得て、これを270トン転
炉に装入した。転炉は炉口から酸素ガスを、炉底から攪
拌用のArを吹き込んだ上下吹き転炉である。
【0026】スクラップからの不純物の持込みを防止す
るためには、溶銑配合率は高い程好ましく、本実施例で
は溶銑配合率を100%とし、又、副原料からの不純物
混入を防止するため、使用する石灰は硫黄分の少ない低
硫石灰として14トン転炉内に添加した。更に、転炉ス
ラグの低塩基度化による脱マンガンの促進のために、珪
石5トンと蛍石1トンを添加した後、転炉精錬した。炭
素濃度を0.02%まで吹き下げ、取鍋内に出鋼した。
出鋼後、未脱酸の状態で出鋼時流入した転炉スラグをス
ラグドラッガーにて除滓した。
【0027】次にアークによる溶鋼の加熱と不活性雰囲
気下での溶鋼とフラックスとの攪拌による精錬が可能な
取鍋精錬炉(以下、この取鍋精錬炉を「AP」とも記
す)にて、脱硫剤である低硫石灰を2.9トンと、脱硫
剤で且つ滓化促進剤でもある蛍石を1トン取鍋内の溶鋼
上に添加し、更にアルミニウム800kgを添加して溶
鋼を脱酸した。そして脱硫剤の溶解及び滓化促進と、脱
硫剤添加による溶鋼温度の低下を保証するため、アーク
加熱を実施した。その後、Arガスを取鍋底に設けたポ
ーラス煉瓦から350Nl/分で吹き込み、脱硫剤が滓
化し生成した脱硫スラグと溶鋼とを攪拌して脱硫した。
脱硫後の硫黄濃度は0.0003%であった。
【0028】脱硫終了後、一旦取鍋を取鍋精錬炉から外
し、スラグドラッガーにて取鍋内の脱硫スラグを除滓し
た。除滓後、取鍋を再度取鍋精錬炉に戻し、CaO−A
23 −SiO2 の3元系の組成に換算して、CaO
が81%、Al2 3 が14%、SiO2 が5%の組成
の合成フラックス3000kgを取鍋内溶鋼上に添加
し、取鍋底部のポーラス煉瓦からArガスを350Nl
/分吹き込みつつアーク加熱を実施して、合成フラック
スを滓化した。合成フラックスの滓化後、RH脱ガス装
置にて脱炭工程とアルミニウム脱酸工程を実施した。合
成フラックスの組成を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】RH脱ガス装置は、酸素ガスを真空槽内の
溶鋼面に吹き付けることが可能な上吹きランスを有して
いる。脱炭工程は、上吹きランスから溶鋼面に酸素ガス
を吹き付けて、脱酸剤成分であるアルミニウムを除去
し、溶解酸素濃度を増加させる送酸期と、溶解酸素と溶
鋼中炭素とのCO生成反応を高真空下で行う真空脱炭期
とからなり、その後アルミニウム脱酸工程となる。図1
にRH脱ガス処理中における炭素濃度推移、合成フラッ
クス中の(T〔Fe〕+MnO)濃度の推移、溶鋼中の
溶解酸素濃度の推移、真空槽内圧力の推移、及び上吹き
ランスからの送酸量を示す。
【0031】真空槽内を真空引きし、溶鋼を還流させた
後、送酸期が開始される。鉄及びマンガンが酸化して、
フラックス中の(T〔Fe〕+MnO)が3%を超えな
いようにするために、本実施例では、真空槽内圧力を約
40torrに保ち、酸素分圧を下げると共に、処理開
始5分後から送酸を開始し、送酸量は1500Nm3
Hrで10分間、1000Nm3 /Hrで5分間、50
0Nm3 /Hrで5分間として送酸量を徐々に下げ、総
送酸量を375Nm3 とした。尚、真空槽内の溶鋼面か
らのランスまでの高さは3.5mである。このようにし
て実施した送酸期の合成フラックス中の(T〔Fe〕+
MnO)は、図1に示すように2.81%であった。送
酸期の溶鋼温度は約1590℃で推移した。
【0032】溶解酸素濃度が0.02%を超えた時点
で、酸素ガス吹きを停止し、その後は真空槽内を真空引
きし、溶解酸素と炭素とのCO生成反応による真空脱炭
期を32分間実施して炭素は0.0020%まで低下し
た。
【0033】真空脱炭終了後、アルミニウム123kg
を添加して溶鋼を脱酸し、アルミニウム脱酸工程を開始
した。アルミニウム添加後15分間溶鋼の還流を継続
し、処理を終了した。終了時の溶鋼温度は1542℃で
あった。
【0034】アルミニウム脱酸工程終了後(RH脱ガス
処理後)の合成フラックスの組成は、表1に示すよう
に、CaOが44.7%、Al2 3 が29.2%、S
iO2が12.0%となり、CaO−Al2 3 −Si
2 の3元系に換算すると、CaOが52%、Al2
3 が34%、SiO2 が14%で、目標とする組成範囲
内であった。図2にCaO−Al2 3 −SiO2 3元
系状態図に換算した合成フラックスの取鍋精錬(AP)
からRH脱ガス後までの組成変化を示す。フラックス
は、送酸期、真空脱炭期及びアルミニウム脱酸期により
生成したAl2 3及びSiO2 で希釈され、少なくと
もアルミニウム添加以後は目的とするフラックス組成の
範囲内(図2の斜線部の範囲)にあったことが判る。
【0035】このようにしてフラックスは目標組成範囲
内にあるので、溶鋼表面を液体状態で被覆し、脱酸生成
物であるAl2 3 は合成フラックスに良く吸収され、
且つ、フラックスによる再酸化を防止できる。又、フラ
ックスは脱硫能が高い範囲であるので、復硫が防止でき
る。尚、アルミニウムを添加することで仕上げ期には合
成フラックス中の(T〔Fe〕+MnO)は幾分低下す
る。
【0036】このようにして溶製した純鉄の溶鋼を、断
気してブルーム連続鋳造機で鋳造して鋳片を得た。表2
に以上の工程により製造した成分推移を、図3に硫黄濃
度の推移を示す。
【0037】
【表2】
【0038】硫黄濃度は鋳片でも0.0003%が得ら
れ、復硫は抑えることができた。又、全酸素濃度は0.
002%であり硫黄濃度、全酸素濃度とも目標値を達成
した。尚、表2に示すように取鍋精錬中に炭素濃度が上
昇するが、これは溶鋼を脱酸した状態で、石灰等と攪拌
するため、石灰中の炭素で加炭されたためである。
【0039】尚、本発明と対比するため、比較例、及び
従来例も実施した。比較例、従来例の製造方法及び製造
結果は以下の通りである。
【0040】比較例は、取鍋精錬炉の脱硫スラグの除滓
後に添加した合成フラックスの組成が実施例と異なり、
CaO−Al2 3 −SiO2 の3元系の組成に換算し
て、CaOが68%、Al2 3 が27%、SiO2
5%の組成の合成フラックス3000kgを取鍋内溶鋼
上に添加したものである。その他は実施例と全く同一の
製造方法である。
【0041】比較例では、RH脱ガス処理中に生成した
Al2 3 及びSiO2 で合成フラックスが希釈され、
図2に示すようにRH脱ガス処理後の組成が目標範囲か
らAl2 3 が多い範囲に外れた状態となった。この範
囲ではフラックスは脱硫能が低く、図3に示すように、
RH脱ガス処理中に復硫が発生し、最終的に硫黄濃度は
0.0010%となり、目標を達成できなかった。尚、
比較例でもフラックスは液体状態であり、全酸素濃度は
実施例と同等であった。
【0042】従来例は鍋精錬炉の脱硫スラグを除滓せず
に取鍋内にいれたまま、脱ガス処理をしたものである。
即ち、合成フラックスを使用しないものであるが、その
他は実施例と同一の製造方法である。従来例では、脱硫
スラグを除滓しないため、RH脱ガス処理中に脱硫スラ
グからの復硫により、図3に示すように硫黄濃度が0.
0012%となった。又、全酸素濃度は0.005%と
高く、0.0030%未満を確保することは不可能であ
った。
【0043】本実施例での合成フラックスは、初期組成
がCaOを多量に含むものであるが、合成フラックスの
組成は実施例に記載されたものに限られるものではな
い。何故なら、合成フラックスの添加量を多くして、生
成するAl2 3 及びSiO2の希釈があっても、フラ
ックス組成を目標組成範囲内に制御することは可能であ
るからである。従って、合成フラックスの組成は、生成
するAl2 3 及びSiO2 の量と合成フラックスの添
加量とから求めれば良い。
【0044】又、脱硫・脱炭の二次精錬は本実施例の取
鍋精錬炉やRH脱ガス設備に限るものではなく、VA
D、VOD等の精錬設備で行うことは勿論可能である。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、脱硫後の復硫を防止で
きるので硫黄濃度が0.0010%未満で、且つ、酸化
物の吸収能が高く、再酸化の少ないフラックスで溶鋼を
覆うために全酸素濃度が0.0030%未満となり、不
純物の少ない清浄性の高い純鉄を安価で大量に製造する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における、RH脱ガスによる脱
炭工程とアルミニウム脱酸工程での炭素濃度推移、合成
フラックス中の(T〔Fe〕+MnO)濃度の推移、溶
鋼中の溶解酸素濃度の推移、真空槽内圧力の推移、及び
上吹きランスからの送酸量を示す図である。
【図2】合成フラックスのRH処理前後の組成変化を、
本発明による実施例と比較例とで比較して示した図であ
る。
【図3】転炉から連続鋳造までの工程で鋼中硫黄濃度の
推移を、本発明による実施例と、比較例及び従来例とで
比較して示した図である。
【図4】フラックスの硫黄の分配比に及ぼすアルミニウ
ム脱酸終了時のフラックス中の(T〔Fe〕+MnO)
の影響を調査した結果を示した図である。
【図5】溶鋼中の全酸素濃度に及ぼすアルミニウム脱酸
工程後のフラックス中の(T〔Fe〕+MnO)の影響
を調査した結果を示した図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉から出銑され予備処理により脱硫・
    脱燐された溶銑を転炉精錬し、転炉出鋼後に未脱酸状態
    で除滓して脱酸した後に、脱硫し、その後減圧下で脱炭
    し、脱炭後アルミニウムで脱酸する工程からなる純鉄の
    製造方法において、 脱硫工程後には脱硫時に生成したスラグを除滓し、除滓
    後にはアルミニウムでの脱酸工程終了時にCaO−Al
    2 3 −SiO2 の3元系の組成に換算して、CaOが
    44〜62重量%、Al2 3 が27〜46重量%、S
    iO2 が2〜20重量%の範囲内となる組成のフラック
    スを溶鋼上に添加し、且つ、脱炭工程以後はフラックス
    中の(T〔Fe〕+MnO)を3重量%以下に保持する
    ことを特徴とする純鉄の製造方法。
JP8042741A 1996-02-29 1996-02-29 清浄性の高い極低硫純鉄の製造方法 Pending JPH09235611A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8042741A JPH09235611A (ja) 1996-02-29 1996-02-29 清浄性の高い極低硫純鉄の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8042741A JPH09235611A (ja) 1996-02-29 1996-02-29 清浄性の高い極低硫純鉄の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09235611A true JPH09235611A (ja) 1997-09-09

Family

ID=12644452

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8042741A Pending JPH09235611A (ja) 1996-02-29 1996-02-29 清浄性の高い極低硫純鉄の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09235611A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100402005B1 (ko) * 1999-09-10 2003-10-17 주식회사 포스코 청정도가 우수한 극저탄소 알루미늄 탈산강의 정련방법
KR100919425B1 (ko) * 2002-12-18 2009-09-29 주식회사 포스코 슬래그 탈산용 알루미늄 와이어 및 이를 이용하여 슬래그의 산화를 저감하는 방법
CN101993974A (zh) * 2009-08-10 2011-03-30 鞍钢股份有限公司 一种极低气体含量纯铁的生产方法
CN102719615A (zh) * 2012-06-26 2012-10-10 山西太钢不锈钢股份有限公司 一种原料纯铁用钢的冶炼方法
CN108277316A (zh) * 2017-01-05 2018-07-13 鞍钢股份有限公司 一种纯铁的生产方法
CN115261564A (zh) * 2022-07-18 2022-11-01 中天钢铁集团有限公司 非晶软磁薄带用非铝脱氧原料纯铁及其制备方法
CN115558735A (zh) * 2022-10-08 2023-01-03 首钢股份公司迁安钢铁公司 一种纯铁的冶炼方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100402005B1 (ko) * 1999-09-10 2003-10-17 주식회사 포스코 청정도가 우수한 극저탄소 알루미늄 탈산강의 정련방법
KR100919425B1 (ko) * 2002-12-18 2009-09-29 주식회사 포스코 슬래그 탈산용 알루미늄 와이어 및 이를 이용하여 슬래그의 산화를 저감하는 방법
CN101993974A (zh) * 2009-08-10 2011-03-30 鞍钢股份有限公司 一种极低气体含量纯铁的生产方法
CN102719615A (zh) * 2012-06-26 2012-10-10 山西太钢不锈钢股份有限公司 一种原料纯铁用钢的冶炼方法
CN108277316A (zh) * 2017-01-05 2018-07-13 鞍钢股份有限公司 一种纯铁的生产方法
CN108277316B (zh) * 2017-01-05 2020-01-07 鞍钢股份有限公司 一种纯铁的生产方法
CN115261564A (zh) * 2022-07-18 2022-11-01 中天钢铁集团有限公司 非晶软磁薄带用非铝脱氧原料纯铁及其制备方法
CN115261564B (zh) * 2022-07-18 2024-01-23 中天钢铁集团有限公司 非晶软磁薄带用非铝脱氧原料纯铁及其制备方法
CN115558735A (zh) * 2022-10-08 2023-01-03 首钢股份公司迁安钢铁公司 一种纯铁的冶炼方法
CN115558735B (zh) * 2022-10-08 2023-12-26 首钢股份公司迁安钢铁公司 一种纯铁的冶炼方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2575827B2 (ja) 清浄度に優れた連続鋳造用極低炭素鋼の製造方法
JPH07216434A (ja) 極低炭素極低硫黄鋼の製造方法
JP2009167463A (ja) Mn含有極低炭素鋼の溶製方法
JP3428628B2 (ja) ステンレス鋼の脱硫精錬方法
JPH09217110A (ja) 超低硫鋼の溶製方法
JP5063966B2 (ja) 溶鋼の製造方法
JPH09235611A (ja) 清浄性の高い極低硫純鉄の製造方法
JP3994456B2 (ja) 伸線性及び清浄度に優れた線材用鋼の製造方法
JP4311097B2 (ja) 転炉内スラグの流出防止方法
JP4765374B2 (ja) 含クロム溶銑の脱硫処理方法
JP3627755B2 (ja) S含有量の極めて少ない高清浄度極低炭素鋼の製造方法
JP2947063B2 (ja) ステンレス鋼の製造方法
JP4687103B2 (ja) 低炭素アルミキルド鋼の溶製方法
JP3002593B2 (ja) 極低炭素鋼の溶製方法
JPH10102119A (ja) 硫黄快削鋼の製造方法
JPH10140227A (ja) 高合金鋼の合わせ湯による製造方法
RU2566230C2 (ru) Способ переработки в кислородном конвертере низкокремнистого ванадийсодержащего металлического расплава
JP4534734B2 (ja) 低炭素高マンガン鋼の溶製方法
JP3158912B2 (ja) ステンレス鋼の精錬方法
JP4461495B2 (ja) 溶銑の脱燐精錬方法
JP7255639B2 (ja) 溶鋼の脱硫方法および脱硫フラックス
JPH01147011A (ja) 製鋼法
JPH04318118A (ja) 極低炭・極低硫鋼の製造方法
JP7302749B2 (ja) 溶鉄の脱りん方法
JPH0959708A (ja) ステンレス鋼の効率的な脱炭吹錬方法